(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】点鼻支援装置、点鼻システム、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
A61M 11/08 20060101AFI20240814BHJP
A61M 15/08 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61M11/08
A61M15/08
(21)【出願番号】P 2024023598
(22)【出願日】2024-02-20
(62)【分割の表示】P 2020095390の分割
【原出願日】2020-06-01
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】田邊 英樹
(72)【発明者】
【氏名】米川 亮
(72)【発明者】
【氏名】元林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】東 昭宏
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/155150(WO,A1)
【文献】特開2007-254421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/08
A61M 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置であって、
前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された映像に基づいて、前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成するプロセッサと、
前記適否情報の内容を前記使用者に通知する通知部と、を備える
点鼻支援装置。
【請求項2】
さらに、前記適否情報を前記点鼻装置に送信する通信部を備える
請求項1に記載の点鼻支援装置。
【請求項3】
さらに、前記カメラの鉛直方向に対する傾き角度を第1角度情報として検出する加速度センサを備え、
前記通信部は、前記点鼻装置の鉛直方向に対する傾き角度を示す第2角度情報を前記点鼻装置から受信し、
前記プロセッサは、前記カメラにより撮像された映像および前記第1角度情報を解析することによって前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻支援装置の姿勢を示す基準線との傾き角度を第3角度情報として検出し、前記第2角度情報および前記第3角度情報に基づいて前記相対角度を算出する
請求項2に記載の点鼻支援装置。
【請求項4】
さらに、個々の使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の基準線との相対角度を目標として示す個別データと、複数な使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との相対角度を平均的な目標として示す汎用データとを予め記憶するメモリを備え、
前記プロセッサは、前記個別データと前記汎用データとから一方を選択し、選択結果から前記目標角度を決定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の点鼻支援装置。
【請求項5】
前記点鼻支援装置は、モバイル装置である
請求項1から4のいずれか1項に記載の点鼻支援装置。
【請求項6】
さらに、光、音および振動の少なくとも1つを用いて、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する通知部を備える
請求項1から5のいずれか1項に記載の点鼻支援装置。
【請求項7】
鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置と、
使用者による前記点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置とを備え、
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像した映像を取得する取得部を有し、
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記映像に基づいて前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成するプロセッサを有し、
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記適否情報の内容を使用者に通知する通知部を有する
点鼻システム。
【請求項8】
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記点鼻装置が使用者の鼻にあてがわれた使用者の顔を撮像した映像を生成するカメラを有し、
前記取得部は、前記カメラから前記映像を取得し、
前記プロセッサは、前記映像から使用者の顔および前記点鼻装置を認識し、認識結果から使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線とを特定し、特定結果から前記相対角度を算出する
請求項7に記載の点鼻システム。
【請求項9】
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の少なくとも一方は、鉛直方向に対する傾き角度を検出する加速度センサを有し、
前記プロセッサは、前記加速度センサで検出された傾き角度を用いて前記相対角度を算出する
請求項8に記載の点鼻システム。
【請求項10】
前記点鼻支援装置は、前記取得部と前記プロセッサと前記カメラとを備える
請求項8または9に記載の点鼻システム。
【請求項11】
前記点鼻装置は、前記加速度センサとしての第1加速度センサを備え、
前記点鼻支援装置は、前記取得部と前記プロセッサと、前記カメラと、前記加速度センサとしての第2加速度センサと、を備える
請求項9に記載の点鼻システム。
【請求項12】
使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置に備えられるコンピュータに実行されるプログラムであって、
前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔をカメラにより撮像し、
前記カメラにより撮像された映像に基づいて、前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、
前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、
前記適否情報の内容を前記使用者に通知することを実行させる
プログラム。
【請求項13】
鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置と、使用者による前記点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置とを備える点鼻システムに備えられるコンピュータに実行されるプログラムであって、
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像した映像を取得し、
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記映像に基づいて前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、
前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記適否情報の内容を使用者に通知することを実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻支援装置、点鼻システム、点鼻システムの動作方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、経鼻流体投与装置と、作動中にユーザの前額部または鼻梁に支えられる第1顔面被支持部と、ユーザの上唇に支えられるのに適した第2顔面被支持部とを備える投与装置アセンブリを開示している。さらに、特許文献1では、ノズルの鼻腔への装着角度および挿入深さが投与効率に影響するとの課題が提起され、鉛直挿入角度40~50°、挿入深さ5~15mmが適切であると記載されている。
【0003】
特許文献2は、点鼻装置ではないが、口から服薬する吸入器において、吸入の準備作業として使用者が吸入器を正しく揺動させたかどうかを、加速度計を用いて判定することを開示している。
【0004】
特許文献3は、患者の頭部を直立姿勢から60°等の所定角度傾けさせる角度設定装置を有し、鼻腔内の粘膜全体に薬液または洗浄液を到達させる装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2020-501715号公報
【文献】特表2017-535396号公報
【文献】特表平3-501222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アルツハイマーなどの中枢神経系疾患に対する薬剤は従来経皮投与が主で、効率が悪く薬剤が多く必要である。効率を向上させる方法として、鼻腔内から中枢神経系に直接投与する方法が考えだされている。点鼻した薬効が最適に機能する為には、鼻腔内の特定部位に投与する必要がある。ここで、特定部位は、例えば,嗅部(Olfactory Region)と呼ばれる鼻腔内の部位である。
【0007】
従来の点鼻装置では、吐出方向を特定部位に適量を投与することが難しく、一度に投与する薬液量が本来の必要な量以上の多めの薬液を投与し、薬液の無駄が発生しがちである。投与すべき特定部位に点鼻装置からの薬液吐出方向を正確に合わせることは容易ではなく、薬剤を投与したい部分からずれてしまうと投与効率が悪くなる。その結果、有効な投与量が予想よりも少なくなることもある。そのため、適量の薬液を特定部位に正確に投与するために、鼻腔装置を適正な角度で鼻にあてがう必要がある。
【0008】
本発明は、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現する点鼻支援装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る点鼻装置は、鼻腔内に液滴を吐出する吐出部と、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度が点鼻に適しているか否かを示す適否情報を取得し、前記適否情報に従って前記吐出部の吐出動作を制御する制御部と、を備える。
【0010】
これによれば、上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0011】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、無線通信する無線部を備え、前記取得部は、他の装置から前記無線部を介して前記適否情報を取得してもよい。
【0012】
これによれば、他の装置から無線部を介して適否情報を取得するので、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0013】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、前記点鼻装置の鉛直方向に対する傾き角度を検出する加速度センサを備え、前記無線部は、前記加速度センサで検出された前記傾き角度を前記他の装置に送信してもよい。
【0014】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0015】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像するカメラを備え、前記制御部は、前記カメラにより撮像された映像を解析することよって前記相対角度を算出し、当該相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲にあるか否かを判定し、判定結果を前記適否情報として取得してもよい。
【0016】
これによれば、映像の解析によって前記相対角度を算出でき、加速度センサを備えなくてもよく、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0017】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、前記点鼻装置の鉛直方向に対する傾き角度を検出する加速度センサを備え、前記制御部は、前記傾き角度に基づいて前記カメラにより撮像された映像を解析することよって前記相対角度を算出してもよい。
【0018】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0019】
例えば、前記点鼻装置は、前記吐出部は、圧電方式またはサーマル方式により数ピコリットルから数10ピコリットルの液滴を吐出してもよい。
【0020】
これによれば、吐出液量をピコリットルオーダーの細かい精度で制御することができ、適量の投与を容易にすることができる。
【0021】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、光、音および振動の少なくとも1つを用いて、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する通知部を備えてもよい。
【0022】
これによれば、使用者による点鼻装置の適切な使用を支援することができる。例えば、適否情報が適切であることを示す場合は、使用者の点鼻開始操作を促し、適否情報が適切でないことを示す場合は、使用者の顔に対する点鼻装置の角度調整を促すことができる。
【0023】
例えば、前記制御装置は、前記適否情報が適切であることを示すとき、前記使用者からの点鼻開始を指示する操作を待つことなしに前記吐出部に吐出動作を開始させてもよい。
【0024】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、点鼻することができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る点鼻支援装置は、使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置であって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された映像に基づいて、前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成するプロセッサと、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する通知部と、を備える。
【0026】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位への適量の点鼻を支援することができる。
【0027】
例えば、前記点鼻支援装置は、さらに、前記適否情報を前記点鼻装置に送信する通信部を備えてもよい。
【0028】
これによれば,上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻するように点鼻装置を制御することができ、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0029】
例えば、前記点鼻支援装置は、さらに、前記カメラの鉛直方向に対する傾き角度を第1角度情報として検出する加速度センサを備え、前記通信部は、前記点鼻装置の鉛直方向に対する傾き角度を示す第2角度情報を前記点鼻装置から受信し、前記プロセッサは、前記カメラにより撮像された映像および前記第1角度情報を解析することによって前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻支援装置の姿勢を示す基準線との傾き角度を第3角度情報として検出し、前記第2角度情報および前記第3角度情報に基づいて前記相対角度を算出してもよい。
【0030】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0031】
例えば、前記点鼻支援装置は、さらに、個々の使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の基準線との相対角度を目標として示す個別データと、複数な使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との相対角度を平均的な目標として示す汎用データとを予め記憶するメモリを備え、前記プロセッサは、前記個別データと前記汎用データとから一方を選択し、選択結果から前記目標角度を決定してもよい。
【0032】
これによれば、個別データによって使用者の鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現するとともに、汎用データによっても同様の効果を奏することを可能にする。
【0033】
例えば、前記点鼻支援装置は、モバイル装置であってもよい。
【0034】
これによれば、使用者が既に所有しているモバイル装置を点鼻支援装置200として利用可能であり、使用者のコスト負担を抑制することができる。
【0035】
例えば、前記点鼻支援装置200は、さらに、光、音および振動の少なくとも1つを用いて、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する通知部を備えてもよい。
【0036】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位に適量の点鼻をすることを容易に実現できる。
【0037】
また、本発明の一態様に係る点鼻システムは、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置と、使用者による前記点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置とを備え、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像した映像を取得する取得部を有し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記映像に基づいて前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成するプロセッサを有し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記適否情報の内容を使用者に通知する通知部を有する。
【0038】
これによれば、通知により上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0039】
例えば、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記点鼻装置が使用者の鼻にあてがわれた使用者の顔を撮像した映像を生成するカメラを有し、前記取得部は、前記カメラから前記映像を取得し、前記プロセッサは、前記映像から使用者の顔および前記点鼻装置を認識し、認識結果から使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線とを特定し、特定結果から前記相対角度を算出してもよい。
【0040】
これによれば、映像の解析によって前記相対角度を算出でき、加速度センサを備えなくてもよく、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0041】
例えば、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の少なくとも一方は、鉛直方向に対する傾き角度を検出する加速度センサを有し、前記プロセッサは、前記加速度センサで検出された傾き角度を用いて前記相対角度を算出してもよい。
【0042】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0043】
例えば、前記点鼻支援装置は、前記取得部と前記プロセッサと前記カメラとを備えてもよい。
【0044】
これによれば、前記点鼻支援装置は、スマートフォンなどのモバイル装置をベースに構成可能である。また、前記点鼻支援装置は、無線通信機能を有するカメラ装置置をベースに構成可能である。
【0045】
例えば、前記点鼻装置は、前記加速度センサとしての第1加速度センサを備え、前記点鼻支援装置は、前記取得部と前記プロセッサと、前記カメラと、前記加速度センサとしての第2加速度センサと、を備えてもよい。
【0046】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0047】
本発明の一態様に係る点鼻方法は、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置の点鼻方法であって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度に対する点鼻の適否を示す適否情報を取得し、前記適否情報に従って吐出動作を制御する。
【0048】
これによれば、上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0049】
本発明の一態様に係る点鼻支援方法は、使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置における支援方法であって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔をカメラにより撮像し、前記カメラにより撮像された映像に基づいて、前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する。
【0050】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位への適量の点鼻を支援することができる。
【0051】
本発明の一態様に係る点鼻システムの動作方法は、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置と、使用者による前記点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置とを備える点鼻システムの動作方法であって、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像した映像を取得し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記映像に基づいて前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記適否情報の内容を使用者に通知する。
【0052】
これによれば、通知により上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0053】
本発明の一態様に係る点鼻装置のプログラムは、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置に備えられるコンピュータに実行されるプログラムであって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度に対する点鼻の適否を示す適否情報を取得し、前記適否情報に従って吐出動作を制御することを実行させる。
【0054】
これによれば、上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0055】
本発明の一態様に係る点鼻支援装置のプログラムは、使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置に備えられるコンピュータに実行されるプログラムであって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔をカメラにより撮像し、前記カメラにより撮像された映像に基づいて、前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、前記適否情報の内容を前記使用者に通知することを実行させる。
【0056】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位への適量の点鼻を支援することができる。
【0057】
本発明の一態様に係る点鼻システムのプログラムは、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置と、使用者による前記点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置とを備える点鼻システムに備えられるコンピュータに実行されるプログラムであって、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像した映像を取得し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記映像に基づいて前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記適否情報の内容を使用者に通知することを実行させる。
【0058】
これによれば、通知により上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記のような特徴的な処理を実行する制御部を備える点鼻装置として実現することができるだけでなく、点鼻装置に含まれる特徴的な処理をステップとする方法として実現することができる。
【0060】
同様に、本発明は、上記のような特徴的な処理を実行するプロセッサを備える点鼻支援装置として実現することができるだけでなく、点鼻支援装置に含まれる特徴的なプロセッサが実行する処理をステップとする方法として実現することができる。
【0061】
さらに、本発明は、上記のような特徴的な処理を実行するプロセッサを備える点鼻システムとして実現することができるだけでなく、点鼻システムに含まれる特徴的なプロセッサが実行する処理をステップとする方法として実現することができる。
【0062】
また、点鼻装置に含まれる特徴的な制御としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたは点鼻方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。
【0063】
同様に、点鼻支援装置に含まれる特徴的な制御としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたは点鼻支援方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。
【0064】
さらにに、点鼻システムに含まれる特徴的な制御としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたは点鼻システムの動作方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。
【0065】
そして、そのようなプログラムを、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0066】
本発明の点鼻支援装置等によれば、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態1に係る点鼻システムの構成例を示すブロック図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態1に係る点鼻装置の外観例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る点鼻装置を使用者の鼻にあてがった様子を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る点鼻装置、点鼻支援装置、使用者の顔のそれぞれの傾き角度と座標系とを示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る点鼻システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る点鼻システムの構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る点鼻システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態3に係る点鼻システムの構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施の形態3に係る点鼻システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態4に係る点鼻システムの構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態4に係る点鼻システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図11A】
図11Aは、実施の形態5に係る点鼻装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11B】
図11Bは、実施の形態5に係る点鼻装置の外観例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施の形態5に係る点鼻装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施の形態6に係る点鼻装置の構成例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施の形態6に係る点鼻装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施の形態7に係る点鼻システムの構成例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、実施の形態8に係る点鼻システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0069】
(実施の形態1)
[点鼻システムの構成]
図1Aは、実施の形態1に係る点鼻システム1の構成例を示すブロック図である。
図1Bは、実施の形態1に係る点鼻装置100の外観例を示すブロック図である。
図2は、実施の形態1に係る点鼻装置を使用者の鼻にあてがった様子を示す説明図である。
【0070】
図1Aに示す点鼻システム1は、点鼻装置100と点鼻支援装置200とを備える。
【0071】
点鼻装置100は、ペンタイプの小型の装置であり薬液ディスペンサとも呼ばれる。点鼻装置100は、点鼻装置100を鼻にあてがった使用者の顔の姿勢を示す基準線と、点鼻装置100の姿勢を示す基準線との現在の相対角度が点鼻に適しているか否かを示す適否情報を取得し、前記適否情報に従って前記吐出部の吐出動作をする。
【0072】
ここで、使用者の顔の姿勢を示す基準線は、例えば、使用者の顔を撮像した3次元画像において両目の瞳を結ぶ線分の中点と唇の中心とを結ぶ直線をいう。
図2の(a)および(b)中の一点鎖線は、使用者の顔の姿勢を示す基準線の例を示す。なお、顔の姿勢を示す基準線は、両目の瞳を結ぶ線分の中点と鼻の頂点とを結ぶ直線でも良いし、直立した頭部の鉛直方向の中心軸としてもよい。
【0073】
また、点鼻装置100の姿勢を示す基準線は、例えば、液滴の吐出方向の中心軸である。
図2の(a)および(b)中の二点鎖線は、点鼻装置100の姿勢を示す基準線の例を示す。なお、点鼻装置100の姿勢を示す基準線は、点鼻装置100の外形の稜線のうち、液滴の吐出方向にほぼ一致する稜線としてもよい。
【0074】
また、上記の相対角度は、例えば、三次元座標系の回転角として表される。
図2では、一点鎖線と二点鎖線の相対角度θは(α、β、γ)で表されるものとする。
【0075】
点鼻支援装置200は、使用者の顔の姿勢を示す基準線と点鼻装置100の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲にあるか否かを示す適否情報を生成し、適否情報を点鼻装置100に送信する。
図2の(a)および(b)において、実線で囲まれた領域R1は、鼻腔内の投薬の目標となる特定部位としての嗅部(Olfactory Region)を示す。
図2の(a)および(b)の例では、一点鎖線で示す基準線が示す吐出方向が領域R1を向いているので、同図の相対角度は、点鼻に最も適した目標角度でもある。
【0076】
次に、点鼻装置100の構成例について説明する。
【0077】
そのため、点鼻装置100は、UI(User Interface)部101、メモリ102、吐出制御部103、吐出部104、ノーズピース105、プロセッサ106、加速度センサ107、無線部108および電池109を備える。
【0078】
UI部101は、ユーザ操作を受け付け、ユーザに点鼻装置100の動作状況等を通知する。
図1Bに示す点鼻装置100の外観例では,UI部101として、LED121、122、操作ボタン123、電源ボタン124および電源LED125を含む。例えば、LED121は、RGBの三色を選択的に発光可能であり、点灯、点滅、消灯により点鼻装置100の動作状態を使用者に通知する。LED122も同様である。操作ボタン123は、点鼻動作の開始を指示するためのボタンである。電源ボタン124は、点鼻装置100の電源のオンおよびオフを操作するボタンである。電源LED125は、電源オンの期間中に電池109の充電状態を通知する。なお、UI部101は、使用者に振動を伝えるバイブレータを備えてもよいし、使用者に音を伝えるブザーまたはスピーカを備えてもよいし、文字表示可能な液晶表示パネルを備えてもよい。
【0079】
メモリ102は、例えば、ROM、RAM、電気的に消去可能なフラッシュメモリ等を含み、プロセッサ106に実行されるプログラムおよび各種データを記憶する。
【0080】
吐出制御部103は、吐出部104の吐出動作を制御する。例えば、吐出制御部103は、吐出動作の開始と終了を制御し、吐出動作における液滴吐出の回数および吐出耐時間間隔等を制御する。1つの液滴は、ピコリットルオーダーなので,吐出回数により吐出する液体量のトータルを微調整することができる。
【0081】
吐出部104は、圧電方式またはサーマル方式により数ピコリットルから数10ピコリットルの液滴を吐出する。吐出部104は、圧電方式またはサーマル方式のインクジェットプリンタのヘッドの主要部と同じの構成でよい。
【0082】
ノーズピース105は、点鼻装置100本体に着脱可能であり、使用者に鼻孔の入り口に挿入される。ノーズピース105は、例えば、シリコンゴムで形成され、異なるサイズまたは異なる形状の複数種類の中から使用者の鼻腔の大きさおよび形状に応じて選択される。
【0083】
プロセッサ106は、点鼻装置100全体を制御する制御部であり、具体的に、メモリ102に記憶されたプログラムを実行するマイクロコンピュータとして構成される。
【0084】
加速度センサ107は、点鼻装置100の鉛直方向に対する傾き角度を検出するための、例えば、xyzの3軸方向の角加速度を検出するセンサである。なお、加速度センサ107は、1軸方向の角加速度を検出するセンサであってもよい。この場合、検出値を3軸方向に分解する処理によって、3軸方向の角加速度を検出可能である。
【0085】
無線部108は、点鼻支援装置200と無線通信する回路である。無線部108は、例えば、ブルートゥース(登録商標)、IEEE802.11規格に準拠する無線LANによる無線通信を行う。
【0086】
電池109は、点鼻装置100に電力を供給する二次電池、例えば、リチウムイオン電池である。
【0087】
次に、点鼻支援装置200の構成例について説明する。
【0088】
点鼻支援装置200は、UI部201、メモリ202、プロセッサ206、加速度センサ207、無線部208、電池209およびカメラ210を備える。この点鼻支援装置200のハードウェア構成は、スマートフォンと同じでよい。なお、点鼻支援装置200のハードウェア構成は、スマートフォンに限らず、タブレット装置やノートPCと同じでもよい。
【0089】
UI部201は、表示部211、入力部212および出力部213を備える。表示部211は、液晶表示パネルまたは有機ELパネルを表示パネルとして含む。入力部212は、表示部211の表示パネル上に形成されたタッチパネル、操作ボタン、マイクロフォン等を含む。出力部213は、スピーカ、イヤホンジャック等を含む。
【0090】
メモリ202は、例えば、ROM、RAM、電気的に消去可能なフラッシュメモリ等を含み、プロセッサ206に実行されるプログラムおよび各種データを記憶する。メモリ202に記憶される各種データは、個々の使用者の顔の姿勢を示す基準線と点鼻装置100の基準線との相対角度を目標として示す個別データと、複数な使用者の顔の姿勢を示す基準線と点鼻装置100の姿勢を示す基準線との相対角度を平均的な目標として示す汎用データとを含む。個別データは、例えば、医師の指導の下で点鼻装置100の使用者の鼻腔を対象に、その形状や大きさに最適な相対角度を測定することにより作成される。汎用データは、点鼻装置100の使用者の個別データが作成されていない場合に使用される。
【0091】
プロセッサ206は、点鼻支援装置200全体を制御する制御部である。具体的には、プロセッサ206は、メモリ202に記憶されたプログラムを実行するマイクロコンピュータとして構成される。
【0092】
加速度センサ207は、点鼻支援装置200の鉛直方向に対する傾き角度を検出するための、例えば、xyzの3軸方向の角加速度を検出するセンサである。ここで、点鼻支援装置200の鉛直方向に対する傾き角度は、カメラ210の鉛直方向に対する傾き角度と同じであるものとする。なお、加速度センサ207は、1軸方向の角加速度を検出するセンサであってもよい。この場合、検出値を3軸方向に分解する処理によって、3軸方向の角加速度を検出可能である。
【0093】
無線部208は、点鼻装置100と無線通信する回路である。無線部208は、例えば、ブルートゥース(登録商標)、IEEE802.11規格に準拠する無線LANによる無線通信を行う。
【0094】
電池209は、点鼻支援装置200に電力を供給する二次電池、例えば、リチウムイオン電池である。
【0095】
カメラ210は、点鼻装置100を鼻にあてがった使用者の顔を撮像する。
【0096】
次に、加速度センサ107、207により検出される傾き角度および対応する座標系について説明する。
【0097】
図3は、実施の形態1に係る点鼻装置、点鼻支援装置、使用者の顔のそれぞれの傾き角度と座標系とを示す説明図である。
【0098】
図3の(a)は、基本座標系S0、ディスペンサ座標系Sdおよび傾き角度(α
d、β
d、γ
d)を示す。基本座標系S0は、鉛直方向および水平方向に一致する軸を有する重力座標系である。ディスペンサ座標系Sdは、点鼻装置100姿勢を示す基準線に一致するまたは直交する軸を有する座標系である。傾き角度(α
d、β
d、γ
d)は、点鼻装置100の加速度センサ107で検出された傾き角度を示す。この場合、ディスペンサ座標系Sdの(X
d軸、Y
d軸、Z
d軸)は、基本座標系S0の(X
0軸、Y
0軸、Z
0軸)を傾き角度(α
d、β
d、γ
d)だけ回転したものである。回転方向は反時計回りを正とする。
【0099】
図3の(b)は、基本座標系S0、モバイル座標系Smおよび傾き角度(α
m、β
m、γ
m)を示す。モバイル座標系Smは、モバイル装置である点鼻支援装置200の基準線に一致するまたは直交する軸を有する座標系である。傾き角度(α
m、β
m、γ
m)は、点鼻支援装置200の加速度センサ207で検出された傾き角度を示す。モバイル座標系Smの(X
m軸、Y
m軸、Z
m軸)は、基本座標系S0の(X
0軸、Y
0軸、Z
0軸)を傾き角度(α
m、β
m、γ
m)だけ回転したものである。
【0100】
図3の(c)は、モバイル座標系Sm、顔座標系Sfおよび傾き角度(α
f、β
f、γ
f)を示す。顔座標系Sfは、使用者の顔の姿勢を示す基準線に一致するまたは直交する軸を有する座標系である。傾き角度(α
f、β
f、γ
f)は、モバイル座標系Smに対する顔座標系Sfの傾き角度を示す。顔座標系Sfの(X
f軸、Y
f軸、Z
f軸)は、モバイル座標系Smの(X
m軸、Y
m軸、Z
m軸)を傾き角度(α
f、β
f、γ
f)だけ回転したものである。
【0101】
図3の(d)は、ディスペンサ座標系Sd、顔座標系Sfdおよび傾き角度(α
fd、β
fd、γ
fd)を示す。顔座標系Sfdは、使用者の顔の姿勢を示す基準線に一致するまたは直交する軸を有する座標系である。傾き角度(α、β、γ)は、ディスペンサ座標系Sdに対する顔座標系Sfdの傾き角度を示す。顔座標系Sfdの(X
fd軸、Y
fd軸、Z
fd軸)は、ディスペンサ座標系Sdの(X
d軸、Y
d軸、Z
d軸)を傾き角度(α、β、γ)だけ回転したものである。つまり、傾き角度(α、β、γ)は、使用者の顔の姿勢を示す基準線と点鼻装置100の姿勢を示す基準線との相対角度である。
【0102】
これらの傾き角度と座標系との関係は、(1)式から(3)式で示すことができる。
【0103】
【0104】
ディスペンサ座標系Sdの傾き角度(αd、βd、γd)は、点鼻装置100の加速度センサ107により検出される。また、モバイル座標系Smの傾き角度(αm、βm、γm)は、点鼻支援装置200の加速度センサ207により検出される。
【0105】
顔座標系Sfの傾き角度(αf、βf、γf)は、カメラ210に撮像された点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔画像から、モバイル座標系Smのカメラ210または点鼻支援装置200に対する顔の傾き角度(αf、βf、γf)を算出される。さらに、使用者の顔の姿勢を示す基準線と点鼻装置100の姿勢を示す基準線との相対角度、つまり、顔座標系Sfの傾き角度(α、β、γ)は、(2)式、(3)式から算出することができる。
【0106】
なお、以下では、基本座標系S0、ディスペンサ座標系Sd、モバイル座標系Sm、顔座標系Sfを、顔座標系Sfd、S0座標系、Sd座標系、Sm座標系、Sf座標系、Sfd座標系とそれぞれ表記することがある。
【0107】
以上のように構成された実施の形態1に係る点鼻システム1における動作について説明する。
【0108】
図4は、実施の形態1に係る点鼻システム1の動作例を示すフローチャートである。同図の左側の破線枠は主に点鼻支援装置200のプロセッサ206が実行する処理フローを示す。同図の右側の破線枠は主に点鼻装置100のプロセッサ106が実行する処理フローを示す。
【0109】
まず、点鼻支援装置200の処理フローについて説明する。プロセッサ206は、点鼻装置100の使用者に対応する個別データがメモリ202にあるか否かを判定する(S101)。プロセッサ206は、個別データがないと判定した場合、メモリ202から汎用データを取得し(S102)、個別データがあると判定した場合、メモリ202から個別データを取得する(S103)。さらに、取得した個汎用データまたは別データの目標値を目標角度と決定する(S104)。
【0110】
さらに、プロセッサ206は、Sd座標系の傾き角度(αd、βd、γd)の測定要求を、無線部208を介して点鼻装置100に送信し(S105)し、加速度センサ207によりSm座標系の傾き角度(αm、βm、γm)を測定する(S106)。Sm座標系の傾き角度は、カメラ210の鉛直方向に対する傾き角度であり、第1角度情報としてメモリ202に一時的に保存される。さらに、プロセッサ206は、点鼻装置100を鼻にあてがった使用者の顔画像をカメラ210から取得する(S107)。顔画像は、例えば、プロセッサ206が、点鼻支援装置200をカメラ210による撮像モードに設定し、使用者を誘導することにより取得される。撮像される。顔画像は、例えば、使用者の顔を異なるアングルから撮像した複数枚の静止画を含む動画としての映像である。さらに、プロセッサ206は、顔画像から使用者の顔を認識し(S108)、認識した顔からSf座標系の傾き角度(αf、βf、γf)を算出する(S109)。例えば、プロセッサ206は、複数の静止画を含む顔画像を立体解析して3次元画像に変換する。プロセッサ206は、3次元画像中の両目の瞳の三次元座標と、唇の中心位置の座標とを検出する。さらに、プロセッサ206は、両目の瞳を結ぶ線分の中点と唇の中心とを結ぶ直線を、使用者の顔の姿勢を示す基準線として求める。3次元画像の座標はSm座標系であることから、3次元画像中の基準線の傾き角度が、顔の傾き角度(αf、βf、γf)である。
【0111】
また、プロセッサ206は、ステップS105の測定要求の応答として、点鼻装置100から無線部208を介して、Sd座標系の角度(αd、βd、γd)を取得する(S110)。Sd座標系の角度(αd、βd、γd)は、点鼻装置100の鉛直方向に対する傾き角度を示す第2角度情報である。
【0112】
さらに、プロセッサ206は、使用者の顔の姿勢を示す基準線と点鼻装置100の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出する(S111)。より詳しくは、プロセッサ206は、ステップS106でカメラ210の鉛直方向に対する傾き角度(αm、βm、γm)を第1角度情報として検出し、ステップS110で点鼻装置100の鉛直方向に対する傾き角度(αd、βd、γd)を示す第2角度情報を点鼻装置100から取得し、カメラ210により撮像された映像および第1角度情報を解析することによって前記使用者の顔の姿勢を示す基準線の映像に対する傾き角度(αf、βf、γf)を第3角度情報として検出し、前記第2角度情報および前記第3角度情報に基づいて前記相対角度(α、β、γ)を算出する。より具体的には、プロセッサ206は、Sd座標系の点鼻装置100の傾き角度(αd、βd、γd)と、Sf座標系の顔の傾き角度(αf、βf、γf)とから、顔座標系Sfdの傾き角度(α、β、γ)を相対角度として算出する。
【0113】
さらに、プロセッサ206は、算出した現在の相対角度が許容範囲内か否かを判定し、つまり、算出した相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否か判定し、判定結果を適否情報として点鼻装置100に送信する(S112)。乖離度が許容範囲内であれば、例えば、点鼻装置100から吐出される液滴の大部分が嗅部に届くことを意味する。
【0114】
プロセッサ206は、相対角度が許容範囲内であると判定したとき、点鼻装置100から動作状態を受信し(S114)、使用者に動作状態を通知する(S115)。
【0115】
一方、プロセッサ206は、相対角度が許容範囲内でないと判定したとき、判定結果を示すガイダンスを使用者に通知し(S113)、ステップS105に戻る。
【0116】
次に、点鼻装置100の処理フローについて説明する。点鼻装置100のプロセッサ106は、アイドル状態(S131)において、電源投入操作によりウェイクアップし(S132)する。
【0117】
その後、プロセッサ106は、無線部208が点鼻支援装置200から加速度センサ107への測定要求、つまり、Sd座標系の傾き角度(αd、βd、γd)の測定要求を受信したか否かを判定する(S133)。無線部208が測定要求を受信したとき(S121)、加速度センサ107はSd座標系の傾き角度(αd、βd、γd)を測定(S134)し、測定した傾き角度を点鼻装置100に送信する(S122)。
【0118】
さらに、プロセッサ106は、無線部208が適否情報を受信したか否かを判定する(S135)。無線部208が適否情報を受信したとき(S123)、適否情報が点鼻可を示すか否か、つまり、現在の相対角度が許容範囲か否かを判定する(S136)。プロセッサ106は、点鼻可でないと判定したとき、ステップS133に戻る。
【0119】
点鼻可であると判定したとき、プロセッサ106は、自動モードか否かを判定し(S137)、自動モードであると判定した場合、使用者に点鼻開始を通知し(S138)、吐出部104による点鼻動作を行い(S141)、点鼻動作完了後に点鼻終了を使用者に通知する(S142)。
【0120】
また、プロセッサ106は、自動モードでないと判定したとき、使用者に点鼻可能状態であることを通知し(S139)、使用者の点鼻開始を指示する操作を待って(S140)、操作があればステップS138に進む。
【0121】
また、プロセッサ106は、ステップS137からS142の処理において、点鼻装置100の動作状態を、無線部108を介して点鼻支援装置200に送信する。動作状態は、例えば点鼻開始、点鼻動作中、点鼻終了等の状態を示す。点鼻支援装置200は、このような動作状態の内容を使用者に通知する。
【0122】
なお、
図4において、ステップS106を第1の処理、ステップS107からS109を第2の処理、ステップS110を第3の処理と呼ぶと、第1から第3の処理の実行順序は、この順番でなくてもよい。つまり、プロセッサ206は、第1から第3の処理のうち少なくとも2つの処理を並列に実行してもよいし、異なる順番で実行してもよい。並列実行は、例えば、プロセッサ106が複数のプロセッサコアを含む場合に容易に実現可能である。
【0123】
以上説明してきたように実施の形態1に係る点鼻装置100によれば、次の効果を奏する。
【0124】
上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0125】
また、他の装置から無線部を介して適否情報を取得するので、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0126】
さらに、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0127】
また、吐出液量をピコリットルオーダーの細かい精度で制御することができ、適量の投与を容易にすることができる。
【0128】
さらに、使用者による点鼻装置の適切な使用を支援することができる。例えば、適否情報が適切であることを示す場合は、使用者の点鼻開始操作を促し、適否情報が適切でないことを示す場合は、使用者の顔に対する点鼻装置の角度調整を促すことができる。
【0129】
また、適切な現在の前記相対角度を維持している時間の逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、点鼻することができる。
【0130】
実施の形態1に係る点鼻支援装置200によれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位への適量の点鼻を支援することができる。
【0131】
また,上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻するように点鼻装置を制御することができ、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0132】
さらに、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0133】
また、個別データによって使用者の鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現するとともに、汎用データによっても同様の効果を奏することを可能にする。
【0134】
さらに、使用者が既に所有しているモバイル装置を点鼻支援装置200として利用可能であり、使用者のコスト負担を抑制することができる。
【0135】
また、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位に適量の点鼻をすることを容易に実現できる。
【0136】
実施の形態1に係る点鼻システム1によれば、通知により上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0137】
また、映像の解析によって前記相対角度を算出でき、加速度センサを備えなくてもよく、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0138】
さらに、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0139】
また、前記点鼻支援装置は、スマートフォンなどのモバイル装置をベースに構成可能である。また、前記点鼻支援装置は、無線通信機能を有するカメラ装置置をベースに構成可能である。
【0140】
さらに、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0141】
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1における加速度センサ107、207を備えない構成例について説明する。
【0142】
図5は、実施の形態2に係る点鼻システム1の構成例を示すブロック図である。同図の点鼻システム1は、
図1Aと比較して、点鼻装置100内の加速度センサ107が削除された点と、点鼻支援装置200内の加速度センサ207が削除された点と、プロセッサ106および206の処理内容が異なっている点とが異なっている。以下では同じ点については説明の重複を避けて、異なる点を中心に説明する。
【0143】
プロセッサ106は、加速度センサ107の検出結果としての傾き角度を、無線部108を介して点鼻装置100に送信しない点が異なっている。
【0144】
プロセッサ206は、加速度センサ107および108からの傾き角度が取得できない。そこで、本実施の形態におけるプロセッサ206は、カメラ210により撮像された映像を3次元画像に変換し、3原画像を解析することよって、使用者の顔の姿勢を示す基準線と点鼻装置100の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出する処理が追加されている。
【0145】
次に、実施の形態2の点鼻システム1における動作例について説明する。
【0146】
図6は、実施の形態2に係る点鼻システムの動作例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、
図4と比較して、ステップS105、S106、S121、S122、S133、S134が削除された点と、ステップS109~S111の代わりにステップS210およびS211を備える点が異なっている。
【0147】
ステップS108においてプロセッサ206は、カメラ210から得られた複数の静止画を含む顔画像を立体解析して3次元画像に変換し、使用者の顔の姿勢を示す基準線を検出しているものとする。
【0148】
ステップS210においてプロセッサ206は、3次元画像中の点鼻装置100を認識し、点鼻装置100の稜線を検出する。プロセッサ206は、稜線を、点鼻装置100の姿勢を示す基準線とする。ここで、3次元画像から検出された、点鼻装置100の姿勢を示す基準線は、使用者の顔の姿勢を示す基準線と同じモバイル座標系Smに属している。
【0149】
ステップS211においてプロセッサ206は、点鼻装置100の姿勢を示す基準線と使用者の顔の姿勢を示す基準線との相対角度を算出する。
【0150】
図6中の上記以外のステップは、
図4とほぼ同じである。
【0151】
なお、
図6のステップS107における「顔画像」は、点鼻装置100を鼻にあてがった使用者の顔だけでなく、点鼻装置100をも含む画像をいう。
【0152】
また、
図6においてステップS108、および、ステップS210の実行順序は、この順番でなくてもよい。プロセッサ206は、ステップS107の完了後に、ステップS108およびステップS210を並列に実行してもよいし、異なる順番で実行してもよい。並列実行は、例えば、プロセッサ206が複数のプロセッサコアを含む場合に容易に実現可能である。
【0153】
実施の形態2では、加速度センサ107および207を用いないで、カメラ210から得られた顔画像を3次元解析することによって相対角度を求める。この相対角度の精度は、顔画像の精度に依存する。例えば、顔画像が異なるアングルから撮像した複数の静止画を含む場合、プロセッサ206は、精度良く解析可能である。
【0154】
以上説明してきたように実施の形態2に係る点鼻装置100等によれば、映像の解析によって前記相対角度を算出でき、加速度センサを備えなくてもよく、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0155】
(実施の形態3)
実施の形態3では、無線機能を有するカメラデバイスのハードウェアをベースとして構成された点鼻支援装置200を備える点鼻システム1の構成例について説明する。
【0156】
図7は、実施の形態3に係る点鼻システム1の構成例を示すブロック図である。同図の点鼻システム1は、
図1Aと比較して、点鼻支援装置200が、無線機能を有するカメラデバイスのハードウェアをベースとして構成されている点と、相対角度の算出および適否情報の生成を点鼻支援装置200の代わりに点鼻装置100が行う点とが異なっている。以下では同じ点については説明の重複を避けて、異なる点を中心に説明する。
【0157】
点鼻支援装置200は、無線機能を有するカメラデバイスのハードウェアをベースとして構成されている。それゆえ、プロセッサ206は画像処理用であり、相対角度の算出等の処理を行わない。
【0158】
点鼻装置100は、実施の形態1のプロセッサ206が実行していた相対角度の算出等の処理を実行する。
【0159】
図8は、実施の形態3に係る点鼻システム1の動作例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、
図4と比較して、主に点鼻装置100と点鼻支援装置200とのステップの分担割合が大きく異なっている。すなわち、点鼻支援装置200が行っていたステッ133、S134、S107以外のステップを、点鼻装置100が実行するように変更されている。また、ステップS301が追加されている。重複説明を避けるため、
図8と
図6とで同じ処理内容のステップには同じステップ番号が付与されている。
【0160】
なお、
図8において、ステップS134、および、ステップS107の実行順序は、この順番でなくてもよい。例えば、プロセッサ206は、ステップS134およびステップS107を並列に実行してもよいし、異なる順番で実行してもよい。並列実行は、例えば、プロセッサ206が複数のプロセッサコアを含む場合に容易に実現可能である。
【0161】
このように、実施の形態3に係る点鼻システム1の点鼻支援装置200は、撮像した顔画像を100に送信する機能を有していればよいので、無線機能付きのカメラをベースに構成可能である。点鼻支援装置200は、例えば、監視カメラ、Webカメラ等のカメラデバイスをベースとすることができる。
【0162】
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態3における加速度センサ107、207を備えない構成例について説明する。
【0163】
図9は、実施の形態4に係る点鼻システム1の構成例を示すブロック図である。同図の点鼻システム1は、
図7と比較して、点鼻装置100内の加速度センサ107が削除された点と、点鼻支援装置200内の加速度センサ207が削除された点と、プロセッサ106および206の処理内容が異なっている点とが異なっている。以下では同じ点については説明の重複を避けて、異なる点を中心に説明する。
【0164】
プロセッサ106は、加速度センサ107の検出結果としての傾き角度を、無線部108を介して点鼻装置100に送信しない点が異なっている。
【0165】
プロセッサ206は、加速度センサ107および108からの傾き角度が取得できない。そこで、本実施の形態におけるプロセッサ206は、カメラ210により撮像された映像を3次元画像に変換し、3原画像を解析することよって、使用者の顔の姿勢を示す基準線と点鼻装置100の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出する処理が追加されている。
【0166】
次に、実施の形態4の点鼻システム1における動作例について説明する。
【0167】
図10は、実施の形態4に係る点鼻システムの動作例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、
図8と比較して、点鼻支援装置200で処理されていたステップ133、107以外のステップを、点鼻装置100が分担するように変更されている。重複説明を避けるため、
図10と
図8とで同じ処理内容のステップには同じステップ番号が付与されている。
【0168】
なお、
図10のステップS107ではカメラ210によって顔画像を撮像し、ステップS107aでは当該顔画像を無線通信により取得する。ここでいう顔画像は、点鼻装置100を鼻にあてがった使用者の顔だけでなく、点鼻装置100をも含む画像をいう。
【0169】
また、
図10においてステップS108、および、ステップS210の実行順序は、この順番でなくてもよい。プロセッサ106は、ステップS107aの完了後に、ステップS108およびステップS210を並列に実行してもよいし、異なる順番で実行してもよい。並列実行は、例えば、プロセッサ106が複数のプロセッサコアを含む場合に容易に実現可能である。
【0170】
以上説明してきたように実施の形態4に係る点鼻装置100等によれば、映像の解析によって前記相対角度を算出でき、加速度センサを備えなくてもよく、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0171】
(実施の形態5)
実施の形態5の点鼻装置100は、実施の形態1の点鼻装置100および点鼻支援装置200の両者の機能を併せ持つ構成例について説明する。
【0172】
図11Aは、実施の形態5に係る点鼻装置の構成例を示すブロック図である。また、
図11Bは、実施の形態5に係る点鼻装置の外観例を示すブロック図である。
【0173】
図11Aの点鼻装置100は、
図1Aの点鼻装置100と比べて、カメラ110が追加されている点と、プロセッサ106がプロセッサ206の処理も実行する点とが異なる。
図11Bの点鼻装置100は、
図1Bと比べて、カメラ110付きのアームが点鼻装置100本体の下方に追加されている点が異なっている。以下異なる点を中心に説明する。
【0174】
カメラ110付きのアームは、例えば点鼻装置100本体に収納可能であってもよいし、着脱可能であってもよい。
【0175】
図12は、実施の形態5に係る点鼻装置の動作例を示すフローチャートである。
図12は、
図8と比べて、ステップS301、S123が削除された点と、
図10においてプロセッサ206が行っていたステップS107を、プロセッサ106が実行する点とが異なっている。
図12と
図8とで同じ処理内容のステップには同じステップ番号が付与されている。
【0176】
なお、プロセッサ106は、
図12のステップS106およびステップS134の一方を実行し、他方を省略してもよい。というのは、実施の形態5ではモバイル座標系Smとディスペンサ座標系Sdとは同じ座標系であるので、モバイル座標系Smの傾き角度(α
m、β
m、γ
m)とディスペンサ座標系Sdの傾き角度(α
d、β
d、γ
d)とは同じになるからである。したがって、プロセッサ106は、実施の形態5ではそもそもモバイル座標系Smを扱わなくてもよい。あるいは、プロセッサ106は、モバイル座標系Smとディスペンサ座標系Sdの2つの座標系を同じものとみなして実施の形態1~4の処理を流用することができる。
【0177】
また、
図12においてステップS107~ステップS109の処理と、ステップS134の処理との実行順序は、この順番でなくてもよい。プロセッサ106は、ステップS107~ステップS109の処理、および、ステップS134の処理を並列に実行してもよいし、逆の順番で実行してもよい。並列実行は、例えば、プロセッサ206が複数のプロセッサコアを含む場合に容易に実現可能である。
【0178】
以上説明してきたように実施の形態5に係る点鼻装置100によれば、点鼻装置100単体で、実施の形態1~4と同じ効果を奏することができる。
【0179】
(実施の形態6)
実施の形態6では、実施の形態5における加速度センサ107を備えない構成例について説明する。
【0180】
図13は、実施の形態6に係る点鼻装置100の構成例を示すブロック図である。同図の点鼻装置100は、
図12と比較して、点鼻装置100内の加速度センサ107が削除された点、プロセッサ106の処理内容が異なっている点とが異なっている。
【0181】
次に、実施の形態4の点鼻システム1における動作例について説明する。
【0182】
図14は、実施の形態6に係る点鼻システムの動作例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、
図10と比較して、ステップS301、S123が削除された点と、
図10においてプロセッサ206が行っていたステップS107を、プロセッサ106が実行する点とが異なっている。
図12と
図10とで同じ処理内容のステップには同じステップ番号が付与されている。
【0183】
なお、
図14のステップS501における「顔画像」は、点鼻装置100を鼻にあてがった使用者の顔だけでなく、点鼻装置100をも含む画像をいう。
【0184】
また、
図14においてステップS108、および、ステップS109の実行順序は、この順番でなくてもよい。プロセッサ106は、ステップS107の完了後に、ステップS108およびステップS109を並列に実行してもよいし、異なる順番で実行してもよい。並列実行は、例えば、プロセッサ106が複数のプロセッサコアを含む場合に容易に実現可能である。
【0185】
以上説明してきたように実施の形態6に係る点鼻装置100によれば、点鼻装置100単体で、映像の解析によって前記相対角度を算出でき、加速度センサを備えなくてもよく、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0186】
(実施の形態7)
実施の形態7では、実施の形態1~4に対して、さらに、サーバ装置とネットワークルーターと接続可能な点鼻システム1の構成例について説明する。
【0187】
図15は、実施の形態7に係る点鼻システムの構成例を示すブロック図である。同図の点鼻システム1は、点鼻装置100、点鼻支援装置200、ネットワークルーター300およびサーバ装置400を備える。
【0188】
点鼻装置100および点鼻支援装置200は、実施の形態1~4の何れかの点鼻装置100および点鼻支援装置200と同じでよい。
【0189】
ネットワークルーター300は、点鼻装置100および点鼻支援装置200と、サーバ装置400との間で通信文を中継する。
【0190】
サーバ装置400は、点鼻支援装置200または点鼻装置100から、顔画像、傾き角度を示す情報、相対角度をしめす情報を受信し、データベース401に蓄積する。蓄積されたデータを統計処理し、個別データおよび汎用データを補正し、より正確にする。
【0191】
なお、サーバ装置400は、必要に応じて相対角度の算出と、適正情報の生成とを実施してもよい。
【0192】
(実施の形態8)
実施の形態8では、実施の形態7の変形例として、スマートフォン用の無線基地局を介してサーバ装置400に接続可能な点鼻システム1の構成例について説明する。
【0193】
図16は、実施の形態8に係る点鼻システムの構成例を示すブロック図である。同図は、
図15と比べて、ネットワークルーター300の代わりに無線基地局301を有する点が異なっている。この差異により、点鼻支援装置200は無線基地局301を介してサーバ装置400に接続可能である。実施の形態8に係る点鼻システム1の動作は、実施の形態7と同様である。
【0194】
以上説明してきたように実施の形態1~8に係る点鼻装置は、鼻腔内に液滴を吐出する吐出部と、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度が点鼻に適しているか否かを示す適否情報を取得し、前記適否情報に従って前記吐出部の吐出動作を制御する制御部と、を備える。
【0195】
これによれば、上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0196】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、無線通信する無線部を備え、前記取得部は、他の装置から前記無線部を介して前記適否情報を取得してもよい。
【0197】
これによれば、他の装置から無線部を介して適否情報を取得するので、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0198】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、前記点鼻装置の鉛直方向に対する傾き角度を検出する加速度センサを備え、前記無線部は、前記加速度センサで検出された前記傾き角度を前記他の装置に送信してもよい。
【0199】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0200】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像するカメラを備え、前記制御部は、前記カメラにより撮像された映像を解析することよって前記相対角度を算出し、当該相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲にあるか否かを判定し、判定結果を前記適否情報として取得してもよい。
【0201】
これによれば、映像の解析によって前記相対角度を算出でき、加速度センサを備えなくてもよく、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0202】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、前記点鼻装置の鉛直方向に対する傾き角度を検出する加速度センサを備え、前記制御部は、前記傾き角度に基づいて前記カメラにより撮像された映像を解析することよって前記相対角度を算出してもよい。
【0203】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0204】
例えば、前記点鼻装置は、前記吐出部は、圧電方式またはサーマル方式により数ピコリットルから数10ピコリットルの液滴を吐出してもよい。
【0205】
これによれば、吐出液量をピコリットルオーダーの細かい精度で制御することができ、適量の投与を容易にすることができる。
【0206】
例えば、前記点鼻装置は、さらに、光、音および振動の少なくとも1つを用いて、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する通知部を備えてもよい。
【0207】
これによれば、使用者による点鼻装置の適切な使用を支援することができる。例えば、適否情報が適切であることを示す場合は、使用者の点鼻開始操作を促し、適否情報が適切でないことを示す場合は、使用者の顔に対する点鼻装置の角度調整を促すことができる。
【0208】
例えば、前記制御装置は、前記適否情報が適切であることを示すとき、前記使用者からの点鼻開始を指示する操作を待つことなしに前記吐出部に吐出動作を開始させてもよい。
【0209】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間の逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、点鼻することができる。
【0210】
また、実施の形態1~8に係る点鼻支援装置は、使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置であって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された映像に基づいて、前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成するプロセッサと、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する通知部と、を備える。
【0211】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位への適量の点鼻を支援することができる。
【0212】
例えば、前記点鼻支援装置は、さらに、前記適否情報を前記点鼻装置に送信する通信部を備えてもよい。
【0213】
これによれば,上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻するように点鼻装置を制御することができ、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0214】
例えば、前記点鼻支援装置は、さらに、前記カメラの鉛直方向に対する傾き角度を第1角度情報として検出する加速度センサを備え、前記通信部は、前記点鼻装置の鉛直方向に対する傾き角度を示す第2角度情報を前記点鼻装置から受信し、前記プロセッサは、前記カメラにより撮像された映像および前記第1角度情報を解析することによって前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻支援装置の姿勢を示す基準線との傾き角度を第3角度情報として検出し、前記第2角度情報および前記第3角度情報に基づいて前記相対角度を算出してもよい。
【0215】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0216】
例えば、前記点鼻支援装置は、さらに、個々の使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の基準線との相対角度を目標として示す個別データと、複数な使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との相対角度を平均的な目標として示す汎用データとを予め記憶するメモリを備え、前記プロセッサは、前記個別データと前記汎用データとから一方を選択し、選択結果から前記目標角度を決定してもよい。
【0217】
これによれば、個別データによって使用者の鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現するとともに、汎用データによっても同様の効果を奏することを可能にする。
【0218】
例えば、前記点鼻支援装置は、モバイル装置であってもよい。
【0219】
これによれば、使用者が既に所有しているモバイル装置を点鼻支援装置200として利用可能であり、使用者のコスト負担を抑制することができる。
【0220】
例えば、前記点鼻支援装置200は、さらに、光、音および振動の少なくとも1つを用いて、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する通知部を備えてもよい。
【0221】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位に適量の点鼻をすることを容易に実現できる。
【0222】
また、実施の形態1~8に係る点鼻システムは、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置と、使用者による前記点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置とを備え、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像した映像を取得する取得部を有し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記映像に基づいて前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成するプロセッサを有し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記適否情報の内容を使用者に通知する通知部を有する。
【0223】
これによれば、通知により上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0224】
例えば、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方は、前記点鼻装置が使用者の鼻にあてがわれた使用者の顔を撮像した映像を生成するカメラを有し、前記取得部は、前記カメラから前記映像を取得し、前記プロセッサは、前記映像から使用者の顔および前記点鼻装置を認識し、認識結果から使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線とを特定し、特定結果から前記相対角度を算出してもよい。
【0225】
これによれば、映像の解析によって前記相対角度を算出でき、加速度センサを備えなくてもよく、回路規模および回路コストの増加を抑制できる。
【0226】
例えば、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の少なくとも一方は、鉛直方向に対する傾き角度を検出する加速度センサを有し、前記プロセッサは、前記加速度センサで検出された傾き角度を用いて前記相対角度を算出してもよい。
【0227】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0228】
例えば、前記点鼻支援装置は、前記取得部と前記プロセッサと前記カメラとを備えてもよい。
【0229】
これによれば、前記点鼻支援装置は、スマートフォンなどのモバイル装置をベースに構成可能である。また、前記点鼻支援装置は、無線通信機能を有するカメラ装置置をベースに構成可能である。
【0230】
例えば、前記点鼻装置は、前記加速度センサとしての第1加速度センサを備え、前記点鼻支援装置は、前記取得部と前記プロセッサと、前記カメラと、前記加速度センサとしての第2加速度センサと、を備えてもよい。
【0231】
これによれば、前記相対角度の精度をより高めることができ,特定部位への適量の溶液投与を平易かつ簡便にすることができる。
【0232】
実施の形態1~8に係る点鼻方法は、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置の点鼻方法であって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度に対する点鼻の適否を示す適否情報を取得し、前記適否情報に従って吐出動作を制御する。
【0233】
これによれば、上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0234】
実施の形態1~8に係る点鼻支援方法は、使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置における支援方法であって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔をカメラにより撮像し、前記カメラにより撮像された映像に基づいて、前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、前記適否情報の内容を前記使用者に通知する。
【0235】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位への適量の点鼻を支援することができる。
【0236】
実施の形態1~8に係る点鼻システムの動作方法は、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置と、使用者による前記点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置とを備える点鼻システムの動作方法であって、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像した映像を取得し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記映像に基づいて前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記適否情報の内容を使用者に通知する。
【0237】
これによれば、通知により上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0238】
実施の形態1~8に係る点鼻装置のプログラムは、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置に備えられるコンピュータに実行されるプログラムであって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度に対する点鼻の適否を示す適否情報を取得し、前記適否情報に従って吐出動作を制御することを実行させる。
【0239】
これによれば、上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0240】
実施の形態1~8に係る点鼻支援装置のプログラムは、使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置に備えられるコンピュータに実行されるプログラムであって、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔をカメラにより撮像し、前記カメラにより撮像された映像に基づいて、前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、前記適否情報の内容を前記使用者に通知することを実行させる。
【0241】
これによれば、適切な現在の前記相対角度を維持している時間を逃すことなく、つまり、現在の適切な前記相対角度がずれないうちに、特定部位への適量の点鼻を支援することができる。
【0242】
実施の形態1~8に係る点鼻システムのプログラムは、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置と、使用者による前記点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置とを備える点鼻システムに備えられるコンピュータに実行されるプログラムであって、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記点鼻装置を鼻にあてがった使用者の顔を撮像した映像を取得し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記映像に基づいて前記使用者の顔の姿勢を示す基準線と前記点鼻装置の姿勢を示す基準線との現在の相対角度を算出し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記相対角度と目標角度との乖離度が許容範囲に有るか否かを示す適否情報を生成し、前記点鼻支援装置および前記点鼻装置の一方が、前記適否情報の内容を使用者に通知することを実行させる。
【0243】
これによれば、通知により上記の相対角度が適切でないときに点鼻せずに適切なときに点鼻することを可能にし、鼻腔内の特定部位に無駄なく適量の溶液を投与することを平易かつ簡便に実現することができる。
【0244】
以上、本発明の実施の形態に係る点鼻装置および点鼻支援装置等について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0245】
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0246】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、例えば、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムを含む。この場合、ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0247】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0248】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。
【0249】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしても良い。
【0250】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。
【0251】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしても良い。
【0252】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を、上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【0253】
さらに、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0254】
本発明は、鼻腔内に液滴を吐出する点鼻装置、および、使用者による点鼻装置の使用を支援する点鼻支援装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0255】
1 点鼻システム
100 点鼻装置
101、201 UI部
102、202 メモリ
103 吐出制御部
104 吐出部
105 ノーズピース
106、206 プロセッサ
107、207 加速度センサ
108、208 無線部
109、209 電池
110、210 カメラ
121、122 LED
123 操作ボタン
124 電源ボタン
125 電源LED
200 点鼻支援装置
211 表示部
212 入力部
213 出力部
300 ネットワークルーター
301 無線基地局
400 サーバ装置
401 データベース
R1 嗅部