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  • 特許-導電性ペースト、硬化物及び半導体装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】導電性ペースト、硬化物及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240814BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20240814BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20240814BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20240814BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240814BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20240814BHJP
   C09J 177/00 20060101ALI20240814BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01L21/52 E
C09J4/02
C09J7/35
C09J9/02
C09J11/06
C09J163/00
C09J177/00
H01B1/22 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2024524650
(86)(22)【出願日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2023045858
【審査請求日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2022211780
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】日下 慶一
(72)【発明者】
【氏名】西 孝行
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/034234(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/111778(WO,A1)
【文献】特開2022-111634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60-21/603
C09J 4/02
C09J 7/35
C09J 9/02
C09J 11/06
C09J 163/00
C09J 177/00
H01B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、導電性粒子(C)と、を含み、
前記熱可塑性樹脂(B)がポリアミド及びポリオレフィンからなる群から選択される一種又は二種以上を含む、導電性ペースト。
【請求項2】
炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、導電性粒子(C)と、を含み、
前記熱可塑性樹脂(B)の融点が80℃以上220℃以下である、導電性ペースト。
【請求項3】
炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、導電性粒子(C)と、を含み、
下記の<方法>により測定される25℃におけるダイシェア強度が23N/2mm×2mm以上である、導電性ペースト。
<方法>
前記導電性ペーストを銀メッキされた銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、金コーティングされた長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得る。得られた評価用試験片を用いて、銀メッキされた銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、25℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得る。
【請求項4】
炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、導電性粒子(C)と、を含み、
下記の<方法>により測定される260℃におけるダイシェア強度が16N/2mm×2mm以上である、導電性ペースト。
<方法>
前記導電性ペーストを銀メッキされた銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、金コーティングされた長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得る。得られた評価用試験片を用いて、銀メッキされた銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、260℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得る。
【請求項5】
炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、導電性粒子(C)と、を含み、
下記の<方法>により測定される25℃における熱伝導率が30W/mK以上である、導電性ペースト。
<方法>
前記導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で120分加熱し、長さ10mm×幅10mm×高さ1mmの硬化物サンプルを得る。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、25℃での厚み方向の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定する。
【請求項6】
請求項2~5のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される一種又は二種以上を含む、導電性ペースト。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記熱可塑性樹脂(B)がナイロン12、ナイロン11及びナイロン6からなる群から選択される一種又は二種以上を含む、導電性ペースト。
【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記熱可塑性樹脂(B)がポリエチレンを含む、導電性ペースト。
【請求項9】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記化合物(A)が(メタ)アクリルモノマーを含む、導電性ペースト。
【請求項10】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記化合物(A)がヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーを含む、導電性ペースト。
【請求項11】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記化合物(A)がオキシアルキレン骨格を有する(メタ)アクリルモノマーを含む、導電性ペースト。
【請求項12】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記化合物(A)が単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)及び多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)からなる群から選択される一種又は二種以上を含む、導電性ペースト。
【請求項13】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
さらにエポキシ樹脂を含む、導電性ペースト。
【請求項14】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
さらにカップリング剤を含む、導電性ペースト。
【請求項15】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストであって、
ダイアタッチ用である、導電性ペースト。
【請求項16】
請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストの硬化物。
【請求項17】
基材と、請求項1~のいずれかに記載の導電性ペーストの硬化物である接着層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、を備える半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペースト、硬化物及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレーム等の基板上にダイアタッチペーストと称される導電性ペーストを用いて半導体素子を固定した形態の半導体装置は広く用いられている。
例えば、リードフレームにダイアタッチペーストを用いてIC、LSIなどの半導体素子を固定した後、リードフレームのリード部と半導体素子上の電極とを細線ワイヤ(ボンディングワイヤ)により接続し、次いでこれらをパッケージに収納することにより、半導体製品が得られる。
【0003】
ダイアタッチペーストには、半導体素子を固定するための密着性(接合強度)が求められる。これを達成するため、ペーストに配合される各成分については従来様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1には、(A)一次粒子の個数平均粒子径が40nm~400nmの銀微粒子と、(B)溶剤と、(C)示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃~170℃の範囲にある熱可塑性樹脂粒子とを含む、導電性組成物が記載されており、導電性組成物中の熱可塑性樹脂粒子が銀微粒子の焼結時に変形し、導電性組成物の硬化時の収縮に追随することによって、ボイドの発生を抑制し、接合強度を維持できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/063931号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の通り、導電性ペーストには密着性の向上が求められている。
【0006】
本発明は、密着性が向上した導電性ペーストを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記の課題を解決した。
[1]
炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、導電性粒子(C)と、を含む導電性ペースト。
[2]
上記[1]に記載の導電性ペーストにおいて、
前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される一種又は二種以上を含む、導電性ペースト。
[3]
上記[1]又は[2]に記載の導電性ペーストにおいて、
前記熱可塑性樹脂(B)がポリアミド及びポリオレフィンからなる群から選択される一種又は二種以上を含む、導電性ペースト。
[4]
上記[1]~[3]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記熱可塑性樹脂(B)がナイロン12、ナイロン11及びナイロン6からなる群から選択される一種又は二種以上を含む、導電性ペースト。
[5]
上記[1]~[4]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記熱可塑性樹脂(B)がポリエチレンを含む、導電性ペースト。
[6]
上記[1]~[5]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記熱可塑性樹脂(B)の融点が80℃以上220℃以下である、導電性ペースト。
[7]
上記[1]~[6]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記化合物(A)が(メタ)アクリルモノマーを含む、導電性ペースト。
[8]
上記[1]~[7]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記化合物(A)がヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーを含む、導電性ペースト。
[9]
上記[1]~[8]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記化合物(A)がオキシアルキレン骨格を有する(メタ)アクリルモノマーを含む、導電性ペースト。
[10]
上記[1]~[9]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
前記化合物(A)が単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)及び多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)からなる群から選択される一種又は二種以上を含む、導電性ペースト。
[11]
上記[1]~[10]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
さらにエポキシ樹脂を含む、導電性ペースト。
[12]
上記[1]~[11]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
さらにカップリング剤を含む、導電性ペースト。
[13]
上記[1]~[12]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
下記の<方法>により測定される25℃におけるダイシェア強度が23N/2mm×2mm以上である、導電性ペースト。
<方法>
前記導電性ペーストを銀メッキされた銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、金コーティングされた長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得る。得られた評価用試験片を用いて、銀メッキされた銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、25℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得る。
[14]
上記[1]~[13]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
下記の<方法>により測定される260℃におけるダイシェア強度が16N/2mm×2mm以上である、導電性ペースト。
<方法>
前記導電性ペーストを銀メッキされた銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、金コーティングされた長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得る。得られた評価用試験片を用いて、銀メッキされた銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、260℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得る。
[15]
上記[1]~[14]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
下記の<方法>により測定される25℃における熱伝導率が30W/mK以上である、導電性ペースト。
<方法>
前記導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で120分加熱し、長さ10mm×幅10mm×高さ1mmの硬化物サンプルを得る。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、25℃での厚み方向の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定する。
[16]
上記[1]~[15]のいずれかに記載の導電性ペーストであって、
ダイアタッチ用である、導電性ペースト。
[17]
上記[1]~[16]のいずれかに記載の導電性ペーストの硬化物。
[18]
基材と、上記[1]~[16]のいずれかに記載の導電性ペーストの硬化物である接着層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、を備える半導体装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、密着性が向上した導電性ペーストが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
【0011】
本実施形態における導電性ペースト中の成分のうち、導電性ペーストを硬化させる際に揮発する溶剤等の成分のことを揮発性成分と呼ぶ。一方、導電性ペーストを硬化させる際に硬化物に残存する成分のことを不揮発性成分と呼ぶ。また、不揮発性成分のうち、導電性粒子(C)以外の成分のことをワニス成分と呼ぶ。
【0012】
本実施形態における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0013】
[導電性ペースト]
本実施形態に係る導電性ペーストは、炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、導電性粒子(C)と、を含有する。
【0014】
本実施形態によれば、密着性が向上した導電性ペーストを提供できる。
【0015】
導電性ペーストの分野においては、密着性の向上のみならず、半導体装置内で発生した熱を半導体装置外へ逃がすことも求められている。すなわち、導電性ペーストには良好な熱伝導性を有しながら、密着性を向上させることが求められている。本実施形態によれば、良好な熱伝導性を有しながら、密着性が向上した導電性ペーストを提供することもできる。
【0016】
本実施形態に係る導電性ペーストにより良好な熱伝導性を有しながら密着性が向上するメカニズムは明らかではないが、本発明者らは以下のメカニズムを推測している。
まず一般論として、導電性粒子を含有する導電性ペーストを加熱すると、樹脂成分が硬化するのと同時に収縮し、これにより導電性粒子が凝集する。そうすると、導電性粒子が互いに接触し、互いに接触した導電性粒子により熱の移動経路が形成される。この際、導電性粒子が適切に凝集しないと、熱の移動経路が適切に形成されず、熱伝導性が損なわれてしまう。そのため、樹脂成分が硬化する際に導電性粒子が適切に凝集するようにペーストのレオロジーを調整することが求められる。
この点に関して、本実施形態に係る導電性ペーストを硬化する際においては、ペースト中に含有される熱可塑性樹脂(B)が加熱により軟化し、ペースト全体のレオロジーが、導電性粒子が熱の移動経路を形成するのにちょうど良い範囲に調整されるものと考えられる。このようにして熱の移動経路が適切に形成され、良好な熱伝導性が得られるものと推測される。
また、本実施形態に係る導電性ペーストは炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)を含むのが特徴である。化合物(A)は導電性ペーストから形成される硬化物の柔軟性の向上に寄与すると考えられ、これにより基板への密着性が向上すると推測される。
【0017】
<炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)>
本実施形態に係る導電性ペーストは炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)を含む。系内にラジカルが発生すると、化合物(A)の炭素‐炭素二重結合が開裂し、化合物(A)同士の反応や、化合物(A)と他成分の反応が進行する。
【0018】
本実施形態に係る化合物(A)は、好ましくは(メタ)アクリルモノマーを含む。(メタ)アクリルモノマーの種類は特に限定されず、(メタ)アクリル基を有するものであれば、特に制限なく用いることができる。
【0019】
本実施形態に係る化合物(A)は、好ましくはヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルモノマーを含む。
【0020】
本実施形態に係る化合物(A)は、オキシアルキレン骨格を有する(メタ)アクリルモノマーを含む。
【0021】
(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリル基を分子内に一つのみ有する化合物、すなわち、単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)と、(メタ)アクリル基を分子内に二つ以上有する化合物、すなわち、多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)とに大別される。
【0022】
本実施形態に係る化合物(A)は、ペーストの粘度を低減させる、ペーストの硬化物に柔軟性を付与する等の観点から、好ましくは単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)及び多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)からなる群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくは単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)を含む。
【0023】
ヒドロキシ基を有する単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)は、例えば1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレートから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、好ましくは1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートを含み、より好ましくは1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートを含む。
【0024】
オキシアルキレン骨格を有する単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)は、例えば
エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド変性(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエチレンオキシド変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、好ましくはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含み、さらに好ましくはポリプロピレングリコールモノメタクリレートを含む。
【0025】
ヒドロキシ基又はオキシアルキレン骨格を有さない単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)は、例えばエチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-ラウリルアクリレート、n-ラウリルメタクリレート、n-トリデシルメタクリレート、n-ステアリルアクリレート、n-ステアリルメタクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物、グリシジルメタクリレート及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルから成る群から選択される一種又は二種以上を含む。
【0026】
ヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)は、例えばN,N'-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミドを含む。
【0027】
オキシアルキレン骨格を有する多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)は、例えばトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含む。
【0028】
ヒドロキシ基又はオキシアルキレン骨格を有さない多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)は、例えば4,4'-イソプロピリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン、1,4-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ブタン、1,6-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキサン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、N,N'-ジ(メタ)アクリロイルエチレンジアミン及び1,4-ビス((メタ)アクリロイル)ピペラジンから成る群から選択される一種又は二種以上を含む。
【0029】
本実施形態に係る導電性ペーストのワニス成分の合計量を100質量部としたとき、化合物(A)の含有量は、導電性ペーストの粘度を調整する観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは19質量部以上であり、そして、好ましくは90質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは21質量部以下である。
【0030】
<熱可塑性樹脂(B)>
本実施形態に係る導電性ペーストは熱可塑性樹脂(B)を含む。本実施形態に係る導電性ペーストは熱可塑性樹脂(B)を含むのが特徴であり、導電性ペーストが加熱により硬化する際に、この熱可塑性樹脂(B)が軟化し、導電性ペースト全体のレオロジー調整に寄与しているものと推測される。
【0031】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくはポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン及びポリエチレングリコールからなる群から選択される一種又は二種以上を含む。
【0032】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくはポリアミドを含み、より好ましくはナイロンを含み、さらに好ましくはナイロン12、ナイロン11及びナイロン6からなる群から選択される一種又は二種以上を含む。
【0033】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくはポリオレフィンを含み、より好ましくはポリエチレンを含む。
【0034】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくはポリアミド及びポリオレフィンから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくはポリアミド及びポリエチレンから成る群から選択される一種又は二種以上を含む。
【0035】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくはナイロン及びポリオレフィンから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくはナイロン及びポリエチレンから成る群から選択される一種又は二種以上を含む。
【0036】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくはナイロン12、ナイロン11、ナイロン6及びポリオレフィンから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくはナイロン12、ナイロン11、ナイロン6及びポリエチレンから成る群から選択される一種又は二種以上を含む。
【0037】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)の融点は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは200℃以下、さらに好ましくは190℃以下、さらに好ましくは180℃以下、さらに好ましくは170℃以下、さらに好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下、さらに好ましくは140℃以下であり、そして、好ましくは80℃以上220℃以下、より好ましくは90℃以上210℃以下、さらに好ましくは100℃以上200℃以下、さらに好ましくは110℃以上190℃以下、さらに好ましくは120℃以上180℃以下、さらに好ましくは130℃以上170℃以下、さらに好ましくは130℃以上160℃以下、さらに好ましくは130℃以上150℃以下、さらに好ましくは130℃以上140℃以下である。
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)の融点は、例えば示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。DSCにより測定する場合、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値を融点とする。
【0038】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)の形状は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、粒子状又は繊維状であることが好ましい。
【0039】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)の形状が粒子状である場合、その体積基準の粒度分布における50%累積時の粒径D50は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下であり、そして、好ましくは1μm以上500μm以下、より好ましくは1μm以上200μm以下、さらに好ましくは1μm以上100μm以下、さらに好ましくは2μm以上50μm以下、さらに好ましくは5μm以上20μm以下である。
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)の形状が粒子状である場合、そのD50は、例えば、顕微鏡写真を用いて粒径を測定する顕微鏡写真法やコールターカウンター法により決定できる。より具体的には、これらの方法により得られる体積基準のメジアン径を粒径D50とすることができる。
【0040】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(B)の形状が繊維状である場合、その平均繊維径は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下であり、そして、好ましくは1μm以上100μm以下、より好ましくは2μm以上50μm以下、さらに好ましくは5μm以上20μm以下である。
そして、その平均繊維長は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは70μm以上、さらに好ましくは100μm以上であり、そして、好ましくは10000μm以下、より好ましくは5000μm以下、さらに好ましくは2000μm以下、さらに好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは500μm以下であり、そして、好ましくは50μm以上10000μm以下、より好ましくは50μm以上5000μm以下、さらに好ましくは50μm以上2000μm以下、さらに好ましくは70μm以上1000μm以下、さらに好ましくは100μm以上500μm以下である。
平均繊維径及び平均繊維長は、バルメットオートメーション製Valmet FS5などの繊維画像分析計を用いて測定することができる。
【0041】
本実施形態に係る導電性ペーストのワニス成分の合計量を100質量部としたとき、熱可塑性樹脂(B)の含有量は、導電性ペーストが加熱硬化する際のレオロジーを適切に調整するという観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは17質量部以上であり、そして、好ましくは90質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下であり、そして、好ましくは1質量部以上90質量部以下、より好ましくは5質量部以上70質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは15質量部以上40質量部以下、さらに好ましくは17質量部以上30質量部以下である。
【0042】
<導電性粒子(C)>
本実施形態に係る導電性ペーストは導電性粒子(C)を含む。導電性粒子(C)の種類は特に限定されず、導電性を示すものであれば特に制限なく用いることができる。
【0043】
導電性粒子(C)は特に限定されないが、例えば銀粒子、金粒子及び銅粒子などの金属粒子;銀コート粒子などの金属コート粒子を含む。
銀粒子などの金属粒子の市販品は、例えば、徳力本店株式会社、福田金属箔粉工業社、DOWAハイテック社等より入手することができる。また、銀コート粒子などの金属コート粒子の市販品は、例えば、三菱マテリアル社、積水化学工業社、株式会社山王等により入手することができる。
【0044】
導電性粒子(C)の形状は特に限定されないが、例えば、球状、楕球状、フレーク状及び鱗片状等が挙げられる。
導電性粒子(C)の分散性を向上させる観点からは、導電性粒子(C)の形状は球状であることが好ましく、導電性を向上させる観点からは、導電性粒子(C)の形状はフレーク状であることが好ましい。また、接着層の導電性と導電性粒子(C)の分散性のバランスを向上するという観点からは、導電性粒子(C)が球状粒子とフレーク状粒子の双方の形状の粒子を含んでいることが好ましい。
【0045】
導電性粒子(C)の体積基準の粒度分布における50%累積時の粒径D50は、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上であり、そして、好ましくは5μm以下、より好ましくは4.5μm以下、さらに好ましくは4μm以下である。
導電性粒子(C)のD50は、例えばシスメックス株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA(登録商標)-3000を用い、粒子画像計測を行うことにより決定できる。より具体的には、上記装置を用いて得られる体積基準のメジアン径を粒径D50とすることができる。
【0046】
導電性ペースト中の導電性粒子(C)の含有量は、導電性及び熱伝導性向上の観点から、導電性ペースト全体を100質量部としたときに、好ましくは50質量部以上、より好ましくは55質量部以上、さらに好ましくは60質量部以上、さらに好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは75質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上である。また、導電性ペーストの粘度を適切な範囲にするという観点からは、好ましくは99質量部以下、より好ましくは97質量部以下、さらに好ましくは95質量部以下、さらに好ましくは93質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。
【0047】
<その他の成分>
本実施形態に係る導電性ペーストは上記の成分以外にその他の成分を含んでもよい。以下、その他の成分について説明する。
【0048】
(エポキシ樹脂)
本実施形態に係る導電性ペーストは、導電性ペーストを適切に硬化させるという観点から、好ましくはエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂の種類は特に限定されず、分子内に1又は2以上のエポキシ基を有するものであればよい。
【0049】
分子内に1のみのエポキシ基を有する単官能エポキシ化合物は、例えばt-ブチルフェニルグリシジルエーテル、m,p-クレジルグリシジルエーテル及びフェニルグリシジルエーテルから成る群から選択される一種又は二種以上を含む。
【0050】
分子内に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物は、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物又はこれらの誘導体をエポキシ化したもの;水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオール又はこれらの誘導体をエポキシ化したもの;ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオール又はこれらの誘導体をエポキシ化したもの;トリメチロールプロパン骨格、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する化合物又はこれらの誘導体をエポキシ化したもの;及びフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂又はこれらの誘導体をエポキシ化したものから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、好ましくはトリメチロールプロパン骨格、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する化合物又はこれらの誘導体をエポキシ化したものから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくはトリメチロールプロパン骨格を有する化合物の誘導体をエポキシ化したものから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、さらに好ましくはトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルを含む。
【0051】
本実施形態に係る導電性ペーストがエポキシ樹脂を含む場合、本実施形態に係る導電性ペーストのワニス成分の合計量を100質量部としたときのエポキシ樹脂の含有量は、導電性ペーストを適切に硬化させるという観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上であり、そして、好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
【0052】
(硬化剤)
本実施形態に係る導電性ペーストは硬化剤を含んでもよい。硬化剤の種類は特に限定されず、エポキシ樹脂と反応して硬化するものであればよい。
【0053】
本実施形態に係る硬化剤は、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、フェノール-ビフェニルノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ポリビニルフェノール;トリフェニルメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF(ジヒドロキシジフェニルメタン)等のビスフェノール化合物;及びビフェノール等のビフェニレン骨格を有する化合物から成る群から選択される一種又は二種以上を含み、好ましくはビスフェノールA、ビスフェノールF(ジヒドロキシジフェニルメタン)等のビスフェノール化合物から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくはビスフェノールF(ジヒドロキシジフェニルメタン)を含む。
【0054】
本実施形態に係る導電性ペーストが硬化剤を含む場合、本実施形態に係る導電性ペーストのワニス成分の合計量を100質量部としたときの硬化剤の含有量は、導電性ペーストを適切に硬化させるという観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、そして、好ましくは90質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
【0055】
(硬化助剤)
本実施形態に係る導電性ペーストは硬化助剤を含んでもよい。硬化助剤の種類は特に限定されず、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進するものであればよい。
【0056】
本実施形態に係る硬化助剤は、例えば、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-1H-イミダゾール-4,5-ジメタノール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-メチルイミダゾリル-(1)]-エチル-s-トリアジン、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-メチルイミダゾリル-(1)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト及び1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイトから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、好ましくは2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-1H-イミダゾール-4,5-ジメタノール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくは2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールを含む。
【0057】
本実施形態に係る導電性ペーストが硬化助剤を含む場合、本実施形態に係る導電性ペーストのワニス成分の合計量を100質量部としたときの硬化助剤の含有量は、導電性ペーストを適切に硬化させるという観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.2質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
【0058】
(ラジカル重合開始剤)
本実施形態に係る導電性ペーストはラジカル重合開始剤を含んでもよい。ラジカル重合開始剤の種類は特に限定されず、系内にラジカルを発生されられるものであればよい。
【0059】
本実施形態に係るラジカル重合開始剤は、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ビス(1-フェニル-1-メチルエチル)ペルオキシド、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ-α-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-へキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-へキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート等のパーオキシエステルから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、好ましくはビス(1-フェニル-1-メチルエチル)ペルオキシド、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ-α-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-へキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイドから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくはジ-α-クミルパーオキサイドを含む。
【0060】
本実施形態に係る導電性ペーストがラジカル重合開始剤を含む場合、本実施形態に係る導電性ペーストのワニス成分の合計量を100質量部としたときのラジカル重合開始剤の含有量は、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下である。
【0061】
(カップリング剤)
本実施形態に係る導電性ペーストは、基板との密着性向上の観点から、好ましくはカップリング剤を含む。
【0062】
カップリング剤は特に限定されないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリルシラン;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリルシラン;メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリルシラン;N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどのアミノシラン;イソシアヌレートシラン;アルキルシラン;3-ウレイドプロピルトリアルコキシシランなどのウレイドシラン;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ポリスルフィドなどのメルカプトシラン;及び3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネートシランから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、好ましくは2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン;及びp-スチリルトリメトキシシランなどのスチリルシラン;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリルシランから成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくは3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランから成る群から選択される一種又は二種を含む。
【0063】
本実施形態に係る導電性ペーストがカップリング剤を含む場合、本実施形態に係る導電性ペーストのワニス成分の合計量を100質量部としたときのカップリング剤の含有量は、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上であり、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
【0064】
(溶剤)
本実施形態に係る導電性ペーストは溶剤を含んでもよい。溶剤の種類は特に限定されず、導電性ペーストを硬化させる際に揮発するものであればよい。
【0065】
溶剤は特に限定されないが、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルメトキシブタノール、α-ターピネオール、β-ターピネオール、へキシレングリコール、ベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、イゾパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはグリセリン等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、2-オクタノン、イソホロン(3、5、5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン)もしくはジイソブチルケトン(2、6-ジメチル-4-ヘプタノン)等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、メチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,2-ジアセトキシエタン、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルもしくはリン酸トリペンチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、1,2-ビス(2-ジエトキシ)エタンもしくは1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、エチレングリコール-モノ-2-エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル等のエーテル類;酢酸2-(2ブトキシエトキシ)エタン等のエステルエーテル類;2-(2-メトキシエトキシ)エタノール等のエーテルアルコール類;トルエン、キシレン、n-パラフィン、イソパラフィン、ドデシルベンゼン、テレピン油、ケロシンもしくは軽油等の炭化水素類;アセトニトリルもしくはプロピオニトリル等のニトリル類;アセトアミドもしくはN,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;低分子量の揮発性シリコンオイル、揮発性有機変成シリコンオイル等のシリコンオイル類から成る群から選択される一種又は二種以上を含み、より好ましくはテトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、1,2-ビス(2-ジエトキシ)エタンもしくは1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、エチレングリコール-モノ-2-エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル等のエーテル類から成る群から選択される一種又は二種以上を含み、さらに好ましくはエチレングリコール-モノ-2-エチルヘキシルエーテル及びトリプロピレングリコールモノn-ブチルエーテルから成る群から選択される一種又は二種を含む。
【0066】
本実施形態に係る導電性ペーストが溶剤を含む場合、導電性ペースト中の溶剤の含有量は設定したい粘度に応じて任意に設定することができるが、導電性ペーストの粘度を調整する観点から、例えば1質量部以上、例えば2質量部以上、例えば5質量部以上であり、そして、例えば90質量部以下、例えば70質量部以下、例えば50質量部以下である。
【0067】
導電性ペーストが含有するその他の成分としては、他にも、充填材、重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤、着色剤等の公知の成分を用いることができる。これらのその他の成分の含有量は、導電性ペーストに付与したい物性に応じ、任意に設定することができる。
【0068】
本実施形態に係る導電性ペーストは、上記した各成分を従来公知の方法で混合することにより製造することができる。
【0069】
<導電性ペーストの性質>
本実施形態に係る導電性ペーストは、下記の<方法>により測定される25℃におけるダイシェア強度が、好ましくは23N/2mm×2mm以上、より好ましくは30N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは40N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは50N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは54N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは65N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは90N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは100N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは104N/2mm×2mm以上であり、そして、例えば500N/2mm×2mm以下、例えば400N/2mm×2mm以下、例えば300N/2mm×2mm以下、例えば200N/2mm×2mm以下、例えば150N/2mm×2mm以下である。
<方法>
前記導電性ペーストを銀メッキされた銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、金コーティングされた長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得る。得られた評価用試験片を用いて、銀メッキされた銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、25℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得る。
【0070】
本実施形態に係る導電性ペーストは、下記の<方法>により測定される260℃におけるダイシェア強度が、好ましくは16N/2mm×2mm以上、より好ましくは20N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは24N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは28N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは32N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは40N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは44N/2mm×2mm以上であり、そして、例えば200N/2mm×2mm以下、例えば100N/2mm×2mm以下、例えば70N/2mm×2mm以下である。
<方法>
前記導電性ペーストを銀メッキされた銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、金コーティングされた長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得る。得られた評価用試験片を用いて、銀メッキされた銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、260℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得る。
【0071】
本実施形態に係る導電性ペーストは、下記の<方法>により測定される25℃におけるダイシェア強度が、好ましくは20N/2mm×2mm以上、より好ましくは25N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは27N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは30N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは35N/2mm×2mm以上であり、そして、例えば200N/2mm×2mm以下、例えば100N/2mm×2mm以下、例えば50N/2mm×2mm以下である。
<方法>
前記導電性ペーストを銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得る。得られた評価用試験片を用いて、銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、25℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得る。
【0072】
本実施形態に係る導電性ペーストは、下記の<方法>により測定される260℃におけるダイシェア強度が、好ましくは10N/2mm×2mm以上、より好ましくは12N/2mm×2mm以上、さらに好ましくは15N/2mm×2mm以上であり、そして、例えば100N/2mm×2mm以下、例えば50N/2mm×2mm以下、例えば25N/2mm×2mm以下である。
<方法>
前記導電性ペーストを銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得る。得られた評価用試験片を用いて、銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、260℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得る。
【0073】
本実施形態に係る導電性ペーストは、下記の<方法>により測定される25℃における動的貯蔵弾性率が、例えば1GPa以上、例えば2GPa以上、例えば4GPa以上、例えば6GPa以上、例えば6.3GPa以上であり、そして、好ましくは50GPa以下、より好ましくは30GPa以下、さらに好ましくは20GPa以下、さらに好ましくは16GPa以下、さらに好ましくは12GPa以下、さらに好ましくは10GPa以下、さらに好ましくは9GPa以下、さらに好ましくは7GPa以下である。
<方法>
前記導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で120分加熱し、長さ20mm×幅4mm×高さ0.3mmの硬化物サンプルを得る。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、25℃において、引張モード、周波数10Hzの条件で動的貯蔵弾性率を測定する。
【0074】
本実施形態に係る導電性ペーストは、下記の<方法>により測定される250℃における動的貯蔵弾性率が、例えば0.1GPa以上、例えば0.5GPa以上、例えば1.0GPa以上であり、そして、好ましくは20GPa以下、より好ましくは10GPa以下、さらに好ましくは6GPa以下、さらに好ましくは4.5GPa以下、さらに好ましくは3.5GPa以下、さらに好ましくは2.5GPa以下、さらに好ましくは1.5GPa以下である。
<方法>
前記導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で120分加熱し、長さ20mm×幅4mm×高さ0.3mmの硬化物サンプルを得る。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、250℃において、引張モード、周波数10Hzの条件で動的貯蔵弾性率を測定する。
【0075】
本実施形態に係る導電性ペーストは、下記の<方法>により測定される25℃における熱伝導率が、好ましくは30W/mK以上、より好ましくは40W/mK以上、さらに好ましくは45W/mK以上、さらに好ましくは50W/mK以上、さらに好ましくは55W/mK以上、さらに好ましくは60W/mK以上であり、そして、例えば500W/mK以下、例えば200W/mK以下、例えば100W/mK以下である。
<方法>
前記導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で120分加熱し、長さ10mm×幅10mm×高さ1mmの硬化物サンプルを得る。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、25℃での厚み方向の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定する。
【0076】
本実施形態に係る導電性ペーストの用途は特に限定されないが、本実施形態に係る導電性ペーストは良好な熱伝導性を有しながら、密着性が向上しているため、半導体装置において基板などの支持体の上に半導体素子を接着するダイアタッチ用として用いることが好ましい。
【0077】
[硬化物]
本実施形態に係る硬化物は、上記の導電性ペーストの硬化物である。
【0078】
本実施形態の硬化物を得るための硬化の様式は特に限定されないが、例えば、熱処理により導電性ペースト中の成分を硬化させることにより得ることができる。
【0079】
導電性ペーストの熱処理温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは175℃以上、さらに好ましくは200℃以上であり、そして、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下、さらに好ましくは300℃以下である。
【0080】
[半導体装置]
本実施形態に係る半導体装置は、基材と、上記の導電性ペーストの硬化物である接着層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、を備える。
【0081】
本実施形態の半導体装置の一例について図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置100を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置100は、基材30と、導電性ペーストの硬化物である接着層10を介して基材30上に搭載された半導体素子20と、を備えている。
【0082】
半導体素子20と基材30は、たとえばボンディングワイヤ40等を介して電気的に接続される。また、半導体素子20は、例えば封止樹脂50により封止される。
【0083】
接着層10の膜厚は、特に限定されないが、例えば5μm以上、例えば10μm以上、例えば20μm以上であり、そして、例えば100μm以下、例えば70μm以下である。
【0084】
図1に示す例において、基材30は、ダイパッド32とアウターリード34から構成されるリードフレームである。この場合、半導体素子20は、ダイパッド32上にダイアタッチ層10を介して搭載されることとなる。また、半導体素子20は、例えばボンディングワイヤ40を介してアウターリード34へ電気的に接続される。リードフレームである基材30は、たとえば42アロイ、Cuフレームにより構成される。
【0085】
基材30は、有機基板や、セラミック基板であってもよい。有機基板としては、たとえばエポキシ樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂等を適用した当業者公知の基板が好ましい。また、基材30の表面は、ダイアタッチペーストとの接着性をよくするために、銀などにより被膜されていてもよい。
【0086】
半導体素子20の平面形状は、とくに限定されないが、たとえば矩形である。本実施形態においては、例えば0.5mm×0.5mm以上15mm×15mm以下のチップサイズを有する矩形状の半導体素子20を採用することができる。
【0087】
半導体装置100は、例えば以下の手順により製造することができる。
【0088】
まず、上記の導電性ペーストをダイパッド32(基材30)上に塗布し、塗布した導電ペーストの上に半導体素子20を搭載する。導電性ペーストを塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、ディスペンシング、印刷法、及びインクジェット法等を挙げることができる。
【0089】
次いで、導電性ペーストを熱処理し、導電性ペーストを硬化させる。これにより、ダイパッド32(基材30)上に接着層10が形成されることとなる。熱処理の温度条件は、導電性ペーストの組成などに応じ、適宜設定することができる。
【0090】
次いで、半導体素子20とアウターリード34(基材30)を、ボンディングワイヤ40を用いて電気的に接続し、半導体素子20を封止樹脂50により封止することにより、半導体装置100を得ることができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例
【0092】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
[導電性ペーストの調製]
表1に示す配合に従い各成分を均一に混合することにより導電性ペーストを調製した。表1における各成分の含有量の単位は、質量部である。
【0094】
表1に示す成分の詳細は以下のとおりである。
【0095】
化合物(A)
・(メタ)アクリルモノマー1(化合物名:1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、製品名:CHDMMA、入手先:三菱ケミカル株式会社)
・(メタ)アクリルモノマー2(化合物名:ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、製品名:ブレンマーPP-800、入手先:日油株式会社)
【0096】
熱可塑性樹脂(B)
・熱可塑性樹脂1(材質:ナイロン12、融点:165℃、D50:5μm、製品名:東レナイロン微粒子SP-500、入手先:東レ株式会社)
・熱可塑性樹脂2(材質:ポリエチレン、融点:136℃、D50:10μm、製品名:微粒子ミペロンPM-200、入手先:三井化学ファイン株式会社)
・熱可塑性樹脂3(材質:ポリオレフィン、融点:135℃、繊維長:100μm、繊維径:10μm、製品名:ケミベストFDSS-5、入手先:三井化学ファイン株式会社)
【0097】
導電性粒子(C)
・銀粒子1(D50:0.7μm、製品名:AG-DSB-114、入手先:DOWAハイテック株式会社)
・銀粒子2(D50:7.6μm、製品名:HKD-12、入手先:福田金属箔紛株式会社)
・銀コート粒子1(D50:10μm、入手先:三菱マテリアル株式会社)
【0098】
その他の成分
・エポキシ樹脂1(化合物名:トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、入手先:ナガセケムテックス株式会社)
・硬化剤1(化合物名:ビスフェノールF、入手先:DIC株式会社)
・硬化助剤1(化合物名:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、製品名:2PHZ-PW、入手先:四国化成工業株式会社)
・ラジカル重合開始剤1(化合物名:ジ-α-クミルパーオキサイド、製品名:パーカドックスBC、入手先:化薬アクゾ株式会社)
・カップリング剤1(化合物名:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、製品名:KBM-503P、入手先:信越化学工業株式会社)
・カップリング剤2(化合物名:3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、製品名:KBM-403E、入手先:信越化学工業株式会社)
・溶剤1(化合物名:トリプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、入手先:日本乳化剤株式会社)
・溶剤2(化合物名:エチレングリコール-モノ-2-エチルヘキシルエーテル、製品名:2-エチルヘキシルグリコール、入手先:日本乳化剤株式会社)
【0099】
[熱伝導性]
上記の方法により得られた導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で120分加熱し、長さ10mm×幅10mm×高さ1mmの硬化物サンプルを得た。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、25℃での厚み方向の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定した。結果を表1に示す。
【0100】
[ダイシェア強度]
<銀メッキ基板/金コートチップ>
上記の方法により得られた導電性ペーストを銀メッキされた銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、金コーティングされた長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得た。得られた評価用試験片を用いて、銀メッキされた銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、25℃及び260℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得た。結果を表1に示す。
【0101】
<銅基板/シリコンチップ>
上記の方法により得られた導電性ペーストを銅基板上に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、長さ2mm×幅2mm×高さ0.35mmのシリコンチップをマウントし、30℃から200℃まで60分かけて昇温し、200℃で120分加熱処理し、前記導電性ペーストを硬化させて硬化物とし、評価用試験片を得た。得られた評価用試験片を用いて、銅基板と前記硬化物とのダイシェア強度を、25℃及び260℃において、負荷速度500μm/秒の条件で得た。結果を表1に示す。
【0102】
[弾性率]
上記の方法により得られた導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で120分加熱し、長さ20mm×幅4mm×高さ0.3mmの硬化物サンプルを得た。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、25℃及び250℃において、引張モード、周波数10Hzの条件で動的貯蔵弾性率を測定した。結果を表1に示す
【0103】
[MSL]
上記の方法により得られた導電性ペーストを銅フレーム表面に硬化後の厚みが20μmになるように塗布し、塗布した導電性ペーストの上に長さ5mm×幅5mm×高さ0.2mmのシリコンチップをマウントした。次いで、窒素雰囲気下のオーブン内で、30℃から2.83℃/分の速度で200℃まで昇温し、その後200℃で120分熱処理し、評価用試験片を得た。
上記の方法により得られた評価用試験片をエポキシ系の封止材で封止し、175℃のオーブンで4時間熱処理しポストモールドキュアを行い、長さ14mm、幅14mm、厚み0.8mmのパッケージ構造物を得た。
上記の方法により得られたパッケージ構造物を、温度60℃、相対湿度60%の条件にした恒温恒湿度室に40時間置き、次いで、260℃のリフロー炉に67cm/分の速度で3度通し、MSL(Moisture Sensitivity Level)試験済みパッケージ構造物を得た。
上記の方法により得られた熱試験済みパッケージ構造物における剥離の状態を観察し、下記の評価基準で評価を行った。結果を表1に示す。
OK:導電性ペースト層と銅フレームの間に剥離が無かった。
NG:導電性ペースト層と銅フレームの間に剥離が有った。
【0104】
【表1】
【0105】
表1に示す通り、実施例ではダイシェア強度が向上していた。このことから、本実施形態の導電性ペーストによれば密着性を向上できることがわかる。
【0106】
また、表1に示す通り、実施例では、熱伝導率が良好な値を維持しながらダイシェア強度が向上していた。このことから、本実施形態の導電性ペーストによれば良好な熱伝導性を維持しながら密着性を向上できることがわかる。
【0107】
この出願は、2022年12月28日に出願された日本出願特願2022-211780号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0108】
10 接着層
20 半導体素子
30 基材
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ボンディングワイヤ
50 封止樹脂
100 半導体装置
【要約】
炭素‐炭素二重結合を有する化合物(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、導電性粒子(C)と、を含有する導電性ペースト。
図1