(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】水平フローティングタービンシステム
(51)【国際特許分類】
F03B 17/06 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
F03B17/06
(21)【出願番号】P 2024092603
(22)【出願日】2024-06-06
【審査請求日】2024-06-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721010663
【氏名又は名称】株式会社NEXT CREATE
(72)【発明者】
【氏名】片桐 秀樹
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072009(JP,A)
【文献】特開2014-009667(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第2938870(DE,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0035710(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1418011(KR,B1)
【文献】英国特許出願公開第2489241(GB,A)
【文献】中国特許出願公開第104100450(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 3/14
F03B 13/26
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に水中で浮遊させるために水の密度未満の密度で製造されたタービンとブレードを設置するためのケーシングとケーシングカバーで構成された水平フローティングタービンシステムで、前記ブレードが出たり入ったりするためのスリットが前記タービンに開いており、スリットの上部には前記ブレードがスリットから外れないためのブレードストッパーが前記タービンの外周部に取付けられていて、回転運動の軸となる軸受けの穴が前記タービン中心の上部と下部に開いていて、前記タービンのスリットを出入りして水流の運動エネルギーを前記タービンに伝えるための前記ブレードがスリットの中に格納されており、前記ブレードは上下の両端に梯子の足のような細い突起状のブレードガイドが付いていて、前記ブレードが格納されている前記タービンは、前記ケーシングの軸心が前記タービンの軸受穴に挿入されており、前記ケーシング内部の底には前記ブレードを前記タービンから引出すためのブレード引出レールと、前記ブレードを格納するための格納レールがあり、前記ケーシングの蓋である前記ケーシングカバー底面にもブレード引出レールと格納レールがあり、水中に浮遊する前記タービンと前記ブレードは前記ブレードが水流に押されることにより回転運動が生じ、前記ブレードが引出しレールと格納レールにより出入りすることで回転運動を妨げることなく回転し続けることができ、水中において水流エネルギーを僅かしか損なわず回転運動を起こすことができる水平フローティングタービンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の水平フローティングタービンシステムであって、前記ケーシングと前記ケーシングカバーは前記ブレードが前記タービンのスリットを出たり引込んだりすることで1方向の流体エネルギーによっても前記タービンが回転運動させることができる構造を持つ水平フローティングタービンシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の水平フローティングタービンシステムであって、前記ケーシングに水流の逆流を防ぎ、流れを導くためのタービンカバーが配置されている水平フローティングタービンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、水中でタービンが浮遊している状況で、水の運動エネルギーにより水平方向に横回転させることができる水平フローティングタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のタービンは流体を羽根車に当て流体のエネルギーを回転運動に変換して動力を得る原動機である。水力タービンは水の位置エネルギーと運動エネルギー両方を利用する反動タービンと、運動エネルギーを利用する衝動タービンがある。運動エネルギーのみを利用するぺルトン水車はおわん形の羽根に水を吹き当てて回転させるが、その羽根車が水中にある場合は回転運動に反する水圧が存在するために回転運動に変換することは困難である。マイクロ発電等で使用されている水中タービンは衝動タービンの一種であるが羽根車の1点に強い水流を噴射することにより強制的に回転運動に変換するものである。水中で流体エネルギーを殆ど損なわないで、水の運動エネルギーのみで回転運動に変換できるタービンは存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
本発明に類似、関連するような装置、器具などについては記載すべき先行技術文献情報は見つけることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水中に存在する羽根車を回転させることができれば、水流の運動エネルギーが存在する送水管や配水管などに接続して羽根車を回転させることができる。
しかし、管の中の物体に流体が衝突した時、物体の形状にも因るが、一般的には物体と流体の相対速度の2乗に比例する抗力を物体が受け、その抗力により流体のエネルギーは減少する。
管の中の運動エネルギーに反する抗力が強い物体が存在すると水流の運動エネルギーを減少させてしまうため、水流の運動エネルギーを殆ど減少させない水中タービンは無い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、水中で水流の運動エネルギーを殆ど減少させることなく回転運動に変換できる水平フローティングタービンである。水中の物体は密度により沈むか、浮くかのどちらかである。先ず、抗力を生じさせないためには水流の速度が減速しなければ抗力が存在しないと考えたとき、容器Aから容器Bまでの間を管で繋ぎ、管の中を毎分1tの水が流れる状況を作り、1tの水の移動時間を計測する。続いて容器Aと容器Bの間に水平フローティングタービンシステムを接続し、水平フローティングタービンシステムの中に呼び水を満たした状況で1tの水の移動時間を計測した時、その時間差が数秒であった場合、水平フローティングタービンシステムは抗力を殆ど生じさせないと考えることができる。エネルギー保存則の観点から考えた場合水流の運動エネルギーが仕事をすることで運動エネルギーが減少するが、一度タービンの回転運動が始まると水流の速さと回転速度が近くなり、コマと同じように慣性が生まれブレードを押す力の相対速度が0に近くなるため抗力が小さくなり水流の運動エネルギーが殆ど減少しない。水が静止している状態から流れ始め、ブレードを押し始めてから等速の水流速度に到達するまでの間だけ抗力が生じていますが、水流の速度が等速になった後は前述の理由により抗力は0に近くなります。
図3のケーシング容器の中に水を満たした状況で、水中で浮遊状態になるようにその密度を計算して1.0g/
立方センチメートル未満で製造された
図1のフローティングタービンと
図2のブレードは、ケーシングの水入口から水出口まで水流が生じるとブレードが水に押され動き始める。動き始めたブレードはその
図2aのブレードガイドがケーシングとケーシングカバーのブレード引出レールに導かれタービンのスリットから引出される。引出されたブレードは水出口近くにあるケーシングとケーシングカバーのブレード格納レールによりタービンのスリットの中に押込まれる。ブレードが引出されてから格納されるまでの間、水流に押されタービンを回転させる運動が生じる。この時、ケーシング内部は水で満たされているため水入口から流入する水の量は、ケーシングの中を流れる水路の断面積に近い管断面積で流入させるのが望ましい。このことは、水流のエネルギーが大きい状況において、抵抗が小さい場合に成立すると考えられるからである。また、
図3cのタービンカバーによりタービンの回転方向に逆行する水の流れを阻害することができるため、タービンの回転運動を作ることができる。浮遊している物体が水流に流されている時、その間の相対速度は0であるため抗力が生じない状況と、水平フローティングタービンシステム内部での状況は同様の状況を作ることができる。しかし、水流は常に整流とは限らないため、回転する物体が軸ブレを起こす可能性もある。軸ブレが生じると水流エネルギーを妨げることとなるため、水平に回転させることが重要となるが、先ず、ケーシングを水平に設置することでタービンと軸心の接触を少なくし、精密コマの様にタービンの密度を均一に製造すること、軸心と軸受がコマの様に接触面を小さくすることと、浮力を小さくすることで軸心と軸受けの間の圧力が小さくなり、回転運動を妨げる抵抗が小さくなるために、軸を安定させることができる。このタービンやブレードを水の密度未満で製造することは3Dプリンターにより容易に製造することができるようになった。また、本発明は流体エネルギーを利用するものであって、その流体は水に限定するものではない。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように、ケーシングの中で浮遊しているタービンに回転運動を生じさせることができ、水流エネルギーを殆ど弱めることの無い、水平フローティングタービンシステムであるため、一般的な磁石を用いることで容器内の運動エネルギーを外部に伝える技術を用いて、発電機を稼働させる水力発電システムとなる。浄水場の送水管に設置することで浄水場が発電所になることが出来る。また、平地において水を循環させて発電する水力発電システムを提供することができる。また、風力発電に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は本発明水平フローティングタービンシステムの上面図である。
【
図2】
図2は本発明水平フローティングタービンシステムの斜視図である。
【
図3】
図3は本発明水平フローティングタービンシステムの正面図である。
【
図4】
図4は本発明フローティングタービンの上方斜視図である。
【
図5】
図5は本発明フローティングタービンの側面図である。
【
図6】
図6は本発明フローティングタービンの上面図である。
【
図7】
図7は本発明フローティングタービンの底面図である。
【
図8】
図8は本発明フローティングタービンの下方斜視図である。
【
図19】
図19は本発明ケーシングカバーの上方斜視図である。
【
図20】
図20は本発明ケーシングカバーの下方斜視図である。
【
図22】
図22は本発明ケーシングにタービンとブレードを装着した上面図である。
【
図23】
図23は本発明ケーシングにタービンとブレードを装着した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の水平フローティングタービンシステムの実施するための形態を図を参考にして詳細に説明する。
図9ブレードを
図4フローティングタービンの
図41aスリットに格納した状態で
図16ケーシングの
図163f軸心をフローティングタービン
図81c軸受下に挿入する。
図16のケーシングカバーを填め、
図163a水入口に水を流し込むためのパイプを取付け、
図163b水出口に排水のためのパイプを取付ける。そこに水を流し込むとタービンが回転運動を始めることになるのである。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明は工業的に量産することが可能であるため、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0010】
1. 1a. 1b. 1c. 1d. 1e. 1f
2. 2a. 2b
3. 3a. 3b. 3c. 3d. 3e. 3f. 3g
4. 4a. 4b. 4c. 4d
【要約】
【課題】
管の中を流れている水の運動エネルギーを利用して回転運動に変換するタービンは、流体の運動エネルギーを減少させてしまうことから利用されないが、本発明は流体の運動エネルギーを殆ど減少させないタービンであって水資源を有効に活用して水力発電に繋げることができる水平フローティングタービンシステムを提供する。
【解決手段】
水平フローティングタービンシステムは、水の運動エネルギーを妨げないために、ケーシング内部に設置されるタービンとブレードを水の密度より軽く製造することにより水に満たされたケーシング内部で浮遊させ、水の流れに乗らせることで、ブレードが
図14、
図20に記載されたブレード引出レールとブレード格納レールによって軸を中心に回転するタービンのスリットから出入りすることになり、回転運動に変換することが出来る。
【選択図】
図23