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特許7537660梁連結フランジ部材装着アルミ二ウム合金製柱部材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】梁連結フランジ部材装着アルミ二ウム合金製柱部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20240814BHJP
   B21C 23/00 20060101ALI20240814BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240814BHJP
   E04C 3/32 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
E04B1/24 M
B21C23/00 A
E04B1/58 508Z
E04C3/32
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019126511
(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公開番号】P2020073754
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-08-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-15
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】593184400
【氏名又は名称】エバリス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山脇 繁弘
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】有家 秀郎
【審判官】土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-201430(JP,A)
【文献】特許第5707593(JP,B2)
【文献】特開2013-67269(JP,A)
【文献】特開平9-150600(JP,A)
【文献】特開平10-205059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B1/24
E04B1/38-1/61
E04C3/00-3/46
B21C23/00-35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金造り建築構造の柱部材とフランジ部材の連結開口部の内周面に、連結時の圧入で頂部が潰れる突条が設けられ、前記突条の頂部と、連結部材の継手の外周面に押出成型で設けられた突条の頂部とが互いに潰し合い連結する連結技術による連結が行われる、構築物であって、アルミニウム合金造り建築構造の柱部材とフランジ部材により構成される柱梁接合構造のフランジ装着柱部材は、柱梁接合構造の柱部材となる前記柱部材の外周面に梁連結の開口部が断面に押出成型されたフランジ部材の外周面を装着して柱梁接合構造としたフランジ装着柱部材であり、前記柱部材の断面には外周面の異なる位置にフランジ部材の外周面が装着できる連結開口部が押出成型で設けられており、フランジ部材の断面には、柱部材の外周面から突き出して梁を接合する開口部と柱部材の外周面に連結して装着できる連結開口部が設けられており、柱梁接合構造となるフランジ装着柱部材を構成する柱部材とフランジ部材の連結開口部に跨って互いの外周面を接して連結する継手には、フランジ装着柱部材に、さらに柱部材を継足する継手部が設けられており、前記フランジ装着柱部材に前記連結部材の継手を介して、さらに柱部材を継足した、アルミニウム合金造り建築構造の柱梁接合構造での柱部材である、フランジ装着隅柱部材、フランジ装着側柱部材、及びフランジ装着中柱部材を備える、構築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金造り建築構造の主要構造材に関するものであり、押出成形加工による柱部材と梁部材の断面形状、および、構造材の連結継手、そして、梁を連結するためのフランジ部材を装着したアルミニウム合金製の柱に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金造り建築物の主要構造材である、アルミニウム合金製の柱に、梁を連結させるためのフランジ部材が装着されている例は今のところ見当たらない。アルミニウム合金押出成形加工による部材の連結技術としては、本出願人の提案に係る連結技術が公知である(特許文献1)。特許文献1の図26図26-1に示すように、継手17、継手24の中央部に設けられた凹形の溝に設けた山形の突起と、凹部の溝の連結接触面符号32を境にして、前記溝に設けられた山形の突起と被連結材の構造材の連結開口部の内周面に設けられた山形の凸部符号15が互いに潰し合い、すなわち圧潰による連結構造の先例がある。
【0003】
本発明における、アルミ二ウム合金造り建築物の主要構造材である柱において、梁を連結するフランジ部材を装着したアルミ二ウム合金製の先例は見当たらない。一方、鉄骨構造においては梁連結のためのフランジ部材を、鉄骨の柱部材にボルトと溶接で装着した例は多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5707593号公報(図4図10図18図19図21図25図26図26-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルミニウム合金造りの建築物や構築物での柱梁の接合には、溶融亜鉛めっき高力ボルトの摩擦接合方法がある。しかし、アルミ二ウム合金造りの特徴は、耐久性が他の材料より優れていることであり、主要構造材の連結部に鉄を使うことは、鉄の寿命が、アルミニウム合金造りの建築物や構築物の寿命となり、アルミニウム合金の優れた耐久性が失われる。
【0006】
本発明では、アルミニウムの特徴である耐久性を製品に活用することであり、アルミニウム合金造り建築物や構造物の主要な骨組み、及び骨組みの連結部においても全て同一のアルミニウム合金にする必要がある。柱、梁、継手の主要構造材は、アルミニウム合金を押出成形加工した長尺のアルミニウム資材であり、合理的な柱部材の切断や組み立てを行う作業工程の問題もある。
【0007】
また、図1のアルミニウム合金造り建築物の主要構造材である、アルミ二ウム合金製の隅柱、側柱には、柱に梁を連結する箇所が1本の柱に数箇所あり、その連結をボルトや溶接無に連結する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のボルトや溶接を使わないで、アルミニウム合金製の柱に梁を連結するには、柱部材に梁を連結するためのフレンジ部材を装着して一体化した柱構成部材を製作する必要がある。
【0009】
図1のアルミニウム合金造り建築物の構成要素としてのアルミ二ウム合金製の隅柱、側柱、中柱がある。それらの柱では、柱に装着して梁を連結するフランジ部材の位置が、それら柱ごとに柱の側面の異なる位置に装着される。決められた一つの柱部材に、隅柱、側柱、中柱ごとに適した柱外周面の位置に、フランジ部材を装着させなければならない課題の解決方法を以下に記す。
【0010】
本発明には、前記特許文献1に示されているように、連結部の外周面に設けた突起部と被連結部の内周面に設けられた突起部を、お互いに潰し合い連結する圧潰連結構造の技術が使われている。
【0011】
本発明では、図4の梁連結のフレンジ部材装着柱継ぎ足し部材を構成する柱部材符号20の断面形状は、図5に示すように長方形の断面形状であり、連結開口部が断面の上側に4個と下側に4個、合計8個の開口部が設けられている。符号19のフレンジ部材は、長方形の柱断面の短い一辺と同じ寸方の正方形であり、断面の四隅には柱部材と同じ形状の開口部が押出加工成型で設けられ、図11の継手部材を介して、フレンジ部材を柱部材に装着することで、図4のフレンジ部材装着柱継ぎ足し部材の構成と成っている。図5、符号20の柱部材の断面形状は、圧潰連結させる8個の開口部を設けたアルミニウム合金押出形材であり、符号19のフレンジ部材も柱形材の一辺の寸法と同じ長さの正方形であり、断面の四隅に開口部を4個設け、柱と同じアルミ二ウム合金による押出し形材であり、符号20の柱部材と符号19のフレンジ部材の断面形状には、同じ形状の開口部が形成され、開口部を形成する部材の肉厚も同じ厚さに押し出し成形する。
【0012】
図4のフレンジ部材装着柱継ぎ足し部材を構成する柱部材断面には8個の連結開口部が設けられており、それらの連結開口部の並列する2個のどれかと、断面正方形のフレンジ部材に設けられた開口部の内の並列した2個の開口部を、図11、符合14の継手を跨がして連結することにより、アルミニウム合金造り建築物の隅柱、側柱、中柱に適応する柱の構成部材である図3の符号22のフレンジ部材装着柱継ぎ足し部材が製作できる。ゆえに、図3では、符号22および異なる寸法に切断された柱部材を継ぎ足すことにより、一本のアルミニウム合金製柱として製品化される。
【発明の効果】
【0013】
図1のアルミニウム合金造り建築物の骨組み、主要構造材の連結は、[特許文献1]に記載の、連結部材の外周面に設けた突起と被連結部材の内周面に設けた突起を連結時にお互いに潰しながら押し込んで連結する構成を本発明に用いている。そのために、作業現場では、ハンマー等で、上から梁を叩いて組み立て、反対に梁を叩き上げて解体ができる。そのことは、部材のリサイクルや部材の再使用に有利となる。
【0014】
梁と柱の連結においてはボルトや溶接を使わないので、アルミニウム合金の耐久性、すなわち寿命が、アルミニウム合金造りの建築物や構造物の寿命として略正確に反映できる。
【0015】
建築物や構造物の寿命が永いということは、地震や風水害の多いわが国に必要な建築構造資材となり、環境にも社会にも有益になる。
【図面の簡単な説明】
【00016】
図1】本発明に係るアルミニウム合金造り建築物の骨組みの斜視図である。
図2図1の骨組みの斜視図での、柱梁接合構造部を備えた柱部材の隅柱、側柱、中柱を建設地の通り芯に配置した斜視図である。
図3】アルミニウム合金製の隅柱の構成が、柱部材20と隅柱用の梁接合構造部が設けられたフランジ装着柱部材22の二種類の部材を継足して隅柱となる部材の連結される前の斜視図である。
図3-1】図3の二種類の構成部材を継ぎ足し連結した隅柱の斜視図である。
図3-2】図3-1の隅柱の向きを変えた斜視図である。
図4図3および図7の隅柱、図8の側柱、図9の中柱の柱梁接合構造部としてのフランジ装着柱部材の部材構成は、図5の柱部材20の外周面に梁接合開口部のあるフランジ部材19の外周面を装着させるために、夫々の断面には互いに整合して連結できる連結開口部が押出成型されており、互いの開口部に跨って図11の継ぎ手により二部材が連結され装着される。更に柱部材20と継足連結するための図13の継手も装着されている隅柱用のフランジ装着柱部材22の斜視図である。
図5】アルミ二ウム合金造り建築構造のアルミ二ウム合金製柱部材20であると共に、図5-1、図5-2のフランジ部材を外周面に装着して柱梁接合構造部となるフランジ装着柱部材を構成する柱部材でもあり、断面にはフランジ部材19の連結開口部と同じ形状の開口部が押出成型により互いに整合して連結できる位置に配置された断面に成型されて、柱部材20の断面長手方向外周面の異なる位置にフランジ部材19の外周面を装着して、建築構造の隅柱、側柱、中柱の柱梁接合部となる三種類のフランジ装着柱部材を構成する柱部材20の断面図である。
図5-1】梁接合開口部が押出成型された、図5に掲載の柱部材と外周面を接して一体に継手で連結されてフランジ装着柱部材を構成するフランジ部材の断面図である。
図5-2】図5-1と同じ働きをするフランジ部材の断面図である。
図6図5の柱部材20に、図5-1と図5-2のフランジ部材を連結装着した隅柱用のフランジ装着柱部材の断面図である。
図7】柱部材20と隅柱用のフランジ装着柱部材を継足連結した隅柱の斜視図である。
図7-1】図7の隅柱の向きを変えた斜視図である。
図7-2】図7の隅柱の向きを変えた斜視図である。
図7-3】図7の隅柱の向きを変えた斜視図である。
図8】側柱の中間梁接合の側柱用フランジ装着柱部材を継ぎ足した側柱の斜視図である。
図8-1】図8の側柱の向きと異なる中間梁用のフランジ装着柱部材を継ぎ足した側柱の斜視図である。
図8-2】図8の側柱の向きと異なる中間梁用のフランジ装着柱部材を継ぎ足した側柱の斜視図である。
図8-3】図8の側柱の向きと異なる中間梁用のフランジ装着柱部材を継ぎ足した側柱の斜視図である。
図8-4】図8の側柱の向きと異なる中間梁用のフランジ装着柱部材を継ぎ足した側柱の斜視図である。
図9】中柱用のフランジ装着柱部材を継ぎ足した中柱の斜視図である。
図9-1】図9の中柱の向きを変えた斜視図である。
図10】柱に装着された梁接合開口部に梁が叩き込まれる前の立面図である。
図10-1】柱の梁接合開口部に梁が叩き込まれて連結した柱梁接合の立面図である。
図11】柱部材20とフランジ部材19の断面には互いに整合して連結できるように押出成型された開口部が形成されており、それらの開口部に跨って連結してフランジ装着柱部材を構成すると共に、柱部材20と連結するための突出た継手部が成型された継手の斜視図である。
図12】柱の最下部に使用されるフランジ装着柱部材を構成する柱部材とフランジ部材を連結して一体の構造部材とする継手の断面図である。
図13】柱を構成する柱部材とフランジ装着柱部材を継足して柱とする継手の斜視図である。
図14】柱の梁接合開口部に叩き込まれる梁の両端に装着されたL字形継手の斜視図である。
図15】連結時に頂部が潰れる圧潰連結構造の中空部が押出成型された継手の内周面に装着されて継手の片方の外周面となり被連結構造部材の中空内周面の四面に接合して接合部を補強する継手の斜視図である。図12以外にも圧潰連結構造継手の接合部の補強に使われる継手の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明での建築物の主要構造材である、梁連結フランジ部材装着アルミ二ウム合金製隅柱の実施例を示す。押出形材として5mから6m程の長尺の柱、梁、継手の夫々の押出形材を、加工図面の寸法で切断する。
【0018】
必要な継手には、図15の符号18の補強継手を装着しておく。
【0019】
図3は、その隅柱全体の構成図であり、柱部材符号20、符号20-2、符号20-3の間に入り、それら構成部材を継ぎ足す符号22の部材の形状は、上下対象になるように断面の連結開口部には符号14および符号15の継ぎ手が装着されているので柱部材を上下に継ぎ足せる。符号23の柱継ぎ足し部材は柱の最下部に使われる。
【0020】
まず、図4のフレンジ部材装着の柱継ぎ足し部材の製作が主要な作業となる。ここでは図5の符号20の長方形の柱部材と符号19のフランジ部材の形材を同寸法に長尺形材から切断する。この符号20の柱部材の断面には、符号24、25、29、31、31-1,27、31-2、31-3の8個の連結開口部が設けられている。また、図5-1の符号19の正方形のフランジ部材の断面の4隅には符号26、符号28、符号37、符号38の開口部が設けられている。また、図5-2の符号19の正方形のフランジ部材の断面の四隅にも符号30、符号32、符号34、符号35の開口部が設けられている。
【0022】
図3、隅柱の最下部の継ぎ足し部材では、符号15の継手にある中央のストッパー部の突起のある箇所で切断した一方の継ぎ手を開口部にはめ込み部材の強度を上げる方法もある。また、図11の符号14の継手に替わり、図12の符号16の継手を使う。
【0023】
図3の柱部材符号20、符号22のフランジ部材装着柱継ぎ足し部材、符号20-2の柱部材、符号22のフランジ装着柱継ぎ足し部材、符号20-3の柱部材、符号23の六つの部材を順次連結することで梁を受けるフランジ部材装着の隅柱となる。符号20、符号20-2、符号20-3の柱部材は、図面により寸法を切断しておく。
【0024】
実施例2としての梁の製作では、図10の符号33の梁部材は、実施例として、本発明による、符号20の柱部材を併用している。柱部材には、梁などの横臥材が梁部材の数箇所に連結される、符号33の梁部材は、最上部の柱部材に連結される、その場合は、図3の符号33の梁の両端には図14の符号17のL字型継手が2本セットされる、上部のL字型継手は、図5の柱部材の符号25、27、及び符号29、31の開口部と連結される。下部のL字形継手は、図5-1のフランジ部材の符号37、符号38、そして、図5-2の符号34、符号35に連結される。図10-1では符号20の柱部材の開口部に、梁の上部に装着のL字継手が連結されている。柱部材の開口部の外側には、L字形継手が納まるように予め切りかけ加工をしておく。
【符号の説明】
【0025】
1 アルミ二ウム合金造りの建築物の構造斜視図。
2 アルミ二ウム合金造りの建築物の柱配置図。
3 隅柱部材
4 隅柱部材
5 隅柱部材
6 隅柱部材
7 側柱部材
8 側柱部材
9 側柱部材
9a 側柱部材
11 中柱部材
12 中柱部材
13 通り芯
14 柱部材にフランジ部材を装着する継手
15 柱部材とフランジ装着柱部材を連接して繋ぐ継手
16 柱の最下部のフランジ部材を装着する継手
17 梁の両端に装着するL字形継手
18 継手の中空部に装着する補強継手
19 フランジ部材となる形材の断面図
20 柱部材の断面図
21 隅柱のフランジ装着柱部材の断面図
22 隅柱のフランジ装着柱部材の斜視図
23 柱最下部のフレンジ装着柱部材の斜視図
24 柱部材の断面に成型された連結開口部
25 柱部材の断面に成型された連結開口部
26 フランジ部材の断面に成型された連結開口部
27 柱部材の断面に成型された連結開口部
28 フランジ部材の断面に成型された連結開口部
29 柱部材の断面に成型された連結開口部
30 フランジ部材の断面に成型された連結開口部
31 柱部材の断面に成型された連結開口部
31-1 柱部材の断面に成型された連結開口部
31-2 柱部材の断面に成型された連結開口部
31-3 柱部材の断面に成型された連結開口部
32 フランジ部材の断面に成型された連結開口部
33 梁部材
34 隅柱のフランジ装着柱部材の断面に設けられた梁連結開口部
35 隅柱のフランジ装着柱部材の断面に設けられた梁連結開口部
36 柱部材とフレンジ部材の連結の境目
37 隅柱のフランジ装着柱部材の断面に設けられた梁連結開口部
38 隅柱のフランジ装着柱部材の断面に設けられた梁連結開口部
図1
図2
図3
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図9
図9-1】
図10
図10-1】
図11
図12
図13
図14
図15