(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】発振回路および電子機器
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20240814BHJP
H03F 3/30 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H03B5/32 Z
H03F3/30
(21)【出願番号】P 2021168519
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2020125663の分割
【原出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504151365
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】515217498
【氏名又は名称】株式会社Piezo Studio
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】野原 正也
(72)【発明者】
【氏名】木村 悟利
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0266478(US,A1)
【文献】特開平06-029743(JP,A)
【文献】特開昭55-053906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0121752(US,A1)
【文献】特開2006-338199(JP,A)
【文献】国際公開第2002/007302(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/30- 5/42
H03F 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子と、接地端子と、
一端が前記接地端子に接続された振動子と、
一端が前記振動子の
他端に接続された第1
の容量と、一端が前記第1の容量の他端に接続され、他端が前記接地端子に接続された第2の容量と、
前記振動子と前記第1の容量に接続される入力端子と、
前記第1の容量と前記第2の容量に接続される出力端子と、
ソース端子が前記出力端子に接続され、ドレイン端子が、発振動作時に前記電源端子と接続され、発振停止時に前記電源端子と切り離され、ゲート端子が前記入力端子に接続される第1のN型トランジスタと、
ソース端子が前記出力端子に接続され、ドレイン端子が、発振動作時に前記接地端子と接続され、発振停止時に前記接地端子と切り離され、ゲート端子が前記入力端子に接続される第1のP型トランジスタと、
発振停止時に前記第1のN型トランジスタのゲート端子を前記電源端子に接続し、発振動作時に前記第1のN型トランジスタのゲート端子と前記電源端子とを切り離す第2のP型トランジスタと、
発振停止時に前記第1のP型トランジスタのゲート端子を前記接地端子に接続し、発振動作時に前記第1のP型トランジスタのゲート端子と前記接地端子とを切り離す第2のN型トランジスタを有する増幅回路
を含む発振回路。
【請求項2】
請求項1記載の発振回路において、
前記振動子は、ランガサイト型圧電単結晶の振動子であることを特徴とする発振回路。
【請求項3】
請求項1または2記載の発振回路において、
前記増幅回路は、
前記第1のN型トランジスタと、
前記第1のP型トランジスタと、
発振停止時にLowとなる第1のバイアスリセット信号がゲート端子に入力され、ドレイン端子が前記第1のN型トランジスタのゲート端子に接続され、ソース端子が前記電源端子に接続された前記第2のP型トランジスタと、
発振停止時にHighとなる第2のバイアスリセット信号がゲート端子に入力され、ドレイン端子が前記第1のP型トランジスタのゲート端子に接続され
、ソース端子が前記接地端子に接続された前記第2のN型トランジスタと、
発振停止時に前記第1のN型トランジスタのドレイン端子と前記電源端子とを切り離し、発振動作時に前記第1のN型トランジスタのドレイン端子と前記電源端子とを接続する第1のスイッチと、
発振停止時に前記第1のP型トランジスタのドレイン端子と前記接地端子とを切り離し、発振動作時に前記第1のP型トランジスタのドレイン端子と前記接地端子とを接続する第2のスイッチとから構成されることを特徴とする発振回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発振回路を備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子を用いた発振回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やIoT(Internet-Of-Things)機器などの無線回路付き小型電子機器においては、バッテリーの長寿命化が求められていることから、機器に使われている電子回路や電子部品の低消費電力化が重要技術課題となっている。
【0003】
小型電子機器では、従来から、
図10に示すような水晶振動子を用いたインバータベースのピアース(Pierce)発振回路が広く使われている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。ピアース発振回路は、水晶振動子X
10と、インバータINV
10と、容量C
10,C
11とから構成される。
【0004】
ピアース発振回路は、構成がシンプルなことから、長い間使われてきた。しかしながら、ピアース発振回路は、発振するための電圧成分が大きく取れず、定常的に電流を流すために消費電力が大きい、という課題があった。また、ピアース発振回路は、発振起動時間が遅いという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3409061号公報
【文献】特開2004-328257号公報
【文献】国際公開WO2013/035346号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、低消費電力および高速発振起動を実現することができる発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発振回路は、電源端子と、接地端子と、一端が前記接地端子に接続された振動子と、一端が前記振動子の他端に接続された第1の容量と、一端が前記第1の容量の他端に接続され、他端が前記接地端子に接続された第2の容量と、前記振動子と前記第1の容量に接続される入力端子と、前記第1の容量と前記第2の容量に接続される出力端子と、ソース端子が前記出力端子に接続され、ドレイン端子が、発振動作時に前記電源端子と接続され、発振停止時に前記電源端子と切り離され、ゲート端子が前記入力端子に接続される第1のN型トランジスタと、ソース端子が前記出力端子に接続され、ドレイン端子が、発振動作時に前記接地端子と接続され、発振停止時に前記接地端子と切り離され、ゲート端子が前記入力端子に接続される第1のP型トランジスタと、発振停止時に前記第1のN型トランジスタのゲート端子を前記電源端子に接続し、発振動作時に前記第1のN型トランジスタのゲート端子と前記電源端子とを切り離す第2のP型トランジスタと、発振停止時に前記第1のP型トランジスタのゲート端子を前記接地端子に接続し、発振動作時に前記第1のP型トランジスタのゲート端子と前記接地端子とを切り離す第2のN型トランジスタを有する増幅回路を含むものである。
【0008】
また、本発明の発振回路の1構成例において、前記振動子は、ランガサイト型圧電単結晶の振動子である。
また、本発明の発振回路の1構成例において、前記増幅回路は、前記第1のN型トランジスタと、前記第1のP型トランジスタと、発振停止時にLowとなる第1のバイアスリセット信号がゲート端子に入力され、ドレイン端子が前記第1のN型トランジスタのゲート端子に接続され、ソース端子が前記電源端子に接続された前記第2のP型トランジスタと、発振停止時にHighとなる第2のバイアスリセット信号がゲート端子に入力され、ドレイン端子が前記第1のP型トランジスタのゲート端子に接続され、ソース端子が前記接地端子に接続された前記第2のN型トランジスタと、発振停止時に前記第1のN型トランジスタのドレイン端子と前記電源端子とを切り離し、発振動作時に前記第1のN型トランジスタのドレイン端子と前記電源端子とを接続する第1のスイッチと、発振停止時に前記第1のP型トランジスタのドレイン端子と前記接地端子とを切り離し、発振動作時に前記第1のP型トランジスタのドレイン端子と前記接地端子とを接続する第2のスイッチとから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の電子機器は、上記の発振回路を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、増幅回路の第1のN型トランジスタのゲート端子を、第2のP型トランジスタのON時に電源電圧と接続し、第1の容量と第3の容量とを介して増幅回路の出力電圧を第1のN型トランジスタのゲート端子に帰還し、また増幅回路の第1のP型トランジスタのゲート端子を、第2のN型トランジスタのON時にグラウンドと接続し、第1の容量と第4の容量とを介して増幅回路の出力電圧を第1のP型トランジスタのゲート端子に帰還することにより、低消費電力および高速発振起動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、従来のコルピッツ発振回路の構成を示す回路図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係る発振回路の構成を示す回路図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に係る発振回路におけるバイアス用のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタのOFF時の等価回路図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例に係る発振回路の出力電圧の変動範囲、バイアス用のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタのゲート電圧およびゲート-ソース間電圧の変動範囲を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例に係る発振回路における発振起動後の発振波形を示す図である。
【
図6】
図6は、従来のピアース発振回路と本発明の実施例に係る発振回路における出力電圧およびトランジスタの電流の波形を示す図である。
【
図7】
図7は、ピアース発振回路のインバータの構成を示す回路図である。
【
図8】
図8は、従来のピアース発振回路と本発明の実施例に係る発振回路の位相雑音特性を示す図である。
【
図9】
図9は、ランガサイト型圧電単結晶の振動子および水晶振動子の等価回路図である。
【
図10】
図10は、従来のピアース発振回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。まず、本実施例の発振回路の基になるコルピッツ(Colpitts)発振回路の構成を
図1に示す。コルピッツ発振回路は、振動子X
1と、増幅回路A
1と、2つの容量C
1,C
2とから構成される。
【0012】
このコルピッツ発振回路を基に、増幅器を低消費電力化した本実施例の発振回路を
図2に示す。本実施例の発振回路は、振動子X
1と、振動子X
1に直列に接続された容量C
1,C
2と、入力端子が振動子X
1と容量C
1との接続点に接続され、出力端子が容量C
1と容量C
2との接続点に接続された増幅回路A
1とを備えている。
【0013】
増幅回路A1は、ソース端子が増幅回路A1の出力端子に接続されたNMOSトランジスタ(N型トランジスタ)M1と、ソース端子が増幅回路A1の出力端子に接続されたPMOSトランジスタ(P型トランジスタ)M2と、ゲート端子にバイアスリセット信号バーBRが入力され、ドレイン端子がNMOSトランジスタM1のゲート端子に接続され、ソース端子が電源電圧Vddに接続されたPMOSトランジスタM3と、ゲート端子にバイアスリセット信号BRが入力され、ドレイン端子がPMOSトランジスタM2のゲート端子に接続され、ソース端子がグラウンドに接続されたNMOSトランジスタM4と、一端が増幅回路A1の入力端子に接続され、他端がNMOSトランジスタM1のゲート端子に接続された容量Ccut1と、一端が増幅回路A1の入力端子に接続され、他端がPMOSトランジスタM2のゲート端子に接続された容量Ccut2と、発振停止時にNMOSトランジスタM1のドレイン端子と電源電圧Vddとを切り離し、発振動作時にNMOSトランジスタM1のドレイン端子と電源電圧Vddとを接続するスイッチSW1と、発振停止時にPMOSトランジスタM2のドレイン端子とグラウンドとを切り離し、発振動作時にPMOSトランジスタM2のドレイン端子とグラウンドとを接続するスイッチSW2とから構成される。
【0014】
NMOSトランジスタM1のゲート端子は、PMOSトランジスタM3のON時に電源電圧Vddと接続され、容量C1,Ccut1を介して増幅回路A1の出力電圧が帰還されるようになっている。PMOSトランジスタM2のゲート端子は、NMOSトランジスタM4のON時にグラウンドと接続され、容量C1,Ccut2を介して増幅回路A1の出力電圧が帰還されるようになっている。
【0015】
発振起動する際は高いトランスコンダクタンスgmが必要であるので、バイアスリセット信号BRは発振停止時にHigh、バイアスリセット信号バーBRは発振停止時にLowとなっている。したがって、PMOSトランジスタM3とNMOSトランジスタM4がON状態となり、NMOSトランジスタM1とPMOSトランジスタM2がON状態となる。
【0016】
また、発振停止時には発振許可信号ENがLowとなり、スイッチSW1,SW2がOFF状態となる。スイッチSW1,SW2としては、例えばNMOSトランジスタを使用することができる。スイッチSW1となるNMOSトランジスタのゲート端子には発振許可信号ENが入力され、ドレイン端子が電源電圧Vddに接続され、ソース端子がNMOSトランジスタM1のドレイン端子に接続される。スイッチSW2となるNMOSトランジスタのゲート端子には発振許可信号ENが入力され、ドレイン端子がPMOSトランジスタM2のドレイン端子に接続され、ソース端子がグラウンドに接続される。
【0017】
一方、発振動作時には、バイアスリセット信号BRがLow、バイアスリセット信号バーBRがHighとなる。したがって、PMOSトランジスタM
3とNMOSトランジスタM
4がOFF状態となる。このOFF状態のとき、PMOSトランジスタM
3は、
図3(A)のようにダイオードD
1と抵抗R
1とからなる等価回路で表される。また、NMOSトランジスタM
4は、
図3(B)のようにダイオードD
2と抵抗R
2とからなる等価回路で表される。
【0018】
すなわち、PMOSトランジスタM3がOFFの状態では、NMOSトランジスタM1のゲート電圧VgNは、ダイオードD1のリーク電流による電圧でバイアスされることになる。同様に、NMOSトランジスタM4がOFFの状態では、PMOSトランジスタM2のゲート電圧VgPは、ダイオードD2のリーク電流による電圧でバイアスされることになる。抵抗R1はダイオードD1のリーク電流が流れる抵抗成分を表し、抵抗R2はダイオードD2のリーク電流が流れる抵抗成分を表している。
【0019】
PMOSトランジスタM3を例にとると、ダイオードD1のリーク電流は、常にNMOSトランジスタM1のゲート電圧VgNを引き上げて、発振を維持するように働く。大信号により発振が始まると、NMOSトランジスタM1のゲート端子は、容量C1,Ccut1を介した増幅回路A1の出力からの帰還によって動的にバイアスされる。ただし、ダイオードD1により、NMOSトランジスタM1のゲート電圧VgNは、最高値がVth3+Vddの電圧値にクランプされることになる(Vth3はPMOSトランジスタM3のしきい値電圧)。同様に、ダイオードD2により、PMOSトランジスタM2のゲート電圧VgPは、最低値が-Vth4の電圧値にクランプされることになる(Vth4はNMOSトランジスタM4のしきい値電圧)。
【0020】
発振動作時における発振回路(増幅回路A
1)の出力電圧V
out、NMOSトランジスタM
1のゲート電圧V
gN、PMOSトランジスタM
2のゲート電圧V
gP、NMOSトランジスタM
1のゲート-ソース間電圧V
gsN、PMOSトランジスタM
2のゲート-ソース間電圧V
gsPの変動範囲を
図4に示す。
また、発振動作時には発振許可信号ENがHighとなり、スイッチSW
1,SW
2がON状態となる。
【0021】
発振起動後の発振波形を
図5に示す。I
NはNMOSトランジスタM
1のソース電流、I
PはPMOSトランジスタM
2のソース電流である。NMOSトランジスタM
1のゲート-ソース間電圧V
gsNとPMOSトランジスタM
2のゲート-ソース間電圧V
gsPは、発振起動時(バイアスリセット信号バーBRと発振許可信号ENがHighになったとき)に比較的高い電圧から始まり、その後、発振定常状態で-V
th4からV
th3の電圧範囲に収まることが分かる。したがって、NMOSトランジスタM
1とPMOSトランジスタM
2を流れる電流は、定常状態では非常に小さくなる。
【0022】
図6は、発振定常状態における発振回路の出力電圧V
out、NMOSトランジスタM
1のソース電流I
N、およびPMOSトランジスタM
2のソース電流I
Pの波形を示す図である。ここでは、C
1=18pF、C
2=9pFとし、発振回路(増幅回路A
1)の出力端子に接続される負荷の容量を6pFとした。
【0023】
比較のため、容量C
1,C
2と負荷容量を本実施例と同じ値にしたときのピアース発振回路の出力電圧V
out10と、インバータのトランジスタの電流I
N10,I
P10を
図6に示す。
図10に示したピアース発振回路のインバータINV
10は、
図7に示すようにPMOSトランジスタM
5と、NMOSトランジスタM
6とから構成される。
【0024】
図6から分かるように、ピアース発振回路の電流I
N10,I
P10に比べ、本実施例の発振回路の電流I
N,I
Pは、出力電圧V
outが極値になるタイミングにおいてのみ流れ、また電流量も非常に小さい。したがって、本実施例によれば、発振状態において大幅な低電力化を実現できることが分かる。実際に、本実施例の発振回路の定常状態消費電力Pssは、ピアース発振回路の定常状態消費電力に比べて約1/10と小さいことが分かった。
【0025】
図8に、本実施例の発振回路と従来のピアース発振回路のそれぞれの位相雑音特性を示す。
図8のN
0はピアース発振回路の位相雑音を示し、N
1は本実施例の発振回路の位相雑音を示している。通信機器に重要な発振回路性能である位相雑音は、従来のピアース発振回路と比較すると、発振回路の基本周波数に対するオフセット周波数が100Hzまでの範囲で約9dB改善されることが分かった。このように、本実施例の発振回路を使うことで、通信機器の低位相雑音化にも貢献できることが明らかとなった。
【0026】
次に、発振回路をより高速で発振起動させ、より低い発振起動エネルギーを実現するために、本実施例では、振動子X
1としてランガサイト型圧電単結晶の振動子を用いる。ランガサイト型圧電単結晶は種々あるが、実験ではCa
3TaGa
3Si
2O
14(CTGSと呼ぶ)を用いた振動子を使った。使用したCTGS振動子、ならびに比較のため使用した水晶振動子(Quartz)の等価回路を
図9(A)、
図9(B)に示す。
図9(B)は
図9(A)を簡略化した等価回路図である。
図9(A)、
図9(B)の線100より左側は振動子の等価回路を示し、線100より右側は発振回路の等価回路を示している。容量C
L、インダクタンスL
m、抵抗R
m、容量C
m、抵抗R
x、Q値を表1に示す。
【0027】
【0028】
振動子X
1としてCTGS振動子を用いて実験した結果、本実施例の発振回路の発振起動時間Tsは0.37msで、発振起動エネルギーEsは30nJとなった。一方、振動子X
1として水晶振動子を用いた場合、
図2の発振回路の発振起動時間Tsは3.6ms、発振起動エネルギーEsは320nJであった。
【0029】
したがって、振動子X1としてCTGS振動子を用いた場合、水晶振動子を用いた場合よりも約一桁早い発振起動時間を実現することができ、発振起動エネルギーも約一桁小さくすることができ、低消費電力化を実現できることが確認された。
【0030】
以上のように、本実施例によれば、高速発振起動を実現することができ、発振起動後の定常発振状態において低消費電力の発振回路を実現することができる。
したがって、本実施例の発振回路を例えば携帯電話機やIoT機器などの電子機器に適用すれば、低消費電力の電子機器の実現に貢献することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、小型電子機器で用いる発振回路に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
A1…増幅回路、C1,C2,Ccut1,Ccut2…容量、M1~M4…トランジスタ、SW1,SW2…スイッチ、X1…振動子。