(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】センサシステム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08C 17/02 20060101AFI20240814BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20240814BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G08C17/02
G08C15/00 E
H04Q9/00 311H
(21)【出願番号】P 2024025623
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230216
【氏名又は名称】日本ミクロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512319232
【氏名又は名称】株式会社KMC
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 隆次
(72)【発明者】
【氏名】安部 新一
(72)【発明者】
【氏名】野田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 声喜
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-76795(JP,A)
【文献】特開2022-72061(JP,A)
【文献】特開2021-149498(JP,A)
【文献】特開2021-89642(JP,A)
【文献】特開2019-66434(JP,A)
【文献】特開2017-49894(JP,A)
【文献】特開2015-102496(JP,A)
【文献】特開2015-88858(JP,A)
【文献】特開2012-63978(JP,A)
【文献】特開2009-151665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
G05B 19/00-19/46
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セミアクティブセンサタグ(RFIDタグ)であり、製造機械に設置された複数のセンサにそれぞれ接続され、プロセッサ及び無線通信部をそれぞれ有する複数の子タグ
であって、各子タグは、前記子タグに接続されるセンサが設置される製造機械に着脱可能に設置され、前記製造機械が発生するエネルギーを利用して発電する発電部と、前記発電部が発電した電気を蓄電し前記プロセッサ及び前記センサに電気を供給する蓄電部とをさらに有し、前記センサは、前記子タグの前記蓄電部に蓄電された電気により駆動する、複数の子タグと、
RFIDリーダであり、前記複数の子タグと無線通信可能な親タグと、
前記親タグが接続される情報処理装置と、
を具備するセンサシステムであって、
前記親タグは、前記情報処理装置の要求を受けて、前記複数の子タグにデータ送信
リクエストを送信し、
各子タグのプロセッサは、前記データ送信
リクエストを受信すると、
前記蓄電部に蓄電された電気により駆動し、前記子タグに接続されたセンサのセンサ識別子
、センサ値及び前記子タグの前記発電部の発電量を示す電圧値を含むステータスデータ
を取得し、前記無線通信部を介して前記親タグに送信し、
前記親タグは、前記複数の子タグから複数のステータスデータを受信し、前記複数のステータスデータを含む電文を生成し、前記電文を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記電文を受信し、前記電文に含まれる前記複数のステータスデータに含まれる、個別の子タグ
の複数のセンサ値を共通の時間情報に対して整列して表示する
とともに、各ステータスデータに含まれるセンサ識別子に関連付けて電圧値をさらに表示するGUIを生成し、表示装置に出力し、
前記情報処理装置が生成する前記GUIは、着脱可能な前記子タグの前記発電量を示す前記電圧値が第1の所定値より小さい場合に、前記電圧値が前記第1の所定値以上となる設置位置に前記子タグを移動させることが可能であるように、移動前後の各子タグの発電量を示す電圧値がそれぞれ前記第1の所定値より小さいか否かをユーザが判断可能に表示する
センサシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサシステムであって、
前記ステータスデータは、前記子タグの前記無線通信部の電波強度をさらに含み、
前記情報処理装置が生成する前記GUIは、各ステータスデータに含まれるセンサ識別子に関連付けて電波強度をさらに表示し、
前記情報処理装置が生成する前記GUIは、着脱可能な前記子タグの前記電波強度が第2の所定値より小さい場合に、前記電波強度が前記第2の所定値以上となる設置位置に子タグを移動させることが可能であるように、移動前後の各子タグの無線通信部の電波強度が前記第2の所定値より小さいか否かをユーザが判断可能に表示する
センサシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサシステムであって、
前記親タグは、前記情報処理装置の要求を受けて、前記複数の子タグにセンシング内容・周期の設定パラメータをさらに送信し、
前記親タグがセンシング内容・
周期の設定パラメータを送信した際に、正常に受信と設定変更が行われたことを前記子タグが前記親タグに通知し、前記子タグがセンサ識別値及びセンサ値を含むステータスデータを送信した際に、正常に受信が行われたことを前記親タグが前記子タグに通知し、通知が確認できない場合には再送信を要求することが可能な
センサシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサシステムであって、
前記情報処理装置は、アラート表示、解析・分析、判断、行動指示にセンサデータを利用可能である
センサシステム。
【請求項5】
請求項
1に記載のセンサシステムであって、
前記発電部は、
前記子タグが設置される前記製造機械の温度と外気温の温度差により発電する温度差発電装置、
及び/又は
前記子タグが設置される前記製造機械の振動により発電する振動発電
装置
を含む
センサシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のセンサシステムであって、
前記発電部は、前記子タグの周囲の光により発電する光発電装置をさらに含む
センサシステム。
【請求項7】
請求項
1に記載のセンサシステムであって、
前記蓄電部は、キャパシタ及び全固体電池である
センサシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のセンサシステムであって、
前記複数のセンサ
をさらに具備するセンサシステム。
【請求項9】
セミアクティブセンサタグ(RFIDタグ)であり、製造機械に設置された複数のセンサにそれぞれ接続され、プロセッサ及び無線通信部をそれぞれ有する複数の子タグと無線通信可能な
RFIDリーダである親タグが接続される情報処理装置であって、
各子タグは、前記子タグに接続されるセンサが設置される製造機械に着脱可能に設置され、前記製造機械が発生するエネルギーを利用して発電する発電部と、前記発電部が発電した電気を蓄電し前記プロセッサ及び前記センサに電気を供給する蓄電部とをさらに有し、
前記センサは、前記子タグの前記蓄電部に蓄電された電気により駆動し、
前記情報処理装置は、
前記親タグが、前記情報処理装置の要求を受けて、前記複数の子タグにデータ送信
リクエストを送信し、
各子タグのプロセッサが、前記データ送信
リクエストを受信すると、
前記蓄電部に蓄電された電気により駆動し、前記子タグに接続されたセンサのセンサ識別子
、センサ値及び前記子タグの前記発電部の発電量を示す電圧値を含むステータスデータを
取得し、前記無線通信部を介して前記親タグに送信し、
前記親タグが、前記複数の子タグから複数のステータスデータ
を受信し、前記複数のステータスデータを含む電文を生成し、前記電文を前記情報処理装置に送信すると、
前記電文を受信し、前記電文に含まれる前記複数のステータスデータに含まれる、個別の子タグ
の複数のセンサ値を共通の時間情報に対して整列して表示する
とともに、各ステータスデータに含まれるセンサ識別子に関連付けて電圧値をさらに表示するGUIを生成し、表示装置に出力し、
前記情報処理装置が生成する前記GUIは、着脱可能な前記子タグの前記発電量を示す前記電圧値が第1の所定値より小さい場合に、前記電圧値が前記第1の所定値以上となる設置位置に前記子タグを移動させることが可能であるように、移動前後の各子タグの発電量を示す電圧値がそれぞれ前記第1の所定値より小さいか否かをユーザが判断可能に表示する
情報処理装置。
【請求項10】
セミアクティブセンサタグ(RFIDタグ)であり、製造機械に設置された複数のセンサにそれぞれ接続され、プロセッサ及び無線通信部をそれぞれ有する複数の子タグ
であって、各子タグは、前記子タグに接続されるセンサが設置される製造機械に着脱可能に設置され、前記製造機械が発生するエネルギーを利用して発電する発電部と、前記発電部が発電した電気を蓄電し前記プロセッサ及び前記センサに電気を供給する蓄電部とをさらに有し、前記センサは、前記子タグの前記蓄電部に蓄電された電気により駆動する、複数の子タグと、
RFIDリーダであり、前記複数の子タグと無線通信可能な親タグと、
前記親タグが接続される情報処理装置と、
を具備するセンサシステムが実行する情報処理方法であって、
前記情報処理方法は、
前記親タグが、前記情報処理装置の要求を受けて、前記複数の子タグにデータ送信
リクエストを送信し、
各子タグのプロセッサが、前記データ送信
リクエストを受信すると、
前記蓄電部に蓄電された電気により駆動し、前記子タグに接続されたセンサのセンサ識別子
、センサ値及び前記子タグの前記発電部の発電量を示す電圧値を含むステータスデータを
取得し、前記無線通信部を介して前記親タグに送信し、
前記親タグが、前記複数の子タグから複数のステータスデータを
受信し、前記複数のステータスデータを含む電文を生成し、前記電文を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置が、前記電文を受信し、前記電文に含まれる前記複数のステータスデータに含まれる、個別の子タグ
の複数のセンサ値を共通の時間情報に対して整列して表示する
とともに、各ステータスデータに含まれるセンサ識別子に関連付けて電圧値をさらに表示するGUIを生成し、表示装置に出力し、
前記情報処理装置が生成する前記GUIが、着脱可能な前記子タグの前記発電量を示す前記電圧値が第1の所定値より小さい場合に、前記電圧値が前記第1の所定値以上となる設置位置に前記子タグを移動させることが可能であるように、移動前後の各子タグの発電量を示す電圧値がそれぞれ前記第1の所定値より小さいか否かをユーザが判断可能に表示する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造機械に設置される複数のセンサのステータスデータを収集するセンサシステム、情報処理装置及び情報処理方法と、センサシステムに含まれる子タグ及び親タグとに関する。
【背景技術】
【0002】
製造機械の分野では、各部位にセンサが設置される。センサの検出結果は専用コントローラやコンピュータに入力される。近年では、様々なセンサを用いてしかもリアルタイムに時々刻々と変化するデータを収集することが要求されている(特許文献1参照)。
【0003】
取り付ける対象となる設備・もの・建物・構造物などに応じて、センサに対する要望も多種多様であり、取り付ける場所・必要とされるデータまで含めると、様々な要求にこたえる必要がある。従来のセンサデバイスでは、そのようなセンサに対する要望に応じて、例えば電波帯の変更など動作設定を変更する際には、コネクタ・はんだ付けなどの直接的な方法で接続を行い、設定の書き換えを行う必要があり、運用上の負担が生ずるといった問題があった。
【0004】
さらに、多数の対象物に取り付けてデータを多量に収集する、1つの対象物に多くのセンサを設置してその動作管理を行うといった場合に、センサ数が数十、数百といった単位になってくると設定変更の負担はより膨大なものとなり、現実的には運用困難となってくる。
【0005】
また、センサの設定やデータ収集を無線で行う方法も考えらえるが、消費電力が大きく、電源線が必要になってしまうか、バッテリが必要になってしまい、無線のメリットを生かせないといった問題がある。また、一度に行われる無線通信の電波の干渉や、受信タイミングの重複により、データが喪失する可能性があるといったシステムの信頼性上の懸念も生じていた。
【0006】
上記のような理由により、センサ利用による設備・もの・建物・構造物などの広い用途でのIoT化はまだ発展途上であり、限定的な利用にとどまっていることが少なくない。多くのセンサから、無線で十分な数のセンサデータを収集・解析することが出来れば、設備の生産性改善やメンテナンス管理、乗り物類・構造物の安全管理などに大きく寄与することが可能となる。
【0007】
前記問題点の改善点として、特許文献2のような、振動センサデータの取得条件を最適化し設定することで、消費電力を低減し、太陽電池やピエゾ素子やペルチェ素子といった発電素子を用いて、センサデータの無線通信を行う無線センサ端末が知られている。
【0008】
また、特許文献3のような、各無線センサのデータ送信タイミングに遅延を設けることで、センサデータのトラフィック発生を防止した無線センサシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2019-46293号公報
【文献】特開2018-18408号公報
【文献】特開2023-23349号公報
【0010】
しかしながら、特許文献2に開示の技術では、量の多いセンサデータが無線通信時に干渉してデータロストが発生するといった懸念がある。特に振動センサデータのサンプリング周波数を決定する過程では、条件設定のためのデータ量が多くなるためにデータ送信時間も長くなり、その問題が発生しやすくなる。また、データ量が多い際には、センシングやデータ送信に多くの電力を消費し、発電素子の電力ではデータ送信中にデータが途切れる、電力不足でデータが送信できないといった問題が発生する可能性もある。また、振動センサ以外の多種のセンサに対応し、多種類のセンシング要望に対応するようなものとはなっていない。
【0011】
また、特許文献3に開示の技術では、無線で干渉防止のための遅延設定をするために、無線子機(センサ端末)と親機(読取り機)以外に、遅延時間の計算と設定をするための個別の設備が必要であり、大型でコストのかかる構成となっている。また、遅延時間以外のセンサ動作設定を無線で行うようにはなっていないため、通信の干渉を防止することは出来るが、多様なセンシング要望に対応できない、センサの設定変更に手間がかかるといった問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
製造機械の各部位に複数のセンサが設置される。複数のセンサを時間的に同期して常時モニタし、且つ、それを実現するために、複数のセンサに安定的に電源を供給する必要がある。また、電源マネージメントを十分に行い、各センサの必要動作時間、データ取得時間、マイコンの情報処理時間、通信時間、データ格納時間、受信時間、送信時間、その他刻々と変わる状況に合わせて、多段制御を行いスリープモードや不要な動作部位の電源供給を最小限にとどめて運転することで1/10~1/1000といった消費電力を可能にする等の処理を自動で行うシステムを特徴とする。
処理途中で電源が落ちても電源が復帰するまで一時停止し、電源復旧とともに処理の継続することが同様に特徴である。
【0013】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、複数のセンサを時間的に同期して常時モニタし、且つ、センサに安定的に電源を供給し、無線でセンサ動作設定を変更できる、利便性と信頼性の高い無線センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一形態に係るセンサシステムは、
製造機械に設置された複数のセンサにそれぞれ接続され、プロセッサ及び無線通信部をそれぞれ有する複数の子タグと、
前記複数の子タグ(センサ付きタグ)と無線通信可能な親タグ(リーダライター)と、
前記親タグ(リーダーライター)が接続される情報処理装置と、
を具備するセンサシステムであって、
前記親タグは、前記情報処理装置の要求を受けて、前記複数の子タグにデータ送信リクエストとセンシング内容・周期などの設定パラメータを送信し、
各子タグのプロセッサは、前記データ送信リクエストと設定パラメータを受信すると、前記子タグに接続されたセンサのセンサ識別子及びセンサ値を含むステータスデータを受信した設定内容に応じて取得し、前記無線通信部を介して前記親タグに送信し、
前記親タグは、前記複数の子タグから複数のステータスデータを受信し、前記複数のステータスデータを含む電文を生成し、前記電文を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記電文を受信し、前記電文に含まれる前記複数のステータスデータに含まれる、個別の子タグの周期・測定設定によって得られた複数のセンサ値を、共通の時間情報に対して整列して表示するGUIを生成し、表示装置に出力し、AI等を用いたアラート表示、解析・分析、判断、行動指示などにセンサデータを利用可能なものとする。
【0015】
これにより、複数のセンサを時間的に同期して常時モニタすることができる。
【0016】
前記親タグがセンシング内容・周期変更などの設定パラメータを送信した際に、正常に受信と設定変更が行われたことを前記子タグが前記親タグに通知し、前記子タグがセンサ識別値及びセンサ値を含むステータスデータを送信した際に、正常に受信が行われたことを前記親タグが前記子タグに通知し、通知が確認できない場合には再送信を要求することを特徴にしても良い。これにより設定変更やセンサデータ送受信のミスを防止し通信の信頼性を高めることが出来るため、信頼性の要求される用途にも利用できるシステムとすることができる。
【0017】
各子タグは、セミアクティブセンサタグ(RFIDタグ)であり、発電部と、前記発電部が発電した電気を蓄電し前記プロセッサ及び前記センサに電気を供給する蓄電部とを有し、
前記親タグは、RFIDリーダライタであり、
前記子タグは、前記データ送信リクエストを受信すると、前記蓄電部に蓄電された電気により駆動し、前記蓄電部に蓄電された電気により駆動する前記センサの前記センサ値を読み出してもよい。
【0018】
子タグが発電部及び蓄電部を有することで、子タグ及びセンサに有線で電気を供給する必要が無く、配線も不要となり、配線の断線により電源供給が絶たれるおそれもない。
【0019】
前記ステータスデータは、各子タグの前記発電部の発電量を示す電圧値をさらに含み、
前記電文は、前記電圧値のほか電波強度をさらに含み、
前記GUIは、前記電文に含まれる前記センサ識別子に関連付けて前記電圧値と電波強度をさらに表示してもよい。
【0020】
従って、ユーザがGUIを見て、電圧値および電波強度が要求されるセンサデータを取得するのに必要な所定値より小さければ、子タグの電波強度および発電部が十分大きい発電量を得られる設置位置に子タグを移動すればよい。
【0021】
前記子タグは、前記子タグに接続されるセンサが設置される製造機械・設備・乗り物・構造物に設置されてもよい。
【0022】
これにより、発電部は、子タグが設置される製造機械が発生するエネルギー(振動・温度・熱・光・電磁波・誘導電流・その他を利用して発電することができる。
【0023】
前記発電部は、
前記子タグが設置される前記製造機械の温度と外気温の温度差により発電する温度差発電装置、
前記子タグが設置される前記製造機械の振動により発電する振動発電装置、及び/又は
前記子タグの周囲の光により発電する光発電装置・電磁波を利用する発電装置、電磁誘導を利用する発電装置、その他の発電装置を
を含んでもよい。
【0024】
温度差発電装置は、製造機械が動作し発熱するときに発電する。振動発電装置は、製造機械がモータ等の振動する部品を有し、かつ製造機械が動作し振動するときに発電する。光発電装置は、製造機械が製造機械の外面に装着され、且つ、工場内が点灯しているときに発電する。電磁波発電は機械装置やモータなど電磁波を発生しているものから発電する。電磁誘導はモータからの電磁誘導と専用コイルを用いる方法がある。この様に、温度差発電装置、振動発電装置及び光発電装置、電磁波、電磁誘導は発電条件が異なる。発電部は、相互を補うために、複数の異なるタイプの発電装置である温度差発電装置、振動発電装置及び光発電装置の内2つ以上を有してもよい。
【0025】
前記蓄電部は、キャパシタや全固体電池その他の二次電池でもよい。
【0026】
キャパシタや全固体電池はバッテリ(例えばリチウムイオンバッテリ)に比べてはるかに長寿命(半永久的)であり、且つ小型であるため、蓄電部はキャパシタや全固体電池であるのがよい。蓄電部がキャパシタや全固体電池であることで、子タグを小型化でき、子タグ及びセンサを実質的に半永久的に使用することが出来る。
【0027】
前記ステータスデータは、各子タグの前記無線通信部の電波強度をさらに含み、
前記電文は、前記電波強度をさらに含み、
前記GUIは、前記電文に含まれる前記センサ識別子に関連付けて前記電波強度をさらに表示してもよい。
【0028】
従って、ユーザがGUIを見て、電波強度が所定値より小さければ、子タグの無線通信部が親タグと通信するのに十分大きい電波強度を得られる位置に子タグを移動すればよい。
【0029】
センサシステムは、前記複数のセンサをさらに具備してもよい。
【0030】
センサは、子タグに外部接続されてもよいし、内蔵されてもよい。
【0031】
本発明のさらに別の形態によれば、上記センサシステムに含まれる、情報処理装置、子タグ及び親タグと、上記センサシステムが実行する情報処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、複数のセンサを時間的に同期して常時モニタし、且つ、センサに安定的に電源を供給し、無線でセンサ動作設定を変更できる、利便性と信頼性の高い無線センサを提供する。
【0033】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本開示の一実施形態に係るセンサシステムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
【0036】
1.センサシステムの構成
【0037】
図1は、本開示の一実施形態に係るセンサシステムの構成を示す。
【0038】
センサシステム1は、複数の子タグ100と、親タグ200と、情報処理装置300とを有する。
【0039】
複数の子タグ100は、セミアクティブセンサタグ(RFIDタグ)である。以下、一例として、取り付け対象物10を製造機械10として説明する。複数の子タグ100は、製造機械10に設置された複数のセンサ400にそれぞれ接続される。製造機械10は、例えば、製造工場に設置される工作機械でよい。複数のセンサ400は、振動センサ、温度センサ、圧力センサ、電流センサ、回転センサ、湿度センサ等異なる種別のセンサでよく、異なる製造元により提供されたセンサでもよい。1個の子タグ100に1個のセンサ400が接続されてもよいし、2以上のセンサ400が接続されてもよい。子タグ100及びセンサ400は、例えば粘着テープ(両面テープ)やボルトやネジやマグネットにより着脱可能に製造機械10に設置されてよい。センサシステム1は、複数のセンサ400を含んでもよい。センサ400は、子タグ100に外部接続されてもよいし、内蔵されてもよい。
【0040】
親タグ200は、典型的には外付けのアンテナ201を介して複数の子タグ100と無線通信可能である。親タグ200は、例えばUSB接続により情報処理装置300に接続される。親タグ200は、RFIDリーダであり、複数の子タグ100と無線通信可能である。親タグ200及び複数の子タグ100は、例えば、UHF(極超短波帯:860~920MHz)の周波数帯又はSHF(マイクロ波帯:2.45Ghz)を利用してよい。UHFは他の周波数帯に比べて通信距離が数mと長く、SHFは情報量が大きい。
【0041】
情報処理装置300は、専用コントローラやコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット等)である。情報処理装置300は、複数のセンサ400及び複数の子タグ100のデータを、複数の子タグ100及び親タグ200を介して収集し、収集したデータを示すGUIを表示装置320(内蔵又は外付け)に表示する。情報処理装置300のプロセッサ310は、データ収集部311、時間情報設定部312、表示制御部313として動作する。
【0042】
2.子タグの構成
【0043】
【0044】
子タグ100は、発電部110、蓄電部120、設置面130、プロセッサ150、アンテナ161を含む無線通信部160を有する。子タグ100は、セミアクティブ型センサ(RFID)タグである。セミアクティブ型センサ(RFID)タグである子タグ100のプロセッサ150は、RFIDリーダである親タグ200からの電波を無線通信部160を介して受信すると、発電部110が発電し蓄電部120が蓄電する電気により起動し、無線通信部160を介して親タグ200に電波を発信する。
【0045】
発電部110は、子タグ100が設置される製造機械10が発生するエネルギーを利用して発電する。具体的には、発電部110は、温度差発電装置111、振動発電装置112及び光発電装置113を含む。温度差発電装置111は、子タグ100が設置される製造機械10の発熱する部位(モータ等)の温度と外気温の温度差により発電する。振動発電装置112は、子タグ100が設置される製造機械10の振動する部位(モータ等)の振動により発電する。光発電装置113は、子タグ100の最表面に露出して設置されたソーラーパネル114を含み、子タグ100の周囲の光により発電する。温度差発電装置111は、製造機械10が動作し発熱するときに発電する。振動発電装置112は、製造機械10がモータ等の振動する部品を有し、かつ製造機械10が動作し振動するときに発電する。光発電装置113は、製造機械10が製造機械10の外面に装着され、且つ、工場内が点灯しているときに発電する。この様に、温度差発電装置111、振動発電装置112及び光発電装置113は発電条件が異なる。発電部110は、相互を補うために、複数の異なるタイプの発電装置である温度差発電装置111、振動発電装置112及び光発電装置113の内2つ以上を有してもよい。
【0046】
蓄電部120は、発電部110が発電した電気を蓄電する。蓄電部120は、典型的にはキャパシタや全固体電池であるが、バッテリでもよい。キャパシタや全固体電池はバッテリ(例えばリチウムイオンバッテリ)に比べてはるかに長寿命(半永久的)であり、且つ小型であるため、蓄電部120はキャパシタや全固体電池であるのがよい。蓄電部120がキャパシタや全固体電池であることで、子タグ100を小型化でき、子タグ100及びセンサ400を実質的に半永久的に使用することが出来る。また、子タグ100が発電部110及び蓄電部120を有することで、子タグ100及びセンサ400に有線で電気を供給する必要が無く、配線も不要となり、配線の断線により電源供給が絶たれるおそれもない。
【0047】
子タグ100は、取付け対象物10に設置される。設置面130は、ソーラーパネルの反対の面である。設置面130は、粘着テープ(両面テープ)やボルトやネジやマグネット等の装着部により取付け対象物10に着脱可能に設置される。
取付け対象物10は、製造機械・設備・乗り物・構造物などが考えられるが、これに限定しない。
【0048】
各子タグ100の設定書き換えが常時可能な状態で運転することができ、安全性を高めて、データのやり取り高速化と消費電流をおさえる目的などを含めた対策を取った、スイッチを設けた子タグ100にしたことにより、書き換えを不用意にできないようにしてよい。常に書き換えのできる状態は、システム的に悪意のある場合には防ぐことができない。その対策として書き換え時は、書き換えモードスイッチを物理的に付けたことを特徴とする。この物理スイッチは様々な方法が考えられるが、接点式スイッチに限らず無接点スイッチなどこの限りではない。
【0049】
3.センサシステムの動作
【0050】
【0051】
情報処理装置300のデータ収集部311は、定期的なサンプリング周期で、親タグ200に、データ収集要求とセンシング内容・周期などの設定パラメータを送信する(ステップS1)。サンプリング周期、チャネル、取得サンプル数等は、情報処理装置300のUIを用いてユーザが予め設定可能でよい。
【0052】
親タグ200は、情報処理装置300の要求を受けて、複数の子タグ100にデータ送信リクエストとセンシング内容・周期などの設定パラメータとを送信する。定期的(数ミリ秒毎)に送信してもよい(ステップS2)。具体的には、親タグ200は、複数の子タグ100それぞれに対してユニキャストでデータ送信リクエストを順に送信する。複数の子タグ100に対するデータ送信リクエストの送信インターバルは例えば数マイクロ秒であり、実質的に同時と見做し得ることができ無視できる程度である。
【0053】
子タグ100のプロセッサ150は、親タグ200からのデータ送信リクエストと設定パラメータとを受信すると、蓄電部120に蓄電された電気により駆動する。プロセッサ150は、蓄電部120に蓄電された電気によりセンサ400を駆動し(ステップS3)、センサ400のセンサ値を読み出す(ステップS4)。プロセッサ150は、親タグ200に送信されるステータスデータを受信した設定内容に応じて取得し、生成する(ステップS5)。ステータスデータは、センサ400及び子タグ100のステータスを示し、具体的には、センサ400のセンサ識別子及びセンサ値、発電部110の発電量を示す電圧値、無線通信部160の電波強度を含む。子タグ100のプロセッサ150は、生成したステータスデータを、無線通信部160を介して親タグ200に送信する(ステップS6)。
【0054】
親タグ200は、アンテナ201を介して、複数の子タグ100から複数のステータスデータを順次受信する。親タグ200は、特定の子タグ100にデータ送信リクエストを送信してから所定期間経過してもその子タグ100からステータスデータを受信しなければ、その子タグ100に所定回数データ送信リクエストを送信(リトライ)する。親タグ200は、複数の子タグ100から受信した複数のステータスデータを含む電文を生成する(ステップS7)。即ち、電文は、複数の子タグ100それぞれの、センサ400のセンサ識別子及びセンサ値、電圧値及び電波強度を含む。親タグ200は、電文を情報処理装置300に送信する(ステップS8)。
【0055】
親タグ200がセンシング内容・周期変更などの設定パラメータを送信した際に、正常に受信と設定変更が行われたことを子タグ100が親タグ200に通知し、子タグ100がセンサ識別値及びセンサ値を含むステータスデータを送信した際に、正常に受信が行われたことを親タグ200が子タグ100に通知し、通知が確認できない場合には再送信を要求することが可能である。
【0056】
情報処理装置300のデータ収集部311は、親タグ200から電文を受信する。情報処理装置300の時間情報設定部312は、電文に含まれる複数のステータスデータに含まれる複数のセンサ値に共通のタイムスタンプを付与する(ステップS9)。言い換えれば、情報処理装置300は、電文に含まれる複数のセンサ値を同時刻のセンサ値であると見做す。
【0057】
情報処理装置300の表示制御部313は、GUIを生成し、GUIを表示装置320に表示する(ステップS10)。GUIは、電文に含まれる複数のステータスデータに含まれる複数のセンサ値を共通の時間情報に対して整列して表示するものであり、具体的には、時系列グラフやテーブルでよい。情報処理装置300は、AI等を用いたアラート表示、解析・分析、判断、行動指示などにセンサデータを利用可能でよい。
【0058】
GUIは、さらに、電圧値を表示する。電圧値は、電文に含まれるセンサ識別子に関連付けて表示され、子タグ100の発電部110の発電量を示す。従って、ユーザがGUIを見て、電圧値が要求されるセンサデータを取得するのに必要な所定値より小さければ、子タグ100の発電部110が十分大きい発電量を得られる設置位置に子タグ100を移動すればよい。
また、センサー動作に対し、十分な量の電圧値が得られる場合には、無線で子タグ100の設定を変更し、さらに細かくデータ収集をする、センサの種類を増やし分析の精度を上げるといった、データの利便性と信頼性を高めた使い方をすることもできる。
【0059】
GUIは、さらに、電波強度を表示する。電波強度は、電文に含まれるセンサ識別子に関連付けて表示、子タグ100の無線通信部160の電波強度を示す。従って、ユーザがGUIを見て、電波強度が所定値より小さければ、子タグ100の無線通信部160が親タグ200と通信するのに十分大きい電波強度を得られる位置に子タグ100を移動すればよい。
【0060】
本発明によれば、複数のセンサ400を時間的に同期して常時モニタし、且つ、センサ400に安定的に電源を供給することができる。
【0061】
4.GUIの例
【0062】
【0063】
GUI500は、時系列グラフ510-540及びテーブル550を示す。時系列グラフ510-540及びテーブル550は、異なるセンサ400から得られた複数のセンサ値(xyz3軸の振動センサ値)を、共通の時間情報(グラフ横軸、時間カラム551)に対して同期して表示する。テーブル550の時間カラム551に示される時間情報は、タイムスタンプ(ステップS9)が示す時間情報である。
【0064】
具体的には、時系列グラフ510及びテーブル550のカラム552は、xyz3軸の平均(Average)の値(mG)を同期して示す。時系列グラフ520及びテーブル550のカラム553は、xyz3軸のピーク(Peak)の値(mG)を同期して示す。時系列グラフ530及びテーブル550のカラム554は、xyz3軸の実効値(RMS)の値(mG)を同期して示す。時系列グラフ540及びテーブル550のカラム555は、xyz3軸の波高率(CF)の値(mG)を同期して示す。
【0065】
【0066】
GUI600は、時系列グラフ610及びテーブル620を示す。時系列グラフ610及びテーブル620は、異なるセンサ400から得られた複数のセンサ値622(複数個個の温度センサ値)を、共通の時間情報(グラフ横軸、時間カラム621)に対して同期して表示する。テーブル620の時間カラム621に示される時間情報は、タイムスタンプ(ステップS9)が示す時間情報である。
【0067】
得られたセンサーデータは、情報処理装置300を用いてデータベース化することで、AI等を用いた分析・解析に利用することができ、閾値設定を超えた際に警報を出力する、設備の修理、部品交換などのメンテナンス予測・計画を行うといった使い方も可能となる。
【0068】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
1 センサシステム
10 取り付け対象物(製造機械)
100 子タグ
110 発電部
111 温度差発電装置
112 振動発電装置
113 光発電装置
120 蓄電部
130 設置面
150 プロセッサ
160 無線通信部
200 親タグ
201 アンテナ
300 情報処理装置
310 プロセッサ
311 データ収集部
312 時間情報設定部
313 表示制御部
320 表示装置
400 センサ
【要約】
【課題】複数のセンサを時間的に同期して常時モニタし、且つ、センサに安定的に電源を供給し、無線でセンサ動作設定を変更できる、信頼性ある無線センサを提供する。
【解決手段】各子タグのプロセッサは、データ送信リクエストを受信すると、子タグに接続されたセンサのセンサ識別子及びセンサ値を含むステータスデータを、無線通信部を介して親タグに送信し、親タグは、複数の子タグから複数のステータスデータを受信し、複数のステータスデータを含む電文を生成し、電文を情報処理装置に送信し、情報処理装置は、電文を受信し、電文に含まれる複数のステータスデータに含まれる複数のセンサ値を共通の時間情報に対して同期して表示するGUIを生成し、表示装置に出力し、対象物の分析・解析・制御などにセンサデータを利用する。
【選択図】
図4