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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】診断システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20240814BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B25J19/06
G05B23/02 T
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023517183
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2022014953
(87)【国際公開番号】W WO2022230532
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021073847
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】安藤 清
(72)【発明者】
【氏名】白田 卓也
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-177255(JP,A)
【文献】特開2020-021292(JP,A)
【文献】特開2003-205484(JP,A)
【文献】特開2021-047183(JP,A)
【文献】国際公開第2018/073955(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0088766(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/08-19/06
G01H 17/00
G05B 15/00-23/02
G06M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を受けて駆動する可動部を有する機器の動作条件を識別可能な動作条件情報を取得する動作条件情報取得部と、
前記機器に設置された複数のセンサの検知結果を取得する検知結果取得部と、
第1時点において取得された前記動作条件情報と、前記第1時点において取得された前記複数のセンサの検知結果とをシミュレーションモデルに入力することにより、前記複数のセンサのうち特定のセンサの第2時点における検知結果を推定する検知結果推定部と、
推定された前記第2時点における前記特定のセンサの検知結果と、前記第2時点において取得された前記複数のセンサのうち前記特定のセンサの検知結果とを比較して、前記特定のセンサの状態を推定するセンサ状態推定部と、
前記複数のセンサの検知結果に基づいて、前記機器の劣化度合いを推定する劣化推定部と、
前記劣化推定部により推定された前記機器の劣化度合いに基づいて、前記シミュレーションモデルを更新する更新部と、
を備える診断システム。
【請求項2】
前記センサ状態推定部は、前記劣化推定部により推定された前記機器の劣化度合いが所定の閾値以上である場合に、前記特定のセンサの状態を推定する
請求項に記載の診断システム。
【請求項3】
前記複数のセンサは、それぞれの設置位置の振動を検知するものであり、
前記劣化推定部は、前記複数のセンサの検知結果に基づいて算出されるセンサ設置位置での振動収束時間と、前記動作条件情報とに基づいて推定した振動収束時間とを比較して、前記機器の劣化度合を推定する
請求項1または2に記載の診断システム。
【請求項4】
前記検知結果推定部は、前記複数のセンサのうち前記特定のセンサ以外のセンサの検知結果を前記シミュレーションモデルに入力することにより、前記特定のセンサの第2時点における検知結果を推定する
請求項1からのいずれかに記載の診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、推定部が、第2力検出部による検出結果に基づいて、第1力検出部が検出する力の向きおよび大きさを推定し、異常判断部が、推定部による推定結果と、第1力検出部による検出結果とを比較することにより、第1力検出部と第2力検出部の少なくとも一方が異常であるか否かを判断する作業装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-39397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術は、第1センサの検知結果から第2センサの検知結果を推定するものであり、その推定精度の向上が求められる。
【0005】
本発明は本発明者の上記課題認識に基づいてなされたものであり、1つの目的は、駆動力を受けて駆動する可動部を有する機器に設置されたセンサの検知結果を推定する精度を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の診断システムは、駆動力を受けて駆動する可動部を有する機器の動作条件を識別可能な動作条件情報を取得する動作条件情報取得部と、機器に設置された複数のセンサの検知結果を取得する検知結果取得部と、第1時点において取得された動作条件情報と、第1時点において取得された複数のセンサの検知結果とをシミュレーションモデルに入力することにより、複数のセンサのうち特定のセンサの第2時点における検知結果を推定する検知結果推定部と、推定された第2時点における特定のセンサの検知結果と、第2時点において取得された複数のセンサのうち特定のセンサの検知結果とを比較して、特定のセンサの状態を推定するセンサ状態推定部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を、装置、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、駆動力を受けて駆動する可動部を有する機器に設置されたセンサの検知結果を推定する精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例の診断システムの構成を示す図である。
図2】第1実施例のセンサ装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図3】第1実施例の診断装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図4】第1実施例の診断システムの動作を示すフローチャートである。
図5】第2実施例の診断装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図6】第2実施例の診断システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施例の概要を説明する。工作機械等の機器の状態を遠隔から診断可能なように、機器へのセンサ設置が進んでいる。しかしながら、センサに対する適切な診断を行うためには、センサが信頼できる状態であるか否かを高精度に判断する必要がある。実施例では、機器に設置されたセンサの検知結果を推定し、その推定結果を用いて当該センサの状態を推定する診断システムにおいて、機器の動作条件を加味してセンサの検知結果を推定する技術を提案する。これにより、センサの検知結果の推定精度を向上させ、当該センサの状態の推定結果を向上させる。
【0011】
<第1実施例>
図1は、第1実施例の診断システム10の構成を示す。診断システム10は、駆動力を受け付けて駆動する可動部を有する機器(第1実施例ではロボットアーム12)に設置されたセンサの状態を診断する。ロボットアーム12は、第1可動部14a、第2可動部14b、第3可動部14c(総称する場合、「可動部14」と呼ぶ。)を備える。複数の可動部14のそれぞれは、油圧や電力等の駆動力を受けて駆動する機械要素を含み、例えば関節部材である。実施例のロボットアーム12は、3つの可動部14を備え、3軸の動作を行うが、変形例として、ロボットアーム12は、6つの可動部14を備え、6軸の動作を行うものであってもよい。
【0012】
ロボットアーム12は、第1リンク16a、第2リンク16b、第3リンク16c(総称する場合、「リンク16」と呼ぶ。)をさらに備える。第1リンク16aは、第1可動部14aと第2可動部14bを連結するリンク部材である。第2リンク16bは、第2可動部14bと第3可動部14cを連結するリンク部材である。第3リンク16cは、第3可動部14cより先のリンク部材である。
【0013】
ロボットアーム制御装置18は、ロボットアーム12にとらせるべき姿勢や動作等に基づいて、第1可動部14aの動作を制御する第1制御信号を第1可動部14aへ送信する。また、ロボットアーム制御装置18は、第2可動部14bの動作を制御する第2制御信号を第2可動部14bへ送信する。また、ロボットアーム制御装置18は、第3可動部14cの動作を制御する第3制御信号を第3可動部14cへ送信する。第1制御信号、第2制御信号、第3制御信号のそれぞれは、各可動部14の動作条件を定めた動作条件情報を含む。動作条件は、例えば、可動部14の動作の態様(例えば速度、角度、角速度、加速度、動作時間等)を指定または規定するデータを含む。
【0014】
診断システム10は、ロボットアーム12の動作に関する主系システムとは独立して構築された傍系システムであり、既存の主系システムに対して後から付加することができる。診断システム10は、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20c、診断装置22を備える。第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cを総称する場合、「センサ装置20」と呼ぶ。
【0015】
図2は、第1実施例のセンサ装置20の機能ブロックを示すブロック図である。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0016】
センサ装置20は、銘板として、所定の物理構造を有する物品(以下「対象物」とも呼ぶ。)の表面に取り付けられる。対象物は、様々な種類の電子機器、電気機器、機械装置、部品または完成品であってもよい。第1実施例では、複数のセンサ装置20は、ロボットアーム12のリンク16に設置されることとするが、変形例として、複数のセンサ装置20の少なくとも一部は、ロボットアーム12の可動部14に設置されてもよい。センサ装置20は、検知部30、処理部32、環境発電部34、蓄電部36、アンテナ38を備える。
【0017】
センサ装置20は、銘板として、外側の面(図2の印字面)に対象物に関する様々な情報を表示する。また、センサ装置20において、図2に示す各機能ブロックに対応する部材はシート状に一体に設けられる。シート状とは、センサ装置20の厚み方向の長さが、センサ装置20の縦方向の長さと横方向の長さのいずれよりも短いことを意味する。例えばセンサ装置20の縦方向の長さと横方向の長さが数センチメートルであるときに、センサ装置20の厚み方向の長さが5ミリメートル以下である。また望ましくはセンサ装置20の厚み方向の長さが1ミリメートル以下である。
【0018】
検知部30は、対象物に接触または近接するよう設けられ、対象物に関する状態(物理量とも言える)を計測する。第1センサ装置20aの検知部30は、ロボットアーム12における第1センサ装置20a設置位置であり、第1実施例ではロボットアーム12における第1リンク16aに関する状態を計測する。第2センサ装置20bの検知部30は、ロボットアーム12における第2センサ装置20b設置位置であり、第1実施例ではロボットアーム12における第2リンク16bに関する状態を計測する。第3センサ装置20cの検知部30は、ロボットアーム12における第3センサ装置20c設置位置であり、第1実施例ではロボットアーム12における第3リンク16cに関する状態を計測する。
【0019】
検知部30により計測される対象物に関する状態は、対象物そのものの状態(対象物の内部または表面のいずれか一方または両方の状態)と対象物の周囲(言い換えれば対象物を取り巻く環境)の状態のいずれか一方、または両方であってもよい。また、対象物に関する状態は、1つの種類の物理的状態または物理量であってもよく、複数の種類の物理的状態または物理量の組合せであってもよい。例えば、対象物に関する状態は、振動(例えば3軸加速度)および/または温度であってもよい。また、対象物に関する状態は、対象物に設けられた動力伝達経路内を流れる流体の速度および/または圧力であってもよく、これらは、超音波または電波の反射強度をもとに計測されてもよい。
【0020】
第1実施例では、検知部30は、センサ設置位置(センサ設置箇所とも言える)の振動を計測する。検知部30は、計測結果(検知結果)に基づく信号(「検知信号」とも呼ぶ。)を処理部32へ出力する。
【0021】
処理部32は、検知部30の計測結果であり、実施例では検知部30から出力された検知信号をもとにアンテナ38から出力される情報(以下「センサデータ」とも呼ぶ。)を生成する。処理部32は、検知部30から出力された検知信号をもとに所定の演算(例えば各種フィルタ処理や、人工知能機能による異常診断処理等)を実行し、その演算結果を含むセンサデータを生成してもよい。
【0022】
アンテナ38は、出力部として、検知部30の計測結果に基づくデータであり、実施例では処理部32が生成したセンサデータを外部へ出力する。アンテナ38は、通信部として、Wi-Fi(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))またはNFC(Near Field Communication)等を利用して、センサデータを外部装置へ送信してもよい。実施例では、センサ装置20のアンテナ38から送信されたセンサデータは、無線通信網および有線通信網を介して診断装置22へ伝送される。
【0023】
環境発電部34は、センサ装置20の周囲の環境に存在するエネルギーを電力に変換(いわゆる環境発電)し、発電した電力を、センサ装置20の各機能ブロックを動作させるための電力として供給する。環境発電部34は、温度、湿度、Wi-Fi等の電波、センサ装置20の周囲からの電磁波(放射線や宇宙線を含み、電動モータ等から発せされる電磁ノイズも含む)、振動、音(超音波含む)、光(可視光、赤外光、紫外線を含む)、流体や粉体の流れ(風や波など)のうち少なくとも1つのエネルギーをもとに公知の環境発電を行ってもよい。なお、アンテナ38は、環境発電部34の機能を含んでもよく、この場合、アンテナ38は、データ通信と環境発電を時分割で実行してもよい。
【0024】
蓄電部36は、環境発電部34により発電された電気を蓄積し、蓄積した電力を、センサ装置20の各機能ブロックを動作させるための電力として供給する。実施例では、センサ装置20の検知部30、処理部32、アンテナ38は、環境発電部34から供給された電力をもとに動作可能であり、蓄電部36から供給された電力によっても動作可能である。蓄電部36は、キャパシタ(電気二重層コンデンサを含む)であってもよく、二次電池(例えばリチウムイオン電池、固体リチウムイオン電池、空気電池)であってもよい。
【0025】
図1に戻り、診断装置22は、不図示のアクセスポイントやスイッチ、ルータ等により構成される無線通信網および有線通信網を介して、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cと接続される情報処理装置である。診断装置22は、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cの中の特定のセンサ装置20の状態を診断するためのデータ処理を実行する。以下、状態を診断する対象となる特定のセンサ装置20を「診断対象センサ」と呼ぶ。第1実施例での診断対象センサは、第3センサ装置20cである。
【0026】
図3は、第1実施例の診断装置22の機能ブロックを示すブロック図である。診断装置22は、制御部40、記憶部42、通信部44を備える。制御部40は、各種データ処理を実行する。記憶部42は、制御部40により参照または更新されるデータを記憶する。通信部44は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。第1実施例では、制御部40は、通信部44を介して、ロボットアーム制御装置18、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cとデータを送受信する。
【0027】
記憶部42は、モデル記憶部46と診断情報記憶部48を含む。モデル記憶部46は、診断対象センサの検知結果を推定するシミュレーションモデルのデータを記憶する。シミュレーションモデルの詳細は後述する。診断情報記憶部48は、診断対象センサの状態に関する推定結果を示す診断情報を記憶する。診断情報は、診断結果としての診断対象センサの状態(例えば正常または異常)を示す情報と、診断対象センサの状態が診断された日時を示す情報を含んでもよい。
【0028】
制御部40は、動作条件情報取得部50、検知結果取得部52、検知結果推定部54、センサ状態推定部56、診断情報提供部58を含む。これら複数の機能ブロックの機能が実装されたコンピュータプログラムは、所定の記録媒体に格納されてもよく、その記録媒体を介して診断装置22のストレージにインストールされてもよい。また、上記コンピュータプログラムは、通信網を介してダウンロードされ、診断装置22のストレージにインストールされてもよい。診断装置22のCPUは、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、各機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0029】
動作条件情報取得部50は、ロボットアーム制御装置18からロボットアーム12へ送信された、複数の可動部14の動作条件を識別可能な複数の動作条件情報(第1実施例では第1制御信号、第2制御信号、第3制御信号)をロボットアーム制御装置18から取得する。変形例として、動作条件情報取得部50は、ロボットアーム制御装置18から送信された上記複数の動作条件情報をロボットアーム12から取得してもよく、ロボットアーム制御装置18とロボットアーム12の通信を中継する中継装置(不図示)から取得してもよい。
【0030】
検知結果取得部52は、ロボットアーム12に設置された複数のセンサ装置20の検知結果を取得する。具体的には、検知結果取得部52は、第1センサ装置20aから送信された、第1センサ装置20aの検知結果を示す第1センサデータ、第2センサ装置20bから送信された、第2センサ装置20bの検知結果を示す第2センサデータ、第3センサ装置20cから送信された、第3センサ装置20cの検知結果を示す第3センサデータを取得する。第1実施例の第1センサデータ、第2センサデータ、第3センサデータはいずれも、センサ設置位置の振動に関する情報(例えば振幅と周波数)を含む。
【0031】
ここで第1実施例のシミュレーションモデルを説明する。シミュレーションモデルは、第1時点において取得された動作条件情報と、その第1時点において取得された複数のセンサデータが示す複数のセンサ装置20の検知結果(第1実施例では振動情報)とを入力として受け付け、複数のセンサ装置20の中で予め定められた診断対象センサの第2時点における検知結果を推定する数理モデルである。数理モデルは、計算式とも言え、関数とも言える。また、シミュレーションモデルは、ロボットアーム12の可動部14の動作と、センサ装置20の検知結果を模擬するいわゆるデジタルツインのモデルであってもよい。第1実施例における第2時点は、第1時点と同じ時点とするが、変形例として、第2時点は、第1時点より後の時点であってもよい。
【0032】
第1実施例のシミュレーションモデルは、複数の可動部14の動作条件が入力される数理モデルである。また、第1実施例のシミュレーションモデルは、複数のセンサ装置20のうち診断対象センサ以外のセンサ装置20の検知結果が入力される数理モデルである。例えば、シミュレーションモデルは、第1制御信号が示す動作条件、第2制御信号が示す動作条件、第3制御信号が示す動作条件、第1センサデータが示す第1センサ装置20aの検知結果、第2センサデータが示す第2センサ装置20bの検知結果を説明変数とし、診断対象センサである第3センサ装置20cの検知結果を目的変数とする回帰式であってもよい。
【0033】
第1実施例のシミュレーションモデルの構築時、第1制御信号が示す動作条件、第2制御信号が示す動作条件、第3制御信号が示す動作条件、第1センサデータが示す第1センサ装置20aの検知結果、第2センサデータが示す第2センサ装置20bの検知結果、第3センサデータが示す第3センサ装置20cの検知結果について、これらの実際の値の組が、サンプルデータとして収集されてもよい。そして、複数のサンプルデータをもとに重回帰分析を行うことで、各説明変数の係数が決定され、シミュレーションモデルのデータが生成されてもよい。
【0034】
検知結果推定部54は、モデル記憶部46に記憶されたシミュレーションモデルのデータを読み出し、第1時点において取得された動作条件情報と、第1時点において取得された複数のセンサ装置20の検知結果とをシミュレーションモデルに入力することにより、診断対象センサの第2時点における検知結果を推定する。第1実施例では、検知結果推定部54は、複数の可動部14の動作条件をシミュレーションモデルに入力する。また、検知結果推定部54は、複数のセンサ装置20のうち診断対象センサ以外のセンサの検知結果をシミュレーションモデルに入力する。
【0035】
具体的には、検知結果推定部54は、第1時点において取得された第1制御信号が示す動作条件、第2制御信号が示す動作条件、第3制御信号が示す動作条件をシミュレーションモデルに入力する。また、検知結果推定部54は、第1時点において取得された第1センサデータが示す第1センサ装置20aの検知結果、第2センサデータが示す第2センサ装置20bの検知結果をシミュレーションモデルに入力する。そして、検知結果推定部54は、シミュレーションモデルから出力された、診断対象センサである第3センサ装置20cの第2時点における検知結果(第1実施例では振動に関する推定値)を取得する。
【0036】
センサ状態推定部56は、検知結果推定部54により推定された第2時点における診断対象センサの検知結果と、その第2時点において取得された診断対象センサの検知結果とを比較して、診断対象センサの状態を推定する。
【0037】
第1実施例では、センサ状態推定部56は、第2時点における診断対象センサの検知結果として、第2時点における第3センサ装置20cの検知結果の推定値と、第2時点において取得された診断対象センサの検知結果として、第2時点において取得された第3センサデータが示す第3センサ装置20cの実際の検知結果(計測値)とを比較する。センサ状態推定部56は、第3センサ装置20cの検知結果の推定値と、第3センサ装置20cの実際の検知結果(計測値)との差が所定の許容範囲を逸脱している場合、第3センサ装置20cの状態が異常であると推定する。この許容範囲は、診断システム10の開発者の知見や、診断システム10を用いた実験(例えば、正常な第3センサ装置20cと異常な第3センサ装置20cのそれぞれを用いた実験等)により適切な値が決定されてよい。
【0038】
センサ状態推定部56は、診断対象センサの状態の推定結果と、推定日時とを含む診断情報を診断情報記憶部48に格納する。診断情報提供部58は、外部からの要求に対する応答として、または定期的に、診断情報記憶部48に記憶された診断情報を不図示の外部装置(例えば保守者の端末等)へ送信する。
【0039】
以上の構成による第1実施例の診断システム10の動作を説明する。
図4は、第1実施例の診断システム10の動作を示すフローチャートである。ここでは、第1時点と第2時点は同じ時点であるとして説明する。
【0040】
第1センサ装置20aの検知部30は、定期的に、ロボットアーム12における当該センサ設置位置の振動を検知する。第1センサ装置20aのアンテナ38は、検知部30による検知結果を示す第1センサデータを診断装置22へ送信する。これと並行して、第2センサ装置20bも、センサ設置位置の振動を検知し、その検知結果を示す第2センサデータを診断装置22へ送信する。同様に、第3センサ装置20cも、センサ設置位置の振動を検知し、その検知結果を示す第3センサデータを診断装置22へ送信する。診断装置22の検知結果取得部52は、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cから定期的に送信された第1センサデータ、第2センサデータ、第3センサデータを取得する(S10)。
【0041】
診断装置22の動作条件情報取得部50は、或る時点(第1時点)においてロボットアーム制御装置18がロボットアーム12へ送信した第1制御信号、第2制御信号、第3制御信号をロボットアーム制御装置18から取得する(S12)。
【0042】
診断装置22の検知結果推定部54は、第1時点において動作条件情報取得部50が取得した第1制御信号が示す第1可動部14aの動作条件、第2制御信号が示す第2可動部14bの動作条件、第3制御信号が示す第3可動部14cの動作条件、第1時点において検知結果取得部52が取得した第1センサデータが示す検知結果、第2センサデータが示す検知結果をシミュレーションモデルに入力する。検知結果推定部54は、シミュレーションモデルにより推定された、第2時点(ここでは第1時点と同じ時点)の診断対象センサ(第3センサ装置20c)の検知結果(推定値)を取得する(S14)。
【0043】
診断装置22のセンサ状態推定部56は、シミュレーションモデルから得られた、第3センサ装置20cの検知結果(推定値)と、第1時点において検知結果取得部52が取得した第3センサデータが示す検知結果(実際の計測値)とを比較して、診断対象センサである第3センサ装置20cの状態を推定する(S16)。センサ状態推定部56は、第3センサ装置20cの状態の推定結果を示す診断情報を診断情報記憶部48に格納する。診断装置22の診断情報提供部58は、診断情報記憶部48に記憶された第3センサ装置20cに関する診断情報を外部装置へ提供する(S18)。
【0044】
第1実施例の診断システム10によると、ロボットアーム12の可動部14の動作条件を含むパラメータを用いて、ロボットアーム12に設置された診断対象のセンサ装置20による検知結果を推定することにより、その推定精度を高めることができる。すなわち、診断システム10によると、診断対象のセンサ装置20が正常である場合の検知結果に近似する推定値を得ることができる。また、これにより、診断対象のセンサ装置20の状態の推定精度を高めることができる。
【0045】
<第2実施例>
本発明の第2実施例について、上記の実施例と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を適宜省略する。第2実施例の特徴は、上記の実施例および変形例の特徴と任意の組合せが可能であることはもちろんである。第2実施例の構成要素のうち上記の実施例の構成要素と同一または対応する構成要素には適宜、同一の符号を付して説明する。
【0046】
第2実施例の診断システム10の構成は、図1に示した第1実施例の診断システム10の構成と同じである。第2実施例の診断システム10も、第1実施例の診断システム10と同様に、ロボットアーム12に設置されたセンサ装置20の状態を診断する。図5は、第2実施例の診断装置22の機能ブロックを示すブロック図である。第2実施例の診断装置22は、第1実施例の診断装置22の機能ブロックに加えて、劣化推定部60と更新部62をさらに備える。
【0047】
モデル記憶部46は、第1実施例で説明したシミュレーションモデルのデータに加えて、ロボットアーム12の劣化度合いを推定する劣化推定モデルのデータをさらに記憶する。劣化推定モデルは、複数のセンサ装置20の検知結果を示す複数のセンサデータ(第1センサデータ、第2センサデータ、第3センサデータ)を入力として受け付け、ロボットアーム12の劣化度合いを推定する数理モデルである。第2実施例の第1センサデータ、第2センサデータ、第3センサデータは、第1実施例と同様に、センサ設置位置の振動に関する情報であってもよい。
【0048】
例えば、劣化推定モデルは、第1センサデータが示す第1センサ装置20aの検知結果、第2センサデータが示す第2センサ装置20bの検知結果、第3センサデータが示す第3センサ装置20cの検知結果を説明変数とし、ロボットアーム12の劣化度合いを示す劣化指標値を目的変数とする回帰式であってもよい。劣化推定モデルの構築時、第1センサ装置20aの検知結果、第2センサ装置20bの検知結果、第3センサ装置20cの検知結果、ロボットアーム12の劣化度合いについて、これらの実際の値の組がサンプルデータとして収集されてもよい。そして、複数のサンプルデータをもとに重回帰分析を行うことで、各説明変数の係数が決定され、劣化推定モデルのデータが生成されてもよい。
【0049】
また、モデル記憶部46は、ロボットアーム12の劣化度合いに応じた複数のシミュレーションモデルのデータを記憶する。複数のシミュレーションモデルは、互いに劣化度合いが異なるロボットアーム12から収集されたサンプルデータ(第1実施例に記載)に基づいて生成されてもよい。モデル記憶部46は、複数の劣化指標値に対応付けて、それぞれの劣化指標値が示す劣化度合いに適合するシミュレーションモデルを記憶してもよい。
【0050】
劣化推定部60は、複数のセンサ装置20の検知結果に基づいて、ロボットアーム12の劣化度合いを推定する。具体的には、劣化推定部60は、モデル記憶部46に記憶された劣化推定モデルのデータを読み出し、複数のセンサ装置20から送信された、複数のセンサ装置20の検知結果を劣化推定モデルに入力することにより、ロボットアーム12の劣化度合いを推定する。
【0051】
更新部62は、劣化推定部60により推定されたロボットアーム12の劣化度合いに基づいて、検知結果推定部54により使用されるシミュレーションモデルを更新する。第2実施例では、モデル記憶部46に記憶された複数のシミュレーションモデルの中から、劣化推定部60により推定されたロボットアーム12の劣化度合いに適合するシミュレーションモデルのデータを読み出し、読み出したシミュレーションモデルのデータを検知結果推定部54に渡す。
【0052】
検知結果推定部54は、更新部62により更新されたシミュレーションモデルであり、第2実施例では、更新部62から渡された、ロボットアーム12の劣化度合いに適合するシミュレーションモデルを用いて、診断対象センサの検知結果を推定する。
【0053】
センサ状態推定部56は、ロボットアーム12の劣化度合いが所定の閾値以上である場合に診断対象センサの状態を推定する。なお、ロボットアーム12の劣化度合いが所定の閾値以上であることを条件として、検知結果推定部54が診断対象センサの検知結果を推定することにより、結果的に、センサ状態推定部56が診断対象センサの状態を推定することになる。この閾値は、診断システム10の開発者の知見や、診断システム10を用いた実験、また、ロボットアーム12の劣化度合いごとのセンサ故障確率等に基づいて適切な値が決定されてもよい。
【0054】
以上の構成による第2実施例の診断システム10の動作を説明する。
図6は、第2実施例の診断システム10の動作を示すフローチャートである。第1実施例と同様に、診断装置22の検知結果取得部52は、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cから定期的に送信された第1センサデータ、第2センサデータ、第3センサデータを取得する(S20)。診断装置22の劣化推定部60は、第1センサデータが示す第1センサ装置20aの検知結果、第2センサデータが示す第2センサ装置20bの検知結果、第3センサデータが示す第3センサ装置20cの検知結果を劣化推定モデルに入力する。劣化推定部60は、劣化推定モデルを用いて導出された、ロボットアーム12の劣化度合いを示す劣化指標値を取得する(S22)。
【0055】
診断装置22の動作条件情報取得部50は、或る時点(第1時点)においてロボットアーム制御装置18がロボットアーム12へ送信した第1制御信号、第2制御信号、第3制御信号をロボットアーム制御装置18から取得する(S24)。ロボットアーム12の劣化度合いが所定の閾値以上の場合(S26のY)、更新部62は、ロボットアーム12の劣化度合いに応じたシミュレーションモデルのデータであり、言い換えれば、S22で取得された劣化指標値に対応付けられたシミュレーションモデルのデータをモデル記憶部46から読み出して、検知結果推定部54に渡す(S28)。
【0056】
以降のS30~S34の処理は、図4に示した第1実施例の診断システム10のS14~18の処理と同じであるため説明を省略する。ロボットアーム12の劣化度合いが上記閾値未満であれば(S26のN)、S28以降の処理をスキップする。第2実施例の診断システム10によると、ロボットアーム12の劣化度合いに応じたシミュレーションモデルを使用することで、診断対象センサの検知結果の推定精度を向上することができる。また、診断システム10によると、ロボットアーム12の劣化が一定程度進行した場合に診断対象センサの状態を推定することで、当該センサの異常を効率的に検出できる。
【0057】
以上、本発明を第1実施例、第2実施例をもとに説明した。各実施例は例示であり、各実施例に記載の構成要素や処理プロセスの組合せにはいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0058】
第1変形例として、第2実施例に関する変形例を説明する。
ロボットアーム12に設置された複数のセンサ装置20は、第1実施例と同様に、それぞれのセンサ設置位置の振動を検知するものである。診断装置22の劣化推定部60は、複数のセンサ装置20の検知結果に基づいて算出されるセンサ設置位置での振動収束時間と、動作条件情報とに基づいて推定した振動収束時間とを比較して、ロボットアーム12の劣化度合いを推定する。
【0059】
具体的には、モデル記憶部46に記憶される劣化推定モデルは、複数のセンサ装置20それぞれの検知結果の入力を受け付け、各センサ装置20の設置位置の振動収束時間(計測値)を導出してもよい。振動収束時間は、振動が継続する時間とも言え、公知の基準をもとに導出されてもよい。例えば、振動収束時間は、予め定められた第1閾値以上の大きさの振動が検知されてから、第1閾値以下の第2閾値以上の振動が未検知となるまでの時間であってもよい。また、劣化推定モデルは、第1制御信号、第2制御信号、第3制御信号のそれぞれが示す動作条件情報の入力を受け付け、予め定められた評価関数に基づいて、各センサ装置20の設置位置の振動収束時間(推定値)を算出してもよい。評価関数は、動作条件情報が示す動作条件ごとに、各動作条件に予め対応付けられた、センサ設置位置の振動収束時間を出力するものであってもよい。
【0060】
劣化推定モデルは、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cのそれぞれについて、各センサ設置位置の振動収束時間(計測値)と振動収束時間(推定値)とを比較し、比較結果に基づいて、ロボットアーム12の劣化度合いを推定してもよい。例えば、0または1のセンサ設置位置において振動収束時間(計測値)>振動収束時間(推定値)となる場合、劣化度合いが低いと推定してもよい。また、2つのセンサ設置位置において振動収束時間(計測値)>振動収束時間(推定値)となる場合、劣化度合いが中程度と推定してもよい。また、3つのセンサ設置位置において振動収束時間(計測値)>振動収束時間(推定値)となる場合、劣化度合いが高いと推定してもよい。
【0061】
診断装置22の劣化推定部60は、複数のセンサ装置20から送信された複数のセンサデータのそれぞれが示すセンサ設置位置の振動情報を劣化推定モデルに入力する。また、劣化推定部60は、ロボットアーム制御装置18から送信された第1制御信号、第2制御信号、第3制御信号のそれぞれが示す動作条件を劣化推定モデルに入力する。そして、劣化推定部60は、劣化推定モデルにより推定されたロボットアーム12の劣化度合いを示す指標値を取得する。以降の処理は、第2実施例と同じであるため説明を省略する。この変形例の構成によると、各センサ設置位置の振動収束時間に基づいて、ロボットアーム12の劣化度合いを精度よく推定することができる。
【0062】
第2変形例として、第1実施例と第2実施例の両方に関する変形例を説明する。
第1実施例と第2実施例では、ロボットアーム12に設けられた複数の可動部14の間(リンク16)にセンサ装置20を設置したが、変形例として、複数の可動部14にセンサ装置20を設置してもよい。
【0063】
第3変形例として、第1実施例と第2実施例の両方に関する別の変形例を説明する。
第1実施例と第2実施例では、診断対象センサを第3センサ装置20cとしたが、第1センサ装置20a、第2センサ装置20b、第3センサ装置20cのうち任意の1つまたは複数のセンサ装置20を診断対象センサとしてもよい。この場合、診断装置22のモデル記憶部46は、各診断対象センサの状態を推定するための、診断対象センサごとに異なるシミュレーションモデルを記憶してもよい。検知結果推定部54およびセンサ状態推定部56は、1つ以上の診断対象センサのそれぞれに対応するシミュレーションモデルを用いて、各診断対象センサの状態を推定してもよい。
【0064】
上記実施例のセンサ装置20は、銘板としてのセンサ装置としたが、変形例として、センサ装置20は、銘板でなくてもよく、対象物に容易に貼り付け可能なシート型またはコイン型のセンサ装置であってもよい。
【0065】
本明細書で開示した実施例のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0066】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0067】
なお、実施例および変形例に記載の技術は、以下の態様によって特定されてもよい。
[項目1]
駆動力を受けて駆動する可動部を有する機器の動作条件を識別可能な動作条件情報を取得する動作条件情報取得部と、
前記機器に設置された複数のセンサの検知結果を取得する検知結果取得部と、
第1時点において取得された前記動作条件情報と、前記第1時点において取得された前記複数のセンサの検知結果とをシミュレーションモデルに入力することにより、前記複数のセンサのうち特定のセンサの第2時点における検知結果を推定する検知結果推定部と、
推定された前記第2時点における前記特定のセンサの検知結果と、前記第2時点において取得された前記複数のセンサのうち前記特定のセンサの検知結果とを比較して、前記特定のセンサの状態を推定するセンサ状態推定部と、
を備える診断システム。
前記第2時点は、前記第1時点と同じ時点であってもよく、異なる時点であってもよい。前記センサ状態推定部は、センサの状態が異常である場合にそのことを検出するセンサ異常検出部とも言える。
この診断システムによると、機器の動作条件を加味して特定のセンサの検知結果を推定することにより、当該センサの検知結果の推定精度を向上させ、当該センサの状態の推定精度を向上させることができる。
[項目2]
前記機器は、複数の可動部を有し、
前記検知結果推定部は、前記複数の可動部の動作条件を前記シミュレーションモデルに入力することにより、前記特定のセンサの第2時点における検知結果を推定する
項目1に記載の診断システム。
この診断システムによると、機器が複数の可動部を有する場合に、それら複数の可動部の動作条件に基づいて、特定のセンサの検知結果を推定することにより、当該センサの検知結果の推定精度を一層高めることができる。
[項目3]
前記検知結果推定部は、前記複数のセンサのうち前記特定のセンサ以外のセンサの検知結果を前記シミュレーションモデルに入力することにより、前記特定のセンサの第2時点における検知結果を推定する
項目1または2に記載の診断システム。
この診断システムによると、異常値の可能性がある特定のセンサの検知結果を除外することにより、当該センサの状態が異常である場合に、そのことを精度よく推定することができる。
[項目4]
前記複数のセンサの検知結果に基づいて、前記機器の劣化度合いを推定する劣化推定部と、
前記劣化推定部により推定された前記機器の劣化度合いに基づいて、前記シミュレーションモデルを更新する更新部と、をさらに備える
項目1から3のいずれか1項に記載の診断システム。
この診断システムによると、機器の劣化度合いに応じたシミュレーションモデルを使用することで、特定のセンサの検知結果の推定精度を向上することができる。
[項目5]
前記センサ状態推定部は、前記劣化推定部により推定された前記機器の劣化度合いが所定の閾値以上である場合に、前記特定のセンサの状態を推定する
項目4に記載の診断システム。
この診断システムによると、機器の劣化が進行した場合に、特定のセンサの状態を推定することで、当該センサの異常を効率的に検出できる。
[項目6]
前記複数のセンサは、それぞれの設置位置の振動を検知するものであり、
前記劣化推定部は、前記複数のセンサの検知結果に基づいて算出されるセンサ設置位置での振動収束時間と、前記動作条件情報とに基づいて推定した振動収束時間とを比較して、前記機器の劣化度合を推定する
項目4または5に記載の診断システム。
この診断システムによると、センサ設置位置の振動収束時間に基づいて、機器の劣化度合いを精度よく推定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示の技術は、診断システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 診断システム、 12 ロボットアーム、 14 可動部、 20 センサ装置、 22 診断装置、 50 動作条件情報取得部、 52 検知結果取得部、 54 検知結果推定部、 56 センサ状態推定部、 60 劣化推定部、 62 更新部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6