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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】車両アクセサリ装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/00 20060101AFI20240814BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240814BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240814BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20240814BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240814BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B60W50/00
G08G1/00 X
G08G1/09 F
G08G1/0968 B
B60W60/00
E02F9/26 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020035698
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2020185981
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】19161092.2
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521181633
【氏名又は名称】ヒアブ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】アホラ エルッキ
(72)【発明者】
【氏名】ヒッティネン ハンヌ
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0054077(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0283171(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(4)に搭載されるように構造化された車両アクセサリ装置(2)であって、アクセサリ装置(2)は、
-作業機器(6)と、
-アクセサリ制御ユニット(8)であって、アクセサリ制御信号(10)を決定するように、および前記アクセサリ制御信号によって前記作業機器(6)を制御するように、構成されたアクセサリ制御ユニット(8)と、
-アクセサリ通信バス(12)であって、前記アクセサリ通信バス(12)を前記車両に設けられた車両通信バス(16)に接続するように構成されたバスインターフェース(14)を備えるアクセサリ通信バス(12)と、
を備え、
-前記アクセサリ装置(2)は、無線信号受信機(18)を備え、前記無線信号受信機(18)は、現在位置データ、および前記作業機器(6)を備えた前記車両(4)の作業任務のためのルートデータを含む作業任務データ、を受信するように、および前記受信した位置データおよび作業任務データを前記アクセサリ制御ユニット(8)に利用可能にするように、構成され、
-前記アクセサリ制御ユニット(8)は、複数の異なる車両データセットの中からある車両データセットを受信するように構成され、前記複数の異なる車両データセットのそれぞれは、アクセサリ装置が搭載され得る車両の制御特性を含み、
前記アクセサリ制御ユニット(8)は、
-ナビゲーションおよび駆動制御コマンドであって、前記車両アクセサリ装置(2)が設けられた前記車両(4)を制御して、自律モードで動作するように、および作業任務のルートに沿って移動するように、適合されている、ナビゲーションおよび駆動制御コマンド、
-作業制御コマンドであって、前記作業機器(6)によって実行される作業手順がサポートされるように前記車両(4)を制御するように適合された作業制御コマンド、
を決定するように構成され、
前記ナビゲーションおよび駆動制御コマンドおよび前記作業制御コマンドは、前記制御特性に基づいて決定され、
前記アクセサリ制御ユニット(8)は、前記作業任務を果たすように、前記決定されたナビゲーションおよび駆動コマンドおよび作業制御コマンドによって、前記車両アクセサリ装置(2)が設けられた前記車両(4)を制御するように構成されることを特徴とする、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項2】
請求項1に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記制御特性は、アクチュエータの特定の特徴、車両の形状、制御パラメータ、自律運転パラメータ、および自律モードで前記車両(4)を動作させるのに必要な他のパラメータ、のうちの少なくとも1つを含む、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記ナビゲーションおよび駆動制御コマンドおよび前記作業制御コマンドは、前記受信された制御特性に基づく変換アルゴリズムを適用することによって決定される、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記アクセサリ制御ユニット(8)は、実行された作業任務に応じて、前記制御特性を動的に更新するように構成される、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記アクセサリ制御ユニット(8)は、前記車両データセットを、外部制御センター(20)から前記無線信号受信機(18)を介して、またはアクセサリ装置(2)が搭載されている車両(4)から前記アクセサリ通信バス(12)を介して、受信するように構成される、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記アクセサリ制御ユニット(8)は、アクセサリ装置(2)が搭載されている車両(4)を識別することによって、前記複数の異なる車両データセットの中でどの車両データセットが適用されるべきかを決定するように構成され、前記識別は、前記車両(4)から識別データを受信することによって行われる、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記アクセサリ制御ユニット(8)は、前記アクセサリ装置(2)のオペレータから車両識別信号(22)を受信することによって、前記複数の異なる車両データセットの中でどの前記車両データセットが適用されるべきかを決定するように、および前記車両識別信号に応じて適用されるべき車両データセットを決定するように、構成され、前記車両識別信号(22)は、アクセサリ装置(2)が搭載されている車両の識別データを含む、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項8】
請求項1から4、6または7のいずれか1項に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記複数の異なる車両データセットを記憶するように構成されたアクセサリメモリ(24)を備える、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記アクセサリ制御ユニット(8)は、前記ナビゲーションおよび駆動コマンドおよび前記作業制御コマンドによって、前記ナビゲーションおよび駆動コマンドおよび前記作業制御コマンドを前記アクセサリ通信バス(12)および前記バスインターフェース(14)を介して前記車両通信バス(16)に適用することによって、前記車両を制御するように構成される、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の車両アクセサリ装置(2)であって、前記作業任務は、積み込みまたは積み降ろし手順、林業機械手順、テールリフト手順、フックリフト手順、採掘手順、のうちの1つに関連する作業手順を含み、前記ルートデータは、作業手順に関連するルートをたどるために必要な位置データを含む、車両アクセサリ装置(2)。
【請求項11】
車両(4)に搭載されるように構造化された車両アクセサリ装置(2)に関する方法であって、アクセサリ装置(2)は、
-作業機器(6)と、
-アクセサリ制御ユニット(8)であって、アクセサリ制御信号(10)を決定するように、および前記アクセサリ制御信号によって前記作業機器(6)を制御するように、構成されたアクセサリ制御ユニット(8)と、
-アクセサリ通信バス(12)であって、前記アクセサリ通信バス(12)を前記車両に設けられた車両通信バス(16)に接続するように構成されたバスインターフェース(14)を備えるアクセサリ通信バス(12)と、
を備え、
前記方法は、前記車両アクセサリ装置(2)により実行されるものであり、
A‐現在位置データ、前記作業機器(6)が設けられた前記車両(4)の作業任務のためのルートデータを含む作業任務データと、を受信すること、および前記受信した位置データと作業任務データとを前記アクセサリ制御ユニット(8)に利用可能にすること;
B‐複数の異なる車両データセットの中からある車両データセットを受信し、前記複数の異なる車両データセットのそれぞれは、アクセサリ装置が搭載され得る車両の制御特性を含むこと;
C‐自律モードで動作するように、および作業任務のルートに沿って進むように、前記車両アクセサリ装置(2)が設けられた前記車両(4)を制御するように適合されたナビゲーションおよび駆動制御コマンドを決定し、前記作業機器(6)によって実行される作業手順がサポートされるように、前記車両(4)を制御するように適合された作業制御コマンドを決定し、前記ナビゲーションおよび駆動制御コマンドおよび前記作業制御コマンドは、前記制御特性に基づいて決定されること;および
D‐前記作業任務を果たすように、前記決定されたナビゲーションおよび駆動コマンドおよび作業制御コマンドによって、前記車両アクセサリ装置(2)が設けられた前記車両(4)を制御すること、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記ナビゲーションおよび駆動制御コマンドおよび前記作業制御コマンドを、前記受信された制御特性に基づく変換アルゴリズムを適用することによって決定することを含む、方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法であって、実行された作業任務に応じて、前記制御特性を動的に更新することを含む、方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項に記載の方法であって、無線信号受信機(18)を介して外部制御センター(20)から、または前記アクセサリ通信バス(12)を介してアクセサリ装置(2)が搭載されている車両(4)から、前記車両データセットを受信することを含む、方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載の方法であって、前記複数の異なる車両データセットの中で適用されるべき車両データセットを、
‐アクセサリ装置(2)が搭載されている車両(4)を識別することであって、前記識別は、前記車両(4)から識別データを受信することによって、または、前記車両に識別要求を送信し、前記車両から識別データを受信し、前記識別に応じて適用されるべき車両データを決定することによって、行われる、識別すること:または
‐前記アクセサリ装置(2)のオペレータから車両識別信号(22)を受信することであって、前記車両識別信号(22)は、アクセサリ装置(2)が搭載されている車両の識別データを含む、受信すること、および前記識別に応じて適用されるべき車両データセットを決定すること、
のいずれかによって、決定することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、車両に搭載されるように構成された作業機器を備えるアクセサリ装置、およびそれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両に搭載されるアクセサリ装置、例えば作業機器、を設けることができる。その車両は、例えば、貨物や物品の輸送に使用されるトラックなどの、貨物運搬車によって例示される。貨物や商品は、例えば、容器、平坦なラック、または交換可能なパレットなどのポータブルコンパートメント上に置かれるか、またはその中に包装されてもよい。ポータブルコンパートメントは、輸送用作業機器によって車両の本体に積み込まれ、ハル(hull)から地面に降ろされる。積み込まれる貨物に対する、または貨物が降ろされる位置に対する、車両の位置は、積み降ろし中の作業機器の性能にとって重要である。積み降ろし中に車両や作業機器を安全に操作するには、熟練したドライバーが必要である。そのような作業機器の例は、フックリフト、スキップローダー、デマウンタブルおよびローダークレーンである。フックリフトは、例えば、フックを容器または平坦なラックのバーに係合させ、次に平坦なラックまたは容器をトラック上に持ち上げるおよび/または引っ張ることによって、平坦なラックまたは容器をトラック上に積み込むのに使用される。
【0003】
トラックメーカーが、主にアクチュエータと制御システムを備えたトラックシャーシを開発および販売していることは、よく知られている。これらのシャーシ(トラック)は、顧客によって入手され、様々な目的で使用される。これらの目的に応じて、その目的を実現するように設計された追加の作業機器がシャーシフレームに取り付けられる。これらのアクセサリは、トラックメーカーとは異なる企業によって開発および市販されることが多い。これらの企業は、異なる仕様、例えば、寸法およびシャーシの制御システムおよび電力供給システムへの接続、を考慮して、異なるメーカーのシャーシに適合するアクセサリを設計している。
【0004】
上述したように、広く使用されている貨物運搬アクセサリの1つは、フックリフト装置である。フックリフト装置のメーカーは、製造された装置が、異なる車両メーカーによる車両のシャーシに搭載されるのに適するようにしなければならない。
【0005】
貨物運搬車は、公道上で物品を輸送するのに使用されるだけでなく、専用の目的、例えば、プロセス産業内、で使用されてもよく、1つの典型的な例では、プロセス制御システムは、充填されたホッパを輸送し、それを空の容器と交換するために、トラックの運転手に任務を送る。アクセサリ装置を備えた車両の他の具体的な実施環境の1つは、閉鎖された鉱区であり、そこで、岩石を動かすために自律的に移動する車両、例えばトラック、を使用し、鉱山制御センターによって割り当てられた職務に従って動作することが知られている。作業任務では、情報は、車両に無線で送信され、その情報は、例えば、ルートを運転するための方向を含むルートに関するデータと、例えば、ルートの終点でコンテナを積み込むための命令とを含む。
【0006】
一般に、自律車両は、その環境を感知することができ、人間の入力をほとんどまたは全く伴わずに移動することができる、車両である。自律車両は、レーダー、コンピュータビジョン、ライダー、ソナー、GPS、走行距離計、慣性測定ユニットなどの、周囲を知覚する様々なセンサを組み合わせる。高度な制御システムは、感覚情報を解釈して、適切なナビゲーションパス、ならびに障害物および関連する標識を識別する。様々なセンサを備え、また全ての必要な安全基準を満たすように設定された自律車両は、複雑で高度な、そして高価な制御システムを必要とする。
【0007】
車両には、以前から、様々な装置の接続、異なる装置間のデータおよび機能の共有、ならびにデジタルデータネットワークの独立した制御を可能にする通信バス(例えば、いわゆるCANバス)に基づく分散制御システムが設けられてきた。
【0008】
以下では、自律車両の様々な態様を開示するいくつかの先行技術文献を簡潔に論じる。
【0009】
特許文献1は、車両の自動制御機能を含む自動モードを実施することができる車両ナビゲーション制御インターフェースを提供するシステムに関する。
特許文献2は、異なる車両を制御する制御モジュールに関連する。
特許文献3は、車両の異なるシステムを制御する各種コントローラを含む自律車両プラットフォームを開示している。
【0010】
トラックメーカーは、多くの異なる方法で、それらのシャーシおよびそれらのモデルを技術的に別個に構築してきた。特に、シャーシ制御とアクチュエータの違いにより、同じタイプの自律ナビゲーションやリモートコントロールを異なるシャーシに接続することが困難になる。特に、シャーシメーカー以外の人が、自律ナビゲーションやリモートコントロールの機能を備えた様々なシャーシを提供する場合に問題である。例えば、現在知られているシステムまたは装置は、アクセサリメーカーに、アクセサリと連動して様々なトラックシャーシに自律および/または遠隔制御式の荷重取扱および輸送ソリューションを提供する便利な方法を提供していない。
【0011】
異なるシャーシの自律駆動機能に関する前述の問題は、例えば、シャーシの機械的構造(例えば、旋回半径に影響を与える)および、前輪を旋回させるアクチュエータが受け取る動作制御の応答時間が、シャーシの型、シャーシブランド、シャーシモデル、または個々のシャーシユニットによってさえ変わり得る場合に、ナビゲーション・コンピュータからのルートを進むために、車両のアクチュエータに与えられるコマンドを生成する方法に関連している。とりわけ、これらの要因は、シャーシに特有のモデルであり、メーカーによって異なり得る。また、エンジン、トランスミッション、ブレーキは、基本は同じであるが、モデルやメーカーによって詳細な実装が異なる場合があるので、自律的に運転するときに、加速、ブレーキ、およびギアシフトのルートを決定する際に、差異が考慮されるべきである。
【0012】
従って、シャーシには、異なる機能および使用を可能にする基礎構造が装備されてきたが、異なるシャーシの解決策は、上記の理由から、アクセサリのメーカーにとって自律的使用のための実装が困難な場合がある。
【0013】
多くの解決策が、現在知られている技術に従って提示および適用されてきたが、技術分野には依然として課題が残っている。本発明の目的は、任意の車両に搭載されるように構成され、かつ車両の制御に適合する制御能力を備え、かつ車両が自律モードで作動するときに作動可能でもある、改良された車両アクセサリ装置を実現することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】US2014/0188324
【文献】US2017/0028994
【文献】US2017/0160745
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的は、独立請求項に従って本発明によって達成される、または少なくとも軽減される。
【0016】
好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0017】
本発明の発明者は、場合によっては、車両からアクセサリ装置にインテリジェンスを移動させることが有利であると気付いた。本明細書では、インテリジェンスとは、自律モードで動作させるために、アクセサリ装置を備えた車両を制御するのに必要な複雑な制御を、特に意味する。これにより、車両は、アクセサリ装置が目的とする用途に適合した、改良された、従って高価な制御能力を備える必要がない。
【0018】
従って、本発明は、複数の車両データセットの中である車両データセットを適用することによって、その制御能力を、アクセサリ装置が取り付けられている車両に適合させることができるアクセサリ装置を提供する。ここで、特定の車両データセットは、特定の車両の制御特性を含む。本発明による車両アクセサリ装置は、特定の車両の車両データセットを決定および適用することによって、特定のアクセサリ装置を、特定の車両の特定の要件に、特に車両が自律動作モードで動作するときの車両の制御に関して、容易に適合させ得るという点で、有利である。
【0019】
本発明のさらなる利点は、アクセサリ装置が、車両を制御することに加えて、作業機器を制御していることである。従って、アクセサリ装置は、例えば作業機器と車両の両方の移動を同期および協働させる必要がある作業任務を達成するために、車両と作業機器を同時に制御し得る。
【0020】
本発明のさらなる利点は、車両と作業機器の両方に対するアクセサリ装置の制御能力が、アクセサリ装置に取り付けられた作業機器に関連する作業任務の種類の実行に適合され得ることである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるアクセサリ装置を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明によるアクセサリ装置の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図3】本発明による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、添付の図面を参照して、車両アクセサリ装置を詳細に説明する。図面を通して、同一または類似のアイテムは、同一の参照符号を有する。さらに、アイテムおよび図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、それよりむしろ、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【0023】
まず、図1および図2の概略図を参照すると、車両4に搭載されるように構造化された車両アクセサリ装置2が設けられている。車両は、好ましくは、作業車両であり、例えば、貨物車両、トラック、または林業車両である。車両は、自律車両、または半自律車両であってもよい。半自律車両は、運転者がある程度まで車両の動作に関与する車両であり、例えば、運転者は、インターフェース、例えばグラフィカルユーザインターフェース、を介して、またはコンピュータ生成聴覚もしくは触覚命令を介して、操作命令を受け取る。
【0024】
アクセサリ装置2は、作業機器6と、アクセサリ制御ユニット8であって、アクセサリ制御信号10を決定するように、および前記の信号によって作業機器6を制御するように、構成されたアクセサリ制御ユニット8と、アクセサリ通信バス12であって、アクセサリ通信バス12を車両に設けられた車両通信バス16に接続するように構成されたバスインターフェース14を備えるアクセサリ通信バス12と、を備える。
【0025】
各通信バスは、共通のデータバス、例えばCANバス、であり、それは、例えばセンサおよび制御信号を含む双方向通信を実行するように構成される。バスおよびトラック用の車載ネットワーク用のSAEJ1939などのアプリケーション層プロトコルを通信にさらに使用することができるように、CANに基づくさらなるプロトコルを適用することができる。代替として、ブローダーリーチ(BroadR‐Reach)などの、イーサネット(登録商標)および類似の規格に基づく様々なプロトコルを使用してもよい。システムの異なる部分では、様々な通信プロトコルを使用してもよい。
【0026】
図2では、作業機器6は、フックリフトによって例示されているが、例えば、積み降ろし機器、林業機械、テールリフト、クレーン、ローダークレーン、または採掘装置であってもよい。
【0027】
車両は、車両のシャーシとして概略的に示され、それは、車両に取り付けられ、車両通信バスからの信号を介して制御可能な様々な制御ユニットを備えた、アクセサリ装置を有することができる任意のタイプの車両であってよい。アクセサリ通信バスも車両通信バスも、仮想無線通信バスによって実現されてもよい。
【0028】
図2では、車両4は、エンジン噴射ポンプ弁28を備えたエンジン26と、ステアリングホイール30を含む手動駆動制御ユニットと、パワーステアリングユニット32と、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、シャーシ制御ユニット38と、を備えるトラックシャーシとして概略的に示されている。シャーシ制御ユニット38は、手動駆動制御ユニットのアナログ動作を、デジタル動作制御コマンドに変換し、デジタル動作制御コマンドは、車両通信バス15を通って、制御シリンダ弁34、ブレーキ弁36およびエンジン噴射ポンプ弁28などのアクチュエータまで通過する。車両4の図示されたアイテムは、単に例示的なものであり、車両を完全に制御して作動させるために、さらに多くのアクチュエータ、センサ、および制御ユニットがオプションとして設けられている。図2は、明確さのために、例えば通信バスから様々なユニットへの制御ラインが図示されていない、概略図であることに留意されたい。さらに、本発明は、当然、1つまたは多くの電気駆動式エンジンを備えたバッテリ駆動式車両にも適用可能である。
【0029】
アクセサリ装置2は、無線信号受信機18を備え、無線信号受信機18は、現在位置データ、例えばGPSデータ、および作業機器6を備えた車両4の作業任務のためのルートデータを含む作業任務データ、を受信し、受信した位置データおよび作業任務データをアクセサリ制御ユニット8に利用可能にするように構成されている。作業任務データは、例えば、積み降ろされる対象物(例えば、貨物、物品、ポータブルコンパートメント)の仕様、およびこれらの対象物の位置および向きを含むことができる。
【0030】
受信した位置データは、GPSデータまたは任意の同等の位置データであってもよい。車両が、例えば坑内での、地下使用を意図している場合、位置データは、車両が移動しているルートに沿った固定位置に取り付けられた位置アンテナによって生成することができる。また、位置アンテナは、大規模な貯蔵施設で適用されることもある。
【0031】
アクセサリ制御ユニット8は、複数の異なる車両データセットの中からある車両データセットを受け取るように構成されている。複数の車両データセットのそれぞれは、アクセサリ装置が搭載され得る車両の制御特性を含む。
【0032】
一般に、特定の車両データセットは、特定の車両に関する様々な制御特性に関連し、例えばデータベースにまたはテーブルにまとめられた、データの集合である。様々な制御特性は、動的に更新され得る。
【0033】
アクセサリ制御ユニット8は、
‐ナビゲーションおよび駆動制御コマンドであって、車両アクセサリ装置2が設けられた車両4を制御して自律モードで動作するように、および作業任務のルートに沿って移動するように、適合されている、ナビゲーションおよび駆動制御コマンド、
‐作業制御コマンドであって、作業機器6によって実行される作業手順がサポートされるように車両4を制御するように適合された作業制御コマンド、
を決定するように構成される。
【0034】
一例として、作業制御コマンドは、車両に積載されるポータブルコンパートメントに関連して車両の位置および向きを調整するために、生成されてもよい。作業制御コマンドの別の例は、作業機器が実行している積み込みまたは積み降ろし手順を容易にするために、作業機器がポータブルコンパートメントと相互作用している間に、車両を移動させるコマンドであってもよい。
【0035】
ナビゲーションおよび駆動制御コマンドおよび作業制御コマンドは、制御特性に基づいて決定される。
【0036】
アクセサリ制御ユニット8は、決定されたナビゲーションおよび駆動コマンドおよび作業制御コマンドによって、車両アクセサリ装置2が設けられた車両4を制御して、自律モードで動作されているときに作業任務を実行するように構成されている。
【0037】
一実施形態によると、制御特性は、次のパラメータのうちの少なくとも1つを含む:アクチュエータの特定の特徴、車両の形状、制御パラメータ、自律運転パラメータ、および自律モードで車両4を動作させるのに必要な他のパラメータ。車両の形状は、車両の長さおよび幅およびホイールベース長を含んでもよい。
【0038】
別の実施形態によると、ナビゲーションおよび駆動制御コマンドおよび作業制御コマンドは、受信された制御特性に基づく変換アルゴリズムを適用することによって決定される。
【0039】
変換アルゴリズムは、車両の様々な制御ユニットがアクセサリ制御ユニットによって生成された制御コマンドを正しく解釈できるように、駆動および作業制御コマンドへの割り当てを実現するのに必要な車両の動きを変換する、転送する、および/または適合させる。
【0040】
特定の車両に関連する変換アルゴリズムは、好ましくは、特定の車両に関連する車両データセットに含まれる。従って、特定の変換アルゴリズムは、好ましくは、特定の車両の車両データセットの制御特性のそれぞれに指定され、例えば、車両データセットは、車両のステアリング角の制御に関連する変換アルゴリズムを含む。
【0041】
好ましくは、アクセサリ制御ユニット8は、実行された作業任務に応じて、制御特性を動的に更新するように構成される。適用された制御信号を結果として生じる動作と比較および解析することによって、作業任務中に結果として生じるパフォーマンスが考慮されるフィードバック手順を実施することによって、制御の精度を向上させる学習プロセスが適用される。また、変換アルゴリズムは、動的に更新されてもよい。
【0042】
車両が狭い空間を移動するためには、車両の位置の連続したリアルタイムフィードバックが重要である。これは、1つの運転活動、例えば、特定のステアリング角だけ車両を旋回させることが、地面の摩擦に関わりなく、すなわち、地面が滑りやすく凍結している場合に、または地面が乾燥している場合に、異なる旋回半径をもたらし得るという点で、重要である。
【0043】
車両データセットは、多くの異なる方法に従って受信および検索されてもよい。
【0044】
一実施形態によると、アクセサリ制御ユニット8は、車両データセットを、外部制御センター20から無線信号受信機18を介して、またはアクセサリ装置2が搭載されている車両4からアクセサリ通信バス12を介して、受信するように構成される。
【0045】
一実施形態では、アクセサリ制御ユニット8は、アクセサリ装置2が搭載されている車両4を識別することによって、複数の異なる車両データセットの中でどの車両データセットが適用されるべきかを決定するように構成される。識別は、車両4から識別データを受信することによって、または車両に識別要求を送信し、車両から識別データを受信することによって、実行され、識別に応じて適用される車両データセットを決定する。識別データは、例えば、車両タイプ、車両ブランド、車両製品シリーズ、特定の車両ユニットの固有識別子を含むことができる。次に、受信された識別データは、アクセサリ装置のメモリに記憶された車両データセットにマップされる。アクセサリ装置のメモリは、複数の他の車両データセットを含むことができる。この実施形態によれば、識別は、作業機器を車両に取り付ける間に実行されるセットアップ手順の間に自動的に実行される。
【0046】
別の実施形態では、アクセサリ制御ユニット8は、アクセサリ装置2のオペレータから車両識別信号22を受信することによって、複数の異なる車両データセットの中でどの車両データセットが適用されるべきかを決定するように、および前記識別に応じて適用されるべき車両データセットを決定するように、構成され、その識別信号22は、アクセサリ装置2が搭載されている車両の識別データを含む。従って、この実施形態は、使用される車両データセットの手動識別に関連している。
【0047】
複数の異なる車両データセットがアクセサリ装置に記憶される場合、複数の異なる車両データセットを記憶するように構成されたアクセサリメモリ24が設けられる。アクセサリメモリは、アクセサリ制御ユニットの一体部分であってもよいし、別個の部分であってもよい。
【0048】
アクセサリ制御ユニット8は、ナビゲーションおよび駆動コマンドおよび作業制御コマンドによって、コマンドをアクセサリ通信バス12およびバスインターフェース14を介して車両通信バス16に適用することによって、車両を制御するように構成される。1つの変形例では、アクセサリ制御ユニット8は、代わりに、ナビゲーションおよび駆動コマンドおよび作業制御コマンドによって、コマンドのサブセットを、アクセサリ通信バス12を介して制御される車両の1つまたは多くの様々なユニットに直接適用することによって、車両を制御するように構成される。直接制御され得るユニットは、車両の速度、ブレーキおよびステアリングに関係してもよい。1つの例示的な変形例では、車両のギアボックスおよびサスペンションシステムは、通信バス16を介して制御され、車両の速度、ブレーキ、およびステアリングは、アクセサリ通信バス12を介して直接制御される。
【0049】
作業任務は、複数の異なる動作分野に関連することができ、以下の例示的な手順、すなわち、積み込みまたは積み降ろし手順、林業機械手順、テールリフト手順、フックリフト手順、採掘手順、のうちの1つに関連する作業手順を含むことができる。適用ルートデータは、作業手順に関連するルートをたどるために必要な位置データを含む。1つの特定の動作分野は、多くの車両が同時に作動することが多い屋内または屋外の大規模な貯蔵施設である。
【0050】
本発明は、車両4に搭載されるように構造化された車両アクセサリ装置2に関する方法にも関する。その方法について、図3に示されるフローチャートを参照して説明する。
【0051】
アクセサリ装置2は、上記で詳細に説明されており、本明細書ではその説明も参照される。従って、アクセサリ装置は、作業機器6、例えばフックリフト装置、と、アクセサリ制御ユニット8であって、アクセサリ制御信号10を決定し、前記の信号によって前記の作業機器6を制御するように構成されたアクセサリ制御ユニット8と、アクセサリ通信バス12であって、前記のアクセサリ通信バス12を前記の車両に設けられた車両通信バス16に接続するように構成されたバスインターフェース14を備えるアクセサリ通信バス12と、を備える。
【0052】
その方法は以下を含む。
A‐現在位置データ、例えばGPSデータと、前記の作業機器6が設けられた前記の車両4の作業任務のためのルートデータを含む作業任務データと、を受信し、前記の受信した位置データと作業任務データとを前記のアクセサリ制御ユニット8に利用可能にすること。
B‐複数の異なる車両データセットの中からある車両データセットを受信し、前記の複数の車両データセットのそれぞれは、アクセサリ装置が搭載され得る車両の制御特性を含むこと。
C‐自律モードで動作するように、および作業任務のルートに沿って進むように、前記の車両アクセサリ装置2が設けられた前記の車両4を制御するように適合されたナビゲーションおよび駆動制御コマンドを決定し、前記の作業機器6によって実行される作業手順がサポートされるように、前記の車両2を制御するように適合された作業制御コマンドを決定し、前記のナビゲーションおよび駆動制御コマンドおよび前記の作業制御コマンドは、前記の制御特性に基づいて決定されること。
D‐前記の作業任務を果たすように、前記の決定されたナビゲーションおよび駆動コマンドおよび作業制御コマンドによって、前記の車両アクセサリ装置2が設けられた前記の車両4を制御すること。
【0053】
一実施形態によれば、その方法は、前記の受信した制御特性に基づく変換アルゴリズムを適用することによって、ナビゲーションおよび駆動制御コマンドおよび作業制御コマンドを決定することを含む。
【0054】
さらなる実施形態では、その方法は、実行された作業任務に応じて、制御特性、好ましくは関連する変換アルゴリズムも、動的に更新することを含む。
【0055】
さらに別の実施形態によれば、その方法は、無線信号受信機18を介して外部制御センター20から、またはアクセサリ通信バス12を介してアクセサリ装置2が搭載されている車両4から、車両データセットを受信することを含む。
【0056】
別の実施形態によれば、その方法は、以下のいずれかによって、前記の複数の異なる車両データセットの中で適用されるべき車両データセットを決定することを含む。
‐アクセサリ装置2が搭載されている車両4を識別すること。その識別は、前記の車両4から識別データを受信することによって、または、前記の車両に識別要求を送信し、前記の車両から識別データを受信し、前記の識別に応じて適用されるべき車両データを決定することによって、行われる:または、
‐前記のアクセサリ装置2のオペレータから車両識別信号22を受信すること。前記の識別信号22は、アクセサリ装置22が搭載されている車両の識別データを含む。前記の識別に応じて適用されるべき車両データセットを決定すること。
【0057】
本明細書に開示されるアクセサリ装置が設けられる車両の典型的な適用の1つは、車両が商品を配達する自律トラックである、閉鎖された工場エリア内である。そのような用途では、トラックは、多くの他の車両が移動する状況に対処するために、狭い空間で移動するように、また、人間がそのような環境にいる可能性があるので高い安全基準を満たすようにも、構成されなければならない。
【0058】
他の用途では、車両は、鉱業、林業で使用されるが、様々な他の状況、例えば、貨物積み込みおよび積み降ろし、ごみの箱を収集するおよび空にするなど、でも使用される。
【0059】
本発明は、上記の好ましい実施形態に限定されるものではない。様々な代替、修正、および均等物が用いられてよい。従って、上記の実施形態は、添付の「特許請求の範囲」によって定義される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。



図1
図2
図3