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特許7537720聴覚性ビート刺激を音楽に統合するための装置、方法、および媒体
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  • 特許-聴覚性ビート刺激を音楽に統合するための装置、方法、および媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】聴覚性ビート刺激を音楽に統合するための装置、方法、および媒体
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20240814BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240814BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61M21/02 J
H04R3/00 310
G10K15/04 302Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021565131
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 CA2020050585
(87)【国際公開番号】W WO2020220140
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】62/842,196
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521479149
【氏名又は名称】ルシード インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ラベー,アーロン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
H04R 3/00
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴覚性ビート刺激を音楽に統合する方法であって:
未修正の音楽信号の根音周波数を識別するステップと;
第1のビート周波数を選択するステップであって、前記第1のビート周波数は、聴覚性ビート刺激(ABS)プロセスのための所望されるエントレインメント周波数に対応する、ステップと;
前記根音周波数に等しい周波数を有する第1のビート成分を生成するステップと;
前記根音周波数を前記第1のビート周波数だけシフトしたものに等しい周波数を有する第2のビート成分を生成するステップと;
前記未修正の音楽信号を前記第1のビート成分および第2のビート成分と混合して、修正された音楽信号を生成するステップとを含む、
方法。
【請求項2】
第1の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第1の部分を含む第1のオーディオ信号を生成するステップをさらに含み、前記第1の周波数範囲は、第1のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含むか、または前記第1のフィルタ周波数に等しい中心周波数を有する帯域通過周波数範囲を含み前記未修正の音楽信号の全体は含まないものであり、前記第1のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた前記根音周波数に等しく、
前記未修正の音楽信号を前記第1のビート成分および第2のビート成分と混合することは、前記未修正の音楽信号を前記第1のオーディオ信号、前記第1のビート成分、および前記第2のビート成分と混合して、前記修正された音楽信号を生成することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記未修正の音楽信号の調を識別するステップをさらに含み、前記調は複数の音階度を含み、各音階度は音階度周波数を有し、
前記第1のビート周波数を選択することは、前記調の第1の音階度周波数を、前記第1の音階度周波数の所望されるエントレインメント周波数への近接性に基づいて前記第1のビート周波数として選択することを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の周波数範囲は、前記第1のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のオーディオ信号がさらに:
一つまたは複数の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の追加的な部分を含み、前記一つまたは複数の追加的な周波数範囲は、一つまたは複数の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記第1のフィルタ周波数に整数乗数を乗算したものと等しい、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
各整数乗数が4の整数乗である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記一つまたは複数の追加的なフィルタ周波数が、それぞれ4、16および64の整数乗数を有する3つの追加的なフィルタ周波数を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記修正された音楽信号は、第1のチャネルおよび第2のチャネルを有するステレオ音楽信号を含み;
前記第1の周波数範囲は、前記第1のフィルタ周波数に等しい中心周波数を有する帯域通過周波数範囲を含み、前記未修正の音楽信号の全体は含まず;
前記未修正の音楽信号を前記第1のオーディオ信号、前記第1のビート成分、および前記第2のビート成分と混合することは、前記未修正の音楽信号を前記第2のビート成分および第1のオーディオ信号と混合して前記第1のチャネルを生成することを含み、
当該方法はさらに:
第2の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第2の部分を含む第2のオーディオ信号を生成するステップであって、前記第2の周波数範囲は、第2のフィルタ周波数に等しい中心周波数を有する帯域通過周波数範囲を含み、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記第2のフィルタ周波数は、前記根音周波数に等しい、ステップと;
前記未修正の音楽信号を前記第1のビート成分および第2のオーディオ信号と混合して、前記第2のチャネルを生成するステップとをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のオーディオ信号は、第3の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第3の部分をさらに含み、前記第3の周波数範囲は、第3のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第3のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた前記根音周波数の半分に等しく;
前記第2のオーディオ信号は、第4の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第4の部分をさらに含み、前記第4の周波数範囲は、第4のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第4のフィルタ周波数は、前記根音周波数の半分に等しい、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のオーディオ信号が、一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第1の追加的な部分をさらに含み、前記一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記第1のビート周波数によってシフトされた、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しく;
前記第2のオーディオ信号が、一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第2の追加的な部分をさらに含み、前記一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しい、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
各整数乗数が4の整数乗である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のオーディオ信号はさらに:
第3の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第3の部分であって、前記第3の周波数範囲は、第3のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第3のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた前記根音周波数の半分に等しい、部分と;
一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第1の追加的な部分であって、前記一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものを前記第1のビート周波数だけシフトしたものと等しい、部分とを含み;
前記第2のオーディオ信号はさらに:
前記未修正の音楽信号の前記第3の部分と;
一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第2の追加的な部分とを含み、前記一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しい、
請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のオーディオ信号はさらに:
第3の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第3の部分であって、前記第3の周波数範囲は、第3のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第3のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた前記根音周波数の半分に等しい、部分と;
一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第1の追加的な部分であって、前記一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数を前記第1のビート周波数だけシフトしたものに整数乗数を乗算したものと等しい、部分とを含み;
前記第2のオーディオ信号はさらに:
前記未修正の音楽信号の前記第3の部分と;
一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第2の追加的な部分とを含み、前記一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しい、
請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のオーディオ信号はさらに:
第3の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第3の部分であって、前記第3の周波数範囲は、第3のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第3のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた前記根音周波数の4分の1に等しい、部分と;
一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第1の追加的な部分であって、前記一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数を前記第1のビート周波数だけシフトしたものに整数乗数を乗算したものと等しい、部分とを含み;
前記第2のオーディオ信号はさらに:
前記未修正の音楽信号の前記第3の部分と;
一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第2の追加的な部分とを含み、前記一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記未修正の音楽信号の全体は含まず、前記一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しい、
請求項に記載の方法。
【請求項15】
聴覚性ビート刺激を音楽に統合する装置であって:
未修正の音楽信号の根音を識別する根音検出器と;
根音周波数に等しい周波数を有する第1のビート成分を生成するための第1の発振器であって、前記根音周波数は、前記根音に基づく、第1の発振器と;
前記根音周波数を第1のビート周波数だけシフトしたものに等しい周波数を有する第2のビート成分を生成するための第2の発振器であって、前記第1のビート周波数は、聴覚性ビート刺激(ABS)プロセスのための所望されるエントレインメント周波数に対応する、第2の発振器と;
前記未修正の音楽信号を前記第1のビート成分および第2のビート成分と混合して、修正された音楽信号を生成するためのミキサーとを有する、
装置。
【請求項16】
前記未修正の音楽信号に第1のフィルタを適用して、第1の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第1の部分を含む第1のオーディオ信号を生成するための等化器をさらに有しており、前記第1の周波数範囲は、第1のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含むか、または前記第1のフィルタ周波数に等しい中心周波数を有する帯域通過周波数範囲を含み前記未修正の音楽信号の全体は含まないものであり、前記第1のフィルタ周波数は、前記根音周波数を前記第1のビート周波数だけシフトしたものに等しく、
前記ミキサーは、前記未修正の音楽信号を前記第1のオーディオ信号、前記第1のビート成分、および前記第2のビート成分と混合して、前記修正された音楽信号を生成するようにさらに構成される、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記根音検出器は、前記未修正の音楽信号の調を識別するようにさらに構成され、前記調は、複数の音階度を含み、各音階度は音階度周波数を有し;
前記第1のビート周波数は、前記調の第1の音階度周波数に等しく、前記の第1の音階度周波数は、前記の第1の音階度周波数の、所望されるエントレインメント周波数への近接性にさらに基づいている、
請求項16に記載の装置。
【請求項18】
請求項1ないし14に記載の方法の一つまたは複数を実行するための命令を含む、非一時的なプロセッサ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、国際出願第PCT/CA2020/050585号の国内移行である。本願は、2019年5月2日に出願された米国仮特許出願第62/842,196号に対する優先権を主張する。
【0002】
分野
少なくともいくつかの例示的な実施形態は、ビート〔うなり〕刺激に関し、特に、バイノーラル・ビートおよびモノラル・ビートを音楽に統合することに関する。
【背景技術】
【0003】
聴覚性ビート刺激は、聴覚的刺激を用いてヒトまたは動物の脳波パターンを修正する技法である。この聴覚刺激は、一定の振幅をもつ、近いが異なる周波数の2つの正弦波で構成される。刺激は、2つの正弦波を同時に被験者の両耳に呈示する「モノラル・ビート」として、あるいはそれぞれの耳に2つの正弦波の一方を別個に呈示する「バイノーラル・ビート」として、呈示されうる。
【0004】
どちらの場合も、2つの音波の周波数差(「デルタ」周波数)が、デルタの周波数を有する「ビート」として知覚される。モノラル・ビートの場合、デルタ周波数ビートは、実際の物理的なビート、すなわち、規則的なタイミングにされた音振幅ピークを有する振幅変調された(AM)信号であり、被験者によってそのように知覚される。バイノーラル・ビートの場合、被験者の左耳に呈示される正弦波と被験者の右耳に呈示される正弦波との間のデルタ周波数差が、デルタの周波数を有するビートとして主観的に知覚される。バイノーラル・ビートは、いずれか1つの空間的位置における音波の物理的性質ではなく、被験者の脳が、被験者の2つの耳によって受け取られる刺激を組み合わせることによって生成される知覚であるため、被験者は、ときに、バイノーラル・ビートを頭の中に位置していると説明する。
【0005】
よって、音の2つの正弦波が300Hzおよび320Hzで発生される場合、それらは加算され、同時にユーザーの両耳に呈示されて(デルタ=320-300=20Hz)のモノラル・ビートを発生させるか、または(たとえば、ステレオヘッドフォンを使用して)300Hz信号が被験者の左耳に、320Hz信号が被験者の右耳に与えられ、20Hzのバイノーラル・ビートを発生させることができる。
【0006】
モノラル・ビートおよびバイノーラル・ビートを用いた聴覚性ビート刺激(auditory beat stimulation、ABS)は、脳波連行〔エントレインメント〕(brainwave entrainment)のための技法として研究主題となっている。モノラルまたはバイノーラル・ビートを被験者に呈示することが、被験者の脳を連行して、ビートのデルタ周波数で脳波スパイクを生じさせることができることを示唆するエビデンスがある。たとえば、上記の例では、20Hzのビートにさらされた被験者が連行されて、20Hzで脳波スパイクを示す。さらなる研究は、脳波エントレインメントが、注意力、気分、不安、警戒心、記憶、および/またはその他の認知プロセスの調節または変更に有効である可能性を示唆している。たとえば、Chaiebらによる比較文献研究である非特許文献1を参照されたい(以下、「Chaieb論文」;同論文はここに、参照によってその全体において組み込まれる)。
【0007】
バイノーラルおよびモノラル・ビートの性質は、刺激にわずかに不一致の周波数が同時に存在するか、またはそれを知覚するため、音楽的に不協和である。被験者は、不協和なノイズのため、ABSにさらされたときに不快感を報告することがある。この不快感は、望ましい効果を達成するのに十分な頻度で、十分長い時間期間にわたって、ABSに自らをさらす被験者の意欲を制限することがある。
【文献】Chaieb et al., "Auditory Beat Stimulation and its Effects on Cognition and Mood States", Frontiers in Psychiatry, Vol.6, 2015, https://www.frontiersin.org/article/10.3389/fpsyt.2015.00070
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、バイノーラル・ビートおよびモノラル・ビートを既存の音楽または生成された音楽に統合するための例示的な装置、方法、および非一時的媒体を記載する。いくつかの実施形態では、被験者による不協和ノイズの知覚を減少させるため、またはビートの意識的知覚を減少させるために、ビートが音楽によってマスクされうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的実施形態は、聴覚性ビート刺激を音楽に統合する方法であって、未修正の音楽信号の根音周波数を識別するステップと;第1のビート周波数を選択するステップと;前記根音周波数に等しい周波数を有する第1のビート成分を生成するステップと;前記根音周波数を前記第1のビート周波数だけシフトしたものに等しい周波数を有する第2のビート成分を生成するステップと;前記未修正の音楽信号を前記第1のビート成分および第2のビート成分と混合して、修正された音楽信号を生成するステップとを含む、方法に向けられる。
【0010】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、本方法はさらに、第1の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第1の部分を含む第1のオーディオ信号を生成するステップをさらに含み、前記第1の周波数範囲は第1のフィルタ周波数に基づいており、前記第1のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた前記根音周波数に等しく、前記未修正の音楽信号を前記第1のビート成分および第2のビート成分と混合することは、前記未修正の音楽信号を前記第1のオーディオ信号、前記第1のビート成分、および前記第2のビート成分と混合して、前記修正された音楽信号を生成することを含む。
【0011】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、本方法はさらに、前記未修正の音楽信号の最低の優勢周波数範囲を識別するステップをさらに含み、前記根音周波数は、前記最低の優勢周波数範囲に基づく。
【0012】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、本方法はさらに、前記未修正の音楽信号の調を識別するステップをさらに含み、前記調は複数の音階度を含み、各音階度は音階度周波数を有し、前記第1のビート周波数を選択することは、前記第1の音階度周波数の所望のビート周波数への近接に基づいて前記調の第1の音階度周波数を選択することを含む。
【0013】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記第1の周波数範囲は、前記第1のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含む。
【0014】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記第1のオーディオ信号がさらに、一つまたは複数の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の追加的な部分を含み、前記一つまたは複数の追加的な周波数範囲は、一つまたは複数の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記第1のフィルタ周波数に整数乗数を乗算したものと等しい。
【0015】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、各整数乗数が4の冪乗である。
【0016】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記一つまたは複数の追加的なフィルタ周波数が、それぞれ4、16および64の整数乗数を有する3つの追加的なフィルタ周波数を含む。
【0017】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記修正された音楽信号は、第1のチャネルおよび第2のチャネルを有するステレオ音楽信号を含み;前記第1の周波数範囲は、前記第1のフィルタ周波数に等しい中心周波数を有する帯域通過周波数範囲を含み;前記未修正の音楽信号を前記第1のオーディオ信号、前記第1のビート成分、および前記第2のビート成分と混合することは、前記未修正の音楽信号を前記第2のビート成分および第1のオーディオ信号と混合して前記第1のチャネルを生成することを含み、本方法はさらに、第2の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第2の部分を含む第2のオーディオ信号を生成するステップであって、前記第2の周波数範囲は、第2のフィルタ周波数に等しい中心周波数を有する帯域通過周波数範囲を含み、前記第2のフィルタ周波数は、前記根音周波数に等しい、ステップと;前記未修正の音楽信号を前記第1のビート成分および第2のオーディオ信号と混合して、前記第2のチャネルを生成するステップとをさらに含む。
【0018】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記第1のオーディオ信号は、第3の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第3の部分をさらに含み、前記第3の周波数範囲は、第3のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第3のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた根音周波数の半分に等しく;前記第2のオーディオ信号は、第4の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第4の部分をさらに含み、前記第4の周波数範囲は、第4のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第4のフィルタ周波数は、根音周波数の半分に等しい。
【0019】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記第1のオーディオ信号が、一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第1の追加的な部分をさらに含み、前記一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記第1のビート周波数によってシフトされた、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しく;前記第2のオーディオ信号が、一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第2の追加的な部分をさらに含み、前記一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しい。
【0020】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、各整数乗数が4の冪乗である。
【0021】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記第1のオーディオ信号はさらに、第3の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第3の部分であって、前記第3の周波数範囲は、第3のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第3のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた根音周波数の半分に等しい、部分と;一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第1の追加的な部分であって、前記一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものを前記第1のビート周波数だけシフトしたものと等しい、部分とを含み;前記第2のオーディオ信号はさらに:
前記未修正の音楽信号の前記第3の部分と;一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第2の追加的な部分とを含み、前記一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しい。
【0022】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記第1のオーディオ信号はさらに、第3の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第3の部分であって、前記第3の周波数範囲は、第3のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第3のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた根音周波数の半分に等しい、部分と;一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第1の追加的な部分であって、前記一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数を前記第1のビート周波数だけシフトしたものに整数乗数を乗算したものと等しい、部分とを含み;前記第2のオーディオ信号はさらに:
前記未修正の音楽信号の前記第3の部分と;一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第2の追加的な部分とを含み、前記一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しい。
【0023】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記第1のオーディオ信号はさらに、第3の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第3の部分であって、前記第3の周波数範囲は、第3のフィルタ周波数に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過周波数範囲を含み、前記第3のフィルタ周波数は、前記第1のビート周波数によってシフトされた根音周波数の4分の1に等しい、部分と;一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第1の追加的な部分であって、前記一つまたは複数の第1の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の第1の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数を前記第1のビート周波数だけシフトしたものに整数乗数を乗算したものと等しい、部分とを含み;前記第2のオーディオ信号はさらに、前記未修正の音楽信号の前記第3の部分と;一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の一つまたは複数の第2の追加的な部分とを含み、前記一つまたは複数の第2の追加的な周波数範囲が一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数を中心とする一つまたは複数の周波数帯域であり、前記一つまたは複数の第2の追加的なフィルタ周波数のそれぞれが、前記根音周波数に整数乗数を乗算したものと等しい。
【0024】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、聴覚性ビート刺激を音楽に統合する装置であって、未修正の音楽信号の根音周波数を識別する根音検出器と;前記根音周波数に等しい周波数を有する第1のビート成分を生成するための第1の発振器であって、前記根音周波数は、前記根音に基づく、第1の発振器と;前記根音周波数を第1のビート周波数だけシフトしたものに等しい周波数を有する第2のビート成分を生成するための第2の発振器と;前記未修正の音楽信号を前記第1のビート成分および第2のビート成分と混合して、修正された音楽信号を生成するためのミキサーとを有する、装置が提供される。
【0025】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、本装置は、前記未修正の音楽信号に第1のフィルタを適用して、第1の周波数範囲内にある前記未修正の音楽信号の第1の部分を含む第1のオーディオ信号を生成するための等化器をさらに有しており、前記第1の周波数範囲は第1のフィルタ周波数に基づいており、前記第1のフィルタ周波数は、前記根音周波数を前記第1のビート周波数だけシフトしたものに等しく、前記ミキサーは、前記未修正の音楽信号を前記第1の音楽信号、前記第1のビート成分、および前記第2のビート成分と混合して、前記修正された音楽信号を生成するようにさらに構成される。
【0026】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、本装置は、前記未修正の音楽信号の最低の優勢周波数範囲を識別するためのスペクトル分析器をさらに有しており、
【0027】
前記根音周波数は、前記最低の優勢周波数範囲にさらに基づく。
【0028】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、前記根音検出器は、前記未修正の音楽信号の調を識別するようにさらに構成され、前記調は、複数の音階度を含み、各音階度は音階度周波数を有し;前記第1のビート周波数は、前記調の第1の音階度周波数に等しく、前記の第1の音階度周波数は、前記の第1の音階度周波数の、所望されるビート周波数への近接度にさらに基づいている。
【0029】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、上記の方法ステップを実行するためにプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的なプロセッサ読み取り可能媒体が提供される。
【0030】
本明細書に開示される他の実施形態と組み合わせることのできるさらなる側面によれば、上記の方法を用いて生成された音楽データを含む非一時的な記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
ここで、添付図面を参照して、例として実施形態を説明する。図面においては、同様の特徴を示すために、類似の参照番号が使用されることがある。
【0032】
図1】本明細書に記載される例示的な実施形態による、バイノーラルおよびモノラル・ビートを音楽と統合するための例示的な方法のフローチャートである。
【0033】
図2】本明細書に記載される例示的な実施形態による、バイノーラルおよびモノラル・ビートを音楽と統合するための第2の例示的な方法のフローチャートである。
【0034】
図3】本明細書に記載される例示的な実施形態による、バイノーラルおよびモノラル・ビートを音楽と統合するための第3の例示的な方法のフローチャートである。
【0035】
図4】本明細書に記載される例示的な実施形態による、バイノーラルおよびモノラル・ビートを音楽と統合するための第4の例示的な方法のフローチャートである。
【0036】
図5A】本明細書に記載される例示的な実施形態による、例示的な未修正の音楽信号の周波数領域のグラフであり、該未修正の音楽信号と混合するための特定の諸周波数で生成されるオーディオ信号成分およびビート成分を生成するためにそれに適用されるフィルタの集合を示す。
【0037】
図5B】本明細書に記載される例示的な実施形態による、例示的な未修正の音楽信号の周波数領域のグラフであり、該未修正の音楽信号と混合するための特定の諸周波数で生成されるオーディオ信号成分を生成するためにそれに適用されるフィルタの集合を示す。
【0038】
図6】本明細書に記載される例示的な実施形態による、バイノーラルおよびモノラル・ビートを音楽と統合するための例示的な装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで、例示的な実施形態を、統合された聴覚性ビート刺激を有する音楽を生成または記憶するための方法、装置、および非一時的媒体に関して説明する。本明細書に記載されるおよび特許請求の範囲に記載される技法を使用してABS信号を音楽と統合することによって、いくつかの実施形態では、ABS刺激をマスクして、ABS刺激をそれほど明白でなく、目立たないものにすること、および/またはABS刺激を被験者にとってより快いものにすることが可能でありうる。このマスキングは、被験者による、ABS刺激の、より長くかつより頻繁な使用を容易にすることができ、音楽が適切であろう任意のコンテキストにおいて該刺激が被験者に呈示されることを許容しうる。モノラル・ビート、バイノーラル・ビート、またはモノラル・ビートとバイノーラル・ビートの組み合わせを音楽に統合するための技法が説明される。バイノーラル・ビートを統合する音楽は、典型的には、独立してユーザーの耳に(たとえば、ステレオヘッドフォンまたはイヤホンを介して)呈示されることができるステレオ・オーディオ信号としてエンコードされ、一方、モノラル・ビートを使用する音楽は、ステレオまたはモノラル・オーディオ信号としてエンコードされることができ、放送または周囲(ambient)チャネル(たとえば、ラウドスピーカー)を使用して被験者に効果的に呈示されることができる。モノラル・ビートおよびバイノーラル・ビートの両方を統合する音楽は、どちらのモダリティを通じて呈示されることもでき、潜在的には、どちらのシナリオでも効果的である可能性がある。
【0040】
本明細書に記載される技法は、ABS刺激の統合のために使用される既存のまたは生成された音楽の音楽解析を利用する。以下の記述のためのコンテキストを提供するために、音楽理論からのいくつかの基本概念が手短に論じられる。
【0041】
楽曲の「調」〔キー〕とは、その楽曲の和声およびメロディー構造の枠組みを形成するピッチの群、すなわち「音階」〔スケール〕である。「根音」〔ルート・トーン〕とは、2つ以上の音符からなるピッチの任意の和声群(「和音」〔コード〕)の基本的なピッチである。これらの音符は、それ自体で演奏されることができ、楽曲の和声シーケンスを反映することができる。
【0042】
発せられると、根音は、楽曲または歌の他のすべてのメロディーおよび和声要素と同期して鳴ることができる。根音および/またはその根音に基づく和音の音符にマッチする音要素を楽曲に導入するとき、導入された刺激は、楽曲のメロディーおよび和声要素と同期したままであり、聴取者によって不協和として知覚されるノイズを導入することを避けうる。
【0043】
楽曲の調、和音進行、および根音周波数のリアルタイム解析を提供するオーディオ・ツールが多数ある。これらのオーディオ・ツールは、ソフトウェアおよびハードウェア・ユニットを含みうる。調検出のためのソフトウェア・ツールの2つの例は、Superpowered(https://superpowered.com/)およびMixed In Key(https://mixedinkey.com/)である。いくつかの場合には、楽曲の和音進行および/または根音周波数は、調検出に基づいて決定されうる。典型的には、音楽理論が、根音が調の音階の最初の音であることを指定する。
【0044】
本明細書に記載される技法は、いくつかの実施形態において、一つまたは複数の既知のオーディオ解析および合成ツールおよび技法を用いて実装されてもよい。これらのツールおよび技法は、オーディオ等化および等化器〔イコライザー〕、オーディオミキシングおよびミキサー〔混合器〕、リアルタイム・オーディオ解析およびアナライザー〔解析器〕を含みうる。
【0045】
オーディオ等化(または単に「等化」)は、オーディオ信号における異なる周波数のレベル(すなわち、振幅)を減衰させるプロセスを示すために使用される用語である。これは、ラックマウント型オーディオ・ユニット、VSTソフトウェア・プラグイン、および車両のコントロールパネルのコンポーネントなどの、ハードウェアおよびソフトウェア・ツールの両方を通じて適用されることができる。等化器は、周波数領域でオーディオを処理する多様なオーディオ・フィルタを含みうる。それらは、シェルフフィルタ、帯域通過フィルタ、帯域拒否フィルタ、高域通過フィルタ、ハイシェルフフィルタ、低域通過フィルタ、ローシェルフフィルタを含みうる。それらは、オーディオトラックのサウンドを改善したり、ある種のオーディオミックス成分の鳴り方をより目立つように、または目立たないようにするために、録音プロセスにおいて一般的に適用される。記載される実施形態のコンテキストでは、特定の脳波エントレインメント周波数をサポートするために録音の周波数範囲を変更するためだけでなく、ABSを刺激する音楽内のアーチファクトを生成するためにも、等化器が使用されうる。一例として、オーディオトラック(たとえば、音楽トラック)は、一方の耳で100Hzを中心とする帯域通過フィルタを通じて供給され、他方の耳で120Hzを中心とする帯域通過フィルタを通じて供給され、それにより、オーディオトラック内に聴覚アーチファクトを生成して、20Hzの「ビート」周波数を軽く刺激することができる。
【0046】
オーディオ・ミキサーは、音の複数のトラックを、一つまたは複数のトラックまたはチャネルに組み合わせるオーディオ・ユニットである。このユニットはまた、各予想(prospective)トラックのボリュームを減衰させる能力も提供する。記載される実施形態では、ミキサーは、もとの(未修正の)オーディオ・ファイルまたはオーディオ信号を、そのファイルまたは信号の等化されたバージョンと、またABS刺激を生成するために使用される一つまたは複数の発振器と組み合わせて、統合されたABS刺激を含む修正された音楽ファイルまたは信号を生成するために使用されうる。
【0047】
リアルタイム解析器は、オーディオ信号の周波数スペクトルを測定するオーディオ・ユニットである。それは一般には、オーディオをリアルタイムで処理できる周波数スペクトラムアナライザーである。いくつかの実施形態では、この解析は、一曲全体の音楽について、または一曲の中の所与の瞬間について、曲の根音および調を決定することができる。他の実施形態では、調検出および/または根音検出は、上記の調検出ソフトウェアの例のような、別個のハードウェアまたはソフトウェア・モジュールによって実行されてもよい。
【0048】
これらのツールまたは技法のいくつかは、汎用コンピュータのプロセッサのようなプロセッサ上で実行されるソフトウェアを使って、または特化されたオーディオ処理ハードウェア上で実行されうる。いくつかの実施形態では、記載された方法またはプロセスのさまざまなステップは、別個のハードウェア・ユニットによって実行されてもよい。たとえば、いくつかのステップがローカルコンピュータによって実行され、他のステップはネットワークを通じて該ローカルコンピュータとリアルタイムもしくは非同期的な通信をするクラウドコンピューティング・サーバーによって実行される。
【0049】
記載される実施形態の文脈では、合成されたABS刺激の基本周波数または中心周波数は、本明細書中では、その「合成周波数」と称されることがある。これは、たとえば、帯域通過フィルタ出力の中心周波数、低域通過フィルタの上側カットオフ周波数、またはこれらの成分のいずれかがABSに使用される場合の合成された正弦波の周波数を示すことができる。したがって、一対のABS刺激のエントレインメント周波数は、第1のチャネルと第2のチャネルの合成周波数の間のデルタに等しくなる。被験者に第1および第2のチャネルを呈示することにより、デルタ周波数でのビートの知覚が生成される。
【0050】
ここで、図1を参照して、聴覚性ビート刺激を音楽に統合するための方法100の第1の例示的な実施形態について説明する。この方法は、通信リンクを通じて受信された信号、メモリに記憶されたデジタルファイル、またはプロセッサによってオンザフライで生成された音楽信号の形で提供されうる、未修正の音楽信号502に対して作用する。この例および後続の記載される例は、A440またはA4ピッチ標準から例となる周波数を引き出し、これにより、ここに参照によりその全体が組み込まれる(https://pages.mtu.edu/~suits/notefreqs.html)で詳細に示されているように、音階度(scale degree)「A4」が440Hzにチューニングされる。しかしながら、これらの例は、限定することを意図するものではなく、他の実施例は、異なるピッチ標準を使用することができる。
【0051】
ステップ102では、未修正の音楽信号502の根音周波数が識別される。このステップは、いくつかの実施形態では、リアルタイム解析器によって実施されてもよい。根音周波数は、選択されたオクターブ内の未修正の音楽信号502の根音の周波数である:たとえば、曲の根音が「F」である場合、根音周波数は、A440ピッチ標準内での「F」の音、たとえば「F0」(21.83Hz)、「F1」(43.65Hz)ないし「F8」(5587.65Hz)のうちの一つから選択された周波数である。記載される例のコンテキストでは、音楽信号の根音周波数は、式においてfとして示されてもよい。
【0052】
ひとたび根音(たとえば、根音「F4」に対応する349.23Hz)が選択されると、ステップ104において、第1のビート周波数が選択される。この第1のビート周波数は、ABSプロセスのための所望されるエントレインメント周波数に対応する。種々の用途のための潜在的なエントレインメント周波数は、ABSの認知効果に関する研究に関係するさまざまな刊行物に詳述されている。たとえば、1、3、4、5、6、6.66、7、10、15、20、30、39、40、41、および45Hzのビート周波数は、とりわけ、ABSの認知効果の研究のコンテキストにおいて、Chaieb論文に記載されている。いくつかの実施形態では、エントレインメント・プロセスを支援するために、時間とともに変化するビート周波数が使用されてもよい。記載される例のコンテキストにおいて、音楽信号のビート周波数は、式においてbとして示されてもよい。
【0053】
ステップ105では、根音周波数540 fに等しい周波数を有する第1のビート成分508が生成され、根音周波数540をビート周波数660 bだけシフトしたものに等しい周波数を有する第2のビート成分509が生成されて、f+b(またはf-b)を生じる。いくつかの実施形態では、第1および第2のビート成分508、509は、それぞれ周波数fおよびf+bの純粋な正弦波である。他の実施形態では、第1および第2のビート成分508、509は、それぞれ、周波数fおよびf+bにおいてそれぞれの周波数ピークを有し、周波数領域においてゼロでない帯域幅にまたがるより複雑な波形など、他の波形特性を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2のビート成分508、509は、未修正の音楽信号502から導出された根音および/または調データ、および/または意図されたエントレインメント用途に基づいて供給された所望されるビート周波数データに基づいて、2つ以上の発振器によって生成されてもよい。
【0054】
ステップ106では、第1のオーディオ信号504が生成される。第1のオーディオ信号504は、ビート周波数に等しい距離だけ周波数領域において根音から変位(シフト)した合成周波数を有するABS刺激をエンコードすることを意図している。よって、未修正の音楽信号502が根音周波数fを有する場合、第1のオーディオ信号504の合成周波数は、f+b(またはf-b)である。この第1のオーディオ信号504の目的は、未修正の音楽信号502と組み合わされると、未修正の音楽信号502の根音周波数fと第1のオーディオ信号504の合成周波数f+b(またはf-b)との間のデルタbに起因する周波数bを有するモノラルおよび/またはバイノーラル・ビートを生成する信号を提供することである。
【0055】
第1のオーディオ信号504は、第1の周波数範囲内にある未修正の音楽信号502の第1の部分を選択することによって生成されうる。この第1の周波数範囲は、帯域通過フィルタの中心周波数または低域通過フィルタの上側カットオフ周波数のような第1のフィルタ周波数に基づくことができる。第1のフィルタ周波数f+b(またはf-b)は、根音周波数fを第1のビート周波数bだけシフトしたものに等しい。よって、この場合、第1のフィルタ周波数は、第1のオーディオ信号504の合成周波数として機能する。
【0056】
ステップ108では、未修正の音楽信号502は、第1のビート成分508、第2のビート成分509、および第1のオーディオ信号504と混合されて、修正された音楽信号620を生成する。この混合は、単一のトラックまたはチャネル内であって、モノ・オーディオ信号を生成してもよく、あるいは2つのチャネルまたはトラック間であって、ステレオ・オーディオ信号を生成してもよい。たとえば、ステレオ信号を生成するために、第1のオーディオ信号504の等化されたバージョンおよび第2のビート成分509と混合された未修正の音楽信号502の第1のチャネルが、被験者の左耳のために意図された第1のチャネルを生成するために使用でき、一方、未修正の音楽信号502の第2のチャネルが、第1のビート成分508と混合されて、被験者の右耳のために意図された第2のチャネルを生成することができる。上述したように、この混合ステップ108は、合成周波数fでの第1のビート成分508と合成周波数f+b(またはf-b)での第2のビート成分509との間のデルタbに起因する周波数bをもつモノラルおよび/またはバイノーラル・ビートを生じる。このビートは、未修正の音楽信号502の、根音周波数fおよび第1のオーディオ信号504の合成周波数f+b(またはf-b)に対する相関によってマスクされうる。
【0057】
よって、上述した基本的な方法100は、音楽信号の根音をABS刺激のための合成周波数の1つとして使用する。この基本的な技法は、ASB刺激を音楽信号に統合するのを支援するためにさらに洗練できる。
【0058】
いくつかの実施形態では、図2に示される拡張方法200のように、ステップ102は、音楽信号の最低の優勢周波数範囲に基づいて、未修正の音楽信号502の最低の優勢周波数範囲を識別するさらなるステップ202を前提としている。音楽信号の周波数解析(リアルタイム解析など)が、音楽信号において有意なミックスが存在する最低の優勢周波数または最低のスペクトル範囲を決定するために使用されうる。次いで、この最低の周波数範囲が、根音周波数の選択を制約するために使用されうる:たとえば、未修正の音楽信号502の根音が「F」である上記の例において、最低の優勢周波数範囲は、100~200Hzであると識別されうる。これは、根音周波数の選択を100~200Hzの範囲に制限し、根音周波数174.61Hzを有するただ一つの「F」オプション「F3」を与える。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法200は、未修正の音楽信号502の調を識別するステップ204をさらに含んでいてもよい。基本音楽理論を参照して上述したように、楽曲の調(たとえば、歌の調は「C」)は、複数の音階度または音階音を含み(たとえば、「E0」は調「C」内の音階音である)、各音階度は、使用されているピッチ標準内の音階度周波数をもつ(ピッチ標準A440では「E0」=20.60Hz)。今記載している方法200では、第1のビート周波数bは、その調(たとえば、「C」)内の第1の音階度周波数(たとえば、「E0」についての20.60Hz)を、該第1の音階度周波数(20.60Hz)の、所望されるビート周波数(たとえば、ABSの適用は、20Hzのエントレインメント周波数の使用を指定することがある)への近接性に基づいて、選択することによって選択される。よって、上記の例示的な音楽特性およびエントレインメント特性を考慮すれば、方法200は、所望されるビート周波数(エントレインメント周波数20Hz)に最も近い音階度周波数(20.60Hz)を有する調「C」における音階度として、「E0」を選択する。根音周波数184.61Hz(「F3」)を与えられれば、これは第1のフィルタ周波数(174.61±20.60Hz)=195.21Hzまたは154.01Hzを与える。未修正の音楽信号502と組み合わされると、これは、ビート周波数20.60Hzでモノラルおよび/またはバイノーラル・ビートを生じ、20.60Hzで脳波エントレインメント周波数を実現する。
【0060】
上記のように「C」の調の同じ曲を用いる第2の例解用の例では、所望されるエントレインメント周波数は、20Hzではなく16Hzである。この場合、16.35Hzに最も近い調「C」の音階音は、ピッチ標準A440において16.35Hzの音階度周波数を有する音階度「C0」である。よって、16.35Hzの「C0」音階度周波数がビート周波数として選択される。音楽は、たとえば(174.61±16.35Hz)=190.96Hzまたは158.26Hzの第1のフィルタ周波数を使用することによって、選択されたビート周波数16.35Hzに基づいて、モノラルおよび/またはバイノーラル・ビートを統合するために、上記のように混合および等化される。
【0061】
以下の表1および表2は、上述の技法および例示的パラメータを使用して、モノラル・ビートまたはバイノーラル・ビートのいずれかを生成する例を与える。表1に示されるように、モノラル・ビートは、未修正の音楽信号502(またはその等化されたバージョン)を含む第1の層(「レイヤー1」)を、第1のオーディオ信号504(周波数f+bで合成された)を含む第2の層(「レイヤー2」)と混合したものを使用して生成されてもよい。
【表1】
【0062】
表2に示されるように、バイノーラル・ビートは、第1のオーディオ信号504(周波数f+bで合成された)を含む第1のチャネル(「チャネル1」)を、未修正の音楽信号502(またはその等化されたバージョン)を含む第2のチャネル(「チャネル2」)と混合したものを使用して生成されてもよい。
【表2】
【0063】
いくつかの実施形態、特に、モノラル・ビートを生成するために使用される実施形態では、第1のオーディオ信号504は、第1のフィルタ周波数(たとえば、192.21Hz)に等しい上側カットオフ周波数を有する低域通過フィルタを未修正の音楽信号502に適用することによって生成されてもよい。図3は、そのような方法300を示しており、ここでは、ステップ106は、低域通過周波数範囲にわたって延びるそのような低域通過フィルタを使用するステップ306に置き換えられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、ABS刺激を音楽信号に統合することをさらに支援するために、ステップ307において、追加的なオーディオ信号成分が第1のオーディオ信号504に加えられてもよい。第1のオーディオ信号504が低域通過フィルタを使用して生成される場合(たとえば、モノラル・ビートを生成するために使用されるある種の実施形態)、これらの追加的なオーディオ信号成分は、低域通過フィルタのフィルタ周波数と調和する中心周波数を有する一つまたは複数の帯域通過フィルタの出力を含んでいてもよい。たとえば、一つまたは複数の帯域通過フィルタは、次の最低のフィルタ周波数よりも1オクターブまたは2オクターブ高い周波数を中心としていてもよい。いくつかの実施形態では、これらの帯域通過フィルタは、次の最低のフィルタ周波数よりそれぞれ2オクターブ高い中心周波数(帯域通過フィルタのためのフィルタ周波数として示される)を有する。すなわち、各帯域通過フィルタのフィルタ周波数は、次の最低のフィルタ周波数の4倍の周波数に等しい(1オクターブ上に移すことは、音の周波数を2倍にするので、たとえば、「A4」=440Hzであり、「A5」は「A4」より1オクターブ上なので、「A5」=880Hz)。
【0065】
下記の表3は、モノラル・ビートを生成するための例示的な方法で使用されるフィルタ周波数を示している。4つのフィルタが、未修正の音楽信号502に適用される:フィルタ周波数(すなわち、上側カットオフ周波数)f+bの低域通過フィルタ512と、中心周波数がそれぞれ前のフィルタより2オクターブ上に位置する3つの帯域通過フィルタ、すなわち、中心周波数4(f+b)の第1の帯域通過フィルタ514、中心周波数16(f+b)の第2の帯域通過フィルタ516、および中心周波数64(f+b)の第3の帯域通過フィルタ518。
【表3】
【0066】
これら4つのフィルタの出力は次いで等化され、第1のビート成分508および第2のビート成分509とともに未修正の音楽信号502に混合され、修正された音楽信号602を生成する。fの根音をf+bのフィルタ出力と混合し、さらに4(f+b)、8(f+b)、64(f+b)の高調波によってマスクしたものは、fにおける第1のビート成分およびf+bにおける第2のビート成分から帰結するビートの存在にもかかわらず、修正された音楽信号620の不協和な知覚を生じないことがある。この修正された音楽信号620は、伝送され、送信され、オーディオ出力装置(モノまたはステレオ)を通じて被験者に呈示される、またはCD、ハードドライブもしくはRAMのような記憶媒体上に音楽データ・ファイルとして記憶される。
【0067】
図5Aは、すぐ上に記載された、上記の表3に対応するモノラル・ビート統合方法による、第1のオーディオ信号504を生成するために未修正の音楽信号502に適用されるフィルタ510の例示的な集合を示している。未修正の音楽信号502は、周波数領域でグラフ化されており、その下に示されるフィルタの集合510が、各フィルタに関連付けられたある種の周波数範囲を捕捉するために適用される。未修正の音楽信号502の根音周波数540 fは、ビート周波数506 bだけ上方シフトされ、第1のフィルタ周波数550 (f+b)を与える。この第1のフィルタ周波数550は、第1のフィルタ周波数550によって上端の堺を与えられる第1の周波数範囲を画定し、低域通過フィルタ512の形の第1のフィルタを定義する。第1のフィルタ周波数550より2オクターブ上で4(f+b)に設定される第2のフィルタ周波数552は、第2のフィルタ周波数552に等しい中心周波数によって定義される帯域通過フィルタ514の形の第2のフィルタを定義する。このパターンはだい、それぞれ第3のフィルタ周波数554(16(f+b))および第4のフィルタ周波数556(64(f+b))に等しい中心周波数によって定義される第3のフィルタ(帯域通過フィルタ516)および第4のフィルタ(帯域通過フィルタ518)について続く。
【0068】
図の左下には、それぞれ根音周波数540および第1のフィルタ周波数550において生成される第1のビート成分508および第2のビート成分509が示されている。子の例では、第1のビート周波数508および第2のビート周波数509は、それぞれの合成周波数において生成された純粋な正弦波として示されている。
【0069】
他の実施形態、特にバイノーラル・ビートを生成するために使用される実施形態では、第1のオーディオ信号504は、未修正の音楽信号502に、第1のフィルタ周波数(たとえば192.21Hz)に等しい中心周波数をもつ帯域通過フィルタを適用することによって生成されうる。図4は、そのような方法400を示しており、ここではステップ106は、帯域通過周波数範囲にわたって延在するそのような低域通貨フィルタを使うステップ406で置き換えられる。
【0070】
いくつかのそのような実施形態では、ステップ407における第1のオーディオ信号へのオーディオ信号成分の加算は、方法300のような(f+b)より上の高調波周波数を中心とする追加的な帯域通過フィルタを使うだけでなく、0.5f+b、すなわちfより1オクターブ下をbだけ周波数シフトしたものに等しい低い上側カットオフ周波数(すなわち、フィルタ周波数)をもつ低域通過フィルタをも使用する。さらなる変形は、低域通過フィルタ周波数を0.5f+bではなく、0.5(f+b)に設定することができる。
【0071】
いくつかのそのような実施形態は、未修正の音楽信号502と混合するために、ステップ408において第2のオーディオ信号506をも生成してもよい。第1のオーディオ信号504は、未修正の音楽信号502と混合されて、修正された音楽信号620の第1のチャネル(たとえば、左耳用)を生成するが、第2のオーディオ信号506は、未修正の音楽信号502と混合されて、修正された音楽信号620の第2のチャネル(たとえば、右耳用)を生成する。第2のオーディオ信号506は、合成周波数f+bで生成された第1のオーディオ信号504との関連でバイノーラル・ビート効果を高めるために、合成周波数fに基づく高調波を含む。これらの追加的な高調波または他の成分の発生は、ステップ410で行われる。ステップ412において、第1のオーディオ信号504および第2のオーディオ信号506は、上述のように、第1のビート成分508、第2のビート成分509、および未修正の音楽信号502と混合され、修正された音楽信号620を生成する。
【0072】
以下の表4は、バイノーラル・ビートを生成するための例示的な方法で使用されるフィルタ周波数を示す。5つのフィルタの集合530が、未修正の音楽信号502に適用される:0.5f+bのフィルタ周波数(すなわち、上側カットオフ周波数)を有する低域通過フィルタ532、中心周波数f+b (すなわち、第1のフィルタ周波数)の帯域通過フィルタ534、および、それぞれ前のフィルタより2オクターブ上に位置する中心周波数を有する3つの追加的な帯域通過フィルタ、すなわち、中心周波数4(f+b)の第2の帯域通過フィルタ536、中心周波数16(f+b)の第3の帯域通過フィルタ538、および中心周波数64(f+b)の第4の帯域通過フィルタ539。これらの5つのフィルタは、未修正の音楽信号502に適用されて、第1のオーディオ信号504を生成する。
【0073】
第2のオーディオ信号506は、5つのフィルタの同様の集合を使用して、ただしf+bの代わりにfの合成周波数に基づいて生成される。よって、低域通過フィルタ522は、0.5fのフィルタ周波数を有し、第1の帯域通過フィルタ524は、中心周波数f(すなわち、根音周波数540)を有し、3つの追加的な帯域通過フィルタは、それぞれ前のフィルタより2オクターブ上に位置する中心周波数を有する。すなわち、第2の帯域通過フィルタ526は、中心周波数4f、第3の帯域通過フィルタ528は、中心周波数16f、第4の帯域通過フィルタ529は、中心周波数64である。これらの5つのフィルタは、未修正の音楽信号502に適用されて、第2のオーディオ信号506を生成する。
【表4】
【0074】
次いで、これらの5つのフィルタの出力は、等化され、未修正の音楽信号502および第1のオーディオ信号504に混合され、修正された音楽信号620を生成する。バイノーラル・ビートの場合、この混合は、第1のオーディオ信号504を未修正の音楽信号502と混合して、修正された音楽信号620の第1のチャネル(ステレオ・チャネル1)を生成し、第2のオーディオ信号506を未修正の音楽信号502と混合して、修正された音楽信号620の第2のチャネル(ステレオ・チャネル2)を生成することを含む。
【0075】
図5Bは、図5Aに類似しているが、モノラル・ビートの代わりにバイノーラル・ビートの例示的な生成を示す。図5Bは、すぐ上に記載され、上記の表4に対応するバイノーラル・ビート統合方法に従って、第1のオーディオ信号504を生成するために未修正の音楽信号502に適用されるフィルタの第1の集合530と、第2のオーディオ信号506を生成するために未修正の音楽信号502に適用されるフィルタの第2の集合520との例を示す。
【0076】
まず、図5Bの第1のオーディオ信号504の生成について説明する。未修正の音楽信号502の根音周波数540 fは、ビート周波数506 bだけ上方シフトされ、第1のフィルタ周波数550 (f+b)を与える。この第1のフィルタ周波数550は、第1のフィルタ周波数550を中心とする第1の周波数範囲を画定し、帯域通過フィルタ534の形の第1のフィルタを定義する。低域通過フィルタ周波数570は、根音周波数540の半分、すなわち0.5fに設定される。この低域通過フィルタ周波数570は、周波数領域においてビート周波数660 bの量だけ右にシフトされ、0.5f+bで別の低域通過フィルタ周波数572を生じる。この第2の低域通過フィルタ周波数572は、低域通過フィルタ532を画定し、フィルタ周波数572によって上端の境を定められる周波数範囲を定義する。第1の帯域通過フィルタ534から高周波方向に進むと、第2の帯域通過フィルタ536は、第2の帯域通過フィルタ周波数552において、第1のフィルタ周波数550から2オクターブ上、4(f+b)に設定される。このパターンは、それぞれ、フィルタ周波数554(16(f+b))および第4のフィルタ周波数556(64(f+b))に等しい中心周波数によって定義される第3の帯域通過フィルタ(帯域通過フィルタ538)および第4の帯域通過フィルタ(帯域通過フィルタ539)について続く。
【0077】
最後に、図5Bの第2のオーディオ信号506の生成について説明する。第2のオーディオ信号506は、フィルタの第2の集合520によって生成される。根音周波数540 fは、帯域通過フィルタ524の形の第1のフィルタを画定し、fの根音周波数540を中心とする第1の周波数範囲を定義する。低域通過フィルタ周波数570は、根音周波数540の半分、すなわち0.5fに設定される。この低域通過フィルタ周波数570は、フィルタ周波数570によって上側で境を定められる周波数範囲を定義し、低域通過フィルタ522を画定する。第1の帯域通過フィルタ524から高周波方向に進むと、第2の帯域通過フィルタ526は、第2の帯域通過フィルタ周波数542において、根音周波数540から2オクターブ上、4fに設定される。このパターンは、それぞれ、フィルタ周波数544(16f)および第4のフィルタ周波数546(64f)に等しい中心周波数によって定義される第3の帯域通過フィルタ(帯域通過フィルタ528)および第4の帯域通過フィルタ(帯域通過フィルタ529)について続く。
【0078】
上述の技法は、モノラル・ビートとバイノーラル・ビートの両方を統合する音楽トラックを生成するために、組み合わされ、および/または修正されてもよい。そのような組み合わされたビートは、被験者にステレオで(たとえば、各耳に対して1つのチャネルをもって)で呈示された場合には、いずれかのタイプのビート単独でより効果的でありうる。それらは、より多用途であってもよい。たとえば、同じ音楽トラックが、ステレオ(バイノーラル+モノラル・ビート有効)またはモノ(モノラル・ビート有効)のいずれかで呈示されたときに、被写体を連行することを許容しうる。
【0079】
以下の表5および表6は、モノラルおよびバイノーラル・ビートの両方を音楽信号に統合するための例示的な方法において使用される例示的なフィルタ・パラメータを示している。表4および図5Bを参照して上述したバイノーラル・ビート生成方法と同様に、下記の例示的な方法は、フィルタ周波数0.5fおよび0.5f+bを有する2つの低域通過フィルタを使用する。しかしながら、この例では、低域通過フィルタ周波数は、この例では80Hzの低域通過フィルタ周波数最大値よりも低いことが意図されている。根音周波数fが160Hzを超える場合、すなわち、低域通過フィルタ周波数0.5fが80Hzを超える場合、0.5fおよび0.5f+bを使用する代わりに、低域通過フィルタ周波数は0.25fおよび0.25f+bに設定される。
【0080】
また、表5および表6に示されている例示的な方法パラメータは、より高い周波数の高調波についてフィルタ周波数を設定する2つの代替的な方法をも示している。第1のオーディオ信号504の高周波数成分は、表4のバイノーラル・ビート方法で与えられる値、すなわち、4(f+b)、16(f+b)、および64(f+b)を用いてもよいし、または4f+b、16f+b、および64f+bの値を用いてもよい。いくつかの実施形態は、根音周波数(たとえば、4f)に2(または4)の冪乗を乗算して、ビート周波数(たとえば、+b)シフトする前にオクターブを変化させ;他の実施形態は、根音周波数をビート周波数だけシフトした(それにより(f+b)を得た)後に周波数に乗算する(たとえば、4倍)。
【表5】
【表6】
【0081】
上記の表5および表6に示された組み合わされたモノラル・ビートおよびバイノーラル・ビートの例は、それ自身がビートを生成する複数の合成周波数の使用を導入することによって、先に記載された方法からさらに隔たる。たとえば、表5に記載されるように、バイノーラル・ビートは、合成周波数fおよびf+bにおいて合成され、修正された音楽信号620の左チャネルおよび右チャネルに混合されてもよく、モノラル・ビートは、周波数0.5fおよび0.5f+b(または0.25fおよび0.25f+b)において合成され、ミキサーによって互いに層状に重ねられて両方のステレオ・チャネルにされる。これは、いくつかの実施形態では、要求される数の異なるビート成分を生成するために3つ以上の発振器の使用を必要とすることがある。この例では、4つのビート成分がf、f+b、0.5f、および0.5f+b(または0.25fおよび0.25f+b)において音楽に追加され、単に第1のビート成分508および第2のビート成分509ではなく、4つの発振器によって生成される4つのビート成分を必要とする。いくつかの実施形態では、3つ以上のビート成分のこの使用は、それら自体でのバイノーラルまたはモノラル・ビートの生成に適用されうる。
【0082】
さらなる実施形態では、上述の諸方法は、さらに、修正されていない音楽信号502に高域通過フィルタを適用して、第1のオーディオ信号504および/または第2のオーディオ信号506を生成してもよい。
【0083】
さまざまな記載された方法は、リアルタイムで(たとえば、オーディオ・データを解析および修正するための自動化されたソフトウェアまたはハードウェアを使って)または非同期的に(たとえば、デジタル・オーディオ・ワークステーションを使って)実行されてもよい。
【0084】
よって、これらの統合方法は、音楽録音またはライブ・トラックの既存の周波数を利用し、それらをABSのための支援要素にする。
【0085】
前述のように、上述の諸方法は、オーディオ処理ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを使用して実装されてもよい。図6は、上述の方法に従って聴覚性ビート刺激を音楽に統合するための例示的な音声処理装置600のブロック図を示す。
【0086】
図6において、実線はオーディオ信号の通信を示し、破線は周波数スペクトルデータ、根音情報、調情報などの、当該装置によって使用されるデータの通信を示している。
【0087】
装置600は、入力601において未修正の音楽信号502を受領する。入力601は、受領された音楽信号の性質に応じてオーディオ入力またはデータ入力であってもよく、たとえば、未修正の音楽信号502が記憶媒体に記憶されたファイルの形(たとえば、モノ、ステレオ、バイノーラル、アンビソニック、または5.1オーディオ・ファイル)であれば、入力601はシステムデータバスまたは他のデータ入力であってもよく、未修正の音楽信号502がアナログオーディオデータの形(たとえば、シンセサイザ、ソフトウェアインストゥルメント、またはマイクロフォン入力)であれば、入力601はアナログオーディオ入力であってもよい。未修正の音楽信号502の形およびそれが装置600によってどのように受領されるかに応じて、入力601の他の実施形態が可能である。
【0088】
入力601は、受領されたオーディオ信号をミキサー610および調・根音検出器602の両方に伝える。
【0089】
調・根音検出器602は、リアルタイムでオーディオを処理し、楽曲の調を決定する。未修正の音楽信号502の和声的な(harmonic)根音およびそれらの経時的変化を決定し、このデータを発振器608および等化器606に送る前に、これらをマッピングする(map out)。調・根音検出器602は、異なる実施形態では、音楽信号入力の調および和声的な根音を決定することができるソフトウェア・モジュールおよび/またはハードウェア・モジュールとして実装されうる。
【0090】
いくつかの実施形態では、スペクトル分析器604は、リアルタイム解析器であってもよい。それは、調・根音検出器602から受領されたオーディオ信号に基づいて、未修正の音楽信号502における有意なミックスの存在をもつ最低のスペクトル範囲を決定する。次いで、このスペクトルデータは、発振器608および等化器606の両方に送られる。
【0091】
いくつかの実施形態では、発振器608は、純音の正弦波を生成する2つ以上の発振器を含んでいてもよい。それらは、バイノーラルおよび/またはモノラル・ビートをリアルタイムでまたは非同期的に発生させる。各発振器608の利得は、調・根音検出器602およびスペクトル解析器604から受領されたデータに基づいて、未修正の音楽信号502の振幅に相対的である。信号502の振幅は、異なる実施形態では異なる仕方で決定されてもよい:いくつかの実施形態は、サンプルの集合の二乗平均平方根(RMS)値を使用してもよく、他の実施形態は、サンプルの集合のピーク振幅を使用してもよく、他の実施形態は、信号502の全体的な振幅を決定するための他の既知の平均化または集計技法を使用してもよい。発振器608は、たとえば、表1、表3、および表5に示される合成パラメータに従って、未修正の音楽信号502のスペクトル、調、および根音解析から導出される合成周波数を使用して、ビートを生成する。たとえば、調・根音検出器602によって検出される根音が「F」である場合、発振器608は、スペクトル分析器604によって決定される最低の優勢周波数範囲内にある「F」トーンを合成することができる。
【0092】
等化器606は、スペクトル分析器604からオーディオ信号を、調・根音検出器602およびスペクトル分析器604からデータを受け取る。このデータを使用して、さまざまなフィルタを適用して、たとえば表2、表4、および表6に記載されるような第1のオーディオ信号504および/または第2のオーディオ信号506を生成する。等化器606は、上記で詳細に説明したように、音楽信号に低域通過フィルタ、高域通過フィルタ(任意的)、および帯域通過フィルタを適用する。
【0093】
ミキサー610は、入力601から受領された未修正の音楽信号502、等化器606から受領された等化/フィルタリングされた信号(たとえば、第1のオーディオ信号504および/または第2のオーディオ信号506)、および発振器608の出力を一緒に組み合わせ、それを、組み合わされたモノラルまたはステレオの修正された音楽信号620にダウンミックスする。いくつかの実施形態では、混合は、受領された信号のピーク対RMS振幅値の比に基づいて均等にバランスされてもよい。次いで、ミキサー610は、修正された音楽信号620を出力612に送り、この出力は、装置600の意図された出力フォーマットに依存して、いくつかの形のうちの任意の形を取りうる。たとえば、音楽データを記憶媒体に書き込むか、または別のコンポーネントに送信するためのデータ出力、または、スピーカーまたはヘッドフォンなどの、音楽を被験者に呈示するためのオーディオ出力である。
【0094】
未修正の音楽信号の根音に等しい合成周波数を有する1つのチャネルと、根音を曲の調の音階度のうちの1つの周波数に近い量だけ周波数領域で上または下にシフトさせたものに等しい合成周波数を有する第2のチャネルとを生成することによって、本明細書に記載される方法および装置は、被験者にとって比較的気づかれにくい、および/またはそれほど不協和でないモノラルおよび/またはバイノーラル・ビートを含む修正された音楽信号620を生成することができうる。
【0095】
本開示は、少なくとも部分的には、方法および装置に関して記載されることがあるが、当業者は、本開示が、ハードウェアコンポーネント、ソフトウェア、または両者の何らかの組み合わせのいずれによるものであれ、記載された方法の側面および特徴のうちの少なくともいくつかを実行するためのさまざまなコンポーネントにも向けられることを理解するであろう。よって、本開示の技術的解決策は、ソフトウェア製品の形で具体化されうる。好適なソフトウェア製品は、あらかじめ記録された記憶装置、または、たとえばDVD、CD-ROM、USBフラッシュディスク、リムーバブルハードディスク、もしくは他の記憶媒体を含む、、他の同様の不揮発性または非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読媒体に記憶されてもよい。ソフトウェア製品は、処理装置(たとえば、パーソナルコンピュータ、サーバー、またはネットワーク装置)が、本明細書に開示された方法またはシステムの例を実行することを可能にする、有体に記憶された命令を含む。
【0096】
当業者は、上述の方法および装置の出力、すなわち、統合されたABS刺激を有する修正された音楽信号620は、DVD、CD-ROM、USBフラッシュディスク、リムーバブルハードディスク、または他の記憶媒体を含む、不揮発性または非一時的なコンピュータ可読またはプロセッサ可読媒体のような記憶媒体上に音楽データ(たとえば、オーディオファイル)として記憶されうることを理解するであろう。音楽はまた、オーディオアプリケーションまたはオーディオ再生または放送装置で使用するのに適した他のデジタルまたはアナログ記憶媒体、たとえば、カセットテープ、ビニルレコード、またはデジタルまたはアナログ音楽データのための他の任意の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0097】
記載される方法またはブロック図において、ボックスは、イベント、ステップ、機能、プロセス、モジュール、メッセージ、および/または状態ベースの動作などを表すことができる。上記の実例のいくつかは、特定の順序で生起するものとして記載されてきたが、当業者には、いずれかの所与のステップの変更された順序の結果がその後のステップの生起を妨げたり損なったりしないかぎり、それらのステップまたはプロセスのいくつかは異なる順序で実行されてもよいことが理解されるであろう。さらに、上述のメッセージまたはステップの一部は、他の実施形態では除去または組み合わされてもよく、上述のメッセージまたはステップの一部は、他の実施形態では、いくつかのサブメッセージまたはサブステップに分離されてもよい。さらに、必要に応じて、それらのステップのうちの一部または全部が繰り返されてもよい。方法またはステップとして記述された要素は、システムまたはサブコンポーネントにも同様に適用され、その逆も成り立つ。「送信」または「受信」のような単語への言及は、特定の装置の観点に依存して交換される。
【0098】
上述の実施形態は、例示的なものであり、制約するものではないと考えられる。方法として記載される例示的実施形態は、同様にシステムに適用され、その逆も成り立つ。
【0099】
いくつかの例示的な実施形態に対して、上記のいずれかの組み合わせおよびサブコンビネーションを含みうる変形がなされてもよい。上述のさまざまな実施形態は単に例であり、決して本開示の範囲を制限するものではない。本明細書に記載される革新の変形は、当業者には明らかであり、そのような変形は、本開示の意図された範囲内である。特に、上述の実施形態のうちの一つまたは複数の特徴が選択されて、上記では明示的に記載されていないかもしれない特徴のサブコンビネーションからなる代替的な実施形態を作り出してもよい。さらに、上述の実施形態のうちの一つまたは複数からの特徴が選択されて、組み合わされて、上記では明示的に記載されていないかもしれない特徴の組み合わせからなる代替的な実施形態を作り出してもよい。そのような組み合わせおよびサブコンビネーションに好適な特徴は、本開示を全体としての検討することにより、当業者には容易に明らかとなろう。本明細書中に記載される主題は、技術におけるすべての好適な変更をカバーし、包含することを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6