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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】巻締装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/30 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B21D51/30 D
B21D51/30 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020084675
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021178345
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】396024819
【氏名又は名称】株式会社三友機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(74)【代理人】
【識別番号】100189197
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 幸子
(72)【発明者】
【氏名】徳永 朋丈
(72)【発明者】
【氏名】石坂 公一
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-033154(JP,U)
【文献】特開平11-179455(JP,A)
【文献】特公昭54-012873(JP,B2)
【文献】特開昭58-058950(JP,A)
【文献】特開2007-229730(JP,A)
【文献】特表2019-523140(JP,A)
【文献】特開2004-058147(JP,A)
【文献】特開平08-197176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体に金属蓋を被せた金属蓋付筒体に接触することで該金属蓋を該筒体に巻締めるシーミングロールと、
前記シーミングロールを前記金属蓋付筒体に対する接離方向へ移動させるためのカム面を有するカムと、
前記カム面の一部に接触して前記シーミングロールを前記接離方向に移動させるカムフォロワーと、
前記カムフォロワーと前記カム面との接触範囲を変更することで、前記シーミングロールの前記接離方向への移動範囲を変更する移動範囲変更手段とを備え
前記カムフォロワーは、前記シーミングロールとともに公転するものであり、
前記カムは、前記カムフォロワーの公転軸線であるフォロワー公転軸線を中心軸線として回転するものであり、
前記移動範囲変更手段は、前記カムフォロワーの公転速度と前記カムの回転速度とを制御する制御装置である
巻締装置。
【請求項2】
筒体に金属蓋を被せた金属蓋付筒体に接触することで該金属蓋を該筒体に巻締めるシーミングロールと、
前記シーミングロールを前記金属蓋付筒体に対する接離方向へ移動させるためのカム面を有するカムと、
前記カム面の一部に接触して前記シーミングロールを前記接離方向に移動させるカムフォロワーと、
前記カムフォロワーと前記カム面との接触範囲を変更することで、前記シーミングロールの前記接離方向への移動範囲を変更する移動範囲変更手段とを備え
前記カムフォロワーの外周面は、前記カム面に常に押し付けられている
巻締装置。
【請求項3】
前記シーミングロールは、前記金属蓋付筒体の周囲を公転しつつ前記接離方向へ移動するものであることを特徴とする請求項記載の巻締装置。
【請求項4】
前記カムフォロワーは、前記シーミングロールとともに公転するものであり、
前記カムは、前記カムフォロワーの公転軸線であるフォロワー公転軸線を中心軸線として回転するものであり、
前記移動範囲変更手段は、前記カムフォロワーの公転速度と前記カムの回転速度とを制御する制御装置であることを特徴とする請求項記載の巻締装置。
【請求項5】
前記シーミングロールは、前記金属蓋付筒体を挟んで対向する位置に配置されたローラ対であることを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項記載の巻締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属蓋を筒体に巻締める巻締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シーミングロールを用いて筒体に金属蓋を巻締める巻締装置が知られている。このシーミングロールは、筒体に金属蓋を被せた金属蓋付筒体に接触することで金属蓋を筒体に巻締める。シーミングロールは、金属蓋付筒体に接近する方向および該金属蓋付筒体から離間する方向である接離方向へ、カムとカムフォロワを利用して移動するように構成されている。従来の巻締装置では、巻締める金属蓋付筒体の大きさが変更される毎に、カムフォロワとシーミングロールの間に配置されているレバーを付け替えることで多様な大きさの金属蓋付筒体に対応している。または、金属蓋付筒体の大きさに対応したカムを用意しておき、巻締める金属蓋付筒体の大きさが変更される毎に、巻締装置に取り付けられているカムを付け替えることで多様な大きさの金属蓋付筒体に対応することもある。このレバーまたはカムの付け替え作業は煩雑である上に時間がかかるという問題もある。さらに、レバーまたはカムの付け替えの際には、熟練した技術を有する作業者による微調整が必要になるといった問題もある。また、カムを付け替える場合は、巻締対象の金属蓋付筒体の大きさに対応したカムを用意しておかなければならないという問題がある。
【0003】
これに対し、シーミングロールをサーボモータを備えた電動シリンダ―によって移動させることで、カムを使用しないで金属蓋付筒体の巻締を行う巻締装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。この特許文献1で提案されている巻締装置によれば、レバーまたはカムを付け替えることなく、サーボモータの制御を変更することで金属蓋付筒体の大きさの変更に対応できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-229730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されている巻締装置は、サーボモータを備えた電動シリンダ―でシーミングロールを移動させているので、巻締め動作の高速化には限界がある。これに対し、近年は、さらに短時間で多量の巻締めを行うことが望まれている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、レバーまたはカムを交換することなく多様な大きさの金属蓋付筒体に対応可能で、かつ短時間で多量の巻締めを行うことが可能な巻締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の巻締装置は、
筒体に金属蓋を被せた金属蓋付筒体に接触することで該金属蓋を該筒体に巻締めるシーミングロールと、
前記シーミングロールを前記金属蓋付筒体に対する接離方向へ移動させるためのカム面を有するカムと、
前記カム面の一部に接触して前記シーミングロールを前記接離方向に移動させるカムフォロワーと、
前記カムフォロワーと前記カム面との接触範囲を変更することで、前記シーミングロールの前記接離方向への移動範囲を変更する移動範囲変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで前記カムフォロワーは、前記カム面に接触しながら前記接触範囲で往復移動するものであってもよい。また、前記移動範囲変更手段は、モータを制御して前記接触範囲を変更するものであってもよい。また、この巻締装置は、缶蓋を缶胴に巻締める缶巻締装置であってもよい。
【0009】
この巻締装置によれば、前記接触範囲を変更することで、多様な大きさの金属蓋付筒体に対応することができる。また、カムを用いて前記シーミングロールを前記接離方向に移動させているので、短時間で多量の巻締めを行うことができる。
【0010】
この巻締装置において、
前記シーミングロールは、前記金属蓋付筒体の周囲を公転しつつ前記接離方向へ移動するものであってもよい。
【0011】
このシーミングロールによれば、金属蓋付筒体を回転させて巻締を行うものと比較して、巻締前に金属蓋付筒体を回転させて巻締め後に金属蓋付筒体の回転を停止させる必要がないので、短時間で多量の巻締を行うことができる。
【0012】
また、この巻締装置において、
前記カムフォロワーは、前記シーミングロールとともに公転するものであり、
前記カムは、前記カムフォロワーの公転軸線であるフォロワー公転軸線を中心軸線として回転するものであり、
前記移動範囲変更手段は、前記カムフォロワーの公転速度と前記カムの回転速度とを制御する制御装置であってもよい。
【0013】
前記カムは、前記シーミングロールの公転と同期して回転するものであってもよい。
【0014】
こうすることで、前記シーミングロールが前記金属蓋付筒体の周囲を公転する態様であっても、前記カムフォロワーと前記カム面とを所望の接触範囲で接触させることができる。
【0015】
さらに、この巻締装置において、
前記シーミングロールは、前記金属蓋付筒体を挟んで対向する位置に配置されたローラ対であってもよい。
【0016】
前記金属蓋付筒体を巻締める際に、該金属蓋付筒体に加わる荷重を前記ローラが互いに打ち消しあうので巻締動作が安定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レバーまたはカムを交換することなく多様な大きさの金属蓋付筒体に対応可能で、かつ短時間で多量の巻締めを行うことが可能な巻締装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に相当する巻締装置の要部を示す断面図である。
図2図2は、図1に示した巻締装置のシーミングロール揺動機構を示す平面図である
図3図2に示したシーミングロールの接離方向への移動を示す平面図である。
図4】巻締装置の電気部品の構成を示すブロック図である。
図5図1に示した巻締装置のカムとカムフォロワーの接触範囲を示すカム曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、開口部に巻締用のフランジが形成された円筒状の筒体に円板状の金属蓋を巻締めて固定する例を用いて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に相当する巻締装置の要部を示す断面図である。この図1では、図面を見やすくするため、断面を示すハッチングを図示省略している。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の巻締装置1は、固定シャフト11と、チャック2と、ロータ―駆動機構3と、第1カム制御機構4と、第2カム制御機構5と、シーミングロール揺動機構6とを備えている。固定シャフト11は、巻締装置1の中心部分に固定されている。この固定シャフト11は、内部に不図示のノックアウトバーを備えた、上下方向に延在する軸である。チャック2は、固定シャフト11の下端部分に形成されている。このチャック2は、下方に配置された不図示のリフターとの間で、円筒状の筒体W1に円板状の金属蓋W2を被せた金属蓋付筒体Wを上下から挟み込んで保持するものである。この実施形態の筒体W1は、金属製のものであるが、紙製のものであってもよく、樹脂製のものであってもよい。チャック2とリフターとの間に挟み込まれた金属蓋付筒体Wの中心線は、固定シャフト11の中心線11cと一致する。リフターは、リフター駆動モータM4(図4参照)を備えた不図示の電動シリンダ―によって図1の上下方向に移動自在に構成されている。巻締装置1が巻締動作を実行する際には、このリフターによって金属蓋付筒体Wを上方に移動させることで、リフターとチャック2との間に金属蓋付筒体Wを挟み込ませて金属蓋付筒体Wを移動および回転不能に保持する。なお、電動シリンダ―の代わりにエアシリンダーや油圧シリンダーを用いてもよい。
【0022】
ロータ―駆動機構3は、ロータ駆動モータM1と、ロータ駆動歯車31と、ロータ従動歯車32と、ロータ33とを備えている。ロータ駆動モータM1はサーボモータである。ロータ駆動モータM1の出力シャフトは、不図示の軸継手によってロータ駆動歯車31に連結されており、ロータ駆動モータM1の駆動力は、軸継手を介してロータ駆動歯車31に伝達される。また、図1では離間して示されているが、ロータ駆動歯車31の歯とロータ従動歯車32の歯は噛み合っており、ロータ駆動歯車31の回転はロータ従動歯車32に伝達される。ロータ従動歯車32は、ロータ33の上端部分に固定されている。ロータ33は、ベアリングを介してその内側を貫通している固定シャフト11に支持されている。ロータ33は、下端部分の円盤状部分と筒状部分とが一体化した回転体である。ロータ33は、固定シャフト11の中心線11cを中心軸線として回転自在である。ロータ駆動モータM1が駆動されると、ロータ33は、ロータ駆動モータM1の回転速度(角速度)に応じた回転速度で回転する。
【0023】
第1カム制御機構4は、第1カムモータM2と、第1カム駆動歯車41と、第1カム従動歯車42と、第1カムスリーブ43と、第1カム44とを備えている。第1カムモータM2はサーボモータである。第1カムモータM2の出力シャフトは、不図示の軸継手によって第1カム駆動歯車41に連結されており、第1カムモータM2の駆動力は、軸継手を介して第1カム駆動歯車41に伝達される。また、第1カム駆動歯車41の歯と第1カム従動歯車42の歯は噛み合っており、第1カム駆動歯車41の回転は第1カム従動歯車42に伝達される。第1カム従動歯車42は、第1カムスリーブ43の上端部分に固定されている。第1カムスリーブ43の内側には後述する第2カムスリーブ53が貫通している。第1カムスリーブ43は、ベアリングによって回転自在に第2カムスリーブ53に支持されている。第1カム44は、第1カムスリーブ43の高さ方向中央部分外側に固定されている。従って、第1カムモータM2が駆動されると、第1カムモータM2の回転速度に応じた回転速度で第1カム44は回転する。この第1カム44は、本発明におけるカムの一例に相当する。回転における第1カム44の中心軸線は固定シャフト11の中心線11cと一致する。
【0024】
第2カム制御機構5は、第2カムモータM3と、第2カム駆動歯車51と、第2カム従動歯車52と、第2カムスリーブ53と、第2カム54とを備えている。第2カムモータM3はサーボモータである。第2カムモータM3の出力シャフトは、不図示の軸継手によって第2カム駆動歯車51に連結されており、第2カムモータM3の駆動力は、軸継手を介して第2カム駆動歯車51に伝達される。また、第2カム駆動歯車51の歯と第2カム従動歯車52の歯は噛み合っており、第2カム駆動歯車51の回転は第2カム従動歯車52に伝達される。第2カム従動歯車52は、第2カムスリーブ53の上端部分に固定されている。第2カムスリーブ53の内側にはロータ33の筒状部分が貫通している。第2カムスリーブ53は、ベアリングによって回転自在にロータ33に支持されている。第2カム54は、第2カムスリーブ53の下端部分に固定されている。従って、第2カムモータM3が駆動されると、第2カムモータM3の回転速度に応じた回転速度で第2カム54は回転する。この第2カム54も、本発明におけるカムの一例に相当する。回転における第2カム54の中心軸線は固定シャフト11の中心線11cと一致する。
【0025】
次に、主に図2を参照してシーミングロール揺動機構6、第1カム44および第2カム54の構成について説明する。
【0026】
図2は、図1に示した巻締装置のシーミングロール揺動機構を示す平面図である。図2(a)には第1シーミングロール揺動機構61が示され、図2(b)には第2シーミングロール揺動機構62が示されている。また、図2(a)には、第1カム44とロータ33と2本の第2揺動軸623,623も示されており、図2(b)には第2カム54とロータ33と2本の第1揺動軸613,613も示されている。なお、この図2(a)および図2(b)では、第1カム44、第2カム54、およびロータ33の中央に開いている孔は図示省略している。
【0027】
シーミングロール揺動機構6は、図2(a)に示す第1シーミングロール揺動機構61と、図2(b)に示す第2シーミングロール揺動機構62とから構成されている。なお、第1シーミングロール揺動機構61と第2シーミングロール揺動機構62には同じ高さ位置に配置されている部品もあるが、一つの図面で示すと図面が見にくくなるため、図2(a)と図2(b)の2つに分けて示している。
【0028】
図2(a)に示すように、第1シーミングロール揺動機構61は、2つの第1カムフォロワー611,611と、2つの第1カムフォロワーレバー612,612と、2本の第1揺動軸613,613と、2つの第1シーミングロールレバー614,614と、2つの第1シーミングロール615,615と、2本の第1フォロワー軸616,616と、2本の第1シーミングロール軸617,617とを備えている。これら2つの部品それぞれは、固定シャフト11の中心線11cを中心として180°回転対称(線対称)に配置されている。また、これら2つ部品それぞれは、構造的には同一であるので、以下の説明では2つのうち1つについて説明し、もう1つについては説明を省略する場合がある。第1カム44は、中心線11cを中心として線対称に構成されている。第1カムフォロワー611は、第1フォロワー軸616を回転軸として回転自在に第1カムフォロワーレバー612に保持されている。この第1カムフォロワー611は、本発明におけるカムフォロワーの一例に相当する。第1カムフォロワーレバー612には、第1揺動軸613を回転軸として図2(a)において時計回り方向に回転する力が不図示のバネによって付与されている。これにより、第1カムフォロワー611の外周面は、第1カム44の第1カム面44aに常に押し付けられている。
【0029】
図1に示すように、第1カムフォロワーレバー612は、第1揺動軸613の上端に固定されている。なお、図1では、図の右側に第1シーミングロール揺動機構61が示されており、図の左側に、第2シーミングロール揺動機構62が示されている。また、図1に第1シーミングロール615は示されていないが、第1シーミングロール615は、第2シーミングロール625と同じ高さ位置に配置されている。第1揺動軸613は、ロータ33を貫通して上下方向に延在している。第1揺動軸613は、ロータ33に対して回転自在且つ上下方向は移動不能に、ロータ33に取り付けられている。第1シーミングロールレバー614は、第1揺動軸613の下端に固定されている。図2(a)に示すように、第1シーミングロールレバー614の先端には第1シーミングロール軸617が固定されている。そして、第1シーミングロール軸617には、第1シーミングロール615が回転自在に保持されている。この第1シーミングロール615は、カールロールとも称されるものであり、本発明におけるシーミングロールの一例に相当する。この第1シーミングロール615が図1に示した金属蓋付筒体Wに接触することで、金属蓋W2を筒体W1に巻締める巻締動作の第1段階目である、巻き込みが実行される。ロータ33が回転すると、固定シャフト11の中心線11cを公転軸線として第1シーミングロール揺動機構61はロータ33の回転速度で公転する。従って、第1シーミングロール615は、第1カムフォロワー611とともに中心線11cを公転軸線として公転する。この中心線11cは、本発明におけるフォロワー公転軸線の一例に相当する。第1カム44の回転位相とロータ33の回転位相がずれる(変動する)と、図2(a)に示した第1カム面44aと第1カムフォロワー611との接触位置が変化する。この接触位置の変化によって第1揺動軸613は時計回りまたは反時計回りに回転する。そして、詳しくは後述するが、第1カムフォロワー611と第1カム44との接触位置が変化することで、第1シーミングロール615は、金属蓋付筒体Wに接近する方向および金属蓋付筒体Wから離間する方向である接離方向へ移動する。
【0030】
図2(b)に示すように、第2シーミングロール揺動機構62は、2つの第2カムフォロワー621,621と、2つの第2カムフォロワーレバー622,622と、2本の第2揺動軸623,623と、2つの第2シーミングロールレバー624,624と、2つの第2シーミングロール625,625と、2本の第2フォロワー軸626,626と、2本の第2シーミングロール軸627,627を備えている。これら2つの部品それぞれは、固定シャフト11の中心線11cを中心として180°回転対称(線対称)に配置されている。また、これら2つ部品それぞれは、構造的には同一であるので、以下の説明では2つのうち1つについて説明し、もう1つについては説明を省略する場合がある。第2カム54は、中心線11cを中心として線対称に構成されている。第2カムフォロワー621は、第2フォロワー軸626を回転軸として回転自在に第2カムフォロワーレバー622に保持されている。この第2カムフォロワー621も、本発明におけるカムフォロワーの一例に相当する。第2カムフォロワーレバー622には、第2揺動軸623を回転軸として図2(b)において時計回り方向に回転する力が不図示のバネによって付与されている。これにより、第2カムフォロワー621の外周面は、第2カム54の第2カム面54aに常に押し付けられている。なお、本実施形態の第1カム44の第1カム面44aと第2カム54の第2カム面54aは同一形状をしているが、第1カム面44aと第2カム面54aとを異なる形状にしてもよい。
【0031】
図1に示すように、第2カムフォロワーレバー622は、第2揺動軸623の上端に固定されている。第2揺動軸623は、ロータ33を貫通して上下方向に延在している。第2揺動軸623は、ロータ33に対して回転自在且つ上下方向は移動不能に、ロータ33に取り付けられている。第2シーミングロールレバー624は、第2揺動軸623の下端に固定されている。図2(b)に示すように、第2シーミングロールレバー624の先端には第2シーミングロール軸627が固定されている。そして、第2シーミングロール軸627には、第2シーミングロール625が回転自在に保持されている。この第2シーミングロール625は、締付けロールとも称されるものであり、本発明におけるシーミングロールの一例に相当する。この第2シーミングロール625が図1に示した金属蓋付筒体Wに接触することで、金属蓋W2を筒体W1に巻締める巻締動作の第2段階目である、圧着が実行される。ロータ33が回転すると、固定シャフト11の中心線11cを公転軸線として第2シーミングロール揺動機構62はロータ33の回転速度で公転する。従って、第2シーミングロール625は、第2カムフォロワー621とともに中心線11cを公転軸線として公転する。この中心線11cは、第2シーミングロール625においても、フォロワー公転軸線の一例に相当する。第2カム54の回転位相とロータ33の回転位相がずれる(変動する)と、図2(b)に示した第2カム面54aと第2カムフォロワー621との接触位置が変化する。この接触位置の変化によって第2揺動軸623は時計回りまたは反時計回りに回転する。そして、詳しくは後述するが、第2カムフォロワー621と第2カム54との接触位置が変化することで、第2シーミングロール625は、金属蓋付筒体Wに接近する方向および金属蓋付筒体Wから離間する方向である接離方向へ移動する。
【0032】
次に図3を用いて、第1シーミングロール615および第2シーミングロール625の動きについてさらに詳しく説明する。図3は、図2に示したシーミングロールの接離方向への移動を示す平面図である。図3には、ロータ33が破線で示されている。
【0033】
図3に示すように、第1揺動軸613が所定角度時計回りおよび反時計回りに回転することで第1シーミングロールレバー614およびその先端にある第1シーミングロール615は揺動する。そして、これらが揺動することで、第1シーミングロール615は、金属蓋付筒体Wに接離する方向である接離方向へ移動する。図3では、第1シーミングロール615が金属蓋付筒体Wに最も接近した位置にある状態が実線で示され、第1シーミングロール615が金属蓋付筒体Wから最も離間した位置にある状態が二点鎖線で示されている。これらの位置は、図2(a)に示した第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触位置によって定まる。このため、第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触範囲を変更することで、第1シーミングロール615の接離方向への移動範囲を変更することができる。第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触範囲については、後に詳述する。図3には、巻締前の金属蓋付筒体Wの金属蓋W2の外径が二点鎖線の円で示されており、巻締後の金属蓋付筒体Wの金属蓋W2の外径が実線の円で示されている。第1シーミングロール615は、金属蓋付筒体Wから最も離間した位置では巻締前の金属蓋付筒体Wとは離間している。また、第1シーミングロール615は、金属蓋付筒体Wに最も接近した位置では、金属蓋付筒体Wに接触し、金属蓋W2の周縁部分によって筒体W1(図1参照)上端のフランジ周縁部分を巻き込ませて金属蓋W2の周縁部分およびフランジ周縁部分を軽く押し潰した巻き込み位置にある。
【0034】
また、第2揺動軸623が所定角度時計回りおよび反時計回りに回転することで第2シーミングロールレバー624およびその先端にある第2シーミングロール625は揺動する。そして、これらが揺動することで、第2シーミングロール625は、金属蓋付筒体Wに接離する方向である接離方向へ移動する。図3では、第2シーミングロール625が金属蓋付筒体Wに最も接近した位置にある状態が実線で示され、第2シーミングロール625が金属蓋付筒体Wから最も離間した位置にある状態が二点鎖線で示されている。これらの位置は、図2(b)に示した第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触位置によって定まる。このため、第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触範囲を変更することで、第2シーミングロール625の接離方向への移動範囲を変更することができる。第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触範囲については、後に詳述する。第2シーミングロール625は、金属蓋付筒体Wから最も離間した位置では巻締前の金属蓋付筒体Wとは離間している。また、第2シーミングロール625は、金属蓋付筒体Wに最も接近した位置では、金属蓋付筒体Wに接触し、金属蓋W2の周縁部分と筒体W1(図1参照)上端のフランジ周縁部分を強く押し潰してそれらを圧着した圧着位置にある。
【0035】
図4は、巻締装置の電気部品の構成を示すブロック図である。
【0036】
図4に示すように、巻締装置1は、制御装置7と入力装置8も備えている。制御装置7は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)で構成されている。ただし、制御装置7としてNC装置(数値制御装置)を用いてもよい。制御装置7は、ロータ駆動モータM1、第1カムモータM2、第2カムモータM3およびリフター駆動モータM4と接続され、これらのモータの回転速度や回転角(回転量)を制御するものである。入力装置8は、タッチパネルで構成されている。なお、入力装置8は、タッチパネル以外の装置で構成してもよい。制御装置7には、あらかじめベースとなるプログラムが記憶されている。入力装置8からは、ロータ回転数と、接近速度と、離間速度と、中心線11cから第1シーミングロール615の中心までの巻締前後および巻締時における距離と、中心線11cから第2シーミングロール625の中心までの巻締前後および巻締時における距離とが入力される。制御装置7は、入力装置8から入力された各値とプログラムに従って各モータを制御する。この制御装置7は、本発明における移動範囲変更手段の一例に相当する。
【0037】
次に図2(a)と図5を用いて第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触範囲について説明する。また、図2(b)と図5を用いて第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触範囲についても説明する。
【0038】
図5は、図1に示した巻締装置のカムとカムフォロワーの接触範囲を示すカム曲線である。図5では、説明を簡略化するために等速度カムのカム曲線を示して説明するが、カム曲線は、巻締装置1で巻締可能な金属蓋付筒体Wの大きさ等に応じて適宜設定される。
【0039】
図2(a)に示したロータ33と第1カム44とが同一の回転速度で回転しているときには、第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触位置は変化しない。これに対し、ロータ33に対する第1カム44の相対的な回転速度が変化すると、第1カム44の回転速度に対して第1カムフォロワ―611の公転速度が変化して第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触位置も変化する。ロータ33に対して第1カム44が図2(a)における時計回りに相対的に回転すると、第1カムフォロワー611のリフト量が増加し、第1シーミングロール615は金属蓋付筒体W(図3参照)に接近する方向に移動する。図5のカム曲線の右上がり部分において右側に移動した状態である。逆に、ロータ33に対して第1カム44が図2(a)における反時計回りに相対的に回転すると、第1カムフォロワー611のリフト量が減少し、第1シーミングロール615は金属蓋付筒体Wから離間する方向に移動する。図5のカム曲線の右上がり部分において左側に移動した状態である。つまり、ロータ33に対する第1カム44の回転位相の変動範囲(ズレ範囲)、すなわち第1カムフォロワーの611の公転位相に対する第1カム44の回転位相の変動範囲によって第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触範囲が定まる。ロータ33に対して第1カム44が図2(a)における時計回りおよび反時計回りに相対的に回転することで、第1カムフォロワー611は、第1カム面44aに接触しながら接触範囲内を往復移動する。図5に示すように、例えば、一方の第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触範囲がA1である場合、他方の第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触範囲は180°位相の異なるA2になる。これは、第1シーミングロール揺動機構61と第1カム44が線対称に構成されているためであり、一方の第1カムフォロワー611の接触範囲がB1であれば、他方の第1カムフォロワー611の接触範囲は180°位相が異なるB2になる。また、第1シーミングロール揺動機構61と第1カム44が線対称に構成されているので、A1とA2、B1とB2それぞれのリフト量は同一である。
【0040】
また、図2(b)に示したロータ33と第2カム54とが同一の回転速度で回転しているときには、第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触位置は変化しない。これに対し、ロータ33に対する第2カム54の相対的な回転速度が変化すると、第2カム54の回転速度に対して第2カムフォロワ―621の公転速度が変化して第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触位置も変化する。ロータ33に対して第2カム54が図2(b)における時計回りに相対的に回転すると、第2カムフォロワー621のリフト量が増加し、第2シーミングロール625は金属蓋付筒体W(図3参照)に接近する方向に移動する。図5のカム曲線の右上がり部分において右側に移動した状態である。逆に、ロータ33に対して第2カム54が図2(b)における反時計回りに相対的に回転すると、第2カムフォロワー621のリフト量が減少し、第2シーミングロール625は金属蓋付筒体Wから離間する方向に移動する。図5のカム曲線の右上がり部分において左側に移動した状態である。つまり、ロータ33に対する第2カム54の回転位相の変動範囲、すなわち第2カムフォロワーの621の公転位相に対する第2カム54の回転位相の変動範囲によって第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触範囲が定まる。ロータ33に対して第2カム54が図2(b)における時計回りおよび反時計回りに相対的に回転することで、第2カムフォロワー621は、第2カム面54aに接触しながら接触範囲内を往復移動する。図5に示すように、例えば、一方の第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触範囲がA1である場合、他方の第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触範囲は180°位相の異なるA2になる。また、一方の第2カムフォロワー621の接触範囲がB1であれば、他方の第2カムフォロワー621の接触範囲は180°位相が異なるB2になる。また、第2シーミングロール揺動機構62と第2カム54が線対称に構成されているので、A1とA2、B1とB2それぞれのリフト量は同一である。
【0041】
次いで、巻締装置1の作用について説明する。初期動作として、制御装置7は、中心線11cから第1シーミングロール615の中心までの巻締前後および巻締時における距離情報に基づいて第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触範囲を計算する。同様に制御装置7は、中心線11cから第2シーミングロール625の中心までの巻締前後および巻締時における距離情報に基づいて第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触範囲を計算する。なお、入力装置8にアプリケーションソフトをインストールしておき、そのアプリケーションソフトでこれらの計算を実行して制御装置7に送信してもよい。また、制御装置7は、入力されたロータ回転数でロータ33が回転するようにロータ駆動モータM1の回転速度を制御する。制御装置7は、計算した接触範囲のうちリフト量が最も少なくなる位置で第1カムフォロワー611が第1カム面44aに接触するように第1カムモータM2をロータ駆動モータM1と同期して制御する。そして、制御装置7は、その位置を維持するように、第1カム44をロータ33と同じ回転速度で回転させる。また、制御装置7は、計算した接触範囲のうちリフト量が最も少なくなる位置で第2カムフォロワー621が第2カム面54aに接触するように第2カムモータM3をロータ駆動モータM1と同期して制御する。そして、制御装置7は、その位置を維持するように、第2カム54をロータ33と同じ回転速度で回転させる。
【0042】
次に、巻締装置1は、巻締動作を開始する。巻締動作では、まず巻締前の金属蓋付筒体Wがリフターに載置される。なお、巻締前の金属蓋付筒体Wをリフターに載置するのは、手動であってもよく、巻締装置1以外の装置であってもよく、巻締装置1に設けられた装置であってもよい。そして、制御装置7は、リフター駆動モータM4を駆動する。これにより、金属蓋付筒体Wは、上方に移動されてチャック2との間に挟み込まれて固定される。その後、制御装置7は、入力された接近速度で第1シーミングロール615が金属蓋付筒体Wに接近するように第1カムモータM2を制御する。つまり、制御装置7は、第1カムフォロワー611のリフト量が多くなるように第1カムモータM2の回転速度を変更する。これにより、第1シーミングロール615は、中心線11cの周りを公転しながら金属蓋付筒体Wに接近する。第1カムフォロワー611と第1カム面44aの接触位置が接触範囲のうちリフト量が最も多くなる位置まで達したら、制御装置7は、第1カム44がロータ33と同じ回転速度で回転するように第1カムモータM2を制御する。これにより、第1シーミングロール615は、巻き込み位置で金属蓋付筒体Wに接触しながら金属蓋付筒体Wの周囲を公転する。
【0043】
第1カムモータM2の回転速度を変更してからロータ33が1/4回転したら、制御装置7は、入力された接近速度で第2シーミングロール625が金属蓋付筒体Wに接近するように第2カムモータM3を制御する。つまり、制御装置7は、第2カムフォロワー621のリフト量が多くなるように第2カムモータM3の回転速度を変更する。これにより、第2シーミングロール625は、中心線11cの周りを公転しながら金属蓋付筒体Wに接近する。第2カムフォロワー621と第2カム面54aの接触位置が接触範囲のうちリフト量が最も多くなる位置まで達したら、制御装置7は、第2カム54がロータ33と同じ回転速度で回転するように第2カムモータM3を制御する。これにより、第2シーミングロール625は、圧着位置で金属蓋付筒体Wに接触しながら金属蓋付筒体Wの周囲を公転する。なお、第2シーミングロール625の金属蓋付筒体Wへの接近は、第1シーミングロール615の金属蓋付筒体Wへの接近からロータ33が1/4回転した以後であればよく、例えばロータ33が1/3回転したときでもよい。すなわち、金属蓋付筒体Wのうち、第1シーミングロール615による巻き込みが完了している部分に、第2シーミングロール625が接触するように制御されていればよい。
【0044】
第1カムフォロワー611と第1カム面44aの接触位置が接触範囲のうちリフト量が最も多くなる位置まで達してからロータ33が1/2回転したら、制御装置7は、入力された離間速度で第1シーミングロール615が金属蓋付筒体Wから離間するように第1カムモータM2を制御する。つまり、制御装置7は、第1カムフォロワー611のリフト量が少なくなるように第1カムモータM2の回転速度を変更する。これにより、第1シーミングロール615は、中心線11cの周りを公転しながら金属蓋付筒体Wから離間する。第1カムフォロワー611と第1カム面44aの接触位置が接触範囲のうちリフト量が最も少なくなる位置まで達したら、制御装置7は、第1カム44がロータ33と同じ回転速度で回転するように第1カムモータM2を制御する。これにより、第1シーミングロール615は、金属蓋付筒体Wから離間した位置で金属蓋付筒体Wの周囲を公転する。なお、第1シーミングロール615の金属蓋付筒体Wからの離間は、第1シーミングロール615が巻き込み位置に達してからロータ33が1/2回転した以後であればよく、例えば1回転したときでもよい。すなわち、2つの第1シーミングロール615,615によって金属蓋付筒体Wの全周の巻き込みが完了した後に、第1シーミングロール615の離間が開始されるように制御されていればよい。
【0045】
第2カムフォロワー621と第2カム面54aの接触位置が接触範囲のうちリフト量が最も多くなる位置まで達してからロータ33が1/2回転したら、制御装置7は、入力された離間速度で第2シーミングロール625が金属蓋付筒体Wから離間するように第2カムモータM3を制御する。つまり、制御装置7は、第2カムフォロワー621のリフト量が少なくなるように第2カムモータM3の回転速度を変更する。これにより、第2シーミングロール625は、中心線11cの周りを公転しながら金属蓋付筒体Wから離間する。第2カムフォロワー621と第2カム面54aの接触位置が接触範囲のうちリフト量が最も少なくなる位置まで達したら、制御装置7は、第2カム54がロータ33と同じ回転速度で回転するように第2カムモータM3を制御する。これにより、第2シーミングロール625は、金属蓋付筒体Wから離間した位置で金属蓋付筒体Wの周囲を公転する。なお、第2シーミングロール625の金属蓋付筒体Wからの離間は、第2シーミングロール625が圧着位置に達してからロータ33が1/2回転した以後であればよく、例えば1回転したときでもよい。すなわち、2つの第2シーミングロール625,625によって金属蓋付筒体Wの全周の圧着が完了した後に、第2シーミングロール625の離間が開始されるように制御されていればよい。
【0046】
第2カム54がロータ33と同じ回転速度になったら、制御装置7は、リフター駆動モータM4を駆動して、金属蓋付筒体Wを下方に移動する。そして、巻締めた金属蓋付筒体Wをリフターから取り除く。なお、巻締めた金属蓋付筒体Wをリフターから取り除くのは、手動であってもよく、巻締装置1以外の装置であってもよく、巻締装置1に設けられた装置であってもよい。以上により、1つめの金属蓋付筒体Wの巻締動作が完了する。その後、巻締装置1は、巻締動作を繰り返す。
【0047】
最後に、金属蓋付筒体Wを異なる大きさのものに変更して巻締を行う場合について説明する。先ず、巻締装置1の操作者が、入力装置8を用いて変更後の金属蓋付筒体Wを巻締める際の、ロータ回転数と、接近速度と、離間速度と、中心線11cから第1シーミングロール615の中心までの巻締前後および巻締時における距離と、中心線11cから第2シーミングロール625の中心までの巻締前後および巻締時における距離を入力する。そして、制御装置7は、初期動作において、入力された中心線11cから第1シーミングロール615の中心までの巻締前後および巻締時における距離情報に基づいて第1カムフォロワー611と第1カム面44aとの接触範囲を計算する。また、制御装置7は、中心線11cから第2シーミングロール625の中心までの巻締前後および巻締時における距離情報に基づいて第2カムフォロワー621と第2カム面54aとの接触範囲を計算する。これにより、第1カムフォロワー611と第1カム面44aの接触範囲および第2カムフォロワー621と第2カム面54aの接触範囲が変更される。制御装置7は、変更した接触範囲で第1カムフォロワー611と第1カム面44aとを往復移動させるために、第1カム44の回転位相と第1カムフォロワー611の公転位相の変動範囲を変更する。同様に、制御装置7は、変更した接触範囲で第2カムフォロワー621と第2カム面54aとを往復移動させるために、第2カム54の回転位相と第2カムフォロワー621の公転位相の変動範囲を変更する。ここで、通常は巻締状態の確認のため、巻締装置1に巻締動作を1回だけ実行させる。巻締状態の確認の結果、第1シーミングロール615または第2シーミングロール625とチャック2のクリアランスを微調整したい場合には、巻締装置1の操作者は、中心線11cから第1シーミングロール615の中心までの巻締時における距離または中心線11cから第2シーミングロール625の中心までの巻締時における距離を再入力する。例えば図5に示すA1およびA2からB1およびB2に接触範囲を変更した場合、再入力することで、図5において黒丸で示したB1およびB2の位置が変更されるので、第1シーミングロール615とチャック2のクリアランスまたは第2シーミングロール625とチャック2のクリアランスの微調整ができる。微調整後、再度初期動作を行う。そして、巻締装置1に巻締動作を1回だけ実行させる。巻締状態に問題が無ければ、巻締装置1の操作者は、入力装置8を用いて巻締動作の繰り返し回数を入力して実行を指示する。これにより、指定した回数の巻締動作が実行される。
【0048】
この実施形態の巻締装置1によれば、第1シーミングロールレバー614または第2シーミングロールレバー624を付け替えなくても、入力装置8を用いて情報を入力することで、多様な大きさの金属蓋付筒体Wを巻締めることができる。また、入力装置8を用いて情報を入力するだけでクリアランスの微調整もできる。そして、多様な板厚の金属蓋付筒体Wの巻締にも容易に対応できる。さらに、第1シーミングロール615および第2シーミングロール625をカムを用いて移動させているので、短時間で多量の巻締めを行うことができる。加えて、電動シリンダ―でこれらの第1シーミングロール615および第2シーミングロール625を移動させるものと比較して締付力をより高めることができる。またさらに、第1シーミングロール615および第2シーミングロール625が金属蓋付筒体Wの周囲を公転する態様を採用しているので、巻締する金属蓋付筒体Wを巻締前に回転させて巻締後に停止させる必要がなく、より短時間で巻締を行うことができる。また、第1シーミングロール615および第2シーミングロール625は、それぞれ金属蓋付筒体Wを挟んで対向する位置に配置されたローラ対であるので、金属蓋付筒体Wを巻締める際に、金属蓋付筒体Wおよびチャック2に加わる荷重をローラが互いに打ち消しあう。これにより、チャック2および金属蓋付筒体Wの偏りや傾きが防止され、巻締動作が安定する。
【0049】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、第1シーミングロール615および第2シーミングロール625を公転させないで、金属蓋付筒体Wを回転させて第1シーミングロール615および第2シーミングロール625を金属蓋付筒体Wへの接離方向に移動させる巻締装置1としてもよい。また、第1カムモータM2および第2カムモータM3を用いずに、ロータ駆動モータM1によってロータ33と第1カム44と第2カム54とを回転させてもよい。この場合、ロータ駆動モータM1と第1カム44の間およびロータ駆動モータM1と第2カム54の間それぞれに、別のモータにより差動量を制御可能にした、遊星歯車装置やハーモニックドライブ(登録商標)などの差動歯車装置を配置してもよい。さらに、本実施形態では、円筒状の筒体W1に円板状の金属蓋W2を巻締める例で説明したが、角筒状や楕円筒状などの断面が非円形の形状をした筒体W1に、角状や楕円状などの非円形の金属蓋W2を被せた非円形の金属蓋付筒体Wを巻締めてもよい。非円形の金属蓋付筒体Wを巻締める場合、入力装置8から、ロータ回転数、接近速度、離間速度、金属蓋付筒体Wの形状を入力することで、入力装置8にインストールされたアプリケーションソフトまたは制御装置7がロータ駆動モータM1の回転量に対する第1カムモータM2および第2カムモータM3の相対回転量を自動計算する態様にすることが好ましい。すなわち、本発明の巻締装置1は、多様な形状や大きさの金属蓋付筒体Wを巻締めることができる。また、ロータ駆動モータM1、第1カムモータM2、第2カムモータM3およびリフター駆動モータM4をサーボモータで構成する例で説明したが、各モータは回転量および回転速度を制御可能なモータであればよく、例えばステッピングモータを用いてもよい。またさらに、第1カム44および第2カム54として外周面に第1カム面44aおよび第2カム面54aを有するカムで説明したが、第1カム44および第2カム54は、内周面にカム面を有するリング状のカムとしてもよい。その場合、シーミングロール揺動機構6は、内周面のカム面よりも内側である中心線11c側に配置されていてもよい。シーミングロール揺動機構6を内側に配置することで、巻締装置1を小型化できる。金属蓋付筒体Wは、飲料、食料若しくは塗料などを入れる缶であってもよく、燃料タンク、食器洗い機の槽、洗濯機のドラム、自動車のマフラー、モータのケース、オイルフィルターのケース、または燃料電池のバッテリーケースであってよい。また、入力装置8に入力する情報は、中心線11cから第1シーミングロール615の中心までの巻締前後および巻締時における距離と、中心線11cから第2シーミングロール625の中心までの巻締前後および巻締時における距離に代えて、金属蓋付筒体Wの巻締前後と巻締時の径情報などであってもよい。
【0050】
なお、以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 巻締装置
7 制御装置
44 第1カム
44a 第1カム面
54 第2カム
54a 第2カム面
611 第1カムフォロワー
615 第1シーミングロール
621 第2カムフォロワー
625 第2シーミングロール
W 金属蓋付筒体
W1 筒体
W2 金属蓋
図1
図2
図3
図4
図5