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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/087 20120101AFI20240814BHJP
   B65B 51/10 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B65B9/087
B65B51/10 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020132600
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029316
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】三好 聖一
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-281934(JP,A)
【文献】特開2019-151379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/087
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間接近する方向に往復移動可能に支持されると共に上下方向に往復移動可能に支持され筒状の包装フィルムの長手方向の端部を接合する一対の横シーラと、
前記一対の横シーラに設けられ前記一対の横シーラと一体に前記互いに離間接近する方向および前記上下方向に移動するしごき部材と、
前記一対の横シーラに設けられた切断部と、
前記一対の横シーラを前記離間接近する方向に往復移動させるリンク機構と、
前記リンク機構を駆動させるリンク機構駆動用モータと、
前記一対の横シーラを上下方向に往復移動させるクランク機構と、
前記クランク機構を駆動させるクランク機構駆動用モータと、
前記リンク機構駆動用モータおよび前記クランク機構駆動用モータの回転制御を行なう制御部と、
を備える製袋充填包装機であって、
前記制御部の前記クランク機構駆動用モータの回転制御により、前記一対の横シーラが前記クランク機構の上死点に対応する位置に到達すると同時に前記クランク機構駆動用モータを所定時間だけ減速させる減速動作が実行され、
前記制御部の前記リンク機構駆動用モータの回転制御により、前記一対の横シーラが前記しごき部材による前記包装フィルムのしごき動作を可能とするしごき位置に移動して停止させるしごき用閉じ動作が前記減速動作と時間的に重複して実行され、前記しごき用閉じ動作は、前記一対の横シーラが前記クランク機構の上死点に対応する位置に到達する直前で前記しごき用閉じ動作を開始しても前記しごき部材の上方の移動量が無視できる程度に小さくなる時点から開始される、
ことを特徴とする製袋充填包装機。
【請求項2】
前記減速動作は、前記クランク機構駆動用モータを所定時間停止させる停止動作を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の製袋充填包装機。
【請求項3】
前記制御部の前記リンク機構駆動用モータの回転制御により、前記しごき部材を前記包装フィルムから離間した開き位置に移動させて停止させる開き動作と、前記しごき用閉じ動作と、前記一対の横シーラを前記包装フィルムの接合を行なう閉じ位置に移動させて停止させるシール用閉じ動作とを含む横シーラ開閉工程が繰り返して実行され、
前記制御部の前記クランク機構駆動用モータの回転制御により、前記クランク機構の下死点に対応する位置から前記上死点に対応する位置まで前記一対の横シーラを上昇させる上昇動作と、前記減速動作と、前記一対の横シーラを前記下死点に対応する位置に向かって下降させて停止させる下降動作とを含む横シーラ昇降工程が前記横シーラ開閉工程と同期して繰り返して実行される、
ことを特徴とする請求項1または2記載の製袋充填包装機。
【請求項4】
前記制御部の前記クランク機構駆動用モータの回転制御は、前記クランク機構駆動用モータを一方向に回転させることでなされる、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の製袋充填包装機。
【請求項5】
前記一対の横シーラは前記しごき部材を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
製袋充填包装機は、充填筒、フォーマを備える充填筒ユニットと、フィルム供給機構、フィルム送り機構、縦接合部、横接合部を備える装置本体とを含んで構成されている(特許文献1参照)。
充填筒の上部のホッパには計量機で測量された製品が間欠的に投入されていく。
フィルム供給機構からフォーマに供給された包装フィルムはフォーマにより充填筒の外周面に筒状に折り曲げられ、フィルム送り機構により充填筒の外周面上を下方に間欠的に移送されていく。
そして、縦接合部により筒状に折り曲げられた包装フィルムの幅方向の両端が接合されて筒状フィルムとなり、横接合部により筒状フィルムの長手方向の端部が接合されて切断され、充填筒から投入された製品が封入された袋体が製造されていく。
縦接合部では、筒状フィルムの長手方向に細長の一対のシール部が、筒状フィルムの幅方向において離間接近する方向に往復直線運動される。
また、横接合部では、筒状フィルムの長手方向の端部において、筒状フィルムの幅方向に細長の一対のシール部が、筒状フィルムの幅方向と直交する方向において離間接近する方向に往復直線運動される。
すなわち、筒状フィルムの所定の位置で筒状フィルムの長さ方向の下部がシールされ、製品投入用ホッパから計量された製品がホッパを介して充填筒本体から、この下部がシールされた筒状フィルムの内部に投入される。
その後、フィルム送り機構により、筒状フィルムが所定の位置からその下方の位置に移送される。
下方の位置では、製品が投入された筒状フィルムの上部が横シール装置によりシールされ製品が封入された袋体が形成されると共に、その上方に位置する筒状フィルムの下部がシールされ、同時に、製品が封入された袋体が筒状フィルムから切り離される。
このようにして製袋充填包装機により製品が封入された袋体が形成されていく。
【0003】
ところで、袋体に封入する製品が、ポテトチップスやスナック菓子などのように軽量で空気抵抗が大きなものである場合、ホッパから筒状フィルムに投入された製品は、袋状フィルムの内部で互いに隙間を空けてかさが増した状態で積み重なるため、製品やその欠片が筒状フィルムの上部のシール予定箇所の近傍に位置してしまう場合がある。
この状態で、シール予定箇所をシールすると、製品あるいはその欠片などが筒状フィルムのシール箇所に挟まってシール不良を生じるおそれがある。
そこで、一対のシール部にしごき部材を設け、一対のシール部で筒状フィルムのシールを行なう前に、一対のシール部を接近する方向に移動させて一対のしごき部材をしごき位置に位置させて筒状フィルムの上部を挟み、次いで、一対のシール部を下方に移動させることで、一対のしごき部材で筒状フィルムを上方から下方にしごき、筒状フィルム内の製品や欠片を強制的にシール予定箇所よりも下方に移動させるしごき動作を実行し、筒状フィルム内部の製品のかさしずめを行なうようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-43626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなしごき動作は、筒状フィルムのなるべく上方の箇所から広い範囲で行なうことが筒状フィルム内の製品やその欠片を確実に下方に移動させる上で有利となる。
その場合、一対のシール部を筒状フィルムから離間した開き位置としたのち、一対のシール部(しごき部材)をしごき範囲の開始位置であるしごき開始位置に上昇させたのち、一対のシール部を開き位置からしごき位置に接近(移動)させ、次いで、一対のシール部をししごき開始位置から下方に移動させればよいことになる。
しかしながら、このように一対のシール部を上昇させる動作と、一対のシール部を接近させる動作とを時間的に分離させると、製袋充填包装機により製品が封入された袋体を1つ形成するために要する時間(以下サイクルタイムという)が長くなり、製袋充填包装機の生産性の向上を図る上で不利となる。
【0006】
そこで、一対のシール部を上昇させる動作と一対のシール部を接近させる動作を時間的に重複させてサイクルタイムを短縮することが考えられる。
例えば、一対のシール部が上下方向に移動する移動範囲の上限を上限位置とした場合、一対のシール部を上限位置に上昇(移動)させる動作と、一対のシール部をしごき位置に接近(移動)させる動作とを同時に行ない、一対のシール部が上限位置に到達した時点で一対のシール部をしごき位置に到達させるようにすることが考えられる。
この場合、一対のシール部の上限位置がしごき開始位置となるため、しごき動作を行なうしごき範囲をより大きく確保する上で有利となる。
しかしながら、この場合、一対のシール部を上昇させつつ一対のシール部を接近させるので、すなわち、一対のシール部が互いに接近しつつ斜め上方に移動するので、一対のシール部が筒状フィルムを挟みながら上方に移動することになり、筒状フィルムを上方に引っ張り上げてしまい、しごき動作を正常に行えなくなってしまう。
したがって、上記不具合を回避するためには、一対のシール部が上限位置を通過して上限位置よりも下方に移動した時点で一対のシール部をしごき位置に移動させてしごき動作を行なうことが必要となる。すなわち、この場合、上限位置よりも下方の位置がしごき開始位置となる。
その結果、上限位置よりも下方の位置のしごき開始位置からしごき動作を実行することから、しごき範囲が狭くなってしまうため、何らかの改善が求められている。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであった、本発明の目的は、しごき範囲を確保しつつ短いサイクルタイムを確保する上で有利な製袋充填包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため本発明は、互いに離間接近する方向に往復移動可能に支持されると共に上下方向に往復移動可能に支持され筒状の包装フィルムの長手方向の端部を接合する一対の横シーラと、前記一対の横シーラに設けられ前記一対の横シーラと一体に前記互いに離間接近する方向および前記上下方向に移動するしごき部材と、前記一対の横シーラに設けられた切断部と、前記一対の横シーラを前記離間接近する方向に往復移動させるリンク機構と、前記リンク機構を駆動させるリンク機構駆動用モータと、前記一対の横シーラを上下方向に往復移動させるクランク機構と、前記クランク機構を駆動させるクランク機構駆動用モータと、前記リンク機構駆動用モータおよび前記クランク機構用モータの回転制御を行なう制御部と、を備える製袋充填包装機であって、前記制御部の前記クランク機構駆動用モータの回転制御により、前記一対の横シーラが前記クランク機構の上死点に対応する位置に到達するとほぼ同時に前記クランク機構駆動用モータを所定時間だけ減速させる減速動作が実行され、前記制御部の前記リンク機構駆動用モータの回転制御により、前記一対の横シーラが前記しごき部材による前記包装フィルムのしごき動作を可能とするしごき位置に移動して停止させるしごき用閉じ動作が前記減速動作と時間的に重複して実行されることを特徴とする。
また、本発明は、前記減速動作は、前記クランク機構用モータを所定時間停止させる停止動作を含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記しごき用閉じ動作は、前記減速動作の実行が開始される時点の直前の時点から開始されることを特徴とする。
また、本発明は、前記制御部の前記リンク機構駆動用モータの回転制御により、前記しごき部材を前記包装フィルムから離間した開き位置に移動させて停止させる開き動作と、前記しごき用閉じ動作と、前記一対の横シーラを前記包装フィルムの接合を行なう閉じ位置に移動させて停止させるシール用閉じ動作とを含む横シーラ開閉工程が繰り返して実行され、前記制御部の前記クランク機構用モータの回転制御により、前記クランク機構の下死点に対応する位置から前記上死点に対応する位置まで前記一対の横シーラを上昇させる上昇動作と、前記減速動作と、前記一対の横シーラを前記下死点に対応する位置に向かって下降させて停止させる下降動作とを含む横シーラ昇降工程が前記横シーラ開閉工程と同期して繰り返して実行されることを特徴とする。
また、本発明は、前記制御部の前記クランク機構駆動用モータの回転制御は、前記クランク機構駆動用モータを一方向に回転させることでなされることを特徴とする。
また、本発明は、前記一対の横シーラは前記しごき部材を含んで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一対の横シーラがクランク機構の上死点に対応する位置に到達するとほぼ同時にクランク機構駆動用モータを所定時間だけ減速させる減速動作が実行され、一対の横シーラがしごき部材による包装フィルムのしごき動作を可能とするしごき位置に移動して停止させるしごき用閉じ動作が減速動作と時間的に重複して実行されるようにした。
したがって、一対の横シーラおよびしごき部材が最も上位に位置して減速した状態で一対の横シーラおよびしごき部材がしごき位置に移動させることができるため、しごき部材により包装フィルムが上方に持ち上げられることを抑制しつつ、しごき部材により包装フィルムのしごきを行なうしごき範囲を最大限確保できる。
また、しごき用閉じ動作が減速動作と時間的に重複して実行されるので、短いサイクルタイムを確保する上で有利となる。
また、減速動作を、クランク機構用モータを所定時間停止させる停止動作を含むものとすると、しごき部材により包装フィルムが上方に持ち上げられることをより確実に抑制する上で有利となると共に、しごき部材により包装フィルムのしごきを行なうしごき範囲を最大限確保する上でより有利となる。
また、しごき用閉じ動作を、減速動作の実行が開始される時点の直前の時点から開始されるようにすると、しごき用閉じ動作中に減速動作を実行できることから、しごき用閉じ動作を減速動作と時間的に重複して実行する上でより有利となり、短いサイクルタイムを確保する上で有利となる。
また、制御部のリンク機構駆動用モータの回転制御により、横シーラ開閉工程が繰り返して実行され、制御部のクランク機構用モータの回転制御により、横シーラ昇降工程が横シーラ開閉工程と同期して繰り返して実行されるようにすると、短いサイクルタイムを確保する上で有利となる。
また、制御部のクランク機構駆動用モータの回転制御は、クランク機構駆動用モータを一方向に回転させることでなされるようにすると、クランク機構駆動用モータとして出力容量の小さいものを採用できると共に、クランク機構駆動用モータの耐久性を高める上で有利となる。
また、一対の横シーラをしごき部材を含んで構成すると、部品点数を削減する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る製袋充填包装機の全体構成を示す斜視図である。
図2】横シール装置の斜視図である。
図3】横シール装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4】横シーラおよびしごき部材の動作を示す説明図であり、(A)は横シーラが開き位置に位置した状態を示し、(B)は横シーラがしごき位置に位置した状態を示し、(C)は横シーラが閉じ位置に位置した状態を示す。
図5】クランク機構の上死点と下死点の説明図である。
図6】本実施の形態に係る製袋充填包装機の横シーラ装置の動作を説明するタイミングチャートであり、(A)は横シーラを上下に移動させるクランク機構用モータのタイミングチャート、(B)は横シーラを開閉させるリンク機構駆動用モータのタイミングチャートである。
図7】横シール装置によるしごき動作の開始から終了までの横シーラの移動過程を模式的に示す説明図である。
図8】クランク機構におけるクランク角度と横シーラの上死点からの下降量との関係を示す線図である。
図9】クランク機構用モータの停止動作前後の加減速パターンを示す線図である。
図10】従来の製袋充填包装機の横シーラ装置の動作を説明するタイミングチャートであり、(A)は横シーラを上下に移動させるクランク機構用モータのタイミングチャート、(B)は横シーラを開閉させるリンク機構駆動用モータのタイミングチャートである。
図11】従来の製袋充填包装機の横シール装置によるしごき動作の開始から終了までの横シーラの移動過程を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、不図示の計量機から製袋充填包装機10の充填筒12のホッパ14に製品Cが投入され、製袋充填包装機10により製品Cが封入された袋体16が形成されていく。
製袋充填包装機10は、装置本体10Aと不図示のフレームとを備えている。
装置本体10Aは、フィルム供給機構18、フォーマ20、充填筒12、フィルム送り機構22、縦シール装置24、横シール装置26、しごき部材28を含んで構成されている。
なお、説明の便宜上、フィルム供給機構18からフォーマ20に送られてくる包装フィルム2の移動方向を製袋充填包装機10の前方向(矢印F方向)とし、その逆方向を後方向(矢印B方向)とし、包装フィルム2の幅方向を製袋充填包装機10の幅方向(矢印W方向)として説明する。
フレームは、不図示の底枠や、底枠の両側から立設された複数本の支柱、複数本の支柱で支持された上枠などを含んで構成されている。
充填筒12は、フォーマ20の中央に上下に貫通して配置された充填筒本体1202と、充填筒本体1202の上部に設けられたホッパ14とを備え、ホッパ14の上方には、不図示の計量機が配置されている。
【0011】
フォーマ20は、フィルム供給機構18により供給された幅と長さとを有する帯状の包装フィルム2を、充填筒本体1202の外周面に筒状に折り込む。
フィルム送り機構22は一対のベルト・プーリ機構2202を含んで構成され、フォーマ20により筒状に折り込まれた包装フィルム2を間欠的に下方に送り出す。
縦シール装置24は一対の縦シーラ2402から構成され、縦シール装置24は筒状に折り込まれた包装フィルム2の幅方向の両端をシールすることで筒状フィルムFとする。
【0012】
横シール装置26は、筒状フィルムFの長さ方向の端部をシールすると共に切断する。
詳細には、筒状フィルムFの長さ方向の下部が横シール装置26でシールされ、計量機から計量された製品Cがホッパ14を介して充填筒本体1202から、この下部がシールされた筒状フィルムFの内部に投入される。
その後、フィルム送り機構22により、筒状フィルムFが下方に移送される。
下方に移送されたのち、製品Cが投入された筒状フィルムFの上部が横シール装置26によりシールされ、製品Cが封入された袋体16が形成されると共に、その上方に位置する筒状フィルムFの下部がシールされ、同時に、製品Cが封入された袋体16がその上方の筒状フィルムFから切り離される。
【0013】
以下、図2を参照して横シール装置26について具体的に説明する。
横シール装置26は、一対の上下移動プレート32と、一対の上下移動用ガイドロッド34と、一対の前後移動用ガイドロッド36と、反作用ブロック38と、一対の横シーラ40と、切断部41(図1)と、しごき部材28(図1)と、リンク機構42と、リンク機構駆動用モータ44と、クランク機構46と、クランク機構用モータ48と、制御部50(図3)とを含んで構成されている。
【0014】
横シール装置26は、フレームの底枠側で支持された底板1002の上方に設けられ、一対の前後移動用ガイドロッド36は製袋充填包装機10の前後方向に延在し、一対の上下移動用ガイドロッド34は製袋充填包装機10の上下方向に延在している。
【0015】
底板1002の製袋充填包装機10の幅方向両側に位置する箇所から一対の上下移動用ガイドロッド34が上方に突設され、一対の上下移動用ガイドロッド34の上端で中間板1004が保持されている。
一対の上下移動プレート32は、底板1002と中間板1004との間で製袋充填包装機10の幅方向に間隔をおいて配置されている。
一対の上下移動プレート32は、平面視した状態で、製袋充填包装機10の前後方向に延在する基板部3202と、基板部3202の前後端から製袋充填包装機10の幅方向で互いに近づく方向に突出する突出板部3204とを備えている。
基板部3202の長さ方向の中間部に上下移動用ガイドロッド34が挿通され、基板部3202は上下移動用ガイドロッド34により上下方向に移動可能に案内されている。
また、前後両端の突出板部3204には前後移動用ガイドロッド36が挿通され、前後移動用ガイドロッド36は前後両端の突出板部3204により製袋充填包装機10の前後方向に移動可能に支持されている。
【0016】
反作用ブロック38は、製袋充填包装機10の幅方向に延在する細長状を呈し、その長さ方向の両端に一対の前後移動用ガイドロッド36の後端が取り付けられ、したがって、反作用ブロック38は一対の前後移動用ガイドロッド36と一体に製袋充填包装機10の前後方向に移動する。
【0017】
一対の横シーラ40は、筒状フィルムFを製袋充填包装機10の前後方向の両側から挟み付けてシールを施すための一対のシールブロック52A、52Bと、シールブロック52A、52Bにそれぞれ支持された一対のバー状のシーラ本体54A、54Bを備えている。
一対のシールブロック52A、52Bと、一対のシーラ本体54A、54Bとは、製袋充填包装機10の幅方向に延在する細長状を呈し、一対のシーラ本体54A、54Bよりも一対のシールブロック52A、52Bの方が長い寸法で形成されている。
一方のシールブロック52Aの両端に、一対の前後移動用ガイドロッド36の前端が取り付けられ、したがって、一方のシールブロック52Aは一対の前後移動用ガイドロッド36と一体に製袋充填包装機10の前後方向に移動する。
他方のシールブロック52Bの両端に、一対の前後移動用ガイドロッド36が挿通され、他方のシールブロック52Bは一対の前後移動用ガイドロッド36により製袋充填包装機10の前後方向に移動可能に支持されている。
このように一対の前後移動用ガイドロッド36の前端に一方のシールブロック52Aが取り付けられ、他方のシールブロック52Bが一対の前後移動用ガイドロッド36により製袋充填包装機10の前後方向に移動可能に支持された状態で、一対のシーラ本体54A、54Bは互いに対向している。
【0018】
図4(A)に示すように、しごき部材28は一対のシーラ本体54A、54Bの上下にそれぞれ配置され、したがって、一対のシーラ本体54A、54Bに配置されたしごき部材28も互いに対向している。
各シーラ本体54A、54Bに配置されたしごき部材28は、シャッタ2802と、付勢部材2804とを含んで構成されている。
シャッタ2802は不図示の案内機構により支持され、この案内機構は各シーラブロック52A、52Bに支持され、したがって、シャッタ2802はシーラ本体54A、54B(シーラブロック52A、52B)と一体に製袋充填包装機10の前後方向にスライド可能に支持されている。
シャッタ2802は、帯板状を呈し、それら長手方向をシーラ本体54A、54Bの延在方向に合致させて、一対のシーラ本体54A、54Bの上面および下面と平行させて設けられている。
シャッタ2802の長手方向と直交する幅方向の一方に位置する縁部2802Aが筒状フィルムF(包装フィルム2)に当接してしごき動作を行なう縁部2802Aとなっている。
したがって、一対のシーラ本体54A、54Bの上下に設けられた上下のシャッタ2802は、互いに縁部2802Aが対向している。
上下のシャッタ2802は、不図示の案内機構により、製袋充填包装機10の前後方向にスライド可能に支持され、言い換えると、縁部2802Aが筒状フィルムF(包装フィルム2)に向かって接離する方向にスライド可能に支持されている。
図4(A)に示すように、付勢部材2804は、上下のシャッタ2802の縁部2802Aがシーラ本体54A、54Bが包装フィルム2に対向する先端面よりも突出する突出位置となるように常時付勢し、上下のシャッタ2802の突出位置は不図示の案内機構により決定されている。
【0019】
図1に示すように、切断部41は、一方のシーラ本体54Aに設けられたカッタ4102と、他方のシーラ本体54Bに設けられた不図示のカッタ挿入溝と、カッタ4102をカッタ挿入溝に対して挿脱させるエアシリンダなどのアクチュエータを含んで構成され、カッタ4102がカッタ挿入溝に挿入されること包装フィルム2(筒状フィルムF)はその幅方向に切断される。
【0020】
図2に示すように、リンク機構42は、一対の横シーラ40を、製袋充填包装機10の前後方向において離間接近する方向に往復移動させるものである。
リンク機構42は、第1リンク体4202と、第2リンク体4204と、第3リンク体4206とを備えている。
第1リンク体4202はその長手方向の中間部が、リンク機構駆動用モータ44に接続された減速機43の上下方向に延在する前後移動用出力軸4302に結合され、前後移動用出力軸4302と一体に水平面内で回動されるように支持されている。
第2リンク体4204は、一端が第1リンク体4202の一端に回動可能に連結され、他端が反作用ブロック38の中間部にブラケット3802を介して回動可能に連結されている。
第3リンク体4206は、一端が第1リンク体4202の他端に回動可能に連結され、他端が他方のシールブロック52Bの中間部にブラケット5202を介して回動可能に連結されている。
【0021】
図2に示すように、リンク機構駆動用モータ44は、リンク機構42を駆動するものであり、リンク機構駆動用モータ44は不図示の支持部材を介して上下移動プレート32に支持され、したがって、前後移動用出力軸4302の位置は横シーラ40の開閉動作に対しては不変であり、後述する横シーラ40の上下動作においては上下移動プレート32と共に上下動する。
リンク機構駆動用モータ44が正逆回転すると、前後移動用出力軸4302を介して第1リンク体4202が正逆方向に回動される。
リンク機構駆動用モータ44の正逆転により第1リンク体4202が回動されると、製袋充填包装機10における前後移動用出力軸4302の位置は不変であるため、リンク機構42を介して反作用ブロック38および他方のシールブロック52Bが一対の一対の前後移動用ガイドロッド36に案内されつつ製袋充填包装機10の前後方向において互いに接離する方向に往復直線移動される。
また、反作用ブロック38の移動により一対の前後移動用ガイドロッド36を介して一方のシールブロック52Aと他方のシールブロック52Bとは、製袋充填包装機10の前後方向において互いに接離する方向に往復直線移動される。
したがって、リンク機構駆動用モータ44の回転制御により、一対の横シーラ40および一対のしごき部材28は離間接近する方向に移動される。
【0022】
図2に示すように、クランク機構46は、一対の横シーラ40を、上下方向に往復移動させるものである。
クランク機構46は、第4リンク体4602と、第5リンク体4604とを含んで構成され、クランク機構46はクランク機構駆動用モータ48により駆動される。
第4リンク体4602は、その長手方向の一端がクランク機構用モータ48に接続された製袋充填包装機10の幅方向に延在する減速機49の上下移動用出力軸4902に結合され、上下移動用出力軸4902と一体に鉛直面内で回動されるように支持されている。
第4リンク体4602の他端は、第5リンク体4604の長手方向の一端に回動可能に連結されている。
第5リンク体4604は、その長手方向の他端がブラケット3210を介して一方の上下移動プレート32に回動可能に連結されている。
【0023】
図2に示すように、クランク機構用モータ48は、クランク機構46を駆動するものであり、クランク機構駆動用モータ48は中間板1004を介して製袋充填包装機10のフレーム側で支持され、したがって、製袋充填包装機10における上下移動用出力軸4902の位置は不変である。
本実施の形態では、クランク機構駆動用モータ48が一方向に回転すると、上下移動用出力軸4902を介して第4リンク体4602を一方向に回転させる。
したがって、クランク機構駆動用モータ48により第4リンク体4602が一方向に回転されることで、第5リンク体4604を介して、一対の上下移動プレート32、一対の前後移動用ガイドロッド36が上下方向に往復直線移動され、したがって、一対の横シーラ40および一対のしごき部材28が上下方向に往復直線移動される。
図5に示すように、クランク機構46の上死点で一対の横シーラ40および一対のしごき部材28が最も上位の位置となり、下死点で最も下位の位置となる。
【0024】
図3に示すように、制御部50は、リンク機構駆動用モータ44およびクランク機構駆動用モータ48の回転制御、すなわち、回転方向、回転量、回転速度を制御するものであり、以下のように制御部50の制御動作について説明する。
【0025】
次に、図6のタイミングチャートを参照して横シール装置26の動作を説明する。
図6(A)は横シーラ40を上下に移動させるクランク機構駆動用モータ48のタイミングチャート、(B)は横シーラ40を開閉させるリンク機構駆動用モータ44のタイミングチャートであり、図6(A)、(B)の時間軸は一致している。
横軸の時間単位は、横シール装置26によって1つ分の袋体16の横シールを実行するために要する時間をTとしたとき、T/100を「1」とした数値で示しており、本明細書では便宜上、数値0~数値100を時点0~時点100として説明する。
したがって、各タイミングチャートは時点0から時点100(次の時点0に対応)までの各モータの動作を示している。
縦軸は各モータの停止状態(回転停止状態)をLレベルの信号で、各モータの動作状態(回転状態)をHレベルの信号で示している。
したがって、各タイミングチャートの信号の立ち上がりエッジが各モータ44,48の回転の開始時点に対応し、信号の立ち下がりエッジが各モータ44,48の回転の停止時点に対応している。
【0026】
図6(A)、図7に示すように、時点0はクランク機構46が下死点に位置しており、一対の横シーラ40は最も下位に位置し、したがって、一対の横シーラ40は上下方向において筒状フィルムF(包装フィルム2)の横シールを行なう横シール位置P1(図4(C))に位置している。
制御部50は、時点0(クランク機構46の下死点に対応)からクランク機構駆動用モータ48の回転を開始させ、上死点に向かってクランク機構46を動作させる。
すなわち、制御部50は、クランク機構駆動用モータ48により、クランク機構46の下死点に対応する位置から上死点に対応する位置まで一対の横シーラ40を上昇させる上昇動作を実行する。
上死点(時点40)に到達すると、すなわち、一対の横シーラ40がクランク機構46の上死点に対応する位置P0に到達するとほぼ同時に、制御部50は、クランク機構駆動用モータ48を所定時間Δtsだけ停止させる停止動作を実行する。
言い換えると、一対の横シーラ40が最も上位に位置した状態で所定時間Δtsだけ停止させる停止動作を実行する。
【0027】
一方、図6(B)、図7に示すように、制御部50は、時点0からリンク機構駆動用モータ44を逆転させ、リンク機構42を介して一対の横シーラ40を閉じ位置(図4(C))から開き位置(図4(A))に移動させたのち、リンク機構駆動用モータ44を停止させ、一対の横シーラ40を開き位置に停止させる開き動作を実行する。
ここで、一対の横シーラ40の閉じ位置とは、一対の横シーラ40によって筒状フィルムF(包装フィルム2)が挟まれ横シールが行なわれる位置であり、一対の横シーラ40が最も近接した位置である。
なお、図4(C)に示すように、一対の横シーラ40の閉じ位置では、一対のシャッタ2802は縁部2802Aが包装フィルム2に当接することにより付勢部材2804の付勢力に抗して突出位置から後退した後退位置に変位している。
また、一対の横シーラ40の開き位置とは、一対の横シーラ40および一対のしごき部材28が包装フィルム2から離間した位置であり、一対の横シーラ40が最も離間した位置である。
次いで、制御部50は、開き動作に続いて、リンク機構駆動用モータ44を正転させ、一対の横シーラ40を、開き位置からしごき部材28による包装フィルム2のしごき動作を可能とするしごき位置(図4(B))に移動して停止させるしごき用閉じ動作を実行する。
このときの一対の横シーラ40の上下方向の位置がしごき開始位置P0であり、上死点に対応する位置P0である。
これにより、図4(B)に示すように、一対のしごき部材28の付勢部材2804で付勢された上下のシャッタ2802の縁部2802Aにより筒状フィルムFが挟まれる。この際、一対の横シーラ40(一対のシーラ本体54A、54B)と筒状フィルムFとは接触せず、一対の横シーラ40と筒状フィルムFとの間には隙間が確保されている。
そして、図6(A)、(B)に示すように、このしごき用閉じ動作は、上記の停止動作と時間的に重複して実行される。
本実施の形態では、しごき用閉じ動作は、停止動作の実行が開始される時点の直前の時点から開始されている。
【0028】
図6(A)、(B)、図7に示すように、制御部50は、しごき用閉じ動作が完了すると同時に、クランク機構駆動用モータ48の回転を開始させ、一対の横シーラ40を横シール位置P1(下死点に対応する位置)に向かって下降させて所定時間停止させる下降動作を実行する(図6(B)のしごき区間に相当)。
これにより、しごき部材28によりしごき動作が開始され、包装フィルム2を挟んだ状態で上下のシャッタ2802の縁部2802Aが下方に移動することで筒状フィルムF(包装フィルム2)がしごかれ、筒状フィルムF内に位置する製品Cやその欠片が強制的に下方に移動される。
すなわち、図7に示すように、一対の横シーラ40の上死点に対応する位置の位置P0(しごき開始位置P0)から一対の横シーラ40の横シール位置P1までの範囲がしごき部材28によるしごき動作が行われるしごき範囲Xとなる。
一対の横シーラ40が横シール位置P1に到達したならば(しごき動作が終了したならば)、制御部50は、リンク機構駆動用モータ44を正転させ、一対の横シーラ40をしごき位置から筒状フィルムF(包装フィルム2)の接合を行なう閉じ位置に移動させて所定時間停止させるシール用閉じ動作を実行させる(図6(B)のシール区間に相当)。
これにより、一対の横シーラ40により筒状フィルムFがシールされる。
シールがなされたならば、横シーラ40によって接合された筒状フィルムFの箇所の切断が切断部41によりなされる。
すなわち、シール動作の終了直前に、筒状フィルムFの箇所の切断が切断部41によりなされ、製品Cが封入された袋体16が筒状フィルムFから切り離される。
袋体16が切り離されたならば、時点0に戻り上記と同様の動作が繰り返して実行される。
【0029】
このようにして、制御部50のリンク機構駆動用モータ44の回転制御により、開き動作と、しごき用閉じ動作と、シール用閉じ動作とを含む横シーラ開閉工程が繰り返して実行され、制御部50のクランク機構駆動用モータ48の回転制御により、上昇動作と、停止動作と、下降動作とを含む横シーラ昇降工程が横シーラ開閉工程と同期して繰り返して実行されることで製品Cが封入された袋体16が1つずつ生産される。
【0030】
本実施の形態によれば、一対の横シーラ40がクランク機構46の上死点に対応する位置に到達するとほぼ同時にクランク機構駆動用モータ48を所定時間だけ停止させる停止動作が実行され、一対の横シーラ40がしごき部材28による包装フィルム2のしごき動作を可能とするしごき位置に移動して停止させるしごき用閉じ動作が停止動作と時間的に重複して実行されるようにした。
したがって、一対の横シーラ40およびしごき部材28が最も上位に位置して停止した状態で一対の横シーラ40およびしごき部材28がしごき位置に移動させることができるため、しごき部材28により筒状フィルムF(包装フィルム2)が上方に持ち上げられることを抑制しつつ、しごき部材28により筒状フィルムF(包装フィルム2)のしごきを行なうしごき範囲Xを最大限確保できる。
また、しごき用閉じ動作が停止動作と時間的に重複して実行されるので、短いサイクルタイムを確保する上で有利となる。
【0031】
なお、本実施の形態では、図6(A)、(B)に示すように、しごき用閉じ動作は、停止動作の実行が開始される時点の直前の時点から開始されるようにしたので、しごき用閉じ動作中に停止動作を実行できることから、しごき用閉じ動作を停止動作と時間的に重複して実行する上でより有利となり、短いサイクルタイムを確保する上でより有利となる。
【0032】
なお、しごき用閉じ動作を、停止動作の実行が開始される時点の直前の時点から開始した場合、上方に移動するしごき部材28により筒状フィルムF(包装フィルム2)がわずかであっても上方に持ち上げられることが懸念されるが、以下の理由により不具合は無視できる程度となる。
【0033】
(1)図8はクランク機構46のクランク角度と上死点からの一対の横シーラ40およびしごき部材28の下降量を示す図であり、クランク角度180°が上死点に対応している。
図8から明らかなように上死点近傍では、クランク角度の変化量に対して一対の横シーラ40およびしごき部材28の上方への移動量は緩やかとなっている。
したがって、停止動作の実行が開始される時点の直前の時点(上死点近傍)でしごき用閉じ動作を開始してもしごき部材28の上方の移動量が無視できる程度に小さいことから、しごき部材28により筒状フィルムF(包装フィルム2)が上方に持ち上げられる不具合を回避することができる。
【0034】
(2)図9はクランク機構駆動用モータ48の加減速パターンを示す図であり、横軸に時間、縦軸に回転速度を示している。
図9に示すようにクランク機構駆動用モータ48の停止直前の時点では、速度の傾きが極めて緩やかとなるようにモータの減速制御がなされる。なお、このようなモータの停止直前における速度の減速制御は一般的になされているものである。
したがって、停止動作の実行が開始される時点の直前の時点(クランク機構46の上死点近傍)では、クランク機構駆動用モータ48の回転速度がほとんどゼロとなり、一対の横シーラ40およびしごき部材28の上方への単位時間当たりの移動量は極めて小さいものとなる。
そのため、停止動作の実行が開始される時点の直前の時点(上死点近傍)でしごき用閉じ動作を開始してもしごき部材28の上方の移動量がより小さくなることから、しごき部材28により筒状フィルムF(包装フィルム2)が上方に持ち上げられる不具合を回避することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、一対の横シーラ40がクランク機構46の上死点に対応する位置(しごき開始位置P0)に到達するとほぼ同時にクランク機構駆動用モータ48を所定時間Δtsだけ停止させる停止動作が実行される場合について説明したが、停止動作に代えて、クランク機構駆動用モータ48を所定時間だけ減速させる減速動作させるようにしてもよい。
すなわち、クランク機構駆動用モータ48を完全に停止させずとも、クランク機構駆動用モータ48を大きく減速させることで、減速動作の実行が開始される時点の直前の時点(上死点近傍)でしごき用閉じ動作を開始してもしごき部材28の上方の移動量が無視できる程度に小さくでき、したがって、しごき部材28により筒状フィルムF(包装フィルム2)が上方に持ち上げられる不具合を回避する上で有利となる。
そのため、一対の横シーラ40およびしごき部材28が最も上位に位置して減速した状態で一対の横シーラ40およびしごき部材28がしごき位置に移動させることができるため、しごき部材28により筒状フィルムF(包装フィルム2)が上方に持ち上げられることを抑制しつつ、しごき部材28により筒状フィルムF(包装フィルム2)のしごきを行なうしごき範囲Xを最大限確保できる。
したがって、本発明において、減速動作に停止動作が含まれる。
【0036】
また、本実施の形態では、しごき部材28が一対の横シーラ40と別体に設けられた上下のシャッタ2802を含んで構成されている場合について説明したが、しごき部材28を省略し、一対の横シーラ40(シーラ本体54A、54Bの先端)をしごき部材28として利用してもよく、その場合は、部品点数の削減を図る上で有利となる。
【0037】
また、本実施の形態では、制御部50がクランク機構駆動用モータ48を一方向にのみ回転させることで横シーラ40を昇降させる場合について説明したが、本発明は、クランク機構駆動用モータ48を正逆転させることで横シーラ40を昇降させる場合についても無論適用可能である。
しかしながら、本実施の形態のように、クランク機構駆動用モータ48を一方向にのみ回転させるようにすると、クランク機構駆動用モータ48を正逆転させる場合に比較してクランク機構駆動用モータ48にかかる負荷を低減できる。
そのため、クランク機構駆動用モータ48として比較的出力容量の小さい安価なモータを採用できるためコストダウンを図る上で有利となり、また、負荷が低減されることでクランク機構駆動用モータ48の耐久性を高める上で有利となる。
【0038】
次に、図10のタイミングチャート、図11の模式説明図を参照して従来の横シール装置の動作を本実施の形態と比較して説明する。
図10(A)、(B)は、図6(A)、(B)にそれぞれ対応しており、図10(A)は横シーラ40を上下に移動させるクランク機構駆動用モータ48のタイミングチャート、(B)は横シーラ40を開閉させるリンク機構駆動用モータ44のタイミングチャートであり、両者の時間軸は一致している。
また、図11図7に対応しており、しごき動作の開始から終了までの横シーラ40の移動過程を模式的に示している。
【0039】
図10(A)、図11に示すように、制御部50は、時点0(クランク機構46の下死点に対応)からクランク機構駆動用モータ48の回転を開始させ、上死点に向かってクランク機構46を動作させる。
すなわち、制御部50は、クランク機構駆動用モータ48により、クランク機構46の下死点に対応する位置(横シール位置P1)から上死点に対応する位置PD(図11)まで一対の横シーラ40を上昇させる上昇動作を実行する。
従来装置では、上死点(時点40)に到達しても、制御部50は、クランク機構駆動用モータ48の回転を継続しており、実施の形態と異なり停止動作は実行しない。
【0040】
一方、図10(B)、図11に示すように、制御部50は、時点0からリンク機構駆動用モータ44を逆転させ、リンク機構42を介して一対の横シーラ40を閉じ位置(図4(C))から開き位置(図4(A))に移動させたのち、リンク機構駆動用モータ44を停止させ、一対の横シーラ40を開き位置に停止させる開き動作を実行する。
次いで、制御部50は、開き動作が終了し、クランク機構46が上死点に到達した時点40で、リンク機構駆動用モータ44を正転させ、一対の横シーラ40を、しごき部材28による筒状フィルムF(包装フィルム2)のしごき動作を可能とするしごき位置(図4(B))に移動して停止させるしごき用閉じ動作を実行する。このとき一対の横シーラ40の上下方向の位置がしごき開始位置P0である。
これにより、図4(B)に示すように、一対のしごき部材28の付勢部材2804で付勢された上下のシャッタ2802の縁部2802Aにより筒状フィルムF(包装フィルム2)が挟まれる。
そして、このしごき用閉じ動作は、クランク機構46が上死点に到達すると同時に開始されるので、しごき用動作の開始時点では、既にしごき部材28が下方に移動しつつ、しごき部材28が開き位置(図4(A))からしごき位置(図4(B))に移動するため、しごき部材28によって筒状フィルムF(包装フィルム2)が上方に持ち上げられる不具合が回避されている。
【0041】
図10(A)、(B)、図11に示すように、制御部50は、クランク機構駆動用モータ48の回転を継続しており、一対の横シーラ40を横シール位置P1(下死点に対応する位置)に向かって下降させて所定時間停止させる下降動作を実行する。
これにより、しごき部材28による筒状フィルムF(包装フィルム2)のしごきがなされ、一対の横シーラ40が横シール位置P1に到達したならば(しごきが終了したならば)、制御部50は、リンク機構駆動用モータ44を正転させ、一対の横シーラ40をしごき位置から筒状フィルムF(包装フィルム2)の接合を行なう閉じ位置に移動させて所定時間停止させるシール用閉じ動作を実行させる。
これにより、一対の横シーラ40により筒状フィルムF(包装フィルム2)がシールされ、横シーラ40によって接合された筒状フィルムF(包装フィルム2)の箇所の切断が切断部41によりなされ、製品Cが封入された袋体16が筒状フィルムから切り離される。
袋体16が切り離されたならば、時点0に戻り上記と同様の動作が繰り返して実行される。
【0042】
このように従来装置では、しごき部材28によって筒状フィルムF(包装フィルム2)が上方に持ち上げられる不具合を回避するために、しごき部材28がクランク機構46の上死点に対応する位置PD(図11)から下方に移動する過程でしごき部材28を開き位置(図4(A))からしごき位置(図4(B))に移動させざるを得ない。
そのため、しごき開始位置P0が上死点に対応する位置PD(図11)よりも下方の位置となり、しごき範囲X′を確保する上で不利となる。
したがって、図7図11を比較して明らかなように、本実施の形態では、しごき範囲Xを従来装置のしごき範囲X′よりも大きく確保する上で有利となっている。
【符号の説明】
【0043】
2 包装フィルム
10 製袋充填包装機
12 充填筒
1202 充填筒本体
14 ホッパ
16 袋体
10A 装置本体
1002 底板
1004 中間板
18 フィルム供給機構
20 フォーマ
22 フィルム送り機構
2202 ベルト・プーリ機構
24 縦シール装置
2402 縦シーラ
26 横シール装置
28 しごき部材
2802 シャッタ
2804 付勢部材
2802A 縁部
32 上下移動プレート
3202 基板部
3204 突出板部
3210 ブラケット
34 上下移動用ガイドロッド
36 前後移動用ガイドロッド
38 反作用ブロック
3802 ブラケット
40 横シーラ
41 切断部
4102 カッタ
42 リンク機構
4202 第1リンク体
4204 第2リンク体
4206 第3リンク体
44 リンク機構駆動用モータ
45 減速機
46 クランク機構
4602 第4リンク体
4604 第5リンク体
48 クランク機構駆動用モータ
50 制御部
52A、52B シールブロック
5202 ブラケット
54A、54B シーラ本体
F 筒状フィルム
P 製品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11