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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】包装体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/52 20060101AFI20240814BHJP
   B65B 43/46 20060101ALI20240814BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B65B43/52 A
B65B43/46 A
B65G47/90 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020186486
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076184
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202831(JP,A)
【文献】特開2002-002622(JP,A)
【文献】特開2014-218280(JP,A)
【文献】特開平03-263055(JP,A)
【文献】特開2020-090393(JP,A)
【文献】特開2015-194253(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1652466(KR,B1)
【文献】特開2001-199178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00
B65G 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源に接続された駆動軸で軸支したタイミングプーリと、
当該タイミングプーリと所定の間隔を開けて配置された従動プーリと、
前記タイミングプーリと前記従動プーリ間に架け渡した無端ベルトと、
当該無端ベルトに所定の間隔で複数個取り付けた搬送器を備え、
前記タイミングプーリを回転させたときに形成される所定の搬送経路に沿って、前記搬送器が移動するようにした包装体搬送装置であって、
前記搬送器は、被包装物を包装した包装体を把持するグリッパーと、当該グリッパーを保持するグリッパーホルダと、当該グリッパーホルダに連結されるベースとから構成され、
当該ベースは、前記無端ベルトを挟み込んで締め付けるベルト抑え部材及び略コ字形の締結金具を有し、
前記タイミングプーリの外周面及び前記従動プーリの外周面にプーリ側歯列を設け、
前記無端ベルトの内側面に前記プーリ側歯列と噛合するベルト側歯列を成形するとともに、前記無端ベルトの外側面に前記搬送器と係合して当該搬送器を無端ベルトに固定する係合凸部を成形し
当該係合凸部を前記ベルト抑え部材が挟持し、当該ベルト抑え部材と前記締結金具が前記無端ベルトを挟み込み締め付けて、前記係合凸部に前記ベースを固定して、
前記無端ベルトに前記搬送器を固定するようにしたことを特徴とする包装体搬送装置。
【請求項2】
前記タイミングプーリ及び前記従動プーリは、前記締結金具が遊嵌する溝部を複数個有していることを特徴とする請求項1に記載の包装体搬送装置。
【請求項3】
前記溝部が、前記タイミングプーリ及び前記従動プーリの外周面にそれぞれ等間隔で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の包装体搬送装置。
【請求項4】
二つの前記溝部が前記タイミングプーリ及び前記従動プーリの外周面にそれぞれ対向配置されていることを特徴とする請求項3に記載の包装体搬送装置。
【請求項5】
前記無端ベルトが、金属繊維又は合成繊維からなる芯材を有していることを特徴とする請求項1に記載の包装体搬送装置。
【請求項6】
前記包装体が袋であることを特徴とする請求項1に記載の包装体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、包装容器を含む包装体を包装機上で搬送する包装体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機は、たとえば、図1に示すように、給袋工程で包装袋を供給し、開口工程、充填工程、シール工程、搬出工程と各工程を経て包装袋に被包装物を充填して袋製品を形成している。このとき、包装袋を各工程間で搬送する装置が包装体搬送装置である。
【0003】
従来、包装体搬送装置は、たとえば、特開2002-302227号公報の袋移送装置に開示されているように、複数のリンクの端部を連結軸でそれぞれ連結して形成した無端チェーンと、リンクに固定されたホルダに取り付けられたグリッパーを有し、スプロケットとガイド間に架け渡された無端チェーンを周回させて包装袋を把持したグリッパーを周回移送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-302227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の搬送装置が有する無端チェーンは、複数のリンク(コマ)を連結軸(ピン)で互いに連結して形成されていることから、部品点数が多くなる。また、コマ同士の接触部位への注油、ピンを抜き差しして長さを調整する等、定期的なメンテナンスが必要であり、手間がかかる。
そして、コマの隙間又はピン周辺には汚れたグリス、金属滓が溜まりやすく、またグリスには被包装物の粉、塵が付着するおそれがあり、食品等を包装する場合には衛生的ではないという問題がある。
さらに、無端チェーンは、自重又は周回運動時の負荷によって伸びるおそれがあり、当該チェーンの伸びによって各コマ間のピッチもまた伸びてしまうおそれがある。これによって、無端チェーン側のピッチとスプロケット側のピッチがずれてしまうおそれがある。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、二つ以上のプーリ間に無端ベルトを架け渡して、部品点数を減らし、メンテナンスの容易性を高め、衛生的に使用することができるようにして、無端ベルトの伸長を抑制し、プーリと無端ベルト間のピッチずれを起き難くした包装体搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の包装体搬送装置は、駆動源に接続された駆動軸で軸支したタイミングプーリと、
当該タイミングプーリと所定の間隔を開けて配置された従動プーリと、
前記タイミングプーリと前記従動プーリ間に架け渡した無端ベルトと、
当該無端ベルトに所定の間隔で複数個取り付けた搬送器を備え、
前記タイミングプーリを回転させたときに形成される所定の搬送経路に沿って、前記搬送器が移動するようにした包装体搬送装置であって、
前記搬送器は、被包装物を包装した包装体を把持するグリッパーと、当該グリッパーを保持するグリッパーホルダと、当該グリッパーホルダに連結されるベースとから構成され、
当該ベースは、前記無端ベルトを挟み込んで締め付けるベルト抑え部材及び略コ字形の締結金具を有し、
前記タイミングプーリの外周面及び前記従動プーリの外周面にプーリ側歯列を設け、
前記無端ベルトの内側面に前記プーリ側歯列と噛合するベルト側歯列を成形するとともに、前記無端ベルトの外側面に前記搬送器と係合して当該搬送器を無端ベルトに固定する係合凸部を成形し
当該係合凸部を前記ベルト抑え部材が挟持し、当該ベルト抑え部材と前記締結金具が前記無端ベルトを挟み込み締め付けて、前記係合凸部に前記ベースを固定して、
前記無端ベルトに前記搬送器を固定するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の包装体搬送装置は、請求項1に記載の発明において、前記タイミングプーリ及び前記従動プーリは、前記締結金具が遊嵌する溝部を複数個有していることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の包装体搬送装置は、請求項2に記載の発明において、前記溝部が、前記タイミングプーリ及び前記従動プーリの外周面にそれぞれ等間隔で配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の包装体搬送装置は、請求項3に記載の発明において、二つの前記溝部が前記タイミングプーリ及び前記従動プーリの外周面にそれぞれ対向配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の包装体搬送装置は、請求項1に記載の発明において、前記無端ベルトが、金属繊維又は合成繊維からなる芯材を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の包装体搬送装置は、請求項1に記載の発明において、前記包装体が袋であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る包装体搬送装置によれば、所定の駆動源によって駆動するタイミングプーリと、当該タイミングプーリと所定の間隔を開けて配置された従動プーリ間に無端ベルトを架け渡して、タイミングプーリを周回させたときに形成される所定の搬送経路に沿って搬送器を移動させるようにした。
無端ベルトは、複数個のコマを互いにピンで連接形成されるチェーンの場合と比べて、部品点数を少なくすることができ、製造コストを抑えることができる。そして、無端ベルトは、ベルト自体に埃又はグリスが溜まるような隙間が無いので、衛生的に使用することができ、チェーンよりも静粛性に優れている。
そして、タイミングプーリと従動プーリの外周面にプーリ側歯列を設け、無端ベルトの内側面に当該プーリ側歯列と噛合するベルト側歯列を形成した。タイミングプーリが無端ベルトを周回させたとき、これら対向するプーリ側歯列とベルト側歯列が噛合するので、プーリに対して無端ベルトが滑らず、ピッチズレの発生を抑制することができる。
また好ましくは、金属繊維又は合成繊維を無端ベルトの芯材とするようにした。これによって、無端ベルトが周回方向に伸びることを防止することができ、ピッチズレの発生を抑制することができる。
【0014】
また、無端ベルトに所定間隔で設けた係合凸部へ、包装体を搬送する搬送器を固定するようにした。このとき、ベルト抑え部材で係合凸部を挟持して、無端ベルトをベルト抑え部材と略コ字形の締結金具で挟み込んで締め付けるようにしたので、搬送器を無端ベルトへ強固に固定することができる。
これによって、搬送器が、無端ベルトの周回運動による負荷によってずれてしまうことを防止することができる。
さらに、無端ベルトのプーリ側に突出する締結金具が遊嵌する溝部を、タイミングプーリと従動プーリに設けるようにした。
これによって、タイミングプーリ又は従動プーリの回転に合わせて、締結金具を溝部に逃がすことができるので、無端ベルトはプーリの外周から浮くことなく、その外周に沿って撓み、ピッチズレ或いはプーリから無端ベルトが外れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を実施するための包装機の一例を示した平面図である。
図2】本発明を実施するための包装機の包装工程の一例を示した工程図である。
図3】第1実施例に係る包装体搬送装置を構成する無端ベルトの構成の概略を示した三面図である。
図4】第1実施例に係る包装体搬送装置を構成するタイミングプーリの構成の概略を示した平面図である。
図5】第1実施例に係る包装体搬送装置を構成するタイミングプーリの溝部の構成の概略を示した部分拡大平面図である。
図6】第1実施例に係る包装体搬送装置を構成する搬送器の構成の概略を示した平面図である。
図7】第1実施例に係る包装体搬送装置を構成する搬送器の構成の概略を示した側面図である。
図8図6のA-A線に係る構成の概略を示した断面図である。
図9図6のB-B線に係る構成の概略を示した断面図である。
図10】第1実施例に係る包装体搬送装置を構成する一部の概略を示した部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る包装体搬送装置10は、図1に示すように、包装機100に設けられている。当該包装機100は、被包装物を包装袋Bへ充填して袋製品を形成するように構成されている。図中の丸数字は、図2に示した包装工程にそれぞれ対応する。
第1工程には包装機100へ包装袋Bを給袋する給袋装置101が配置されている。給袋装置101は、袋ストッカー102から第2工程と第5工程との間をスライダガイド103に沿って往復運動するスライダ104へ包装袋Bを給袋するように構成されている。スライダ104は、図1に示した第2工程から第5工程まで図中右から左へ複数枚の包装袋Bを移送可能に構成されている。包装袋Bが移動している間に、第2工程から第3工程にかけてはプリンタ105が配置されており、包装袋Bへ、たとえば、工場の固有番号、製造年月日等の所定の文字がプリントされる。続いて第3工程から第4工程にかけては検査装置106が配置されており、プリントされたそれら所定の文字について正しく印刷されているか否か印字検査が行われる。
【0017】
そして、第5工程は、スライダ3から本発明に係る搬送器11へ包装袋Bが移送される工程である。包装袋Bを把持した搬送器11は、第6工程から第13工程にかけて搬送経路12に沿って移動するように構成されている。包装袋Bを把持する搬送器11と、当該搬送器11が移動する搬送経路12を備えた装置が本発明に係る包装体搬送装置10であって、当該包装体搬送装置10の実施例については後述する。
第6工程には、開口端縁部を把持可能なクリップ対107,107を備えたチャック開口装置が配置されている。当該チャック開口装置は、包装袋Bの袋口で重なり合っている開口端縁部をそれぞれクリップ107で把持して互いに相反する方向へ移動し、閉鎖しているチャックを開口するように構成されている。チャック開口された包装袋Bは、図1の第7工程に示すように、搬送経路12に沿って移動する搬送器11に把持されて第8工程へ移動する。
第8工程には、包装袋Bの開口端近傍へ吸着可能な吸盤対108,108を備えた開口・膨らまし装置が配置されている。開口・膨らまし装置は、包装袋Bの開口端近傍を両側から吸盤108,108で吸着して引っ張り、開口するとともに包装袋Bを膨らませるように構成されている。これによって、次工程で被包装物の充填を容易にすることができる。
【0018】
第9工程から第11工程は、包装袋B内へ被包装物を充填して包装袋B内の空気を脱気して窒素ガス(N)等の不活性ガスへ置換する、いわば包装工程の主工程ともいえる工程であって、それら各工程を担う以下の装置が配置されている。
第9工程には、上下動可能な充填ジョウゴ109を備えた充填装置が配置されている。充填ジョウゴ109には、上方に設けられたストッカー(図示略)にストックされている被包装物が注ぎ込まれる。なお、本包装機100において包装袋Bへ充填される被包装物は、小麦粉等の粉体又はドッグフード等の粒体、又は粉状のものと粒状のものが混在する粉粒体等である。
また、第9工程から第11工程に亘って、上下左右に移動可能なガスノズル110を備えたガス置換装置と、包装袋Bを左右から挟み込んで移送させるベルトコンベア111が配置されている。そして、第10工程から第11工程に亘って、包装袋Bの底面を細かく叩いて包装袋Bへ振動を加える振動装置112が配置されている。
第9工程では、充填装置が包装袋Bへ充填ジョウゴ109を差し込んで被包装物を充填する工程に続いて、ガス置換装置が、包装袋へガスノズル110を差し込んで包装袋内部へ窒素ガス(N)を充填する工程が行われる。ガス置換装置のガスノズル110は、第9工程から第11工程まで包装袋Bへ差し込まれたまま、包装袋Bへ窒素ガス(N)を充填し続けるように構成されている。
第10工程と第11工程では、振動装置112が包装袋に対して振動を加える工程が行われる。ここで、第9工程に配置されているベルトコンベア111aに対して、第10工程、第11工程に配置されている111bは、図1に示すように、包装袋Bを挟み込むように幅が狭く構成されている。これによって、包装袋Bの底面に振動を加えつつ、両側から抑え込んで、包装袋Bを三方から抑えているので、被包装物が充填された包装袋Bを流通に適した形状へ整形することができる。
第11工程では、包装袋Bの袋口が閉じられ、窒素ガス(N)が吹き込まれて余分な空気を包装袋B内から追い出す脱気工程が行われる。上記のガス充填工程、振動工程、及び脱気工程によって、粉粒体状の被包装物間の隙間が埋められ、包装袋B内の空気を窒素ガス(N)へガス置換することができる。
【0019】
第12工程は、包装袋Bの袋口をヒートシールして閉鎖可能なシール装置113が配置されている。シール装置113は、前工程から移送されてきた包装袋Bの袋口をヒートシールして密封するように構成されている。これによって包装袋Bに被充填物を充填し、袋口を密封した袋製品が形成される。また、本工程は、図2に示すように、金属片等が混入したり、開口されなかったりした不良包装袋が包装工程の外へ排出される系外排出工程を行うように構成されている。
第13工程は、包装袋Bの袋口を冷却可能な冷却装置114と、搬送器から解放された包装袋を搬出可能な搬出装置115が配置されている。冷却装置114は、前工程で加熱された包装袋Bの袋口近傍を冷却するように構成されている。搬出装置115は、袋口が冷却されて完成した袋製品を搬出するように構成されている。また、本工程は、図2に示すように、シール不良であったり、前工程の系外排出工程で検知できなかったりした不良包装袋が包装工程の外へ排出される系外排出を行う構成されている。
第13工程で包装袋Bを解放した搬送器11は、搬送経路12に沿って移動して、第5工程でまた包装袋Bを把持するように構成されている。このように、上記の各工程を担当する各装置間を、包装体搬送装置10は、包装袋Bを把持して搬送するように構成されている。当該包装体搬送装置10の実施例を添付図面にしたがって以下説明する。
【実施例1】
【0020】
本実施例に係る包装体搬送装置10は、図1に示すように、一般的にレーストラック型と呼ばれる構造を有している。レーストラック型包装体搬送装置10は、並行する二本の直線部の両端を互いに対向する半円部で接続した、いわゆる陸上競技で用いられるレーストラックと似た形状に形成されている。
レーストラック型包装体搬送装置10は、図1では図示を省略したが、図3に示すような無端ベルト20と、図4に示すようなモータで駆動可能なタイミングプーリ30と、当該タイミングプーリ30と同形状に構成された従動プーリ30aを組み合わせて構成されている。
レーストラック形の一方の半円部にタイミングプーリ30が配置され、当該タイミングプーリ30と所定の間隔を開けたレーストラック形の他方の半円部に従動プーリ30aが配置されている。そして、これらの両プーリ30,30aに無端ベルト20を架け渡すと、上記のレーストラック形状を構成することができる。
タイミングプーリ30が無端ベルト20を周回させたとき、従動プーリ30aは無端ベルト20を介してタイミングプーリ30の動作に従動し、無端ベルト20はレーストラック形状の搬送経路12を形成することができる。
なお、当該搬送経路12は、図1に示したレーストラック型に限定されるものではなく、タイミングプーリ30又は従動プーリ30aの数、設置位置を増やすことによって如何様にも変形させることができる。搬送経路12の変形例は、たとえば、包装機100の設置場所、設置条件等に合わせて、従動プーリ30aを増やして角丸三角形状、角丸四角形状であったり、或いはタイミングプーリ30と従動プーリ30aの数を増やして多角形状又はより複雑な形状であったりしてもよい。
【0021】
無端ベルト20は、図3(a)に示すように、タイミングプーリ30、従動プーリ30aに対向する内側面21と、搬送器11が取り付けられる外側面22とから構成されている。
内側面21は、帯体の幅方向にわたって交互に連接形成された突条23とベルト溝部24とからなるベルト側歯列21aが形成されている。
外側面22には、図3(b)に示すように、所定の間隔を開けて係合凸部25が設けられている。図3(b)では省略されているが、このような係合凸部25は、無端ベルト20の外側面22側全体に亘って複数個設けられている。
係合凸部25は、外側面22に溶着又は接着されて固着され、無端ベルト20と一体化するように成形されている。これによって、無端ベルト20が周回しているとき、係合凸部25へ負荷がかかっても外側面22から剥がれ落ちたり、無端ベルト20の進行方向に対してねじれたりすることを防止することができる。
係合凸部25は、図3(c)に示すように、貫通孔26が形成されている。この貫通孔26にボルトを挿通することによって、搬送器11を取り付けることができる。搬送器11については後述する。
なお、本実施例に係る無端ベルト20は、ゴムを主材とし、金属線又は当該金属線と同等の強度を備える合成繊維からなる芯材が編み込まれたアイアンラバーベルトであることが好ましい。当該アイアンラバーベルトは伸縮性が少なく、長期間使用しても劣化して伸びてしまうことを抑制することができる。これによって、一の係合凸部25と他の係合凸部25間の距離が変化せず、ピッチズレを起こし難くすることができる。
さらに、本実施例のようにアイアンラバーベルトを採用した結果、コマ間の距離が伸びるおそれのある無端チェーンと異なり、定期的な長さ調節の手間を省くことができる。そのため、長期間にわたってメンテナンスの手間を省くことができる。
また、部品点数が多く、重い無端チェーンと異なり、無端ベルト20は部品点数が少なく軽量化することができるので、製造コストを抑えることができる。
【0022】
タイミングプーリ30は、図4に示すように、円盤状のプーリ本体31の外周面31aに交互に連接形成した歯形凹部32と歯形凸部33からなるプーリ側歯列34と、当該プーリ側歯列34よりも深く切り込まれ、径方向に沿って対向配置された二つの溝部35を有している。
歯形凹部32は、無端ベルト20の突条23と、歯形凸部33は、無端ベルト20のベルト溝部24と係合し、プーリ側歯列34は、無端ベルト20の内側面21に設けたベルト側歯列21aと噛合するように構成されている。このように、プーリ側歯列34とベルト側歯列21aが噛合するようにしたことによって、タイミングプーリ30に対して、無端ベルト20が滑ってしまうことを防止することができ、タイミングプーリ30の回動にしたがって、無端ベルトを周回させることができる。
【0023】
溝部35は、図5に示すように、略U字形に形成されている。溝部35の幅は、歯形凹部32よりも広く形成され、溝部35の開口端35aは、角が面取りされて丸く形成されている。これによって、後述する締結金具55をスムーズに溝部35内へ誘導して遊嵌させることができる。
なお、溝部35は、本実施例のようにタイミングプーリ30へ二か所対向配置されるものに限定されず、一の溝部35と隣り合う他の溝部35がプーリ本体31の中心と成す中心角が90度毎になるように、プーリ本体31の外周面31aの四か所に設けたり、また120度毎にして三か所に設けたりする等して、搬送する搬送器11の間隔、数等に合わせて所定の等間隔を開けて複数の溝部35を構成してもよい。このように、所定の等間隔を開けて設けた溝部35へ、後述するように無端ベルト20の係合凸部25の反対側に突出する締結金具55が遊嵌することによって、本実施例の場合は、タイミングプーリ30が一回転する毎に二つの搬送器11を搬送経路12へ送り出すことができる。
また、タイミングプーリ30は、図4に示すように、中心部に駆動軸を軸支可能な穴部36が形成されている。駆動軸(図示略)を介して、タイミングプーリ30は、包装体搬送装置10に設けたモータ(図示略)と接続され、所定の回転数で回転可能に構成されている。これによって、タイミングプーリ30は無端ベルト20を所定の速度で周回させることができる。
従動プーリ30aは、上記のタイミングプーリ30と同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。なお、従動プーリ30aは、モータによって駆動せず、モータによって駆動するタイミングプーリ30の動作にしたがって、無端ベルト20を介し、従動するように構成されている。
これによって、タイミングプーリ30と従動プーリ30a間に架け渡された無端ベルト20は、搬送経路12に沿った所定の方向に向かって周回するように構成されている。
【0024】
本実施例によれば、タイミングプーリ30、従動プーリ30aの外周面31aに設けたプーリ側歯列34と、無端ベルト20の内側面21に設けたベルト側歯列21aとが噛合するように構成した。これによって、複数個のコマを互いにピンで連結して構成される無端チェーンと異なり、細かな軸間距離の変化が構造上発生せず、またプーリ30,30aに対する無端ベルト20のずれも発生しない。そのため、無端チェーンの場合に必須であったチェーンを緊張させておく付勢バネ等の部品点数を減らして装置の構成を簡略化することができ、また、周回時の騒音が発生しないので静粛性を高めることができる。
また、伸縮性の少ない無端ベルト20とタイミングプーリ30及び従動プーリ30aとが噛合する構成としたことにより、無端チェーンよりも耐摩耗性を高めることができる。これによって、製品寿命を延ばすことができ、さらには、ベルトの削り滓等の発生を抑えることができるので衛生的に使用することができる。
【0025】
また、包装体搬送装置10は、図6及び図7に示すように、搬送器11を有している。
なお、本実施例において、図1及び図2に示すように、特に包装袋Bを搬送可能な搬送器11を例示しているが、これに限定されるものではない。本発明に係る包装体搬送装置10が有する搬送器11が搬送する包装体とは、包装袋B又は包装容器或いはこれらに類するものであれば良く、以下で説明するグリッパー40を、たとえば、ビン、箱体を把持することに適したものに交換することで包装袋Bだけではなく、包装容器にも適した搬送器11を構成することができる。
【0026】
搬送器11は、図6に示すように、包装袋を把持するグリッパー40と、当該グリッパーが取り付けられるグリッパーホルダ41と、当該グリッパーホルダ41が取り付けられ、無端ベルト20に取り付けられるベース42とからなる。
【0027】
グリッパー40は、開閉自在に構成された爪部43を先端に備えた一対のアーム44,44を有している。
爪部43は、アーム44に沿って配置された爪開閉バネ(図示略)によって、通常は閉鎖しているように付勢されている。爪部43は、図1及び図2に示すように、包装袋が受け渡される第5工程と、袋製品を解放する第13工程でコロ46が押されることで、爪開閉バネに抗して爪リンク47が動き開放するように構成されている。これによって、包装袋Bは、第5工程から第13工程までアーム対44,44で把持されて搬送される。
図6に示すように、爪部43の開閉側が互いに対抗するように対向配置されたアーム対44,44は、アーム先端の幅、すなわち爪部43,43の爪幅が、ローラーカム48と、当該ローラーカム48に連結されたアームリンク49によって変化するように構成されている。ローラーカム48は、搬送経路12に沿って設けられた板カム(図示略)に沿って摺動し、図6の下方へ向かってローラーカム48が押された場合は、アーム対44,44を閉じる方向へ付勢しているバネ45に抗して、アームリンク49が爪幅を開き、ローラーカム48が図6の上方へ向かって動いた場合は、バネ45によって爪幅が閉じるように構成されている。
これによって、たとえば、包装袋Bの袋口を開口する第8工程では爪幅が狭まり、第9工程で被包装物を充填した後、続いてガス置換し、底面に振動を加え、脱気して包装袋Bの袋口を閉じる第9工程から第11工程では、段階的に爪幅を開いて袋口を閉鎖し、さらに第12工程で袋口近傍をピンと張ってヒートシールするように、包装袋Bの袋口の開き具合を調整することができる。
【0028】
グリッパーホルダ41は、図6及び図7に示すように、アーム対44,44の基部を回動可能に軸支するアーム軸50,50を有し、また、爪リンク47のコロ46、アームリンク49のローラーカム48を保持するように構成されている。さらに、無端ベルト20を備えた搬送経路12と並行して、当該搬送経路12の上下に配置された一対のガイドレール51,51を挟持するガイドローラー対52,52が、図7に示すように、グリッパーホルダ41の上下に取り付けられている。グリッパーホルダ41の反アーム44側には、ベース42を取り付け可能なベース取付部53aが形成されている。グリッパーホルダ41とベース42を別体に構成することによって、グリッパー40のアーム44、爪部43、又はリンク機構47,49が破損等で故障したとき、ベース42を無端ベルト20に取り付けたまま、グリッパーホルダ41を交換することによって、無端ベルト20に対する位置調整の手間を省き、素早く交換することができる。
なお、本実施例では、グリッパーホルダ41に一つのグリッパー40を取り付けたものを示したが、これに限定されるものではなく、たとえば、グリッパーホルダ41に複数のグリッパー40を並設したグリッパーユニットを構成してもよい。グリッパーユニットを有する搬送器の場合は、包装工程において、複数枚の包装袋を同時並行で処理することができるので、袋製品の製造効率を向上させることができる。
【0029】
ベース42は、ベース本体53と、ベルト抑え部材54と、当該ベルト抑え部材54とともに無端ベルト20を挟み込んで締め付ける締結金具55を有している。
ベース本体53は、図6及び図7に示すように、反無端ベルト20側で、ベース取付部53aを介してグリッパーホルダ41へ取り付けられ、ボルトで固定されている。対して、無端ベルト20側は、無端ベルト20の係合凸部25へ係合させてボルトで固定するように構成されている。このとき、係合凸部25に対してベルト抑え部材54と、締結金具55が使用される。
ベルト抑え部材54は、図3に示した無端ベルト20の外側面22と係合凸部25からなる角隅部27に当接され、図6に示すように、係合凸部25を挟む一対の角材54aと、当該角材対54a,54aに反無端ベルト20側から当接する板材54bとからなる。ベルト抑え部材54は、図6に示すように、角隅部27に当接させた角材対54a,54aをネジ止めして係合凸部25を挟持し、さらに図8に示すように、角材54aに板材54bを当ててボルトで締め付け、係合凸部25を三方から押さえ付けるように構成されている。そして、図6に示すように、ベルト抑え部材54とベース本体53とをボルトで連結することによって、ベース42は係合凸部25に取り付けられている。
ベルト抑え部材54が、無端ベルト20と係合凸部25が成す角隅部27に当接されて無端ベルト20を抑え込む構成にしたことで、ベース本体53がグラつかないように取り付けることができる。さらにグリッパー40の動作によってグリッパーホルダ41が揺れ、その振動がベース42に波及しても、ベルト抑え部材54は、無端ベルト20が当該振動と共振して暴れないように抑え込むことができる。
締結金具55は、図9に示すように、縦断面視したとき、略コ字形となるいわゆるチャンネル金具である。コ字形の内側は、無端ベルト20が嵌め込まれるように構成されている。締結金具55の幅は、図6に示すように、無端ベルト20の内側面21に設けた突条23と略同じ幅に形成されている。そして、締結金具55は、図6に示すように、反係合凸部25側にある所定の突条23と同じ位置に取り付けられている。
締結金具55は、図9に示すように、ベルト抑え部材54の板材54bの反無端ベルト20側からネジで締め付けられている。これによって、締結金具55とベルト抑え部材54によって、無端ベルト20を挟み込んで締め付け、より一層強固に固定することができる。
ここで、図6に示すように、締結金具55は、無端ベルト20の内側面21側で、突条23よりも突出している。この内側面21側で突出した締結金具55は、タイミングプーリ30と従動プーリ30aに設けられた溝部35に遊嵌するように構成されている。これによって、タイミングプーリ30又は従動プーリ30aが回動しているとき、締結金具55を溝部35へ逃がすことができ、当該締結金具55がタイミングプーリ30又は従動プーリ30aの歯形凹部32に嵌合して無端ベルト20が浮き上がることを防止することができる。
【0030】
上記の構成を有する包装体搬送装置10の動作方法を、添付した図面にしたがって、以下説明する。
図1に示すように、本実施例に係る包装体搬送装置10は、並行する一対の直線部と、当該直線部に連接する半円部とからなるレーストラック形に構成されている。半円部の一方にはタイミングプーリ30が配置され、他方の半円部にはタイミングプーリ30の駆動に従動する従動プーリ30aが配置され、両プーリ30,30a間に無端ベルト20が架け渡されている。この無端ベルト20の動作によって動力が伝達された従動プーリ30aは、タイミングプーリ30の回転にしたがって回転する。これによって、タイミングプーリ30と従動プーリ30aの間で無端ベルト20は周回運動を行うことができる。当該周回運動によって、包装体搬送装置10には搬送経路12が形成される。
図10は、図1のタイミングプーリ30側を部分的に拡大した部分拡大図である。従動プーリ30aと無端ベルト20との関係は、図10に示したタイミングプーリ30と無端ベルト20との関係と同様であるので、従動プーリ30a側の説明は省略する。
【0031】
図10に示すように、モータ(図示略)に駆動軸を介して連結されたタイミングプーリ30が矢印Rの方向へ回転したとき、当該タイミングプーリ30の外周面31aに設けたプーリ側歯列34と、無端ベルト20の内側面21に設けたベルト側歯列21aが噛合して、無端ベルト20もまた搬送経路12の矢印方向へ進む。このとき、タイミングプーリ30側と無端ベルト20側の互いの歯列が噛み合っているので、タイミングプーリ30が空転したり、無端ベルト20が滑ったりすることを防止できる。
周回する無端ベルト20には、図3に示したように所定の間隔で係合凸部25が複数個設けられている。係合凸部25には、包装袋Bを搬送するグリッパー40を備えた搬送器11が、図6に示したように取り付けられ、図10に示すように複数個、所定の間隔で並設されている。
このとき、搬送器11のベース42には、図6で示したように、内側面21側に締結金具55が突出している。当該締結金具55は、タイミングプーリ30が回転したときに、溝部35へ遊嵌するように構成されている。
ここで、無端ベルト20の一の突条23と隣り合う他の突条23との間の距離と、タイミングプーリ30の一の歯形凹部32と隣り合う他の歯形凹部32との間の距離、いわゆる1ピッチは同じ距離に形成され、かつ、無端ベルト20の外側面22側の一の係合凸部25と隣り合う他の係合凸部25の間で、内側面21に形成された突条23のピッチ数と、タイミングプーリ30の外周面31aに形成された一の溝部35と他の溝部35との間の歯形凹部32のピッチ数は同数になるように形成されている。
これによって、タイミングプーリ30が一回転する毎に、2台の搬送器11を固定している締結金具55が、それぞれ溝部35へ遊嵌するように構成されている。無端ベルト20は上記したように伸縮性の小さいアイアンラバーベルトを採用したので、1ピッチの長さが変化することは少なく、また無端ベルト20と一体的に成形された係合凸部25はずれることなく、ピッチ数も変化しないので、タイミングプーリ30の回転にしたがって、搬送経路12上を搬送器11はずれることなく移動することができる。
そして、包装体搬送装置10の搬送経路12に沿って、搬送器11が包装袋Bを把持したグリッパー40を搬送することによって、包装袋Bは、図1に示したレーストラック形の搬送経路12に沿って移動しながら、図2に示した包装工程を順に巡って、袋口が開口され、被包装物が充填され、包装袋内を窒素ガス(N)でガス置換して袋口をシールされた袋製品に形成される。
【0032】
本実施例によれば、搬送器11のグリッパーホルダ41とベース42を別体に構成した。これによって、グリッパーホルダ41側を本実施例に係る包装袋Bを把持可能なグリッパー40ではなく、ビン、箱等の包装容器を把持して搬送可能なグリッパーへグリッパーホルダ41毎交換することによって、包装袋Bだけではなく、包装容器等も含む包装体全般に対して柔軟に対応可能な包装体搬送装置10を構成することができる。
【符号の説明】
【0033】
10…包装体搬送装置、11…搬送器、12…搬送経路、
20…無端ベルト、21…内側面、21a…ベルト側歯列、22…外側面、23…突条、24…ベルト溝部、25…係合凸部、26…貫通孔、27…角隅部、
30…タイミングプーリ、30a…従動プーリ、
31…プーリ本体、31a…プーリ側面、32…歯形凹部、33…歯形凸部、34…プーリ側歯列、35…溝部、35a…溝部開口端、36…穴部、
40…グリッパー、41…グリッパーホルダ、42…ベース、
43…爪部、44…アーム、45…バネ、46…コロ、47…爪リンク、48…ローラーカム、49…アームリンク、
50…アーム軸、51…ガイドレール、52…ガイドローラー、53a…ベース取付部、
53…ベース本体、54…ベルト抑え部材、54a…角材、54b…板材、55…締結金具。
100…包装機、
101…給袋装置、102…袋ストッカー、
103…スライダガイド、104…スライダ、
105…プリンタ、106…検査装置、107…クリップ、108…吸盤、109…充填ジョウゴ、110…ガスノズル、111,111a,111b…ベルトコンベア、112…振動装置、113…シール装置、114…冷却装置、115…搬出装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10