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特許7537744飛行場の運用支援システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】飛行場の運用支援システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240814BHJP
【FI】
G06Q50/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020207981
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094857
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520495032
【氏名又は名称】株式会社AOS
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】大田 正朗
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-016156(JP,A)
【文献】特開平09-282600(JP,A)
【文献】特開2008-176600(JP,A)
【文献】国際公開第2015/170776(WO,A1)
【文献】特開2007-036756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行場の運用業務のうち現場の業務に従事する現場員が行う業務のマニュアルを含む運用情報を記憶する記憶手段と、
現場員が利用する端末装置から取得した情報を用いて、前記運用情報を更新する更新手段と、
現場員が利用する一の端末装置と、前記飛行場の管理的な業務に従事する運用員が利用する他の端末装置と、の間で、前記運用情報を共有可能にする共有手段と、
前記運用情報に基づき前記現場員が利用する端末装置に表示させる画面を生成する表示制御手段と、
を備え
前記画面には、前記業務のマニュアルに基づくチェックリストを構成する複数の項目と、前記複数の項目それぞれに対して業務内容の確認の有無を前記現場員が入力する入力ボタンと、前記複数の項目それぞれに対して業務内容の確認を前記現場員に対して要請する確認要請ボタンと、が含まれ、
前記現場員に対する確認の要請は前記運用員による前記運用員が利用する端末装置を介した所定の操作に基づき行われる、
ることを特徴とする、飛行場の運用支援システム。
【請求項2】
前記入力ボタンには、前記現場員が必ず確認すべき項目であることを示す第1のボタンと、前記現場員が状況に応じて確認すべき項目であることを示す第2のボタンと、が含まれ、
前記画面では前記第1のボタンと前記第2のボタンとが異なる態様で表示され、
前記更新手段は、前記画面を介して入力された情報を用いて、前記運用情報を更新する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の飛行場の運用支援システム。
【請求項3】
前記画面は前記現場員が利用する端末装置と前記運用員が利用する端末装置とで共有されることを特徴とする、請求項に記載の飛行場の運用支援システム。
【請求項4】
前記端末装置の位置情報を取得する取得手段を備え、
前記位置情報は前記端末装置のGPS(Global Positioning System)機能によって取得される情報であり、
前記端末装置には、前記位置情報に基づいて、現場員が注意すべき注意情報が表示されることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の飛行場の運用支援システム。
【請求項5】
前記運用情報には、飛行場における鳥獣に関する鳥獣情報が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の飛行場の運用支援システム。
【請求項6】
前記端末装置にて撮影された鳥獣に関する画像を用いて分析を行う分析手段を備え、
前記更新手段は、前記分析手段により分析された前記鳥獣に関する分析情報を用いて、前記運用情報を更新することを特徴とする、請求項に記載の飛行場の運用支援システム。
【請求項7】
前記端末装置には、バードストライクに対応するための業務内容が表示されることを特徴とする、請求項に記載の飛行場の運用支援システム。
【請求項8】
前記端末装置にて撮影された対象物の距離および/または面積を測定する測定手段を備え、
前記更新手段は、前記測定手段により測定された測定情報を用いて、前記運用情報を更新することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の飛行場の運用支援システム。
【請求項9】
飛行場の運用支援に用いられるコンピュータに、
飛行場の運用業務のうち現場の業務に従事する現場員が行う業務のマニュアルを含む運用情報を記憶する記憶機能と、
現場員が利用する端末装置から取得した情報を用いて、前記運用情報を更新する更新機能と、
現場員が利用する一の端末装置と、前記飛行場の管理的な業務に従事する運用員が利用する他の端末装置と、の間で、前記運用情報を共有可能にする共有機能と、
前記運用情報に基づき前記現場員が利用する端末装置に表示させる画面を生成する表示制御機能と、
を実現させ、
前記画面には、前記業務のマニュアルに基づくチェックリストを構成する複数の項目と、前記複数の項目それぞれに対して業務内容の確認の有無を前記現場員が入力する入力ボタンと、前記複数の項目それぞれに対して業務内容の確認を前記現場員に対して要請する確認要請ボタンと、が含まれ、
前記現場員に対する確認の要請は前記運用員による前記運用員が利用する端末装置を介した所定の操作に基づき行われる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行場の運用支援システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、飛行場において用いられるシステムとして、撮像手段からの出力信号を一画面毎の画像として読み出し、物体の進入又は退出検知に使用する物体検知システムにおいて、入力画像と基準画像との差分画像から差分画像中に所定の物体検知が予想される領域の差分画像を抽出し、領域の差分画像から一定値以上となる濃度検出が結果として得られる場合、物体の進入又は退出を検知し、複数の領域で同時に物体の進入又は退出を検出した場合、基準画像を更新する物体検知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3398510号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば飛行場における運用業務は、これまで数十年あまり大きな進化がなく、人的な努力によって時代の変化に追従している。しかしながら、近年は、例えば空港民営化や労働力不足などが背景にあり、飛行場(エアサイド:航空機が運航される制限区域内を指す)の運用業務を行う従事者の間での情報の迅速で効率的な伝達やノウハウ伝承が難しくなっている。
そこで、本発明は、飛行場における運用業務を行う上で必要な情報を提供可能なシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明は、飛行場の運用業務に関わる運用情報を記憶する記憶手段と、飛行場の運用業務に従事する従事者が利用する端末装置から取得した情報を用いて、前記運用情報を更新する更新手段と、一の従事者が利用する一の端末装置と、他の従事者が利用する他の端末装置との間で、前記運用情報を共有可能にする共有手段と、を備えることを特徴とする、飛行場の運用支援システムである。
ここで、前記記憶手段は、前記運用情報として従事者が行う業務内容を記憶し、前記端末装置には、前記業務内容を示す複数の項目が表示される。
また、前記更新手段は、前記項目に対する従事者の確認に関する確認情報を用いて、前記運用情報を更新する。
また、前記端末装置には、前記項目に対する従事者による確認を要請する要請情報が表示される。
また、前記端末装置の位置情報を取得する取得手段を備え、前記端末装置には、前記位置情報に基づいて、従事者が注意すべき注意情報が表示される。
また、前記運用情報には、飛行場における鳥獣に関する鳥獣情報が含まれる。
また、前記端末装置にて撮影された鳥獣に関する画像を用いて分析を行う分析手段を備え、前記更新手段は、前記分析手段により分析された前記鳥獣に関する分析情報を用いて、前記運用情報を更新する。
また、前記端末装置には、バードストライクに対応するための業務内容が表示される。
また、前記端末装置にて撮影された対象物の距離および/または面積を測定する測定手段を備え、前記更新手段は、前記測定手段により測定された測定情報を用いて、前記運用情報を更新する。
そして、かかる目的のもと、本発明は、飛行場の運用支援に用いられるコンピュータに、飛行場の運用業務に関わる運用情報を記憶する機能と、飛行場の運用業務に従事する従事者が利用する端末装置から取得した情報を用いて、前記運用情報を更新する機能と、一の従事者が利用する一の端末装置と、他の従事者が利用する他の端末装置との間で、前記運用情報を共有可能にする機能と、を実現するプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、飛行場における運用業務を行う上で必要な情報を提供可能なシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の飛行場の運用支援システムの概略図である。
図2】本実施形態の管理サーバ装置の機能ブロック図である。
図3】運用支援システムによって実現される複数の機能の概要図である。
図4】SOP機能で用いられるチェックリストの一例を示す図である。
図5】ハザード管理機能で用いられるアラート画面の一例を示す図である。
図6】鳥獣発見記録機能で用いられる報告画面の一例を示す図である。
図7】バードストライク機能で用いられる対応画面の一例を示す図である。
図8】本実施形態の管理サーバ装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の飛行場の運用支援システム1の概略図である。
【0010】
〔飛行場の運用支援システム1〕
図1に示すように、本実施形態の飛行場の運用支援システム1は、運用員が利用する運用端末装置10と、事務員が利用する事務端末装置20と、現場員が利用する現場端末装置30と、飛行場の運用業務に関わる運用情報を管理する管理サーバ装置40と、を備える。そして、飛行場の運用支援システム1において、運用端末装置10、事務端末装置20、現場端末装置30および管理サーバ装置40は、ネットワークを介して相互に情報通信が可能になっている。
【0011】
なお、運用端末装置10、事務端末装置20、現場端末装置30および管理サーバ装置40の各々の台数は、本実施形態の例に限定されず、それぞれ複数台以上であっても良い。
また、本実施形態の説明において、運用端末装置10、事務端末装置20および現場端末装置30を区別しない場合には、単に「端末装置」と称する。
【0012】
また、ネットワークは、各装置の間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、あるいはローカル5G(第5世代移動通信システム)等として良い。データ通信に用いられる通信回線は、例えば有線や無線を用いることができる。また、各装置は、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して接続されても良い。ただし、本実施形態の運用支援システム1は、飛行場の運用業務という特別なセキュリティ確保が求められるものであるため、ネットワークの外部から内部の情報にアクセスできないようになっている。
【0013】
そして、本実施形態の運用支援システム1は、空港などの飛行場において、法律や規則などの専門知識、実務経験者により蓄積されたノウハウ、滑走路などの飛行場面である現場から集められた現場情報など、飛行場の運用業務に関わる運用情報を電子化して管理サーバ装置40に蓄積する。また、管理サーバ装置40に蓄積される運用情報は、飛行場の運用業務に従事する従事者が利用する運用端末装置10、事務端末装置20および現場端末装置30によって随時、更新される。そして、本実施形態の運用支援システム1において、従事者は、各々が利用する運用端末装置10、事務端末装置20および現場端末装置30によって、管理サーバ装置40に蓄積された運用情報を相互に共有する。
【0014】
このように、本実施形態の運用支援システム1では、管理サーバ装置40に蓄積された運用情報を、各従事者が共有して活用することで、飛行場の運用業務のレベルを向上させ、飛行場の安全、安心かつ効率的な運用を実現する。
以下、このような運用支援システム1について、詳細に説明する。
【0015】
ここで、本実施形態の説明において、従事者は、運用員、事務員および現場員を例示することができる。運用員は、例えば飛行場の管理的な業務に主に従事する者である。事務員は、例えば工事調整、認可処理、契約、経理など各種の事務的な業務に主に従事する者である。現場員は、例えば滑走路や誘導路など飛行場面や飛行場の設備などの整備に主に従事する者である。
【0016】
〔運用端末装置10〕
運用端末装置10は、運用員の居室である運用室に設置される固定端末機器を例示できる。なお、運用端末装置10は、例えばタブレット型端末などの携帯端末機器であっても良い。
【0017】
そして、運用端末装置10は、管理サーバ装置40から取得した運用情報に基づいて、運用員に対して各種の情報を表示する。例えば、運用端末装置10では、運用員によって、通常運用マニュアル(SOP:Standard Operation Procedure)やチェックリストなどが参照され、作業が順調に進んでいるかのチェックやミス防止に利用される。また、運用端末装置10では、運用員によって、イレギュラー事案が発生したときに、運用方法の検索等が行われる。また、運用端末装置10では、緊急事案が発生したときに、緊急運用マニュアル(COP:Contingency Operation Procedure)が参照され、飛行場の現場からの情報収集や現場への指示の際に利用される。
【0018】
また、運用端末装置10は、運用員によって入力された情報を、管理サーバ装置40に送信する。例えば、運用端末装置10は、運用員がチェックした事項や、現場員に対する指示などの情報を、管理サーバ装置40に送る。
【0019】
〔事務端末装置20〕
事務端末装置20は、事務員の居室である事務室に設置される固定端末機器を例示できる。なお、事務端末装置20は、例えばタブレット型端末などの携帯端末機器であっても良い。
そして、事務端末装置20は、管理サーバ装置40から取得した運用情報に基づいて、事務員に対して各種の情報を表示する。例えば、事務端末装置20では、事務員によって、通常運用マニュアルやチェックリストなどが参照される。また、事務端末装置20では、事務員によって、イレギュラー事案が発生したときに、運用方法の検索等が行われる。また、事務端末装置20は、緊急事案が発生したときに、飛行場の現場からの情報収集の際に利用される。
【0020】
また、事務端末装置20は、事務員によって入力された情報を、管理サーバ装置40に送信する。例えば、事務端末装置20は、通常運用マニュアル、緊急運用マニュアル、ノウハウ、各種データ等の入力や内容の更新を行う際に利用される。
【0021】
〔現場端末装置30〕
現場端末装置30には、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型端末などの携帯端末機器など、現場の従事者が持ち歩くことが可能な装置を用いることができる。
本実施形態の現場端末装置30は、タッチパネルが設けられており、画面に情報を表示したり、画面をユーザがタッチ操作することで画面に表示される画像に対する操作や指示を受け付けたりする機能を有する。また、現場端末装置30は、音声の入力および音声の出力を行う機能を有する。
【0022】
また、現場端末装置30は、静止画や動画などの撮影を行ったり、例えば二次元コードなどの識別情報を読み取ったりすることが可能なカメラなどの撮影機能を備えている。また、現場端末装置30は、装置本体の位置を特定するGPS(Global Positioning System)機能を有する。
さらに、現場端末装置30は、モーションセンサによって装置本体の動きを特定する機能を有する。この場合、モーションセンサには、現場端末装置30の角速度(回転速度)を検出する3軸ジャイロセンサ、現場端末装置30の加速度を検出する3軸加速度センサ、および地磁気を検出して現場端末装置30の絶対方向を検出する3軸地磁気センサを用いることを例示できる。
【0023】
そして、現場端末装置30は、管理サーバ装置40から取得した運用情報に基づいて、現場員に対して各種の情報を表示する。例えば、現場端末装置30では、現場員によって、通常運用マニュアルやチェックリストなどが参照される。また、現場端末装置30では、現場員によって、イレギュラー事案が発生したときに、運用方法の検索等が行われる。また、現場端末装置30は、緊急事案が発生したときに、飛行場の現場からの情報収集の際に利用される。
【0024】
また、現場端末装置30は、現場員によって入力された情報を、管理サーバ装置40に送信する。例えば、現場端末装置30は、現場である飛行場面等におけるFOD(Foreign Object Debris)に関する情報や、バードストライクに関する情報を、運用室に報告したりデータベースとして記録したりするために、管理サーバ装置40に送信する。
【0025】
〔管理サーバ装置40〕
図2は、本実施形態の管理サーバ装置40の機能ブロック図である。
【0026】
図2に示すように、管理サーバ装置40は、各種の情報を記憶する記憶部41と、従事者のアクセスに関わる管理を行うユーザ管理部42と、端末装置に情報を表示させる表示制御部43と、を備える。さらに、管理サーバ装置40は、記憶部41が記憶する情報を更新する更新部44と、予め定められた処理を行う処理部45と、複数の端末装置を介した通話を管理する通話管理部46と、を備える。
【0027】
記憶部41は、飛行場の運用業務に関わる情報である運用情報を記憶する。運用情報には、通常時の運用業務をマニュアル化した通常運用マニュアル(SOP)と、緊急時の運用業務をマニュアル化した緊急運用マニュアル(COP)とが含まれる。また、運用情報には、運航中の航空機と鳥が衝突することによる発生する障害であるバードストライクに関する情報であるバードストライク情報と、鳥獣の発見に関する情報である鳥獣発見情報と、FODに関する情報であるFOD情報とが含まれる。さらに、運用情報には、イレギュラー事案が発生した際の情報をまとめたノウハウ情報と、事故の事例や事故の一歩手前の事例に関する情報であるヒヤリハット情報と、事故やトラブルの発生地点に関する情報であるハザード情報とが含まれる。
【0028】
ユーザ管理部42は、本システムを利用する従事者のアカウント情報を管理する。ここで、本実施形態の運用支援システム1では、従事者が本システムを利用する際、端末装置を介してログイン認証を行う。ログイン認証では、予め設定されたアカウント情報であるユーザ情報およびパスワード情報を用いて認証が行われる。従事者は、ログイン認証に成功することで、本システムにログインした状態となり、例えば記憶部41に記憶される運用情報を利用可能になる。
【0029】
表示制御部43は、記憶部41が記憶する運用情報に基づいて、各端末装置に所定の情報を表示する。そして、表示制御部43は、複数の端末装置に運用情報を表示させることで、運用情報を従事者同士で共有させる。
さらに、表示制御部43は、端末装置を介して従事者から情報を取得する際に、端末装置に所定の画像を表示させる。
また、表示制御部43は、所定の条件を満たした場合に、端末装置に画像を表示させて、従事者に対して通知や指示を行う。例えば、表示制御部43は、端末装置から位置情報を取得し、取得した情報に基づいて予め定められた画像を端末装置に表示させる。
なお、表示制御部43は、ユーザ管理部42が管理するアカウント情報に基づいて、端末装置に運用情報を送信する。
【0030】
更新部44は、各端末装置から情報を取得する。そして、更新部44は、端末装置から取得した情報を用いて、記憶部41に情報を新たに記憶したり、記憶部41が記憶する情報を変更したりすることで、記憶部41の運用情報を更新する。
なお、更新部44は、アカウント情報に基づき、端末装置から取得した情報が、どの従事者から、いつ取得したものであるかという情報も含めて、記憶部41に記憶させる。
【0031】
処理部45は、端末装置から取得した情報や指示に基づいて、予め定められた処理を行う。そして、処理部45は、処理を行った情報を、表示制御部43を介して端末装置に表示させたり、記憶部41に記憶させたりする。例えば、処理部45は、端末装置にて撮影された撮影画像を分析処理する。そして、処理部45は、分析結果を、表示制御部43を介して端末装置に表示させたり、記憶部41に記憶させたりする。
【0032】
通話管理部46は、端末装置が有する通信インターフェースを用いて、複数の端末装置間での通話を実現する。例えば、通話管理部46は、運用端末装置10と現場端末装置30との間で相互の通信を確立し、運用員と現場員との通話を実現する。また、通話管理部46は、複数の現場端末装置30との間で相互の通信を確立し、現場員同士の通話を実現する。本実施形態の通話管理部46は、通話を行う際、音声のみならず、動画を含むビデオ通話を実現することができる。
【0033】
以上のように構成される管理サーバ装置40は、飛行場の運用業務に関わる運用情報を記憶するとともに、飛行場の運用業務に従事する従事者が利用する各端末装置から取得した情報を用いて、運用情報を更新する。そして、管理サーバ装置40は、例えば現場員が利用する現場端末装置30と、例えば運用員が利用する運用端末装置10との間で、運用情報を共有させる。
【0034】
続いて、本実施形態の運用支援システム1によって実現される機能の例について具体的に説明する。
図3は、運用支援システム1によって実現される複数の機能の概要図である。
【0035】
図3に示すように、運用支援システム1では、運用端末装置10、事務端末装置20、現場端末装置30および管理サーバ装置40によって、運用支援に関する複数の機能を実現する。
【0036】
(SOP機能)
SOP機能は、飛行場において事故やイレギュラーな事象が発生していない通常時に参照される通常運用マニュアルを端末装置に表示させる機能である。
通常運用マニュアルは、航空法、空港法、航空保安管理規定、空港運用業務指針、空港会社の運営方針および空港運用要領などの各種の法律や規則等に基づいて作成される。
そして、通常運用マニュアルは、事務員、運用員および現場員ごとにそれぞれ準備される。さらに、通常運用マニュアルは、各従事者が行う作業の内容に応じて、作業内容ごとにそれぞれ準備される。ただし、通常運用マニュアルは、事務員、運用員および現場員によって共通して用いられるものもある。
【0037】
(COP機能)
COP機能は、飛行場において航空機事故や巨大地震、津波などの緊急事態が発生したときに参照される緊急運用マニュアルを端末装置に表示させる機能である。
そして、緊急運用マニュアルは、事務員、運用員および現場員ごとにそれぞれ準備される。さらに、緊急運用マニュアルは、各従事者が行う作業の内容に応じて、作業内容ごとにそれぞれ準備される。ただし、緊急運用マニュアルは、事務員、運用員および現場員によって共通して用いられるものもある。
【0038】
緊急運用マニュアルは、例えば、航空機事故が発生した場合に対応すべき事項のチェック項目として、以下のような項目を含む。
例えば、運用員のリーダが確認するチェック項目としては、(1)空港会社幹部への第一報、(2)運用員の分担決定、(3)職員を非常招集するかの判断、(4)危機管理室立ち上げの準備、などを例示できる。
また、例えば、運用員が確認するチェック項目としては、(1)関連機関ヘの第一報、(2)事故機の特定、(3)事故現場対応班の現場急行、(4)監視カメラでの事故機の録画、(5)事務員等の応援依頼、(6)滑走路などを閉鎖するか否かの判断、(7)消防出動の確認、(8)管制官との対応の調整および航空会社等への通知、(9)事故現場付近のマップを準備および事故機の場所の特定、などを例示できる。
【0039】
(ノウハウ機能)
ノウハウ機能は、イレギュラー事案が発生した際、そのノウハウ情報を管理サーバ装置40に蓄積する。そして、ノウハウ機能では、端末装置によって、ノウハウ情報を検索したり、参照したりすることを可能にする。
例えば、現場員が複数のチームによって構成され、輪番勤務しているような場合に、あるチームが対応した事案は、そのチームだけの経験となる。このような場合、他のチームには、その経験で得られたノウハウが共有されない。また、このような場合には、データを後日検証したり、事案発生の原因等を分析したりすることも難しくなる。
【0040】
そこで、ノウハウ機能では、イレギュラー事案の内容を、端末装置を介して管理サーバ装置40にノウハウ情報として蓄積する。ノウハウ情報は、航空機のスポットのアサインメントチャート、写真画像、監視カメラの撮影データ、作業車に搭載されたドライブレコーダ、情報総括表を例示できる。
【0041】
(ケーススタディ機能)
ケーススタディ機能は、イレギュラー事案が発生した際の対応記録や改善策等を管理サーバ装置40に蓄積する。そして、ケーススタディ機能では、端末装置によって、対応記録や改善策等を検索したり、参照したりすることを可能にする。
イレギュラー事案の対応記録や改善策の情報は、例えば従事者が作成したイレギュラー事案の報告書を例示できる。
【0042】
(ヒヤリハット機能)
ヒヤリハット機能は、事故が発生する一歩手前であったヒヤリハット情報を管理サーバ装置40に蓄積する。そして、ヒヤリハット機能では、端末装置によって、ヒヤリハット情報を検索したり、参照したりすることを可能にする。
ヒヤリハット機能では、端末装置にて、飛行場のマップ上にヒヤリハットの事案が発生した地点を明示する。また、ヒヤリハット機能では、マップにおけるヒヤリハットの事案が発生した地点をクリックすることで、ヒヤリハットの詳細な内容を表示する。これによって、ヒヤリハット機能では、いつ、どこでヒヤリハットが発生したのかを、従事者が容易に把握することができる。
ヒヤリハット事案の情報は、撮影画像や報告書等を例示することができる。また、飛行場のマップでは、レイヤー表示等による重畳表示によって、複数のヒヤリハット情報を、月間や年間でまとめて表示しても良い。
【0043】
(ハザード管理機能)
ハザード管理機能は、実際に発生した事故の情報を管理サーバ装置40に蓄積する。そして、ハザード管理機能では、端末装置によって、事故を検索したり、参照したりすることを可能にする。
ハザード管理機能は、ヒヤリハット機能と同様に、端末装置にて、飛行場のマップ上に事故が発生した地点を明示する。また、ハザード管理機能は、マップにおける事故の場所をクリックすることで、事故の詳細な内容を表示する。これによって、ハザード管理機能では、いつ、どこで事故が発生したのかを、従事者が容易に把握することができる。
【0044】
また、ヒヤリハット機能およびハザード管理機能は、例えば現場員が現場端末装置30を携行しながら、飛行場を移動している際に、現場端末装置30の位置情報に基づいて、アラート(注意情報の一例)を行うことができる。
【0045】
(バードストライク機能)
バードストライク機能は、バードストライクの情報を管理サーバ装置40に蓄積する。そして、バードストライク機能では、端末装置によって、バードストライクの情報を検索したり、参照したりすることを可能にする。
【0046】
バードストライク機能では、鳥の落下地点の情報、バードストライクが発生した地点の位置情報、バードストライクを起こした鳥の種類の情報、航空機の機体のどこに衝突したのかという衝突情報などを管理サーバ装置40に記憶する。
バードストライク機能では、端末装置に、飛行場および飛行場の周辺まで含めたマップを表示する。そして、バードストライク機能では、端末装置に表示されるマップ上にて、どの地点にて、どのような内容のバードストライクが発生したのかという内容の記録を受け付ける。バードストライクの情報は、撮影画像や報告書等を例示することができる。
【0047】
そして、バードストライク機能では、端末装置に表示されるマップおける画像レイヤーによる重畳表示によって、複数のバードストライクの発生状況を、月間や年間でまとめて表示することができる。蓄積されたバードストライクの情報は、その内容を分析することで、飛行場におけるバードストライク対策の策定に利用することができる。
【0048】
(鳥獣発見記録機能)
鳥獣発見記録機能は、飛行場や飛行場の周辺にて発見した鳥獣の情報を管理サーバ装置40に蓄積する。そして、鳥獣発見記録機能では、端末装置によって、鳥獣発見に関する情報を検索したり、参照したりすることを可能にする。
【0049】
航空機の離発着の際に有害な鳥獣が、飛行場や飛行場の周辺におけるどの場所で、いつ出現しているのかということを把握できないと、バードストライク予防のための根本的対策をとることが難しい。
そこで、鳥獣発見記録機能では、鳥獣がどのようなルートで飛んでいるか、どの場所で滞留しているのか、鳥獣の群れがどの方向に向かうために滑走路付近を通過するのか、滑走路付近のどの辺で餌を取っているのか、就寝している場所はどこなのか、といった鳥獣の生態情報を管理サーバ装置40に記録する。
【0050】
そして、鳥獣発見記録機能では、例えば、端末装置に表示されるマップ上に、鳥獣の生態情報を表示することができる。鳥獣発見記録機能によって、その内容を分析することで、鳥獣の餌となるものを除去したり、鳥獣が隠れる樹木や草を除去したりする等の対処が可能となる。
【0051】
(FOD管理機能)
FOD管理機能は、FOD(Foreign Object Debris)の情報を管理サーバ装置40に蓄積する。そして、FOD管理機能では、端末装置によって、FODの情報を検索したり、参照したりすることを可能にする。
【0052】
例えば飛行場面にて作業する作業者がFODを発見した場合は、報告を受けた現場員が現場へ行って回収等を行う。その後、現場員は、FODが航空機の部品かそれ以外かを判断し、関係者に照会を行い、所有者を特定してFODを発生させた経緯を調査する。
そして、FOD管理機能では、FODを発見した場合に、そのFODの記録と報告とを管理サーバ装置40に蓄積する。具体的には、管理サーバ装置40は、端末装置を介して、FODの属性を記入するためのフォームに対する入力と、マップにおけるFODの発見場所に関する入力とを受け付ける。
【0053】
そして、FOD管理機能では、FODに関する複数の情報を、月間や年間の単位で蓄積する。FOD管理機能によって、蓄積したFODに関する情報を分析することで、再発防止策の策定に用いることができる。
【0054】
(面積測定機能)
面積測定機能は、現場端末装置30にて撮影した対象領域の画像に基づき、対象領域の面積を測定する機能である。
例えば、航空機からオイルが漏洩し、エプロン等にオイルが溜まる場合がある。このような事例が発生した場合には、防火作業の実施の有無を判断するために、エプロン等に溜まっているオイルの面積を図る必要がある。
【0055】
面積測定機能では、現場端末装置30を用いて、溜まっているオイルを撮影することで、オイル溜まりの面積を測定する。そして、面積測定機能では、現場端末装置30が、オイルの面積情報に、オイル溜まりが確認された日時の情報やオイル溜まりが確認された場所の情報を関連付けて、管理サーバ装置40に送信する。
【0056】
そして、面積測定機能において、管理サーバ装置40から取得したオイルに関する情報は、オイル溜まりの処理や消防に関する対応を執る際に利用される。
【0057】
(制限表面機能)
制限表面機能は、現場端末装置30にて撮影した建造物などの対象物の画像に基づき、対象物の高さ(距離の一例)を特定する機能である。そして、制限表面機能は、特定した対象物の高さが、制限表面として定められる高さよりも低いか否かを判定し、判定結果を表示する機能である。
ここで、航空法は、進入表面や水平表面などの制限表面の上に出る高さの建造物、植物その他の物件を設置し、植栽し、又は留置してはならないと規定する。また、制限表面は、飛行場ごとに定められる。そして、本実施形態の管理サーバ装置40では、対象となる飛行場の制限表面に関する情報を記憶している。
【0058】
例えば、航空機が移動不能となって誘導路上にある場合には、その航空機が制限表面に抵触するか否かの判定を行う必要が生じる。このような場合、制限表面機能では、対象物である航空機の付近にて、現場端末装置30を用いて航空機の撮影を行い、制限表面に抵触するか否かの結果を得ることができる。
具体的に、制限表面機能では、現場端末装置30の位置情報に基づいて、対象物の位置を特定する。そして、制限表面機能では、予め準備している制限表面と位置との関係が記されたマップから、対象物の位置における制限表面の情報を特定する。
さらに、制限表面機能では、現場端末装置30が測定する現場端末装置30から対象物までの距離と、現場端末装置30が測定した対象物の最も高い位置に対する仰角とに基づいて、対象物の高さを特定する。
【0059】
そして、制限表面機能では、例えば管理サーバ装置40が、対象物の高さと、制限表面とを比較する。管理サーバ装置40は、比較結果を、現場端末装置30に送信する。このように、制限表面機能では、対象物の高さが、制限表面に抵触するか否かを、飛行場である現場にて判断できる。
【0060】
(テレビ電話機能)
テレビ電話機能は、複数の端末装置の間で、映像を共有しながら通話する機能である。
例えば、制限区域内でトラブルや異常個所を発見した場合には、現場にいる現場員だけで判断することが難しい場合がある。このような場合は、運用員や事務員との間で、現場の映像を共有することで、判断が容易に行えることがある。
【0061】
そこで、テレビ電話機能では、端末装置のカメラ機能と通話機能とによって、複数の従事者同士の映像を用いた通話を実現する。
また、本実施形態のテレビ電話機能では、従事者の間で交わされた音声および映像を、管理サーバ装置40に記憶する。管理サーバ装置40に記憶された音声および映像は、その後、端末装置にて参照することができる。また、管理サーバ装置40に記憶された音声および映像は、上述した他の機能においても、利用することができる。
【0062】
(緊急通報機能)
緊急通報機能は、事故発生など緊急時の状況報告を迅速に行うための機能である。
緊急通報機能では、想定される事案に対応して、メールや電話の連絡先を予め設定している。そして、実際に事案が発生した場合には、事案に応じて、連絡を行うべき連絡先が端末装置に表示される。従事者は、端末装置に表示される連絡先を選択するだけで、即座に連絡をとることができる。なお、端末装置において連絡先を示す画面では、連絡が完了した連絡先と、未だ連絡を行っていない連絡先とが異なる態様で表示される。
【0063】
また、緊急通報機能では、現場で撮影した写真や映像を送信する際に、その状況説明に関する報告文が予め準備されている。例えば、現場員は、現場端末装置30に一覧として表示される複数の説明文から適切な説明文を選択したり、予め作成されたフォーマットに従って説明文を作成したりする。そして、緊急通報機能では、説明文と共に、写真や映像が送信先に送信される。
このように、緊急通報機能では、例えば現場からの報告を行う際の手間を極力減らすことで、迅速な報告を行えるようにしている。
【0064】
さらに、緊急通報機能では、写真や映像などの情報を送信する場合に、現場端末装置30の位置情報が関連付けられる。これによって、例えば情報を受信した運用員の運用端末装置10では、マップ上に、写真や映像が撮影された位置が表示される。
【0065】
続いて、運用支援システム1により実現される機能のうち、「SOP機能」、「鳥獣発見記録機能」、「バードストライク機能」について、より具体的に説明する。
【0066】
図4は、SOP機能で用いられるチェックリスト50の一例を示す図である。
【0067】
SOP機能では、通常運用マニュアルを構成するチェックリスト50が用いられる。図4に示すチェックリスト50は、通常時において現場員が滑走路などの飛行場面の点検を行う際に、現場端末装置30に表示されるものである。チェックリスト50には、現場員が行うべき業務内容について複数の項目が表示される。そして、チェックリスト50は、現場員によって参照される。また、チェックリスト50は、運用端末装置10を介して、運用員によっても同時に共有される。
【0068】
図4に示すように、チェックリスト50は、日時情報51、従事者情報52、イベント情報53、事前準備欄54、直前点検欄55、点検中欄56、異常発見欄57および終了欄58を有する。
【0069】
日時情報51は、点検が実施された日時の情報を示す。なお、日時情報51は、従事者による手入力ではなく、チェックリスト50が利用された日時に基づいて現場端末装置30が自動的に入力するようにしても良い。
従事者情報52は、点検を実施する現場員の情報を示す。なお、従事者情報52は、従事者が本システムにログインを行った際のクライアント情報に基づいて入力されるようにしても良い。
【0070】
イベント情報53は、飛行場において実施される業務の予定を表示する。イベント情報53が表示されることで、現場員は、例えば別の現場員が行う業務の時間や業務の内容を把握することができる。
【0071】
事前準備欄54は、点検業務の開始前に、現場員が準備すべき業務内容を表示する。事前準備欄54に表示される項目としては、例えば、現場員が携行すべき物の確認、作業内容の確認などを例示できる。
【0072】
直前点検欄55は、点検業務を開始するときに、現場員が点検すべき業務内容を表示する。直前点検欄55に表示される項目としては、例えば、作業車両に関する点検、マップを用いた作業地点の確認などを例示できる。
【0073】
点検中欄56は、点検業務を行っているときに、現場員が点検すべき業務内容を表示する。点検中欄56に表示される項目としては、例えば、業務中の現場員の行動、現場員が確認すべき事項を例示できる。
【0074】
異常発見欄57は、飛行場面などの現場にて異常が発見されたときに、現場員が実施すべき業務内容を表示する。異常発見欄57に表示される項目としては、例えば、FODや落鳥の発見に関する報告指示や作業内容を例示できる。
【0075】
終了欄58は、点検業務が終了したときに、現場員が点検すべき業務内容を表示する。終了欄58に表示される項目としては、例えば、作業車両に関する確認、飛行場面にて回収した回収物の取扱いなどを例示できる。
【0076】
さらに、図4に示すように、チェックリスト50には、各項目に対応して、必須確認ボタン61、確認ボタン62、必須確認要請ボタン63および確認要請ボタン64がそれぞれ表示される。必須確認ボタン61、確認ボタン62、必須確認要請ボタン63および確認要請ボタン64に対する操作や内容は、随時、管理サーバ装置40に送信され、更新される。
【0077】
必須確認ボタン61は、業務内容を示す項目の確認の有無を現場員が入力するためのボタンである。そして、必須確認ボタン61は、現場員が点検業務を行う場合に、現場員が必ず確認すべき項目であることを示す。本実施形態では、必須確認ボタン61は、「四角」のチェックボックスで表示され、後述の確認ボタン62とは異なる態様にて表示される。
必須確認ボタン61は、最初、現場員が未確認であることを示す「白い四角」のチェックボックスで表示される。そして、必須確認ボタン61は、現場員によってタップ操作などの所定操作が行われることで、現場員が確認したということを示す「黒い四角」のチェックボックスで表示される。
【0078】
確認ボタン62は、必須確認ボタン61と同様に、業務内容を示す項目の確認の有無を現場員が入力するためのボタンである。そして、確認ボタン62は、現場員が点検業務を行う場合に、必須ではないが、状況に応じて確認すべき項目であることを示す。本実施形態の確認ボタン62は、「三角」のチェックボックスで表示される。
【0079】
必須確認要請ボタン63は、現場員による項目の確認に対し、例えば運用端末装置10にてチェックリスト50を共有する運用員や現場員を統括する上長による確認の有無を入力するためのボタンである。従って、必須確認要請ボタン63は、現場員が現場端末装置30にて参照しているチェックリスト50からは操作できない。そして、必須確認要請ボタン63は、「菱形」のチェックボックスで表示され、後述の確認要請ボタン64とは異なる態様にて表示される。
必須確認要請ボタン63は、最初、運用員や上長が未確認であることを示す「白い菱形」のチェックボックスで表示される。そして、必須確認要請ボタン63は、運用員や上長によってクリック操作などの所定操作が行われることで、運用員や上長が確認が完了したことを示す「黒い菱型」のチェックボックスで表示される。
【0080】
さらに、必須確認要請ボタン63は、運用員や上長による所定操作に応じて、チェックリスト50において点滅表示する。この必須確認要請ボタン63の点滅は、運用員や上場が、現場の現場員に対して項目の確認を要請するものである。例えば、運用員や上長がチェックリスト50を参照したときに、現場員によって確認が完了されるべき項目の確認が未完了である場合に、運用員や上長は、必須確認要請ボタン63を点滅させる。これによって、チェックリスト50では、現場員に対して、必須確認要請ボタン63が点滅している項目の確認を促す。
【0081】
確認要請ボタン64は、必須確認要請ボタン63と同様に、現場員による項目の確認に対し、さらに運用員や上長が確認の有無を入力するためのボタンである。確認要請ボタン64は、現場員が必須とする確認の項目ではない確認ボタン62に対応している。そして、本実施形態では、確認要請ボタン64は、「三角」のチェックボックスで表示される。この確認要請ボタン64は、運用員や上長の確認が未完了の場合には「白い三角」で表示され、確認が完了すると「黒い三角」で表示される。
【0082】
以上のように、本実施形態の運用支援システム1では、例えば現場端末装置30から取得した情報を用いてチェックリスト50の情報が更新される。また、チェックリスト50は、現場端末装置30と運用端末装置10との間で共有されることで、現場員と運用員との間で情報が共有される。
【0083】
次に、本実施形態の運用支援システム1におけるハザード管理機能の一例を説明する。
図5は、ハザード管理機能で用いられるアラート画面70の一例を示す図である。
【0084】
図4を参照しながら説明したように、例えば現場員が、現場端末装置30を利用してチェックリスト50を参照しながら、滑走路などの飛行場面の点検を行っている際に、予め定められた場所に進入する場合がある。このような場合、管理サーバ装置40は、現場端末装置30が予め定められた場所に位置していることに基づいて、その場所にて注意すべき事項を警告する。
【0085】
図5に示すように、現場端末装置30が飛行場内における所定の場所に位置すると、ポップアップによって、アラート画面70が表示される。この例では、アラート画面70は、アラート画面70が表示される前に現場端末装置30にて表示されていたチェックリスト50に重畳して表示される。すなわち、アラート画面70は、チェックリスト50よりも上位の画像レイヤーに表示される。これによって、現場員は、アラート画面70に気づきやすくなる。
【0086】
アラート画面70には、アラートメッセージ71、確認ボタン72および詳細表示ボタン73が表示される。なお、本実施形態では、アラート画面70が表示されるときに、現場端末装置30が振動するとともに、現場端末装置30から所定の効果音が出力される。
【0087】
アラートメッセージ71は、注意喚起する内容を、テキストメッセージにより表示する。図5に示す例では、アラートメッセージ71は、「現在、〇〇の付近にいます。〇〇事故が発生する可能性が高いです。周囲に注意して業務を進めてください。」といったように、注意すべき場所の情報、対象の場所における事故やトラブルの内容、注意を促す文を表示する。
【0088】
確認ボタン72は、アラートメッセージ71を現場員が確認したことを受け付けるためのボタンである。そして、本実施形態では、確認ボタン72が押下されない限り、アラート画面70が非表示にならないようになっている。
【0089】
詳細表示ボタン73は、注意喚起する内容について、アラートメッセージ71よりも詳細な内容を表示することを受け付けるボタンである。詳細表示ボタン73は、押下されると、例えばマップにて事故が発生した箇所を明示したり、事故の内容について詳細を記した画面を表示したりする。
【0090】
なお、上述した例では、ハザード管理機能に基づく事故に関するアラートの表示について説明したが、ヒヤリハット機能についても同様に行うことができる。
以上のように、本実施形態の運用支援システム1は、新たな事故やトラブルが発生を、未然に防ぐことができる。
【0091】
図6は、鳥獣発見記録機能で用いられる報告画面80の一例を示す図である。
【0092】
鳥獣発見記録機能では、現場員が鳥獣の発見した場合に、鳥獣の生態を報告するための報告画面80を現場端末装置30に表示する。なお、作成された報告画面80は、管理サーバ装置40に送信される。
【0093】
図6に示すように、報告画面80は、日時情報81、位置情報82、従事者情報83、撮影枠84、撮影ガイド85、撮影ボタン86、種類特定ボタン87および数特定ボタン88を有する。
【0094】
日時情報81は、鳥獣が発見された日時の情報を表示する。なお、日時情報81は、従事者による手入力ではなく、報告画面80の作成が行われた日時に基づいて現場端末装置30が自動的に入力するようにしても良い。
【0095】
位置情報82は、後述する写真撮影が行われた場所の位置情報を表示する。なお、位置情報82は、従事者による手入力ではなく、写真撮影が行われたときのGPS情報に基づいて現場端末装置30が自動的に入力するようにしても良い。
【0096】
従事者情報83は、点検を実施する現場員の情報を表示する。なお、従事者情報83は、従事者が本システムにログインを行った際のクライアント情報に基づいて入力されるようにしても良い。
【0097】
撮影枠84は、撮影された鳥獣の画像が表示される領域である。鳥獣の撮影が行われると、その写真画像が撮影枠84に表示される。これによって、現場員は、管理サーバ装置40に送信される画像の内容を確認することができる。
【0098】
撮影ガイド85は、鳥獣の撮影を行う際に、現場員に対する指示や案内を表示する。図6に示す例では、撮影ガイド85は、「鳥の群れ全体を撮影してください」といったように、撮影すべき画像の内容を具体的に指示する。
【0099】
撮影ボタン86は、写真撮影におけるシャッターに相当するボタンである。撮影ボタン86は、押下されることで実際に撮影が行われる。
【0100】
種類特定ボタン87は、撮影枠84に表示されている鳥獣の画像に基づいて、画像に写る鳥獣の種類を特定するためのボタンである。本実施形態の運用支援システム1では、撮影された鳥獣の画像は、管理サーバ装置40によって分析され、鳥獣の種類が特定される。そして、種類特定ボタン87が押下されると、現場端末装置30には、特定された鳥獣の種類が表示される。
【0101】
このように、本実施形態では、現場端末装置30にて撮影された鳥獣の画像に基づいて、鳥獣の種類が特定され、現場端末装置30に表示される。これによって、現場員は、現場端末装置30にて、現場で撮影した鳥獣の種類を確認することができる。
【0102】
数特定ボタン88は、撮影枠84に表示されている鳥獣の画像に基づいて、画像に写る鳥獣の数を特定するためのボタンである。本実施形態の運用支援システム1では、撮影された鳥獣の画像は、管理サーバ装置40によって分析され、画像に写る鳥獣の数が特定される。そして、数特定ボタン88が押下されると、現場端末装置30には、特定された鳥獣の数が表示される。
【0103】
なお、本実施形態において、鳥獣の画像の分析によって得られた鳥獣の種類や鳥獣の数の情報は、報告画面80に入力された他の情報に関連付けられて管理サーバ装置40に記憶される。
【0104】
このように、本実施形態では、現場端末装置30にて撮影された鳥獣の画像に基づいて、鳥獣の数が特定され、現場端末装置30に表示される。これによって、現場員は、現場端末装置30にて、現場で撮影した鳥獣の数を確認することができる。
【0105】
ここで、例えば鳥には、骨格が比較的硬い種類や、骨格が比較的軟らかい種類がある。そして、バードストライクの観点においては、鳥の数も重要であるが、鳥の骨格の硬さも重要な要素である。例えば、骨格が比較的軟らかい鳥よりも、骨格が比較的硬い鳥の方が、航空機に与えるダメージが大きい。本実施形態では、発見された鳥の数のみならず、鳥の種類も特定できることで、鳥の数および鳥の種類の両方の情報を参考に、例えば現場員がバードストライクの危険性を判断し、飛行場の保安部などに連絡することができる。
【0106】
また、本実施形態の運用支援システム1では、現場端末装置30にて撮影された鳥の画像から特定された鳥の種類や鳥の数に応じて、予め定められた連絡先に、アラートを通知するようにしても良い。この場合、アラートを発する際の基準となる鳥の数は、鳥の種類に応じて異ならせても良い。
【0107】
なお、鳥獣発見記録機能において収集する情報は、上述した例に限定されない。例えば、鳥獣発見記録機能では、記録を行った日の気象情報や周辺で実施される工事やイベントなど、鳥獣の生態と組み合わせることで有意義な各種の情報を併せて記録するようにしても良い。
【0108】
図7は、バードストライク機能で用いられる対応画面90の一例を示す図である。
【0109】
バードストライク機能では、現場員がバードストライクの処理に対応する際に、対応画面90を現場端末装置30に表示する。なお、作成された対応画面90は、管理サーバ装置40に送信される。
【0110】
図7に示すように、対応画面90は、日時情報91、位置情報92、従事者情報93および対応ガイド94を有する。
【0111】
日時情報91は、鳥獣が発見された日時の情報を表示する。なお、日時情報91は、従事者による手入力ではなく、対応画面90の作成が行われた日時に基づいて現場端末装置30が自動的に入力するようにしても良い。
【0112】
位置情報92は、後述する写真撮影が行われた場所の位置情報を表示する。なお、位置情報92は、従事者による手入力ではなく、写真撮影が行われたときのGPS情報に基づいて現場端末装置30が自動的に入力するようにしても良い。
【0113】
従事者情報93は、点検を実施する現場員の情報を表示する。なお、従事者情報93は、従事者が本システムにログインを行った際のクライアント情報に基づいて入力されるようにしても良い。
【0114】
対応ガイド94は、現場員がバードストライクに対応する際に、現場員が行うべき業務内容を案内する表示である。
そして、対応ガイド94は、撮影項目941、連絡項目942、回収項目943および終了項目944を有する。
【0115】
撮影項目941は、例えば滑走路などの飛行場面に落ちている鳥の撮影を促す表示である。そして、撮影項目941に対して現場員がタップ操作など所定の操作を行うことで、鳥を撮影するための撮影画面に切り替わる。
【0116】
また、本実施形態では、鳥の撮影画面では、例えば互いに角度の異なる方向から鳥を撮影するという案内が表示される。例えば、案内は、90度以上の異なる3方向から撮影を行うことを指示する。このように撮影を行うことで、撮影された写真から鳥の場所を特定すること及び落鳥がバードストライクによるものか、鳥同志の争いによるものか等の判断が可能になる。さらに、撮影画面では、例えば誘導路に設置される誘導路番号標が含まれるように、鳥を撮影するという案内も表示される。このように、撮影画面では、現場員が鳥の撮影を行う際に参考になる案内情報が表示される。
【0117】
連絡項目942は、飛行場面に鳥が落ちていることを、保安部の職員や運用員などの連絡先に連絡することを促す表示である。そして、連絡項目942に対して現場員がタップ操作など所定の操作を行うことで、テレビ電話をするための通話画面に切り替わる。なお、テレビ電話の内容は、上述したテレビ電話機能について説明したとおりである。
【0118】
回収項目943は、飛行場面に落ちていた鳥の回収を促す表示である。そして、回収項目943に対して現場員がタップ操作など所定の操作を行うことで、鳥を回収する際に現場員が参照する参照画面に切り替わる。
参照画面には、鳥の回収の手順や、鳥を回収した後の誘導路などの飛行場面の清掃指示などが表示される。
【0119】
終了項目944は、一連の処理が完了し、作業を終了することを示す表示である。そして、終了項目944に対して現場員がタップ操作など所定の操作を行うことで、最終手順を示す手順画面に切り替わる。
手順画面では、作業が終了した場所を撮影する指示や、作業後の片づけに関する指示が表示される。特に、作業を終了した場所を撮影した撮影画像は、管理サーバ装置40にて分析され、飛行場面における鳥や鳥の血などの残留物の有無が判定される。そして、判定結果として、残留物が確認された場合、現場端末装置30に対してアラートが通知される。
【0120】
そして、図7に示すように、対応ガイド94における各項目には、チェックボックス95が表示される。チェックボックス95は、対応ガイド94の各項目が現場員によって操作され、各々の作業が完了することで、作業の完了を示す表示態様となる。一方、チェックボックス95は、現場員によって未確認の対応ガイド94の項目がある場合や、作業が未完了の項目がある場合に、作業が未完了であることを示す表示態様となる。
【0121】
以上のように、本実施形態では、現場員が飛行場面にて落鳥を確認した場合に、現場端末装置30に業務内容が表示されることで、現場員は、その内容に従って作業を行うことができる。
【0122】
なお、上述した例では、バードストライク機能についての現場員の業務内容の案内について説明したが、FOD管理機能についても同様に行うことができる。
また、例えば、鳥獣発見記録機能、バードストライク機能およびFOD管理機能など、飛行場である現場から収集される各種の事例を数多く蓄積することで、後日、ビッグデータ分析を行うことが可能になる。
【0123】
<各装置のハードウェア構成>
図8は、本実施形態の管理サーバ装置40のハードウェア構成例を示す図である。
【0124】
図8に示すように、管理サーバ装置40は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)101と、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムを記憶する記憶領域であるROM(Read Only Memory)102と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)103とを備える。また、管理サーバ装置40は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種プログラム、各種プログラムに対する入力データ、各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)104を備える。さらに、管理サーバ装置40は、外部との通信を行うための通信インターフェース(通信I/F)105を備える。
なお、管理サーバ装置40は、複数のCPUを有し、複数のCPUが協働して演算処理を行っても良い。
そして、ROM102やHDD104等に記憶されたプログラムが、RAM103に読み込まれてCPU101に実行されることにより、管理サーバ装置40の機能が実現される。
【0125】
なお、上記のハードウェア構成は、運用端末装置10、事務端末装置20および現場端末装置30についても同様である。
また、本実施形態の運用支援システム1を実現するプログラムは、各種の記録媒体に格納して提供することができる。また、運用支援システム1を実現するプログラムは、通信回線を介して提供することもできる。
【0126】
そして、本実施形態の運用支援システム1によって実現される機能のうち、管理サーバ装置40が実現する機能を、端末装置(運用端末装置10、事務端末装置20、現場端末装置30)によって実現しても良い。同様に、端末装置が実現する機能を、管理サーバ装置40が実現しても良い。また、本実施形態の運用支援システム1によって実現される機能は、複数の管理サーバ装置40や複数の端末装置によって実現しても良い。
【0127】
さらに、図3に示す運用支援システム1が実現する各機能は、それぞれ単独で機能することに限定されない。図3に示す各機能は、複数の機能を組み合わせても良い。
【0128】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。上述した実施形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0129】
1…運用支援システム、10…運用端末装置、20…事務端末装置、30…現場端末装置、40…管理サーバ装置、41…記憶部、42…ユーザ管理部、43…表示制御部、44…更新部、45…処理部、46…通話管理部、50…チェックリスト、70…アラート画面、80…報告画面、90…対応画面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8