(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ドアストッパー
(51)【国際特許分類】
E05C 17/44 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
E05C17/44
(21)【出願番号】P 2020211043
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000130639
【氏名又は名称】株式会社サヌキ
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(72)【発明者】
【氏名】柳原 彰
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-80217(JP,A)
【文献】特開2015-172322(JP,A)
【文献】特開平10-266671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 17/44-17/54
E05C 17/58
E05F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉のノブ近辺に配備され、ハンドルの上げ下げでハンドルに連繋するカムを介してロープが垂直線状に昇降する操作手段と、操作手段に対応して扉の下部に配備され、ロープ基端に係着する昇降筒に連繋するラックにストッパーのピニオンが噛み合い、ピニオンの正逆回転でストッパーが動作する停止手段とからなることを特徴とするドアストッパ-。
【請求項2】
前記操作手段のカムは、ハンドルを回動可能に取付けるケース体の側板の内面に設けた弓形状のガイドレールと、ハンドルの回転軸に連繋するスライダーと、スライダーに連続しガイドレールに嵌合するピンとからなることを特徴する請求項1記載のドアストッパー。
【請求項3】
前記ガイドレールは、下端より上端が扉面側へ屈む弓形状に形成し、ハンドルを押し上げきったとき、ピン中心がハンドルの回転中心を越えて停止するようにしたことを特徴とする請求項2記載のドアストッパー。
【請求項4】
前記停止手段は、昇降筒の下部にスプリングを介して昇降筒に応じて昇降する可動ラックを配備し、可動ラックの下部のラックにストッパー基部に一体のピニオンを噛み合わせてストッパ-を回動可能としたことを特徴とする請求項1記載のドアストッパー。
【請求項5】
前記昇降筒と可動ラックの連繋間にはダンパーを配備し、ストッパーの回動動作を制動するようにしたことを特徴とする請求項4記載のドアストッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の換気、空気の流通、温度調節や臭気抜き等に使用するドアストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来のドアストッパーを扉に取り付けた状態を示す斜視図である。
このドアストッパーは、扉Aに固定された平板状の取付け板81と、取付け板81から前方へ突出する二枚の対向する支承板82、82と、支承板82、82間に配備された水平状の軸84と、この軸84が基端部を貫通して支承板82間に回転可能に配備され、先端に石突き85を備えるパイプ状のストッパ83とから成る。
【0003】
ドアストッパーは、扉Aの下部に、接着テープ或いはビス等で取付け板81を止着する。常態(不使用時)において、ストッパ83は上方へ押し上げられている。使用に際しては、ストッパ83を押し下げると、軸84を中心に回転して石突き85が床C面につく。
【0004】
これにより、ドアAが任意位置の開放状態で保持され、室内の空気の流通、換気、脱臭等が実現される。扉Aを閉める際は、ストッパ83を手或いは足先で押し上げ石突き85が仰向け状となる位置まで回動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のドアストッパーでは、「しゃがんだり」「屈んだり」した姿勢で、ストッパ-を手で上げ、下げする。或いは「かた足立ち」で、ストッパーを足先で上げ下げする。
このため、ストッパ-操作の際に手が汚れ不潔であり、また靴先に傷がつき不快である等の問題点がある許かりでなく、足首、膝、腰の不便な人や高齢者にとって操作が極めて困難である等の不利があった。
【0007】
また、軸に対しストッパーを回転可能に配備しただけの構造であるため、ストッパ-が意に反して倒伏する虞れがある許かりでなく、瞬間的な強風等で開放扉が動く虞れがある等、動きが不安定で停止保持力が弱い等の欠点があった。
【0008】
この発明は、以上のような課題を解消させ、自然な立ち姿勢でハンドルを操作するだけで、扉下部に配備したストッパ-を動作させることができ、清潔、簡単で高齢者にも操作性が良く且つ危険がなく安定した保持力を実現するドアストッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成させるために、この発明のドアストッパーでは,次のような構成としている。ドアストッパーは、扉AのノブB近辺に配備され、ハンドル11の上げ下げでハンドル11に連繋するカム2を介してロープ13が垂直線状に昇降する操作手段1と、操作手段1に対応して扉Aの下部に配備され、ロープ13基端に係着する昇降筒4に連繋するラック54にストッパ-6のピニオン63が噛み合い、ピニオン63の正逆回転でストッパ-6が動作する停止手段3とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような構成を有するドアストッパーでは、操作手段と停止手段とを分け、操作手段(ハンドル)を扉のノブ近辺に配置したから、停止手段(ストッパー)を動作させるのに自然な立ち姿勢で行える。従って、足腰に不便のある人でも、高齢者でも簡単容易にドア開放保持操作を行える。
【0011】
また、ハンドルを上げ下げするだけで、下方に配置したストッパーを自動的に起動・復帰させることができる。従って、ストッパーを手や靴先で触る必要がないため、手の汚れ、靴先の傷つきの不利がなく衛生的である。
【0012】
 更に、ロープがハンドルと昇降筒を強固に係着すると共に、ストッパーのピニオンとラックが噛み合い、ストッパ-に回転力を与えているため、ストッパ-が意に反して倒伏する虞れや、強風等で開放扉が動く危険性がない等の優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明に係るドアストッパーの具体的な実施の形態を説明する。
ドアストッパーは、
図1で示すように扉AのノブB近辺に配備される操作手段1と、操作手段1に対応してロープ13を介して扉Aの下部に配備される停止手段3とから成る。
【0014】
操作手段1は、
図2で示すように、裏面開口で、開口周縁を扉A面に取付けるケース体12と、ケース体12の外面に回動可能に取付けられるハンドル11と、ハンドル11の回動でハンドルに連繋するカム2を介して垂直線状に昇降するロープ13とからなる。
【0015】
上記ハンドル11は、
図2で示すように、ケース体12の両側板12cの外面を挟む両取付け板11bと、両取付け板11bの先端側に掛け渡し状に設けた平板状の持ち手部11aとから成る。また、両取付け板11bの基端側に突設する回転軸11cは、ケース体12の側板12cを貫通し、ケース体12内の後述するカム2と連繋する。
【0016】
前記カム2は、ケース体12の両側板12cの内面に設けた弓形状のガイドレール23と、上記回転軸11c先端に連続する挿し込み片11dが嵌着する嵌め部21aを設けたスライダー21と、両スライダー21の基端部を貫通するピン22とからなり、スライダー21の外方に突出するピン22先端が前記ガイドレール23に嵌合する。
【0017】
このガイドレ-ル23は、下端より上端が後方(扉A面側)へ屈む弓形状に形成している。従って、ハンドル11を押し上げきったとき、ピン22中心がハンドル11の回転中心を越えて停止するように設定してある(
図6参照)。
【0018】
前記両スライダー21、21間のピン22中央部には、上記ロープ13の先端フック13aが固定され、ロープ13はケース体12底面の挿通孔12bから下方へ垂直線状に垂下している。
【0019】
図3は、前記停止手段3を示す説明斜視図で、
図4は分解斜視図である。
停止手段3は、ケース体3Aの動作収容部3bに収容される昇降筒4(スプリング55を介して上下に連繋する可動ラック5)と、ケース体3Aのストッパ収容部3cに収容されるストッパー6とからなる。
【0020】
上記ケース体3Aは、短冊形の左右側板31、31と、この側板31、31間の後面を閉じる平板状背板33と、左右側板31と背板33に囲まれた前面開口のコ字状空間を前後に区画する仕切り板32とからなる。この後側空間を、動作収容部3bとし、前側空間をストッパ収容部3cとする。
【0021】
仕切り板32は、
図4で示すように、矩形状の平板で、面内中央に前側へ突出する半円筒部32aと、平板の両端部に連続し前側へ突出するL字状突出板部32cとからなり、L字状突出板部32cの屈曲先端部を上記左右側板31に接合して後側開口の角筒部32bを設けている。この半円筒部32aに後述する昇降筒4が収容され、且つ角筒部32bに後述する摺動板部45が収容される。
【0022】
更に、仕切り板32の半円筒部32aに後側へ突出するダンパー固定部34を突設し、角筒部32に摺動板支承停止部35を突設している。また、角筒部32を構成するL字状突出板部32cの下端部には、後述するストッパ-6の回転軸部62の下半周を支承する半円形受け部32dを設けると共に、背板33の下端部には回転軸部62の上半周を支承する半円形受け部32dを一対として配備している。
【0023】
前記昇降筒4は、ロープ13が挿通し、基端結束部13bが係着(螺着)する後側開口の上部半円筒部41と、上部半円筒部41に連続する前側開口の中央半円筒部42と、中央半円筒部42に連続するバネ取付け用の下部円筒部43とから成る。この下部円筒部43には、周面から張出しアーム44が左右に突出し、アーム44先端部に摺動板部45を直角状に連続配備している。
【0024】
上部半円筒部41の歯は、ロープ13の基端結束部13bの歯と噛み合わせ、この噛み合い位置を選択することで、操作手段1の扉Aに対する取付け高さ位置を調整し得る。
【0025】
前記可動ラック5は、バネ取付け筒部51と、張出アーム52と、摺動板部53と、この摺動板部53の下部を下方へ延長突設したラック54とからなる。バネ取付け筒部51と、上記昇降筒(下部円筒部43)4がスプリング(円筒コイルバネ)55で連繋している。ダンパー7は、このバネ取付け筒51にシリンダボトム72を嵌入し、上記下部円筒部43を貫通するロッドヘッド71を上記ダンパー固定部34に連繋している。
【0026】
上記ストッパー6は、背面が凹み状の矩形平板61で、基端部に回転軸部62、先端部に石突き64を備え、回転軸部62の外側にピニオン63を一体に備えている。ストッパー6は、出没可能に上記ストッパ収容部3cに収容され、上記ラック54にピニオン63が噛み合い、ピニオン63の正逆回転でストッパー6が回動し動作(起動・復帰)する。
【0027】
このような構成を有するドアストッパーは、常態において、ストッパー6がケース体3Aのストッパ収容部3cに起立状態で収容されている。
図6で示すように、ハンドル11を最上部に引き上げたとき、ピン22の縦中心がハンドル11の回転軸11cの縦中心(回転中心)を越えて停止し、ハンドル11の意に反する倒伏を阻止する。
【0028】
また 、
図5で示すように昇降筒4がロープ13で引き上げられ、摺動板部45が摺動板支承停止部35で押さえられている。ピニオン63はラック54の下端部に噛み合っている。ラック54がピニオン63と一体のストッパー6に回転力を与え、閉じた状態(ストッパ-起立・収容状態)が保持されている。
【0029】
ドアAの開放状態を停止する際は、
図7で示すようにハンドル11を押し下げる。スライダー21のピン22が、ガイドレール23を移動し、ピン22がレール23の最下端で停止する。ロープ13が降りると
図8で示すように、昇降筒4がスプリング55の縮み力により可動ラック5に引き寄せられ衝突し可動ラック5と共に下降する。そして、ピニオン63と一体のストッパ6が回転し石突き64が床C面につく。
【0030】
図9は、ドアAを閉じる際の説明図である。ハンドル11を押し上げ、ロープ13を引き上げると、スプリング55を伸ばしながら昇降筒4のみが引き上げられ、その後、スプリング55の縮み力で可動ラック5が引き上げられる。可動ラック5が引き上げられると、ラック54とピニオン63によりストッパー6が回転し、ダンパー7の制動力でゆっくり静かにストッパ収容部3cに復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態のドアストッパーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図5】ロープを引き上げ、ストッパーが収容された状態を示す説明図である。
【
図6】ハンドルを押し上げロープを引き上げた状態を示す説明図である。
【
図7】ハンドルを押し下げロープを降下した状態を示す説明図である。
【
図8】ストッパーの石突きが床面に着いた状態を示す説明図である。
【
図9】ロープの引き上げ途中の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 操作手段
2 カム
3 停止手段
4 昇降筒
5 可動ラック
6 ストッパー
7 ダンパー
11 ハンドル
13 ロープ
21 スライダー
22 ピン
23 ガイドレール
31 左右側板
32 仕切り板
33 背板
32a 半円筒部
32b 角筒部
45 摺動板部
53 摺動板部
54 ラック
55 スプリング
62 回転軸部
63 ピニオン
A 扉
B ノブ
C 床