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特許7537754誘導支援装置、誘導支援システム、誘導支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】誘導支援装置、誘導支援システム、誘導支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20240814BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20240814BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240814BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240814BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240814BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240814BHJP
   B61L 25/02 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
G08G1/01 F
G06T7/20 300Z
G08G1/005
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
B61L25/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021168610
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2020088740の分割
【原出願日】2015-05-28
(65)【公開番号】P2022023129
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2021-10-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2014134664
(32)【優先日】2014-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】大網 亮磨
(72)【発明者】
【氏名】宮野 博義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐介
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩雄
(72)【発明者】
【氏名】海老山 有紀江
(72)【発明者】
【氏名】川合 諒
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小山 和也
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋志
【合議体】
【審判長】畑中 高行
【審判官】樫本 剛
【審判官】高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-189921(JP,A)
【文献】特開2006-127322(JP,A)
【文献】特開2007-317052(JP,A)
【文献】特開2006-189952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 1/00 - 7/00
G08G 1/00
G06Q 30/00 - 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置物の利用を待つ行列が存在する2以上の第1エリア間で人物を誘導する誘導支援装置であって、
前記第1エリアのそれぞれを撮影した画像を解析し、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間を取得する解析部と、
前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間に基づく誘導情報を取得する取得部と、
2以上の前記第1エリアのいずれかと関連付いた表示部に対し、前記第1エリアに存在する人物に2以上の前記第1エリアの一方から他方への移動又は保留を促す前記誘導情報として、前記2以上の第1エリアの中の誘導先を示す情報および前記誘導先である前記第1エリアの混雑状況を示す情報を出力する出力部と、
を備える誘導支援装置。
【請求項2】
前記誘導情報は、2以上の前記第1エリアのうち相対的に混雑していない前記第1エリアへ人物の移動を促す情報である、請求項1に記載の誘導支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の誘導支援装置と、
前記第1エリアに移動する人物が通過する第2エリアに配置される表示部と、を備え、
前記表示部は、前記第2エリアに存在する人物に対して、前記第1エリアに関連付いた誘導情報を表示する、
誘導支援システム。
【請求項4】
設置物の利用を待つ行列が存在する2以上の第1エリア間で人物を誘導する誘導支援装置として機能するコンピュータが、
前記第1エリアのそれぞれを撮影した画像を解析し、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間を取得し、
前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間に基づく誘導情報を取得し、
2以上の前記第1エリアのいずれかと関連付いた表示部に対し、前記第1エリアに存在する人物に2以上の前記第1エリアの一方から他方への移動又は保留を促す前記誘導情報として、前記2以上の第1エリアの中の誘導先を示す情報および前記誘導先である前記第1エリアの混雑状況を示す情報を出力する、
ことを含む誘導支援方法。
【請求項5】
前記誘導情報は、2以上の前記第1エリアのうち相対的に混雑していない前記第1エリアへ人物の移動を促す情報である、請求項に記載の誘導支援方法。
【請求項6】
設置物の利用を待つ行列が存在する2以上の第1エリア間で人物を誘導する誘導支援装置として機能するコンピュータを、
前記第1エリアのそれぞれを撮影した画像を解析し、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間を取得する解析手段、
前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間に基づく誘導情報を取得する取得手段、
2以上の前記第1エリアのいずれかと関連付いた表示部に対し、前記第1エリアに存在する人物に2以上の前記第1エリアの一方から他方への移動又は保留を促す前記誘導情報として、前記2以上の第1エリアの中の誘導先を示す情報および前記誘導先である前記第1エリアの混雑状況を示す情報を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
前記誘導情報は、2以上の前記第1エリアのうち相対的に混雑していない前記第1エリアへ人物の移動を促す情報である、請求項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像解析により得られる情報に基づいて群衆を誘導する技術に関する。以降、「群衆」とは、任意の空間範囲に存在する複数人物を意味する。群衆に含まれる人の人数は、複数であれば特に制限されず、当該空間範囲の大きさについても制限されない。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、人の最も少ない位置を誘導先に設定してその位置に繋がる通路入口に案内ロボットを配置して、その案内ロボットに誘導先の特売品情報を表示及び音声出力させる顧客誘導方法が提案されている。この顧客誘導方法によれば、買い物客を混雑した場所からすいている場所に誘導することができる。
【0003】
下記特許文献2には、通路の区画毎にそこに存在する人物にとって最も効果がある広告や音楽を提供するシステムが提案されている。このシステムは、監視カメラ、表示モニタやスピーカ等を通路の区画毎に配置し、監視カメラからの画像から各区画の人物の人数や属性(男性、女性、子供等)の情報を取得する。そして、これら情報に基づいて、各区画の表示モニタ及びスピーカから最も効果がある広告や音楽が提供される。このシステムは、例えば、通路内を通る人数が少ないと判定したときは、軽快な音楽を流して通路内に人を誘導させる。
【0004】
下記特許文献3には、特定の領域を通過する人の人数及びその通過方向を高精度に検出する監視装置が提案されている。更に、部屋の混雑度を計算する装置を建物内に複数設置して、来訪者に混雑度の低い部屋を知らせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-132568号公報
【文献】特開2007-34585号公報
【文献】特開平9-138241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の各誘導方法は、混雑した場所にいる人や新たな来訪者などの特定の群衆を空いている場所(部屋や通路など)といった或る1つの場所に誘導しているに過ぎない。しかしながら、このような方法では、誘導先の1つの場所が直ぐに混雑することになり、適切に群衆を誘導できない可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、群衆を適切に誘導する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の各側面では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0009】
第一の側面は、誘導支援装置に関する。第一の側面に係る誘導支援装置は、
設置物の利用を待つ行列が存在する2以上の第1エリア間で人物を誘導する誘導支援装置であって、前記第1エリアのそれぞれを撮影した画像を解析し、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間を取得する解析部と、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間に基づく誘導情報を取得する取得部と、2以上の前記第1エリアのいずれかと関連付いた表示部に対し、人物に2以上の前記第1エリアの一方から他方への移動又は保留を促す前記誘導情報を出力する出力部と、を備える
第二の側面は、上述の誘導支援装置を含む誘導支援システムに関する。第二の側面に係る誘導支援システムは、上述の誘導支援装置と、前記第1エリアに移動する人物が通過する第2エリアに配置される表示部と、を備える。前記表示部は、前記第2エリアに存在する人物に対して、前記第1エリアに関連付いた誘導情報を表示する。
【0010】
の側面は、少なくとも1つのコンピュータにより実行される誘導支援方法に関する。第の側面に係る誘導方法は、設置物の利用を待つ行列が存在する2以上の第1エリア間で人物を誘導する誘導支援装置として機能するコンピュータが、前記第1エリアのそれぞれを撮影した画像を解析し、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間を取得し、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間に基づく誘導情報を取得し、2以上の前記第1エリアのいずれかと関連付いた表示部に対し、人物に2以上の前記第1エリアの一方から他方への移動又は保留を促す前記誘導情報を出力する、ことを含む。
【0011】
なお、本発明の他の側面としては、上記第の側面の方法を少なくとも1つのコンピュータに実行させるプログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。当該プログラムは、設置物の利用を待つ行列が存在する2以上の第1エリア間で人物を誘導する誘導支援装置として機能するコンピュータを、前記第1エリアのそれぞれを撮影した画像を解析し、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間を取得する解析手段、前記第1エリアごとに前記行列の待ち時間に基づく誘導情報を取得する取得手段、2以上の前記第1エリアのいずれかと関連付いた表示部に対し、人物に2以上の前記第1エリアの一方から他方への移動又は保留を促す前記誘導情報を出力する出力手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
上記各側面によれば、群衆を適切に誘導する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0014】
図1】第一実施形態における誘導システムのシステム構成を概念的に示す図である。
図2】監視カメラ及び表示装置の設置形態の例を示す図である。
図3】第一実施形態における誘導処理装置の処理構成例を概念的に示す図である。
図4】第一実施形態における格納部に格納される情報の例を示す図である。
図5】第一実施形態における誘導処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】実施例1における監視カメラ及び表示装置の設置形態を示す図である。
図7】実施例2における監視カメラ及び表示装置の設置形態を示す図である。
図8】実施例3における監視カメラ及び表示装置の設置形態を示す図である。
図9】実施例4における監視カメラ及び表示装置の設置形態を示す図である。
図10】第二実施形態における誘導処理装置の処理構成例を概念的に示す図である。
図11】第二実施形態における誘導処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図12】第三実施形態における監視カメラ及び表示装置の設置形態を示す図である。
図13】第三実施形態における誘導処理装置の処理構成例を概念的に示す図である。
図14】第三実施形態における誘導処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図15】第四実施形態における誘導処理装置の処理構成例を概念的に示す図である。
図16】第四実施形態における誘導処理装置の、誘導情報の変更に関する動作例を示すフローチャートである。
図17】変形例における誘導処理装置の処理構成例を概念的に示す図である。
図18】第五実施形態における誘導処理装置の処理構成例を概念的に示す図である。
図19】第五実施形態における誘導処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる各実施形態はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
【0016】
[第一実施形態]
以下、第一実施形態における誘導システム及び誘導方法について複数の図面を用いて説明する。
【0017】
〔システム構成〕
図1は、第一実施形態における誘導システム1のシステム構成を概念的に示す図である。図1に示されるように、誘導システム1は、誘導処理装置10、複数の監視カメラ5、複数の表示装置6等を有する。第一実施形態における対象装置は表示装置6である。
【0018】
誘導処理装置10は、いわゆるコンピュータであり、図1に示されるように、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)2、メモリ3、通信ユニット4等を有する。メモリ3は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。通信ユニット4は、他のコンピュータとの通信網(図示せず)を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット4には、可搬型記録媒体等も接続され得る。誘導処理装置10は、図1に図示しないハードウェア要素を含んでもよく、誘導処理装置10のハードウェア構成は制限されない。
【0019】
各監視カメラ5は、監視すべき任意の場所を撮影可能な位置及び向きに設置され、撮影した映像信号を誘導処理装置10に送る。以降、各監視カメラ5により撮影される場所を監視場所又は対象エリアと表記する場合もある。監視カメラ5の台数は任意である。各監視カメラ5は、例えば、通信ユニット4を介して誘導処理装置10と通信可能にそれぞれ接続される。各監視カメラ5と誘導処理装置10との通信形態及び接続形態は制限されない。
【0020】
各表示装置6は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、描画データに対応する画面を表示する。表示装置6は、誘導処理装置10が有するCPU2やGPU(Graphics Processing Unit)(図示せず)等により処理された描画データを誘導処理装置10から受信し、その描画データに対応する画面を表示することができる。また、表示装置6は、CPUやGPUを有し、誘導処理装置10から送られるデータに基づいて、表示装置6が描画データを処理し、画面を表示することもできる。各表示装置6と誘導処理装置10との通信形態及び接続形態は制限されない。以降、各表示装置6による表示を人が視認し得る範囲を各表示装置6の表示空間と表記する場合もある。
【0021】
図2は、監視カメラ5及び表示装置6の設置形態の例を示す図である。上述したとおり、各監視カメラ5は、各々異なる監視場所を撮像する。図2の例では、監視カメラ5(#1)はエリアAR1を撮像し、監視カメラ5(#2)はエリアAR2を撮像し、5(#3)はエリアAR3を撮像し、監視カメラ5(#4)はエリアAR4を撮像する。各監視カメラ5により撮像された映像信号は、誘導処理装置10に送られる。図2の例では、監視カメラ5の各監視場所に存在する人に誘導情報を提示するために、各監視場所に表示装置6がそれぞれ設置されている。図2の例では、表示装置6(#1)はエリアAR1の人に誘導情報を提示し、表示装置6(#2)はエリアAR2の人に誘導情報を提示し、表示装置6(#3)はエリアAR3の人に誘導情報を提示し、表示装置6(#4)はエリアAR4の人に誘導情報を提示する。図2の例によれば、各エリアAR1からAR4は、監視場所及び表示空間となる。但し、監視カメラ5及び表示装置6の設置形態は、図2に示される例に限定されない。監視場所の一部が複数の監視カメラ5で重複していてもよい。また、表示装置6が設置されていない監視場所が存在していてもよいし、複数の監視場所に存在する人を対象として表示装置6が設置されてもよい。更に、監視場所以外の場所に表示装置6が設置されていてもよい。
【0022】
〔処理構成〕
図3は、第一実施形態における誘導処理装置10の処理構成例を概念的に示す図である。図3に示されるように、誘導処理装置10は、画像取得部11、解析部12、格納部13、情報取得部14、制御部15等を有する。これら各処理部は、例えば、CPU2によりメモリ3に格納されるプログラムが実行されることにより実現される。また、当該プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから通信ユニット4又は入出力I/F(図示せず)を介してインストールされ、メモリ3に格納されてもよい。
【0023】
画像取得部11は、各監視カメラ5により撮像された監視画像をそれぞれ取得する。具体的には、画像取得部11は、監視カメラ5からの映像信号を任意のタイミングでキャプチャすることにより、監視画像を逐次取得する。任意のタイミングは例えば所定周期である。
【0024】
解析部12は、異なる対象エリア(監視場所)がそれぞれ撮像された複数画像を解析して、各対象エリアにおける複数人の状態をそれぞれ取得する。解析部12は、取得された状態を格納部13に格納する。
【0025】
解析部12は、画像取得部11により取得された各監視カメラ5に対応する各監視画像をそれぞれ解析する。具体的には、解析部12は、周知の画像認識手法を用いて、各監視画像から人物をそれぞれ検出する。例えば、解析部12は、人の検出範囲に相当する画像の特徴量を保持し、監視画像中のその特徴量と類似する領域を当該検出範囲として検出することができる。但し、人物検出手法は制限されない。解析部12は、人の全身を検出してもよいし、頭部、顔、上半身等のように人の一部を検出してもよい。あるいは、解析部12は、人を個別に検出するかわりに、群衆をまとめて検出してもよい。この場合、解析部12は、複数人からなる群衆を、一人ひとりに分離せずにかたまりとして検出することができる。
【0026】
解析部12は、監視画像に対する上述のような人物検出の結果を用いて、監視画像内の群衆の状態を取得する。解析部12は、群衆の状態として、人数、密度、混雑度、移動速度、移動方向、流量、行列の有無、行列の長さ、行列の待ち時間、行列の進む速度、滞留の有無、滞留時間、滞留人数、不満度、異常状態等を取得することができる。密度は、人数をその監視画像に映る場所の広さで除算して得られる値である。混雑度とは、監視場所に存在する人の多さの度合いを示す指標値であり、人数、密度、人数及び密度の少なくとも一方を用いた計算により得られる値で示されてもよい。例えば、解析部12は、群衆パッチを用いて、監視画像内の人数を高精度に推定することもできる。
【0027】
群衆の移動速度及び移動方向は、物体(人物)追跡(トラッキング)やオプティカルフロー等のような周知の技術を用いて、時系列の監視画像間の画素の動きを測定することで、取得することができる。流量は、人数に移動速度を掛け合わせることにより算出可能である。また、解析部12は、周知の滞留検知手法を更に用いることで、行列の有無、行列の長さ、滞留の有無、滞留時間、滞留人数を取得することもできる。さらに、解析部12は、上述の追跡等の技術と組み合わせることで、行列の待ち時間、行列の進む速度を取得することができる。
【0028】
解析部12は、滞留時間、行列の長さ、行列の待ち時間等を用いて、群衆の不満度を取得することができる。例えば、滞留時間が長い程、行列が長い程、行列の待ち時間が長い程、群衆の不満度は高いと推定できる。また、解析部12は、監視画像から検出された人物画像領域に基づいて、表情や態度を推定し、その推定された情報から不満度を決定することもできる。例えば、人物画像領域から、しかめた顔、怒った顔、腕の振り上げ等が検出された場合には、群衆の不満度は高いと推定することができる。また、解析部12は、群衆の状態変化を検出し、その検出された状態変化により群衆の異常状態を検出することができる。例えば、解析部12は、しゃがむ、振り向く、駆け出すといった状態変化を検出し、その変化を起こした人数等により群衆の異常度合を取得することができる。
【0029】
格納部13は、監視カメラ5の識別情報(ID)及びその監視カメラ5で撮像された監視画像から抽出された群衆の状態を相互に関連付けて格納する。監視カメラ5のIDと監視画像との関係は、監視画像を取得する画像取得部11が把握できる。この関係と、監視画像とそれから取得された群衆の状態との関係(解析部12)とから、監視カメラ5のIDと群衆の状態とが関連付けられ得る。格納部13は、監視カメラ5のIDとその監視カメラ5の監視場所を示す情報との関係も更に格納する。格納部13は、監視場所間の位置関係(距離や平均移動時間等)を格納してもよい。
【0030】
図4は、第一実施形態における格納部13に格納される情報の例を示す図である。図4に示されるように、格納部13は、監視カメラ5の監視場所を示す情報と群衆の状態とを相互に関連付けて格納してもよい。図4の例では、群衆の状態として、数値により示される混雑度が用いられている。あるいは、各監視場所をさらに細かいエリアに分割し、分割したエリア単位で混雑度が格納されてもよい。
【0031】
更に、格納部13は、表示装置6の識別情報(ID)及びその表示装置6による表示を人が視認し得る範囲を示す表示空間の場所を示す情報を相互に関連付けて格納する。格納部13は、表示空間の場所と監視場所との位置関係(距離や平均移動時間等)を格納してもよい。
【0032】
情報取得部14は、解析部12により取得された各監視場所における群衆の状態に基づいて、監視場所間、各表示装置6の表示空間の間、又は、各表示空間と各監視場所との間の位置関係に対応する、各誘導情報をそれぞれ生成する。例えば、情報取得部14は、図2に示されるように各監視カメラ5の監視場所と各表示装置6の表示空間とが略一致している場合には、監視場所間の位置関係に対応する誘導情報を生成する。情報取得部14は、各監視場所と各表示空間とが異なる場合には、各表示空間の間、又は、各表示空間と各監視場所との間の位置関係に対応する誘導情報を生成する。なお、監視場所間の位置関係又は各表示空間及び各監視場所の位置関係に対応する誘導情報の具体的生成例については、実施例の項で詳述する。
【0033】
当該位置関係には、距離、方向性、要する移動時間等が含まれる。情報取得部14は、当該位置関係を格納部13から取得することができる。情報取得部14は、格納部13に格納される各監視場所を示す情報及び各監視場所を示す情報から位置関係を算出することもできる。例えば、距離は予め格納され得る。平均移動時間は、格納部13に予め格納されていてもよいし、解析部12により取得される群衆の移動速度を用いて、算出されてもよい。
【0034】
概念的には、情報取得部14は、群衆の状態が異常状態を示す監視場所が存在する場合には、その監視場所の群衆の状態が正常状態を示すように、各誘導情報をそれぞれ生成する。また、情報取得部14は、群衆の状態が特定の監視場所のみ他の監視場所と激しく異なる場合には、群衆の状態が均一化するように、各誘導情報をそれぞれ生成する。
【0035】
また、各誘導情報を表示させる表示装置6についてもそれぞれ決定する。
第一実施形態において、誘導情報は、表示装置6により表示されるため、誘導先を示す情報、保留を促す情報、混雑状況を示す情報等である。混雑状況が提示されることで、人は混雑度の高い場所に行くのを控えたくなるため、混雑状況を示す情報は誘導情報となり得る。誘導情報は、人を誘導システム1が意図したように移動又は保留させ得る情報であれば、その内容は限定されない。例えば、人を保留させ得る情報としては、音楽や映像、セール中の店舗情報等、興味をそそり、人がその場に留まりたくなるような情報があり得る。また、特定店舗で利用できる時限割引きクーポンも、人をその特定店舗に留め置くことのできる誘導情報の一例となり得る。情報取得部14により生成される複数の誘導情報の中には、異なる内容の誘導情報が含まれることが望ましい。
【0036】
制御部15は、情報取得部14により決定された誘導情報と表示装置6との対応関係に基づいて、各表示装置6に各誘導情報をそれぞれ表示させる。制御部15は、全ての表示装置6に対してそれぞれ誘導情報が生成された場合には、全ての表示装置6に誘導情報を表示させる。制御部15は、一部の表示装置6に対して誘導情報が生成された場合には、その一部の表示装置6にその誘導情報を表示させる。制御部15は、誘導情報を表示装置6に送信するよう通信ユニット4に指示することで、表示装置6の表示制御を実現することができる。また、制御部15は、誘導情報の描画データを生成し、その描画データを表示装置6に送信するよう通信ユニット4に指示することもできる。
【0037】
〔動作例/誘導方法〕
以下、第一実施形態における誘導方法について図5を用いて説明する。図5は、第一実施形態における誘導処理装置10の動作例を示すフローチャートである。図5に示されるように、第一実施形態における誘導方法は、誘導処理装置10のような少なくとも1つのコンピュータにより実行される。例えば、図示される各工程は、誘導処理装置10が有する各処理部により実行される。各工程は、誘導処理装置10が有する上述の各処理部の処理内容と同様であるため、各工程の詳細は、適宜省略される。
【0038】
誘導処理装置10は、各監視カメラ5により撮像された監視画像をそれぞれ取得する(S51)。誘導処理装置10は、当該監視画像を時系列に逐次取得する。監視画像は、各監視カメラ5により対象エリア(対象の監視場所)が撮像されて得られる画像である。
【0039】
誘導処理装置10は、(S51)で取得された監視画像を解析することで、対象エリアにおける群衆の状態を取得する(S52)。監視画像の解析手法や群衆の状態やその状態の取得手法については上述したとおりである。
【0040】
誘導処理装置10は、(S52)で取得された各対象エリアにおける群衆の状態に基づいて、対象エリア間、各表示装置6の表示空間の間、又は、各表示空間と各対象エリアとの間の位置関係を取得する(S53)。
【0041】
誘導処理装置10は、(S52)で取得された各対象エリアにおける群衆の状態に基づいて、(S53)で取得された位置関係に対応する各誘導情報をそれぞれ生成する(S54)。このとき、誘導処理装置10は、各誘導情報を表示させる表示装置6をそれぞれ決める。誘導処理装置10は、全ての表示装置6又は一部の表示装置6に表示させるための各誘導情報をそれぞれ生成する。
【0042】
誘導処理装置10は、(S54)で生成された各誘導情報を各表示装置6に表示させる(S55)。これにより、全ての表示装置6又は一部の表示装置6が、誘導情報を表示する。
【0043】
〔第一実施形態における作用及び効果〕
上述したように第一実施形態では、各対象エリア(各監視場所)が各監視カメラ5によりそれぞれ撮像された複数の監視画像が取得され、各監視画像に対する解析により、各対象エリアにおける群衆の状態がそれぞれ取得される。そして、各対象エリアにおける群衆の状態に基づいて、対象エリア間、各表示装置6の表示空間の間、又は、各表示空間と各対象エリアとの間の位置関係に対応する各誘導情報が生成され、各誘導情報が、対応する各表示装置6によりそれぞれ表示される。
【0044】
第一実施形態によれば、複数の場所(対象エリア)での群衆の状態を加味して誘導情報を生成することができる。更に、群衆の状態が取得された複数の場所(対象エリア)間、誘導情報が提示される各空間の間、又は、当該各場所とそのような各空間との位置関係に対応して複数の誘導情報を生成することができる。これにより、表示空間毎に、他の場所との位置関係に応じて異なる誘導情報を提示することができる。即ち、第一実施形態によれば、場所毎に適切な手法で群衆を誘導することができ、ひいては、群衆の状態が異常状態を示す場所をなくし、かつ、群衆の状態を均一化させることができる。
【0045】
以下、第一実施形態を更に詳細に説明するために、複数の実施例を挙げる。但し、上述の第一実施形態の内容は、以下の各実施例の内容に限定されるものではない。
【実施例1】
【0046】
図6は、実施例1における監視カメラ5及び表示装置6の設置形態を示す図である。
実施例1における誘導システム1は、券売機の利用者群を適切に誘導する。
【0047】
各監視カメラ5は、各券売機に並ぶ人々を撮像する。監視カメラ5(#1)は券売機M1の前方の監視場所AR1を撮像し、監視カメラ5(#2)は券売機M2の前方の監視場所AR2を撮像し、監視カメラ5(#3)は券売機M3の前方の監視場所AR3を撮像し、監視カメラ5(#4)は券売機M4の前方の監視場所AR4を撮像する。表示装置6(#1)は監視場所AR1及びAR2を含む空間を表示空間とし、表示装置6(#2)は監視場所AR3を含む空間を表示空間とし、表示装置6(#3)は監視場所AR4を含む空間を表示空間とし、表示装置6(#4)及び6(#5)は券売機へ向かう通路を表示空間とする。
【0048】
実施例1では、画像取得部11は、監視場所AR1からAR4がそれぞれ撮像された複数の監視画像を取得する。解析部12は、当該複数の監視画像を解析して、監視場所AR1からAR4における混雑度を群衆の状態として取得する。図6の例によれば、監視場所AR3に関し高い混雑度が取得され、監視場所AR1、AR2及びAR4に関しては低い混雑度が取得される。
【0049】
情報取得部14は、監視場所AR3の混雑度が高いため、監視場所間の位置関係として、混雑度が低くかつ監視場所AR3に最も近い監視場所AR1を特定する。これは、券売機M3に最も近くかつ混んでいない券売機M1が特定されたことと同意である。これにより、情報取得部14は、混雑度が高い監視場所AR3を表示空間に含む表示装置6(#2)のための誘導情報として、監視場所AR1に対応する券売機M1に誘導する情報を生成する。例えば、この誘導情報は、券売機M1が空いていること、並びに、監視場所AR3からその券売機M1への方向及びその所要移動時間を示す。
【0050】
更に、情報取得部14は、表示空間と監視場所との間の位置関係として、表示装置6(#4)の表示空間に最も近くかつ混雑度の低い監視場所AR2を特定し、表示装置6(#5)の表示空間に最も近くかつ混雑度の低い監視場所AR4を特定する。これは、或る通路に最も近くかつ混んでいない券売機が特定されたことと同意である。これにより、情報取得部14は、表示装置6(#4)のための誘導情報として、監視場所AR2に対応する券売機M2に誘導する情報を生成し、表示装置6(#5)のための誘導情報として、監視場所AR4に対応する券売機M4に誘導する情報を生成する。
【0051】
制御部15は、生成された各誘導情報を表示装置6(#2)、6(#4)及び6(#5)に表示させる。これにより、表示装置6(#2)は、券売機M1に誘導する情報を表示する。結果、券売機M3の前で並んでいた人々は、近くの空いている券売機M1の存在を知り、その券売機M1を使うために移動する。従って、券売機M3の前の混雑を解消することができる。また、表示装置6(#4)は、券売機M2に誘導する情報を表示し、表示装置6(#5)は、券売機M4に誘導する情報を表示する。これによれば、これから券売機を使おうとしている人々を空いている券売機に向かわせることができ、各券売機の前の混雑度を均一化することができる。
【0052】
実施例1の内容は、券売機以外の、トイレ、売店、改札等、様々な場所に対して適用可能である。
【実施例2】
【0053】
図7は、実施例2における監視カメラ5及び表示装置6の設置形態を示す図である。
実施例2における誘導システム1は、或る催し会場(図7の例ではサッカー場)を退場する群衆を適切に誘導する。
【0054】
実施例2では、監視カメラ5(#1)及び5(#2)は、駅ST1及びST2を利用する人々を撮像する。駅ST1及びST2は、当該会場を退場した人々が利用する駅である。実施例2では、各監視カメラ5の監視場所は、各駅ST1及びST2の混雑度を把握できる場所であれば、特に制限されない。以下の説明では、監視カメラ5(#1)の監視場所をST1で表記し、監視カメラ5(#2)の監視場所をST2で表記する。
【0055】
各表示装置6は、当該会場の来場者に各誘導情報を見せるために、座席の区画毎にそれぞれ設けられる。表示装置6(#1)は座席区間DS1を表示区間に含み、表示装置6(#2)は座席区間DS2を表示区間に含み、表示装置6(#3)は座席区間DS3を表示区間に含み、表示装置6(#4)は座席区間DS4を表示区間に含む。
【0056】
各座席区間にはそれぞれ出口が設けられており、各座席区間に座る人々は、その座席区間に設けられた出口を使って退場する。具体的には、座席区間DS1には出口E1が設けられ、座席区間DS2には出口E2及びE3が設けられ、座席区間DS3には出口E4が設けられ、座席区間DS4には出口E5及びE6が設けられている。
【0057】
実施例2では、画像取得部11は、監視場所ST1及びST2がそれぞれ撮像された複数の監視画像を取得する。解析部12は、当該複数の監視画像を解析して、監視場所ST1及びST2における混雑度を群衆の状態として取得する。ここでは、監視場所ST1について高い混雑度が取得され、監視場所ST2について低い混雑度が取得されたと仮定する。
【0058】
情報取得部14は、表示空間と監視場所との間の位置関係として、監視場所ST2と各表示空間との距離、及び、監視場所ST1と各表示空間との距離をそれぞれ取得する。このとき、各表示空間の位置には、その表示空間に含まれる座席区間に設けられた出口の位置が利用される。更に、情報取得部14は、各表示空間に関し、監視場所ST1までの距離と監視場所ST2までの距離との差の大きさ(絶対値)をそれぞれ算出する。
【0059】
情報取得部14は、監視場所ST1の混雑度が高く、監視場所ST2の混雑度が低いため、監視場所ST2のほうが監視場所ST1よりも近い表示空間を特定する。ここでは、座席区間DS3が特定されたと仮定する。これにより、情報取得部14は、表示装置6(#3)のための誘導情報として、監視場所ST2の駅に誘導する情報を生成する。座席区間DS2及びDS4については、出口が2つずつ設けられているため、どちらの駅でも同じ近さと判定されたと仮定する。しかしながら、監視場所ST1の混雑度は高いため、情報取得部14は、表示装置6(#2)及び6(#4)のための誘導情報として、混雑度が低い監視場所ST2の駅に誘導する情報を生成する。
【0060】
一方、座席区間DS1を含む表示空間については、監視場所ST1のほうが近いため、情報取得部14は、距離の差が所定値を超えるか否かを判定する。情報取得部14は、距離の差が所定値を超えるため、混雑度が高い監視場所ST1の駅に誘導する情報を生成する。但し、混雑度が高い監視場所ST1のほうが近い表示空間については、距離の差ではなく、誘導先毎の人数バランスで誘導先を決めてもよい。情報取得部14は、誘導情報に、駅ST1及びST2の混雑度と、対応する座席区間から各駅までの距離及び所要移動時間とを含めてもよい。
【0061】
制御部15は、生成された各誘導情報を表示装置6(#1)から6(#4)に表示させる。これにより、表示装置6(#1)は、駅ST1に誘導する情報を表示し、表示装置6(#2)から6(#4)は、駅ST2に誘導する情報を表示する。これにより、会場を退場する群衆が或る1つの駅に集中することを防ぐことができる。また、空いている駅ST2を全来場者に提示する手法では、座席区間DS1に座る来場者にとっては遠いばかりか、駅ST2についたときには逆に混雑している可能性もあり得る。しかしながら、実施例2によれば、会場の座席区間と駅との位置関係に応じて誘導情報が生成されるため、各群衆を適切に誘導することができる。
【実施例3】
【0062】
図8は、実施例3における監視カメラ5及び表示装置6の設置形態を示す図である。
実施例3における誘導システム1は、駅のプラットホームで電車を待つ群衆を適切に誘導する。
【0063】
実施例3では、各監視カメラ5は、対象電車の各車両内を監視場所として撮像する。具体的には、監視カメラ5(#1)は車両VH1内を撮像し、監視カメラ5(#2)は車両VH2内を撮像し、監視カメラ5(#3)は車両VH3内を撮像する。以下の説明では、監視カメラ5(#1)から5(#3)の各監視場所をVH1からVH3でそれぞれ表記する。
【0064】
各表示装置6は、プラットホームにおける各車両への乗車位置を表示空間に含める。表示装置6(#1)は車両VH1の乗車位置RP1を含む空間を表示空間とし、表示装置6(#2)は車両VH2の乗車位置RP2を含む空間を表示空間とし、表示装置6(#3)は車両VH3の乗車位置RP3を含む空間を表示空間とする。以下の説明では、表示装置6(#1)から6(#3)の各表示空間をRP1からRP3でそれぞれ表記する。
【0065】
実施例3では、画像取得部11は、監視場所VH1からVH3がそれぞれ撮像された複数の監視画像を取得する。解析部12は、当該複数の監視画像を解析して、監視場所VH1からVH3における混雑度を群衆の状態として取得する。ここでは、監視場所VH1及びVH2について低い混雑度が取得され、監視場所VH3について高い混雑度が取得されたと仮定する。
【0066】
情報取得部14は、各車両と各車両への乗車位置との対応関係に基づいて、各監視場所と各表示空間との対応関係を取得する。具体的には、情報取得部14は、監視場所VH1と表示空間RP1との対応、監視場所VH2と表示空間RP2との対応、監視場所VH3と表示空間RP3との対応をそれぞれ把握する。更に、情報取得部14は、各表示空間の間の位置関係として、表示空間PR3は、表示空間PR1よりも表示空間PR2のほうが近いことを把握する。
【0067】
これにより、情報取得部14は、混雑度が高い車両(監視場所)VH3の乗車位置(表示空間)PR3の表示装置6(#3)のための誘導情報として、混雑度が低くかつ最も近い乗車位置PR2に誘導する情報を生成する。例えば、この誘導情報は、車両VH2が空いていること、並びに、それら車両の乗車位置PR2を示す情報を示す。更に、情報取得部14は、乗車位置PR3から乗車位置PR2へ誘導する情報を生成したため、乗車位置PR2の表示装置6(#2)のための誘導情報として、混雑度が低くかつ最も近い乗車位置PR1に誘導する情報を生成してもよい。
【0068】
制御部15は、生成された誘導情報を表示装置6(#3)に表示させる。これにより、表示装置6(#3)は、乗車位置PR2に誘導する情報を表示する。これにより、乗客が或る車両に集中することを抑制することができ、車両毎の乗客数の均一化を目指すことができる。更に、表示装置6(#2)のための誘導情報も生成された場合には、表示装置6(#2)は、乗車位置PR1に誘導する情報を表示することができる。これにより、表示装置6(#3)で表示された誘導情報により人々が乗車位置PR3から乗車位置PR2に移動することで、車両VH2が混雑することを更に防ぐことができる。
【0069】
図8の例において、各監視カメラ5は、プラットホームにおける各乗車位置PR1からPR3を監視場所として撮像してもよい。この場合、解析部12は、各乗車位置の監視画像を解析して、監視場所RP1からPR3における積み残し状況を群衆の状態として取得することもできる。解析部12は、各乗車位置において電車が来ても乗り切れない状況を積み残し状況として推定する。例えば、解析部12は、電車が停車する直前とその電車が発車した直後とで、各乗車位置における混雑度の差分を算出し、この差分又はこの差分から算出される値を積み残し状況として決定する。当該差分が小さい程、乗車できた人数が少ないため、その積み残し状況として大きい値が算出される。更に、解析部12は、行列の動きも計測し,どの程度待ち行列が前に進んだかも考慮して積み残し状況を判定するようにしてもよい。
【0070】
この場合、情報取得部14は、各車両の混雑度に置き換えて、又は、各車両の混雑度に加えて、各乗車位置の積み残し状況を考慮することにより、誘導情報を生成する。また、図8の例において、各表示装置6は、各車両内ではなく、又は、各車両内と共に、各乗車位置を表示空間に含めるようにしてもよい。
【実施例4】
【0071】
図9は、実施例4における監視カメラ5及び表示装置6の設置形態を示す図である。
実施例4における誘導システム1は、電車に乗車している群衆(乗客)を適切に誘導する。
【0072】
実施例4では、各監視カメラ5は、駅の各改札を監視場所として撮像する。具体的には、監視カメラ5(#1)は改札TG1の周辺を撮像し、監視カメラ5(#2)は改札TG2の周辺を撮像し、監視カメラ5(#3)は改札TG3の周辺を撮像する。以下の説明では、監視カメラ5(#1)、5(#2)及び5(#3)の各監視場所をTG1、TG2及びTG3でそれぞれ表記する。
【0073】
各表示装置6は、電車の各車両内を表示空間に含める。表示装置6(#1)は車両VH1の車両内を表示空間とし、表示装置6(#2)は車両VH2の車両内を表示空間とし、表示装置6(#3)は車両VH3の車両内表示空間とし、表示装置6(#4)は車両VH4の車両内表示空間とし、表示装置6(#5)は車両VH5の車両内を表示空間とする。以下の説明では、表示装置6(#1)から6(#5)の各表示空間をVH1からVH5でそれぞれ表記する。
【0074】
実施例4では、画像取得部11は、監視場所TG1からTG3がそれぞれ撮像された複数の監視画像を取得する。解析部12は、当該複数の監視画像を解析して、監視場所TG1からTG3における混雑度を群衆の状態として取得する。ここでは、監視場所TG1及びTG3について低い混雑度が取得され、監視場所TG2について高い混雑度が取得されたと仮定する。
【0075】
情報取得部14は、各車両と各車両のプラットホームでの停車位置との対応関係に基づいて、各監視場所と各表示空間との位置関係を取得する。具体的には、情報取得部14は、監視場所TG1には表示空間VH1及びVH2が近いこと、監視場所TG2には表示空間VH3及びVH4が近いこと、監視場所TG3には表示空間VH5が近いことを把握する。更に、情報取得部14は、表示空間VH2は監視場所TG1の次に監視場所TG2に近いこと、表示空間VH3は監視場所TG2の次に監視場所TG1に近いこと、表示空間VH4は監視場所TG2の次に監視場所TG3に近いことを把握する。
【0076】
これにより、情報取得部14は、混雑度が高い改札(監視場所)TG2の近くに停車する車両(表示空間)VH3及びVH4の表示装置6(#3)及び6(#4)のための誘導情報として、空いている他の改札に誘導する情報を生成する。情報取得部14は、表示装置6(#3)のための誘導情報として、改札TG2の次に近い改札TG1に誘導する情報を生成し、表示装置6(#4)のための誘導情報として、改札TG2の次に近い改札TG3に誘導する情報を生成する。
【0077】
制御部15は、生成された誘導情報を表示装置6(#3)及び6(#4)に表示させる。これにより、表示装置6(#3)は、改札TG1に誘導する情報を表示し、表示装置6(#4)は、改札TG3に誘導する情報を表示する。これにより、或る特定の改札に人が集中するのを防ぐことができ、各改札を通過する人を出来る限り分散することができる。更に、各車両内に誘導情報が表示されるため、降りる前から人々は向かうべき改札を確認することができるため、プラットホーム内の群衆をスムーズに誘導することができる。
【0078】
図9の例では、各監視カメラ5は、駅の改札に代えて、又は、改札と共に、駅の通路を監視場所とすることもできる。なお、図9では、車両内の表示装置6に誘導情報を表示する例を示したが、乗客が現在どの車両に乗っているかを取得することができる場合には、制御部15は、携帯電話などの乗客の携帯する端末に誘導情報を表示するようにしてもよい。即ち、制御部15は、乗車している車両(何両目)に合った情報をユーザの携帯端末に提示する。各ユーザが乗車している車両の情報は、携帯端末に搭載されている各種センサやGPS(Global Positioning System)、プラットフォームに設置されている装置と携帯端末との情報のやりとり等により取得することができる。
【0079】
[第二実施形態]
以下、第二実施形態における誘導システム及び誘導方法について複数の図面を用いて説明する。以下、第二実施形態について、第一実施形態と異なる内容を中心に説明し、第一実施形態と同様の内容については適宜省略する。以下に説明する内容は、上述の第一実施形態の内容に追加されてもよいし、第一実施形態の内容に置き換えられてもよい。
【0080】
以下の説明では、監視カメラ5により撮像される監視場所の中で、混雑度が取得される場所は目標エリア(第一対象エリアに相当)と表記され、その目標エリアへ人々が到達するのに通る可能性のある場所は途中エリア(第二対象エリアに相当)と表記される。
【0081】
〔処理構成〕
図10は、第二実施形態における誘導処理装置10の処理構成例を概念的に示す図である。図10に示されるように、誘導処理装置10は、第一実施形態の構成に加えて、予測部17を更に有する。予測部17についても他の処理部と同様に実現される。図10の例では、予測部17は、情報取得部14の一部のように示されるが、情報取得部14とは別の処理部として実現されてもよい。
【0082】
解析部12は、画像取得部11により取得された、目標エリアが撮像された監視画像を解析して目標エリアにおける人の混雑度を取得し、途中エリアが撮像された画像を解析して途中エリアの人の流量を取得する。流量及び混雑度の取得手法については上述したとおりである。解析部12は、途中エリアの監視画像において人の移動方向を推定し、その移動方向が当該目標エリアに向かう方向を示す人物のみを対象に、流量を取得してもよい。
【0083】
格納部13は、解析部12により取得された目標エリアの混雑度及び途中エリアの流量の履歴を格納する。更に、格納部13は、表示空間と監視場所との位置関係として、各表示空間と目標エリアとの間の距離、又は、各表示空間から目標エリアまで人が移動するのにかかる所要時間を格納する。
【0084】
予測部17は、解析部12により取得された目標エリアの混雑度及び途中エリアの流量に基づいて、任意の時点における目標エリアの人の予測混雑度を取得する。或る時間Tに撮像された監視画像から得られた途中エリアの流量は、その途中エリアから目標エリアまでの移動にかかる所要時間(ΔT)後に、目標エリアに到達する人数と考えられる。これにより、予測部17は、例えば、次のようにして、任意の時点における目標エリアの予測混雑度を取得することができる。予測部17は、格納部13に格納される履歴データに基づいて、時間(T+ΔT)に撮像された監視画像から得られる目標エリアの混雑度と、時間Tに撮像された監視画像から得られる途中エリアの流量との相関関係を学習する。予測部17は、この学習に基づいて、任意の時間tにおける目標エリアの混雑度を予測する関数f(t)を予測混雑度として生成する。
【0085】
情報取得部14は、各表示装置6の表示空間から目標エリアまでの人の移動にかかる各所要時間及び予測部17により取得された予測混雑度を用いて、各表示空間に存在する人が将来的に目標エリアに到達した時点における目標エリアの予測混雑度を各表示空間についてそれぞれ誘導情報として取得する。例えば、予測部17により予測混雑度の関数f(t)が得られる場合には、情報取得部14は、現時点tc及び各所要時間Δrを用いて、目標エリアの予測混雑度f(tc+Δr)を取得することができる。
【0086】
情報取得部14は、各所要時間を、各表示空間に関し流量と共に解析部12により取得される移動速度を用いて、それぞれ算出するようにしてもよい。この場合、情報取得部14は、各表示空間から目標エリアまでの距離を格納部13からそれぞれ取得すればよい。
【0087】
また、情報取得部14は、途中エリア(監視場所)と表示空間とが一致する場合には、解析部12により途中エリアに関し取得された流量に基づいて、その途中エリアと一致する表示空間のための予測混雑度をより増大させてもよい。例えば、情報取得部14は、その途中エリアから目標エリアまでの所要時間から算出される予測混雑度にその流量に対応する重み値を掛け合わせて得られる値を最終的な誘導情報とする。例えば、情報取得部14は、流量が大きくなる程、大きくなる値αを用いて、f(tc+Δr)×(1.0+α)を誘導情報として算出する。これによれば、その表示空間における目標エリアへの移動の抑制効果を増大させることができる。
【0088】
制御部15は、各表示装置6に、各表示空間に関し取得された目標エリアの予測混雑度をそれぞれ出力させる。これにより、各表示装置6は、目標エリアまでの距離に対応した各予測混雑度をそれぞれ表示する。
【0089】
〔動作例/誘導方法〕
以下、第二実施形態における誘導方法について図11を用いて説明する。図11は、第二実施形態における誘導処理装置10の動作例を示すフローチャートである。第二実施形態における誘導方法の実行主体は、第一実施形態と同様である。各工程は、誘導処理装置10が有する上述の各処理部の処理内容と同様であるため、各工程の詳細は、適宜省略される。
【0090】
誘導処理装置10は、各監視カメラ5により撮像された監視画像をそれぞれ取得する(S111)。誘導処理装置10は、当該監視画像を時系列に逐次取得する。取得される監視画像には、目標エリアが撮像された画像及び途中エリアが撮像された画像が含まれる。
【0091】
誘導処理装置10は、(S111)で取得された目標エリアの監視画像を解析することで、目標エリアの混雑度を取得する(S112)。更に、誘導処理装置10は、(S111)で取得された途中エリアの監視画像を解析することで、途中エリアの流量を取得する(S113)。監視画像の解析手法や群衆の状態としての混雑度及び流量の取得手法については第一実施形態で述べたとおりである。
【0092】
誘導処理装置10は、(S112)で取得された目標エリアの混雑度及び(S113)で取得された途中エリアの流量の履歴に基づいて、任意の時点における目標エリアの予測混雑度を取得する(S114)。
更に、誘導処理装置10は、各表示装置6の表示エリアから目標エリアへの人が移動するのにかかる各所要時間をそれぞれ取得する(S115)。
【0093】
誘導処理装置10は、(S114)で取得された任意の時点における予測混雑度及び(S115)で取得された各所要時間を用いて、各表示空間のための、現時点での目標エリアの予測混雑度を誘導情報としてそれぞれ取得する(S116)。このとき、誘導処理装置10は、途中エリア(監視場所)と表示空間とが一致する場合には、(S113)においてその途中エリアに関し取得された流量に基づいて、その途中エリアと一致する表示空間のための予測混雑度をより増大させてもよい。
【0094】
誘導処理装置10は、(S116)で取得された各予測混雑度を各表示装置6に表示させる(S117)。
【0095】
図11では、複数の工程(処理)が順番に表されているが、第二実施形態で実行される工程及びその工程の実行順序は、図11の例のみに限定されない。(S112)及び(S113)は、お互いに非同期に、任意のタイミングで実行されればよい。また、(S114)についても、(S111)から(S113)の実行タイミングに依存せず、格納部13における履歴の格納状況に応じて、実行されればよい。また、(S115)は、表示エリア及び目標エリアの位置が変わらないのであれば、一度実行されればよい。もちろん、取得した速度情報に応じて所要時間を変えてもよく、この場合は、(S115)は、(S112)、(S113)の後に定期的に実行されればよい。更に、(S116)及び(S117)についても、(S111)から(S115)の実行タイミングに依存せず、任意のタイミングで実行されればよい。
【0096】
〔第二実施形態における作用及び効果〕
上述のように、第二実施形態では、監視画像から取得される目標エリアの混雑度の履歴と監視画像から取得される途中エリアの流量の履歴とから、任意の時点における目標エリアの予測混雑度が取得される。そして、その任意の時点における予測混雑度と各表示エリアから目標エリアへ人が移動するのにかかる各所要時間とに基づいて、各表示空間における目標エリアの予測混雑度が取得される。各表示装置6には、その表示空間に関し取得された目標エリアの予測混雑度が表示される。
【0097】
これにより、各表示装置6の表示を見た各群衆は、これから行こうとしている目標エリアの予測混雑度を知り、現在の目標エリアを他のエリアに変更する可能性がある。目標エリアの予測混雑度の高さは、その目標エリアから他のエリアに移動先を変える動機付けとなり得るからである。また、ここで提示されるのは、そのときの混雑度ではなく、表示装置6の表示を見た人々が目標エリアに到達するであろう時点の予測混雑度である。従って、第二実施形態によれば、群衆が目標エリアに到達してみたら混雑していたという状況を回避することができ、特定エリアの混雑を未然に防ぎつつ、群衆を適切に誘導することができる。
【0098】
以下、第二実施形態を更に詳細に説明するための実施例を挙げる。但し、上述の第二実施形態の内容は、以下の実施例の内容に限定されるものではない。
【実施例5】
【0099】
実施例5では、表示装置6として、ユーザの携帯端末が利用される。表示装置6として利用される携帯端末は、ノート型PC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末のような一般的な携帯型のコンピュータである。実施例5では、誘導処理装置10と各携帯端末とは、携帯電話回線網、Wi-Fi回線網、インターネット通信網等の通信網を介して通信可能に接続される。
【0100】
実施例5では、情報取得部14は、各携帯端末の位置情報及び移動速度情報を取得し、取得された位置情報及び移動速度情報を用いて、各携帯端末を保持する各ユーザが目標エリアに到達する各所要時間をそれぞれ推定する。情報取得部14は、位置情報及び移動速度情報を各携帯端末から収集している他のコンピュータからそれらの情報を取得することができる。また、情報取得部14は、各携帯端末からそれら情報を直接取得することもできる。移動速度情報は、携帯端末に搭載されるセンサにより算出されてもよいし、GPS(Global Positioning System)を利用して算出されてもよい。
【0101】
また、情報取得部14は、各携帯端末の目標エリアの位置情報をそれぞれ取得する。情報取得部14は、目標エリアを指定するための画面を各携帯端末に表示させ、その画面に対する指定操作を検出することにより、目標エリアを特定することができる。目標エリアが予め定められている場合には、情報取得部14は、格納部13に格納される目標エリアの位置情報を取得してもよい。情報取得部14は、各携帯端末の位置から目標エリアまでの距離を算出し、その距離を移動速度で除算することで、各携帯端末を保持するユーザが、目標エリアまで到達するのにかかる所要時間を算出する。また、電車などで移動する場合には、情報取得部14は、どの電車に乗ったかを位置情報の変化から把握し、その電車の目的地(あるいはその付近)への到着時刻等から所要時間を出すようにしてもよい。
【0102】
情報取得部14は、予測部17により取得された任意の時点における目標エリアの予測混雑度及び上述のように算出された所要時間に基づいて、各携帯端末について、各ユーザが将来的に目標エリアに到達した時点における目標エリアの予測混雑度をそれぞれ取得する。
制御部15は、各携帯端末に、目標エリアの各予測混雑度をそれぞれ表示させる。
【0103】
実施例5によれば、群衆の各個人に対して、その個人の位置や移動速度に応じて、精度よく目標エリアの予測混雑度をそれぞれ提示することができる。また、各個人で目標エリアが異なる場合にも、個々の携帯端末に各目標エリアの予測混雑度を提示させることができる。従って、各個人の状態に合わせて群衆を適切に誘導することができる。
【0104】
[第三実施形態]
以下、第三実施形態における誘導システム及び誘導方法について複数の図面を用いて説明する。以下、第三実施形態について、上述とは異なる内容を中心に説明し、上述と同様の内容については適宜省略する。以下に説明する内容は、上述の内容に追加されてもよいし、上述の内容に置き換えられてもよい。
【0105】
以下の説明では、複数の監視カメラ5により撮像される複数の監視場所を、監視場所間の位置関係に基づいて、次のように別名で表記する場合もある。或る監視場所に対してその周辺に位置する他の監視場所が周辺エリアと表記され、当該或る監視場所が中心エリアと表記される。全監視場所の中で中心エリアとなる監視場所は、全監視場所であってもよいし、その一部であってもよい。
【0106】
図12は、第三実施形態における監視カメラ5及び表示装置6の設置形態を示す図である。図12の例において、エリアAR1が中心エリアとなる監視場所であり、エリアAR2からAR4がその中心エリアの周辺エリアとなる監視場所である。監視カメラ5(#1)は中心エリアAR1を撮像し、監視カメラ5(#2)から5(#4)は周辺エリアAR2からAR4を撮像する。図12の例は、テーマパークや公園に適用可能である。例えば、中心エリアAR1は、テーマパークの人気アトラクションの場所であり、各周辺エリアAR2からAR4は、その人気アトラクションに向かう経路の一部である。また、中心エリアAR1は、公園の人気のある遊具の場所であり、各周辺エリアAR2からAR4は、不人気の遊具の場所である。
【0107】
第三実施形態では、図12の例に示されるように、複数の表示装置6が、周辺エリアとなる監視場所を含む表示空間をそれぞれ含むように、設置される。図12の例では、表示装置6(#1)から6(#3)が各周辺エリアを含む各表示空間をそれぞれ有する。
【0108】
〔処理構成〕
図13は、第三実施形態における誘導処理装置10の処理構成例を概念的に示す図である。図13に示されるように、誘導処理装置10は、第一実施形態の構成に加えて、決定部18を更に有する。決定部18についても他の処理部と同様に実現される。図13の例では、決定部18は、情報取得部14の一部のように示されるが、情報取得部14とは別の処理部として実現されてもよい。また、図13は、決定部18が第一実施形態における処理構成に追加された構成を例示するが、決定部18は、第二実施形態における処理構成に追加されてもよい。
【0109】
解析部12は、各監視画像を解析して、各監視場所(各対象エリア)に関し、人の混雑度及び移動方向をそれぞれ取得する。解析部12は、中心エリアとなる各監視場所に関し混雑度をそれぞれ取得し、いずれか1つの中心エリアの周辺エリアとなる各監視場所に関し、混雑度及び移動方向をそれぞれ取得するようにしてもよい。混雑度及び移動方向の取得手法については第一実施形態で述べたとおりである。但し、監視画像から複数の移動方向が検出される可能性があるため、解析部12は、最も大きく検出された方向をその監視画像の移動方向として取得することができる。また、解析部12は、移動方向毎の人数(混雑度)を取得することもできる。
【0110】
格納部13は、監視カメラ5の監視場所を示す情報と関連付けて、監視カメラ5で撮像された監視画像から取得された混雑度及び移動方向の履歴を格納する。また、格納部13は、中心エリアと周辺エリアとの関係情報を格納する。図2の例によれば、格納部13は、中心エリアとなる監視場所AR1に関し、監視場所AR2及びAR3が周辺エリアとなる、中心エリアとなる監視場所AR2に関し、監視場所AR1、AR3及びAR4が周辺エリアとなるといった関係情報を格納する。
【0111】
決定部18は、格納部13に格納される混雑度及び移動方向の履歴に基づいて、中心エリアとなる各監視場所に関し、各周辺エリアの、中心エリアの混雑度に与える影響度をそれぞれ決定する。決定部18により決定される影響度とは、各周辺エリアに存在する人が移動することによりその中心エリアの混雑度に影響を与える程度を意味する。例えば、決定部18は、周辺エリアの混雑度の履歴の中で、中心エリアへ向かう方向を示す移動方向と共に格納された混雑度のみを用いて、各周辺エリアの混雑度と中心エリアの混雑度との相関係数を算出する。決定部18は、算出された相関係数に基づいて各周辺エリアの影響度を決定する。決定部18は、相関係数をそのまま影響度として用いることもできる。影響度は、影響があるかないかの2値で示されてもよいし、3値で示されてもよい。影響度の算出手法は制限されない。
【0112】
図12の例によれば、周辺エリアAR3に存在する多くの人々の移動方向が中心エリアAR1を向いているため、周辺エリアAR2及びAR4よりも、周辺エリアAR3の影響度が高く決定される。
決定部18は、各中心エリアに関する各周辺エリアの影響度を逐次更新する。また、決定部18は、当該影響度を所定の周期で更新してもよいし、当該影響度を一度だけ決定し、以降、更新しなくてもよい。
【0113】
情報取得部14は、決定部18により決定された各周辺エリアの影響度に基づいて、各々異なる複数の誘導情報をそれぞれ取得する。情報取得部14は、影響度の高い周辺エリアから中心エリアへ移動する人の増加を抑える誘導情報をその影響度の高い周辺エリアのために生成する。例えば、情報取得部14は、混雑度が所定閾値を超えた中心エリアを検出した場合に、その中心エリアの周辺エリアの中で、影響度が高くかつ混雑度が高い周辺エリアに対してその中心エリアに向けて人が移動しないようにする誘導情報を生成する。この場合、情報取得部14は、その中心エリア以外の他のエリアへ誘導する誘導情報を生成してもよい。
【0114】
また、誘導情報として第二実施形態で示した予測混雑度を用いる場合には、情報取得部14は、影響度の高さに応じて増加した予測混雑度を各周辺エリアの誘導情報として生成してもよい。情報取得部14は、各周辺エリアの影響度に対応する表示頻度を含む誘導情報を生成することもできる。例えば、情報取得部14は、影響度が高い周辺エリアに対しては高い表示頻度を含む誘導情報を生成する。
【0115】
制御部15は、各周辺エリアの誘導情報を、その周辺エリアを表示空間に含む各表示装置6に表示させる。制御部15は、誘導情報に表示頻度が含まれる場合には、その表示頻度で、誘導情報を表示装置6に表示させる。
【0116】
〔動作例/誘導方法〕
以下、第三実施形態における誘導方法について図14を用いて説明する。図14は、第三実施形態における誘導処理装置10の動作例を示すフローチャートである。第三実施形態における誘導方法の実行主体は、第一実施形態と同様である。各工程は、誘導処理装置10が有する上述の各処理部の処理内容と同様であるため、各工程の詳細は、適宜省略される。
【0117】
誘導処理装置10は、上述したとおり、中心エリアとなる監視場所、及び、各中心エリアに関し周辺エリアとなる監視場所(対象エリア)の情報を予め格納している。
誘導処理装置10は、各監視カメラ5により撮像された監視画像をそれぞれ取得する(S131)。
【0118】
誘導処理装置10は、(S131)で取得された監視画像を解析することで、各対象エリアにおける混雑度及び移動方向を取得する(S132)。監視画像の解析手法や群衆の状態としての混雑度及び移動方向の取得手法については第一実施形態で述べたとおりである。
【0119】
誘導処理装置10は、(S132)で取得された中心エリアの混雑度の履歴と周辺エリアの混雑度及び移動方向の履歴とに基づいて、各中心エリアに関し、各周辺エリアの影響度を決定する(S133)。
【0120】
誘導処理装置10は、(S132)で取得された各中心エリアとなる対象エリアの混雑度に基づいて、混雑度の高い中心エリアが存在するか否かを判定する(S134)。例えば、誘導処理装置10は、中心エリアとなる対象エリアの中で、所定閾値よりも高い混雑度を示す対象エリアが存在するか否かを判定する。
【0121】
誘導処理装置10は、混雑度の高い中心エリアが存在する場合には(S134;YES)、その中心エリアの各周辺エリアに関し、誘導情報をそれぞれ生成する(S135)。誘導処理装置10は、各周辺エリアからその中心エリアに人が移動しないような誘導情報を生成する。このとき、誘導処理装置10は、混雑度が高い周辺エリアにのみ、誘導情報を生成してもよい。また、誘導処理装置10は、各周辺エリアの混雑度及び影響度に基づいて、各周辺エリアに関し、各々異なる誘導情報を生成することもできる。この場合、誘導処理装置10は、混雑度が高く影響度が高い周辺エリア程、誘導力の強い誘導情報を生成してもよい。誘導処理装置10は、誘導情報に誘導情報の表示頻度を含めてもよい。
【0122】
誘導処理装置10は、その各周辺エリアに関し生成された誘導情報を、各周辺エリアを表示空間に含む各表示装置6に表示させる(S136)。誘導情報に表示頻度が含まれる場合、誘導処理装置10は、各表示装置6に当該誘導情報をその表示頻度で表示させる。
【0123】
図14では、複数の工程(処理)が順番に表されているが、第三実施形態で実行される工程及びその工程の実行順序は、図14の例のみに限定されない。(S133)は、図14とは別の工程として、格納部13に格納される混雑度及び移動方向の履歴を用いて任意のタイミングで実行されてもよい。
【0124】
〔第三実施形態における作用及び効果〕
上述のように、第三実施形態では、監視画像の解析により得られる各監視場所の混雑度及び移動方向に基づいて、中心エリアとなる各監視場所に関し、その周辺エリアとなる各監視場所の影響度がそれぞれ決定される。各周辺エリアに関し決定された中心エリアに対する影響度に基づいて、各周辺エリアのための誘導情報が生成され、各周辺エリアを表示空間に含む各表示装置6がその誘導情報を表示する。
【0125】
このように、第三実施形態では、或るエリアの混雑度に及ぼす他のエリアの影響度の高さに応じて、当該他のエリアに提示される誘導情報が生成される。よって、第三実施形態によれば、或るエリアに提示された誘導情報により他のエリアの混雑度の増加を効率よく抑えることができ、効率の良い群衆誘導を行うことができる。
【0126】
[第四実施形態]
以下、第四実施形態における誘導システム及び誘導方法について複数の図面を用いて説明する。以下、第四実施形態について、上述とは異なる内容を中心に説明し、上述と同様の内容については適宜省略する。以下に説明する内容は、上述の内容に追加されてもよいし、上述の内容に置き換えられてもよい。
【0127】
〔処理構成〕
図15は、第四実施形態における誘導処理装置10の処理構成例を概念的に示す図である。図15に示されるように、誘導処理装置10は、第一実施形態の構成に加えて、状態監視部21及び情報変更部22を更に有する。状態監視部21及び情報変更部22についても他の処理部と同様に実現される。図15は、状態監視部21及び情報変更部22が第一実施形態における処理構成に追加された構成を例示するが、それらは、第二実施形態又は第三実施形態における処理構成に追加されてもよい。
【0128】
状態監視部21は、各表示装置6への誘導情報の表示後に撮像された時系列の監視画像に基づく群衆の状態の変化状況を取得する。具体的には、状態監視部21は、誘導情報の表示後の時系列の監視画像から解析部12により抽出された群衆の状態の履歴を取得し、この履歴に基づいて、群衆の状態の変化状況を取得する。群衆の状態の履歴は、格納部13から取得することも可能である。状態監視部21は、変化有り及び変化無しを2値で示す変化状況を取得してもよいし、変化度合を数値で示す変化状況を取得してもよい。例えば、状態監視部21は、混雑度の増加、減少及び不変を示す情報を変化状況として取得する。
【0129】
状態監視部21は、誘導情報の提示により群衆の状態に影響が及ぶ監視場所(対象エリア)のみについて、群衆の状態の変化状況を取得するようにしてもよい。これにより、変化状況を取得すべき監視場所が限られるため、処理負荷を軽減することができる。以降、誘導情報の提示により群衆の状態に影響が及ぶ監視場所(対象エリア)を制御目的エリアと表記する。第二実施形態における目標エリア及び第三実施形態における中心エリアは制御目的エリアに該当する。
【0130】
情報変更部22は、状態監視部21により取得された変化状況に基づいて、情報取得部14により取得されている少なくとも1つの誘導情報を変更する。誘導情報の変更形態としては、誘導先の変更、誘導の停止、誘導力の増減等があり得る。例えば、制御目的エリアにおいてその誘導情報の提示後で群衆の状態が所望の状態とならない場合には、情報変更部22は、その誘導情報を誘導力がより強い誘導情報に変更する。逆に、誘導情報の提示により群衆の状態が所望の状態に近づいた場合には、情報変更部22は、その誘導情報を誘導力がより弱い誘導情報に変更してもよい。誘導情報の誘導力の増減は、例えば、予測混雑度の増減、誘導情報の表示頻度等で実現可能である。
【0131】
制御部15は、情報変更部22により変更された少なくとも1つの誘導情報に対応する表示装置6にその変更された誘導情報を表示させる。
【0132】
〔動作例/誘導方法〕
以下、第四実施形態における誘導方法について図16を用いて説明する。図16は、第四実施形態における誘導処理装置10の、誘導情報の変更に関する動作例を示すフローチャートである。第四実施形態における誘導方法の実行主体は、第一実施形態と同様である。各工程は、誘導処理装置10が有する上述の各処理部の処理内容と同様であるため、各工程の詳細は、適宜省略される。
【0133】
図16に示される動作時には、誘導処理装置10は、既に、少なくとも1つの表示装置6に誘導情報を表示させている。この誘導情報の提示により制御目的エリアにおける群衆の状態に影響が及ぶ。
【0134】
誘導処理装置10は、各監視カメラ5により撮像された監視画像をそれぞれ取得する(S161)。誘導処理装置10は、当該監視画像を時系列に逐次取得する。取得される監視画像には、制御目的エリアが撮像された監視画像が含まれる。
【0135】
誘導処理装置10は、(S161)で取得された監視画像を解析することで、対象エリアにおける群衆の状態を取得する(S162)。誘導処理装置10は、制御目的エリアにおける群衆の状態のみを取得してもよい。
【0136】
誘導処理装置10は、制御目的エリアにおける群衆の状態の変化状況を取得する(S163)。
誘導処理装置10は、(S163)で取得された変化状況に基づいて、表示されている誘導情報を変更する(S164)。誘導情報の変更形態については上述したとおりである。
【0137】
誘導処理装置10は、変更された誘導情報を対応する表示装置6に表示させる(S165)。
【0138】
〔第四実施形態における作用及び効果〕
第四実施形態では、誘導情報の表示後の時系列の監視画像に基づいて、制御目的エリアにおける群衆の状態の変化状況が取得され、その変化状況に応じて、誘導情報が変更される。このように、第四実施形態によれば、誘導情報の提示により群衆が誘導された結果が制御目的エリアの群衆の状態の変化状況で判定され、その群衆の状態が所望の状態となるように、誘導情報が適宜調整される。従って、群衆の状態が所望の状態となるように、効率的に群衆を誘導することができる。
【0139】
[変形例]
上述の各実施形態において、誘導処理装置10(情報取得部14)は、環境の状況を示す環境状況情報を更に用いて、誘導情報を取得するようにしてもよい。
【0140】
図17は、変形例における誘導処理装置10の処理構成例を概念的に示す図である。図17に示されるように、誘導処理装置10は、第一実施形態の構成に加えて、環境取得部25を更に有する。環境取得部25についても他の処理部と同様に実現される。図17は、環境取得部25が第一実施形態における処理構成に追加された構成を例示する。
【0141】
環境取得部25は、環境状況情報を取得する。環境状況情報には、例えば、誘導対象の群衆が存在する場所や誘導先の、気象情報(天候、注意報等)及び気象要素情報(気温、湿度等)、異常情報(電車遅延、事故、故障、自然災害等)等があり得る。また、誘導対象の群衆が試合会場に存在する場合には、その試合の勝敗や試合内容等も環境状況情報に含まれ得る。環境取得部25は、このような環境状況情報を他のシステムやサービスから通信を介して取得する。
【0142】
情報取得部14は、環境取得部25で取得された環境状況情報を更に用いて、誘導情報を取得する。実施例1によれば、情報取得部14は、券売機の混雑度と近さに加えて、その券売機の故障情報を用いて、誘導先として提示する券売機を特定してもよい。実施例2によれば、情報取得部14は、勝ったチームの座席区間と負けたチームの座席区間とを区別して、両座席区間の群衆が同一誘導先とならないように、誘導情報を生成してもよい。また、実施例4において、雨天の場合に、雨に濡れない通路に繋がる改札が優先的に誘導先となるように、誘導情報が生成されてもよい。
【0143】
この変形例によれば、群衆の希望に沿う誘導情報を提示することができ、群衆が誘導情報に従い易くなる。結果、群衆を適切に誘導することができる。
【0144】
[第五実施形態]
以下、第五実施形態における誘導処理装置及び誘導方法について図18及び図19を用いて説明する。
【0145】
図18は、第五実施形態における誘導処理装置の処理構成例を概念的に示す図である。図18に示されるように、誘導処理装置100は、情報取得部101及び制御部102を有する。図18に示される誘導処理装置100は、例えば、図1に示される上述の誘導処理装置10と同様のハードウェア構成を有する。但し、誘導処理装置100は、監視カメラ5及び表示装置6と直接やりとりできるように接続されていなくてもよい。上述の誘導処理装置10と同様にプログラムが処理されることで、上述の各処理部が実現される。
【0146】
情報取得部101は、1以上の画像内の複数人の状態に基づいて、各々異なる複数の誘導情報を取得する。情報取得部101は、上述の画像取得部11及び解析部12のように、自身で画像から複数人(群衆)の状態を抽出することができる。また、情報取得部101は、他のコンピュータにより抽出された、複数人の状態に関する情報を、当該他のコンピュータから通信を介して取得することもできる。複数人の状態は、第一実施形態において説明した群衆の状態と同意である。また、情報取得部101は、1つの監視カメラ5で撮像された画像、又は、複数の監視カメラ5で撮像された複数の画像から抽出された複数人の状態を用いる。前者の場合、1つの監視場所に存在する人々の状態に基づいて誘導情報が取得される。後者の場合、複数の監視場所に存在する人々の状態に基づいて誘導情報が取得される。
【0147】
情報取得部101は、上述の各実施形態と同様の手法で誘導情報を取得する。情報取得部101は、予め保持される複数の誘導情報の中から、当該複数人の状態に基づいて、各対象装置のための誘導情報をそれぞれ選択することもできる。例えば、情報取得部101は、第一の対象装置のために第一の誘導先を示す誘導情報及び第二の誘導先を示す誘導情報を予め保持し、第二の対象装置のために第三の誘導先を示す誘導情報及び第四の誘導先を示す誘導情報を予め保持する。情報取得部101は、当該複数人の状態が高い混雑度を示す場合、第一の対象装置のために第二の誘導先を示す誘導情報を取得し、第二の対象装置のために第四の誘導先を示す誘導情報を取得する。逆に、当該複数人の状態が低い混雑度を示す場合、情報取得部101は、第一の対象装置のために第一の誘導先を示す誘導情報を取得し、第二の対象装置のために第三の誘導先を示す誘導情報を取得する。
【0148】
情報取得部101により取得される誘導情報とは、表示される情報のみならず、人々を誘導するためのあらゆる情報を意味する。誘導情報の具体的内容については、制御対象となる対象装置によっても変わり得る。誘導情報の例は、以降で説明される。
【0149】
制御部102は、複数の誘導情報に対応する各々異なる複数の状態となるように、異なる空間に対して存在する複数の対象装置の制御、又は、対象装置の時分割制御を実行する。制御部102により制御される対象装置には、人々を誘導し得る様々な装置が該当する。上述の各実施形態における表示装置6(ユーザの携帯端末を含む)に加えて、スピーカ、照明、空調機、匂い発生器、通路の幅を制御する通路制御装置等も対象装置に該当する。上述の各実施形態においても、表示装置6に代えて又は表示装置6と共に、このような対象装置が誘導処理装置10により制御されてもよい。複数の対象装置の制御及び対象装置の時分割制御は、制御部102により直接実行されてもよいし、他の装置を介して制御部102により間接的に実行されてもよい。
【0150】
対象装置が表示装置6である場合、上述の各実施形態と同様に、制御部102は、各誘導情報をそれぞれ表示する状態となるように、各対象装置(各表示装置6)をそれぞれ制御する。表示装置6の制御は、描画データ又は誘導情報の表示装置6への送信により実現される。誘導情報には、表示頻度、表示サイズ、表示色のような表示形態の指定が含まれてもよい。このような指定が誘導情報に含まれる場合には、制御部102は、誘導情報で指定される表示形態で誘導情報が表示されるように、各対象装置を制御する。
【0151】
対象装置がスピーカである場合、制御部102は、各誘導情報に対応する各音声又は各音響をそれぞれ出力する状態となるように、各対象装置(各スピーカ)をそれぞれ制御する。制御部102は、各誘導情報に対応する各音声データ又は各音響データを取得し、取得された各音声データ又は各音響データを各対象装置に送信することで、対象装置の制御を実現することができる。この場合、情報取得部101により取得される誘導情報は、音声データ又は音響データを識別する音声識別情報、若しくは、音声データ又は音響データそのものに相当する。音響が各スピーカから出力される場合、誘導先及び誘導先への通路に設置されたスピーカはリラックス音楽を出力し、それ以外の場所の通路に設置されたスピーカはノイズを出力することで、群衆を誘導先方向に導くことができる。また、混雑状況緩和のために、群衆をあるところに留まらせたい(目的地への流量を減らしたい)場合には、制御部102は、その途中の経路で滞留を促すような、群衆を惹きつける音楽を流すようにしてもよい。
【0152】
対象装置が照明である場合、制御部102は、各誘導情報に対応する色及び明るさの少なくとも1つを満たすように、各対象装置(各照明)をそれぞれ制御する。この場合、情報取得部101により取得される誘導情報は、照明の色及び明るさの少なくとも1つを指定するための照明指示情報(照明指示信号)に相当する。誘導先及び誘導先への通路に設置された照明は明るくされ、それ以外の場所の通路に設置された照明は暗くされることで、群衆を誘導先方向に導くことができる。また、混雑状況緩和のために、群衆をあるところに留まらせたい場合に、制御部102は、その部分のみを明るくするようにしてもよい。
【0153】
対象装置が空調機(送風機やミスト発生器、ストーブや電熱器等も含む)である場合、制御部102は、各誘導情報に対応する温度、湿度、風の強さ及び風の向きの少なくとも1つを満たすように、各対象装置(各空調機)をそれぞれ制御する。この場合、情報取得部101により取得される誘導情報は、温度、湿度、風の強さ、風の向き等を指定するための空調指示情報(空調指示信号)に相当する。夏の暑い日には、誘導先及び誘導先への通路に設置された空調機は低温度及び低湿度に設定され、それ以外の場所の通路に設置された空調機は停止されることで、群衆を誘導先方向に導くことができる。混雑状況緩和のために、群衆をあるところに留まらせたい場合には、制御部102は、その場所の空調を稼働させ、快適性を上げるようにしてもよい。
【0154】
対象装置が匂い発生器である場合、制御部102は、誘導情報に対応する匂いを発生させる状態となるように、各対象装置(各匂い発生器)をそれぞれ制御する。この場合、情報取得部101により取得される誘導情報は、発生させる匂いを指定するための匂い指示情報(匂い指示信号)に相当する。誘導先及び誘導先への通路に設置された匂い発生器は人が好む匂いを発生し、それ以外の場所の通路に設置された匂い発生器は人が嫌がる匂いを発生することで、群衆を誘導先方向に導くことができる。混雑状況緩和のために、群衆をあるところに留まらせたい場合には、制御部102は、その場所で群衆を惹きつける匂いを発生させるようにしてもよい。
【0155】
対象装置が通路制御装置である場合、制御部102は、通路制御装置により制御される通路が誘導情報に対応する幅となるように、各対象装置(各通路制御装置)をそれぞれ制御する。この場合、情報取得部101により取得される誘導情報は、通路幅を指定するための通路幅指示情報(通路幅指示信号)に相当する。各通路制御装置により、誘導先及び誘導先への通路の幅は広く又は通常の幅にされ、それ以外の場所の通路の幅は狭くされることで、群衆を誘導先方向に導くことができる。また、通路に置かれたポールや仕切りのように、幅ではなく、経路の長さを調節可能な通路制御装置の場合には、制御部102は、経路長を変化させるようにしてもよい。
【0156】
制御部102による対象装置の時分割制御とは、対象装置の状態が時間で複数の誘導情報に対応する各々異なる状態に切り替えられることを意味する。例えば、各誘導情報が異なる言語でそれぞれ表記又は発声される場合に、制御部102は、表示装置6又はスピーカに各誘導情報を順次切り替えて出力させる。例えば、複数の国籍の群衆を誘導する場合に、情報取得部101は、言語毎に、誘導手法の異なる誘導情報をそれぞれ取得する。制御部102は、各誘導情報が対応する言語で発声された各音声が時分割に出力されるように、各スピーカを制御する。具体的には、出口Aに誘導する音声アナウンスがまず中国語で出力され、その後、出口Bに誘導する音声アナウンスが韓国語で出力され、その後、出口Cに誘導する音声アナウンスが日本語で出力される。これにより、群衆を国籍毎に誘導することができる。この場合、情報取得部101は、複数人の状態として国籍毎の人の状態(人数等)に対応する誘導情報を取得してもよい。これにより、人数の少ない国籍の群衆から先に誘導し、人数の多い国籍の群衆を後に誘導するといった誘導制御を行うことができる。
【0157】
図19は、第五実施形態における誘導処理装置100の動作例を示すフローチャートである。図19に示されるように、第五実施形態における誘導方法は、誘導処理装置100のような少なくとも1つのコンピュータにより実行される。例えば、図示される各工程は、誘導処理装置100が有する各処理部により実行される。
【0158】
第五実施形態における誘導方法は、1以上の画像内の複数人の状態に基づいて、各々異なる複数の誘導情報を取得し(S191)、複数の誘導情報に対応する各々異なる複数の状態となるように、異なる空間に対して存在する複数の対象装置の制御、又は、対象装置の時分割制御を実行する(S192)、ことを含む。(S191)は、図5の(S54)、図11の(S116)、図14の(S135)等に相当する。(S192)は、図5の(S55)、図11の(S117)、図17の(S136)等に相当する。
【0159】
第五実施形態によれば、上述の各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0160】
なお、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態及び各変形例は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0161】
上記の各実施形態及び各変形例の一部又は全部は、以下のようにも特定され得る。但し、各実施形態及び各変形例が以下の記載に限定されるものではない。
【0162】
1. 1以上の画像内の複数人の状態に基づいて、各々異なる複数の誘導情報を取得する情報取得手段と、
前記複数の誘導情報に対応する各々異なる複数の状態となるように、異なる空間に対して存在する複数の対象装置の制御、又は、対象装置の時分割制御を実行する制御手段と、
を備える誘導処理装置。
2. 前記複数の対象装置の制御又は前記対象装置の時分割制御の実行後に撮像された時系列の画像に基づく複数人の状態の変化状況を取得する状態監視手段と、
前記変化状況に基づいて、前記複数の誘導情報の少なくとも1つを変更する情報変更手段と、
を更に備え、
前記制御手段は、変更された少なくとも1つの誘導情報に対応する対象装置の制御を変更する、
1.に記載の誘導処理装置。
3. 環境の状況を示す環境状況情報を取得する環境取得手段、
を更に備え、
前記情報取得手段は、前記環境状況情報を更に用いて、複数の誘導情報を取得する、
1.又は2.に記載の誘導処理装置。
4. 異なる対象エリアがそれぞれ撮像された複数画像を解析して、各対象エリアにおける複数人の状態をそれぞれ取得する解析手段、
を更に備え、
前記情報取得手段は、前記各対象エリアにおける前記複数人の状態に基づいて、前記対象エリア間、前記複数の対象装置に対応する前記空間の間、又は、該各空間と前記各対象エリアとの間の位置関係に対応する各誘導情報をそれぞれ生成し、
前記制御手段は、前記複数の対象装置の各々を前記各誘導情報に対応する状態にさせる、
1.から3.のいずれか1つに記載の誘導処理装置。
5. 第一対象エリアが撮像された画像を解析して該第一対象エリアにおける人の混雑度を取得し、該第一対象エリアへ向かう第二対象エリアが撮像された画像を解析して該第二対象エリアの人の流量を取得する解析手段、
を更に備え、
前記情報取得手段は、
前記解析手段により取得される前記第一対象エリアの混雑度及び前記第二対象エリアの流量に基づいて、任意の時点における前記第一対象エリアの人の予測混雑度を取得する予測手段、
を含み、
複数の出力装置に対応する前記各空間から前記第一対象エリアまでの人の移動にかかる各所要時間及び前記予測混雑度を用いて、該各空間に存在する人が将来的に前記第一対象エリアに到達した時点における前記第一対象エリアの予測混雑度を該各空間についてそれぞれ前記誘導情報として取得し、
前記制御手段は、前記複数の出力装置に、各出力装置に対応する各空間に関し取得された前記第一対象エリアの予測混雑度をそれぞれ出力させる、
1.から4.のいずれか1つに記載の誘導処理装置。
6. 前記複数の出力装置は、複数の携帯端末であり、
前記情報取得手段は、前記複数の携帯端末の位置情報及び移動速度情報を取得し、該位置情報及び該移動速度情報を用いて、前記各携帯端末を保持する各ユーザが前記第一対象エリアに到達する前記各所要時間をそれぞれ推定し、前記複数の携帯端末の各々について、各ユーザが将来的に前記第一対象エリアに到達した時点における前記第一対象エリアの予測混雑度をそれぞれ取得し、
前記制御手段は、前記複数の携帯端末に、前記第一対象エリアの各予測混雑度をそれぞれ表示させる、
5.に記載の誘導処理装置。
7. 前記情報取得手段は、前記第二対象エリアの流量に基づいて、前記複数の出力装置に対応する前記各空間に関し取得された前記第一対象エリアの予測混雑度を増加させ、増加させた予測混雑度を前記誘導情報として取得する、
5.に記載の誘導処理装置。
8. 対象エリアが撮像された画像を解析して該対象エリアにおける人の混雑度を取得し、該対象エリアの複数の周辺エリアが撮像された複数画像を解析して該各周辺エリアの人の混雑度及び移動方向を取得する解析手段、
を更に備え、
前記情報取得手段は、
前記複数の周辺エリアの混雑度及び移動方向に基づいて、前記複数の周辺エリアの、前記対象エリアの混雑度に与える影響度を決定する決定手段と、
を含み、
前記複数の周辺エリアの影響度に基づいて、各々異なる複数の誘導情報を取得する、
1.から7.のいずれか1つに記載の誘導処理装置。
【0163】
9. 少なくとも1つのコンピュータにより実行される誘導方法において、
1以上の画像内の複数人の状態に基づいて、各々異なる複数の誘導情報を取得し、
前記複数の誘導情報に対応する各々異なる複数の状態となるように、異なる空間に対して存在する複数の対象装置の制御、又は、対象装置の時分割制御を実行する、
ことを含む誘導方法。
10. 前記複数の対象装置の制御又は前記対象装置の時分割制御の実行後に撮像された時系列の画像に基づく複数人の状態の変化状況を取得し、
前記変化状況に基づいて、前記複数の誘導情報の少なくとも1つを変更し、
前記変更された少なくとも1つの誘導情報に対応する対象装置の制御を変更する、
ことを更に含む9.に記載の誘導方法。
11. 環境の状況を示す環境状況情報を取得する、
ことを更に含み、
前記誘導情報の取得は、前記環境状況情報を更に用いて、複数の誘導情報を取得する、
9.又は10.に記載の誘導方法。
12. 異なる対象エリアがそれぞれ撮像された複数画像を解析して、各対象エリアにおける複数人の状態をそれぞれ取得する、
ことを更に含み、
前記誘導情報の取得は、前記各対象エリアにおける前記複数人の状態に基づいて、前記対象エリア間、前記複数の対象装置に対応する前記空間の間、又は、該各空間と前記各対象エリアとの間の位置関係に対応する各誘導情報をそれぞれ生成し、
前記対象装置の制御は、前記複数の対象装置の各々を前記各誘導情報に対応する状態にさせる、
9.から11.のいずれか1つに記載の誘導方法。
13. 第一対象エリアが撮像された画像を解析して該第一対象エリアにおける人の混雑度を取得し、該第一対象エリアへ向かう第二対象エリアが撮像された画像を解析して該第二対象エリアの人の流量を取得し、
前記第一対象エリアの混雑度及び前記第二対象エリアの流量に基づいて、任意の時点における前記第一対象エリアの人の予測混雑度を取得する、
ことを更に含み、
前記誘導情報の取得は、複数の出力装置に対応する前記各空間から前記第一対象エリアまでの人の移動にかかる各所要時間及び前記予測混雑度を用いて、該各空間に存在する人が将来的に前記第一対象エリアに到達した時点における前記第一対象エリアの予測混雑度を該各空間についてそれぞれ前記誘導情報として取得し、
前記対象装置の制御は、前記複数の出力装置に、各出力装置に対応する各空間に関し取得された前記第一対象エリアの予測混雑度をそれぞれ出力させる、
9.から12.のいずれか1つに記載の誘導方法。
14. 前記複数の出力装置は、複数の携帯端末であり、
前記誘導方法は、
前記複数の携帯端末の位置情報及び移動速度情報を取得し、
前記位置情報及び前記移動速度情報を用いて、前記各携帯端末を保持する各ユーザが前記第一対象エリアに到達する前記各所要時間をそれぞれ推定する、
ことを更に含み、
前記誘導情報の取得は、前記複数の携帯端末の各々について、各ユーザが将来的に前記第一対象エリアに到達した時点における前記第一対象エリアの予測混雑度をそれぞれ取得し、
前記対象装置の制御は、前記複数の携帯端末に、前記第一対象エリアの各予測混雑度をそれぞれ表示させる、
13.に記載の誘導方法。
15. 前記誘導情報の取得は、前記第二対象エリアの流量に基づいて、前記複数の出力装置に対応する前記各空間に関し取得された前記第一対象エリアの予測混雑度を増加させ、増加させた予測混雑度を前記誘導情報として取得する、
13.に記載の誘導方法。
16. 対象エリアが撮像された画像を解析して該対象エリアにおける人の混雑度を取得し、該対象エリアの複数の周辺エリアが撮像された複数画像を解析して該各周辺エリアの人の混雑度及び移動方向を取得し、
前記複数の周辺エリアの混雑度及び移動方向に基づいて、前記複数の周辺エリアの、前記対象エリアの混雑度に与える影響度を決定する、
ことを更に含み、
前記誘導情報の取得は、前記複数の周辺エリアの影響度に基づいて、各々異なる複数の誘導情報を取得する、
9.から15.のいずれか1つに記載の誘導方法。
【0164】
17. 複数の監視場所が撮像された複数の画像における人物の混雑状況、前記監視場所、及び対象装置が設けられている複数の場所に基づいて、誘導情報を生成する情報取得手段と、
前記誘導情報に応じて、前記複数の場所の対象装置を制御する制御手段と、
を備える誘導処理装置。
18. 少なくとも1つのコンピュータにより実行される誘導方法において、
複数の監視場所が撮像された複数の画像における人物の混雑状況、前記監視場所、及び対象装置が設けられている複数の場所に基づいて、誘導情報を生成し、
前記誘導情報に応じて、前記複数の場所の対象装置を制御する、
ことを含む誘導方法。
19. 9.から16.及び18.のいずれか1つに記載の誘導方法を少なくとも1つのコンピュータに実行させるプログラム。
20. 19.に記載のプログラムをコンピュータに読み取り可能に記録する記録媒体。
【0165】
この出願は、2014年6月30日に出願された日本出願特願2014-134664号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
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