(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】神経変調装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240814BHJP
A61N 1/08 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/08
(21)【出願番号】P 2022538986
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2020085795
(87)【国際公開番号】W WO2021130033
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522250530
【氏名又は名称】スティムヴィア・エス・エル・オー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルカシュ・ドスコチル
(72)【発明者】
【氏名】ズデニェク・クルチル
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-508897(JP,A)
【文献】特表2009-539550(JP,A)
【文献】特表2019-501003(JP,A)
【文献】特開2001-170190(JP,A)
【文献】特表2019-529001(JP,A)
【文献】特開2006-271689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
A61N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変調装置(1)であって、
患者(28)の皮膚に適用される導電性素子(32)をそれぞれ有する複数の電極(2、2a)と、
前記複数の電極(2、2a)のうちの各電極に電気的に接続され、前記複数の電極に電気パルスを伝達するためのパルス発生器(3)と、
前記パルス発生器に結合され、前記複数の電極のうち少なくとも二つの電極の間の抵抗(16)及び/又は電流電圧特性(17)を周期的に測定するように構成され、測定された抵抗及び/又は電流電圧特性に基づいて前記電気パルスの
立ち上がりエッジ(40)の傾斜を制御するように構成されており、
前記立ち上がりエッジの傾斜を制御するために、前記複数の電極のうち前記少なくとも二つの電極の間の前記抵抗及び/又は電流電圧特性の周期的な測定に基づいて前記パルス発生器の内部抵抗を動的制御するように構成されている、制御ユニット(4)と、を備える神経変調装置。
【請求項2】
前記パルス発生器が発生させた少なくとも一つのパルスに対する前記患者の身体の反応を検出するように構成され、検出された反応に対するフィードバックを前記制御ユニットに与えるように更に構成されている少なくとも一つの検出器を更に備える請求項1に記載の神経変調装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの検出器が、前記患者の身体の動きを検出し前記動きに対するフィードバックを前記制御ユニットに与えるように構成された少なくとも一つのモーション検出器(24)であり、前記患者の身体の動きが、前記パルス発生器の少なくとも一つのパルスに対する反応である、請求項2に記載の神経変調装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つのモーション検出器が、加速度計(25)と電場センサ(26)とカメラ(27)とのうち少なくとも一つを含む、請求項3に記載の神経変調装置。
【請求項5】
前記複数の電極のうち少なくとも一つの電極が、前記患者の身体の少なくとも一つの周辺神経の近傍に適用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項6】
前記制御ユニットが、少なくとも一つの電極が前記患者の皮膚上で動かされ又は再配置される際に所定の神経に向けた電極位置誘導のフィードバックを与えるように構成され、前記フィードバックが、前記複数の電極のうち少なくとも二つの電極の間の抵抗及び/又は電流電圧特性の変化に基づく、請求項1から5のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項7】
前記制御ユニットが、前記電気パルスの
前記立ち上がりエッジ(
40)の傾斜及
び前記電気パルスの振幅(10)を制御するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項8】
前記制御ユニットが、前記電気パルスのパルス周期(8)及び/又はパルス幅(9)を制御するように更に構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項9】
前記複数の電極が、互いに電気的に絶縁された複数の導電性素子(32)を備える少なくとも一つの電極マトリクスによって形成されていて、前記複数の導電性素子の各々が前記患者の皮膚に適用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、効果的な神経変調に係り、特に、信号発生器からの神経変調信号をターゲット神経に効果的にターゲティングすることを可能にする神経変調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本節は、本開示に関係する背景情報を与えるが、必ずしも従来技術ではない。
【0003】
電気神経変調は、痛み、尿失禁、精神不全や他の不全の治療と、血管疾患の予防に用いられている。
【0004】
従来のシステムは、刺激されたい神経の極近傍に挿入される身体侵襲性のニードル電極の形状である単純な神経変調電極を用いている。神経の極近傍にニードル電極を挿入する必要性には、電極の不正確な配置とその結果としての神経損傷の危険性や、ターゲット神経の極近傍に配置されない場合の神経変調の効率が所望よりも低くなることが常に付きまとう。
【0005】
近年では、所望の神経の変調を可能にする金属製のバイポーラ電極を用いた新規の非侵襲性の方法が知られている。このような電極の各端部は患者の皮膚上の刺激ポイントに配置される。刺激ポイントは、典型的には、経験と人体についての知識に基づいて、予測される近接箇所として決定される。神経変調パルスの強度設定は、典型的には工場出荷時の初期設定である。
【0006】
こうした手法には、電極の最も有効な神経変調箇所が神経変調治療全体に対して顕著な効果を有するという点を見落としているという欠点がある。また、電極が神経変調中に動いて、神経変調治療の効果を更に悪化させ得る。
【0007】
更に、ターゲット神経に対する電極の不正確な位置を補償するため、神経変調治療用のパルスの強度設定は不必要に高く設定され、神経変調治療を受ける患者を不快にさせる。
【0008】
従って、上述の問題並びに想定される他の問題のうち少なくとも一部を考慮した装置を提供することが有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一つの目的は上記欠点のうち少なくとも一部を軽減することである。本開示の一態様は神経変調装置に関する。神経変調装置は、複数の電極(それら複数の電極のうちの各電極が患者の皮膚に適用可能な導電性素子を有する)と、複数の電極のうちの各電極に電気的に接続され、複数の電極に電気パルスを伝達するためのパルス発生器と、パルス発生器に結合され、複数の電極のうち少なくとも二つの電極の間の抵抗及び/又は電流電圧特性を測定するように構成された制御ユニットと、を含む。制御ユニットは、測定された抵抗及び/又は電流電圧特性に基づいて電気パルスの形状を制御するように構成される。
【0010】
他の態様では、神経変調装置は、パルス発生器が発生させた少なくとも一つのパルスに対する患者の身体の反応を検出するように構成された少なくとも一つの検出器を更に備え、検出器は、検出された反応に対するフィードバックを制御ユニットに与えるように更に構成される。
【0011】
他の態様では、少なくとも一つの検出器は、パルス発生器が発生させた少なくとも一つのパルスに対する反応として筋肉が生じさせる電気的活動の変化を検出するように構成される。
【0012】
他の態様では、少なくとも一つの検出器は、少なくとも一つの筋電図検査(EMG,electromyography)センサである。
【0013】
他の態様では、少なくとも一つの検出器は、患者の身体の動きを検出するように構成され且つその動きに対するフィードバックを制御ユニットに与えるように構成された少なくとも一つのモーション(動き)検出器である。患者の身体の動きは、パルス発生器の少なくとも一つのパルスに反応したものである。
【0014】
他の態様では、少なくとも一つのモーション検出器は、加速度計、電場センサ、カメラ、光学センサ、赤外線センサ、容量センサ、誘導センサ、超音波センサ、磁気センサのうち少なくとも一つを含む。
【0015】
他の態様では、複数の電極のうちの少なくとも一つの電極は、患者の身体の少なくとも一つの周辺神経の近傍に適用可能である。
【0016】
他の態様では、複数の電極のうちの少なくとも一つの電極は、一肢に適用可能であり、患者の検出される動きは、その一肢の動きである。
【0017】
他の態様では、複数の電極は、患者の一方の脚の膝の裏側に適用可能な第一電極と、患者の他方の脚の膝の裏側に適用可能な第二電極とを備える。
【0018】
他の態様では、複数の電極は、患者の脚の足首の近傍に適用可能な第一電極を備える。
【0019】
他の態様では、複数の電極は、患者の海綿体神経の近傍に適用可能な第一電極を備える。
【0020】
他の態様では、複数の電極のうち少なくとも一つの電極は患者の喉に適用可能であり、患者の検出される動きは、患者の少なくとも一つの顔面筋の動きである。
【0021】
他の態様では、複数の電極は、患者の一方の脚の足首の近傍に適用可能な第一電極と、患者の他方の脚の足首の近傍に適用可能な第二電極とを備える。
【0022】
他の態様では、複数の電極は、患者の皮膚に適用可能な接地電極を更に備える。
【0023】
他の態様では、複数の電極は、患者の腹部の皮膚に適用可能な接地電極を更に備える。
【0024】
他の態様では、複数の電極は、仙骨神経の近傍において患者の腰部に適用可能な接地電極を更に備える。
【0025】
他の態様では、制御ユニットは、少なくとも一つの電極が患者の皮膚上で動かされる又は再配置されている際に所定の神経に向けた電極位置誘導のフィードバックを与えるように構成され、与えられるフィードバックは、複数の電極のうち少なくとも二つの電極の間の抵抗及び/又は電流電圧特性の変化に基づく。
【0026】
他の態様では、フィードバックは、音、画像や動画、生理学的反応のうち少なくとも一つとして与えられる。
【0027】
他の態様では、制御ユニットは、電気パルスの立ち上がりエッジの傾斜及び/又は電気パルスの振幅を制御するように構成される。
【0028】
他の態様では、制御ユニットは、電気パルスのパルス周期及び/又はパルス幅を制御するように更に構成される。
【0029】
他の態様では、制御ユニットは、抵抗及び/又は電流電圧特性を周期的に測定するように構成される。
【0030】
他の態様では、制御ユニットは、抵抗及び/又は電流電圧特性の周期的な測定に基づいてパルス発生器の内部抵抗を動的制御(ダイナミックコントロール)するように構成される。
【0031】
他の態様では、複数の電極は、互いに電気的に絶縁された複数の導電性素子を備える電極マトリクスによって形成され、各導電性素子が患者の皮膚に適用可能である。
【0032】
更なる態様は、上述の神経変調装置の使用方法に関する。本方法は、患者の皮膚に複数の電極を適用すること(複数の電極のうち少なくとも一つの電極が、変調させたいターゲット神経の推定位置に配置される)と、較正モードを開始して、複数の電極の間の抵抗及び/又は電流電圧特性の測定によって初期位置を較正することと、複数の電極の間の抵抗及び/又は電流電圧特性を周期的に測定及び記録しながら患者の皮膚に適用された複数の電極のうち少なくとも一つの電極を動かす又は再配置することと、記録された抵抗及び/又は電流電圧特性内の変動を求めることとを含む。
【0033】
更なる態様では、本方法は、変動に基づいて、複数の電極のうち少なくとも一つの電極と変調させたいターゲット神経との間の最適位置に向けたフィードバック誘導を与えることを含む。
【0034】
更なる態様では、本方法は、可聴信号を発生させ又は画像を表示して、複数の電極のうち少なくとも一つの電極の最適位置の誘導フィードバックを与えることを含む。
【0035】
更なる態様では、本方法は、測定された抵抗及び/又は電流電圧特性に基づいて神経変調用のパルスの初期プロファイルを決定することを含む。
【0036】
更なる態様では、本方法は、複数の電極のうちの各電極に接続されたパルス発生器によって少なくとも一つのパルスを発生させることを含む。
【0037】
更なる態様では、本方法は、パルス発生器が発生させた少なくとも一つのパルスに対する患者の身体の反応を検出することを含む。
【0038】
更なる態様では、本方法は電気パルスの周波数及び/又は振幅を設定することを含む。
【0039】
更なる応用領域は本開示の説明から明らかとなるものである。本開示における説明と具体的な例は、単に例示目的のためのものであって本開示の範囲を限定するものではない。
【0040】
更なる態様は、過活動膀胱、片頭痛、勃起不全、精子形成障害、良性前立腺肥大症のうち少なくとも一つの治療のために上記神経変調装置を使用する治療方法に関する。
【0041】
更なる態様では、本治療方法は、患者の皮膚に複数の電極を適用すること(複数の電極の電極のうち少なくとも一つの電極が、変調させたいターゲット神経の推定位置に配置される)と、複数の電極のうちの各電極に接続されたパルス発生器によってパルスを発生させることとを含む。
【0042】
更なる態様では、本治療方法は、患者の皮膚に複数の電極のうち少なくとも一つの電極を適用することを含み、その少なくとも一つの電極は、座骨神経、陰部神経、腓骨神経、海綿体神経、仙骨神経、脛骨神経のうち少なくとも一つの推定位置に配置される。
【0043】
更なる態様では、本治療方法は、患者の皮膚に複数の電極のうち少なくとも一つの電極を適用することを含み、その少なくとも一つの電極は、腰仙骨神経、総腓骨神経、上殿神経、下殿神経、後大腿皮神経、内閉鎖筋神経、梨状筋神経、大腿方形筋神経、足底神経、又は尾骨神経の推定位置に配置される。
【0044】
更なる態様では、本治療方法は、上述の神経変調装置の使用方法と併用して又は一部として使用され得る。
【0045】
本発明の他の特徴と利点は、添付図面を参照して、非限定的な例として与えられる本発明の一部実施形態についての以下の詳細な説明から明らかとなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】神経変調装置の一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】パルス発生器の一実施形態を示すブロック図である。
【
図3】制御ユニットの一実施形態を示すブロック図である。
【
図4】神経変調装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【
図5】モーション検出器としてのカメラと共に患者上の電極配置の例示図である。
【
図6】モーション検出器としての加速度計と共に患者上の電極配置の例示図である。
【
図12】神経変調装置を用いる方法の一実施形態を示す流れ図である。
【
図13】電極を配置する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【
図14】パルス形状を決定する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
上記の概要と以下の具体的な例についての詳細な説明は、添付図面と共に読むことでより良く理解されるものである。本願において、単数形で記載されている要素やステップは、特に断らない限りは、複数のそれらの要素やステップを排除するものではないとして理解されるものである。更に、「一実施形態」への言及は、記載の特徴を含む追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されるものではない。また、特に断らない限りは、特定の性質を有する一つの要素又は複数の要素を「備える」又は「有する」実施形態は、その性質を有さない追加の要素を含み得るものである。
【0048】
図面において同じ参照符号は、特に断らない限りは、同一又は同様の要素を称する。図面において各要素やその要素を構成する特定の部分のサイズは、説明の便宜と明確性のために誇張され、省略され、又は概略的に示されている。従って、各構成要素のサイズは実際のサイズを全体的に反映していないものとなり得る。関連する既知の機能や構成の詳細な説明が本開示の要旨を不必要に曖昧にすると考えられる場合には、その説明を省略している。
【0049】
図1は、神経変調装置1の例示的な実施形態のブロック図を示す。本実施形態は、複数の電極2と、パルス発生器3と、制御ユニット4を備える。
【0050】
例えば、
図9に示されるように、複数の電極2のうちの各電極2aは、患者28(例えば、
図5から
図8参照)の皮膚に適用可能な導電性素子32を有し得る。
【0051】
パルス発生器3は、複数の電極2に電気パルスを伝達するために、複数の電極2のうちの各電極2aに電気的に接続され得る。制御ユニット4は、パルス発生器3に結合され、複数の電極2aのうちの少なくとも二つの電極の間の抵抗16及び/又は電流電圧特性17を測定するように構成され得る(
図3参照)。
【0052】
制御ユニット4は、測定された抵抗及び/又は電流電圧特性に基づいて電気パルスの形状を制御するように構成され得る。
【0053】
好ましくは、複数の電極2、2aは、少なくとも一つの接地電極23(例えば、
図4参照)と、少なくとも一つの活性電極とを備える。少なくとも一つの活性電極は、
図4に示されるような第一電極21及び/又は第二電極22であり得る。
【0054】
有利には、
図9に示されるように、少なくとも一つの活性電極21、22の各々は、個別の電極であり、導電性素子32と、非導電材33と、ケーブル34とを備え得る。ケーブル34は、導電性素子32をパルス発生器3及び/又は制御ユニット4に電気的に接続するように構成され得る。
【0055】
有利には、
図10に示されるように、複数の電極2、2aは、少なくとも一つの電極マトリクス状に形成され得る。そして、各電極マトリクスが、互いに電気的に絶縁された複数の導電性素子32を備える。少なくとも一つの電極マトリクスの各導電性素子32は、
図5から
図8に例示されるように患者28の皮膚に適用可能なものとなり得る。好ましくは、各電極マトリクス2は、複数の導電性素子32が結合される非導電材35を更に備える。複数の導電性素子32は非導電材中に埋め込まれてもよい。非導電材は、患者28の身体に電極を配置することを可能にする特定の電極配置用に適したあらゆる形状を有し得る。個別の電極2a又は電極マトリクス2の形状として、円錐台状、オーバル状、曲線状、又は平坦な形状が挙げられる。導電性素子32は互いに近接して配置され得る。非導電材35は、導電性素子用の支持及び/又は保持手段を提供し得て、導電性素子32が適所に保持され互いに電気的に絶縁されることを保証する。好ましくは、各電極マトリクス2は、導電性素子32をパルス発生器及び/又は制御ユニットに電気的に接続するように構成されたケーブル36を更に備える。
【0056】
図2は、パルス発生器3の一実施形態のブロック図を示す。パルス発生器3は制御ユニット4によって制御され得て、又はパルス発生器は直接制御され得る。好ましくは、パルス発生器3は、制御ユニット4に接続されたパルス制御モジュール6を備える。パルス制御モジュール6と制御ユニット4との間の接続は、例えばケーブルを介した有線接続、又は無線接続となり得る。好ましくは、パルス制御モジュール6は複数の電極2、2aに更に接続される。パルス制御モジュール6と複数の電極2、2aとの間の接続は、例えばケーブルを介した有線接続、又は無線接続となり得る。パルス制御モジュール6は、パルス発生器が発生させるパルスのエッジの傾斜を制御するように構成されたエッジ傾斜制御モジュール7を備え得る。制御されるエッジは、パルスの立ち上がりエッジ40及び/又は立ち下がりエッジであり得る。パルス制御モジュール6は、発生させるパルスの周期37を制御するように構成された周期制御モジュール8を更に備え得る。パルス制御モジュール6は、発生させるパルスのパルス幅39を制御するように構成された幅制御モジュール9を更に備え得る。幅制御モジュール9はパルスのパルス幅変調を可能にし得る。パルス制御モジュール6は、発生させるパルスの振幅38を制御するように構成された振幅制御モジュール10を更に備え得る。
【0057】
図3に示されるように、制御ユニット4は、制御モジュール14と測定モジュール15を備え得る。好ましくは、制御ユニット4はメモリモジュール13を更に備える。好ましくは、制御モジュール14は、メモリモジュール13のデータを記憶及び読み出しするように構成される。測定モジュール15は、抵抗測定モジュール16及び/又は電流電圧特性測定モジュール17を備え得る。制御モジュール14は測定モジュール15と電気的に接続され得て、制御モジュール14が、測定モジュール15によって与えられるデータを読み出して解釈することができるようにされ得る。制御モジュール14は、測定モジュール15によって行われる測定を制御し得る。制御ユニット4の制御モジュール14は、抵抗及び/又は電流電圧特性を周期的に測定するように構成され得る。また、制御ユニット4の制御モジュール14は、抵抗及び/又は電流電圧特性の個々の測定のみを行うように、又は周期的な測定を組み合わせた測定を行うように構成され得る。
【0058】
制御モジュール14は、測定モジュール15によって測定されたデータをメモリモジュール13に記憶し得る。更に、制御モジュール14は、測定データを記憶する前に測定データを処理及び/又は解釈し得る。制御モジュール14は、患者に関するデータをメモリモジュール13に記憶し、そこから読み出しするように更に構成され得て、また、患者のデータを測定データと照合する、又は逆に測定データを患者のデータと照合するように更に構成され得る。制御モジュール14は、特定の患者28に関する装置1の設定データをメモリモジュール13に記憶し、メモリモジュールから読み出すように更に構成され得る。装置1の設定データは、測定及び/又は発生させるパルスの設定であり得る。制御モジュール14は、患者のデータを測定データと照合する、又は逆に測定データを患者のデータと照合するように更に構成され得る。制御モジュール14は、装置の設定データを患者のデータ及び測定データと照合するように更に構成され得る。
【0059】
測定モジュール15は複数の電極2、2aに接続され得る。好ましくは、測定モジュールは、複数の電極2、2aのうちの各電極に接続され得る。測定モジュールと複数の電極2、2a又は各電極2、2aとの間の接続は、例えばケーブルを介した有線接続、又は無線接続となり得る。測定モジュール15は、複数の電極2、2aの間の抵抗及び/又は電流電圧特性を測定するように構成され得る。好ましくは、測定モジュール15は、複数の電極2、2aのうち選択された電極同士の間の抵抗及び/又は電流電圧特性を測定するように構成される。測定モジュール15は、要求に応じて周期的又は個別に測定を行うように構成され得る。制御モジュール14は、測定の設定、例えば、その周期、サンプリングレート、分解能、抵抗及び/又は電流電圧特性という測定の種類等を制御し得る。
【0060】
上述のように、制御ユニット4は、測定された抵抗及び/又は電流電圧特性に基づいて、パルス発生器3が発生させる電気パルスの形状を制御するように構成され得る。従って、制御ユニット4がパルス発生器3に接続されて、発生させるパルスを制御し得る。制御ユニット4は、制御モジュール14を介してパルス発生器3に接続されて、発生させるパルスを制御し得る。制御ユニット4又は制御モジュール14とパルス発生器3との間の接続は、例えばケーブルを介した有線接続、又は無線接続となり得る。制御ユニット4の制御モジュール14が、又は制御ユニット4自体が、測定モジュール15から得られた測定データに基づいて、及び/又は、メモリモジュール13に記憶されたデータに基づいて、パルスを制御し得る。
【0061】
図11は、制御モジュール14によって制御可能な、つまりは制御ユニット4によって制御可能な、又はパルス発生器3によって直接制御可能な電気パルスの変数の例示図を与える。制御ユニット4又は制御モジュール14又はパルス発生器3は、パルス発生器3が発生させるパルスの立ち上がりエッジ40の傾斜及び/又は振幅38を制御するように構成され得る。好ましくは、制御ユニット4又はパルス発生器3は、パルス発生器3が発生させる電気パルスのパルス周期37及び/又はパルス幅39も制御するように構成され得る。有利には、制御ユニット4は、複数の電極2、2a同士の間、又は複数の電極2、2aのうち少なくとも二つの電極同士の間の抵抗及び/又は電流電圧特性の周期的又は個別の測定に基づいて、パルス発生器3の内部抵抗を動的制御(ダイナミックコントロール)するように構成され得る。
【0062】
図3に示されるように、制御ユニット4は、電極位置フィードバック18を更に与え得る。電極位置フィードバック18、つまりは制御ユニット4は、少なくとも一つの電極2aが患者の皮膚上で動かされる又は再配置されるのにあわせて、所定の神経に向けた電極位置誘導についてのフィードバックを与えるように構成され得る。フィードバックは、複数の電極2、2aのうち少なくとも二つの電極同士の間の抵抗及び/又は電流電圧特性に基づいたものとなり得る。フィードバックは、複数の電極2、2aのうちの少なくとも一つの活性電極21、22と一つの接地電極との間の抵抗及び/又は電流電圧特性の変化に基づいたものとなり得る。フィードバックは、音、画像、動画、生理学的反応のうち少なくとも一つとして与えられ得る。音フィードバックは、所定の神経に向けて電極を配置する際の誘導を与えるように可変強度及び/又は周波数を有する可聴信号手段として与えられ得る。画像又は動画フィードバックはビジュアル信号手段によって与えられ得る。ビジュアル信号手段はディスプレイ及び/又はサインによって与えられ得る。生理学的反応フィードバックは、例えば、可変強度/振幅及び/又は周波数を有する振動フィードバックによって与えられ得る。このような振動は患者の皮膚に伝達可能である。振動は、動かされている又は再配置されている電極によって直接患者の皮膚に伝達され得る。振動は、電極内部に結合又は集積された振動手段によって誘起され得る。
【0063】
神経変調装置1は、パルス発生器3が発生させる少なくとも一つのパルスに対する患者の身体の反応を検出するように構成された少なくとも一つの検出器11を更に備え得る。
図4に示されるように、検出器11は、検出された反応に対するフィードバックを制御ユニット4に与えるように更に構成され得る。少なくとも一つの検出器11は、パルス発生器3が発生させる少なくとも一つのパルスに対する反応として筋肉が生じさせる電気的活動の変化を検出するように構成され得る。このような筋肉電気的活動検出器19は、筋電図検査(EMG,electromyography)型検出器20であり得る。
【0064】
少なくとも一つの検出器11は、
図4に示されるような少なくとも一つのモーション(動き)検出器24であり得る。少なくとも一つのモーション検出器24は、患者の動きを検出するように構成され、また、動きのフィードバックを制御ユニット4に与えるように構成され得る。患者28の動きは、パルス発生器3の少なくとも一つのパルスに反応したものであり得る。少なくとも一つのモーション検出器24は、加速度計25と、電場センサ26と、カメラ27のうちの少なくとも一つであり得る。好ましくは、
図6に示されるように、モーション検出器として加速度計25が用いられる場合には、少なくとも一つの加速度計25が患者の脚の少なくとも一方の足に取り付けられ得る。任意選択的に、
図5に示されるように、モーション検出器24としてカメラ27が用いられる場合には、カメラは、検出される動きの近傍に配置され、動きを検出するように向けられる。任意選択的に、電場センサ26がモーション検出器24として用いられ得る。電場センサ26は、動きを検出するのに電場の変化を用いることができる。このような電場センサの例は、三次元ジェスチャ認識及び追跡コントローラチップであり、これは、電場を用いて、ジェスチャ情報と、人間の四肢の位置データをリアルタイムで提供する。有利には、カメラ27と加速度計25と電場センサ26のうちの一つ以上から選択されたモーション検出器の組み合わせを使用し得る。これは、検知される動きの精度を改善することに繋がり、また検出の冗長性を与え得る。
【0065】
神経変調装置が少なくとも一つの検出器11を含む場合、制御ユニットは、少なくとも一つの検出器11とやり取りする検出器フィードバックモジュールを更に含み得る。検出器フィードバックモジュールは、少なくとも一つの検出器11からのフィードバックを制御モジュール14と制御ユニット4にそれぞれ与えるように構成され得る。
【0066】
図5及び
図6は、患者28に対する電極配置の例示図を与え、複数の電極2,2aのうち少なくとも一つの電極が患者28の一肢29に適用可能であり、検出される患者の動きはその一肢の動き30であり得る。好ましくは、複数の電極2、2aのうち少なくとも一つの電極は、患者の皮膚に適用可能な接地電極23を更に備える。接地電極23は患者28の腹部に適用可能なものであり得る。代わりに、接地電極23は、患者28の臀部、腰、足首等の他の箇所に適用可能なものであり得る。モーション検出器24はカメラ27又は電場センサ26であり得る。モーション検出器は、一肢29の動き30を検出し得る。一肢の動きは、複数の電極のうち少なくとも一つの電極に伝達されているパルス発生器の少なくとも一つのパルスに反応したものであり得る。好ましくは、複数の電極2、2aのうちの少なくとも一つの電極は、
図4及び
図7に示されるような第一活性電極21と第二活性電極22であり得る。第一活性電極21は、患者28の一方の脚29の膝の裏側に適用可能であり、第二活性電極22は患者の他方の脚30の膝の裏側に適用可能である。第一電極21は、患者28の一方の脚29の足首の近傍において一方の脚29に適用可能ともなり得る。第二電極22は、患者28の他方の脚30の足首の近傍において患者28の他方の脚30に適用可能なものともなり得る。また、
図5や
図6に示されるように、第一電極21及び/又は第二電極22は、足首上方に位置する腓骨神経の近傍にも配置され得る。
【0067】
図7は、患者の両脚30及び29に対する複数の電極2、2aの配置の例示図を示す。複数の電極2、2aのうちの第一活性電極21は、患者28の一方の脚29の膝の裏側に適用され得て、複数の電極2、2aのうちの第二活性電極22は患者28の他方の脚30の膝の裏側に適用され得る。各脚29、30にはそれぞれ一つのモーション検出器24が取り付けられ得て、加速度計25であり得る。各加速度計25は各脚29、30の足に取り付けられ得る。好ましくは、各加速度計25は、足のつま先の領域において各足に取り付けられ得る。活性電極21と22に関して
図7に示される矢印は、各活性電極をターゲット神経に配置する際の患者の皮膚上での各活性電極21、22の潜在的な動きを表している。
【0068】
電極の他の代替的な配置が
図8に示されていて、複数の電極2、2aのうち少なくとも一つの電極は患者の28の喉31又は顔面に適用可能なものであり得て、検出される患者の動きは、患者28の少なくとも一つの顔面筋の動きであり得る。喉31又は顔面に適用可能な複数の電極2、2aのうちの少なくとも一つの電極が少なくとも一つの活性電極21、22となり得る。動きは、図示されているようにカメラ27によって検出され得て、又は、電場センサがモーション検出器として使用され得る。図示されていない接地電極は、頭部、顎、又は喉に適用され得る。
【0069】
図12を参照すると、その例示的な流れ図は、一実施形態の神経変調装置1を用いる方法400を示している。方法400は、複数の電極2、2aを患者28の皮膚に適用するステップ41を備え得る。複数の電極2、2aは、少なくとも一つの活性電極21、22と少なくとも一つの接地電極23を備え得る。少なくとも一つの活性電極21、22は、変調させたいターゲット神経の推定位置に配置され得る。このような配置の一例が
図7に示されている。ターゲット神経の推定位置は、膝の裏側、のど、又は神経変調されるターゲットの近傍において神経変調に適した他の位置であり得る。次のステップ42では、複数の電極2、2a同士の間の抵抗測定が行われる。好ましくは、抵抗測定は、変調させたいターゲット神経の推定位置に位置する少なくとも一つの活性電極21、22と少なくとも一つの接地電極との間で行われる。抵抗測定は、全部、一部、又は少なくとも二つの活性電極について行われる。抵抗測定は、少なくとも二つの活性電極21、22と接地電極23との間で行われ得る。少なくとも一つの活性電極21、22及び/又は接地電極23は、個別の電極2a、又は電極マトリクス2であり得る。
【0070】
次のステップ43では、測定結果に基づいて、電気パルスの形状を決定し得る。測定結果は、パルス発生器3が発生させるパルスの振幅38、パルス幅39、周期37、及び/又は立ち上がり/立ち下がりエッジのうち少なくとも一つを決定し得るものである。
【0071】
次のステップ44は、パルス発生器によるパルスの発生を含み得る。パルスは、前のステップで決定された形状を有し得る。次のステップ45では、パルスを複数の電極2、2aを介して患者28の皮膚に印加し得る。
【0072】
本方法の一つの利点は、少なくとも一つの活性電極21、22と少なくとも一つの接地電極23との間の抵抗や電流電圧特性の測定が、各患者に対して個別にパルス発生器が発生させるパルスの最適形状を設定することを可能にするという点であり得る。追加の利点は、少なくとも一つの活性電極21、22と少なくとも一つの接地電極23との間の抵抗や電流電圧特性の測定を行うことによって、少なくとも一つの活性電極21、22、少なくとも一つの接地電極23、又は複数の電極2、2aのうちの各電極が患者28の皮膚に適切に取り付けられているか検証され得る点である。或る電極が患者の皮膚に適切に取り付けられていない場合には、その電極と他の電極との間の抵抗の測定結果が測定値の変化を示すことになる。その変化は抵抗の増加であり得る。他の利点は、少なくとも一つの活性電極21、22と少なくとも一つの接地電極23との間の抵抗や電流電圧特性の測定を、神経変調装置1の動作の自己検査(セルフチェック)として用いることができる点である。このような自己検査は、複数の後続の測定を行い、それらの測定結果を比較することで達成され得る。そのためには、抵抗や電流電圧特性の周期的な測定が行われ得る。代わりに、抵抗や電流電圧特性の個別の非周期的な測定を行い、神経変調装置1の動作中の自己検査用に用い得る。例えば、初回の測定を行った後に、離散的な間隔で非周期的又はアドホックな測定を行う。抵抗や電流電圧特性の周期的測定、非周期的測定、アドホックな測定を組み合わせて、神経変調装置1の自己検査機能を改善し得る。
【0073】
図13の例示的な流れ図は、他の実施形態の神経変調装置1を用いる方法500を示す。方法500は、
図12の方法400と併用して又は一部として用いられ得る。方法500は、変調させたいターゲット神経の推定位置において患者28の皮膚に複数の電極2、2aを適用するステップ46を備え得る。複数の電極2、2aは、少なくとも一つの活性電極21、22と、少なくとも一つの接地電極23を備え得る。少なくとも一つの活性電極21、22が、変調させたいターゲット神経の推定位置に配置され得る。このような配置の一例が
図7に示されている。ターゲット神経の推定位置は、膝の裏側、喉、又は、神経変調対象のターゲット神経の近傍における他の適切な神経変調用の位置であり得る。次のステップ47では、複数の電極2、2a同士の間の抵抗測定及び/又は電流電圧特性を測定する。好ましくは、変調させたいターゲット神経の推定位置に配置された少なくとも一つの活性電極と少なくとも一つの接地電極との間で抵抗測定及び/又は電流電圧特性の測定が行われる。抵抗測定及び/又は電流電圧特性は、全部、一部、又は少なくとも二つの活性電極及び/又は少なくとも一つの接地電極について測定され得る。抵抗測定及び/又は電流電圧特性は、少なくとも二つの活性電極と接地電極との間で測定され得る。少なくとも一つの活性電極21、22及び/又は接地電極は個別の電極2a又は電極マトリクス2であり得る。
【0074】
次のステップ48では、複数の電極2、2aのうち少なくとも一つの電極を患者28の皮膚に適用し、周期的な測定が行われ記録されている間に動かしたり再配置したりし得る。測定は、動かされている又は再配置されている少なくとも一つの電極と複数の電極2、2aのうちの少なくとも一つの他の電極との間での抵抗及び/又は電流電圧特性であり得る。好ましくは、測定は活性電極21、22と接地電極23との間で行われる。ターゲット神経の近傍で活性電極を動かすことの非限定的な例が、
図7の活性電極21及び22に関して矢印で示されている。
【0075】
次のステップ49では、記録された抵抗及び/又は電流電圧特性内での変動を求め得て、少なくとも一つの電極の最適位置に向けたフィードバック誘導50を与える。
【0076】
本方法の一つの利点は、抵抗及び/又は電流電圧特性の測定が、変調させたい神経に向けた正確な位置に電極を配置することを可能にするので、神経の効果的な変調を可能にする点である。
【0077】
図14の例示的な流れ図は、他の実施形態の神経変調装置1を用いる方法600を示す。方法600は、
図12の方法400及び/又は
図13の方法500と併用して又は一部として使用され得る。方法600は、変調させたいターゲット神経の推定位置において患者28の皮膚に複数の電極2、2aを適用するステップ51を備え得る。複数の電極2、2aは少なくとも一つの活性電極21、22と少なくとも一つの接地電極23を備え得る。少なくとも一つの活性電極21、22が、変調させたいターゲット神経の推定位置に配置され得る。このような配置の一例が
図7に示されている。ターゲット神経の推定位置は、膝の裏側、喉、又は、神経変調対象のターゲット神経の近傍における他の適切な神経変調用の位置であり得る。次のステップ52では、抵抗測定及び/又は電流電圧特性を複数の電極2、2a同士の間で測定し得る。好ましくは、抵抗測定及び/又は電流電圧特性の測定は、変調させたいターゲット神経の推定位置に配置された少なくとも一つの活性電極21、22と少なくとも一つの接地電極23との間で行われる。抵抗測定及び/又は電流電圧特性は、全部、一部、又は少なくとも二つの活性電極及び/又は少なくとも一つの接地電極について測定され得る。抵抗測定及び/又は電流電圧特性は、少なくとも二つの活性電極21、22と接地電極23との間で測定され得る。少なくとも一つの活性電極21、22及び/又は接地電極23は個別の電極2a又は電極マトリクス2であり得る。次のステップ53では、測定結果に基づいて、電気パルスの初期形状を決定し得る。測定結果は、パルス発生器3が発生させるパルスの振幅38、パルス幅39、周期37、及び/又は立ち上がり/立ち下がりエッジのうち少なくとも一つを決定するものであり得る。次のステップ54は、パルス発生器によって少なくとも一つのパルスを発生させることを含み得る。その少なくとも一つのパルスは、前のステップで決定された初期形状を有し得る。発生させた少なくとも一つのパルスは、患者の身体の反応を生じさせ得て、その反応は、少なくとも一つの電気パルスに反応した患者28の動きであり得て、又は患者の身体の反応は、筋肉が生じさせる電気的活動の変化であり得る。動きは、反射運動であり得る。少なくとも一つの活性電極21が一方の脚の膝に配置される場合、動きは、
図5及び
図6に示されるようにその脚29の動き30であり得る。
【0078】
ステップ55では、その動きが少なくとも一つの検出器11によって検出され得て、その検出器は、患者の動きを検出するように構成され、動きのフィードバックを制御ユニット4に与えるように構成され得る。少なくとも一つの検出器11は、筋肉が生じさせる電気的活動の変化を検出するように構成され、その変化のフィードバックを制御ユニット4に与えるように構成され得る。
【0079】
好ましくは、
図6に示されるように、加速度計がモーション検出器として用いられる場合には、少なくとも一つの加速度25が患者の脚29、30の少なくとも一方の足に取り付けられ得る。代わりに、
図5に示されるように、カメラ27がモーション検出器24として使用される場合には、カメラ27は、検出される動きの近傍に配置され、動きを検出するように向けられる。代わりに、電場センサ26をモーション検出器24として使用することができる。電場センサ26は、動きを検出するのに電場の変化を用いることができる。
【0080】
次のステップ56では、患者の身体で検出された反応に基づいて、パルス発生器3が発生させる少なくとも一つのパルスの初期形状を調節し得る。患者の身体で検出された反応を用いて、神経変調中に発生させるパルスの形状及び周波数の調節に対する連続的又は周期的なフィードバックを与え得る。任意選択的に、検出された動きは、少なくとも一つのパルスの初期設定の周波数及び形状を調節するためだけに用いられ得る。
【0081】
本方法の一つの利点は、パルス発生器が発生させるパルスの形状及び周波数が、神経変調の開始時又は間のいずれかにおいてのみ最適化されることによって、より効果的で安全な神経変調を提供することができるという点である。
【0082】
上、底、下、中間、横、水平、垂直、前等の多様な空間と方向に関する用語が本開示の実施形態を説明するために用いられ得るものであるが、このような用語は図面に示されている向きに関してのみ用いられることを理解されたい。その向きは、反転、回転、又は他の方法で変更され得て、上部が下部になり、水平が垂直になり、又はこれらの逆等となり得る。
【0083】
上記説明は例示的なものであって限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上述の実施形態(及び/又はその態様)は互いに組み合わせて使用可能なものである。また、具体的な状況や物質に適合するように、本開示の多様な実施形態の教示に対する多様な修正が本開示の範囲から逸脱せずに為され得る。本開示の物質の寸法と種類は、本開示の多様な実施形態のパラメータを定めるものであるが、それら実施形態は決して限定的なものではなく例示的な実施形態である。他の多くの実施形態が上述の説明を読むことで当業者に明らかとなるものである。従って、本開示の多様な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を、その特許請求の範囲を含む均等物の完全な範囲と共に参照することで定められるものである。特許請求の範囲における「含む」、「において」との用語はそれぞれ「備える」、「であって」と等価なものとして用いられている。また、「第一」、「第二」、「第三」等の用語は、単に目印として用いられているものであって、それらの事項に数値的な限定を課すものではない。更に、添付の特許請求の範囲中の記載は、「~するための手段」と明記されていない限りは、機能的記載(ミーンズプラスファンクション)で記載されたものではなく、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるものではない。
【0084】
上記説明は、例を用いて最良の形態(ベストモード)を含む本開示の多様な実施形態を開示するものであり、また、当業者が本開示の多様な実施形態を実施して、デバイスやシステムを製造及び使用し、それに関する方法を実行すること等を可能にするためのものである。本開示の多様な実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定められるものであり、また、当業者に想起される他の例も含むことができるものである。そうした他の例は、請求項の文言と相違しない構造的要素を有する場合や、請求項の文言と実質的には相違しない均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものである。