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特許7537790カルシウム系ベントナイト及びそれを含む土壌改善剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】カルシウム系ベントナイト及びそれを含む土壌改善剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/02 20060101AFI20240814BHJP
   A01G 24/10 20180101ALI20240814BHJP
【FI】
C09K17/02 H
A01G24/10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022569157
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2021006094
(87)【国際公開番号】W WO2021230716
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0057668
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0062547
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522442009
【氏名又は名称】シン・プン・エヌシーエス・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHIN POONG NCS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】102HO, 131, INDEOK 1‐GIL, SANDONG‐MYEON, GUMI‐SI, GYEONGSANGBUK‐DO 39160, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ジェ・ベク
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0037614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 17/00 - 17/52
A01N 1/00 - 65/38
A01P 1/00 - 23/00
C05B 1/00 - 21/00
C05C 1/00 - 13/00
C05D 1/00 - 11/00
C05F 1/00 - 17/993
C05G 1/00 - 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌改善剤用ベントナイトであって、
前記ベントナイトは、カルシウム(Ca)系ベントナイトであり、X線回折(XRD)グラフにおいて、2θ値4゜~8゜の範囲でピークを含み、対象農作物の徒長、過繁茂または伸び過ぎのような栄養過剰の生長の際に、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪土壌潅水するか、または、70g~2kg基準、500~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト、100~500倍希薄倍の抑制剤、及び、1,500~2,500倍希薄倍の微量要素剤を葉面施肥するものである、ことを特徴とする、土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項2】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、全100重量部に対して、モンモリロナイトを50重量部~99重量部含むものである、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項3】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、SiO、Al、Fe、CaO、MgO、KO、NaO、TiO、P、MnO及びこれらの組み合わせからなる群から選択される物質をさらに含むものである、請求項2に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項4】
前記SiO100重量部に対して、前記Alの含量は、20重量部~30重量部であり、前記Fe、CaOまたはMgOの含量は、1重量部~10重量部であり、前記KO、NaO、TiO、PまたはMnOの含量は、0.01重量部~1重量部である、請求項3に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項5】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、粉末または粒状の形態を有するものである、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項6】
前記粉末形態の土壌改善剤用ベントナイトは、100坪~500坪の面積に70g~2kg施肥することを特徴とする、請求項5に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項7】
前記粒状形態の土壌改善剤用ベントナイトは、100坪~500坪の面積に10kg~350kg施肥することを特徴とする、請求項5に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項8】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、土壌内の水切れ、日照り現象または植物体の均衡改善の際に、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪土壌灌漑処理して施肥するものである、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項9】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、対象農作物の根腐れ、軟腐病またはうどんこ病のような病害の発生の際に、70g~2kg基準、500倍~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト及び病害殺菌剤を混用して葉面散布するか、または、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪土壌潅水するものである、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項10】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、薬害、冷害、高温障害またはガス障害による対象農作物の生育の低下の際に、土壌改善剤用ベントナイト及びアミノ酸剤を70g~2kg/300坪土壌潅水するか、または、70g~2kg基準、500~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト及び100~1,000倍希薄倍のアミノ酸剤を施肥するものである、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項11】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、土壌の水分過剰、気候不安定による倒伏、塩類障害、連作障害発生または予防の際に、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪土壌潅水施肥するか、または、70g~2kg基準、500~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイトを葉面散布施肥するものである、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項12】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、対象農作物の根不良または樹勢低下のような生育の不良の際に、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪土壌潅水するか、または、70g~2kg基準、500~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト及び500~1,000倍希薄倍のアミノ酸剤を葉面散布施肥するものである、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
【請求項13】
前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数1で計算される1年後の土壌の電気伝導度(ms/cm)の変化量の絶対値が50%以上である、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
[数1]
【請求項14】
前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数2で計算される1年後の土壌のpH変化量が5%以上である、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
[数2]
【請求項15】
前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数3で計算される1年後の土壌のTDS(total dissolved solid,ppm)の変化量の絶対値が15%以上のものである、請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイト。
[数3]
【請求項16】
請求項1に記載の土壌改善剤用ベントナイトを含む、土壌改善剤。
【請求項17】
前記土壌改善剤は、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、硫黄、銅、鉄、モリブデン、アミノ酸剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される物質をさらに含むものである、請求項1に記載の土壌改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウム系ベントナイト及びそれを含む土壌改善剤に関するものであり、より具体的に、前記カルシウム系ベントナイトは、X線回折(XRD)グラフにおいて、2θ値4゜~8゜の範囲でピークを含むことを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
一般的に、土壌で育つ植物類は、多くの栄養素を土壌から吸収する。土壌は、基本的に多くの栄養素を有しているが、植物類がかかる栄養素を持続的に吸収すれば、土壌の土質が次第に低くなり、結局、植物類が育つ環境になることができず、農業の場合は、生産性の下落につながることになる。
【0003】
一方、野生の環境ならば、野生で育つ植物類が枯死する場合、このような植物類の堆肥化、木から落ちる落ち葉の堆肥化、そして、雨水によって移動する他の土壌からの栄養素の流れ込みによって、植物類が育つ環境が全く変わることなく、持続的に栄養素を供給することができる。
【0004】
しかしながら、農業の場合は、雑草を除去するために、除草剤を周期的に散布し、また、不足した農作物の栄養素を補うために、化学的肥料及び有機質肥料を多く使用することになる。但し、化学的肥料を多く使用する場合、農作物が必要とする栄養素を供給することはできるが、かかる化学的肥料によって、土質の全体的な均衡が壊れ、結局は、多くの化学的肥料を投入するとしても、均衡の壊れた土質によって、良質の農作物を生産することが困難であるだけでなく、農作物の生産性も落ちることになる。
【0005】
このような、化学的肥料による土質の損傷を防止するために、有機質の肥料、すなわち、堆肥を使用する方法も多く使用しているが、堆肥から供給される栄養素は、雨水などによって流されて、堆肥の効果は一季節にだけ適用される、一時的な方法である。つまり、農繁期ごとに改めて堆肥を撒かなければならないという不都合があり、堆肥だけでは、農作物が必要とする栄養素のすべてを提供することは困難であるという不都合がある。
【0006】
したがって、土壌の根本的な土質を向上させるために、農業を営んだ土壌を周期的に休耕するか、栄養素の豊かな土壌を覆土するか、あるいは混合することがある。また、商業的に農業用土を使用することもある。
【0007】
土壌を周期的に休耕する場合は、休耕による経済的損失が莫大であるため、多くの農家では、休耕する場合はほとんどない。また、栄養素の豊かな土壌を覆土する場合にも、多くの回数にわたって行うことは困難であるだけでなく、その費用も無視するものではない。したがって、土質を根本的に向上させるための土壌改善剤が多く公知されている。しかし、かかる土壌改善剤は、多くの別個の土壌材料を混合して製造しなければならず、これにより、単価が高くなるというデメリットがある。また、土壌改善剤も、短期間にわたって土壌改善の効果を発揮するため、土質が悪い土壌の場合には、周期的に土壌改善剤を供給しなければならないので、究極的には、農作物の生産単価が高くなるというデメリットがある。
【0008】
したがって、別途の製造方法がなく、土壌の中の栄養成分を長期間にわたって維持して、土質の改善を効果的に成し遂げられる土壌改善剤を提供することが望ましいといえる。
【0009】
そこで、本発明者らは、上記のような不都合を解決するために研究していたところ、土壌改善剤に好適に使用できるカルシウム系ベントナイトを開発し、それを土壌に施肥して農作物を栽培する場合、さらなる化学的肥料の投入を行うことなく、健康な農作物をより多く持続的に栽培することができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
これに係り、韓国公開特許第10-2020-0126481号公報は、新規なトリコデルマハルジアヌム菌株を利用した土壌改善剤の製造工程について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0126481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の不都合を解決するために案出されたものであって、土壌改善剤用ベントナイトを提供することにある。
また、本発明の目的は、前記ベントナイトを含む土壌改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一側面は、土壌改善剤用ベントナイトであって、前記ベントナイトは、カルシウム(Ca)系ベントナイトであり、X線回折(XRD)グラフにおいて、2θ値4゜~8゜の範囲でピークを含むことを特徴とする土壌改善剤用ベントナイトを提供する。
【0014】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、全100重量部に対して、モンモリロナイトを50重量部~99重量部含むものとすることができる。
【0015】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、SiO、Al、Fe、CaO、MgO、KO、NaO、TiO、P、MnO、及び、これらの組み合わせからなる群から選択される物質をさらに含むものとすることができる。
【0016】
前記SiO100重量部に対して、前記Alの含量は、20重量部~30重量部であり、前記Fe、CaOまたはMgOの含量は、1重量部~10重量部であり、前記KO、NaO、TiO、PまたはMnOの含量は、0.01重量部~5重量部とすることができる。
【0017】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、粉末または粒状の形態を有することができる。
【0018】
前記粉末形態の土壌改善剤用ベントナイトは、100坪~500坪の面積に1kg~5kgの土壌灌漑施肥を行うことを特徴とすることができる。
【0019】
前記粒状形態の土壌改善剤用ベントナイトは、100坪~500坪の面積に10kg~350kgの土壌混和施肥あるいは土壌表面散布処理を行うことを特徴とすることができる。
【0020】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、対象農作物の徒長、過繁茂、または、伸び過ぎのような栄養過剰の生長の際に、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪に土壌潅水するか、及び/又は、70g~2kg基準、500~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト、100~500倍希薄倍の抑制剤、及び、1,500~2,500倍希薄倍の微量要素剤を葉面施肥することができる。
【0021】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、土壌内の水切れ、日照り現象または植物体の均衡改善の際に、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪に土壌灌漑処理して施肥することができる。
【0022】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、対象農作物の根腐れ、軟腐病、または、うどんこ病のような病害の発生の際に、70g~2kg基準、500倍~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト及び当該病害の殺菌剤を混用して葉面散布するか、及び/又は、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪に土壌潅水することができる。
【0023】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、薬害、冷害、高温障害、またはガス障害による対象農作物の生育低下の際に、土壌改善剤用ベントナイト及びアミノ酸剤を70g~2kg/300坪に土壌潅水するか、及び/又は、70g~2kg基準、500~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト及び100~1,000倍希薄倍のアミノ酸剤を施肥することができる。
【0024】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、土壌の水分過剰、気候不安定による倒伏、塩類障害、連作障害の発生または予防の際に、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪に土壌潅水施肥するか、及び/又は、70g~2kg基準、500~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイトを葉面散布施肥することができる。
【0025】
前記土壌改善剤用ベントナイトは、対象農作物の根不良または樹勢低下のような生育不良の際に、土壌改善剤用ベントナイトを70g~2kg/300坪に土壌潅水するか、または、70g~2kg基準、500~1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト及び500~1,000倍希薄倍のアミノ酸剤を葉面散布施肥することができる。
【0026】
前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数1で計算される1年後の土壌の電気伝導度(ms/cm)の変化量の絶対値を50%以上とすることができる。
【0027】
[数1]
【0028】
前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数2で計算される1年後の土壌のpH変化量を5%以上とすることができる。
【0029】
[数2]
【0030】
前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数3で計算される1年後の土壌のTDS(total dissolved solid,ppm)の変化量の絶対値を15%以上とすることができる。
【0031】
[数3]
【0032】
上記数3において、TDSは、オーストラリア式(ECX700)で計算するものとすることができる。
【0033】
また、本発明の他の一側面は、前記土壌改善剤用ベントナイトを含む土壌改善剤を提供する。
【0034】
前記土壌改善剤は、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、硫黄、銅、鉄、モリブデン、アミノ酸剤、及び、これらの組み合わせからなる群から選択される物質をさらに含むものとすることができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のような本発明による土壌改善剤用ベントナイトを土壌に施肥すると、土壌の有効栄養分を保存するとともに離脱を防止し、カルシウム、リン酸、ミネラル及び有効栄養素の吸収率を上昇させ、果実の外被を滑らかにし、貯蔵性を向上させることとなり、また、食感を向上させる効果がある。さらに、土壌に不溶化状態で存在する栄養素を可容態に還元させる効果がある。有効微生物の増殖、微細根の発達、根腐れの防止、栄養欠乏によるウイルス予防と、植物体のストレス解消に大きく役立ち、土壌の無機及び有機栄養分を円滑に吸収できるようにする効果がある。
【0036】
また、定期的に使用する際に、葉が厚くなる、花托強化、側脈生成、葉の大きさが小さくなりながら強化、節間長が短くなる、幹が太くなる、着色増進、落果現象の減少、果実の肥大、未消化窒素の消化吸収、梅雨期のブドウの裂果現象の軽減などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一具現例によるベントナイトの化学的構成を示した概路図である。
図2】本発明の一具現例によるベントナイトの膨潤性を示した概路図である。
図3】本発明の一実施例によるベントナイトの重金属成分を示した表である。
図4】本発明の一実施例によるベントナイトのXRDグラフである。
図5】本発明の一実施例によるベントナイトの試験結果書を示した図である。
図6a】本発明の一実施例による土壌の電気伝導度及びpH結果値を示した写真図である。
図6b】比較例による土壌の電気伝導度及びpH結果値を示した写真図である。
図7a】本発明の一実施例による土壌のTDS結果値(オーストラリア式)を示した写真図である。
図7b】比較例による土壌のTDS結果値(オーストラリア式)を示した写真図である。
図8】本発明の一実施例及び比較例によって栽培した枝の状態を示した写真図である。
図9】本発明の一実施例によって枝を栽培することを示した写真図である。
図10a】本発明の一実施例によって栽培した唐辛子の状態を示した写真図である。
図10b】比較例によって栽培した唐辛子の状態を示した写真図である。
図11】本発明の一実施例及び比較例によって栽培した蔓人参の状態を示した写真図である。
図12】本発明の一実施例及び比較例によって栽培した白菜の状態を示した写真図である。
図13】本発明の一実施例及び比較例によって栽培した稲の状態を示した写真図である。
図14】本発明の一実施例によって栽培した桃の状態を示した写真図である。
図15】本発明の一実施例によって栽培したニラの状態を示した写真図である。
図16】本発明の一実施例及び比較例によって栽培したリンゴの状態を示した写真図である。
図17】本発明の一実施例によって栽培したズッキーニの状態を示した写真図である。
図18】本発明の一実施例によって栽培したスモモの状態を示した写真図である。
図19】本発明の一実施例及び比較例によって栽培した作物の根の状態を示した写真図である。
図20a】一比較例による芝草の状態を示した写真図である。
図20b】本発明の実施例による芝草の状態を示した写真図である。
図21】本発明の一実施例及び比較例によって栽培したワケギの状態を示した写真図である。
図22a】本発明の一実施例によって栽培した胡麻の状態を示した写真図である。
図22b】本発明の一実施例によって栽培した胡麻の状態を示した写真図である。
図23a】本発明の一比較例によって栽培したマクワウリの状態を示した写真図である。
図23b】本発明の一実施例によって栽培したマクワウリの状態を示した写真図である。
図23c】本発明の一実施例によって栽培したマクワウリの状態を示した写真図である。
図23d】本発明の一実施例によって栽培したマクワウリの状態を示した写真図である。
図23e】本発明の一実施例によって栽培したマクワウリの状態を示した写真図である。
図23f】本発明の一実施例によって栽培したマクワウリの状態を示した写真図である。
図23g】本発明の一実施例によって栽培したマクワウリの状態を示した写真図である。
図24a】本発明の一実施例によって栽培したマクワウリの糖度を測定した写真図である。
図24b】比較例によって栽培したマクワウリの糖度を測定した写真図である。
図25a】本発明の一実施例によって栽培したトマトの状態を示した写真図である。
図25b】本発明の一比較例及び実施例によって栽培したトマトの状態を示した写真図である。
図26】本発明の一実施例及び比較例によって栽培したネギの状態を示した写真図である。
図27】本発明の一実施例によって栽培した花卉(リシアンサス)の状態を示した写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例によって本発明が限定されるものではなく、本発明は、後述する請求の範囲によって定義されるだけである。
【0039】
さらに、本発明で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本発明の明細書全体においてある構成要素を「含む」というときは、特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0040】
本願の第1の側面は、土壌改善剤用ベントナイトであって、前記ベントナイトは、カルシウム(Ca)系ベントナイトであり、X線回折(XRD)グラフにおいて、2θ値4゜~8゜の範囲でピークを含むことを特徴とする、土壌改善剤用ベントナイトを提供する。
【0041】
本願の第2の側面は、前記本願の第1の側面による土壌改善剤用ベントナイトを含む土壌改善剤を提供する。
【0042】
以下、本願の第1の側面による土壌改善剤用ベントナイト、及び、本願の第2の側面による土壌改善剤を詳しく説明する。
【0043】
本願の一具現において、前記土壌改善剤用ベントナイトは、カルシウム(Ca)系ベントナイトであることができる。通常、ベントナイトは、カルシウム(Ca)系またはナトリウム(Na)系ベントナイトに分類することができるが、ナトリウム(Na)系ベントナイトの場合、一定の条件の土壌でのみ使用することが可能であり、土質の種類によって不都合が発生する可能性がある。これに対し、カルシウム(Ca)系ベントナイトの場合、特定の条件の土壌に限られず、多様な土質(条件)の土壌で使用することが可能であるため、土壌改善剤として非常に効率である。
【0044】
本願の一具現例において、前記ベントナイトを構成する主成分鉱物であるスメクタイトは、珪酸塩鉱物の骨格構造であるSiO四面体板(tetrahedral sheet)とAl(OH)八面体板(octahedral sheet)とが2:1で結合されて層状構造をなす関数珪酸塩アルミニウム鉱物(hydroxylaluminosilicate mineral)とすることができる。
【0045】
その際、2:1層は、一つの八面体板が中央に位置し、この八面体板の上と下との両方に二つの四面体板が互いに向かい合って結合する形態でなっており、この基本単位の間を層間(interlayer)という(図1参照)。四面体構造単位らの間の層間結合は非常に弱く、陽イオンとHOはもちろん、有機イオンや分子も容易に介在できる層状構造的(interlayer structure)特徴を有することができる。
【0046】
本願の一具現において、前記ベントナイトは、基本単位層の間(層間)から水を吸い込んで膨潤する性質があるが、膨潤性は、粉末ベントナイト2gが水中で占める沈降容積で示し、Na-ベントナイトの膨潤性は、20~50ml/2gに達し、Ca-ベントナイトは、20ml/2g以下と知られている(図2を参照)。
【0047】
本願の一具現において、前記ベントナイトは、それ自体で豊かな栄養素及び無機化合物を含んでおり(図3を参照)、相当な膨潤性を有するので、土壌に本来存在していた有用な栄養素を膨潤した空間に保存するとともに、離脱を防止する効果があり、カルシウム、リン酸、ミネラル及び有効栄養素の吸収率を高めることになって、果物の場合、外被を鮮明かつ滑らかにし、貯蔵性を高め、また食感を高めるのに役立つ。さらに、ベントナイトの吸着性によって土壌に不溶化形態で存在する栄養素を吸着し、また、陽イオンの交換を通じて可容態に還元させて栄養素が作物に供給できるようにする。そして、膨潤性によって水を頻繁に供給する必要性が少なくなり、さらに、安定して作物に水を供給できるようになる。特に、乾燥した天気に水を供給することにあたり、より大きな効果が得られる。
【0048】
本願の一具現において、前記カルシウム(Ca)系ベントナイトは、X線回折(XRD)グラフにおいて、2θ値4゜~8゜の範囲でピークを含むものとすることができる。その際、上記範囲のピークは、モンモリロナイトを意味するものであって、前記土壌改善剤用ベントナイトは、全100重量部に対して、モンモリロナイトを50重量部~99重量部含むものとすることができる。また、前記カルシウム(Ca)系ベントナイトは、X線回折(XRD)グラフにおいて、前記ピーク以外にも2θ値21゜~24゜、34゜~40゜の範囲におけるピークも含むものとすることができ、上記範囲のピークは、石英(SiO)を意味するものとすることができる。これに加えて、前記カルシウム(Ca)系ベントナイトは、X線回折(XRD)グラフにおいて、2θ値27゜~29゜、30゜~32゜の範囲におけるピークもさらに含むものとすることができ、上記範囲のピークは、長石を意味するものとすることができる。すなわち、前記カルシウム(Ca)系ベントナイトは、モンモリロナイトを主成分として含むが、石英及び長石をさらに含むものとすることができる。一方、前記モンモリロナイトの含量がカルシウム(Ca)系ベントナイト全100重量部に対して、50重量部未満である場合、カルシウム(Ca)系ベントナイトとして定義し難く、99重量部を超える場合、下記後述する追加物質の含量が相対的に少なくなるため、土壌改善剤としての効果が低下するという不都合が発生し得る。
【0049】
本願の一具現において、前記土壌改善剤用ベントナイトは、SiO、Al、Fe、CaO、MgO、KO、NaO、TiO、P、MnO、及び、これらの組み合わせからなる群から選択される物質をさらに含むものとすることができる。
【0050】
本願の一具現において、前記SiOは、植物の骨格の役割及び作物の倒伏防止の役割をするものであることができる。特に、水稲作において、前記SiOが倒伏防止に重要な役割をするものであることができる。また、土壌の浸水時または過剰水分の含有時にも、根が腐らないように保護する機能を有し、被害を大きく軽減させるだけでなく、各種の農薬薬害、肥料過剰の使用時に濃度障害(浸透圧)、ガス被害などを軽減させる役割をすることができる。これに加えて、窒素の過剰吸収を抑制し、節間長を減らす機能を有し、農作物の細胞の中でRNA、DNAに関与して病菌などが侵入する場合、長期防御の物質を分泌して、アレロパシー物質であるフェノール化合物とファイトトキシンなどを生成して、病源菌の侵入を阻止するものであることができる。
【0051】
本願の一具現において、前記Alは、ベントナイトのSiOの二つの層の間に存在することができ、水との接触時に膨張する性質の物理的構造を有しており、水溶性肥料の流失防止、土壌の保湿及び作物の保湿に効果を奏することができる。
【0052】
本願の一具現において、前記Feは、作物の農産物のうち、果物の着色を助ける機能を有するものであることができる。また、前記CaOは、ベントナイトが土壌に不溶化された塩と結合したカルシウム(Ca)を解離して、植物が利用できるように引き上げる機能を有し、農産物の細胞を堅固にして果物の硬度が増加する効果を有するものとすることができる。
【0053】
本願の一具現において、前記MgOは、葉緑素の原料になる成分であって、作物の葉に葉緑素を増加させるようにし、葉緑素が増加すれば、光合性の促進作用をして、植物の養分生成能力と生育サイクルが早くなることに役立つものとすることができる。また、リン酸の移動を助ける役割をするものとすることができる。
【0054】
本願の一具現において、前記KOは、植物が必要とする栄養素を根から吸収すれば、その養分を葉に移動させる役割を果たすものとすることができる。また、果物の着色を助ける役割をするものとすることができる。
【0055】
本願の一具現において、前記TiOは、金属性成分であって、植物細胞の免疫力を育て、細胞を強化させる役割を有し、農作物の耐病性を向上させる役割を果たすことができる。
【0056】
本願の一具現において、前記Pは、植物の主根を作る役割と、果物の肥大を助けることができる。植物の根は、主根と細根に分けられるが、主根の生成に関与する物質は、窒素、リン、水分であり、細根(ひげ根)の生成に関与する物質は、ミネラル、微量元素、水分である(本明細書において命名した元素のうち、植物が微量に必要とする元素を微量元素といい、未だ命名していないか、未だに科学界で植物の微量元素として分類されていない物質をミネラルと通称する)。
【0057】
本願の一具現において、前記MnOは、植物の微量元素に分類されるが、欠乏時に葉の黄白化現象が起こり、樹勢が低下する不都合が発生し得る。
【0058】
本願の一具現において、前記SiO100重量部に対して、前記Alの含量は、20重量部~30重量部であり、前記Fe、CaOまたはMgOの含量は、1重量部~10重量部であり、前記KO、NaO、TiO、PまたはMnOの含量は、0.01重量部~1重量部とすることができる。その際、好ましくは、前記SiO100重量部に対して、前記Alの含量は、20重量部~25重量部であり、前記Fe、CaOまたはMgOの含量は、2重量部~6重量部であり、前記KO、NaO、TiOまたはPの含量は、0.1~0.8重量部であり、前記MnOの含量は、0.01~0.1重量部とすることができる。一方、本発明の一実施例によれば、前記SiO、Al、Fe、CaO、MgO、KO、NaO、TiO、P及びMnOの重量混合割合は、64.1:15.2:2.89:2.45:3.03:0.45:0.33:0.37:0.1:0.04とすることができる。前記物質の含量範囲が前記範囲未満もしくは超過である場合、相対的に他の物質の含量範囲が適宜範囲から外れるため、上記したようにそれぞれの物質が行える役割が阻害される場合もあり、これにより、土壌改善剤としての効果が低下するという不都合が発生し得る。
【0059】
本願の一具現において、前記土壌改善剤用ベントナイトは、850μm篩に90%以上が通過できるように粉末化し、CEC(Cation Exchange Capacity)は、80cmol+/kg以上であり、水分含有量は、12%以下となるように製造することができる。しかし、場合によっては、前記ベントナイトを粉末の代りに粒状に製造することもできる。
【0060】
本願の一具現において、前記土壌改善剤用ベントナイトが粉末形態である場合、ナス、唐辛子、マクワウリ、イチゴ、スイカ、キュウリ、トマト、カボチャに代表される果菜類と、エゴマ、白菜、掻きチシャ、ホウレン草、セリに代表される野菜類と、ニンニク及び玉ネギに代表される鱗茎菜類と、ニンジン及び大根に代表される根菜類と、センキュウ及び人参などの特用作物と、胡麻、麦、芝草、トウモロコシのような作物、柿、栗、梨、桃、リンゴ、ブドウなどの果樹類に適用することができる。その際、前記果樹類において、柿の場合は、11年以上の柿の木に適用し、栗の場合は、10~14年齢の栗の木に適用し、梨の場合は、15~20年以上の梨の木に適用し、桃の場合、11年以上の桃の木に適用し、リンゴの場合15~20年以上のリンゴの木に適用し、ブドウの場合、11年以上のブドウの木に適用することができる。一方、前記粉末形態のベントナイトは、100坪~500坪の面積に70g~2kg施肥することを特徴とすることができ、好ましくは、約300坪の面積に1kg~2kg施肥することを特徴とすることができる。
【0061】
本願の一具現において、徒長、過繁茂、伸び過ぎなど栄養過剰の生長の際に、開花不良、落花が持続する場合、奇形と、奇形葉、落果の発生の際に、それに対する対策として、前記粉末形態のベントナイト(ベントナイト粉状)の70g~2kg/300坪を土壌潅水させるか、及び/又は、70g~2kg基準にベントナイト粉状500~1,000倍希薄倍、抑制剤(リン酸カリウム,リン酸カルシウム)の100~500倍希薄倍及び微量要素剤(硫黄,銅,鉄,モリブデン)など2,000倍希薄倍を葉面施肥することができる。その際、前記希薄倍は、水に希薄したものを意味するものであって、例えば、100倍希薄倍は、100重量倍で水に希薄したものを意味する。一方、以下の部分における希薄倍は、すべて上記と同様な意味として理解されるべきである。
【0062】
本願の一具現において、土壌内の水切れ、日照り現象、植物体の均衡改善の際に、それに対する対策として、ベントナイト粉状70g~2kg/300坪を土壌灌漑処理して施肥することができる。
【0063】
本願の一具現において、根腐れ、軟腐病、うどんこ病など各種病害の発生の際に、それに対する対策として、当該殺菌剤とともに70g~2kg基準に1,000倍希薄倍の土壌改善剤用ベントナイト及び病害殺菌剤を混用して葉面散布するか、及び/又は、ベントナイト粉状70g~2kg/300坪を土壌潅水させることができる。
【0064】
本願の一具現において、薬害、冷害、高温障害、ガス障害など生育の低下の際に、それに対する対策として、ベントナイト粉状及びアミノ酸剤の70g~2kg/300坪を土壌潅水させるか、及び/又は、70g~2kg基準にベントナイト粉状1,000倍希薄倍及びアミノ酸剤500倍希薄倍を葉面散布することができる。
【0065】
本願の一具現において、土壌の水分過剰、気候不安定(台風,梅雨)による倒伏、塩類障害、連作障害の発生及び予防の際に、それに対する対策として、ベントナイト粉状70g~2kg/300坪を土壌潅水施肥するか、及び/又は、70g~2kg基準にベントナイト粉状500~1,000倍希薄倍を葉面散布施肥することができる。
【0066】
本願の一具現において、根不良、樹勢低下など生育不良の際に、それに対する対策として、ベントナイト粉状70g~2kg/300坪を土壌潅水させるか、及び/又は、70g~2kg基準にベントナイト粉状1,000倍希薄倍及びアミノ酸剤500倍希薄倍を葉面散布施肥することができる。
【0067】
本願の一具現において、前記土壌改善剤用ベントナイトが粒状形態である場合、上記で説明した粉末に適用した作物にすべて適用され、粉末で適用し難い稲のような水稲作と、花卉類とアスパラガスに適用され、蜜柑と、クルミと、スモモとアンズと果樹類に適用されることができる。その際、前記粒状形態のベントナイトは、100坪~500坪の面積に10kg~200kg施肥することを特徴とすることができ、好ましくは、約300坪の面積に10kg~200kg施肥することを特徴とすることができる。
【0068】
粒状の場合、施肥量は、1000m(300坪)基準に、水稲作の場合10~20kgを施肥し、果菜類の場合40~150kgを施肥し、葉菜類の場合40~120kgを施肥し、鱗茎菜類の場合20~60kgを施肥し、根菜類の場合20~60kgを施肥し、特用作物においてセンキュウの場合20~60kg、人参の場合60~150kgを施肥し、胡麻及び麦の場合20~60kgを施肥し、芝草の場合30kgを施肥し、トウモロコシの場合10~40kgを施肥し、花卉類及びアスパラガスの場合40~80kgを施肥し、果樹類の場合15~30kgを施肥することが好ましいが、これに制限されるものではない。
【0069】
本願の一具現において、前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数1で計算される1年後の土壌の電気伝導度(ms/cm)の変化量の絶対値を50%以上とすることができる。
【0070】
[数1]
【0071】
また、前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数2で計算される1年後の土壌のpH変化量を5%以上とすることができる。
【0072】
[数2]
【0073】
この際、上記数1で計算される電気伝導度(ms/cm)の変化量は、陰(マイナス)の値を有することができ、上記数2で計算されるpH変化量は、陽(プラス)の値を有することができる。すなわち、前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理する場合、電気伝導度(ms/cm)値は、下降するものであってもよく、pHは、上昇するものであってもよい。一方、前記1年後に測定対象となる土壌は、土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、灌漑を7~15日間隔で行い、周期的に管理して作物を栽培した土壌を意味することができる。
【0074】
これに対して具体的に説明すると、先ず、土壌改良をする原理は、ベントナイトが土壌の不溶化された(塩と強く結合)養分であるリン酸塩/カルシウム塩などの塩と強く結合した鎖状環をSiO(ベントナイトに含有した二酸化珪素理化学成分)が切断されれば、ベントナイトの高いCEC(陽イオン置換容量CEC80~130)がコロイド化された植物の必須養分を貯蔵する役割をするようになる。また、ベントナイトの膨潤性(水と会えば膨張する性質、保湿性)によって、植物の6大栄養素の窒素、リン酸、カリウム、マグネシウム、硫黄、カルシウムと水に溶脱の激しい水溶性養分であるカリウム、窒素、微量元素、ミネラルなどを供給するとともに、養分を含んでいる貯蔵役割をして、植物が生育するのに良い環境を作るようになる。
【0075】
その際、本発明による前記土壌改善剤用ベントナイトは、化学的処理をしない物質であって、金属性成分を多量に含有しており、電気伝導度が高く出るものであってもよい。しかし、上記で説明したように、植物が明反応/暗反応(植物のエネルギー生成作用であって、最終産物である植物のエネルギー「糖」ATP)と交換作用をすることによって植物が生育し、電気伝導度が低くなり得る。このとき、前記交換作用についてより具体的に説明すると、植物の根の末端の部分において、陽イオンである水素(H)イオンと、植物の養分と結合した陰イオンである酸素イオン(O)とが交換して、養分を吸収するようになることができる。したがって、これを交換作用と指称し、例えば、SiOの場合、交換作用によってSiである珪酸イオンが吸収され、CECによって養分が貯蔵される形態がコロイド化されたイオンの形態であるSi、Ca2+などのような形態でベントナイトの中に貯蔵されるものとすることができる。このとき、イオンの形態で貯蔵されている養分は、植物が敢えて無理に微細根、細根(ひげ根)から根酸を排出しなくても、養分を吸収して生育のサイクルが早くなり、植物エネルギーであるATP「糖」の生成により有利に作用することができる。
【0076】
一方、ベントナイトが土壌と混和処理されて水分が供給されるとともに、土壌の改良作用が始まり、ベントナイトの中の理化学的成分の中で金属性成分が多くあるため(周期律表の各族によってアルカリ金属原素(Na、K)、アルカリ土金属元素(Ca)、アルミニウム族元素(Al)、亜鉛族元素(Zn)、チタン族元素(Ti)、クロム族元素(Mo)、マンガン族元素(Mn)、鉄鏃元素(Fe)などに分類され、XRF検査である重金属検査において多くの金属性ミネラルが含有されている)、土壌混和処理した当時には、むしろ電気伝導度が高くなり、作物を定植して栽培する中で、植物が必要とする元素を植物が吸収し(同時に、ベントナイトが上述のように、土壌の改良作用をし、植物が養分を消費する)、土壌改良がなされる原理とすることができる。
【0077】
また、前記ベントナイトは、植物に必須な背骨の役割をする珪酸成分が主となる鉱物であり、以外にも、植物に必要な多くの必須微量元素と多量のミネラルを含有しており、細根(ひげ根)活着をさせる作用も行うことができる。
【0078】
一方、土壌の塩類濃度(土壌に不溶化された肥料成分=電気伝導度=EC濃度)が高いほど、土壌の中の微生物の量が増えて、病源菌数が増加する不都合が発生し得る。すなわち、上記のような土壌では、各種の病が多く発生する可能性があり、土壌塩類濃度の管理が非常に重要であって、ECの高い高濃度塩類土壌の場合、微生物の活性が減少しながら窒素が蓄積され、作物生育が悪くなり、カルシウム吸収の抑制と亜窒酸生成によるガス障害が発生し得る。したがって、本発明による土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理すれば、電気伝導度(EC濃度)値が下降するようになるので、土壌改良の効果を奏することができる。
【0079】
本願の一具現において、前記ベントナイトは、弱アルカリ性であって、pHが約7.7~8.9とすることができる。すなわち、肥料と農薬とを過多使用して酸性化された農耕地に前記ベントナイトを施肥することで、酸性土壌を中性化させるものであることができる。
【0080】
本願の一具現において、前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、下記数3で計算される1年後の土壌のTDS(total dissolved solid,ppm)の変化量の絶対値が15%以上のものとすることができる。
【0081】
[数3]
【0082】
このとき、上記数3において、TDSは、オーストラリア式(ECX700)で計算することができる。前記TDS変化量も前記電気伝導度のように陰(マイナス)の値を有することができ、したがって、前記土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理する場合、TDS(ppm)値は下降し得る。一方、前記1年後に測定対象となる土壌は、土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理し、灌漑を7~15日間隔で行い、周期的に管理して作物を栽培した土壌を意味することができる。
【0083】
本願の一具現において、前記TDSは、水中に溶解されたミネラル、塩分、金属、陽イオン、陰イオンを意味することができ、すなわち、土壌溶液に溶解された総塩であって、NaCl及びCaClを合わせた値を意味することができる。このとき、総溶解塩が多いほど塩害の被害が大きく出て、本発明による土壌改善剤用ベントナイトを土壌に混和処理すれば、TDS(ppm)値が下降するようになるため、土壌改良の効果を奏することができる。
【0084】
以下、本発明の属する技術分野において、通常の知識を持った者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なった形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0085】
〔実施例1〕土壌改善剤用ベントナイトの準備
土壌改善剤として使用するベントナイトを準備した。
【0086】
その際、前記ベントナイトは、カルシウム(Ca)系ベントナイトであり、前記ベントナイトのXRD分析結果を図4に示した。図4に示したように、本発明の実施例によるベントナイトは、2θ値4゜~8゜の範囲においてピークを示し、モンモリロナイトを含むカルシウム(Ca)系ベントナイトであることが確認できており、さらに、石英(SiO、Qピーク)及び長石(Fピーク)を含んでいることが確認できた。
【0087】
また、前記ベントナイトの理化学成分分析を韓国化学融合試験研究院に依頼し、その成績結果書を図5に示した。図5に示したように、本発明の実施例によるベントナイトは、農作物の栽培に有利な成分を多量に含有していることが確認できた。
【0088】
〔実験例1〕電気伝導度及びpHの測定
上記実施例で準備した土壌改善剤用ベントナイトを土壌に施肥した場合、電気伝導度(EC)及びpHの変化を測定した。
【0089】
より具体的に、ベントナイトを施肥する前に、土壌の電気伝導度及びpHを測定(比較例)し、ベントナイトを土壌混和処理し、灌漑を7~15日間隔にして周期的に管理し、作物を栽培した土壌の1年後の電気伝導度及びpHを測定(実施例)して、その結果値を図6a、6b及び下記表1に示した。
【0090】
【表1】
【0091】
上記表1に示したように、本発明の実施例による土壌改善剤用ベントナイトを土壌に施肥する場合、電気伝導度の値は下降し、pHは多少上昇することが確認できた。したがって、土壌の塩類含量が減り、これの改善効果があることが確認できており、酸性の土壌を中性化して作物を栽培するにあたり、より適切な条件を生成することが確認できた。
【0092】
〔実験例2〕TDSの測定
上記実施例において準備した土壌改善剤用ベントナイトを土壌に施肥した場合のTDSの変化を測定した。
【0093】
より具体的に、ベントナイトを施肥する前の土壌のTDSを測定(比較例)しており、ベントナイトを土壌混和処理し、灌漑を7~15日間隔にして周期的に管理し、作物を栽培した土壌の1年後のTDSを測定(実施例)して、その結果値を図7a、7b及び下記表2に示した。
【0094】
【表2】
【0095】
上記表2に示したように、本発明の実施例による土壌改善剤用ベントナイトを土壌に施肥する場合、TDS値が下降することが確認できた。したがって、土壌の総溶解塩が減り、これの改善効果があることが確認できた。
【0096】
〔実験例3〕農作物の栽培の結果
上記実施例で準備した土壌改善剤用ベントナイトを土壌に施肥して各種農作物を栽培し、その結果を図8図26にそれぞれ示した。
【0097】
1.ナス
図8に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理することなく栽培した比較例のナスは、へたの部分に肩こけ症状である曲果現象が現われたが、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のナスは、その模様が綺麗な果に整えながら成長したことが確認できた(ひげ根が丈夫である)。
【0098】
また、図9に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理した場合、根の活着誘導によって正形果で多く実り、高品質で多収穫が可能であることが確認できた。
【0099】
この際、前記土壌改善剤用ベントナイトの使用方法は、15日間隔にして3~4回潅水処理した。
【0100】
2.唐辛子
図10a及び10bに示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例の唐辛子は、それを処理することなく栽培した比較例の唐辛子に比べて、着色及び肥大が向上したことが確認でき、唐辛子の育苗の使用時に、生育が活発になることが確認できた。
【0101】
3.蔓人参
図11に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例の蔓人参は、それを処理することなく栽培した比較例の蔓人参に比べて、根の大きさが向上したことが確認できた。
【0102】
4.白菜
図12に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例の白菜は、それを処理することなく栽培した比較例の白菜に比べて、非常に均一な状態で丈夫に生長したことが確認できた。
【0103】
6.稲
図13に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例の稲は、それを処理することなく栽培した比較例の稲に比べて、根がより発達したことが確認できた。
【0104】
7.桃
図14に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例の桃は、果物が限界点以上実っても木がそれに耐えることができ、多収穫が可能であることが確認できた。
【0105】
この際、前記土壌改善剤用ベントナイトの使用方法は、7~10日間隔にして葉面散布し、勧奨使用量は、15日間隔で25斗/500gであった。
【0106】
8.ニラ
図15に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のニラは、保湿効果とともにひげ根が丈夫となって葉先枯れ現象の解消及び有機珪酸含量が高くてパリッとなることが確認できた。
【0107】
9.リンゴ
図16に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のリンゴは、それを処理することなく栽培した比較例のりんごに比べて、受精の向上及び着果量が増進(収穫量の増大、貯蔵性の向上)することが確認できた。
【0108】
10.ズッキーニ
図17に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のズッキーニは、葉がパリッとかつ厚くなり、老化現象が延ばされることが確認できた。また、根の活着誘導によって正形果で多く実り、高品質/多収穫が可能であることが確認できた。
【0109】
11.スモモ
図18に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のスモモは、果物が限界点以上に実っても木がそれに耐えることができ、多収穫が可能であることが確認できた。
【0110】
12.作物の根
図19に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例の作物は、それを処理することなく栽培した比較例の作物に比べて、根が旺盛に育ったことが確認できた。
【0111】
13.芝草
図20a及び20bに示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理していない芝草(図20a)に土壌改善剤用ベントナイトを処理(図20b)した場合、生育不良(根活着障害)の芝草の約10日後の生育が好ましく戻ってきたことが確認できた。
【0112】
14.ワケギ
図21に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のワケギは、それを処理することなく栽培した比較例のワケギに比べて、高温でも生育が安定しており、葉の大きさが大きくなって、かつ葉色が向上したことが確認できた。
【0113】
15.胡麻
図22a及び22bに示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例の胡麻は、それを処理することなく栽培した比較例の胡麻に比べて、胡麻の収穫量が増え、多くの胡麻の中が充実していることが確認できた。また、胡麻の生育が一定かつ好ましく育ったことが確認できた。
【0114】
16.マクワウリ
図23aに示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理することなく、栽培したマクワウリの場合、蔓の老化が多く進行され、ひげ根の体積が少なく、蔓が崩れること(多収穫不可)が確認できた。これに対し、図23b~23gに示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のマクワウリは、蔓が生気があって老化が防止され、果実が多く実っても樹勢が維持されることが確認できた(図23b)。また、果形を整えながら成長(ひげ根の体積が多い、図23c)し、色が非常に鮮明でかつ滑らかく帯びていること(未消化窒素の消化吸収、リン酸の消化吸収効率が5倍以上増加、図23d)が確認できた。これに加えて、多くの果実が植物体に実っていても植物体がそれに耐えることができ(多収穫可能)、初期の根活着を誘導し、マクワウリ生育の初盤から蔓の均衡を取りながら成長していくこと(図23e~図23g)が確認できた。
【0115】
一方、図24a及び24bに示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のマクワウリは、糖度が22.3brixまで出ることが確認でき、土壌改善剤用ベントナイトを処理することなく栽培した比較例のマクワウリは、糖度が17brixに測定され、糖度に大きな差があることが確認できた。
【0116】
17.トマト
図25aに示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のトマトは、高品質化かつ多収穫が可能であり、既存の花房数の4~5花房よりも5~7花房までさらに収穫することができ(多収穫)、ひげ根と根の活着誘導と根腐れ防止、保湿効果、養分貯蔵能力のおかげでトマトの肥大がよくなされることが確認できた。
【0117】
また、図25bに示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のトマトは、それを処理することなく栽培した比較例のトマトに比べて、葉の大きさと葉の数において大きな差を見せ、葉色がより濃くなることが確認できた。
【0118】
18.ネギ
図26に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して栽培した実施例のネギは、それを処理することなく栽培した比較例のネギに比べて、受精の向上及び着果量の増進/収穫量の増大、貯蔵性が向上することが確認できた。
【0119】
19.花卉(リシアンサス)
図27に示したように、土壌改善剤用ベントナイトを処理して育てた花卉(リシアンサス)は、節間長が短くかつ太くなり、つぼみが大きく作られることが確認できた。
【0120】
この際、前記土壌改善剤用ベントナイトの使用方法は、15日に200坪当たり1袋500gを使用し、粒剤を使用するときは、200坪に2~4包(4包は追肥まで含む)を使用した。
【0121】
以上、図面を参照しながら好ましい実施例とともに、本発明について詳細に説明したが、このような図面と実施例によって本発明の技術的思想の範囲が限定されるものではない。したがって、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形例または均等な範囲の実施例が存在することができる。よって、本発明による技術的思想の権利範囲は、請求の範囲によって解釈されるべきであり、これと同等または均等な範囲内の技術思想は、本発明の権利範囲に属すると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20a
図20b
図21
図22a
図22b
図23a
図23b
図23c
図23d
図23e
図23f
図23g
図24a
図24b
図25a
図25b
図26
図27