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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】自動車用補助シート
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/10 20060101AFI20240814BHJP
   B60N 2/28 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B60R22/10 105
B60N2/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023080575
(22)【出願日】2023-05-16
(65)【公開番号】P2023172916
(43)【公開日】2023-12-06
【審査請求日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2022084008
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522203514
【氏名又は名称】我妻 俊
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】我妻 俊
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3238424(JP,U)
【文献】実開平04-128926(JP,U)
【文献】独国実用新案第29820475(DE,U1)
【文献】独国特許出願公開第19847650(DE,A1)
【文献】特開2015-137020(JP,A)
【文献】特開2014-189119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00
B60R 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の後部シートの座部に設けられた第1バックルに接続及び解除される第1接続部と、
前記座部に設けられた第2バックルに接続及び解除される第2接続部と、
前記自動車に設けられた第1シートベルトに金具を接続及び解除される第1補助バックルと、
前記自動車に設けられた第2シートベルトに金具を接続及び解除される第2補助バックルと、
前記第1接続部、前記第2接続部、前記第1補助バックル、前記第2補助バックルが設けられたベース部と、
前記ベース部に設けられ、前記第1接続部のうち前記第1バックルに接続される箇所、及び前記第2接続部のうち前記第2バックルに接続される箇所が配置される収容空間と
を有し、
前記ベース部を前記後部シートに固定するために、前記ベース部の後部において前記ベース部から後方に突出するように設けられ、前記後部シートの前記座部と背もたれ部との間に挿入される、第1挿入固定部及び第2挿入固定部をさらに有する、
自動車用補助シート。
【請求項2】
ISOFIXコネクタに係合可能な第1ISOFIX取付部と、
ISOFIXコネクタに係合可能な第2ISOFIX取付部と
をさらに有し、
前記第1ISOFIX取付部及び前記第2ISOFIX取付部は、前記ベース部に設けられる、
請求項に記載の自動車用補助シート。
【請求項3】
前記第1接続部、前記第2接続部及び前記ベース部を少なくとも覆うように設けられた、乗員が座る座面部と、
前記座面部に設けられ、前記第1接続部のうち前記第1バックルに接続される箇所、及び前記第2接続部のうち前記第2バックルに接続される箇所が配置される収容空間と、
前記座面部に座る乗員が装着する補助シートベルトと
を有する、請求項に記載の自動車用補助シート。
【請求項4】
前記ベース部は、前記補助シートベルトが使用されないときに前記補助シートベルトを収納する収納部を有する、
請求項3に記載の自動車用補助シート。
【請求項5】
前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記ベース部の所定方向において間隔をおいて配置され、
前記第1補助バックル及び前記第2補助バックルは、前記所定方向に間隔をおいて配置され、
前記所定方向において、前記第1接続部及び前記第2に接続部は、前記第1補助バックルと前記第2補助バックルとの間に配置され、
前記所定方向は、前記ベース部が置かれる前記座部の左右方向と同じ方向である、
請求項に記載の自動車用補助シート。
【請求項6】
前記ベース部を前記後部シートに固定するために、前記ベース部の前方において前記ベース部から前方に突出するように設けられ、前記自動車の前記後部シートの前方に配置される前部シートの背もたれ部に当接する、第1当接固定部及び第2当接固定部をさらに有する、
請求項に記載の自動車用補助シート。
【請求項7】
前記ベース部を前記後部シートに固定するために、前記ベース部の底面に設けられ、前記後部シートの隣接する前記座部の隙間に挿入される、第3挿入固定部をさらに有する、
請求項に記載の自動車補助シート。
【請求項8】
前記第1接続部は、前記第1接続部のうち第1バックルに接続される箇所と、前記第1接続部のうち前記ベース部に固定される箇所とを有し、
前記第2接続部は、前記第2接続部のうち第2バックルに接続される箇所と、前記第2接続部のうち前記ベース部に固定される箇所とを有し、
前記ベース部は、前記第1接続部のうち前記ベース部に固定される箇所の少なくとも一部を収容する第1接続部収容部を備え、前記第2接続部のうち前記ベース部に固定される箇所の少なくとも一部を収容する第2接続部収容部を備える、
請求項に記載の自動車補助シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車の後部シートに3人の乗員が座る場合に用いる自動車用補助シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の後部シートに座る3人の乗員が座る場合にシートベルトを着用できるようにした技術の一例が、特許文献1-3に記載されている。これらの特許文献1-3に記載されている技術では、予め3組のシートベルトが自動車の室内に設けられ、かつ、3組のバックルが後部シートに設けられている。そして、3人の乗員が後部シートに座り、それぞれシートベルトを引き出し、かつ、シートベルトに取り付けられている金具をバックルに差し込んで固定することにより、3人の乗員が全てシートベルトを装着できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3710395号公報
【文献】特開2010-247769号公報
【文献】特開平9-254741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、軽自動車の後部シートに3人の乗員が座ると、予め軽自動車に設けられている第1シートベルト及び第2シートベルトを接続する第1バックル及び第2バックルが、中央に座る乗員によって覆われるため、予め軽自動車に設けられている第1シートベルト及び第2シートベルトを装着しにくい、という課題を認識した。
【0005】
また、軽自動車ではない普通自動車でも、チャイルドシートを助手席ではなく後部座席の中央、後部座席左側の席と中央の席の中間、又は後部座席右側の席と中央の席の中間などに固定し、その両側に乗員が乗車したい場合もある。
【0006】
本開示の目的は、自動車の後部シートに3人の乗員が座った場合に、後部シートの左右に座る乗員が、予め自動車に設けられている第1シートベルト及び第2シートベルトを装着できる自動車用補助シートを提供することにある。
また、本開示の別の目的は、乗員が座ることもチャイルドシートを取り付けることもできる自動車用補助シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、自動車の後部シートの座部に設けられた第1バックルに接続及び解除される第1接続部と、前記座部に設けられた第2バックルに接続及び解除される第2接続部と、前記自動車に設けられる第1シートベルトの金具が接続及び解除される第1補助バックルと、前記自動車に設けられる第2シートベルトの金具が接続及び解除される第2補助バックルと、前記第1接続部、前記第2接続部、前記第1補助バックル及び前記第2補助バックルが設けられた補強部材と、前記第1接続部、前記第2接続部、前記第1補助バックル、前記第2補助バックル及び前記補強部材を覆い、かつ、前記座部に置かれて乗員が座る本体部と、前記補強部材に取り付けられ、かつ、前記本体部に座る乗員が装着する補助シートベルトと、前記本体部に設けられ、かつ、前記第1接続部のうち前記第1バックルに接続される箇所、及び前記第2接続部のうち前記第2バックルに接続される箇所が配置される収容空間と、を有する自動車用補助シートを構成した。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、後部シートの座部に自動車用補助シートを置くと、第1接続部は、座部の第1バックルに接続され、かつ、第2接続部は、座部の第2バックルに接続され、自動車用補助シートが座部に取り付けられる。そして、第1補助バックルは、予め自動車に設けられている第1シートベルトに接続でき、第1補助バックルは、予め自動車に設けられている第2シートベルトに接続できる。したがって、座部に3人の乗員が座った場合でも、座部の左右に座っている乗員は、自動車に予め設けられている第1シートベルト及び第2シートベルトを使用できる。また、補助シートベルトは、3人の乗員のうち中央において本体部に座る乗員に装着される。したがって、座部に座る3人の乗員の全てがシートベルトを装着できる。
【0009】
また、本開示の別の実施形態によれば、自動車用補助シートは、ベース部と座面部とを分離可能に構成され、ベース部にはISOFIX取付部を有するため、ISOFIXコネクタを有するチャイルドシートなどを自動車用補助シートに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態による補助シートを有するシート装置の模式的な正面図である。
図2】一実施形態による補助シートの斜視図である。
図3】一実施形態による補助シートを、軽自動車の後部シートに置いて使用する状態の平面図である。
図4】一実施形態による補助シートを軽自動車の後部シートに置く前の状態の模式的な正面図である。
図5】一実施形態による補助シートを軽自動車の後部シートに置いた状態の模式的な正面図である。
図6】一実施形態による補助シートの他の使用例であり、補助シートが座部に置かれる前の状態を示す模式的な正面図である。
図7】一実施形態による補助シートの他の使用例であり、補助シートが座部に置かれた状態を示す模式的な正面図である。
図8】別の実施形態による補助シートの模式的な斜視図であり、ベース部と座面部とが分離された状態を示す。
図9】別の実施形態による、追加的な固定手段を有する補助シートの模式的な斜視図である。
図10】別の実施形態による、さらに別の追加的な固定手段を有する補助シートの模式的な斜視図である。
図11】別の実施形態による、異なるバックル位置に対応可能な接続部を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本開示の軽自動車用補助シートの第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。以下においては、主に軽自動車に取り付けることができる軽自動車用補助シートを例に説明するが、本発明に係る補助シートは、軽自動車用途に限定されるものではなく、普通自動車にも用いることができ、以下、単に「補助シート」という。補助シートを説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。図1は、シート装置70の構成を示す模式的な正面図である。シート装置70は、軽自動車の後部シート11と、後部シート11に置いて使用される補助シート10と、を有する。補助シート10の説明に先立ち、後部シート11について説明する。
【0012】
後部シート11は、軽自動車の室内に配置されている。後部シート11は、軽自動車のフロア60に固定された座部12と、座部12の後端に接続された背もたれ13と、を有する。背もたれ13は、座部12に対して傾斜角度を変更できるようになっている。また、後部シート11は、軽自動車の走行方向に向かって右側に位置する第1領域14と、軽自動車の走行方向に向かって左側に配置される第2領域15と、第1領域14と第2領域15との間に位置する中間領域16と、に分けることができる。第1領域14、第2領域15及び中間領域16には、それぞれ乗員が座ることができる。例えば、第1領域14には、子供17が1人座り、第2領域15には、子供18が1人座り、中間領域16には、子供17,18の大人19が1人で座ることができる。大人19は、例えば、子供17,18の保護者である。なお、図1に示す背もたれ13は、第1領域14、第2領域15、中間領域16の全部に亘って一体に構成された例が示されているが、座部12の左右方向A1において、背もたれ13が2分割されていてもよい。
【0013】
軽自動車の室内には、第1シートベルト装置20及び第2シートベルト装置21が設けられている。図1に示す第1シートベルト装置20及び第2シートベルト装置21は、軽自動車に予め設けられている3点式のシートベルトである。第1シートベルト装置20は、ベルト本体22と、ベルト収容部23と、金具24と、バックル25と、を有する。ベルト本体22は可撓性を有する素材、例えば、ポリエステル製の素材で長尺状に構成されている。ベルト収容部23は、車体の所定箇所、例えば、リヤピラーに設けられており、ベルト収容部23は、ベルト本体22の巻き取り及び繰り出しを行う。ベルト収容部23は、調整機構を有し、調整機構は、ベルト本体22の繰り出しを許容する機能と、ベルト本体22に、所定時間内に所定値以上の荷重が加わると、ベルト本体22の繰り出しを阻止する機能と、を有する。
【0014】
ベルト本体22の長手方向の第1端部は、調整機構に連結されており、ベルト本体22の長手方向の第2端部は、第1領域14の固定部26により座部12に固定されている。金具24は、ベルト本体22に取り付けられており、金具24は、ベルト本体22の長手方向に沿って移動することができる。金具24には係合穴が設けられている。バックル25は、中間領域16で座部12に取り付けられている。バックル25は、差し込み口、操作ボタン及びロック機構を有する。
【0015】
第2シートベルト装置21は、ベルト本体27と、ベルト収容部28と、金具29と、
バックル30と、を有する。ベルト本体27は可撓性を有する素材、例えば、ポリエステル製の素材で長尺状に構成されている。ベルト収容部28は、車体の所定箇所、例えば、リヤピラーに設けられており、ベルト収容部28は、ベルト本体27の巻き取り及び繰り出しを行う。ベルト収容部28は、調整機構を有し、調整機構は、ベルト本体27の繰り出しを許容する機能と、ベルト本体27に、所定時間内に所定値以上の荷重が加わると、ベルト本体27の繰り出しを阻止する機能と、を有する。
【0016】
ベルト本体27の長手方向の第1端部は、調整機構に連結されており、ベルト本体27の長手方向の第2端部は、第2領域15の固定部31で座部12に固定されている。金具29は、ベルト本体27に取り付けられており、金具29は、ベルト本体27の長手方向に沿って移動することができる。金具29には係合穴が設けられている。バックル30は、中間領域16で座部12に取り付けられている。バックル30は、差し込み口、操作ボタン及びロック機構を有する。バックル25及びバックル30は、座部12の左右方向A1に沿って所定の間隔で配置されている。図4に示すバックル25,30は、座部12の左右方向A1における位置が固定され、かつ、バックル25,30が、座部12の上面から真上に向けて所定量が突出されている例である。
【0017】
補助シート10は、座部12の上面で左右方向A1の中央に置かれる。座部12を平面視すると、補助シート10は、座部12の配置領域内に収まるような形状及び寸法を有する。図2図3及び図4に示すように、補助シート10は、本体部32と、補強プレート(ボード)33と、補強プレート33に設けられた2つのバックル34,35と、補強プレート33に設けられた2つの箱61,62と、箱61に取り付けられた第1補助シートベルト63と、箱62に取り付けられた第2補助シートベルト64と、補強プレート33に設けられた2つの係合片36,37と、収容空間38と、を有する。
【0018】
本体部32は、緩衝材(クッション)及び被覆材を有する。緩衝材は、スポンジ、低反発ウレタン材、シリコンマットなどである。緩衝材は、補強プレート33の表面側、つまり、図4において補強プレート33の上側に配置され、かつ、補強プレート33の裏面側、つまり、図4において補強プレート33の下側にも配置されている。被覆材は、緩衝材及び補強プレート33を覆う要素であり、被覆材は、皮革製、合成皮革製、合成繊維製などである。本体部32の上面は、大人19の臀部に沿った形状を備えていることが好ましい。補強プレート33より上における本体部32の厚さは、例えば、4cm乃至5cm程度である。
【0019】
補強プレート33は、補助シート10の形態を保持するための補強要素であり、補強プレート33は、例えば金属製の板で構成されている。補強プレート33は、2つの張り出し部39,40を有する。2つの張り出し部39,40は、左右方向A1に沿って所定の間隔をおいて配置されている。張り出し部39にバックル34が取り付けられ、張り出し部40にバックル35が取り付けられている。このバックル34,35は、基本的な構成がバックル25,30と同じであり、バックル34,35は、差し込み口、操作ボタン及びロック機構をそれぞれ有する。補助シート10は、本体部32の一部を切り欠いて設けた2つの収容室41,42を有する。収容室41,42は、左右方向A1に間隔をおいて配置されている。
【0020】
箱61,62は金属製であり、かつ、アーチ形状である。箱61,62は、補強プレート33の表面に固定、例えば、溶接して固定されている。箱61は、収容室41に配置されている。バックル34は、箱61内に配置され、バックル34は、補強プレート33に固定されている。第1補助シートベルト63は、長手方向の第1端部が箱61の外面に固定され、第1補助シートベルト63の長手方向の第2端部にバックル65が設けられている。第1補助シートベルト63は、収容室41及び本体部32の外部に亘って配置されている。第1補助シートベルト63の材質は、ベルト本体22の材質と同じであり、バックル65の構成は、バックル34の構成と同様である。
【0021】
箱62は、収容室42に配置されている。バックル35は、箱62内に配置され、バックル35は、補強プレート33に固定されている。第2補助シートベルト64は、長手方向の第1端部が箱62の外面に固定され、第2補助シートベルト64の長手方向の第2端部に金具66が設けられている。第2補助シートベルト64は、収容室42及び本体部32の外部に亘って配置されている。第2補助シートベルト64の材質は、ベルト本体27の材質と同じであり、金具66の構成は、金具29の構成と同様である。金具29は、バックル65へ装着及び取り外しが可能である。係合片36,37は、左右方向A1においてバックル34とバックル35との間に配置されている。
【0022】
図3のように、補助シート10を平面視すると、張り出し部39と張り出し部40との間に、本体部32により3方向を囲まれた収容空間38が形成されている。収容空間38は、本体部32の一部を切り欠いて設けられている。収容空間38は、補助シート10が座部12の上面に置かれた場合に、本体部32における最も後部に配置されている。張り出し部39に係合片36が設けられ、張り出し部40に係合片37が設けられている。係合片36は、張り出し部39につながった金属片である。係合片37は、張り出し部40につながった金属片である。
【0023】
さらに、図2に示すような補助要素67が設けられていてもよい。補助要素67は、収容空間38へ挿入及び取り出しできるような形状及び寸法を有している。補助要素67の材質は、本体部32の材質と同じである。補助要素67は、2つの切り欠き71,69を有する。切り欠き71は、係合片36及びバックル25が進入できる形状及び寸法を有する。切り欠き69は、係合片37及びバックル30が進入できる形状及び寸法を有する。補助要素67は、補助シート10が座部12の上面に置かれた場合に、収容空間38を埋める要素であり、マジックテープ(登録商標)などの要素を用いて、本体部32に対して取り付け及び取り外しができるようになっている。本体部32の高さ方向の厚さと、補助要素67の高さ方向の厚さとは同じである。本体部32及び補助要素67の高さ方向は、座部12の上下方向である。さらに、補助要素67は、本体部32に対して、マジックテープに代えて接続片、紐などにより一体的に接続されるような構造及び形状を有していてもよい。なお、補助要素67の上面は、大人19の臀部の形状に沿った形状を備えていることが好ましい。
【0024】
補助シート10が座部12の上面に置かれると、係合片36,37は、座部12の左右方向A1で所定の間隔をおいて配置される。係合片36,37は、補強プレート33から突出された部位をフック形状に屈曲させたもの、または、フック形状の係合片36,37を、補強プレート33に溶接固定したもの、の何れであってもよい。係合片36の先端36Aは、補強プレート33に向けて突出され、係合片37の先端37Aは、補強プレート33に向けて突出されている。係合片36の先端36Aの形状及び寸法は、金具24の先端形状及び寸法と同じである。係合片37の先端37Aの形状及び寸法は、金具29の先端形状及び寸法と同じである。図4には、左右方向A1において、係合片36,37同士の間隔が、バックル25,30の間隔に対応している例が示されている。
【0025】
図3のように補助シート10を平面視した場合、または、図4のように補助シート10を正面視した場合の何れにおいても、補助シート10は左右対称の形状及び構造を有する。本体部32の厚さ方向、つまり、図4の上下方向において、本体部32の配置範囲内に、補強プレート33、バックル34,35、係合片36,37が配置されている。図3のように補助シート10を平面視した場合、係合片36と係合片37とが、収容空間38に間隔をおいて配置されている。さらに、図3のように補助シート10を平面視すると、バックル34,35の全部は、本体部32の配置領域内に配置されている。このように、本体部32は、補強プレート33、バックル34,35、係合片36,37を覆っている。また、図4のように、係合片36の先端36A、及び係合片37の先端37Aは、収容空間38に配置されている。さらに、図4のように補助シート10を正面視すると、補強プレート33、バックル34,35、係合片36,37は、何れも本体部32の厚さ方向の配置領域内に配置されている。本体部32の厚さ方向は、図4における上下方向である。
【0026】
補助シート10を使用する場合、先ず、図4のように、バックル25,30の真上に収容空間38を位置させる。そして、補助シート10を座部12に向けて下降させ、係合片36の先端36Aをバックル25の差し込み口へ挿入し、かつ、係合片37の先端37Aをバックル30の差し込み口へ挿入する。さらに、バックル25のロック機構は、係合片36をロックし、バックル30のロック機構は、係合片37をロックする。次いで、図5のように、本体部32の下面が、座部12上に接触される。なお、補助シート10の後端は、背もたれ13に接触される。このようにして、補助シート10が座部12に取り付けられ、かつ、固定される。
【0027】
また、補助シート10を使用する場合、補助シートベルト(キッズベルト)43,44,59を事前に用意する。第1領域14で座部12に子供17が座った状態で、ベルト本体22を子供17の体に接触させ、かつ、金具24を収容室41へ挿入してバックル34の差し込み口へ差し込む。すると、バックル34のロック機構が金具24をロックする。ロック機構が金具24をロックすると、金具24はバックル34から抜けなくなる。さらに、補助シートベルト43のクランプ44,45でベルト本体22をそれぞれ挟む。このようにして、ベルト本体22のうち、金具24とベルト収容部23との間の部位を、図1のように屈曲させ、ベルト本体22が子供17の首に接触することを回避する。
【0028】
また、第2領域15で座部12に子供17が座った状態で、ベルト本体27を子供17の体に接触させ、かつ、金具29を収容室42へ挿入してバックル35の差し込み口へ差し込む。すると、バックル35のロック機構が金具29をロックする。ロック機構が金具29をロックすると、金具29はバックル35から抜けなくなる。さらに、補助シートベルト46のクランプ47,48でベルト本体27をそれぞれ挟む。このようにして、ベルト本体27のうち、金具29とベルト収容部28との間の部位を、図1のように屈曲させ、ベルト本体27が子供18の首に接触することを回避する。
【0029】
さらに、中間領域16で本体部32に大人19が座った状態において、第1補助シートベルト63及び第2補助シートベルト64を大人19に掛け、図1のように、金具66をバックル65へ差し込んで固定する。本開示の補助シート10を座部12に置き、大人19が補助シート10に座ると、本来、ベルト本体22の金具24が接続されるバックル25、及びベルト本体27の金具29が接続されるバックル30は、大人19の臀部により覆われる。しかし、バックル34をベルト本体22の金具24に接続し、バックル35をベルト本体27の金具29に接続できる。したがって、座部12に座った子供17は、ベルト本体22を装着でき、座部12に座った子供18は、ベルト本体27を装着できる。また、座部12の中央で本体部32に座った大人19は、第1補助シートベルト63及び第2補助シートベルト64を装着できる。
【0030】
つまり、子供17に装着されるベルト本体22は、ベルト収容部23、固定部26、バックル34の3点で支持される。子供18に装着されるベルト本体27は、ベルト収容部28、固定部31、バックル35の3点で支持される。大人19に装着される第1補助シートベルト63は箱61で支持され、第2補助シートベルト64は箱62で支持される。したがって、走行している軽自動車が減速した場合に、子供17,18及び大人19が、慣性力で前のめりになることを抑制できる。
【0031】
なお、バックル34の操作ボタンを操作すると、バックル34のロック機構による金具24のロックが解除され、金具24をバックル34から抜くことができる。また、バックル35の操作ボタンを操作すると、バックル35のロック機構による金具29のロックが解除され、金具29をバックル35から抜くことができる。さらに、金具66をバックル65から取り外すことができる。
【0032】
さらに、大人19が2人で後部シート11に座る場合、補助シート10は座部12上に置かれない。そして、金具24をバックル25の差し込み口に差し込むと、バックル25のロック機構が金具24をロックする。ロック機構が金具24をロックすると、金具24はバックル25から抜けなくなる。バックル25の操作ボタンを操作すると、ロック機構による金具24のロックが解除され、金具24をバックル25から抜くことができる。また、金具29をバックル35の差し込み口に差し込むと、バックル35のロック機構が金具29をロックする。ロック機構が金具29をロックすると、金具29はバックル35から抜けなくなる。バックル35の操作ボタンを操作すると、ロック機構による金具29のロックが解除され、金具29をバックル35から抜くことができる。
【0033】
以上のように、後部シート11の座部12に補助シート10を置き、大人19が補助シート10に座ると、座部12のバックル25,30は、ベルト本体22,27に接続されず、補助シート10を座部12に取り付けることに利用される。また、バックル34は、1人目の子供17が装着するベルト本体22の金具24に接続される。バックル35は、2人目の子供18が装着するベルト本体27の金具29に接続される。したがって、座部12に、2人の子供17,18及び1人の大人19が座った場合でも、予め設けられているベルト本体22,27を使用できる。さらに、第1補助シートベルト63及び第2補助シートベルト64を、座部12の中央に座った大人19に装着できる。したがって、後部シート11に座った3名の乗員全員が、シートベルトを着用できる。さらに、収容空間68を、図2に示す補助要素67で埋めてから、大人19が補助シート10に座ると、収容空間38があることによる座り心地の低下を防止できる。
【0034】
(他の使用例)
図6及び図7には、補助シート10の他の使用例が示されている。バックル25,30が略上を向いて配置され、バックル25,30の上端が、座部12の上面に位置している例である。このような場合、アダプタ(アタッチメント)51,52を用いる。アダプタ51は、金具53とバックル54とを一体的に連結したものである。金具53は、金具24と同様の構造を有する。バックル54は、バックル25と同様の構造及び機能を有する。アダプタ52は、金具56及びバックル57と、金具56とバックル57とを一体的に連結し経つものである。金具56は、金具29と同様の構造を有する。バックル57は、バックル30と同様の構造及び機能を有する。
【0035】
本開示の補助シート10を、図7のように座部12に置く場合、金具53がバックル25に接続され、係合片36がバックル54に接続される。また、金具56がバックル30に接続され、係合片37がバックル57に接続される。バックル54,57は、収容空間38に配置される。
【0036】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態による補助シート80を示す模式的な斜視図である。補助シート80は、ベース部81と座面部82とに分離可能に構成されている。補助シート80は、補助シート10と同様に、座部12の上面で左右方向A1の中央に置かれる。座部12を平面視すると、補助シート80は、座部12の配置領域内に収まるような形状及び寸法を有する。補助シート80は、ベース部81に座面部82を取り付け、補助シート10と同様の手順で座部12に固定し、補助シート10と同様に使用することによって、例えば、子供17、18の保護者である大人19が座ることができる。
【0037】
ベース部81は、金属層81Aの上にゴム層81Bを積層して構成することができる。金属層81Aとゴム層81Bとの接着方法は、限定されるものではなく、例えば、加硫接着などの汎用的な方法を用いることができる。層81A、81Bの材質は、金属及びゴムに限定されるものではなく、強度を確保できるとともに、ベース部81に配置される各部を溶接又は接着などの汎用手段によって強固に固定することができる材質であればよい。また、座面部82は、緩衝材(クッション)及び被覆材を有することが好ましい。緩衝材は、スポンジ、低反発ウレタン材、シリコンマットなどとすることができ、被覆材は、皮革製、合成皮革製、合成繊維製などとすることができる。座面部82の上面は、大人19の臀部に沿った形状を備えていることが好ましい。座面部82は、ベース部81に取り付けられる後述のISOFIX取付金具85、86を覆うことができるように、張り出し部82b、82cを有する。2つの張り出し部82b,82cは、左右方向A1に沿って所定の間隔をおいて配置されている。また、座面部82は、後部の両隅に、後述されるバックル83、84の位置に対応する切り欠きを有する。
【0038】
ベース部81と座面部82との固定方法は、限定されるものではない。例えば、座面部82の下面82dに設けられた複数のフックを、ベース部81の上面81eに設けられた受金具に差し込むことによって、ベース部81と座面部82とを固定することができる。あるいは、ベース部81に複数の貫通孔を設け、その貫通孔に底面81dから差し込んだ雄ねじを、座面部82の下面82dに設けた複数の雌ねじ部に螺合させることによって、ベース部81と座面部82とを固定することができる。あるいは、面ファスナーを用いて両者を固定することもできる。
【0039】
ベース部81は、その後端部分において左右方向A1に沿って間隔をおいて配置された2つの張り出し部を有する。それぞれの張り出し部の端部(すなわち、ベース部81の後部の両隅)には、バックル83、84が取り付けられている。バックル83、84は、例えば溶接などによって金属層81Aに取り付けられる。バックル83,84の基本的な構成は、バックル25,30と同じであり、バックル83,84は、差し込み口、操作ボタン及びロック機構をそれぞれ有する。図2に示される第1の実施形態による補助シート10では、バックル34、35は、それぞれ第1及び第2のシートベルト装置20、21の金具24、29が側方から挿入されるように構成されている。これに対して、補助シート80では、バックル83、84は、金具24、29を上方から挿入することができるように、差し込み口が上方を向いている。図8では、バックル83、84は、ベース部81に直接取り付けられるように示されているが、これに限定されるものではなく、バックル34、35が内部に配置される箱61、62と同様の、金属層81Aに取り付けられた箱の内部に配置されていてもよい。
【0040】
本実施形態においては、ベース部81に、座面部82に代えてチャイルドシート(図示せず)を載せることができる。そのために、ベース部81は、チャイルドシートのISOFIXコネクタを取り付けることができるISOFIX取付金具85、86を備える。ISOFIX取付金具85は、張り出し部においてバックル83と係合片36との間に配置され、ISOFIX取付金具86は、張り出し部においてバックル84と係合片37との間に配置される。ISOFIX取付金具85、86は、ゴム層81Bに設けられた貫通孔などを介して、例えば溶接などによって金属層81Aに取り付けられる。ISOFIX取付金具85、86は、中空の箱体の後端に、自動車への取り付けが義務化されている汎用ISOFIXアンカーと同形状のアンカー85a、86aが設けられている。補助シート80の前方から挿入された、例えばチャイルドシートのISOFIXコネクタをアンカー85a、86aに接続することによって、チャイルドシートをベース部81に固定することができる。ISOFIX取付金具85、86は、ベース部81に座面部82を載せたときに、張り出し部82b、82cに設けられた収容室82b1、82c1に収容される。
【0041】
補助シート80は、補助シート10と同様に、補助シート80に座る大人19のためのシートベルト、すなわち、第1補助シートベルト63と第2補助シートベルト64とを備える。第1補助シートベルト63は、長手方向の第1端部が、バックル83に回転可能に設けられた金具63aに取り付けられている。また、第2補助シートベルト64は、長手方向の第1端部が、バックル84に回転可能に設けられた金具64aに取り付けられている。金具63a、64aは、バックル83、84ではなく、ベース部81に取り付けられてもよい。あるいは、バックル83、84が上述のように箱内に配置される場合には、金具63a、64aは、この箱に取り付けられてもよい。あるいは、バックル83、84は、ベース部81の金属層81Aに溶接により立設された金属板に取り付けられてもよい。この第1及び第2補助シートベルト63、64は、ベース部81と座面部82とを分離して、ベース部81にチャイルドシートを載せる場合には、邪魔になる。そのため、使用しない場合に第1及び第2補助シートベルト63、64を収納しておくための収納部が、ベース部81に設けられていることが好ましい。そのため、ベース部81は、使用しない状態の第1及び第2補助シートベルト63、64の長さの少なくとも1部に対応する溝81b、81cを有する。第1補助シートベルト63は、使用しないときには、その一部をベース部81の側面に沿って配置し、残りの部分を溝81bに収納することができる。同様に、第2補助シートベルト64は、使用しないときには、その一部をベース部81の側面に沿って配置し、残りの部分を、溝81cに収納することができる。溝81b、81cの位置、長さ及び深さは、限定されるものではなく、使用しないときに第1及び第2補助シートベルト63、64を収容しておくことができるように、任意に設計変更することができる。
【0042】
ベース部81には、第1の実施形態の収容空間38と同様に、係合片36、37が配置される位置に収容空間81aが形成され、座面部82には、同様に収容空間82aが形成される。係合片36、37の少なくとも先端36A、37Aは、収容空間81a、82aに配置されている。なお、第2の実施形態においては、係合片36、37は、金属層81Aから突出された部位をフック形状に屈曲させたもの、又は、フック形状の係合片36,37を、金属層81Aに溶接などより固定したもののいずれであってもよい。ベース部81に座面部82が固定されたときに、これらの収容空間81a、82aには、図2に示されるように補助要素67を設けることができる。あるいは、図8に示されるように、座面部82に、収容空間82aを塞ぐ収容空間カバー90を設けることもできる。収容空間カバー90を座面部82に取り付ける方法は、限定されるものではなく、例えば、面ファスナー、フック、ロックピン、ねじ、蝶番などを用いて開閉可能又は着脱可能に取り付けることができる。収容空間カバー90の上面は、大人19の臀部の形状に沿った形状を備えていることが好ましい。
【0043】
補助シート80は、軽自動車の後部シート11に設けられたバックル25、30に2つの系合片36、37を差し込むことによって、座部12に固定することができる。しかし、2つの係合片36、37の使用のみでは補助シート80の固定が不十分な場合に対応できるように、補助シート80は、追加的な固定手段を備えることが好ましい。追加的な固定手段は、後部フィン91、92、前部ステー93、94、若しくは底面フィン96、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0044】
図9(a)は、追加的な固定手段である後部フィン91、92を有する補助シート80の模式的な斜視図である。後部フィン91、92は、ベース部81の後端から後方に突出するように設けられた板状体とすることができる。後部フィン91、92は、左右方向A1に適切な間隔をあけて設けられることが好ましい。ベース部81から後方に突出した後部フィン91、92を、軽自動車の後部シート11の座部12と背もたれ13との間の隙間に挿入することによって、補助シート80をより強固に後部シート11に固定することができる。なお、後部フィン91、92は、固定の必要性に応じて、両方とも用いることも、いずれか一方のみを用いることもできる。また、後部フィン91、92の幅、厚さ、突出量及び材質は、固定の必要性に応じて任意に設計変更することができる。さらに、後部フィンは、それぞれの張り出し部に1つずつ設けられることに限定されるものではなく、固定の必要性に応じて、例えば、それぞれの張りだし部に2つずつ以上を設けてもよい。
【0045】
後部フィン91、92は、使用しないときには、ベース部81に設けられたスリット状の収容部81f、81gにそれぞれ収納しておき、使用するときに収容部81f、81gからスライドさせてベース部81の後端から突出させるようにすることが好ましい。収容部81f、81gは、金属層81Aの対応する位置に形成された肉厚部内に設けられることが好ましい。スライドさせて突出させた後部フィン91、92は、例えば、ベース部81の上面81e又は底面81dから収容部81f、81g内に挿入できるように設けられたロックピンやねじなどを用いた汎用的な固定方法で、突出した状態で固定することができる。あるいは、ベース部81の後部に後部フィン91、92の差込口を設け、使用しないときには後部フィン91、92を取り外して別途保管しておき、使用するときに後部フィン91、92を差込口に差し込んで固定するようにしてもよい。あるいは、後部フィン91、92は、ベース部81の後端に着脱不可能に固定しておいてもよい。
【0046】
図9(b)は、さらに別の追加的な固定手段である前部ステー93、94を有する補助シート80の模式的な斜視図である。前部ステー93、94は、ベース部81の前端から前方に突出するように設けられた棒状体とすることができる。前部ステー93、94は、シート部81の側とは反対側の端部に板状体が設けられていることが好ましい。前部ステー93、94は、左右方向A1に適切な間隔をあけて設けられることが好ましい。ベース部81から前方に突出した前部ステー93、94又はそれらの端部の板状体を、軽自動車の前部シート(図示せず)の背もたれ背面に押し当てることによって、補助シート80をより強固に後部シート11に固定することができる。なお、前部ステー93、94は、固定の必要性に応じて、両方とも用いることも、いずれか一方のみを用いることもできる。前部ステー93、94の太さ及び材質は、固定の必要性に応じて任意に設計変更することができる。前部ステー93、94は、前部シートの位置に応じて長さを任意に調節することができるように、いわゆる心張り棒に採用されるような伸縮自在な構造を採用することが好ましい。
【0047】
前部ステー93、94は、使用しないときには、ベース部81に設けられた長孔状の収容部81h、81iにそれぞれ収納しておき、使用するときに収容部81h、81iからスライドさせてベース部81の前端から突出させるようにすることが好ましい。収容部81h、81iは、金属層81Aの対応する位置に形成された肉厚部内に設けられることが好ましい。スライドさせて突出させた前部ステー93、94は、例えば、ベース部81の上面81e又は底面81dから収容部81h、81i内に挿入できるように設けられたロックピンやねじなどを用いた汎用的な固定方法で、突出した状態で固定することができる。あるいは、ベース部81の前部に前部ステー93、94の差込口を設け、使用しないときには前部ステー93、94を取り外して別途保管しておき、使用するときに前部ステー93、94を差込口に差し込んで固定するようにしてもよい。あるいは、前部ステー93、94は、ベース部81の前端に着脱不可能に固定しておいてもよい。
【0048】
図10は、さらに追加的な固定手段である底面フィン96を有するベース部81の斜視図であり、ベース部81を底面81dの方向からみた図である。なお、図10においては、座面部82は示されていない。底面フィン96は、ベース部81の底面81dから垂直に下向きに突出するように設けられた板状体とすることができる。底面フィン96は、その長さ方向がベース部81の前後方向に延びるように設けられる。底面フィン96の、底面81dにおける幅方向の位置は、補助シート80を使用する車種の座部12の構成に応じて任意に設計変更することができる。また、底面フィン96の長さ、厚さ、突出量及び材質は、固定の必要性に応じて任意に設計変更することができる。ベース部81の底面81dから下方に突出する底面フィン96を、軽自動車の座部12の隣接するシート間の隙間に挿入することによって、補助シート80の横方向への移動を効果的に防止することができる。
【0049】
底面フィン96は、取り外し可能に取り付けられることが好ましい。取り外し可能とする方法は、特に限定されるものではない。例えば、図10に示されるように、断面T字状の長いフィン部材のT字の横棒に該当する部分を挿入可能で、T字の縦棒に相当する部分(すなわち、底面フィン96)を下向きに突出させることができるスリット95aを有する底面フィン挿入部材95をベース部81の底面81dに取り付けておき、必要に応じて、底面フィン挿入部材95に底面フィン96を挿入して使用できるようすることができる。必要に応じて、底面81dに底面フィン挿入部材95を取り付けるのではなく、ベース部81自体に底面フィン96を挿入することができる部分を設け、スリット95aが底面81dに開口するようにしてもよい。あるいは、底面フィン96は、T字の横棒に該当する部分を底面81dにねじなどで固定することによって、底面81dに取り付けてもよい。あるいは、底面フィン96は、ベース部81の底面81dに着脱不可能に固定しておいてもよい。
【0050】
軽自動車の座部12に配置されているバックル25及びバックル30は、軽自動車のメーカー毎、又は車種毎に、その左右方向の間隔、前後方向の位置、差し込み口の高さ若しくは向き、構造及びサイズなどが異なる場合がある。したがって、補助シート80の係合片36、37は、異なるメーカー又は車種にも対応可能であることが好ましい。例えば、バックル25、30の幅が異なる複数のメーカー又は車種に対応可能となるように、係合片36、37の距離を任意に変更できるように構成することができる。
【0051】
図11(a)及び図11(b)は、異なるバックル間隔に対応可能な係合片を示す模式的な斜視図である。なお、図11においては、座面部82は示されていない。この形態において、係合片36、37は、バックル25、30と係合する先端36A、37Aと、それに連続する基部36B、37Bとを備える。基部36B、37Bの少なくとも一部は、ベース部81に設けられた収容部81j、81kにそれぞれ挿入されるようになっている。また、係合片36、37は、基部36B、37Bを収容部81j、81kから必要な長さだけ引き出した状態で固定できるようになっている。固定方法は、限定されるものではなく、例えば、ベース部81の上面81e又は底面81dから収容部81j、81k内に挿入できるように設けられたロックピンやねじなどを用いた汎用的な固定方法で固定することができる。
【0052】
また、補助シート80の係合片は、車種に応じて異なるバックル位置又は向きに対応するように構成されることが好ましい。すなわち、軽自動車の後部シート11に設けられたバックル25、30の前後方向位置、又は差し込み口の高さ若しくは向きは、車種に応じて異なる場合がある。例えば、バックル25、30の位置が、補助シート80に係合片が固定されている位置に対して、後方若しくは前方にある場合、及び/又は、バックル25、30の差し込み口が高い位置若しくは低い位置にある場合などが考えられる。係合片は、このような異なる複数の車種にわたって補助シート80を用いることができるように構成することができる。上述の係合片36、37は、先端36A、37Aの前後方向の位置、高さ、若しくは向き、又はこれらの組み合わせが異なる複数の種類を準備しておき、バックル25、30の差し込み口の位置に応じて最も適した係合片36、37を収容部81j、81kに挿入及び固定して使用することもできる。
【0053】
図11(c)は、係合片の構成の一例であり、バックル25、30の差し込み口に差し込まれる先端を有する部分と、ベース部材81に固定される部分とを別の部材として構成した係合片100、101を示す模式的な斜視図である。係合片100は、バックル25に差し込まれる先端100Aを有する取替可能部分100aと、ベース部81に固定される固定部分100bとからなる。先端100Aの形状及び寸法は、金具24の先端形状及び寸法と同じである。取替可能部分100aと固定部分100bとは、例えば、取替可能部分100aに設けられた孔100cに、固定部分100bに設けられたネジ100dを挿入して、ナット(図示せず)で固定することによって、連結することができる。係合片101は、同様に、バックル30に差し込まれる先端101Aを有する取替可能部分101aと、ベース部81に固定される固定部分101bとからなる。先端101Aの形状及び寸法は、金具29の先端形状及び寸法と同じである。取替可能部分101aと固定部分101bとは、例えば、取替可能部分101aに設けられた孔101cに、固定部分101bに設けられたネジ101dを挿入して、ナット(図示せず)で固定することによって、連結することができる。
【0054】
図11(d)は、バックル25、30の差し込み口に差し込まれる先端を有する部分と、ベース部材81に固定される部分とを別の部材として構成した係合片の別の形態を示す模式的な斜視図である。なお、図11(d)は、図11(a)~(c)とは異なり、ベース部81の上面81eの方向からみた図である。係合片102は、バックル25に差し込まれる先端102Aを有する取替可能部分102aと、ベース部81に固定される固定部分102bとからなる。先端102Aの形状及び寸法は、金具24の先端形状及び寸法と同じである。取替可能部分102aと固定部分102bとは、固定部分102bに設けられたスリット102dに、取替可能部分102aの下部102cを挿入し、ロックピンやねじなどで固定することによって、連結することができる。係合片103は、同様に、バックル30に差し込まれる先端103Aを有する取替可能部分103aと、ベース部81に固定される固定部分103bとからなる。先端103Aの形状及び寸法は、金具29の先端形状及び寸法と同じである。取替可能部分103aと固定部分103bとは、固定部分103bに設けられたスリット103dに、取替可能部分103aの下部103cを挿入し、ロックピンやねじなどで固定することによって、連結することができる。バックル25に接続される係合片102(図示せず)も同様に構成される。
【0055】
取替可能部分100a、101a、102a及び103aは、固定部分100b、101b、102b及び103bに連結したときに、先端100A、101A、102A及び103Aが、それぞれ図11(c)及び図11(d)に示される位置より、例えば、前方に位置する形状、後方に位置する形状、高い位置にある形状、低い位置にある形状、若しくは、前方若しくは後方に傾斜した形状、又はこれらの組み合わせの形状を有する複数の種類を準備することが好ましい。補助シート80を使用する場合、補助シート80を置く後部シート11のバックル25、30の差し込み口の位置に応じて、最も適した取替可能部分100a、101a、102a及び103aを選択し、固定部分100b、101b、102b及び103bに連結した後、補助シート80を座部12に取り付け、固定することができる。
【0056】
(その他の説明)
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。補助シート10、80は、補助シートの一例であり、座部12は、座部の一例である。バックル25は、第1バックルの一例であり、バックル30は、第2バックルの一例である。係合片36、100は、第1接続部の一例であり、係合片37、101は、第2接続部の一例である。ベルト本体22は、第1シートベルトの一例であり、ベルト本体27は、第2シートベルトの一例である。バックル34、83は、第1補助バックルの一例であり、バックル35、84は、第2補助バックルの一例である。補強プレート33は、補強部材の一例である。本体部32は、本体部の一例である。ベース部81は、ベース部の一例であり、座面部82は、座面部の一例である。ISOFIX取付金具85は、チャイルドシートなどに使用されるISOFIXコネクタに係合可能な第1ISOFIX取付部の一例であり、ISOFIX取付金具86は、チャイルドシートなどに使用されるISOFIXコネクタに係合可能な第2ISOFIX取付部の一例である。
【0057】
第1補助シートベルト63及び第2補助シートベルト64は、補助シートベルトの一例である。また、補強部材に取り付けられる補助シートベルトは、補助シートベルトが補強部材に直接取り付けられる構造、または、補助シートベルトが補強部材に間接的に取り付けられる構造の何れでもよい。収容空間38、収容空間81a及び収容空間82aは、収容空間の一例である。左右方向A1は、所定方向の一例である。収容室41は、第1バックル収容室の一例であり、収容室42は、第2バックル収容室の一例である。係合片36の先端36A、100Aは、「第1接続部のうち第1バックルに接続される箇所」の一例である。係合片37の先端37A、101Aは、「第2接続部のうち第2バックルに接続される箇所」の一例である。係合片36の基部36Bは、「第1接続部のうちベース部に固定される箇所」の一例であり、係合片37の基部37Bは、「第2接続部のうちベース部に固定される箇所」の一例である。収容部81jは、第1接続部収容部の一例であり、収容部81kは、第2接続部収容部の一例である。
【0058】
ベース部81に設けられる溝81b、81cは、補助シートベルトを収納する収納部の一例である。ベース部81に設けられる後部フィン91は、第1挿入固定部の一例であり、後部フィン92は、第2挿入固定部の一例である。ベース部81に設けられる前部ステー93は、第1当接固定部の一例であり、前部ステー94は、第2当接固定部の一例である。ベース部81に設けられる底面フィン96は、第3挿入固定部の一例である。
【0059】
本実施形態は、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、軽自動車のメーカー毎、または、車種毎に、図4及び図5における左右方向A1におけるバックル25とバックル30との間隔が異なる場合がある。このため、本開示の補助シート10は、左右方向A1における係合片36と係合片37との間隔を異ならせたものを、複数種類用意しておくことで、対応可能である。例えば、左右方向A1における係合片36と係合片37との間隔が、狭い、普通、広い、というように、補助シート10として複数のラインナップを用意することができる。また、係合片36,37の形状、構造、向き、及びサイズは、バックル25,30の形状、構造、向き及びサイズに適合するように、任意に設計変更することができる。
【0060】
また、補強プレート33は、強度を確保できる材質及び形状であればよく、図3のように補強プレート33を平面視した場合に、任意の箇所に穴を設けることにより、補強プレート33の軽量化、及び材料の低減を図ることもできる。さらに、補強部材は、板形状に限らず、フレーム形状であってもよい。さらに、バックル25,30またはバックル54,57が配置される収容空間38、81a、82aは、本体部32又はベース部材81及び座面部82を厚さ方向に貫通する穴、または、本体部32又はベース部材81及び座面部82に設けられる凹部であってもよい。さらに、軽自動車に予め設けられている第1シートベルト装置及び第2シートベルト装置が、座部に設けられているベルト収容部及びバックルにより支持される2点式のベルト本体を有する構造であってもよい。
【0061】
本実施形態には、次のシート装置も記載されている。例えば、軽自動車に設けられる第1シートベルト及び第2シートベルトと、前記第1シートベルトの金具が接続される第1バックル、及び前記第2シートベルトの金具が接続される第2バックルを有する座部と、前記座部に置かれる軽自動車用補助シートと、を有するシート装置において、前記軽自動車用補助シートは、前記第1バックルに接続される第1接続部と、前記第2バックルに接続される第2接続部と、前記第1シートベルトの金具が接続される第1補助バックルと、前記第2シートベルトの金具が接続される第2補助バックルと、前記第1接続部、前記第2接続部、前記第1補助バックル及び前記第2補助バックルが設けられた補強部材と、前記第1接続部、前記第2接続部、前記第1補助バックル、前記第2補助バックル及び前記補強部材を覆い、かつ、前記座部に置かれて乗員が座る本体部と、前記補強部材に取り付けられ、かつ、前記本体部に座る乗員が装着する補助シートベルトと、前記本体部に設けられ、かつ、前記第1接続部のうち前記第1バックルに接続される箇所、及び前記第2接続部のうち前記第2バックルに接続される箇所が配置される収容空間と、を有する、シート装置が記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本実施形態は、自動車の後部シートに3人の乗員が座れるようにする自動車用補助シートとして利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 補助シート
12 座部
22,27 ベルト本体
25,30,34,35 バックル
32 本体部
33 補強プレート
36,37 係合片
36A,37A 先端
38 収容空間
41,42 収容室
63 第1補助シートベルト
64 第2補助シートベルト
80 補助シート
81 ベース部
82 座面部
83、84 バックル
85、86 ISOFIX取付金具
90 収容空間カバー
91、92 後部フィン
93、94 前部ステー
95 底面フィン挿入部
96 底面フィン
100、101、102、103 係合片
A1 左右方向

図1
図2
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図11