(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ECG信号に基づいて指標値を変換する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/33 20210101AFI20240814BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20240814BHJP
【FI】
A61B5/33 300
A61B5/332
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023100684
(22)【出願日】2023-06-20
【審査請求日】2023-06-20
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】523235932
【氏名又は名称】チェン,カン-イン
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】チェン,カン-イン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0095982(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0244339(US,A1)
【文献】Krishna Teja et al.,Adaptive denoising of ECG using EMD, EEMD and CEEMDAN signal processing techniques,Journal of Physics: Conference Series, Volume 1706, First International Conference on Advances in Physical Sciences and Materials,2020年08月,#012077
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/33
A61B 5/332
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図(ECG)信号を
身体状態に対応する指標値へと変換する方法であって、
前記方法は、電子デバイスに無線接続されており、第1心電図(ECG)信号を検出するために用いられる
ウェアラブルデバイスに適用され、
前記第1ECG信号は、
前記電子デバイスに実装された第1プログラムによって前記電子デバイスを介してサーバにアップロードされ、
前記方法は、
前記サーバ
は、アンサンブル経験的モード分解および第1成分のエネルギー分布に基づいて、前記第1ECG信号を分解し、複数の第1成分を生成するステップと、
前記サーバ
は、前記第1成分からの特徴抽出を実行し、複数の第1特徴値を生成するステップと、
前記サーバ
は、幾何学的計算を実行し、
前記複数の第1特徴値を組み合わせ、前記第1特徴値
間のベクトル関係に対応する第1指標値
であって、第1のECG信号から変換された固有の解としての第1指標値を生成
し、前記サーバには複数の閾値が設定されており、前記サーバは前記閾値および前記第1指標値に対応する第1ステータスメッセージを生成し、前記閾値は固定値であるステップと、
前記サーバは、前記第1指標値および前記第1ステータスメッセージを前記電子デバイスに返送し、前記第1指標値および前記第1ステータスメッセージが前記電子デバイスまたは前記ウェアラブルデバイスに表示されるステップと、を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記
ウェアラブルデバイスは、第2ECG信号をさらに検出し、前記電子デバイスを介して前記第2ECG信号を前記サーバにアップロードし、
前記方法は、
前記サーバ
は、アンサンブル経験的モード分解および第1成分のエネルギー分布に基づいて、前記第2ECG信号を分解し、複数の第2成分を生成するステップと、
前記サーバ
は、前記第2成分からの特徴抽出を実行し、複数の第2特徴値を生成するステップと、
前記サーバ
は、幾何学的計算を実行し、
前記複数の第2特徴値を組み合わせ、前記第2特徴値
間のベクトル関係に応じた第2指標値を生成するステップと、をさらに含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サーバによって幾何学的計算を実行し、前記第2特徴値に応じた第2指標値を生成する前記ステップにおいて
、前記複数の閾値が、前記サーバに設定されており、
前記サーバは、前記閾値および前記第2指標値に対応する第2ステータスメッセージをさらに生成する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記サーバが前記第2指標値を前記電子デバイスに返送し、前記
ウェアラブルデバイスまたは前記電子デバイスに前記第2指標値を表示させるステップをさらに含んでいる、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
複数の閾値が、前記電子デバイスに設定されており、
前記電子デバイスは、前記閾値および前記第2指標値に応じた第2ステータスメッセージを生成し、
前記第2ステータスメッセージが、前記
ウェアラブルデバイスまたは前記電子デバイスにおいて表示される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
心電図(ECG)信号を
身体状態に対応する指標値へと変換するシステムであって、
第1心電図(ECG)信号を検出する検出ユニットを有する
ウェアラブルデバイスと、
前記
ウェアラブルデバイスに無線接続されており、前記第1ECG信号を受信するために使用される電子デバイスと、
前記電子デバイスに接続されているサーバと、を備えており、
前記電子デバイスは、
前記電子デバイスに実装された第1プログラムによって前記第1ECG信号を前記サーバにアップロードし、
前記サーバ
は、アンサンブル経験的モード分解および第1成分のエネルギー分布に基づいて、前記第1ECG信号が分解され、複数の第1成分が生成され、
次いで、前記サーバは、前記第1成分からの特徴抽出を実行し、複数の第1特徴値を取得し、
次いで、前記サーバは、幾何学的計算を実行し、
前記複数の第1特徴値を組み合わせ、前記第1特徴値
間のベクトル関係に応じた第1指標値を生成
し、前記サーバには複数の閾値が設定されており、前記サーバは前記閾値および前記第1指標値に対応する第1ステータスメッセージを生成し、前記サーバは、前記第1指標値および前記第1ステータスメッセージを前記電子デバイスに返送し、前記第1指標値および前記第1ステータスメッセージが前記電子デバイスまたは前記ウェアラブルデバイスに表示され、前記閾値は固定値である、システム。
【請求項7】
前記検出ユニットは、第2ECG信号をさらに検出し、
前記電子デバイスは、前記第2ECG信号を前記サーバにアップロードし、
前記サーバ
は、アンサンブル経験的モード分解および第2成分のエネルギー分布に基づいて、、前記第2ECG信号が分解され、複数の第2成分が生成され、
次いで、前記サーバは、前記第2成分からの特徴抽出を実行し、複数の第2特徴値を取得し、
次いで、前記サーバは、幾何学的計算を実行し、
前記複数の第2特徴値を組み合わせ、前記第2特徴値
間のベクトル関係に応じた第2指標値を生成
し、前記サーバには前記複数の閾値が設定されており、前記サーバは前記閾値および前記第2指標値に対応する第2ステータスメッセージを生成し、前記サーバは、前記第2指標値および前記第2ステータスメッセージを前記電子デバイスに返送し、前記第2指標値および前記第2ステータスメッセージが前記電子デバイスまたは前記ウェアラブルデバイスに表示される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ウェアラブルデバイスは、第2ECG信号をさらに検出し、前記電子デバイスを介して前記第2ECG信号を前記サーバにアップロードし、
前記サーバは、アンサンブル経験的モード分解および第2成分のエネルギー分布に基づいて、前記第2ECG信号を分解し、複数の第2成分を生成し、
前記サーバは、前記第2成分からの特徴抽出を実行し、複数の第2特徴値を生成し、
前記サーバは、幾何学的計算を実行し、前記複数の第2特徴値を組み合わせ、前記第2特徴値間のベクトル関係に応じた第2指標値を生成し、
前記サーバは、前記第2指標値を前記電子デバイスに返送し、前記電子デバイスには、前記複数の閾値が設定されており、前記電子デバイスは、前記閾値および前記第2指標値に対応する第2ステータスメッセージを生成し、前記第2指標値および前記第2ステータスメッセージが前記電子デバイスまたは前記ウェアラブルデバイスに表示される、請求項6のシステム。
【請求項9】
心電図(ECG)信号を身体状態に対応する指標値へと変換する方法であって、
前記方法は、第1心電図(ECG)信号を検出するために用いられるウェアラブルデバイスに適用され、且つ、電子デバイスに無線接続されており、前記第1ECG信号は、第1プログラムによって前記電子デバイスを介してサーバにアップロードされ、
前記方法は、
前記サーバは、アンサンブル経験的モード分解および第1成分のエネルギー分布に基づいて、前記第1ECG信号を分解し、複数の第1成分を生成するステップと、
前記サーバは、前記第1成分からの特徴抽出を実行し、複数の第1特徴値を生成するステップと、
前記サーバは、幾何学的計算を実行し、前記複数の第1特徴値を組み合わせ、前記第1特徴値間のベクトル関係に対応する第1指標値を生成するステップと、
前記サーバは、前記第1指標値を前記電子デバイスに返送し、前記電子デバイスには、複数の閾値が設定されており、前記電子デバイスは、前記閾値および前記第1指標値に対応する第1ステータスメッセージを生成し、前記第1指標値および前記第1ステータスメッセージが前記電子デバイスまたは前記ウェアラブルデバイスに表示され、前記閾値が固定値であるステップと、を含んでいる、方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、操作方法およびシステムに関し、具体的には、心電図(electrocardiogram,ECG)信号を指標値(index value)へと変換する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関が発表した2018年の世界保健統計によれば、2016年における虚血性心疾患および脳卒中による死亡者は、推定で176万5000人であり、この数は全世界における死亡者(569万人)の31%に相当する。台湾における10個の主要な死因のうちの半分は、心血管疾患(cardiovascular diseases,CVD)に関連している。心血管疾患患者の死亡率は、約10%である。ひとたび脳血管疾患および糖尿病の合併症と組み合わせられると、CVDの死亡率は25%に至る。そこで、CVDの診断のためには、CVDに適した特定のテスト(検査)が必要である。心電図検査では、外部刺激の前後で明らかな差異が存在する。
【0003】
一般的に、心血管テストは、非侵襲タイプおよび侵襲タイプの2種類に分けられる。現在において利用されている最も一般的かつ簡便なタイプは、エクササイズトレッドミルテストなどの非侵襲タイプである。エクササイズトレッドミルでは、心臓の酸素消費および身体の作業負荷を増加させるために、被験者にトレッドミル上を歩かせることが可能である。エクササイズの強度は、医療スタッフの監督下で、検査状態に応じて調整されうる。このため、被験者の心臓はエクササイズ状態とともに変化し、心電図も変化する。それゆえ、被験者が対応する心血管疾患を有しているか否かを推測できる。
【0004】
上述のエクササイズECGは、冠動脈疾患(coronary artery diseases,CAD)の程度を評価するための非侵襲的な方法を用いた一種のストレステストである。エクササイズテスト時には、作業負荷は徐々に増加し、被験者の心拍数および収縮期血圧も安全に上昇する。心拍数と収縮期血圧との積である二重積(ダブルプロダクト)は、心筋酸素消費についての指標である。例えば、CAD患者のECGは、安静時には正常となりうる。しかしながら、必要とされる酸素の量は、増加し、運動時に供給される酸素の量よりも大きくなる。このため、CADの症状を伴わない患者では、冠動脈の変化を反映するECG信号の変化が生じうる。
【0005】
心電図は、電極を皮膚上に配置することによって電圧がキャプチャされ記録されている期間における、心臓の電気的活動についての時間対電圧のグラフである。したがって、専門スタッフは、測定デバイスによって心臓の状態を検出できる。人々は、医師の診察を受けてヘルスケアシステムにおける補助測定である心電図テストを受けるためには、地域の病院などの医療施設に行き予約をする必要がある。このため、人々が医学的処置(medical attention)および関連するテストをなるべく早期に能動的に求めることは、稀である。
【0006】
しかしながら、心疾患患者である被験者は、標準的なECGテストの全てのステップを完了できない場合がある。心電図記録の解釈は、一般人にとって容易ではない。したがって、人々は心電図テストのために医療機関または医療センターに行く必要があり、医療関係者は心電図結果を解釈し、ECGによって表される心血管状態を被験者に伝える必要がある。
【0007】
ウェアラブルデバイスなどの、市販されている様々なタイプの消費者製品が存在している。当該製品は、心拍数を測定する簡単な方法をユーザに提供する。測定のほぼ大部分は、心不整脈、自律神経異常、心房細動などの心拍数関連分析の記録に関連しているか、または、それらに焦点を当てている。したがって、ウェアラブルデバイスによって提供される心臓の健康状態に関連するテストでは、病院において実行されているテストと同じ効果を実現できない。このことは、ウェアラブルデバイスによって提供されるシングルリード(single-lead)心電図テストを開発することは困難であることを意味している。シングルリード心電図テストは、簡便に実行できるとともに、読み取り容易なテスト結果を提供できなければならない。
【0008】
このように、改善の余地が存在しており、心電図(ECG)信号を指標値へと変換する方法およびシステムを提供するニーズが存在している。当該方法およびシステムでは、ECG信号が検出デバイス(センシングデバイス)によって検出され、次いで、当該ECG信号がサーバに送信され、分解(decomposition)、特徴抽出(feature extraction)、および幾何学的計算(geometric computation)によって処理され、対応する指標値が得られる。これにより、ユーザは、指標値によって自身の健康状態を直接的に把握できる。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本願の主な目的は、心電図(ECG)信号を指標値へと変換する方法およびシステムを提供することである。当該方法およびシステムでは、電子デバイスによってサーバにアップロードされたECG信号が、分解MD、特徴抽出FE、および幾何学的計算CCによって処理され、対応する指標値が得られる。このため、ユーザは、指標値に従って自身の健康状態を把握できる。
【0010】
上述の目的を達成するために、本願に係る心電図(ECG)信号を指標値へと変換する方法は、検出デバイスに適用される。前記検出デバイスは、電子機器に無線接続されており、第1ECG信号を検出するために使用される。まず、前記第1ECG信号は、前記電子デバイスを介して前記検出デバイスからサーバにアップロードされる。前記第1ECG信号は、前記サーバによって分解され、複数の第1成分(コンポーネント)が生成される。次いで、前記サーバは、前記第1成分に応じた特徴抽出を実行し、複数の第1特徴値(特徴量)を生成する。次いで、前記サーバは、前記第1特徴値に基づく幾何学的計算を実行し、第1指標値を生成する。このように、心電図(ECG)信号を指標値へと変換する本方法は、複数の操作処理の後に指標値を得る。前記指標値は、ユーザが自身の健康状態を直接的に把握できるよう視覚的に提示される。
【0011】
好ましくは、前記サーバによって幾何学的計算を実行し前記第1特徴値に応じた第1指標値を生成する前記ステップにおいて、前記第1指標値に対応する複数の閾値がサーバに設定されている。この場合、前記サーバは、前記閾値および前記第1指標値に応じた第1ステータスメッセージを生成する。
【0012】
好ましくは、幾何学的計算を実行し前記第1特徴値に応じた第1指標値を生成する前記ステップの後に、前記第1指標値は、前記電子デバイスにおける表示のために、前記電子デバイスに送返される。
【0013】
好ましくは、前記第1指標値に対応する複数の閾値が前記電子デバイスに設定されている。この場合、前記電子デバイスは、前記閾値および前記第1指標値に応じた第1ステータスメッセージを生成する。次いで、前記第1指標値および前記第1ステータスメッセージが、前記電子デバイスにおいて表示される。
【0014】
好ましくは、前記検出デバイスは、第2ECG信号をさらに検出し、前記電子デバイスを介して前記第2ECG信号を前記サーバにアップロードする。前記方法は、前記サーバによって前記第2ECG信号を分解し、複数の第2成分を生成するステップをさらに含んでいる。次いで、前記第2成分からの特徴抽出が実行され、複数の第2特徴値が生成される。次いで、幾何学的計算が実行され、前記第2特徴値に応じた第2指標値が生成される。このことは、それぞれのECG信号が対応する指標値に変換されうることを意味している。
【0015】
好ましくは、前記サーバによって幾何学的計算を実行し前記第2特徴量に応じた第2指標値を生成する前記ステップにおいて、前記第2指標値に対応する複数の閾値が前記サーバに設定されている。前記サーバは、前記閾値および前記第2指標値に応じた第2ステータスメッセージをさらに生成する。
【0016】
好ましくは、前記サーバは、前記第2指標値を前記電子デバイスに表示させるために、前記第2指標値を前記電子デバイスに返送する。
【0017】
好ましくは、前記第2指標値に対応する複数の閾値が前記電子デバイスに設定されている。この場合、前記電子デバイスは、前記閾値および前記第2指標値に応じた第2ステータスメッセージを生成する。次いで、前記第2ステータスメッセージが前記電子デバイスにおいて表示される。
【0018】
上述の目的を達成するために、心電図(ECG)信号を指標値へと変換するシステムは、検出デバイスと電子デバイスとサーバとを備えている。前記検出デバイスは、前記電子デバイスに無線接続されている。前記電子デバイスは、サーバに接続されている。第1ECG信号は、前記検出デバイスによって検出され、次いで、前記電子デバイスを介して前記サーバにアップロードされる。前記サーバによって前記第1ECG信号が分解され、複数の第1成分が生成される。次いで、前記サーバは、前記第1成分からの特徴抽出を実行し、複数の第1特徴値を生成する。次いで、前記サーバは、前記第1特徴値に基づく幾何学的計算を実行し、第1指標値を生成する。
【0019】
好ましくは、前記第1指標値に対応する複数の閾値が前記サーバに設定されている。この場合、前記サーバは、前記閾値および前記第1指標値に応じた第1ステータスメッセージを生成する。次いで、前記サーバは、前記第1ステータスメッセージおよび前記第1指標値を前記電子デバイスに返送する。
【0020】
好ましくは、前記サーバは、前記第1指標値を前記電子デバイスに返送する。
【0021】
好ましくは、前記第1指標値に対応する複数の閾値が前記電子デバイスに設定されている。この場合、前記電子デバイスは、前記閾値および前記第1指標値に応じた第1ステータスメッセージを生成する。次いで、前記第1指標値および前記第1ステータスメッセージが前記電子デバイスにおいて表示される。
【0022】
好ましくは、前記検出デバイスは第2ECG信号をさらに検出する。次いで、前記第2ECG信号は、第1プログラムによって前記サーバにアップロードされる。前記第2ECG信号が分解され、複数の第2成分が生成される。次いで、第2成分からの特徴抽出が実行され、複数の第2特徴値が生成される。次いで、前記第2特徴値についての幾何学的計算が実行され、前記第2指標値が生成される。
【0023】
上述の目的および他の目的を達成するために、本願において採用される構造および技術的手段は、以下の好ましい実施形態についての詳細な説明および添付の図面を参照することにより、最も良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】心電図(ECG)信号を本願に係る実施形態における指標値へと変換する方法におけるステップを示すフローチャートである。
【
図2】心電図(ECG)信号を本願に係る実施形態における指標値へと変換するシステムにおけるECG信号の送信を示す概略図である。
【
図3】本願に係る実施形態のシステムにおける分解を示す概略図である。
【
図4】本願に係る実施形態のシステムにおける特徴抽出を示す概略図である。
【
図5A】本願に係る実施形態のシステムにおける第1指標値の生成を示す概略図である。
【
図5B】本願に係る実施形態のシステムにおいて返送されている第1指標値を示す概略図である。
【
図5C】本願に係る別の実施形態のシステムにおける電子デバイスによる第1ステータスメッセージの生成を示す概略図である。
【
図5D】本願に係るさらなる実施形態のシステムにおけるウェアラブルデバイスによる第1ステータスメッセージの生成を示す概略図である。
【
図6A】本願に係る別の実施形態のシステムにおける第1指標値および第1ステータスメッセージの生成を示す概略図である。
【
図6B】本願に係る別の実施形態のシステムにおいて返送されている第1指標値および第1ステータスメッセージを示す概略図である。
【
図7】本願に係る別の実施形態におけるステップを示すフローチャートである。
【
図8A】本願に係る別の実施形態のシステムにおける送信を示す概略図である。
【
図8B】本願に係る別の実施形態のシステムにおける第2指標値の生成を示す概略図である。
【
図8C】本願に係る実施形態のシステムにおいて返送されている第2指標値を示す概略図である。
【
図9A】本願に係る別の実施形態のシステムにおける電子デバイスによる第2ステータスメッセージの生成を示す概略図である。
【
図9B】本願に係る別の実施形態のシステムにおけるウェアラブルデバイスによる第2ステータスメッセージの生成を示す概略図である。
【
図10A】本願に係る別の実施形態のシステムにおける第2指標値および第2ステータスメッセージの生成を示す概略図である。
【
図10B】本願に係る別の実施形態のシステムにおいて返送されている第2指標値および第2ステータスメッセージを示す概略図である。
【
図11】本願に係る別の実施形態におけるウェアラブルデバイスを有するシステムを示す概略図である。
【
図12】本願に係る別の実施形態におけるステアリングホイールを有するシステムを示す概略図である。
【
図13】本願に係る別の実施形態におけるトレッドミルを有するシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の技術的内容、目的、および機能をより明確かつ十分に把握するために、図面および参照符号を用いた以下の詳細な説明を参照する。
【0026】
以下の説明および特許請求の範囲において、特定の用語は、特定のコンポーネント(構成要素)を示すために使用される。ただし、同じコンポーネントが、当業者にとって異なる用語によって示されてもよい。コンポーネントは、用語の違いに替えて、デバイス全体における技術的な違いによって区別される。本明細書および特許請求の範囲において言及されている「含む(include)」という語は、含むことを意味するがそれに限定されないオープンエンドである。さらに、「接続(couple)」という語は、直接的および間接的な接続手段を意味する。例えば、第1デバイスは、第2デバイスに接続されている。このことは、第1デバイスは第2デバイスに直接的に接続されていてもよいし、あるいは、第1デバイスは他のデバイスまたは接続手段によって第2デバイスに間接的に接続されていてもよいことを意味する。
【0027】
従来の心電図テストは、特定の領域において実行されることを要する複雑なタスクである。このため、ECGの解釈は、人々にとって全く容易ではない。この課題を解決するために、本願に係る心電図(ECG)信号を指標値へと変換する方法およびシステムは、ECG信号をサーバにアップロードする。サーバによるECG信号の分解、特徴抽出、および幾何学的計算の後に、対応する指標値が得られる。当該指標値は、人々が自身の身体状態を直接的に把握できるよう視覚的に提示される。
【0028】
以下の実施形態を、詳細な説明および図面と併せて参照する。好ましい実施形態は、本願を説明するために使用されているが、本願を限定するものではない。
【0029】
図1では、本願に係る心電図(ECG)信号を指標値へと変換する方法におけるステップを示すフローチャートが提示されている。当該方法は、下記のステップを含んでいる。
【0030】
ステップS05:第1心電図(ECG)信号を検出し、第1ECG信号をサーバにアップロードする;
ステップS10:サーバによって第1ECG信号を分解し、第1成分を生成する;
ステップS20:サーバによって第1成分からの特徴抽出を実行し、第1特徴値を生成する;
ステップS30:サーバによって幾何学的計算を実行し、第1特徴値に応じた第1指標値を生成する;
ステップS35:サーバによって電子デバイスにデータを返送し、電子デバイスにデータを表示させる。
【0031】
図2~
図5Bでは、ECG信号を本願に係る指標値へと変換するシステムが示されている。この実施形態において使用されている検出デバイスは、ウェアラブルデバイス10である。この実施形態のシステムは、ウェアラブルデバイス10と、電子デバイス20と、サーバ30とを備えている。ウェアラブルデバイス10は、第1処理ユニット12と、検出ユニット14と、第1通信ユニット16とを備えている。電子デバイス20は、第2処理ユニット22および第2通信ユニット24を備えている。サーバ30は、第3処理ユニット32と、第3通信ユニット34と、ストレージユニット36とを備えている。
【0032】
この実施形態では、ウェアラブルデバイス10は、スマートウォッチ、スマートバンド、または視覚ベースのウェアラブルデバイスであってよい。視覚ベースのウェアラブルデバイスは、例えば、Apple Watch、Xiaomiスマートバンド、または仮想現実(virtual reality,VR)デバイスである。ウェアラブルVRデバイスを例に説明する。ただし、ウェアラブルデバイス10は、ウェアラブルVRデバイスに限定されない。ウェアラブルデバイス10は、ウェアラブル拡張現実(augmented reality,AR)デバイスまたはウェアラブル複合現実(mixed reality,MR)デバイスであってもよい。電子デバイス20は、スマートフォン、タブレット、携帯型の映像音声デバイスなどの一般的な民生用電子機器である。サーバ30は、インターネット上の大規模なコンピューティングデバイス、クラウドサーバ、または、クラウドコンピューティング性能を有するリモートデバイスであってよい。
【0033】
ECG信号を本願に係る指標値へと変換する方法は、ステップS10~S30を含んでいる。本方法は、ウェアラブルデバイス10に適用される。互いに無線接続されたウェアラブルデバイス10の第1通信ユニット16と電子デバイス20の第2通信ユニット24とによって、ウェアラブルデバイス10は電子デバイス20に無線接続されている。サーバ30の第3通信ユニット34に接続された電子デバイス20の第2通信ユニット24によって、電子デバイス20はサーバ30に接続されている。
図2に示す通り、ステップS05では、ウェアラブルデバイス10の第1処理ユニット12は第1プログラムAPP1を実行し、検出ユニット14は第1ECG信号ECG1を検出する。次いで、第1プログラムAPPA1は、第1ECG信号ECG1を、電子デバイス2を介してサーバ30にアップロードする。
【0034】
図3に示す通り、ステップS10では、サーバ30は、第3処理ユニット32を用いて分解MDを実行する。これにより、第1ECG信号ECG1は、複数の第1成分CP1へと分解される。第3処理ユニット32は、アンサンブル経験的モード分解(Ensemble Empirical Mode Decomposition,EEMD)に基づく分解MDを実行し、アナログ形式の第1ECG信号ECG1を第1成分CP1へと分解する。このことは、第1ECG信号ECG1は、
【数1】
として考慮されており、エネルギー分布に基づいて、複数の成分c
1(t),c
2(t),…,c
n(t)へと分解されることを意味している。
【0035】
分解MDが完了した後、第3処理ユニット32は、第1成分CP1のクラスタリングおよび分類をさらに実行する。例えば、第1成分CP1は、主波、QRS複合波(QRS complex)、および副波PQSTへと分割される。正常な心電図(ECG)は、P波、PRセグメント、QRS複合波、STセグメント、T波、およびU波によって形成されている。QRS複合波は、心臓の左心室および右心室の脱分極を表す。心室は、心臓の他の部分よりも多くの筋肉量を含んでいる。このため、QRS複合波は、他の波よりもかなり大きい。したがって、QRS複合波は、モード分解後の成分についてのより良好な結果を得る。
【0036】
図4に示す通り、ステップS20での分解において、サーバ30は、第3処理ユニット32を用いて特徴抽出(FE)を実行する。第1成分CP1からの特徴抽出が実行され、複数の第1特徴値F1が生成される。例えば、第3処理ユニット32は、主成分分析(principal component analysis,PCA)に従って特徴抽出FEを実行し、過剰な反復成分を除去するとともに、より大きい分散を伴う成分を維持することによって、第1成分CP1から第1特徴値F1を得る。この実施形態における計算結果は、エネルギーレベルによって表されるので、反復成分は除去されるべきである。特徴抽出FEは、主波(QRS複合波)および副波PQSTの成分の時間-周波数エネルギー分布、ならびに、2つの波群間の微小な相関および分散に応じて、第3処理ユニット32によって実行されてもよい。これにより、第1特徴値F1が得られる。
【0037】
図5Aに示す通り、ステップS30では、サーバ30は、第3処理ユニット32を用いて幾何学的計算CCを実行し、第1特徴値F1に応じた第1指標値INDEX1を生成する。例えば、複数の第1特徴値F1が組み合わせられ、当該第1特徴値F1のベクトル関係によって第1指標値INDEX1が得られる。このことは、第1特徴値F1に対する幾何学的計算によって得られる固有の解が、第1指標値INDEX1であることを意味する。ステップS30では、第1指標値INDEX1が0.0~10.0の範囲内に収まるよう、第3処理ユニット32による正規化がなされてもよい。
【0038】
この実施形態では、上記方法はステップS35をさらに含んでいる。
図5Bに示す通り、第1指標値INDEX1は、サーバ30の第3通信ユニット34によって電子デバイス20に返送される。次いで、第1指標値INDEX1は、電子デバイス20の第2表示ユニット26のスクリーンに表示される。あるいは、第1指標値INDEX1は、電子デバイス20によって当該電子デバイス20からウェアラブルデバイス10へとさらに送信され、ウェアラブルデバイス10の第1表示ユニット18のスクリーンに表示される。このように、ウェアラブルデバイス10または電子デバイス20に表示された数値の大きさに応じて、ユーザが自身の身体(健康)状態を把握できるよう、単純な数値が提示される。
【0039】
さらに、
図6Aに示すステップS30では、サーバ30の第3処理ユニット32は、データベースDBから複数の閾値THを読み出し、閾値THおよび第1指標値INDEX1に応じた第1ステータスメッセージM1を生成する。例えば、閾値THは、6、5、4、および0である。第1指標値INDEX1が6以上である場合、第1ステータスメッセージM1は「良好(Well)」である。第1指標値INDEX1が5または5~6である場合(5≦INDEX1<6)、第1ステータスメッセージM1は「通常(Ordinary)」である。第1指標値INDEX1が4または4~5である場合(4≦INDEX1<5)、第1ステータスメッセージM1は「用心(Beware)」である。第1指標値INDEX1が0~4である場合、第1ステータスメッセージM1は「注意(Caution)」である。第1指標値INDEX1が0より小さい場合、第1ステータスメッセージM1は「警告(Alert)」である。
図6Bに示す通り、ステップS35では、第1指標値INDEX1に対応する第1ステータスメッセージM1が、第1表示ユニット18または第2表示ユニット26においてさらに表示される。注意または警告のメッセージは、なるべく早期に医学的処置を求めるようユーザに促すコンテンツをさらに含んでいる。注意のメッセージでは、ユーザはフォローアップのために医師の診察を受けるよう促される。その一方、警告メッセージは、早急に医学的支援(medical help)を求めるようユーザに促す。
【0040】
さらに、
図5Cでは、別の実施形態が示されている。電子デバイス20は、第2プログラムAPP2を実行し、(i)電子デバイス20において予め設定されている閾値THと、(ii)第1指標値INDEX1と、に応じた第1ステータスメッセージM1を生成する。次いで、第1ステータスメッセージM1が第2表示ユニット26に表示される。言い換えれば、電子デバイス20に格納されている閾値THは、電子デバイス20の第2処理ユニット22によって読み出され、閾値THおよび第1指標値INDEX1に応じた第1ステータスメッセージM1が生成される。あるいは、
図5Dに示す通り、ウェアラブルデバイス10の第1処理ユニット12によって実行される第1プログラムAPP1は、(i)ウェアラブルデバイス10において予め設定されている閾値THと、(ii)さらなる実施形態における第1指標値INDEX1と、に応じた第1ステータスメッセージM1を生成する。次いで、第1プログラムAPP1の制御下で、第1ステータスメッセージM1が第1表示ユニット18に表示される。すなわち、第1プログラムAPP1は、ウェアラブルデバイス10に格納されている閾値THに応じて、対応する第1ステータスメッセージM1を生成する。
【0041】
図7では、別の実施形態におけるフローチャートが示されている。
図1における実施形態と
図7における実施形態との相異は、
図7における当該実施形態が、第2心電図(ECG)信号を検出して第2指標値INDEX2を得るステップをさらに含んでいることである。
図7に示す実施形態において使用される検出デバイスは、依然としてウェアラブルデバイス10である。
【0042】
本願に係る本実施形態におけるECG信号を指標値へと変換する方法は、下記のステップを含んでいる。
【0043】
ステップS105:第1心電図(ECG)信号を検出し、第1ECG信号をサーバにアップロードする;
ステップS110:サーバによって第1ECG信号を分解し、第1成分を生成する;
ステップS120:サーバによって第1成分からの特徴抽出を実行し、第1特徴値を生成する;
ステップS130:サーバによって幾何学的計算を実行し、第1特徴値に応じた第1指標値を生成する;
ステップS135:第1指標値を電子デバイスに返送し、第1指標値を電子デバイスに表示させる;
ステップS140:第2心電図(ECG)信号を検出し、第2ECG信号をサーバにアップロードする;
ステップS150:サーバによって第2ECG信号を分解し、第2成分を生成する;
ステップS160:サーバによって第2成分からの特徴抽出を実行し、第2特徴値を生成する;
ステップS170:サーバによって幾何学的計算を実行し、第2特徴値に応じた第2指標値を生成する;
ステップS175:サーバによって第2指標値を電子デバイスに返送し、電子デバイスに第2指標値を表示させる。
【0044】
ステップS105~S135は、上述のステップS05~S35と同じである。
図8Aに示す通り、ウェアラブルデバイス10の検出ユニット14は、ウェアラブルデバイス10を有するユーザの第2心電図(ECG2)信号をさらに検出する。次いで、第2ECG2信号は、第1プログラム(APP1)によって第1通信ユニット16を用いて第2通信ユニット24へと送信され、さらに第2通信ユニット24から第3通信ユニット34へと送信される。このように、第2ECG2信号がサーバ30に送信される。
【0045】
図8Bに示す通り、ステップS150では、サーバ30は第3処理ユニット32を使用して分解MDを実行する。これにより、第2ECG信号ECG2が複数の第2成分CP2へと分解される。そして、ステップS160では、第2成分CP2からの特徴抽出が第3処理ユニット32によって実行され、複数の第2特徴値F2が得られる。次に、ステップS170において、第3処理ユニット32は、幾何学的計算CCにより第2特徴値F2を組み合わせ、第2指標値INDEX2を得る。
【0046】
図8Cに示す通り、ステップS175では、サーバ30は、第3通信ユニット34を使用して第2指標値INDEX2を電子デバイス20に返送し、電子デバイス20に第2指標値INDEX2を直接的に表示させる。第2指標値INDEX2は、ウェアラブルデバイス10において表示されてもよい。
【0047】
図9Aに示す通り、さらなる実施形態では、電子デバイス20が第2プログラムAPP2を実行し、閾値THおよび第2指標値INDEX2に応じた第2ステータスメッセージM2を生成する。次いで、第2ステータスメッセージM2が第2表示ユニット26に表示される。あるいは、
図9Bに示すさらなる実施形態では、ウェアラブルデバイス10の第1処理ユニット12が第1プログラムAPP1を実行し、閾値THおよび第2指標値INDEX2に応じた第2ステータスメッセージM2を生成する。次いで、第2ステータスメッセージM2が第1表示ユニット18に表示される。
【0048】
図10Aに示す通り、さらなる実施形態では、サーバ30の第3処理ユニット32は、第2指標値INDEX2を生成するのみならず、データベースDBから複数の閾値THを読み取り、ステップS170において閾値THおよび第2指標値INDEX2に応じた第2ステータスメッセージM2を生成する。
図10Bに示す通り、ステップS175において、サーバ30は、第2指標値INDEX2および第2ステータスメッセージM2を電子デバイス20に返送する。次いで、第2指標値INDEX2および対応する第2ステータスメッセージM2は、第1表示ユニット18または第2表示ユニット26のいずれかにおいてさらに表示されてよい。
【0049】
心電図(ECG)信号を指標値へと変換するための方法およびシステムについての上述の実施形態では、iPhone(電子デバイス20)およびAPPLE Watch(ウェアラブルデバイス10)がユーザに提供される。APPLE Watchは、第1プログラムAPP1を実行し、ユーザの第1ECG信号ECG1および第2ECG信号ECG2を個別に検出する。次いで、エクササイズ前の第1ECG信号ECG1およびエクササイズ後の第2ECG信号ECG2が、第1プログラムAPP1に関連付けられたサーバ30にiPhoneを介してアップロードされる。次いで、サーバ30は、第1ECG信号ECG1および第2ECG信号ECG2の分解を個別に実行して、対応する複数の第1成分CP1および複数の第2成分CP2をそれぞれ得る。サーバ30はさらに、第1成分CP1および第2成分CP2のクラスタリングおよび分類を実行して、主波QRS複合波および副波PQSTを形成する。次いで、第1成分CP1および第2成分CP2、ならびに、対応する主波QRS複合波および対応する副波PQSTに応じた、複数の第1特徴値F1および複数の第2特徴値F2が得られる。次いで、第3処理ユニット32は、第1特徴値F1および第2特徴値F2の幾何学的計算CCをバッチ単位で実行し、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2を生成する。したがって、異なるエクササイズに対する心臓の反応が異なるステージにおいて測定されず、患者の身体的負担が軽減される。
【0050】
さらに、サーバ30の第3処理ユニット32は、閾値THに応じて、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2にそれぞれ対応する第1ステータスメッセージM1および第2ステータスメッセージM2を生成する。第1指標値INDEX1が5.2であり、第2指標値INDEX2が5.4である場合、第1ステータスメッセージM1および第2ステータスメッセージM2はともに「通常」に対応している。次いで、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2、ならびに、対応する第1ステータスメッセージM1および第2ステータスメッセージM2が供給され、表示のために、(i)電子デバイス20に、または、(ii)さらにウェアラブルデバイス10に送信される。
【0051】
電子デバイス20の第2プログラムAPP2は、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2を個別に受信した後、閾値THに応じて、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2にそれぞれ対応する第1ステータスメッセージM1および第2ステータスメッセージM2を生成する。次いで、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2、ならびに、対応する第1ステータスメッセージM1および第2ステータスメッセージM2が、電子デバイス20において個別に表示される。さらに、ウェアラブルデバイス10は、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2を個別に受信した後、第1処理ユニット12を用いて、閾値TH、第1指標値INDEX1、および第2指標値INDEX2に応じて、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2にそれぞれ対応する第1ステータスメッセージM1および第2ステータスメッセージM2を生成する。次いで、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2、ならびに、対応する第1ステータスメッセージM1および第2ステータスメッセージM2が、ウェアラブルデバイス10において個別に表示される。これにより、人々は、自身の健康状態の変化を、複雑なECGを読み取る(解釈する)ことなく、第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2によって直接的に把握できる。本方法およびシステムは、エクササイズの前後におけるECG信号の測定のための単純化されたエクササイズECGに適用されてもよい。
【0052】
下記の実施形態では、異なる検出デバイスが提供されている。
【0053】
図1~
図11を参照し、ウェアラブルデバイス10として使用されるスマートウォッチを例示して、以下の詳細な説明を行う。
【0054】
ユーザは、Apple Watch(上述のウェアラブルデバイス10)を装着する。Apple Watchのプロセッサ(ウェアラブルデバイス10の第1処理ユニット12と同等である)は、APPLE Watchの検出ユニット14を使用してユーザの腕を検出する。このことは、ユーザの第1ECG信号ECG1を測定するために、シングルリードが使用されていることを意味する。Apple Watchにおいて実行される第1プログラムAPP1は、電子デバイス20によって第1ECG信号ECG1をサーバ30に送信する。次いで、サーバ30は、第1ECG信号ECG1に対して、分解MD、特徴抽出FE、および幾何学的計算CCを実行する。このように、第1ECG信号ECG1が複数の第1成分CP1へと分解され、当該複数の第1成分CP1から複数の第1特徴値F1がさらに得られる。その結果、対応する第1指標値INDEX1が得られる。当該第1指標値INDEX1は、ユーザに自身の心臓の状態を把握させることを可能にするために使用される。
【0055】
さらに、サーバ30は、第1指標値INDEX1を電子デバイス20に返送してもよい。これにより、アップルウォッチまたは電子デバイス20は、第1指標値INDEX1を表示できる。さらに、サーバ30は、第1指標値INDEX1を少なくとも1つの閾値THと比較して、第1ステータスメッセージM1を得る。このことは、サーバ30が第1指標値INDEX1および対応する第1ステータスメッセージM1を電子デバイス20に供給することを意味する。電子デバイス20に接続されたアップルウォッチ(ウェアラブルデバイス10)は、第1指標値INDEX1および対応する第1ステータスメッセージM1を読み取り、これらを第1表示ユニット18に表示させてもよい。
【0056】
サーバ30によって供給される対応する第1ステータスメッセージM1のみならず、電子デバイス20において実行される第2プログラムAPP2は、第1指標値INDEX1を少なくとも1つの閾値THと比較して、第1ステータスメッセージM1を取得し、当該第1ステータスメッセージM1を電子デバイス20の第2表示ユニット26に表示させてもよい。あるいは、ウェアラブルデバイス10によって実行される第1プログラムAPP1は、第1指標値INDEX1を少なくとも1つの閾値THと比較して、第1ステータスメッセージM1を取得し、当該第1ステータスメッセージM1を第1表示ユニット18に表示させてもよい。
【0057】
ユーザが6.8という第1指標値INDEX1を見て、対応する第1ステータスメッセージM1が「良好」である場合、ユーザは心臓の状態について懸念することはない。しかしながら、表示された第1指標値INDEX1が3.8であり、対応する第1ステータスメッセージM1が「注意」である場合、ユーザは心臓の状態を把握するために、医師の診察を受けて心臓病専門医によってさらに検査してもらうべきか否かを懸念する必要がある。したがって、ユーザは、自身がECG1の波形を解釈して心臓の状態に関連する何らかの異常な徴候を発見することを要することなく、第1指標値INDEX1および対応する第1ステータスメッセージM1によって、自身の心臓の状態を直接的に把握できる。
【0058】
加えて、ユーザは、ウェアラブルデバイス10を使用することによって、異なる時間においてECG信号を測定できる。例えば、ウェアラブルデバイス10は、気分変動(mood swing)の前後に、第1ECG信号ECG1および第2ECG信号ECG2などの異なるECG信号を測定するために使用される。次いで、本方法による変換後に、異なる指標値INDEX1およびINDEX2が得られ、ユーザは第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2などの指標値に従って心臓の状態の変化を把握できる。例えば、5.2である指標値INDEX1から、5.8である指標値INDEX2への増加が生じた場合、対応する心臓の状態は適切(fine)である。対照的に、例えば、5.2である第1指標値INDEX1から、3.8である第2指標値INDEX2への減少が生じた場合、対応する心臓の状態には注意を要する(cautious)。このことは、ユーザが心臓の健康について注意を払い、医学的支援を求めるか否かについて考慮する必要があることを意味する。このように、ユーザは、視覚的に提示された第1指標値INDEX1および第2指標値INDEX2によって、心臓の状態を直接的に把握できる。本方法は、対応する指標値および心臓の状態を示すメッセージを得るために、エクササイズ、治療、睡眠、または、心血管の健康に影響を及ぼしECG信号の変化を引き起こしうる任意の他のイベントの前後におけるECG信号の測定に適用されてよい。
【0059】
使用される検出デバイスは、ウェアラブルデバイス10に限定されない。
図12に示す通り、検出デバイスは、ステアリングホイール50上の2つのグリップセンサ51および52であってよい。現在において利用可能な車載デバイスのほとんどは、Bluetoothをサポートしている。このため、この実施形態における電子デバイス20は、Bluetooth無線通信によってグリップセンサ51および52に接続されている。次いで、2つのグリップセンサ51および52は、第1ECG信号ECG1を検出し、Bluetoothによって第1ECG信号ECG1を電子デバイス20に送信する。第1ECG信号ECG1は、サーバ30にさらに送信され、分解MD、特徴抽出FE、および幾何学的計算CCによって処理され、対応する第1指標値INDEX1が得られる。次いで、電子デバイス20は、サーバ30によって提供された第1指標値INDEX1と、当該電子デバイス自身に格納されている閾値THとに応じた、対応する第1ステータスメッセージM1を生成する。第1指標値INDEX1および対応する第1ステータスメッセージM1は、電子デバイス20のみならず、ウェアラブルデバイス10において表示されてもよい。
【0060】
さらに、本方法は、トレッドミルに適用されてもよい。トレッドミル60の制御パネル62は、電子デバイス20に無線接続されていてよい。
図13に示す通り、この実施形態において使用されている検出デバイスは、トレッドミル60の2つのハンドグリップ63および64上の2つのグリップセンサ632および642である。残りのコンポーネントがどのように接続されているか、ならびに、第1指標値INDEX1および対応する第1ステータスメッセージM1がどのように生成されるかについては、上述の実施形態と同じであるので、ここでは詳細に説明しない。
【0061】
上述の詳細な説明によれば、本願は、下記の事項を提供している:
1.人工知能操作なし;
2.ECG信号に応じた時間操作ごとの固有の指標値;
3.ユーザの実際のステータス(状態)に対応しているステータスメッセージ。
【0062】
要するに、本願に係る心電図(ECG)信号を指標値へと変換する方法およびシステムは、ECG信号の分解MD、特徴抽出FE、および幾何学的計算CCによって、対応する指標値を取得するために使用される。次いで、指標値を閾値と比較することによって、対応するステータスメッセージが得られる。このため、ユーザは、ECG信号の複雑な波形を読み取ることなく、指標値によって、ステータスメッセージとともに、直接的に自身の健康状態を把握できる。
【0063】
当業者であれば、付加的な利点および修正を容易に着想するであろう。したがって、さらに広範な態様における本発明は、本明細書中にて説明されている特定の詳細部および代表的なデバイスに限定されない。このため、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定められる一般的な発明概念の趣旨または範囲から逸脱することなく、様々な修正がなされてよい。