(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】バッテリーの充電プロファイル決定方法及びこれを用いたバッテリー充電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20240814BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240814BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/44 Q
H02J7/00 X
(21)【出願番号】P 2023539257
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 KR2022015222
(87)【国際公開番号】W WO2023059165
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0133409
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ギ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】リー、グアン-リ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、テ-ヒュン
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-091802(JP,A)
【文献】特開2018-129136(JP,A)
【文献】特表2018-520622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0292461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
G01R 11/00-35/06
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)テスト単位セルへの定電流(CC)充電により得られた充電状態による負極表面電位プロファイルにおいてリチウム析出境界電位に対応する基準充電状態(SOC)を決定するステップと、
(b)前記テスト単位セルに対して、前記基準SOCまでの充電状態区間では前記CC充電を行い、前記基準SOC以後の充電状態区間では負極端子と正極端子との間の電圧を一定に保つ定電圧(CV)充電を行うことで、充電状態による第1充電プロファイルを決定するステップと、
(c)前記テスト単位セルに対して、前記基準SOCまでの充電状態区間では前記CC充電を行い、前記基準SOC以後の充電状態区間では負極表面と前記正極端子との間の電圧を一定に保つ定電圧(CV)充電を行うことで、充電状態による第2充電プロファイルを決定するステップと、
(d)複数のセルを含むバッテリーに対して、前記基準SOCまでの充電状態区間では前記CC充電を行い、前記基準SOC以後の充電状態区間では前記負極端子と前記正極端子との間の電圧を一定に保つ定電圧(CV)充電を行うことで、充電状態による第3充電プロファイルを決定するステップと、
(e)前記第1充電プロファイルと前記第2充電プロファイルとの間の差分を用いて前記第3充電プロファイルを補正することで、バッテリーの充電プロファイルを決定するステップと、
を含む、バッテリーの充電プロファイル決定方法。
【請求項2】
前記テスト単位セルは、4極セルであり、
前記4極セルは、
少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極と、
前記負極の表面電位に対する基準電位を提供する基準電極と、
前記負極の表面と接触するように配置された負極表面電位測定電極と、を含む、請求項1に記載のバッテリーの充電プロファイル決定方法。
【請求項3】
前記(a)ステップは、
(a1)前記テスト単位セルに対して
前記C
C充電を行いながら、前記基準電極及び前記負極表面電位測定電極を介して負極表面電位を測定して、充電状態による負極表面電位プロファイルを決定するステップと、
(a2)前記負極表面電位
の測定経路に存在する内部抵抗を測定するステップと、
(a3)前記内部抵抗による電圧成分を用いて前記負極表面電位プロファイルを補正するステップと、を含む、請求項2に記載のバッテリーの充電プロファイル決定方法。
【請求項4】
前記内部抵抗は、電気化学インピーダンス分光法によって決定される、請求項3に記載のバッテリーの充電プロファイル決定方法。
【請求項5】
前記(a3)ステップにおいて、前記負極表面電位プロファイルから前記内部抵抗による電圧成分を減算することにより、前記負極表面電位プロファイルを補正する、請求項3に記載のバッテリーの充電プロファイル決定方法。
【請求項6】
前記(a)ステップにおいて、前記リチウム析出境界電位は0ボルトである、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーの充電プロファイル決定方法。
【請求項7】
前記(e)ステップにおいて、前記第3充電プロファイルにおける前記基準SOC以後のプロファイルに、前記第1充電プロファイルと前記第2充電プロファイルとの間の差分プロファイルを加えて前記第3充電プロファイルを補正する、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーの充電プロファイル決定方法。
【請求項8】
前記(a)ステップから前記(e)ステップを、
前記CC充電の充電電流Cレートと充電温度条件を変化させながら繰り返して行うことで、複数の充電電流Cレート及び充電温度条件別に充電プロファイルを独立して決定する、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーの充電プロファイル決定方法。
【請求項9】
バッテリーの温度を測定する温度センサーと、
CC充電の充電電流Cレートと充電温度によって充電プロファイルを記憶している記憶媒体と、
前記温度センサー及び前記記憶媒体と動作可能に結合された制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記温度センサーにより測定されたバッテリーの温度を充電温度に設定し、
CC充電の充電電流Cレートを設定し、
予め定義されたルックアップ情報を参照して、前記充電温度及び前記充電電流Cレートに対応するリチウム析出境界電位に対応する基準SOCを決定し、
充電装置を用いて前記基準SOCまでの充電区間では、前記充電電流Cレートの条件で前記バッテリーを前記CC充電し、前記基準SOC以後の充電区間では、正極端子と負極表面との間の電圧を一定に保つ条件下で予め算出された充電プロファイルによって前記バッテリーを充電する、バッテリー充電システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記基準SOC以後の充電区間で充電電流Cレートを減衰させるが、正極端子と負極端子との間の電圧を一定に保つ定電圧(CV)充電条件が適用される場合に比べて充電電流Cレートの減衰速度を低下させる、請求項9に記載のバッテリー充電システム。
【請求項11】
前記充電電流Cレートの減衰速度は、前記バッテリーの負極表面電位がリチウム析出境界電位に対応するように決定される、請求項10に記載のバッテリー充電システム。
【請求項12】
前記制御部は、
前記バッテリーの充電状態を決定し、
前記充電プロファイルを参照して前記充電状態に対応する充電電流Cレートを決定し、前記充電装置を用いて決定された充電電流Cレートに相当する充電電流を前記バッテリーに印加する、請求項9から11のいずれか一項に記載のバッテリー充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの充電プロファイル決定方法及びこれを用いたバッテリー充電システムに関し、より詳しくは、負極表面電位を基準としたバッテリーの充電プロファイル決定方法とこれを用いたバッテリー充電システムに関する。
【0002】
本出願は、2021年10月07日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0133409号に基づく優先権を主張し、優先権の基礎となった出願書に記載された発明の内容は、本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、化石燃料の環境汚染問題が深刻化し、バッテリーを動力源として使用する電気自動車が注目を集めている。
【0004】
リチウム二次パッテリーは、エネルギー密度と容量が高く、出力に優れていて、電気自動車用バッテリーとして広く用いられている。
【0005】
充電時間の短縮は、電気自動車の最大関心事の一つである。急速充電は、バッテリーに短時間で大電流を供給する。リチウム二次パッテリーを急速充電すれば、負極表面にリチウム析出が生じうる。リチウムが析出すると、電解液とリチウムとの間で発熱を伴う副反応が激しく起こり、バッテリーが発火するか爆発することがある。
【0006】
この点を考慮して、急速充電時に適用される充電プロファイルを保守的に設定することが一般的である。ここで、充電プロファイルは、バッテリーの充電状態(State Of Charge:SOC)に応じて充電電流のCレート(c-rate)を定義する。充電プロファイルの代表的な例としてステップ充電プロファイルが挙げられる。
【0007】
ステップ充電プロファイルにおいて、充電電流のCレートはバッテリーの充電状態が増加するにつれて段階的に減少する。充電状態が増加するほど負極に挿入されたリチウム量が増え、それに応じてリチウム析出の可能性が高まることを考慮した充電プロトコルである。充電電流のCレートが段階的に低下すると、負極内にリチウムが拡散する時間を確保して、負極の表面からのリチウムの析出を防止することができる。
【0008】
従来の充電プロファイルは、リチウム析出の防止に焦点が当てられている。そのため、充電時間の短縮には限界がある。すなわち、負極におけるリチウム析出の可能性が低い状態においても、充電電流が予め低下しているので、充電後半になるほど充電状態の単位時間当たりの増加速度が急激に遅くなる。
【0009】
したがって、本発明が属する技術分野においては、リチウム二次パッテリーを充電する際に負極にリチウム析出を生じさせることなく、充電後半の充電時間をさらに短縮できる充電プロファイルが強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、負極でリチウム析出を生じさせることなく、充電電流のCレートを従来の方法よりも高くして充電後半における充電速度を高め、完全充電までかかる充電時間を短縮できる、負極表面電位を基準として充電プロファイルの決定方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、本発明が提供する負極表面電位を基準とした充電プロファイルを用いてバッテリーを充電することができるバッテリー充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を達成するための本発明の一側面によるバッテリーの充電プロファイル決定方法は、(a)テスト単位セルへの定電流(CC)充電により得られた充電状態による負極表面電位プロファイルにおいてリチウム析出境界電位に対応する基準充電状態(SOC)を決定するステップと、(b)前記テスト単位セルに対して、前記基準SOCまでの充電状態区間では定電流(CC)充電を行い、前記基準SOC以後の充電状態区間では負極端子と正極端子との間の電圧を一定に保つ定電圧(CV)充電を行うことで、充電状態による第1充電プロファイルを決定するステップと、(c)前記テスト単位セルに対して、前記基準SOCまでの充電状態区間では定電流(CC)充電を行い、前記基準SOC以後の充電状態区間では負極表面と正極端子との間の電圧を一定に保つ定電圧(CV)充電を行うことで、充電状態による第2充電プロファイルを決定するステップと、(d)複数のセルを含むバッテリーに対して、前記基準SOCまでの充電状態区間では定電流(CC)充電を行い、前記基準SOC以後の充電状態区間では負極端子と正極端子との間の電圧を一定に保つ定電圧(CV)充電を行うことで、充電状態による第3充電プロファイルを決定するステップと、(e)前記第1充電プロファイルと前記第2充電プロファイルとの間の差分を用いて前記第3充電プロファイルを補正することで、バッテリーの充電プロファイルを決定するステップと、を含んでいてもよい。
【0013】
好ましくは、前記テスト単位セルは、4極セルであってもよい。前記4極セルは、少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極と、前記負極の表面電位に対する基準電位を提供する基準電極と、前記負極の表面と接触するように配置された負極表面電位測定電極と、を含んでいてもよい。
【0014】
好ましくは、前記(a)ステップは、(a1)前記テスト単位セルに対してCC充電を行いながら、前記基準電極及び前記負極表面電位測定電極を介して負極表面電位を測定して、充電状態による負極表面電位プロファイルを決定するステップと、(a2)前記負極表面電位測定経路に存在する内部抵抗を測定するステップと、(a3)前記内部抵抗による電圧成分を用いて前記負極表面電位プロファイルを補正するステップと、を含んでいてもよい。
【0015】
一態様において、前記内部抵抗は、電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical impedance spectroscopy)によって決定されてもよい。
【0016】
好ましくは、前記(a3)ステップにおいて、前記負極表面電位プロファイルから前記内部抵抗による電圧成分を減算することにより、前記負極表面電位プロファイルを補正してもよい。
【0017】
好ましくは、前記(a)ステップにおいて、前記リチウム析出境界電位は0ボルトであってもよい。
【0018】
好ましくは、前記(e)ステップにおいて、前記第3充電プロファイルにおける前記基準SOC以後のプロファイルに、前記第1充電プロファイルと第2充電プロファイルとの間の差分プロファイルを加えて前記第3充電プロファイルを補正してもよい。
【0019】
好ましくは、前記(a)ステップ~(e)ステップを、CC充電の充電電流Cレートと充電温度条件を変化させながら繰り返して行うことで、複数の充電電流Cレート及び充電温度条件別に充電プロファイルを独立して決定することができる。
【0020】
前記技術的課題を達成するための本発明の他の側面によるバッテリー充電システムは、バッテリーの温度を測定する温度センサーと、CC充電の充電電流Cレートと充電温度によって充電プロファイルを記憶している記憶媒体と、前記温度センサー及び前記記憶媒体と動作可能に結合された制御部と、を含んでいてもよい。
【0021】
好ましくは、前記制御部は、
温度センサーにより測定されたバッテリー温度を充電温度に設定し、
CC充電の充電電流Cレートを設定し、
予め定義されたルックアップ情報を参照して、前記充電温度及び前記充電電流Cレートに対応するリチウム析出境界電位に対応する基準SOCを決定し、
充電装置を用いて前記基準SOCまでの充電区間では、前記充電電流Cレート条件でバッテリーをCC充電し、前記基準SOC以後の充電区間では、正極端子と負極表面との間の電圧を一定に保つ条件下で予め算出された充電プロファイルによってバッテリーを充電するように構成されてもよい。
【0022】
好ましくは、
前記制御部は、前記基準SOC以後の充電区間で充電電流Cレートを減衰させるが、正極端子と負極端子との間の電圧を一定に保つCV充電条件が適用される場合に比べて充電電流Cレートの減衰速度を低下させるように構成されてもよい。
【0023】
好ましくは、前記Cレートの減衰速度は、前記バッテリーの負極表面電位がリチウム析出境界電位に対応するように決定されてもよい。
【0024】
好ましくは、前記制御部は、前記バッテリーの充電状態を決定し、前記充電プロファイルを参照して前記充電状態に対応する充電電流Cレートを決定し、前記充電装置を用いて決定された充電電流Cレートに相当する充電電流をバッテリーに印加するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、負極表面電位を基準として充電プロファイルを決定することにより、リチウム析出を生じさせることなく、充電後半の充電速度を増加させて、完全充電までかかる充電時間を従来よりも短縮させることができる。
【0026】
また、本発明が提供する充電プロファイルを用いてバッテリーを充電する場合、負極にリチウム析出を生じさせることなく、従来よりも速くバッテリーを充電することができる。
【0027】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の一実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはいけない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による負極表面電位を基準としたバッテリーの充電プロファイル決定方法に関するフローチャートである。
【
図2】本発明の実施形態による4極セルの概略的な構造を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による、ステップS40で決定した充電状態SOCによる負極表面電位プロファイル(実線)と、ステップS60で内部抵抗による電圧成分を補正した後の負極表面電位プロファイル(点線)とを示すグラフである。
【
図4】本発明の実施形態による第1充電プロファイル(点線)と第2充電プロファイル(実線)の一例を示すグラフである。
【
図5】本発明の実施形態による、第2充電プロファイル(
図4の実線)から第1充電プロファイル(
図4の点線)を差し引いて得られた差分プロファイルを示すグラフである。
【
図6】本発明の実施形態による、バッテリーセルのCC充電-CV充電により得られた第3充電プロファイルと、差分プロファイルに基づいて第3充電プロファイルを補正することで得られたバッテリーの充電プロファイルとを示すグラフである。
【
図7】本発明の実施形態によるバッテリー充電システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態による負極表面電位を基準としたバッテリーの充電プロファイル決定方法に関するフローチャートである。
【0031】
図1を参照すると、先ず、ステップS10において、テスト単位セルを準備する。例えば、テスト単位セルは、4極セルであってもよい。4極セルは、少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極と、前記正極と前記負極との間に介在する分離膜と、前記負極の表面電位に対する基準電位を提供する基準極と、前記負極の表面と直接接触するように配置された負極表面電位測定電極と、を含む。
【0032】
図2は、本発明の実施形態による4極セル10の概略的な構造を示す図である。
【0033】
図2を参照すると、4極セル10は、正極、負極及び2枚の分離膜13を含む。
【0034】
正極11は、正極集電板11a、正極集電板11aの表面にコーティングされた正極活物質層11b及び正極タブ11cを含む。負極12は、負極集電板12a、負極集電板12aの表面にコーティングされた負極活物質層12b及び負極タブ12cを含む。
【0035】
例えば、正極集電板11aはアルミニウムホイルであってもよく、負極集電板12aは銅ホイルであってもよい。正極活物質層11bは、Ni、Co及びMnを含むリチウム遷移金属酸化物のコーティング層であってもよく、負極活物質層12bは、グラファイトのコーティング層であってもよい。分離膜13は、多孔性を有する絶縁フィルムであってもよい。絶縁フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルムであってもよい。分離膜13の表面には、アルミナ(Al2O3)などの無機物粒子を含む無機コーティング層が形成されてもよい。
【0036】
分離膜13は、正極11と負極12との間に介在する第1分離膜13a及び第2分離膜13bを含む。第1分離膜13aは正極側に配置され、第2分離膜13bは負極側に配置される。
【0037】
4極セル10は、また、負極表面電位に対する基準電位を提供するために第1分離膜13aと第2分離膜13bとの間に挿入された基準電極14と;負極表面(負極活物質層)12bと直接接触するように第2分離膜13bと負極活物質層12bとの間に挿入された負極表面電位測定電極15と;を含む。
【0038】
例えば、基準電極14は、Cu材質の多孔性ワイヤ14aと、多孔性ワイヤ14aの端部に所定の厚さに形成されたLTO(LiTiO2)膜14bと、を含む。また、負極表面電位測定電極15は、Cu材質の多孔性ワイヤ15aと、多孔性ワイヤ15aの端部に所定の厚さに形成されたCu膜15bと、を含む。
【0039】
4極セル10の各部品は、包装材16に収納され、その後、密封されてもよい。例えば、包装材16は、パウチフィルムであってもよい。この場合、包装材16の縁部は熱融着されてもよい。
【0040】
4極セル10の正極タブ11c、負極タブ12c、基準電極14の多孔性ワイヤ14a、及び負極表面電位測定電極15の多孔性ワイヤ15aは、包装材16の外部に露出されてもよい。また、包装材16内には、4極セル10の作動に必要な電解質17が注入されてもよい。
【0041】
一方、本発明は、充電プロファイルを決定することに特徴があるので、4極セル10を構成する部品や素材の種類が、テスト単位セルの種類によっていくらでも変更が可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に自明である。
【0042】
再び
図1を参照すると、ステップS10の後にステップS20が行われる。ステップS20において、テスト単位セルを充電試験器に装着する。
【0043】
好ましくは、充電試験器は、テスト単位セルの温度を設定温度に維持可能な恒温ダイを含み、恒温ダイ上にテスト単位セルを装着してもよい。
【0044】
次いで、ステップS30において、テスト単位セルの充放電条件として定電流(CC)充電時の充電電流CレートIk及び充電温度Tkを設定する。充電温度Tkは、テスト単位セルの温度に対応する。
【0045】
続いて、ステップS40において、充電温度Tk及び充電電流CレートIkの条件下でテスト単位セルに対するCC充電を行いながら、基準電極14及び負極表面電位測定電極15により負極表面電位を測定して、充電状態SOCによる負極表面電位プロファイルを決定する。
【0046】
次に、ステップS50において、負極表面電位測定経路に存在する内部抵抗Rkを決定する。内部抵抗Rkは、基準電極14の多孔性ワイヤ14a及びLTO膜14bの抵抗と、負極表面電位測定電極15の多孔性ワイヤ15a及びCu膜15bの抵抗と、などを含む。
【0047】
好ましくは、内部抵抗Rkは、電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical impedance spectroscopy)を用いて決定されてもよい。内部抵抗Rkは、テスト単位セルに対するEIS測定結果において、EIS線図(曲線)がx軸と交わる箇所の抵抗に相当する。
【0048】
テスト単位セルに対する内部抵抗Rkは、EISの他にも、様々な公知の方法で決定可能である。したがって、本発明は、内部抵抗Rkの測定方法によって限定されるものではない。
【0049】
続いて、ステップS60において、内部抵抗Rkによる電圧成分Rk*Ikを用いて負極表面電位プロファイルを補正する。好ましくは、負極表面電位プロファイルから内部抵抗Rkによる電圧成分Rk*Ikを減算して、負極表面電位プロファイルを補正してもよい。
【0050】
次いで、ステップS70において、内部抵抗Rkによる電圧成分Rk*Ikが補正された負極表面電位プロファイルにおいてリチウム析出境界電位に対応する基準SOC(SOCrefer,k)を決定する。ここで、リチウム析出境界電位は0ボルトであってもよい。場合によっては、安全マージンを考慮して、リチウム析出境界電位は0ボルトよりも若干高く設定することも可能である。
【0051】
図3は、本発明の実施形態による、ステップS40で決定した充電状態SOCによる負極表面電位プロファイル(実線)と、ステップS60で内部抵抗R
kによる電圧成分R
k*I
kを補正した後の負極表面電位プロファイル(点線)とを示すグラフである。
【0052】
図3を参照すると、内部抵抗R
kによる電圧成分R
k*I
kを補正した負極表面電位プロファイル(点線)は、補正前の負極表面電位プロファイル(実線)が下方に移動したパターンを有する。これは、内部抵抗R
kによる電圧成分R
k*I
kに相当する分だけ負極表面電位が低くなるからである。
【0053】
また、負極表面電位プロファイル(点線)において、リチウム析出境界電位に対応する基準SOC(SOCrefer,k)は、負極表面電位プロファイル(点線)と直線V=0とが交差する点の充電状態に該当する。
【0054】
ステップS70の後にステップS80が行われる。
【0055】
ステップS80において、テスト単位セルの放電後に、基準SOC(SOCrefer,k)までの充電状態区間では設定された充電電流CレートIkによる定電流(CC)充電を行い、基準SOC(SOCrefer,k)以後の充電状態区間では正極11と負極12との間の電圧を一定に保つ定電圧(CV)充電を行うことで、充電状態による第1充電プロファイルを決定する。CV充電を制御するために、正極11の正極タブ11cと負極12の負極タブ12cとを、充電試験器の電圧検出プローブに接続してもよい。充電試験器は、正極タブ11cと負極タブ12cとの間に印加される電圧を一定に保つ条件下でCV充電を行う。CV充電が行われる間に、充電状態が増加するほどテスト単位セルの内部抵抗が次第に増加するので、充電電流はオームの法則(I=V/R、Vは一定)に基づいて次第に減衰する。
【0056】
次いで、ステップS90において、テスト単位セルを再び放電した後、テスト単位セルに対して、基準SOC(SOCrefer,k)までの充電状態区間ではCC充電を行い、基準SOC(SOCrefer,k)以後の充電状態区間では正極11と負極表面との間の電圧を一定に保つCV充電を行うことで、充電状態による第2充電プロファイルを決定する。CV充電を制御するために、正極11の正極タブ11cと負極表面電位測定電極15とを、充電試験器の電圧検出プローブに接続してもよい。代替的に、基準電極14及び負極表面電位測定電極15を充電試験器の電圧検出プローブに接続してもよい。充電試験器は、正極タブ11cまたは基準電極14と、負極表面電位測定電極15との間に印加される電圧を一定に保つ条件下でCV充電を行う。CV充電が行われる間に、充電状態が増加するほどテスト単位セルの内部抵抗が次第に増加するので、充電電流はオームの法則(I=V/R、Vは一定)に基づいて次第に減衰する。
【0057】
図4は、本発明の実施形態による第1充電プロファイル(点線)と第2充電プロファイル(実線)の一例を示すグラフである。
【0058】
図4を参照すると、第1充電プロファイル(点線)と第2充電プロファイル(実線)とは、基準SOC(SOC
refer,k)までの充電区間では実質的に同一である。したがって、基準SOC(SOC
refer、k)までの充電区間では実線に点線が重なることから、第1充電プロファイル(点線)と第2充電プロファイル(実線)とは区別されない。しかしながら、基準SOC(SOC
refer,k)以後の充電区間では、2つのプロファイルが異なる変化の様相を示す。すなわち、第2充電プロファイル(実線)の充電電流Cレートの減衰速度が、第1充電プロファイル(点線)の充電電流Cレートの減衰速度よりも遅い。その理由は、第2充電プロファイル(実線)は、正極11と負極表面(活物質層)との間の電圧を一定に保つ条件下でのCV充電により得られたものであるからである。
【0059】
ステップS90の後にステップS100へ進む。
【0060】
ステップS100において、複数のセルを含むバッテリーを製造する。複数のセルは、テスト単位セルと同じ素材からなる。すなわち、複数のセルとテスト単位セルは、正極集電板、負極集電板、正極活物質、負極活物質、分離膜及び電解質の種類が実質的に同一である。また、バッテリーは、テスト単位セルで使用されたのと同じ電解質を含む。
【0061】
バッテリーは、パウチ型のバッテリーであってもよい。複数のセルは、パウチフィルムからなる包装材の内部に収納される。他の例において、バッテリーは、角型や円筒型のバッテリーとして製造されてもよい。バッテリーの内部で複数のセルが並列に接続されていてもよい。
【0062】
複数のセルのそれぞれは、負極/分離膜/正極がラミネートされた構造を有する。複数のセルを分離フィルムに一定の間隔で配列した後、分離フィルムを一方の側から他方の側に巻き取ってスタック/フォールディング型構造の電極組立体を構成してもよい。
【0063】
電極組立体の構造は、多様な変形が可能である。例えば、電極組立体は、長尺シート状の正極と負極とを分離膜が介在した状態で巻き取った構造のジェリーロール型(巻取型)の電極組立体、または、所定の大きさの単位に切り取った多数の正極と負極とを分離膜を介在した状態で順次積層したスタック型(積層型)の電極組立体であってもよい。それ以外にも、本発明が属する技術分野において周知の電極組立体の構造が制限なく採用できることは自明である。
【0064】
ステップS100の後にステップS110へ進む。
【0065】
ステップS110において、複数のセルを含むバッテリーに対して、基準SOC(SOCrefer,k)までの充電状態区間ではCC充電を行い、基準SOC(SOCrefer,k)以後の充電状態区間ではバッテリーの正極と負極との間の電圧を一定に保つCV充電を行うことで、充電状態による第3充電プロファイルを決定する。CC充電時の充電電流の大きさは、設定された充電電流CレートIkに該当する。
【0066】
次に、ステップS120において、第1充電プロファイルと第2充電プロファイルとの間の差分(difference)を用いて第3充電プロファイルを補正してバッテリーの充電プロファイルを決定する。
【0067】
好ましくは、ステップS120における第3充電プロファイルの補正では、基準SOC(SOCrefer,k)以後のプロファイルに、第1充電プロファイルと第2充電プロファイルとの間の差分プロファイルを加えて第3充電プロファイルを補正することにより、バッテリーの充電プロファイルを決定してもよい。
【0068】
図5は、本発明の実施形態による、第2充電プロファイル(
図4の実線)から第1充電プロファイル(
図4の点線)を差し引いて得られた差分プロファイルを示すグラフである。また、
図6は、本発明の実施形態による、バッテリーのCC-CV充電により得られた第3充電プロファイルと、差分プロファイルを用いて第3充電プロファイルを補正することにより得られたバッテリーの充電プロファイルf
kとを示すグラフである。
【0069】
図5を参照すると、差分プロファイルは、基準SOC(SOC
refer,k)以後の充電区間でのみ得られる。というのは、基準SOC(SOC
refer,k)以前の充電区間では、第1充電プロファイルと第2充電プロファイルとが実質的に同一であるからである。
【0070】
図6を参照すると、複数のセルを含むバッテリーのCC-CV充電によって得られた第3充電プロファイルは、基準SOC(SOC
refer,k)までの充電区間では実線で示され、基準SOC(SOC
refer,k)以後の充電区間では点線で示される。バッテリーの充電プロファイルf
kは、第3充電プロファイルの全体区間のうち基準SOC(SOC
refer,k)以後の充電区間でのみ補正を行って得られる。すなわち、基準SOC(SOC
refer,k)以後の充電区間における第3充電プロファイル(点線)に、
図5の差分プロファイルを加算することにより、バッテリーの充電プロファイルf
kを得ることができる。したがって、バッテリーの充電プロファイルf
kは、基準SOC(SOC
refer,k)までの充電プロファイルと。基準SOC(SOC
refer,k)以後の実線プロファイルと、を含むように構成される。
【0071】
バッテリーの充電プロファイルf
kは、
図6に示すように、基準SOC(SOC
refer,k)以後の充電区間における充電電流Cレートの減衰の傾きは、通常のCV充電時に適用される充電電流Cレートの減衰の傾きよりも小さい。したがって、充電後半においても負極でのリチウム析出を防止しながらも、充電電流Cレートの減衰速度を従来よりも低下させることができ、その分だけ充電時間を短縮させることができる。
【0072】
ステップS120の後にステップS130へ進む。
【0073】
ステップS130において、インデックスkを1増加させ、ステップがS30に戻る。
【0074】
これにより、CC充電の充電電流CレートIk及びと充電温度Tkが異なる条件にさらに設定され、ステップS40~ステップS120が行われる。
【0075】
上述した一連のステップを繰り返して行えば、互いに異なる充電電流CレートIk及び互いに異なる充電温度Tkの条件下で、バッテリーの充電プロファイルfkを複数決定することができる。
【0076】
1つのテスト単位セルを用いて繰り返し充電テストを行う場合、テスト単位セルの退化に伴い、充電プロファイルfkの精度が低下する場合がある。
【0077】
したがって、複数のテスト単位セルを製造し、CC充電の充電電流CレートIk及び充電温度Tkを異なる条件で設定する毎に、新たなテスト単位セルを用いて上述したステップを行ってバッテリーの充電プロファイルfkを決定することが好ましい。
【0078】
CC充電の充電電流CレートIk及び充電温度Tkに対応するバッテリーの充電プロファイルfkを、バッテリーを充電するために以下のように使用してもよい。
【0079】
先ず、CC充電の充電電流CレートIk及び充電温度Tkに対応するバッテリーの充電プロファイルfkを、ルックアップ情報としてバッテリー充電システムの記憶媒体に記憶してもよい。
【0080】
図7は、本発明の実施形態によるバッテリー充電システム20の一例を示す構成図である。
【0081】
図7を参照すると、バッテリー充電システム20は、バッテリー21の充電及び放電を制御し、バッテリー21の充電状態及び退化度を計算及び管理し、バッテリー21の過充電、過放電、過電流などの異常状態を検出する動作を行うコンピュータシステムである。
【0082】
好ましくは、バッテリー充電システム20は、バッテリー21が搭載された負荷の制御システム、例えば電気自動車の制御システムの一部として統合することができる。
【0083】
記憶媒体22は、データ及び/または情報を記録し消去可能なものであれば、その種類に特に制限がない。一例として、記録媒体22は、RAM、ROM、レジスター、フラッシュメモリ、ハードディスク、または磁気記録媒体であってもよい。
【0084】
記録媒体22は、制御部23によってアクセスできるように、例えば、データバスなどを介して制御部23と電気的に接続されてもよい。
【0085】
記憶媒体22は、制御部23が行う各種の制御ロジックを含むプログラム、及び/または制御ロジックが実行されるときに発生するデータ、及び/または予め設定されたデータやルックアップ情報/テーブルなどを記憶及び/または更新及び/または消去及び/または送信する。
【0086】
バッテリー21が搭載されている負荷装置(例えば、電気自動車)が充電のために充電装置30に接続されると、制御部23は、温度センサー24によりバッテリー21の温度を測定し、測定された温度を充電温度Tkに設定する。
【0087】
また、制御部23は、バッテリー21のCC充電時に適用する充電電流CレートIkを選択することができる。一例において、制御部23は、バッテリー21の退化度(State Of Health:SOH、健康状態)別にCC充電の充電電流CレートIkを定義するルックアップ情報を参照して、バッテリー21の現在の退化度に対応するCC充電の充電電流CレートIkを選択することができる。退化度が大きいと充電電流CレートIkは低くなり、退化度が小さいと充電電流CレートIkは高くなる。バッテリー21の退化度は、予め計算されて記憶媒体22に記録された値を参照してもよい。
【0088】
他の例において、制御部23は、充電装置30の種類が急速充電装置であるか低速充電装置であるかによって、CC充電の充電電流CレートIkを選択することができる。
【0089】
充電装置30が急速充電装置である場合、制御部23は、高い充電電流CレートIkを選択することができる。逆に、充電装置30が低速充電装置である場合、制御部23は、低い充電電流CレートIkを選択することができる。
【0090】
制御部23は、CC充電の充電電流CレートIk及び充電温度Tkが決定されれば、記録媒体22に予め記憶されたルックアップ情報を参照して、充電温度Tk及び充電電流CレートIkに対応する基準SOC(SOCrefer,k)とバッテリー21の充電プロファイルfkとを識別する。
【0091】
記憶媒体には、充電温度Tk及びCC充電の充電電流CレートIk別に設定された基準SOC(SOCrefer,k)と充電プロファイルfkがルックアップ情報として予め記憶されていてもよい。
【0092】
充電プロファイルfkは、基準SOC(SOCrefer,k)までの充電区間では充電電流のCレートが一定であるCC充電区間と、基準SOC(SOCrefer,k)以後の充電区間では充電電流Cレートが漸進的に減少するCレート減衰区間と、を含む。Cレート減衰区間では、負極表面と正極との間の電圧を一定に保つ充電区間である。
【0093】
制御部23は、基準SOC(SOCrefer,k)及び充電プロファイルfkが決定されると、充電装置30を用いて、充電プロファイルfkのCC充電区間及びCレート減衰区間によってバッテリー21を充電してもよい。
【0094】
このために、制御部23は、充電電流CレートIkに対応する充電電流の大きさを含むCC充電メッセージを充電装置30に送信することができる。CC充電メッセージは、充電ケーブルに含まれる通信線路を介して送信されてもよい。充電装置30は、CC充電メッセージを受信すると、充電電流CレートIkに対応する充電電流をバッテリー21に印加することができる。
【0095】
制御部23は、CC充電が開始されると、電流センサー25を用いて充電電流の大きさを決定し、アンペアカウンティング法によって充電電流を積算してバッテリー21の現在の充電状態を決定することができる。そして、制御部23は、バッテリー21の充電状態が基準SOC(SOCrefer,k)に達するまでCC充電メッセージを充電装置30側に周期的に送信する。充電装置30は、CC充電メッセージが受信される間、CC充電モードを維持し続ける。
【0096】
一方、制御部23は、バッテリー21の充電状態が基準SOC(SOCrefer,k)に達すると、Cレート減衰モードに切り換え、充電プロファイルfkを参照して現在のSOCに対応する充電電流Cレートを決定し、決定された充電電流Cレートに対応する充電電流の大きさを含むCV充電メッセージを充電装置30側に送信する。充電装置30は、CV充電メッセージが送信されると、メッセージに含まれる充電電流の大きさを識別し、識別された充電電流の大きさに対応する充電電流をバッテリー21に印加する。
【0097】
制御部23は、Cレート減衰区間でバッテリー21の充電が行われる間、充電電流を積算し続けて現在の充電状態を再び更新し、充電プロファイルfkを参照して現在の充電状態に対応する充電電流Cレートを再び決定し、決定された充電電流Cレートに対応する充電電流の大きさを含むCV充電メッセージを充電装置30側に送信する。
【0098】
充電装置30は、CV充電メッセージが送信されると、メッセージに含まれる充電電流の大きさを識別し、識別された充電電流の大きさに対応する充電電流をバッテリー21に印加する。
【0099】
このような充電過程が繰り返されると、バッテリー21の充電状態が持続的に増加し、充電電流のCレートは徐々に低下する。制御部23は、充電プロファイルfkを参照して決定される充電電流Cレートが予め設定された値に低下すると、充電終了メッセージを充電装置30側に送信する。充電装置30は、充電終了メッセージが受信されると、充電電流をバッテリー21にそれ以上印加しない。
【0100】
一例において、制御部23は、現在の充電状態に対応する充電電流Cレートが、充電終了条件として予め設定されたCレートまで低下したときに、充電を終了してもよい。
【0101】
他の例において、制御部23は、電圧センサー26を用いてバッテリー21の電圧を測定し、バッテリー21の電圧が満充電電圧に達すると、充電を終了することができる。
【0102】
さらに他の例において、制御部23は、バッテリー21の充電状態が予め設定されたレベルに達すると、充電を終了することができる。
【0103】
制御部23は、上述した様々な制御ロジッグを実行するために、当技術分野で公知のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、前記制御ロジッグがソフトウェアで具現化されるとき、制御部23は、プログラムモジュールの集合で具現化されてもよい。この際、プログラムモジュールはメモリに記憶され、プロセッサによって実行され得る。前記メモリは、プロセッサの内部または外部に設けられてもよく、公知の種々のコンピュータ部品でプロセッサと接続され得る。また、前記メモリは、本発明の記憶媒体22に含まれてもよい。また、前記メモリは、デバイスの種類に関係なく情報が記憶されるデバイスを総称するものであり、特定のメモリデバイスを指すものではない。
【0104】
制御部23の種々の制御ロジッグは、少なくとも一つが組み合わせられ、組み合わせられた制御ロジッグは、コンピュータが読出可能なコード体系で作成され、コンピュータが読出可能な記録媒体に収録され得る。前記記録媒体は、コンピュータに含まれたプロセッサによってアクセス可能なものであれば、その種類に特に制限はない。一例として、前記記録媒体は、ROM、RAM、レジスター、CD-ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピーディスク及び光データ記録装置を含む群より選択された少なくとも一つを含む。また、前記コード体系は、ネットワークで接続されたコンピュータに分散して記憶されて実行され得る。また、前記組み合わせられた制御ロジックを実現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーによって容易に推論できる。
【0105】
本発明の多様な実施様態の説明において、「~部」と称された構成要素は、物理的に区分される要素ではなく、機能的に区分される要素として理解されねばならない。したがって、それぞれの構成要素は他の構成要素と選択的に統合されるか、またはそれぞれの構成要素が制御ロジックの効率的な実行のためにサブ構成要素に分割され得る。しかし、構成要素が統合または分割されても機能の同一性が認められれば、統合または分割された構成要素も本発明の範囲内にあると解釈されるべきであることは当業者にとって自明である。
【0106】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。