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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】固定用台紙
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20240814BHJP
   B65D 73/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B65D5/52 Z
B65D73/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020160992
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054031
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村中 成仁
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0085672(US,A1)
【文献】特開2020-093811(JP,A)
【文献】特開2019-077478(JP,A)
【文献】特開2018-104069(JP,A)
【文献】特表2002-508729(JP,A)
【文献】特開2003-246356(JP,A)
【文献】特開2014-172648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 73/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部が設けられた前壁と、
前記前壁に連設され、前記前壁と重畳可能な後壁と、
前記後壁に連設され、前記前壁及び前記後壁と重畳可能な側壁と
を備え、
前記側壁には、被固定物を挟持する複数のフラップが設けられ、
前記複数のフラップは、前記後壁と前記側壁とを重畳させた状態で、前記前壁を、前記後壁と前記側壁に重畳させることにより、前記孔部に挿通されて、前記被固定物を挟持し、
前記フラップに切り欠き部が設けられ、
前記孔部に、前記複数のフラップを前記孔部に挿通させた状態で前記切り欠き部に係合する係合突起が設けられていることを特徴とする固定用台紙。
【請求項2】
前記後壁には、前記被固定物を挟持する他のフラップが設けられ、
前記他のフラップは、前記後壁と前記側壁とを重畳させた状態で、前記前壁を、前記後壁と前記側壁に重畳させることにより、前記孔部に挿通されて、前記複数のフラップと共に、複数の前記被固定物を挟持することを特徴とする請求項1に記載の固定用台紙。
【請求項3】
前記被固定物が化粧品または文房具であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固定用台紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、化粧品等の被固定物を固定するための固定用台紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅、リップクリーム、化粧水等の化粧品や、万年筆、スティックのり等の文房具等の小型の商品は、台紙とフィルム(透明プラスチック)によって構成された包装体に包装された状態で店舗に陳列されて、販売されている。
【0003】
この包装体としては、例えば、被包装物(被固定物)の蓋部を保持するための2つの保持片が設けられた台紙と、台紙の主面を覆うフィルムとを備え、台紙とフィルムとの間に被包装物を介在させて、被包装物を固定するスキンパック包装体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-24843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載のスキンパック包装体においては、2つの保持片により被包装物の蓋部のみを挟み込んで保持する構成であるため、被包装物を固定する際の挟み込み強度が不十分であるという問題があった。
【0006】
また、被包装物を台紙に固定するために、台紙とは別にフィルムが必要となるため、コストアップになるという問題があった。
【0007】
さらに、近年の包装資材に関する脱プラスチック化の流れから、フィルムを使用しないで被固定物を固定することが可能な台紙の開発が切望されている。
【0008】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、被固定物を固定する際の挟み込み強度を向上させることができるとともに、フィルム等のプラスチックを使用することなく、被固定物を固定することができる安価な固定用台紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明では、孔部が設けられた前壁と、前壁に連設され、前壁と重畳可能な後壁と、後壁に連設され、前壁及び後壁と重畳可能な側壁とを備え、側壁には、被固定物を挟持する複数のフラップが設けられ、複数のフラップは、後壁と側壁とを重畳させた状態で、前壁を、後壁と側壁に重畳させることにより、孔部に挿通されて、被固定物を挟持することを特徴とする。
【0010】
上記構成によると、被固定物を固定する際の挟み込み強度を向上させることができるとともに、被固定物の幅に対応させてフラップの高さを調整することにより、どのような幅の被固定物に対しても、確実に固定用台紙に固定することが可能になる。
【0011】
また、フィルム等のプラスチックを使用することなく、被固定物を固定することができるため、近年の包装資材に関する脱プラスチック化の流れに対応することができる安価な固定用台紙を提供することが可能になる。
【0012】
また、第2の発明では、第1の発明において、フラップに切り欠き部が設けられ、孔部に、複数のフラップを孔部に挿通させた状態で切り欠き部に係合する係合突起が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によると、複数のフラップを孔部に確実に係止することが可能になる。
【0014】
また、第3の発明では、第1の発明または第2の発明において、後壁には、被固定物を挟持する他のフラップが設けられ、他のフラップは、後壁と側壁とを重畳させた状態で、前壁を、後壁と側壁に重畳させることにより、孔部に挿通されて、複数のフラップと共に、複数の被固定物を挟持することを特徴とする。
【0015】
上記構成によると、複数の被固定物を同時に固定することが可能になる。
【0016】
また、第4の発明では、第1~第3のいずれか1つの発明において、被固定物が化粧品または文房具であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被固定物を固定する際の挟み込み強度を向上させることができるとともに、どのような幅の被固定物に対しても、確実に固定用台紙に固定することが可能になる。また、脱プラスチック化の流れに対応することができる安価な固定用台紙を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る固定用台紙の展開図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る固定用台紙の斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る固定用台紙の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る固定用台紙の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る固定用台紙の展開図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る固定用台紙の組み立て方法を説明するための斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る固定用台紙の斜視図である。
図8】本発明の変形例に係る固定用台紙の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の固定用台紙1の展開図であり、図2は本実施形態の固定用台紙1の斜視図である。
【0021】
図1に示すように、固定用台紙1は、前壁2と、前壁2に連設された後壁3と、後壁3に連設された側壁4とを備えている。
【0022】
この固定用台紙1は、被固定物(例えば、口紅、リップクリーム、化粧水等の化粧品、万年筆、スティックのり等の文房具)10を固定するための台紙として使用される。
【0023】
前壁2は略矩形状を有しており、前壁2と後壁3との境界部分に折目部20が設けられている。
【0024】
また、前壁2の一部には略矩形状を有する孔部5が設けられるとともに、当該孔部5の両端部には、化粧品等の被固定物10を支持するための2つの支持片6が設けられている。
【0025】
また、孔部5と支持片6との境界部分に折目部21が設けられるとともに、当該折目部21に連接された切り込み部22が設けられている。
【0026】
また、図1に示すように、孔部5に、2つの係合突部23,24が設けられている。
【0027】
後壁3は、前壁2と同様に、略矩形状を有しており、前壁2と後壁3との境界部分における折目部20を折り曲げることにより、平面視において、前壁2と重畳する構成となっている。
【0028】
側壁4は、略台形状を有しており、後壁3と側壁4との境界部分に折目部25,26が設けられている。また、側壁4は、後壁3に連設された本体7と、本体7に連設されたフラップ8とを備えており、本体7とフラップ8との境界部分に折目部27,28が設けられている。
【0029】
また、この折目部27の一部(すなわち、フラップ8)に切り欠き部29が設けられるとともに、折目部28の一部(すなわち、フラップ8)に切り欠き部30が設けられている。
【0030】
また、フラップ8の一部には、固定された被固定物10を指で把持するための指置部31が設けられている。
【0031】
固定用台紙1は、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、耐水紙、及びこれらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙などの紙類で形成されている。
【0032】
また、固定用台紙1を形成する紙類の厚みは、0.3mm以上0.75mm以下である。これは、厚みが0.3mm未満の場合は、固定用台紙1により被固定物10を保持して固定する力が低下する場合があり、0.75mmよりも大きい場合は、固定用台紙1の組み立てが困難になり、加工性が低下する場合があるためである。
【0033】
なお、厚みが0.3mm以上0.35mm未満の場合は、被固定物10を保持して固定する力を損なうことなく、加工性を向上させることができ、厚みが0.45mmよりも大きく、0.75mm以下の場合は、加工性を損なうことなく、被固定物10を保持して固定する力を向上させることができる。
【0034】
従って、被固定物10を保持して固定する力と加工性の両方を向上させるとの観点から、0.35mm以上0.45mm以下の厚みが最も好ましい。
【0035】
次に、固定用台紙1を組み立てる方法を説明する。
【0036】
まず、図1に示す展開された状態の固定用台紙1を、折目部25,26に沿って谷折りし、側壁4を後壁3に重畳させるとともに、側壁4と後壁3とを重畳させた状態で、折目部27,28に沿って直角に谷折りすることにより、図3に示すように、2つのフラップ8を直立させた状態にする。
【0037】
次に、図4に示すように、図3に示す状態から、折目部20に沿って谷折りして前壁2を起立させるとともに、折目部21を直角に山折りすることにより、2つの支持片6を直立させた状態にする。
【0038】
そして、図4に示す状態から、折目部20に沿って更に谷折りして、前壁2を、後壁3と側壁4に重畳させるとともに、直立させた2つのフラップ8を前壁2の孔部5に挿通させる。そして、2つのフラップ8を前壁2の孔部5に挿通させた状態で、切り欠き部29に係合突部23を係合させるとともに、切り欠き部30に係合突部24を係合させることにより、2つのフラップ8が、前壁2の孔部5の外周に沿って前壁2に確実に係止され、図2に示す固定用台紙1が組み立てられる。
【0039】
そして、この状態で、2つのフラップ8により被固定物10を挟持するとともに、2つの支持片6により被固定物10を支持することにより、被固定物10を固定するための台紙として使用することができる。
【0040】
このように、本実施形態においては、2つのフラップ8により被固定物10を挟持する構成としているため、被固定物10を固定する際の挟み込み強度を向上させることができるとともに、被固定物10の幅(すなわち、略円柱形状を有する被固定物10の直径)に対応させてフラップ8の高さ(図1における高さH)を調整することにより、どのような幅の被固定物10に対しても、確実に固定用台紙1に固定することが可能になる。
【0041】
また、フィルム等のプラスチックを使用することなく、被固定物10を固定することができるため、近年の包装資材に関する脱プラスチック化の流れに対応することができる安価な固定用台紙1を提供することが可能になる。
【0042】
また、本実施形態の固定用台紙1は、上述のごとく、図1に示す状態から、折目部25,26に沿って折り返し、側壁4を後壁3に重畳させるとともに、図4に示す状態から、折目部20に沿って折り返し、前壁2を、後壁3と側壁4に重畳させる構成であるため、図1に示す展開した状態の固定用台紙1の一方の面(すなわち、紙面裏側の面)のみに印刷(例えば、被固定物10の製品情報や商品名等の印刷)を行えば、図2に示す組み立て後の固定用台紙1において、印刷した情報の全てを、外部から認識することが可能になる。従って、従来の折り返し工程のない台紙に比し、印刷工程を大幅に簡素化することが可能になる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0044】
図5は、本実施形態の固定用台紙50の展開図であり、図6は本実施形態の固定用台紙50の斜視図である。なお、上記第1実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図5に示すように、本実施形態においては、後壁3にフラップ35が設けられており、後壁3とフラップ35との境界部分に、折目部36と切り欠き部37が設けられている。
【0046】
そして、固定用台紙50を組み立てる場合は、まず、上述の第1の実施形態における図3と同様に、図5に示す展開された状態の固定用台紙50を、折目部25,26に沿って谷折りし、側壁4を後壁3に重畳させるとともに、側壁4と後壁3とを重畳させた状態で、折目部27,28に沿って直角に谷折りすることにより、2つのフラップ8を直立させた状態にする。さらに、本実施形態においては、後壁3の折目36に沿って直角に谷折りすることにより、2つのプラップ8の間に、フラップ35を直立させ、3つのフラップ8,35を並設させた状態にする。
【0047】
その後、上述の第1の実施形態における図4と同様に、折目部20に沿って谷折りして前壁2を起立させるとともに、折目部21を直角に山折りすることにより、2つの支持片6を直立させた状態にする。
【0048】
そして、この状態から、折目部20に沿って更に谷折りし、前壁2を、後壁3と側壁4に重畳させるとともに、直立させた3つのフラップ8,35を前壁2の孔部5に挿通させ、3つのフラップ8,35を前壁2の孔部5に挿通させた状態で、切り欠き部29に係合突部23を係合させるとともに、切り欠き部30に係合突部24を係合させることにより、図7に示す固定用台紙50が組み立てられる。
【0049】
そして、本実施形態の固定用台紙50では、この状態で、3つのフラップ8,35により2つの被固定物10を同時に挟持することが可能になるため、複数の被固定物10を同時に固定するための台紙として使用することができる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0051】
図8に示すように、固定用台紙1(すなわち、前壁2と後壁3)に係止孔40を設ける構成としてもよい。このような構成により、被固定物10が固定された固定用台紙1の係止孔40を商品陳列棚に設けられたフック等に係合させることにより、固定用台紙1を商品陳列棚に係止させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上に説明したように、本発明は、化粧品等の被固定物を固定するための固定用台紙に
に、特に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 固定用台紙
2 前壁
3 後壁
4 側壁
5 孔部
6 支持片
7 本体
8 フラップ
10 被固定物
20,21 折目部
21 折目部
23,24 係合突部
25,26,27,28 折目部
29,30 切り欠き部
31 指置部
35 フラップ(他のフラップ)
40 係止孔
50 固定用台紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8