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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】光学材料を結合するロバストな方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/02 20060101AFI20240814BHJP
   C04B 41/91 20060101ALI20240814BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G02B1/02
C04B41/91
H01L21/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021515472
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2019049902
(87)【国際公開番号】W WO2020068395
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】16/140,837
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワール,ジョセフ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジェンティルマン,リチャード
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】井口 猶二
【審判官】本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/045908(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0215890(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/02
H01L21/00-21/16
C04B41/80-41/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を製造する方法であって、
RMSが10オングストローム未満の表面を有する、第1の材料部分および第2の材料部分を提供するステップと、
前記第1の材料部分の前記表面に、複数のマイクロチャネルを形成するステップと、
揮発性の液体を使用せずに、前記第1の材料部分の前記複数のマイクロチャネルが、前記第1の材料部分と前記第2の材料部分の前記表面の間に配置されるように、前記第1の材料部分と前記第2の材料部分を配置するステップと、
前記第1の材料部分と前記第2の材料部分との間に、揮発性の液体を介在させずに、前記第1の材料部分を前記第2の材料部分に直接接触させてから、1000から2000℃の温度(ただし、1000℃を除く)で熱を印加することにより、結合を形成するステップと、
を有し、
前記第1の材料部分および前記第2の材料部分は、各々、ナノ複合体光学セラミックス(NCOC)、酸窒化アルミニウム(AlON)、またはこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項2】
さらに、前記複数のマイクロチャネルを形成するステップは、コンタクトマスキング、リソグラフィパターン処理、イオンミル処理、化学エッチング処理、プラズマエッチング処理、またはこれらの組み合わせを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のマイクロチャネルは、10から600nmの深さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のマイクロチャネルは、10から2000μmのピッチを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光学素子は、平坦な導波管、プリズム、ビームスプリッタ、または端部結合窓である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光学機器に関し、特に、光学材料を結合する方法、および得られる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
光学接触結合には、接着剤を使用せずに、分子間力、例えばファンデルワールス力、水素結合、および双極子-双極子相互作用により、2つの光学表面を接合することが含まれる。そのような分子間力は、通常、2つの明らかに剛性のある物体を相互に保持できるほど、十分な強度を有さない。力は、距離とともに急激に低下する上、2つの物体間の実際の接触面積は、表面粗さおよび微細な欠陥のため、小さくなるからである。ただし、表面が十分に共形(または平滑かつ平坦)の場合、相互を結合する分子間相互作用にとって、十分な表面領域が十分に密接に接触される。その後、熱が印加され、原子拡散が誘導され、高強度、恒久的で光学的に透明な結合が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、光学的接触結合の形成のため、光学表面は、油膜やダストを含む、結合を妨げまたは弱めるような、小さな汚染もなく、清浄である必要がある。従って、接触結合を形成する前に、正確な表面仕上げおよび清浄化が実施される必要がある。2つの部分の間の界面は、見えなくなり、得られる結合体の物理的特性は、被接合部分と等しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1または2以上の実施形態では、光学素子は、第1の端部と、対向する第2の端部とを有する光学材料を有する。また、光学素子は、光学材料内に配置された、複数のマイクロチャネルを有する。複数のマイクロチャネルの各々は、光学材料の第1の端部から第2の端部に延在する。
【0005】
別の実施形態では、光学素子は、第1の平坦面と、対向する第2の平坦面とを有する光学材料を有する。また、光学素子は、光学材料内に配置された、複数のマイクロチャネルを有する。複数のマイクロチャネルの各々は、少なくとも光学材料の第1の平坦面の端部まで延在する。
【0006】
ある実施形態では、光学素子を製造する方法は、第1の材料部分と、第2の材料部分とを提供するステップを有する。また、当該方法は、第1の材料部分の表面に、複数のマイクロチャネルを形成するステップを有する。当該方法は、第1の材料部分を第2の材料部分に接触させ、結合を形成するステップを有し、第1の材料部分の複数のマイクロチャネルは、第1の材料部分と第2の材料との間の界面に配置される。
【0007】
追加の特徴および利点は、本発明の技術を介して理解される。本発明の他の実施形態および態様は、本願に詳しく記載されており、これは、特許請求の範囲に記載の発明の一部と見なされる。特徴および利点を含む本発明のより良い理解のため、記載および図面が参照される。
【0008】
本発明のさらなる理解のため、添付図面および詳細な説明とともに、以下の記載が参照される。同様の参照符号は、同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による結合部の側面図である。
図2図1の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による結合部の側面図である。
図4】本発明の一実施形態による結合部の斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による結合する方法を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の具体的な態様に関する技術の概要に着目すると、接触結合プロセスの後に使用される高温により、2表面間の界面の予測できない位置に、恒久ボイドが形成される場合がある。ボイドは、高温結合プロセス中の吸着種の揮発の結果生じ、寸法は、最大数mmである。欠陥は、被製造部材の光学的および機械的特性を低下させ得る。これらのボイドの形成および恒久化を防ぐことは、最適な機械的および光学的特性を有する、高品質で、恒久的に結合された光学的に透明な部材を製造する上で重要である。
【0011】
光学的に結合された単結晶および多結晶光学部材を製造する一つの方法は、界面に異材を介在させるステップを有する。しかしながら、そのような方法では、次善の特性の光学部材が製造され得る。
【0012】
シリコンのような薄い半導体材料が厚いスラブの材料に結合される、半導体ウェハの光学的接触結合では、厚いスラブと接触すると、結合領域からボイドが押し出されるため、薄い可撓性のシリコンを曲げたり広げたりすることにより、界面でのボイド形成を回避することができる。ただし、この方法は、曲げの難しい、厚く剛性のある光学表面には適用できない。例えば、この方法は、大きな(例えば、全長および/または幅が最大1mの)窓ブランク、または大きな平坦導波(PWG)レーザスラブを形成する際に結合される、個々の窓タイルには適用されない。
【0013】
ここで、本発明の態様の概略に着目すると、本発明の1または2以上の実施形態では、前述の問題は、対応組の光学基材の少なくとも一つの表面に適用された表面特徴部(例えばマイクロチャネル)を有する方法、および得られる構造を提供することにより対処される。特徴部は十分に小さく、光学的接触形成の後に製造される製造部材の機械的または光学的な特性に、大きな影響は生じない。表面特徴部は、任意のサイズの光学表面、および非光学表面に適用され、これには、大きなサファイア、またはスピネル、イットリア、ナノ複合体光学セラミックス(NCOC)、酸窒化アルミニウム(AlON)、およびこれらの組み合わせのような、光学的セラミックの窓タイル、またはPWGレーザスラブが含まれる。
【0014】
本発明の前述の態様では、表面特徴部(例えばマイクロチャネル)を用いて、任意の捕獲されたガスもしくはボイドの避難経路を提供することにより、従来の問題に対処でき、得られる結合部材が使用できなくなるような、ボイドの形成が回避される。
【0015】
以下、本発明の態様の詳細な記載を参照すると、図1は、本発明の実施形態による接触結合部分の側面図である。図2は、図1の斜視図である。第1の材料部分102を第2の材料部分104と接触させ、2つの表面の間の界面108に接触結合を形成することにより、単一の光学部材100が形成される。第1の材料部分102および第2の材料部分104は、各々、同じまたは異なる材料を有する。第1の材料部分102および第2の材料部分104は、1または2以上の光学材料、非光学材料、またはこれらの組み合わせを有してもよい。
【0016】
本発明の1または2以上の実施形態では、第1の材料部分102および第2の材料部分104は、各々、光学材料、例えば、スピネル、イットリア、ナノ複合体光学セラミックス(NCOC)、酸窒化アルミニウム(AlON)、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)のような、セラミックまたは単結晶材料を有する。材料には、活性イオンドーパントがドープされてもよく、例えば、ネオジム(Nd:YAG)またはイッテリビウム(Yb:YAG)であってもよい。他の実施形態では、第1の材料部分102および第2の材料部分104は、各々、未ドープYAGのセラミックまたは単結晶を有する。さらに、1または2以上の実施形態では、第1の材料部分102および第2の材料部分104は、各々、サファイアのような、他の光学的透明材料を有する。
【0017】
本発明のある実施形態では、第1の材料部分102および第2の材料部分104は、各々、細長い、略矩形状または正方形状の材料のスラブを有する。ただし、第1の材料部分102および第2の材料部分104の寸法および形状は、これらの形状に限られるものではなく、接触結合が可能な十分な平坦度および平滑度を有する表面を有する限り、任意の形状を有してもよい(詳しくは図5参照)。
【0018】
ある実施形態では、第1の材料部分102および第2の材料部分104のスラブは、第1の平坦結合面、第2の平坦結合面、および第4の側面を有する。ある実施形態では、第1の材料部分102および第2の材料部分104の各スラブは、約1から約15mmの厚さ(t)、約10から約100mmの幅(w)、および約50から約500mmの全長を有する(図2参照)。別の実施形態では、第1の材料部分102および第2の材料部分104の各スラブは、約100から約250mmの厚さ(t)、約5から約20mmの幅、および約100から約250mm0の全長を有する。
【0019】
第2の材料部分104と(界面108で)インターフェース化される第1の材料部分102の表面には、複数のマイクロチャネル106が形成される。図に示すように、第1の材料部分102は、第1の端部110と、対向する第2の端部112と、複数のマイクロチャネル106とを有し、これらのマイクロチャネルは、材料の第1の端部110から第2の端部112まで延在する。
【0020】
マイクロチャネル106の各々の形状および寸法は、使用される材料の種類に応じて変化する。マイクロチャネル106の各々は、例えば、円形、楕円形、正方形、矩形の断面形状を有し得る。ある実施形態では、マイクロチャネル106の各々は、約10から約600nmの深さを有する。別の実施形態では、複数のマイクロチャネル106のピッチ(p)(または最近接特徴部同士の中心間距離)は、約100から約2000μmである。一実施形態では、マイクロチャネル106の各々は、約25から約75nmの深さ、および約500から約700μmのピッチ(p)を有する。
【0021】
ある実施形態では、第1の表面102における複数のマイクロチャネル106の表面被覆率は、0.1から1.5%である。別の実施形態では、複数のマイクロチャネル106の被覆率は、約0.01から約5%である。ある実施形態では、複数のマイクロチャネル106は、相互に平行である。さらに別の実施形態では、複数のマイクロチャネル106は、相互に非平行である。ある実施形態では、複数のマイクロチャネル106は、均一な間隔で配置される。さらに別の実施形態では、複数のマイクロチャネル106は、不均一に離間される。
【0022】
複数のマイクロチャネル106は、特定の材料に好適な方法により、第1の材料部分102に形成される。複数のマイクロチャネル106は、例えば、コンタクトマスキング、リソグラフィパターン処理、イオンミル処理、化学エッチング処理、プラズマエッチング処理、またはこれらの組み合わせを含む方法により、第1の材料部分102に形成される。
【0023】
被接合組の一つの表面にマイクロチャネル106を導入することにより、避難経路が提供され、任意の捕捉された空気、ガス、または揮発種が、界面108または接触結合の結合線で開放される。しかしながら、特徴物は、十分に小さく、これらは、材料の機械的または光学的な特性に影響を及ぼさない。第1の材料部分105に複数のマイクロチャネル106を形成した後、第1の材料部分102および第2の材料部分104が清浄化され、汚染物が除去され、その後、相互に結合され、単一の光学部材100が形成される。結合には、第1の材料部分102を第2の材料部分104と光学的に接触させるステップが含まれ、その後、高温熱処理が実施され、結合が完了する。これは、図5を参照して、以降により詳しく記載される。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態による結合部品の側面図である。結合された光学部材300は、第1の材料部分102を有し、これは、第2の材料部分104との界面108に、複数のマイクロチャネル106を有する。第2の材料部分104もまた、複数のマイクロチャネル306を有する。第2の材料部分104において、複数のマイクロチャネル306は、第1の材料部分102における複数のマイクロチャネル106の前述の特徴部を有する。
【0025】
図1乃至3に示した実施形態に示すように、各材料(第1の材料部分102および第2の材料部分104)のスラブの平坦面は、相互に結合され、面結合部材が形成される。面結合を用いて、例えば、大きなPWGレーザスラブが形成されてもよい。
【0026】
また、前述の方法は、端部結合部材の形成にも使用され得る。図4は、本発明の別の実施形態による結合部分の斜視図である。図において、第1の材料部分102および第2の材料部分104の端部同士が結合されている。第1の材料部分102の端部には、複数のマイクロチャネル106が形成され、第2の材料部分104の端部と結合される。ある実施形態では、第1の材料部分102内の複数のマイクロチャネル106は、材料の第1の平坦面410から、対向する第2の平坦面412まで延在する。さらに別の実施形態では、複数のマイクロチャネル106は、部品の片側でのみ、例えば第1の平坦面410でのみ、交差する。
【0027】
図5は、本発明の実施形態による部品を結合する方法500を示したフロー図である。ボックス500に示すように、本方法500は、第1の材料部分および第2の材料部分を提供するステップを有する。各々は、所望の表面平坦度および表面粗さを有する。第1の材料部分および第2の材料部分は、研磨され、所望の特性が提供される。
【0028】
恒久的な結合を得る際の第1のステップである、光学的接触ステップは、結合表面の全領域にわたって、2つの表面を原子スケールで相互に接近させるステップを有する。原子スケールでの接近により、一時的に、相対的に弱い結合が可能となり、例えば、ファンデルワールス結合により、界面の対向する両側における原子同士の間で、界面にわたって結合が形成される。連続的な接触には、短い寸法(すなわち、数μm以下)のスケールとともに、部材の最大の寸法(すなわち、数cm以上)にわたって、対向する表面に存在する原子の大部分の間に、これらの一時的な結合を形成することが必要となる。2つの表面を界面にわたって原子スケールで近接させて接触させる最も実用的な方法は、両方の表面を高い平坦精度で研磨することである。平面度は、大面積寸法での平面精度を特定するのに対して、粗さは、局所的な小さなスケールでの精度を特定する。良好な光学的接触には、両方のサイズのスケールの全領域にわたる平面精度が必要となる。従って、両方の被結合表面が研磨され、その後測定される。大きな面積の平坦度は、基準平坦面との一時的な光学的接触により、または光干渉法により、測定できる。局所的スケールの粗さは、光学的または機械的な形状測定法、または白色光干渉法を用いて測定される。
【0029】
表面平坦度は、表面精度規格の一種であり、平坦表面のずれの指標となる。平坦度のずれは、しばしば、波(λ)の値で測定され、これは、評価源の波長の倍数である。一つのフリンジ(縁)は、波の半分に対応する。例えば、1λ平坦度は、通常の品質であり、λ/4は、高精度の品質であり、λ/20は、超高精度の品質であると見なされる。ある実施形態では、第1の材料部分および第2の材料部分は、表面平坦度がλ/10となるように仕上げられる。
【0030】
また、表面仕上げは、表面粗さとしても知られており、これは、例えば、研磨剤の研磨により残存した、極めて微細な表面の傷の短範囲での空間的な粗さのような、小スケールでの不規則性を表す指標である。例えば、表面仕上げの製造誤差は、通常品質の50オングストロームRMSから、ある品質の20オングストロームRMS、および高品質の5オングストロームRMSの範囲である。ある実施形態では、第1の材料部分および第2の材料部分は、表面粗さが10オングストロームRMS未満となるように仕上げられる。
【0031】
ボックス504に示すように、方法500は、少なくとも第1の材料部分上に、マイクロチャネルを形成するステップを有する。マイクロチャネルは、少なくとも第1の材料部分、または第1の材料部分および第2の材料部分の両方の、端部(端部結合部材)または面(面結合部材)に形成され得る。
【0032】
ボックス506に示すように、方法500は、第1の材料部分および第2の材料部分の表面を清浄化して、汚染物を除去するステップを有する。汚染物には、例えば、有機化合物、無機化合物、金属、および粒子等が含まれる。材料表面の汚染物は、表面の不具合につながり得る。例えば、アセトン、メタノール、およびイソプロピルアルコールのような有機溶媒、例えば、塩酸、硝酸、フッ酸、および硫酸のような酸、例えば、水酸化ナトリウム、および水酸化アンモニウムのような塩基、ろ過された脱イオン水、またはこれらの組み合わせを使用して、表面が清浄化されてもよい。表面の清浄化に使用される方法は、被処理基板、および存在し得る汚染物の種類に依存する。
【0033】
ボックス508に示すように、方法500は、第1の材料部分および第2の材料部分を接触させて、単一の部材を形成するステップを有する。接触ステップ、例えば光学的接触ステップは、清浄な環境下で実施され、接触結合の表面での再コンタミネーションが回避される。
【0034】
ボックス510に示すように、方法500は、単一の部材に熱を印加して、恒久的な結合を形成するステップを有する。界面において、少なくとも第1の材料部分の表面に形成されるマイクロチャネルは、熱処理の間に発生し得るガスを逸散させ、ボイド形成を抑制することができる。熱は、高温炉またはキルンに、当該部分を配置することにより印加され、原子拡散が促進され、恒久的な結合が形成される。当該部分は、固定具に配置され、接触部分の負荷および熱処理中のずれが抑制される。ある実施形態では、恒久的な結合の形成に使用される温度は、被結合材料、および該材料に原子拡散が生じる温度に依存するが、約1000から約2000℃である。
【0035】
2つの材料部分の間で結合が完遂した後、単一の部材(例えば、光学素子)が形成され、界面は、もはや存在しなくなる。封止方法および得られる構造により、接触結合ステップの間に形成されるボイドの形成が抑制される。これらの方法および構造は、PWG、プリズム、およびビームスプリッタ等のような、光学素子を含む、用途の広い範囲に適用することができる。また、当該方法および得られる構造を、端部結合される(例えば、小タイルが端部同士で接合される)光学材料に適用して、大きな窓を形成することができる。
【0036】
関連する図面を参照して、本発明の各種実施形態について説明した。本発明の範囲から逸脱せずに、別の実施形態を得ることができる。以下の記載および図面には、素子間の各種接続および配置の関係(例えば、上、下、隣接など)が記載されているが、当業者には、記載された配置関係の多くは、配向が変わっても記載された機能が維持される場合、配向には依存しないことが認識できる。これらの接続および/または配置関係は、特に記載がない限り、直接的であっても間接的であってもよく、本発明は、この点に限定されるものではない。従って、実体の結合は、直接的または間接的に結合されることを表し、実体の間の配置関係は、直接的または間接的な配置関係であってもよい。間接的な配置関係の一例では、本記載において、層「A」を層「B」の上部に形成するという表現は、層「A」および層「B」の関連する特徴および機能が、中間層によって実質的に変化しない限り、1または2以上の中間層(例えば「C」)が、「A」と「B」の間に存在する状態を含む。
【0037】
以下の定義および省略形は、特許請求の範囲および明細書の解釈に使用される。本願に使用される用語“comprise”、“comprising”、“include”、“including”、“has”、“having”、“contain”、または“containing”、またはこれらの任意の他の変化形は、記載されていない含有物を網羅することを意図する。例えば、構成要素のリストを有する組成物、混合物、プロセス、方法、部品、または機器は、必ずしもこれらの構成要素のみに限定されるものではなく、明記されていない他の構成要素、またはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、部品、または機器に固有ではない他の構成要素を含み得る。
【0038】
また、本願に使用される「一例」と言う用語は、「例、実例、または例示として示される」ことを意味する。「一例」として記載されるいかなる実施形態または構成も、他の実施形態または構成を超える、好適なまたは有意なものと解される必要はない。「少なくとも一つ」および「1または2以上」という用語は、1またはそれ以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4等を含むことが理解される。「複数の」という用語は、2以上の任意の整数、すなわち、2、3、4、5等を含むことが理解される。「接続」という用語は、間接的な「接続」に加えて、直接「接続」を含み得る。
【0039】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」等の言及は、記載された実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを表す。ただし、全ての実施形態は、特定の特徴、構造、または特性を含んでもよい。また、そのような文言は、必ずしも同じ実施形態を表す必要はない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、ある実施形態とともに記載されている場合、明確に記載されていなくても、そのような特徴、構造、または特性が他の実施形態とともに影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内であることが示される。
【0040】
以降の記載のため、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」という用語、およびこれらの派生語は、図面内の配向での記載された構造および方法に関する。「上の」、「上方に」、「上部に」、「上部に配置された」または「上方に配置された」という用語は、第1の構造のような第1の素子が、第2の構造のような第2の素子の上に存在することを意味する。ただし、インターフェース構造のような介在素子が、第1の素子と第2の素子との間に存在し得る。「直接接触」という用語は、第1の構造のような第1の素子、および第2の構造のような第2の素子が、いかなる中間的な導電層、絶縁層、または半導体層もなく、2つの素子の界面で接続されることを意味する。
【0041】
「約」、「実質的に」、「おおよそ」という用語、およびそれらの変化形は、出願時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に関する誤差の程度を含むことを意図する。例えば、「約」は、所与の値の±8%、5%、または2%の範囲を含み得る。
【0042】
以下の特許請求の範囲における対応する構造、材料、動作、および全てのミーンズまたはステッププラスファンクション要素の等価物は、具体的にクレーム化された他のクレーム要素と組み合わせて、機能を実行するための任意の構造、材料、または動作を含むことを意図する。本発明の記載は、例示および説明の目的で提供され、排他的、または開示された形態の発明に限定されることを意図するものではない。当業者には、本発明の思想および範囲から逸脱せずに、多くの修正および変形が可能であることは明らかである。実施例は、本発明の原理および実際の用途の最良の説明のために記載され、選定され、当業者には、想定される特定の使用に適した各種変更とともに、各種実施形態が理解することができる。
【0043】
本発明の好適実施例について説明したが、現在および将来の両方にわたって、以下の特許請求の範囲内に含まれる多くの各種改善および向上を行い得ることは、当業者には明らかである。これらの請求項は、最初に記載された発明の適切な保護を維持するように解釈される必要がある。
図1
図2
図3
図4
図5