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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ホッパ及び組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20240814BHJP
   B65G 65/40 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G01G19/387 E
B65G65/40 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021021029
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2022123615
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】橋元 進一
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠太
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-137391(JP,A)
【文献】特開2002-177865(JP,A)
【文献】実開昭61-84822(JP,U)
【文献】実開平4-135492(JP,U)
【文献】特開2001-146319(JP,A)
【文献】米国特許第5199612(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0059820(KR,A)
【文献】実開昭62-153529(JP,U)
【文献】実開昭51-115367(JP,U)
【文献】実開昭63-55124(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
B65G 47/00-47/20,65/30-65/48
B65D 88/00-90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下が開口された筒状のホッパ本体と、揺動して前記ホッパ本体の下部開口を開閉するゲートとを備えるホッパであって、
閉止位置では、前記ホッパ本体と前記ゲートとの当接、又は、複数の前記ゲート同士の当接によって、前記ホッパ本体の前記下部開口を当接閉塞するものであり、
金属製バネ板材からなるシール部材を備え、
前記閉止位置にある前記ゲートの下端部が、前記当接閉塞する箇所の外側で、前記シール部材に弾性当接する、
ことを特徴とするホッパ。
【請求項2】
前記ホッパ本体には、単一の前記ゲートが装備され、
前記ホッパ本体の下端に、前記単一のゲートの下部を当接させて、前記ホッパ本体の前記下部開口を当接閉塞するものであり、
前記シール部材が、前記ホッパ本体に装備されている、
請求項1に記載のホッパ。
【請求項3】
前記ホッパ本体には、対向する一対の前記ゲートが装備され、
前記一対のゲートの下端部同士を当接させて、前記ホッパ本体の前記下部開口を当接閉塞するものであり、
前記シール部材が、前記一対のゲートのいずれか一方のゲートに装備されている、
請求項1に記載のホッパ。
【請求項4】
前記シール部材は、前記当接閉塞する箇所を、前記ゲートの下端と共に外方から覆うシール部と、該シール部から上方に延出される撓みアーム部とを備え、
前記撓みアーム部の上部が固定支持されている、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のホッパ。
【請求項5】
前記シール部材が、一定以上外方へ変位するのを当接阻止する規制板を備える、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のホッパ。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれか一項に記載のホッパを備える、
ことを特徴する組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される物品を保持し、保持した物品を排出するホッパ、及び、ホッパを備える組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に組合せ秤では、計量する物品を、組合せ秤の上部中央の分散フィーダに供給し、分散フィーダによって、その周囲に放射状に配設した多数のリニアフィーダへ物品を振動搬送する。各リニアフィーダは、物品を更に外方へ振動搬送して、各リニアフィーダに対応して配設された各供給ホッパに供給し、各供給ホッパは、対応する各計量ホッパへ物品を供給する。各計量ホッパで計量された物品の重量に基づいて、組合せ演算を行って所定重量範囲となる計量ホッパの組合せである適量組合せを選択し、選択された適量組合せの計量ホッパから物品を排出し、集合シュートを介して装置中央の集合ホッパへ送り込み、集合ホッパから包装機等へ物品を投入する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-148668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組合せ秤では、供給ホッパや計量ホッパ等の各ホッパは、揺動駆動されるゲートによってホッパ本体の下部開口が開閉されるようになっている。かかる組合せ秤によって、例えば、粉洗剤やふりかけ等の粉粒状の物品、あるいは、粉粒体を含む物品を計量処理する場合、物品の投入衝撃や機械振動などによって閉じ位置のゲートが一瞬だけ僅かに開放側に後退変位することがある。このような場合、ゲートの後退変位によって生じた隙間から物品が僅かにこぼれ落ち、計量精度が低下する一因となる。
【0005】
例えば、供給ホッパで物品のこぼれ落ちが発生すると、こぼれ落ちた物品が計量済みの計量ホッパに供給されることになり、この計量ホッパに一時貯留されている物品の実際の重量値が、計量された重量値より大きいものとなる。
【0006】
また、例えば、計量ホッパで物品のこぼれ落ちが発生すると、こぼれ落ちた物品が所定重量の物品を一時貯留している集合ホッパに送り込まれてしまうことになる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて為されたものであって、粉粒体等の物品がホッパからこぼれ落ちることを防止できるホッパ、及び、それを備える組合せ秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0009】
(1)本発明に係るホッパは、上下が開口された筒状のホッパ本体と、揺動して前記ホッパ本体の下部開口を開閉するゲートとを備えるホッパであって、
閉止位置では、前記ホッパ本体と前記ゲートとの当接、又は、複数の前記ゲート同士の当接によって、前記ホッパ本体の前記下部開口を当接閉塞するものであり、金属製バネ板材からなるシール部材を備え、前記閉止位置にある前記ゲートの下端部が、前記当接閉塞する箇所の外側で、前記シール部材に弾性当接する。
【0010】
「外側」とは、下部開口が当接閉塞されている筒状のホッパの内側(内部)ではなく、外側(外部)をいう。
【0011】
本発明に係るホッパによると、閉止位置で、ホッパ本体の下部開口を当接閉塞している箇所の外側で、ゲートの下端部が弾性当接する、金属製バネ板材からなるシール部材を備えているので、閉止位置にあるゲートが、投入される物品の落下衝撃によって一瞬だけ開放方向に変位しても、金属製バネ板材からなるシール部材が、ゲートに追従変位して、当接状態を維持できるので、物品のこぼれ落ちを防止することができる。
【0012】
更に、シール部材は、金属製バネ板材からなるので、長期間に亘って良好なシール機能を発揮することができる。
【0013】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記ホッパ本体には、単一の前記ゲートが装備され、前記ホッパ本体の下端に、前記単一のゲートの下部を当接させて、前記ホッパ本体の前記下部開口を当接閉塞するものであり、前記シール部材が、前記ホッパ本体に装備されている。
【0014】
この実施態様によると、単一のゲートを用いて片開き開閉する当該ホッパに好適に適用できる。
【0015】
(3)本発明の他の実施態様では、前記ホッパ本体には、対向する一対の前記ゲートが装備され、前記一対のゲートの下端部同士を当接させて、前記ホッパ本体の前記下部開口を当接閉塞するものであり、前記シール部材が、前記一対のゲートのいずれか一方のゲートに装備されている。
【0016】
この実施態様によると、対向する一対のゲートを用いて両開き開閉する当該ホッパに好適に適用できる。
【0017】
(4)本発明の他の実施態様では、前記シール部材は、前記当接閉塞する箇所を、前記ゲートの下端と共に外方から覆うシール部と、該シール部から上方に延出される撓みアーム部とを備え、前記撓みアーム部の上部が固定支持されている。
【0018】
この実施態様によると、ホッパ本体の下部開口を当接閉塞している箇所の外側で、弾性当接しているゲートの下端とシール部材のシール部とによって、前記当接閉塞している箇所を、その外側から覆うようにして閉塞することができる。
【0019】
また、ゲートの下端とシール部材とによる閉塞に用いる弾性力は、シール部から延出した撓みアーム部の撓み弾性を利用するので、撓みアーム部の長さや幅などを選択することで、当接閉塞に好適な所望の弾性力を容易に得ることができる。
【0020】
(5)本発明の一実施態様では、前記シール部材が、一定以上外方へ変位するのを当接阻止する規制板を備える。
【0021】
この実施態様によると、ゲートが高速で閉止方向に揺動されて、ゲートの下端部がシール部材に衝撃的に当接されても、シール部材に残留変形が生じるまで大きく変形されることを効果的に防止することができるので、常に好適な弾性力を有するシール部材によって当接閉塞を行うことができる。
【0022】
(6)本発明に係る組合せ秤は、上記(1)ないし(5)のいずれかのホッパを備える。
【0023】
本発明に係る組合せ秤によると、粉粒体等の物品がホッパからこぼれ落ちるのを阻止して、計量精度の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、粉粒体等の物品がホッパからこぼれ落ちるのを、金属製バネ板材からなるシール部材を用いて長期間に亘って確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の一実施形態に係るホッパを備える組合せ秤の概略構成を示す縦断面図である。
図2図2図1の供給ホッパの斜視図である。
図3図3図2のシール部材の斜視図である。
図4図4は供給ホッパの分解斜視図である。
図5図5は供給ホッパの側面図である。
図6図6は供給ホッパのシール箇所を拡大した縦断側面図であり、(a)はゲート閉止状態、(b)はゲート開放状態を示す。
図7図7は計量ホッパの斜視図である。
図8図8は計量ホッパの側面図である。
図9図9は計量ホッパのシール箇所を拡大した縦断側面図である。
図10図10は集合ホッパの斜視図である。
図11図11は集合ホッパの正面図である。
図12図12は集合ホッパのシール箇所を拡大した縦断正面図である。
図13図13はシール部材の別実施形態を示す斜視図である。
図14図14は別実施形態を示す図6(a)に対応する縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1に、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す縦断面図が示されている。この組合せ秤は、各種の物品を所定量ずつ計量して排出するものであって、計量された物品を図示しない包装機に投入して袋詰めする包装ラインに利用される。
【0028】
この組合せ秤は、中央部が大きく上下に開口された中空構造の基台1の上方に、中空のセンター基体2が脚部3を介して支持されている。センター基体2の上部中心には、図示されていない供給コンベヤの終端から落下供給される物品をトップコーン4aに載置して、放射状に分散しながら振動搬送する分散フィーダ4が装備されている。この分散フィーダ4の周囲に、分散搬送された物品を樋状のトラフ5aに載置して外方に向けて直線状に振動搬送する多数台のリニアフィーダ5が放射状に設けられている。
【0029】
更に、センター基体2の外周壁部に、各リニアフィーダ5からの物品を一旦貯留して排出する複数台の供給ホッパ6と、各供給ホッパ6から排出された物品を計量して排出する計量ホッパ7とが装備されている。そして、これら供給ホッパ6、及び、計量ホッパ7を一連とする多数連の計量ユニットによって物品の組合せ計量及び排出が行われる。
【0030】
各計量ホッパ7の下方には、排出された物品を滑落案内する集合シュート8が配備されると共に、集合シュート8の下端部には、集合シュート8から滑落してきた物品をセンター基体2の中心下方に集める円形漏斗状の集合ファネル9が配備されている。更に、集合ファネル9の下方に、集合ファネル9で集められた所定重量の物品を一旦受け止め貯留する集合ホッパ10が配置されている。集合ホッパ10は、図示されていない包装機へ物品を排出する。
【0031】
本実施形態では、例えば、粉洗剤やふりかけなどの粉粒状の物品、あるいは、粉粒体を含む物品などを計量処理する場合に、閉止状態にある供給ホッパ6、計量ホッパ7、集合ホッパ10などのホッパから物品がこぼれ落ちるのを防止している。
【0032】
以下、その詳細な構造を前記ホッパ6、7、10ごとに説明する。なお、便宜上、以下の説明において、装置の中心側を内側(内方)、装置中心から遠ざかる側を外側(外方)、この内外方向と直交する水平方向を左右方向(横方向)と呼称する。
【0033】
〔供給ホッパ6〕
図2は、図1の供給ホッパの斜視図であり、図4は、供給ホッパの分解斜視図であり、図5は、供給ホッパの側面図であり、図6は、供給ホッパのシール箇所を拡大した縦断側面図であり、同図(a)はゲート閉止状態、同図(b)はゲート開放状態をそれぞれ示している。
【0034】
図2図4及び図5に示されるように、供給ホッパ6のホッパ本体11は、外側板11a、これに対向する内側板11b、及び、左右に対向する一対の横側板11cを備えた下窄まり角筒状に形成されている。このホッパ本体11の下部開口が、左右水平の支点aを中心に内外方向に揺動駆動されるゲート12で開閉されるように構成されている。この例では、ゲート12が内方へ揺動されることでホッパ本体11の下部開口が開放され、ゲート12が外方へ復帰揺動されることでホッパ本体11の下部開口が閉止されるようになっている。
【0035】
ホッパ本体11における左右の横側面には、取付け金具13がそれぞれ溶接固着されて内向き片持ち状に延出されている。この左右の取付け金具13に亘って水平架設した上下一対の連結バー14が、センター基体2側に備えられた図示されていないフック部に着脱可能に支持される。
【0036】
また、ホッパ本体11における横側面の下部には、図4に示すようにスタッドボルト15が一対ずつ突設され、このスタッドボルト15を介して補助側板16が、ホッパ本体11の横側板11cに沿って連結固定されている。また、ホッパ本体11における内側面には、スタッドボルト15が一対突設され、このスタッドボルト15を介して補助内側板19が、ホッパ本体11の内側板11bに沿って連結固定されている。
【0037】
なお、ホッパ本体11の左右の一対の補助側板16及び内側の補助内側板19の各下端部が、ゲート12にそれぞれ接触するよう位置決め装着され、各横側板11c及び内側板11bの各下端とゲート12との間からの物品のこぼれ落ちが防止されている。
【0038】
ゲート12は、図6(a)に示すように、閉止状態において、ホッパ本体11における外側板11aの下端に当接する上下長さに設定されると共に、その下端部が外方に向けて略水平に屈折延長された屈折下端部12aとなっている。
【0039】
補助側板取付け用のスタッドボルト15の内、外側のものが金属製バネ板材からなるシール部材17の取り付けに利用されている。
【0040】
図3に示すように、シール部材17は、ホッパ本体11の下端部横幅より大きい横幅に形成された横長のシール部17aと、このシール部17aの左右両端部から上方に向けて延出された上下方向に長い撓みアーム部17bと、撓みアーム部17bの上端部から内方に向けて屈折延出された下向きフック状の連結部17cとを備えている。このシール部材17は、連結部17cを外側のスタッドボルト15に上方から係合してナット18を締め込むことで、シール部材17と補助側板16とをホッパ本体11に共締め固定するように構成されている。これによって、シール部材17を取付けるための専用のボルト等が不要となり、製造コストの節減に有効となる。
【0041】
なお、連結部17cにおける凹部寸法は、スタッドボルト15の外形より少し大きく設定されており、シール部材17を上下及び前後に位置調節して締込み固定できるようになっている。
【0042】
シール部材17は、図6(b)に示すゲート12の開放状態から図6(a)に示す閉止状態になったときに、ゲート12における屈折下端部12aの先端に、シール部材17のシール部17aが、撓みアーム部17bの弾力によって弾性圧接されるよう位置決め装着されている。
【0043】
この閉止状態では、ホッパ本体11の各側板11a~11cの各下端とゲート12の上面とが当接して、ホッパ本体11の下部開口が閉塞されている。すなわち、ホッパ本体11の下部開口が、ゲート12によって当接閉塞されている。
【0044】
更に、ホッパ本体11の外側板11aの下端とゲート12との当接閉塞箇所の外側、すなわち、ゲート12によって閉止された筒状のホッパ本体11の内側(内部)ではなく、外側(外部)において、ゲート12の屈折下端部12aが、シール部材17のシール部17aに弾性当接している。
【0045】
これによって、閉止位置のゲート12が、投入される物品の落下衝撃によって一瞬だけ開放方向に変位しても、撓みアーム部17bの弾性復元によってシール部17aが、ゲート12の屈折下端部12aに追従変位するので、隙間ができるのを防止することができる。
【0046】
また、ゲート12が一瞬だけ開放方向に変位して、外側板11aの下端とゲート12との間に隙間ができて、この隙間から粉粒体が少し外方にこぼれ出たとしても、ゲート12の屈折下端部12aが外側板11aの下端より外方へ略水平に突出しているので、こぼれ出た粉粒体は屈折下端部12aと、これの先端に弾性当接しているシール部17aとで確実に受止められることになり、次にゲート12が開放されるまでの間に不用意にこぼれ落ちることはない。
【0047】
この実施形態では、ホッパ本体11における外側板11aの下部には、シール部材17におけるシール部17aを全幅に亘って外側から覆う屈曲した規制板20が溶接固定されている。
【0048】
この規制板20は、閉止位置にあるゲート12における屈折下端部12aの先端に弾性当接しているシール部材17の外面に十分近接あるいは当接するよう位置決め装着されている。これによって、ゲート12が高速で閉止方向に作動した際、シール部材17がゲート12に衝撃的に押圧されて外方に一定以上大きく後退変位されるのを阻止する。これによって、シール部材17の撓みアーム部17bに残留変形が生じることを防止し、シール機構が損なわれるのを防止する機能を発揮する。
【0049】
〔計量ホッパ7〕
図7は、計量ホッパの斜視図であり、図8は、計量ホッパの側面図であり、図9は、計量ホッパのシール箇所を拡大した縦断側面図である。
【0050】
計量ホッパ7も、基本的には上記供給ホッパ6と同様に構成されている。
【0051】
すなわち、計量ホッパ7のホッパ本体21は、外側板21a、これに対向する内側板21b、及び、左右に対向する一対の横側板21cを備えた下窄まり角筒状に形成されている。ホッパ本体21の下部開口が、左右水平の支点bを中心に内外方向に揺動駆動されるゲート22で開閉されるように構成されている。この例では、ゲート22が内方へ揺動されることでホッパ本体21の下部開口が開放され、ゲート22が外方へ復帰揺動されることでホッパ本体21の下部開口が閉止されるようになっている。
【0052】
ホッパ本体21における左右の横側面には、取付け金具23がそれぞれ溶接固着されて内向き片持ち状に延出されている。この左右の取付け金具23に亘って水平架設した上下一対の連結バー24が、センター基体2側に備えられた図示されていないフック部に着脱可能に支持される。
【0053】
また、ホッパ本体21における横側面の下部にはスタッドボルト(図示せず)が一対ずつ突設され、このスタッドボルトを介して補助側板26がホッパ本体21の横側板21cに沿って連結固定されている。また、ホッパ本体21における内側面には、スタッドボルト(図示せず)が一対突設され、このスタッドボルトを介して補助内側板29がホッパ本体21の内側板21bに沿って連結固定されている。
【0054】
なお、ホッパ本体21の左右の一対の補助側板26及び内側の補助内側板29の各下端部が、ゲート22にそれぞれ接触するよう位置決め装着され、各横側板21c及び内側板21bの各下端とゲート22との間からの物品のこぼれ落ちが防止されている。
【0055】
ゲート22は、閉止状態において、ホッパ本体21における外側板21aの下端に当接する上下長さに設定されると共に、その下端部が外方に向けて略水平に屈折延長された屈折下端部22aとなっている。
【0056】
補助側板取付け用のスタッドボルトの内、外側のものが金属製バネ板材からなるシール部材27の取り付けに利用されている。
【0057】
シール部材27は、ホッパ本体21の下端部横幅より大きい横幅に形成された横長のシール部27aと、このシール部27aの左右両端部から上方に向けて延出された上下方向に長い撓みアーム部27bと、撓みアーム部27bの上端部から内方に向けて屈折延出された下向きフック状の連結部27cとを備えている。このシール部材27は、連結部27cを外側のスタッドボルトに上方から係合してナット28を締め込むことで、シール部材27と補助側板26とをホッパ本体21に共締め固定するよう構成されている。
【0058】
なお、連結部27cにおける凹部寸法は、スタッドボルトの外形より少し大きく設定されており、シール部材27を上下及び前後に位置調節して締込み固定できるようになっている。
【0059】
図9に示すように、シール部材27は、閉止位置にあるゲート22における屈折下端部22aの先端にシール部27aが、撓みアーム部27bの弾力によって弾性圧接されるよう位置決め装着されている。
【0060】
この閉止状態では、ホッパ本体21の各側板21a~21cの各下端とゲート22の上面とが当接して、ホッパ本体21の下部開口が閉塞されている。すなわち、ホッパ本体21の下部開口が、ゲート22によって当接閉塞されている。
【0061】
更に、ホッパ本体21の外側板21aの下端とゲート22との当接閉塞箇所の外側、すなわち、ゲート22によって閉止された筒状のホッパ本体21の内側ではなく、外側において、ゲート22の屈折下端部22aが、シール部材27のシール部27aに弾性当接している。
【0062】
これによって、閉止位置のゲート22が、投入される物品の落下衝撃によって一瞬だけ開放方向に変位しても、撓みアーム部27bの弾性復元によってシール部27aがゲート22の屈折下端部22aに追従変位するので、隙間ができるのを防止することができる。
【0063】
また、ゲート22が一瞬だけ開放方向に変位して、外側板21aの下端とゲート22との間に隙間ができて、この隙間から粉粒体が少し外方にこぼれ出たとしても、ゲート22の屈折下端部22aが外側板21aの下端より外方へ略水平に突出しているので、こぼれ出た粉粒体は屈折下端部22aと、これの先端に弾性当接しているシール部27aとで確実に受止められることになり、次にゲート22が開放されるまでの間に不用意にこぼれ落ちることはない。
【0064】
また、ホッパ本体21における外側板21aの下部には、シール部材27におけるシール部27aを全幅に亘って外側から覆う屈曲した規制板30が溶接固定されている。
【0065】
この規制板30は、閉止位置にあるゲート22における屈折下端部22aの先端に弾性当接しているシール部27の外面に十分近接あるいは当接するよう位置決め装着されている。これによって、ゲート22が高速で閉じ作動した際、シール部材27がゲート22に衝撃的に押圧されて外方に一定以上大きく後退変位されるのを阻止する。これによって、シール部材27の撓みアーム部27bに残留変形が生じることを防止し、シール機構が損なわれることを防止する機能を発揮する。
【0066】
〔集合ホッパ10〕
図10は、集合ホッパの斜視図であり、図11は、集合ホッパの正面図であり、図12は、集合ホッパのシール箇所を拡大した縦断正面図である。
【0067】
この集合ホッパ10は、下窄まり角筒状に形成されたホッパ本体31の下部開口を、水平支点c、dを中心にそれぞれ揺動される一対のゲート32、33で両開き開閉するように構成されている。一方のゲート32と他方のゲート33とは、ホッパ本体31における前後の側板31a、31bにそれぞれ揺動可能に支持されている。両ゲート32、33は、連係リンク34を介して連動連結されている。一方のゲート32を駆動開閉することで、他方のゲート33が同調して開閉されるようになっている。
【0068】
駆動側のゲート32は、閉止状態において、従動側のゲート33の下端に当接するよう構成されると共に、その下端部が略水平に屈折延長された屈折下端部32aとなっている。
【0069】
従動側のゲート33には、金属製バネ板材からなるシール部材37が取り付けられている。
【0070】
このシール部材37は、ホッパ本体31の下端部横幅より少し大きい横幅に形成された横長のシール部37aと、このシール部37aの左右両端部から上方に向けて延出された上下方向に長い撓みアーム部37bと、撓みアーム部37bの上端部から内方に向けて屈折延出された下向きフック状の連結部37cとが備えられている。ゲート33の左右両側からは側板部33aが屈折延出されており、この側板部33aの外面に突設したスタッドボルト(図示せず)に、シール部材37の連結部37cを上方から係合してナット38で締付け固定するようになっている。
【0071】
図12に示すように、シール部材37は、閉止位置にあるゲート32における屈折下端部32aの先端に、シール部37aが撓みアーム部37bの弾力によって弾性圧接されるよう位置決め装着されている。
【0072】
この閉止状態では、両ゲート32,33の下端部同士を当接させて、ホッパ本体31の下部開口を当接閉塞している。すなわち、ホッパ本体31の下部開口が、対向する一対のゲート32,33によって当接閉塞されている。
【0073】
更に、両ゲート32,33の当接閉塞箇所の外側、すなわち、両ゲート32,33によって閉止された筒状のホッパ本体31の内側ではなく、外側において、一方のゲート32の屈折下端部32aが、シール部材37のシール部37aに弾性当接している。
【0074】
これによって、閉止位置のゲート32,33が、投入される物品の落下衝撃によって若干開放方向に変位しても、撓みアーム部37bの弾性復元によってシール部37aがゲート32の屈折下端部32aに追従変位して、当接閉塞状態が維持され、物品の粉粒体がホッパ下端からこぼれ出ることが防止される。
【0075】
なお、ホッパ本体31における左右の側板31c、31dには、補助側板39が装着されている。この補助側板39の下端部が、閉止位置にあるゲート32、33の内面上部に接触するよう位置決め装着され、側板31c、31dの下端とゲート32、33との間に形成された隙間からの物品のこぼれ出しが防止されている。
【0076】
また、シール部材37を備えたゲート33の下部には、シール部材37におけるシール部37aを全幅に亘って外側から覆う屈曲した規制板40が溶接固定されている。
【0077】
この規制板40は、ゲート32、33が高速で閉じ作動した際、シール部材37がゲート32の屈折下端部32aに押圧されて外方に一定以上大きく後退変位されるのを阻止して残留変形が生じることを防止し、シール機構が損なわれることを防止する機能を発揮する。
【0078】
上記のように本実施形態によれば、粉洗剤やふりかけなどの粉粒状の物品、あるいは、粉粒体を含む物品などを計量処理する場合に、閉止位置のゲート12、22、32が、投入される物品の落下衝撃によって一瞬だけ開放方向に変位しても、シール部材17、27、37の撓みアーム部17b、27b、37bの弾性復元によってシール部17a、27a、37aが、ゲート12、22、32の屈折下端部12a、22a、32aに追従変位するので、隙間ができるのを防止して、閉止状態にあるホッパ6、7、10から物品がこぼれ落ちるのを阻止することができる。これによって、計量精度の低下を防止することができる。
【0079】
ところで、物品のこぼれ落ちを防止するためには、例えば、ウレタンシート等からなる弾性変形可能なシール板を、ゲートによる閉塞箇所の外側に弾性圧接させることが考えられる。しかしながら、閉塞箇所に弾性圧接されるウレタンシート等からなるシール板は、繰り返して変形及び圧接を受けることで、当接箇所が局部的に摩損したり、破断して製品に混入する虞があると共に、疲労によって弾圧性能の劣化が進んで比較的短期間のうちにシール機能が低下するために、定期的な交換を必要とする。更に、食品を計量対象とする場合には、定期的な洗浄が行われるが、ウレタンシート等は水切りが悪く、洗浄作業に手間がかかってしまう。
【0080】
これに対して、金属製バネ板材からなる本実施形態のシール部材17、27、37は、当接箇所が局部的に変形あるいは損耗することがなく、長期間に亘って良好なシール機能を発揮させることができる。
【0081】
また、当接閉塞に用いる弾性力は、シール部材17、27、37のシール部17a、27a、37aの弾性変形により得るものではなく、シール部17a、27a、37aから延出した撓みアーム部17b、27b、37bの撓み弾性を利用するものであるので、撓みアーム部17b、27b、37bの長さや幅などを選択することで、当接閉塞に好適な所望の弾性力を容易に得ることができる。また、ウレタンシート等に比べて水切りが良く、洗浄作業が容易となる。
【0082】
更に、金属製バネ板材からなる本実施形態のシール部材は、既存のホッパに取付けることが可能であり、汎用的である。
【0083】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0084】
(1)シール部材17、27、37の外方変形を当接制限する規制板20、30、40を省略した形態で実施することもできる。
【0085】
(2)単一のゲートで片開き状に開閉するホッパ(例えば、計量ホッパ7)においては、図13に示すように、シール部材27をホッパ本体21の外側板21aに取り付けることもできる。この図13のシール部材27は、上記各実施形態のシール部材とは異なり、シール部27aの左右両端部から上方に向けて延出された上下方向に長い撓みアーム部27bには、屈折延出された下向きフック状の連結部は備えられておらず、左右の撓みアーム部27bの上端部は、互いに近接する方向に延出された取付け部27dによって連結されている。すなわち、この実施形態のシール部材27は、環状であり、この環状の一部を構成する取付け部27dが、ホッパ本体21の外側板21aに取付けられている。
【0086】
(3)ゲートは、その下端部を、外方に向けて略水平に屈折延長された屈折下端部12aとすることなく、上記図6(a)に対応する図14に示すように、下端部を屈折させることなく、真っ直ぐ延出させてもよい。
【0087】
この図14の構成によると、ゲート12を開放したときに、物品をゲート12の内面に沿って円滑に排出することができる。
【0088】
(4)供給ホッパ6、及び、計量ホッパ7を、集合ホッパ10と同様な内外のゲートで開閉する構造で実施することもできる。
【0089】
(5)上記の組合せ秤では、供給ホッパ6、計量ホッパ7及び集合ホッパ10の3種類の全てのホッパ6、7、10が、シール部材17、27、37を備えて物品のこぼれ落ちを防止したが、少なくとも1種類のホッパ、例えば、計量ホッパ7がシール部材27を備えて、物品のこぼれ落ちを防止するようにしてもよい。
【0090】
また、計量ホッパからの物品を一旦保持して排出するメモリホッパにシール部材を取付けて、物品のこぼれ落ちを防止してもよい。
【0091】
(5)上記実施形態では、センター基体2を中心に、リニアフィーダ5、供給ホッパ6、計量ホッパ7等の計量ユニットが円形に配列された組合せ秤に適用して説明したが、計量ユニットが横方向に配列された横型の組合せ秤に適用することもできる。
【符号の説明】
【0092】
6 供給ホッパ
7 計量ホッパ
10 集合ホッパ
11 ホッパ本体
11a 外側板
11c 横側板
12 ゲート
12a 屈折下端部
17 シール部材
17a シール部
17b 撓みアーム部
17c 連結部
20 規制板
21 ホッパ本体
21a 外側板
21c 横側板
22 ゲート
22a 屈折下端部
27 シール部材
27a シール部
27b 撓みアーム部
27c 連結部
30 規制板
31 ホッパ本体
32 ゲート
32a 屈折下端部
37 シール部材
37a シール部
37b 撓みアーム部
37c 連結部
40 規制板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14