IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社桜川ポンプ製作所の特許一覧

<>
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図1
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図2
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図3
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図4
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図5
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図6
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図7
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図8
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図9
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図10
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図11
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図12
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図13
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図14
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図15
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図16
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図17
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図18
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図19
  • 特許-pH処理装置用炭酸ガス反応槽 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】pH処理装置用炭酸ガス反応槽
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/66 20230101AFI20240814BHJP
【FI】
C02F1/66 522B
C02F1/66 510R
C02F1/66 530D
C02F1/66 530B
C02F1/66 530P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022062163
(22)【出願日】2022-04-01
(65)【公開番号】P2023152182
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000143961
【氏名又は名称】株式会社桜川ポンプ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史郎
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-070337(JP,A)
【文献】登録実用新案第3218782(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00- 1/78
B01J 10/00-10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方側部に処理水放流口を有する外槽と、
前記外槽の内部に縦向きに配設された内筒と、
前記内筒の上端部に接続されてアルカリ原水を供給するための原水供給管と、
前記原水供給管に挿通されて炭酸ガスを供給するための炭酸ガス供給管と、を備え、
前記内筒は、前記原水供給管と接続される上筒部と、前記上筒部の下方に接続され前記上筒部より大径であって未溶解炭酸ガスを滞留させるための下筒部と、を備え
前記上筒部は、該上筒部の下部が前記処理水放流口より低い位置に配置され、
前記上筒部の長さは、前記上筒部の内径の5~7倍である、
pH処理装置用炭酸ガス反応槽。
【請求項2】
前記上筒部と前記下筒部とがテーパー部を介して接続されている、請求項1に記載のpH処理装置用炭酸ガス反応槽。
【請求項3】
前記上筒部の管内流速が0.3~0.5m/秒の時に前記下筒部の管内流速が0.03~0.05m/秒となるように、前記上筒部の流路断面積及び前記下筒部の流路断面積が設定さている、請求項1または2に記載のpH処理装置用炭酸ガス反応槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場や各種工場より排出される高アルカリ原水を炭酸ガスで中和するpH処理装置用炭酸ガス反応槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、図15図20に示すように、上端側部に処理水放流部12aを有する外槽12と、外槽12の内部に配置されて下端がラッパ状の内筒13と、内筒13と連通状に配置されると共に内筒13と着脱可能に着設される原水供給管14と、原水供給管14内に挿入された炭酸ガス供給管15と、を備える炭酸ガス反応槽16であって、原水供給管14内から噴出したアルカリ性原水と、炭酸ガス供給管15の先端部から噴出した炭酸ガスとを内筒13の中で混合させるようにした炭酸ガス反応槽16を備えるpH処理装置17が知られている(特許文献1)。
【0003】
原水供給管14に、ホースHを通じて原水槽Tに水没させた水中ポンプPからアルカリ性原水Lが圧送される。水中ポンプPは、電源コードが制御盤Dに接続され、制御盤Dにおいて起動及び停止を操作される。炭酸ガス供給管15へは炭酸ガスボンベGBから炭酸ガスGが供給される。炭酸ガス反応槽16内に設置したpH測定用電極18により、炭酸ガス反応槽16内のpH値が測定され、制御盤Dに記録され、記録紙等にpH値が出力される。炭酸ガス反応槽16内のpH値が所定範囲内になるように、レギュレータRにより炭酸ガスGの供給圧力が調節され、炭酸ガスGの供給量が調節されるとともに、原水供給管14に設けられた流量調整弁14aにより減衰供給量が調節される。
【0004】
炭酸ガス反応槽16は、原水Lと炭酸ガスGとの炭酸ガス反応槽16から内筒13の内方へ噴出し、内筒13の下端のラッパ状の原水反転口13aを通して外槽12へ放出してその流動方向を反転させ、外槽12の上端部側壁に設けた処理水放流部12aを通して外部へ放流する構成としている。
【0005】
その結果、内筒13内が炭酸ガス溶解室として機能すると共に、外槽12の深さに相当する水圧が内筒13及び外槽12内の混合水に掛かるため、水深圧を利用した加圧溶解方式によって、混合水内の炭酸ガスGがより円滑に原水L内へ溶解することになり、結果として炭酸ガスGの溶解度が向上してアルカリ性原水Lの中和に必要とする炭酸ガス量が減少し、pH処理装置のランニングコストを大幅に引下げることができる。
【0006】
また、内筒13の長さ寸法を長くして内筒13の容積を大きくし、且つその先端開口をラッパ状の形態とすることにより、内筒13で溶解しきれなかった未溶解炭酸ガスを逃がさず内筒13に戻して再利用できるようにしたことで、炭酸ガスGの原水L内への溶解がより促進され、原水L内へ放出された炭酸ガスGが無駄なく使用されることになる。
【0007】
ph処理装置17は、炭酸ガス反応槽16内に設置されたpH測定用電極18によりpH値を測定して炭酸ガス供給量を調節するが、放流水のpH値を安定させるために、炭酸ガス反応槽16の横に滞留槽19を別途設け、炭酸ガス反応槽16で中和しきれなかった処理水を滞留槽19に一時的に滞留させて中和を促進させる。滞留槽19にもpH測定用電極20が設定され、滞留槽19のpHが基準値範囲内であれば、放流槽21の放流口21aを通じて放流される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実用新案登録第3218782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来のpH処理装置用炭酸ガス反応槽は、炭酸ガスの原水内への溶解性の向上、炭酸ガス消費量の削減及びランニングコストの引下げ等が図られているが、溶解効率の更なる向上、炭酸ガス使用量のいっそうの削減、中和処理後の放流処理水のpH値の安定が要望されている。
【0010】
そこで、本発明は、かかる要望に応え得るpH処理装置用炭酸ガス反応槽を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係るpH処理装置用炭酸ガス反応槽は、上方側部に処理水放流口を有する外槽と、前記外槽の内部に縦向きに配設された内筒と、前記内筒の上端部に接続されてアルカリ原水を供給するための原水供給管と、前記原水供給管に挿通されて炭酸ガスを供給するための炭酸ガス供給管と、を備え、前記内筒は、前記原水供給管と接続される上筒部と、前記上筒部より大径であって未溶解炭酸ガスを滞留させるための下筒部と、を備える。
【0012】
前記上筒部と前記下筒部とは、テーパー部を介して接続され得る。
【0013】
前記上筒部の管内流速が0.3~0.5m/秒の時に前記下筒部の管内流速が0.03~0.05m/秒となるように、前記上筒部の流路断面積及び前記下筒部の流路断面積が設定され得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、管径の細い上筒部の下にテーパー部を介して管径の太い下筒部を設けることによって、下筒部に多くの未溶解ガスを滞留させることができるとともに、水深圧を利用した加圧溶解方式においても受圧面積を大きくしたことによってより溶解効率が向上する。そして、溶解効率の向上により、炭酸ガス消費量を削減することができ、コスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るpH処理装置用炭酸ガス反応槽の第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1のpH処理装置用炭酸ガス反応槽の平面図である。
図3図1のpH処理装置用炭酸ガス反応槽の右側面図である。
図4図2のH-H線に沿って切欠いた一部切欠き図である。
図5図3のF-F線に沿う断面図である。
図6図1の炭酸ガス反応槽を備えるpH処理装置を示す斜視図である。
図7図6のpH処理装置の平面図である。
図8図6のpH処理装置の正面図である。
図9図6のpH処理装置の右側面図である。
図10図6のpH処理装置の使用状態を示す概略構成図である。
図11図6のpH処理装置を用いて原水を中和処理したpH値の時間経過推移を示すグラフである。
図12】本発明に係る炭酸ガス反応槽を備えるpH処理装置と、従来のpH処理装置とにおける、原水と処理後のpH値の時間経過水位を示すグラフである。
図13】本発明に係るpH処理装置用炭酸ガス反応槽の第2実施形態を示す一部切欠き図である。
図14図13のpH処理装置用炭酸ガス反応槽の縦断面図である。
図15】従来の炭酸ガス反応槽を示す縦断正面図である。
図16図15の炭酸ガス反応槽を搭載した従来のpH処理装置を示す平面図である。
図17図16のpH処理装置の側面図である。
図18図16のpH処理装置の正面図である。
図19図16のpH処理装置の背面図である。
図20】従来のpH処理装置の使用状態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るpH処理装置用炭酸ガス反応槽の実施形態について、以下に図1図12を参照して説明する。なお、全図及び全実施例を通じて同一又は類似の構成要素については、同符号を付している。
【0017】
pH処理装置用炭酸ガス反応槽1の第1実施形態は、図1図5を参照して、上方側部に処理水放流口2を有する外槽3と、外槽3の内部に縦向きに配設された内筒4と、内筒4の上端部に接続されてアルカリ性原水Lを供給するための原水供給管5と、原水供給管5に接続されて炭酸ガスGを供給するための炭酸ガス供給管6と、を備えている。
【0018】
内筒4は、アルカリ性原水Lと炭酸ガスGの溶着を早めるための上筒部4aと、上筒部4aより大径であって未溶解ガスを滞留させるための下筒部4bと、上筒部4aと下筒部4bとを接続し、上筒部4aからの未溶解ガスを上筒部4a内に戻すためのテーパー部4cと、を備える。
【0019】
図6図10は、炭酸ガス反応槽1を搭載したpH処理装置の一例を示している。炭酸ガス反応槽1がフレームFに設置され、フレームFにはキャスターFCが取り付けられている。炭酸ガス反応槽1の背面に制御盤Dが配置され、制御盤DもフレームFに設置されている。また、炭酸ガスボンベGBが、固定用チェーンCによって、倒れないようにフレームFに固定されている。
【0020】
外槽3は、箱形であり、天板3aの上面に原水供給管5が接続され、天板3aの下面に原水供給管5と連通状に内筒4が接続されている。原水供給管5のエルボ部分に炭酸ガス供給管6が挿通されて接続されている。なお、原水供給管5及び炭酸ガス供給管6の構成は、上記先行技術文献1に開示されているものと同様である。外槽3の下部には、バルブ付きドレンパイプ7が設けられている。処理水放流口2は、ホースジョイントが設けられている。
【0021】
また、外槽3には、pH測定用電極8が挿通されている。pH測定用電極8は、図4及び図5に示すように、周囲を細長状の保護カバー9によって囲まれている。保護カバー9は、外槽3の側壁3bに固定され、処理水放流口2と連通する開口部9aが側面に形成されている。保護カバー9の下端開放口からpH測定用電極8の下端部が露出している。処理水放流口2も保護カバー9に囲まれており、保護カバー9内を通って処理水が処理水放流口2から放流される。なお、pH測定用電極8によって測定されたpH値は、制御盤Dに組み込まれた記録計(図示せず。)によってpH値が記録、出力される。制御盤Dの電源をオンにすると、pH値の記録を開始するように構成されている。
【0022】
原水供給管5は、図10を参照して、ホースHが接続され、そのホースHの先に水中ポンプ(自吸式水中ポンプ含む)Pが接続されて、水中ポンプPが原水槽(被処理排水槽)Tに水没される。水中ポンプPの電源コードは、制御盤Dのコンセントに接続されて電力供給される。水中ポンプPは、水位センサー付きのオートポンプを用いることで自動的にON/OFF運転させることができるが、制御盤Dの手動スイッチにより起動及び停止を操作することもできる。原水供給管5には、流量調整弁11が設けられ、流量調整弁11を調節することにより、原水槽Tから供給される原水の流量を調整することができる。,流量は、セキ式流量計等の流量測定器(図示せず。)によって計測することができる。制御盤Dの電源をオンにすると、pH値の記録を開始するように構成されている。
【0023】
炭酸ガス供給管6にはレギュレータRを介して炭酸ガスボンベGBに接続される。内筒4に供給される炭酸ガスの圧力をレギュレータRによって調節することで、炭酸ガスGの供給量を調節することができる。制御盤Dは、水中ポンプPの電流値を検知し、水中ポンプPが作動しているときに、炭酸ガス供給管6の供給路に設けた電磁弁(図示せず。)を開いて、炭酸ガスGが供給されるように制御することができる。
【0024】
原水供給管5から高アルカリの原水Lが内筒4に供給され、供給される原水Lに炭酸ガス供給管6から炭酸ガスGが送られ、内筒4内で原水Lと炭酸ガスGとが混合され、炭酸ガスGが原水Lに溶解し、中和が促進される。
【0025】
上筒部4aは、アルカリ性原水Lと炭酸ガスGの溶着を速める為、管内流速を上げることを目的として、下筒部4bより細い管内径のパイプが用いられる。上筒部4aは、内径を細くして流速を速めた方が原水と未溶解ガスとの混合(攪拌)効果が高まり溶着が速まるが、細すぎると、スケールが発生した場合、閉塞のリスクがあるため、上筒部4a内の流速を0.3~0.5m/秒とすることが好ましい。上筒部4a及び下筒部4bは、上筒部4aの管内流速が0.3~0.5m/秒の時に下筒部4bの管内流速が0.03~0.05m/秒となるように、上筒部4aの流路断面積A1及び下筒部4bの流路断面積A2が設定されている。上筒部4aの管内流速V1は、流量調整弁11によって調節することができる。処理量Q(m/秒)、流路断面積A(m)、流速V(m/秒)は、Q=A×Vの関係があり、斯かる関係式を用いて上筒部4a及び下筒部4bの流路断面積を設定することができる。処理量Qは、各処理現場の必要処理量で決定され得る。
【0026】
上筒部4aの長さは、その内径の5~7倍とすることが好ましい。上筒部4aは、その長さがその内径の5倍より短いと、炭酸ガスとの接触時間が短くなり溶解効率が下がることとなり、逆に、その長さがその内径の7倍より長いと、pH処理装置自体の高さが高くなり現場での組立及びメンテ作業が困難となるため好ましくない。
【0027】
下筒部4bの長さは、未溶解ガスが漏れない長さが必要であり、200mm以上とすることが好ましい。下筒部4bの下端は、外槽3の底面近傍に配置され、外槽の底面との間の隙間Xを小さくしている。隙間Xは、例えば、20~30mmとされる。下筒部4bの下端は、pH測定用電極8の下端より低い位置にあり、保護カバー9の下端より低い位置にある。
【0028】
また、テーパー部4cは、円錐台形状であり、勾配角度θを30~40度とすることが好ましい。
【0029】
上記構成を有するpH処理装置用炭酸ガス反応槽1によれば、管径の細い上筒部4aの下にテーパー部4cを介して管径の太い下筒部4bを設けることによって、下筒部4bに多くの未溶解ガスが滞留させることができ、水深圧を利用した加圧溶解方式((力=圧力×受圧面積)においても受圧面積を大きくしたことによってより溶解効率が向上する。図11は、本発明実施形態のpH処理装置を用いてpH値を記録したグラフである。図11に示すように、pH12の高アルカリ原水も放流基準pH値(5.8~8.6)で中和処理することができた。
【0030】
また、大径の下筒部4bを設けることにより、上下方向の長さを短くできる為、装置全体のコンパクト化が可能になりコストダウンにもつながる。
【0031】
従来、pH測定用電極1本仕様(炭酸ガス反応槽のみ)で高アルカリ性原水を中和した場合、放流水のpH値が不安定となり、放流基準pH値(5.8~8.6)を外れる場合がある。放流水がpH8.6を超えないよう大量に炭酸ガスを注入すると、放流水のpH値が5.8以下になることもあった。そのため、従来では放流水のpH値を安定させるために炭酸ガス反応槽の他に滞留槽(滞留槽19)を設け、炭酸ガス反応槽で中和しきれなかった処理水を、滞留槽に一時的に滞留させて中和を促進させる。その場合、炭酸ガス反応槽と滞留槽のそれぞれにpH測定用電極(20)を設置する。
【0032】
本発明のpH処理装置用炭酸ガス反応槽は、別個に滞留槽を設けなくとも放流水のpH値を安定させることができる。図12は、図6に示す本発明の炭酸ガス反応槽を用いたpH処理装置による放流水のpH値と、図15に示す従来のpH処理装置の炭酸ガス反応槽16からの放流水のpH値(滞留槽なし)を測定したグラフである。図12のグラフから、従来の炭酸ガス反応槽では放流水のpHが8.6を超える場合があるのに対し、本発明の炭酸ガス反応槽では放流水のpHが放流基準pH値の範囲(5.8~8.6)内にあることが判る。本発明のpH処理装置用炭酸ガス反応槽は、従来のような別個の滞留槽(19)を省くことができ、それに伴い滞留槽に設置するpH測定用電極(20)及びその測定装置も省くことができるため、装置全体のコンパクト化及び低コスト化が可能となる。
【0033】
図13及び図14は、本発明に係るpH処理装置用炭酸ガス反応槽の第2実施形態を示しており、内筒4の形状が、上記第1実施形態と相違する。具体的には、図13及び図14に示すように、第2実施形態内筒4は、上筒部4aと、上筒部4aの下端に接続された下筒部4bとを備え、上記第1実施形態のテーパー部(4c)を備えておらず、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0034】
本発明は、上記実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、内筒を円筒状としているが角筒状とすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 pH処理装置用炭酸ガス反応槽
2 処理水放流口
3 外槽
4 内筒
4a 上筒部
4b 下筒部
4c テーパー部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20