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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】対物光学系、撮像装置及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20240814BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240814BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G02B13/04
G02B23/24 B
A61B1/00 731
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023526725
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 JP2021021919
(87)【国際公開番号】W WO2022259420
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 欣洋
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159853(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135269(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/167310(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、前群と、開口絞りと、後群と、からなり、
前記前群は、像側に凹面を向けた負屈折力の第1レンズと、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、正屈折力の第3レンズと、からなり、
前記後群は、正屈折力の第4レンズと、正屈折力の第5レンズと、からなり、
前記第5レンズは、接合レンズであり、
以下の条件式(1’’’)を満足することを特徴とする対物光学系。
2.38≦f3/f5<20 (1’’’
ここで、
f3は、前記第3レンズの焦点距離、
f5は、前記第5レンズの焦点距離、
である。
【請求項2】
前記対物光学系のピント調整のために、前記第5レンズが光軸に沿って移動する請求項1に記載の対物光学系。
【請求項3】
以下の条件式(2)を満足する請求項1に記載の対物光学系。
0.8<|g2/g1|<2.6 (2)
ここで、
g1は、前記前群の焦点距離、
g2は、前記後群の焦点距離、
である。
【請求項4】
以下の条件式(3)を満足する請求項1に記載の対物光学系。
1.0<|g1/f|<4.0 (3)
ここで、
g1は、前記前群の焦点距離、
fは、前記対物光学系の全体の焦点距離、
である。
【請求項5】
以下の条件式(4)を満足する請求項1に記載の対物光学系。
f2/f1<100 (4)
ここで、
f2は、前記第2レンズの焦点距離、
f1は、前記第1レンズの焦点距離、
である。
【請求項6】
以下の条件式(5)を満足する請求項1に記載の対物光学系。
3.0<f4/f<6.0 (5)
ここで、
f4は、前記第4レンズの焦点距離、
fは、前記対物光学系の全体の焦点距離、
である。
【請求項7】
対物光学系と、像面に配置された撮像素子と、を有し、
前記撮像素子は、撮像面を有し、且つ前記対物光学系によって撮像面上に形成された像を電気信号に変換し、
前記対物光学系は、請求項1に記載の前記対物光学系である撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置を有する内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対物光学系、撮像装置及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野の電子内視鏡では、処置や診断に関する技能が高度化している。電子内視鏡は生体内に挿入し、より微小な病変の発見や検出を行う。2D観察用の電子内視鏡は、平面的(2次元的)な観察を行う。3D観察用の電子内視鏡は、立体的(3次元的)な観察を行う。2D観察と3D観察とのいずれの観察の場合も、対物光学系の製造時において、撮像素子の撮像面に対して正確なピント調整が必須となる。また、内視鏡対物光学系は、処置や診断時において病変に近接して観察する。このため、左眼用と右眼用の対物光学系のそれぞれの光軸の間隔、即ち基線長が大きい場合、左眼用画像と右眼用画像の視差も大きくなる。これにより、観察者は、3D観察時に眼精疲労を生じやすくなる。従って、3D観察用の内視鏡対物光学系は、基線長を短く設定することが必要となる。さらに、左眼用と右眼用の対物光学系の偏心によって、得られた画像位置が、3D観察に適切な画像位置に対してずれが生じると立体視が困難となりやすい。
【0003】
従来の対物光学系としては、例えば、特許文献1に、物体側から順に、負・負・正・絞り・正・接合(正負)という屈折力の配置を有する5群構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-159853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1では、左眼用画像と右眼用画像を1つの撮像素子で取得する対物光学系が開示されている。対物光学系の製造時のピント調整のため、1つの撮像素子を光軸方向に移動させて左眼用と右眼用の対物光学系のピント位置を同時に変化させ、一方の接合レンズを光軸方向に移動させる。これにより、3D観察用の左眼用と右眼用との2つの対物光学系のうち、一方の対物光学系のピント調整を独立に行う。そして、特許文献1の対物光学系は、レンズ(接合レンズ)の屈折力を考慮して、対物光学系の製造時のピント調整におけるレンズのストローク、即ち移動間隔を確保している。
【0006】
しかしながら、この対物光学系では、製造時のピント調整におけるレンズのストロークは確保されているが、3D観察におけるレンズの偏心による心ズレや収差性能の劣化については十分に考慮されていない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、ピント調整時のレンズ移動のストロークを確保しつつ、製造誤差による3D観察時の心ズレや収差性能の劣化の影響を抑制し、3D観察時の左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の基線長を短く設定できる対物光学系、撮像装置及び内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る対物光学系は、
物体側から順に、前群と、開口絞りと、後群と、からなり、
前群は、像側に凹面を向けた負屈折力の第1レンズと、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、正屈折力の第3レンズと、からなり、
後群は、正屈折力の第4レンズと、正屈折力の第5レンズと、からなり、
第5レンズは、接合レンズであり、
以下の条件式(1’’’)を満足する。
2.38≦f3/f5<20 (1’’’
ここで、
f3は、第3レンズの焦点距離、
f5は、第5レンズの焦点距離、
である。
【0009】
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る撮像装置は、
対物光学系と、像面に配置された撮像素子と、を有し、
撮像素子は撮像面を有し、且つ対物光学系によって撮像面上に形成された像を電気信号に変換し、対物光学系は上述の対物光学系である。
【0010】
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡は、上述の撮像装置を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対物光学系を製造する際のピント調整時のレンズ移動のストロークを確保しつつ、3D観察用の対物光学系の場合は、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の製造誤差による心ズレや収差性能の劣化の影響を抑制し、3D観察時の左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の基線長を短く設定できる対物光学系、撮像装置及び内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る対物光学系のレンズ断面図、及び撮像装置の断面図である。
図2】(a)は、本発明の実施例1に係る対物光学系のレンズ断面図である。(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例1の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図3】(a)は、本発明の実施例2に係る対物光学系のレンズ断面図である。(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例2の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図4】(a)は、本発明の実施例3に係る対物光学系のレンズ断面図である。(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例3の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図5】(a)は、本発明の実施例4に係る対物光学系のレンズ断面図である。(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例4の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図6】(a)は、本発明の実施例5に係る対物光学系のレンズ断面図である。(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例5の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図7】(a)は、本発明の実施例6に係る対物光学系のレンズ断面図である。(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例6の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図8】(a)は、本発明の実施例7に係る対物光学系のレンズ断面図である。(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例7の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図9】本発明の実施例8に係る3D観察用の対物光学系のレンズ断面図である。
図10】本発明の実施例9に係る内視鏡の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例の説明に先立ち、本発明のある態様にかかる実施形態の作用効果を説明する。なお、本実施形態の作用効果を具体的に説明するに際しては、具体的な例を示して説明することになる。しかし、後述する実施例の場合と同様に、それらの例示される態様はあくまでも本発明に含まれる態様のうちの一部に過ぎず、その態様には数多くのバリエーションが存在する。したがって、本発明は例示される態様に限定されるものではない。
【0014】
図1は、実施形態に係る対物光学系のレンズ断面図である。本実施形態は、2D観察用に一つの光軸Axを有する構成である。また、対物光学系は、撮像素子IMGを有することで撮像装置を構成する。
【0015】
図9は、図1に示す対物光学系を2つ並列した構成である。2つの対物光学系を、右眼用光学系、左眼用光学系として用いる3D観察用の対物光学系である。
【0016】
図1に示す本実施形態の対物光学系は、物体側から順に、前群FGと、開口絞りSと、後群RGとからなり、前群FGは、像側に凹面を向けた負屈折力の第1レンズL1と、負屈折力の第2レンズL2と、正屈折力の第3レンズL3とからなり、後群RGは、正屈折力の第4レンズL4と、正屈折力の第5レンズL5とからなり、第5レンズL5は、接合レンズL51、L52であり、以下の条件式(1)を満足する。
2.3<f3/f5<20 (1)
ここで、
f3は、第3レンズL3の焦点距離、
f5は、第5レンズL5の焦点距離、
である。
【0017】
また、平行平板であるフィルタF1は前群FGに配置されている。また、フィルタF2は、撮像素子IMGのカバーガラスCGの物体側面に接着されている。
【0018】
本実施形態の対物光学系に、屈折力(パワー)をほとんど有しない平行平板であるフィルタやレンズ群等を付加しても、対物光学系が実現する光学的性能に対して原理的に影響を及ぼさないことは技術常識として明らかである。
【0019】
本実施形態は、物体側から順に、負、負、正、開口絞り、正、正の屈折力の配置とすることで、レトロフォーカス光学系としている。そして、2D観察用の対物光学系において、像面(撮像面)Iの位置と第5レンズL5の間に広い空間ができる。このため、製造時におけるピント調整のためのストロークを確保できる。
【0020】
また、3D観察用の対物光学系では、図9に示すように対物光学系を2つ並列し、第5レンズL5を移動させて、対物光学系の製造時のピント調整を行う。実施例8として後述するように、図9に示す第5レンズL5の位置を調整するストロークを確保できる。
【0021】
条件式(1)は、第3レンズL3の焦点距離と第5レンズL5の焦点距離との比を規定している。
【0022】
条件式(1)の上限値を上回ると、第5レンズL5の焦点距離が小さくなる。このため、ピント調整のための第5レンズL5のストロークの確保が困難となる。
【0023】
条件式(1)の下限値を下回ると、第3レンズL3の焦点距離が、第5レンズL5の焦点距離に対して相対的に小さくなる。3D観察用の対物光学系においては、右眼用画像と左眼用画像とが上下方向(左右の眼を結ぶ方向に略垂直な方向)に偏心による心ズレを生ずることにより、立体視が困難になる。また、第3レンズL3の焦点距離が、第5レンズL5の焦点距離に対して相対的に小さくなると、像面湾曲などの収差性能が劣化しやすくなる。
【0024】
このように、本実施形態では、対物光学系を製造する際のピント調整時のレンズ移動のストロークを確保できる。さらに、3D観察用の対物光学系の場合は、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の製造誤差による心ズレや収差性能の劣化の影響を抑制し、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の基線長を短く設定できる。
【0025】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、対物光学系のピント調整のために、第5レンズL5が光軸Axに沿って移動することが望ましい。
これにより、対物光学系を製造する際、第5レンズL5のストロークが確保されているので、ピント調整が容易になる。
【0026】
また、本実施形態の望ましい態様では、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
0.8<|g2/g1|<2.6 (2)
ここで、
g1は、前群FGの焦点距離、
g2は、後群RGの焦点距離、
である。
【0027】
条件式(2)は、前群FGの焦点距離と後群RGの焦点距離の比を規定している。
【0028】
条件式(2)の上限値を上回ると、開口絞りSの前後の前群FGと後群RGとの対称性が崩れる。これにより、倍率色収差と像面湾曲が補正不足となる。
【0029】
条件式(2)の下限値を下回ると、前群FGの焦点距離が大きくなり、第1レンズL1における光線高が高くなる。このため、3D対物光学系としての、右眼用対物光学系と左眼用対物光学系との基線長を短く設定することが困難となる。
【0030】
また、本実施形態の望ましい態様では、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
1.0<|g1/f|<4.0 (3)
ここで、
g1は、前群FGの焦点距離、
fは、対物光学系の全体の焦点距離、
である。
【0031】
条件式(3)は、前群FGの焦点距離と対物光学系の全系の焦点距離との比を規定する。
【0032】
条件式(3)の上限値を上回ると、前群FGの焦点距離が大きくなり、即ち屈折力が小さくなる。この結果、第1レンズL1を小型化できずに好ましくない。
【0033】
条件式(3)の下限値を下回ると、前群FGの焦点距離が小さくなり、即ち屈折力が大きくなる。これにより、前群レンズFGの製造時の誤差感度が高まる。このため、対物光学系の光軸方向または光軸と垂直方向にレンズがシフトした際に画角が変化し、偏角が生じやすくなる。「偏角」とは、光軸と視野の中心軸とのなす角度をいう。
【0034】
また、本実施形態の望ましい態様では、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
f2/f1<100 (4)
ここで、
f2は、第2レンズL2の焦点距離、
f1は、第1レンズL1の焦点距離、
である。
【0035】
条件式(4)は、第1レンズL1の焦点距離と、第2レンズL2の焦点距離との比を規定する。
【0036】
条件式(4)の上限値を上回ると、第1レンズL1の焦点距離が小さくなる。このため、第1レンズL1と第2レンズL2の相対的な偏心による片ボケの抑制が困難となる。
【0037】
また、本実施形態の望ましい態様では、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
3.0<f4/f<6.0 (5)
ここで、
f4は、第4レンズL4の焦点距離、
fは、対物光学系の全体の焦点距離、
である。
【0038】
条件式(5)は、第4レンズL4の焦点距離と、対物光学系の全体の焦点距離との比を規定する。
【0039】
条件式(5)の上限値を上回ると、第4レンズの焦点距離が大きくなり、即ち屈折力が小さくなる。これにより、像面湾曲の補正が不足してしまう。
【0040】
条件式(5)の下限値を下回ると、第4レンズL4の焦点距離が小さくなり、即ち屈折力が大きくなる。これにより、第4レンズL4と第5レンズL5との相対的な偏心による倍率色収差の補正が困難となる。
【0041】
また、本実施形態の撮像装置は、
対物光学系と、像面に配置された撮像素子IMGと、を有し、
撮像素子は、撮像面を有し、且つ対物光学系によって撮像面上に形成された像を電気信号に変換し、対物光学系は、上述の対物光学系である。
【0042】
これにより、対物光学系を製造する際のピント調整時のレンズ移動のストロークを確保しつつ、3D観察用の対物光学系の場合は、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の製造誤差による心ズレや収差性能の劣化の影響を抑制し、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の基線長を短く設定できる撮像装置を提供できる。
【0043】
また、本実施形態の内視鏡は、上述の撮像装置を有する。
【0044】
これにより、対物光学系を製造する際のピント調整時のレンズ移動のストロークを確保しつつ、3D観察用の対物光学系の場合は、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の製造誤差による心ズレや収差性能の劣化の影響を抑制し、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の基線長を短く設定できる内視鏡を提供できる。
【0045】
また、本実施形態の望ましい態様では、第1レンズL1は、像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状であることが望ましい。
【0046】
内視鏡では、臓器内部の粘液や血液がレンズ表面に付着して観察に支障をきたす場合、内視鏡先端に設けられた送気送水ノズルから水や空気を噴出してレンズ表面の洗浄を行う。その際、第1レンズL1の物体側が凸形状の場合、洗浄性が低下しやすく、凹形状の場合、レンズ表面に水滴が溜まりやすい。特に、凸形状の場合、内視鏡運搬時や洗浄時に内視鏡先端部に衝撃が加わったときにレンズ表面に傷や割れが発生しやすくなる。第1レンズL1を像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状とすることで、レンズ表面の洗浄性と水切れ性を確保しつつ、衝撃に対する傷や割れが発生しにくい構成とすることが可能である。
【0047】
また、本実施形態の望ましい態様では、第2レンズL2は、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状であることが望ましい。
【0048】
これにより、レンズや鏡枠の部品公差の範囲内で生じる製造誤差による第1レンズL1と第2レンズL2の相対的な偏心が起きても片ボケを抑制しやすい構成とすることが可能である。
【0049】
また、本実施形態の望ましい態様では、3D観察用の対物光学系においては、第1レンズL1は、基線長の間隔を設けた2つの球欠部を有する1枚のレンズとし、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系で第1レンズL1を共通化することが望ましい。
【0050】
これにより、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系で異なる第1レンズを配置する場合と比較して、対物光学系先端の外径を小さくしつつ、基線長を短く設定することが可能である。基線長を短くできるため、被写体に近接しても左眼用光学系で取得した左眼用画像と右眼用光学系で取得した右眼用画像の視差を小さくでき、3D観察時の眼精疲労を抑えることが可能である。
【0051】
以下、各実施例について説明する。
【0052】
(実施例1)
実施例1に係る対物光学系について説明する。図2(a)は、実施例1に係る対物光学系のレンズ断面図である。対物光学系は、物体側から順に、前群FGと、開口絞りSと、後群RGと、を有する。前群FGは、像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状の第1レンズL1と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズL2と、物体側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第3レンズL3と、フィルタF1と、を有する。後群RGは、像側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第4レンズL4と、両凸正レンズL51と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状のレンズL52と、カバーガラスF2と、CMOSのカバーガラスCGと、を有する。開口絞りSは、前群FGと後群RGとの間に配置される。カバーガラスCGの像側に像面Iが存在する。
【0053】
レンズL51とレンズL52とは接合されて正屈折力の接合レンズである第5レンズL5を形成する。
【0054】
なお、平行平板であるフィルタF1、F2の表面に、赤外光を制限する波長域制限コートを施しても良い。また、カバーガラスCGの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。d16は接着層である。
【0055】
図2(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例1の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
【0056】
これら、諸収差図は、546.07nm(e線)、656.27nm(C線)及び486.13nm(F線)の各波長について示されている。また、各図中、FNOは、Fナンバー、FIYは最大像高を示す。以下、収差図に関しては、同様である。各収差図において、横軸は収差量を表している。球面収差、非点収差及び倍率収差については、収差量の単位はmmである。また、歪曲収差については、収差量の単位は%である。また、像高の単位はmmである。
【0057】
(実施例2)
実施例2に係る対物光学系について説明する。図3(a)は、実施例2に係る対物光学系のレンズ断面図である。対物光学系は、物体側から順に、前群FGと、開口絞りSと、後群RGと、を有する。前群FGは、像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状の第1レンズL1と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズL2と、像側に凸面を向けた正屈折力を有するメニスカス形状の第3レンズL3と、フィルタF1と、を有する。後群RGは、像側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第4レンズL4と、両凸正レンズL51と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状のレンズL52と、カバーガラスF2と、CMOSのカバーガラスCGと、を有する。開口絞りSは、前群FGと後群RGとの間に配置される。カバーガラスCGの像側に像面Iが存在する。
【0058】
レンズL51とレンズL52とは接合されて正屈折力の接合レンズである第5レンズL5を形成する。
【0059】
なお、平行平板であるフィルタF1、F2の表面に、赤外光を制限する波長域制限コートを施しても良い。また、カバーガラスCGの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。d16は接着層である。
【0060】
図3(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例2の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
【0061】
(実施例3)
実施例3に係る対物光学系について説明する。図4(a)は、実施例3に係る対物光学系のレンズ断面図である。対物光学系は、物体側から順に、前群FGと、開口絞りSと、後群RGと、を有する。前群FGは、像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状の第1レンズL1と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズL2と、物体側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第3レンズL3と、フィルタF1と、を有する。後群RGは、像側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第4レンズL4と、両凸正レンズL51と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状のレンズL52と、カバーガラスF2と、CMOSのカバーガラスCGと、を有する。開口絞りSは、前群FGと後群RGとの間に配置される。カバーガラスCGの像側に像面Iが存在する。
【0062】
レンズL51とレンズL52とは接合されて正屈折力の接合レンズである第5レンズL5を形成する。
【0063】
なお、平行平板であるフィルタF1、F2の表面に、赤外光を制限する波長域制限コートを施しても良い。また、カバーガラスCGの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。d16は接着層である。
【0064】
図4(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例3の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
【0065】
(実施例4)
実施例4に係る対物光学系について説明する。図5(a)は、実施例4に係る対物光学系のレンズ断面図である。対物光学系は、物体側から順に、前群FGと、開口絞りSと、後群RGと、を有する。前群FGは、像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状の第1レンズL1と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズL2と、物体側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第3レンズL3と、フィルタF1と、を有する。後群RGは、像側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第4レンズL4と、両凸正レンズL51と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状のレンズL52と、カバーガラスF2と、CMOSのカバーガラスCGと、を有する。開口絞りSは、前群FGと後群RGとの間に配置される。カバーガラスCGの像側に像面Iが存在する。
【0066】
レンズL51とレンズL52とは接合されて正屈折力の接合レンズである第5レンズL5を形成する。
【0067】
なお、平行平板であるフィルタF1、F2の表面に、赤外光を制限する波長域制限コートを施しても良い。また、カバーガラスCGの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。d16は接着層である。
【0068】
図5(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例4の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
【0069】
(実施例5)
実施例5に係る対物光学系について説明する。図6(a)は、実施例5に係る対物光学系のレンズ断面図である。対物光学系は、物体側から順に、前群FGと、開口絞りSと、後群RGと、を有する。前群FGは、像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状の第1レンズL1と、像側に凹面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズL2と、物体側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第3レンズL3と、フィルタF1と、を有する。後群RGは、像側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第4レンズL4と、両凸正レンズL51と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状のレンズL52と、カバーガラスF2と、CMOSのカバーガラスCGと、を有する。開口絞りSは、前群FGと後群RGとの間に配置される。カバーガラスCGの像側に像面Iが存在する。
【0070】
レンズL51とレンズL52とは接合されて正屈折力の接合レンズである第5レンズL5を形成する。
【0071】
なお、平行平板であるフィルタF1、F2の表面に、赤外光を制限する波長域制限コートを施しても良い。また、カバーガラスCGの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。d16は接着層である。
【0072】
図6(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例5の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
【0073】
(実施例6)
実施例6に係る対物光学系について説明する。図7(a)は、実施例6に係る対物光学系のレンズ断面図である。対物光学系は、物体側から順に、前群FGと、開口絞りSと、後群RGと、を有する。前群FGは、像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状の第1レンズL1と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズL2と、物体側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第3レンズL3と、フィルタF1と、を有する。後群RGは、像側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第4レンズL4と、両凸正レンズL51と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状のレンズL52と、カバーガラスF2と、CCDのカバーガラスCGと、を有する。開口絞りSは、前群FGと後群RGとの間に配置される。カバーガラスCGの像側に像面Iが存在する。
【0074】
レンズL51とレンズL52とは接合されて正屈折力の接合レンズである第5レンズL5を形成する。
【0075】
なお、平行平板であるフィルタF1、F2の表面に、赤外光を制限する波長域制限コートを施しても良い。また、カバーガラスCGの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。d16は接着層である。
【0076】
図7(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例6の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
【0077】
(実施例7)
実施例7に係る対物光学系について説明する。図8(a)は、実施例7に係る対物光学系のレンズ断面図である。対物光学系は、物体側から順に、前群FGと、開口絞りSと、後群RGと、を有する。前群FGは、像側に凹面を向けた負屈折力を有する平凹形状の第1レンズL1と、像側に凹面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズL2と、物体側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第3レンズL3と、フィルタF1と、を有する。後群RGは、像側に凸面を向けた正屈折力を有する平凸形状の第4レンズL4と、両凸正レンズL51と、像側に凸面を向けた負屈折力を有するメニスカス形状のレンズL52と、カバーガラスF2と、CMOSのカバーガラスCGと、を有する。開口絞りSは、前群FGと後群RGとの間に配置される。カバーガラスCGの像側に像面Iが存在する。
【0078】
レンズL51とレンズL52とは接合されて正屈折力の接合レンズである第5レンズL5を形成する。
【0079】
なお、平行平板であるフィルタF1、F2の表面に、赤外光を制限する波長域制限コートを施しても良い。また、カバーガラスCGの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。d16は接着層である。
【0080】
図8(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ実施例7の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
【0081】
以下に、上記各実施例の数値データを示す。記号は、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面間の間隔、neは各レンズのe線の屈折率、νdは各レンズのアッベ数、FnoはFナンバー、である。また、絞りは、開口絞りである。
【0082】
数値実施例1
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.8097 1.88815 40.76
2 1.3742 1.3649
3 -6.8061 1.0873 1.93429 18.90
4 -9.4365 0.1851
5 26.3684 0.9716 1.97189 17.47
6 ∞ 0.0694
7 ∞ 0.6940 1.54170 62.47
8 ∞ 0.8791
9(絞り) ∞ 0.1157
10 ∞ 0.9948 1.75453 35.33
11 -3.8565 1.3048
12 3.6228 1.9433 1.69979 55.53
13 -2.1769 0.8097 1.97189 17.47
14 -5.7836 1.1451
15 ∞ 1.1567 1.51825 64.14
16 ∞ 0.0231 1.51500 64.00
17 ∞ 0.8097 1.50700 63.26
18(像面) ∞

各種データ
焦点距離 1.00mm
Fno 3.669
半画角 79.6°
物点距離 16.2mm
像高 0.992mm
【0083】
数値実施例2
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.8021 1.88815 40.76
2 1.3613 1.2375
3 -7.3070 1.0313 1.93429 18.90
4 -10.2940 0.1833
5 -7.4311 0.9625 1.85504 23.78
6 -7.1919 0.1375
7 ∞ 0.6875 1.54170 62.47
8 ∞ 0.6072
9(絞り) ∞ 0.1146
10 ∞ 0.9854 1.75453 35.33
11 -3.4334 1.5790
12 4.5059 1.8562 1.73234 54.68
13 -2.0173 0.8021 1.97189 17.47
14 -5.2300 1.1843
15 ∞ 1.1459 1.51825 64.14
16 ∞ 0.0229 1.51500 64.00
17 ∞ 0.8021 1.50700 63.26
18(像面) ∞

各種データ
焦点距離 1.00mm
Fno 3.635
半画角 78.4°
物点距離 16.0mm
像高 1.006mm

【0084】
数値実施例3
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.7935 1.88815 40.76
2 1.3467 1.3376
3 -9.5135 1.0655 1.93429 18.90
4 -13.6027 0.1814
5 11.1267 0.9522 1.97189 17.47
6 ∞ 0.0680
7 ∞ 0.6801 1.54170 62.47
8 ∞ 0.8113
9(絞り) ∞ 0.1134
10 ∞ 0.9982 1.83932 37.16
11 -3.9644 1.2220
12 2.4505 1.8534 1.65425 58.55
13 -1.9783 0.7935 1.97189 17.47
14 -10.7905 0.3602
15 ∞ 1.1336 1.51825 64.14
16 ∞ 0.0227 1.51500 64.00
17 ∞ 0.7935 1.50700 63.26
18(像面) ∞

各種データ
焦点距離 1.00mm
Fno 3.460
半画角 77.6°
物点距離 15.9mm
像高 0. 973mm
【0085】
数値実施例4
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.7968 1.88815 40.76
2 1.3660 1.3433
3 -3.9859 0.9913 1.79196 47.37
4 -11.5793 0.1821
5 19.6966 0.9562 1.97189 17.47
6 ∞ 0.0683
7 ∞ 0.6830 1.54170 62.47
8 ∞ 1.1179
9(絞り) ∞ 0.1138
10 ∞ 0.9790 1.75453 35.33
11 -3.7957 1.2841
12 5.4168 1.7905 1.59143 61.14
13 -1.7501 0.7968 1.97189 17.47
14 -3.1895 2.4289
15 ∞ 1.1384 1.51825 64.14
16 ∞ 0.0228 1.51500 64.00
17 ∞ 0.7968 1.50700 63.26
18(像面) ∞

各種データ
焦点距離 1.00mm
Fno 3.673
半画角 78.7°
物点距離 15.9mm
像高 0.999mm
【0086】
数値実施例5
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.7961 1.88815 40.76
2 1.3647 1.1847
3 10.4500 1.0313 1.97189 17.47
4 4.0008 0.2729
5 20.6377 0.9771 1.93429 18.90
6 ∞ 0.0682
7 ∞ 0.6823 1.54170 62.47
8 ∞ 0.5231
9(絞り) ∞ 0.1137
10 ∞ 1.0649 1.85504 23.78
11 -3.7140 1.2259
12 5.1526 1.9365 1.77621 49.60
13 -1.8127 0.7961 1.97189 17.47
14 -4.8486 1.9366
15 ∞ 1.1372 1.51825 64.14
16 ∞ 0.0227 1.51500 64.00
17 ∞ 0.7961 1.50700 63.26
18(像面) ∞

各種データ
焦点距離 1.00mm
Fno 3.666
半画角 77.0°
物点距離 15.9mm
像高 0.998mm
【0087】
数値実施例6
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.8019 1.88815 40.76
2 1.4664 1.3289
3 -4.8117 0.9852 1.97189 17.47
4 -5.4990 0.2750
5 9.3942 0.9843 1.93429 18.90
6 ∞ 0.0687
7 ∞ 0.6874 1.54170 62.47
8 ∞ 0.5270
9(絞り) ∞ 0.1146
10 ∞ 1.0728 1.77621 49.60
11 -3.8037 0.5233
12 4.6841 1.9018 1.88815 40.76
13 -2.0621 0.8019 1.97189 17.47
14 -9.0955 0.5181
15 ∞ 1.1456 1.51825 64.14
16 ∞ 0.0229 1.51500 64.00
17 ∞ 0.8019 1.50700 63.26
18(像面) ∞

各種データ
焦点距離 1.00mm
Fno 3.626
半画角 77.0°
物点距離 16.0mm
像高 1.006mm
【0088】
数値実施例7
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.8173 1.88815 40.76
2 1.3823 0.8396
3 8.1160 1.0041 1.93429 18.90
4 6.7394 0.2335
5 23.3503 0.9807 1.97189 17.47
6 ∞ 0.0701
7 ∞ 0.7005 1.54170 62.47
8 ∞ 0.4203
9(絞り) ∞ 0.1168
10 ∞ 1.0508 1.88815 40.76
11 -2.8453 0.7916
12 3.3646 1.9147 1.75844 52.32
13 -2.0548 0.8173 1.97189 17.47
14 -11.2583 0.4048
15 ∞ 0.8173 1.51825 64.14
16 ∞ 0.0234 1.51500 64.00
17 ∞ 0.8173 1.50700 63.26
18(像面) ∞

各種データ
焦点距離 1.00mm
Fno 2.973
半画角 78.3°
物点距離 16.3mm
像高 1.002mm
【0089】
以下、各条件式の実施例対応値を示す。

条件式 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
(1)f3/f5 5.97 19.50 2.43 3.97
(2)|g2/g1| 1.72 1.88 1.24 2.47
(3)|g1/f| 1.74 1.64 2.14 1.37
(4)f2/f1 21.10 21.10 25.56 5.30
(5)f4/f 5.12 4.55 4.72 5.03

条件式 実施例5 実施例6 実施例7
(1)f3/f5 4.93 2.38 4.97
(2)|g2/g1| 2.52 0.82 1.37
(3)|g1/f| 1.14 3.10 1.58
(4)f2/f1 4.71 81.72 42.19
(5)f4/f 4.34 4.90 3.20
【0090】
各条件式の上限値、下限値の好ましい値を以下に示す。
条件式(1)に代えて、以下の条件式(1’)を満たすことが望ましい。
3.5<f3/f5<15 (1’)
さらに、条件式(1)に代えて、以下の条件式(1”)を満たすことが望ましい。
4.9<f3/f5<10 (1”)
条件式(2)に代えて、以下の条件式(2’)を満たすことが望ましい。
1.0<|g2/g1|<2.0 (2’)
さらに、条件式(2)に代えて、以下の条件式(2”)を満たすことが望ましい。
1.5<|g2/g1|<1.8 (2”)
条件式(3)に代えて、以下の条件式(3’)を満たすことが望ましい。
1.2<|g1/f|<3.2 (3’)
さらに、条件式(3)に代えて、以下の条件式(3”)を満たすことが望ましい。
1.5<|g1/f|<2.2 (3”)
条件式(4)に代えて、以下の条件式(4’)を満たすことが望ましい。
f2/f1<50 (4’)
さらに、条件式(4)に代えて、以下の条件式(4”)を満たすことが望ましい。
f2/f1<30 (4”)
条件式(5)に代えて、以下の条件式(5’)を満たすことが望ましい。
3.5<f4/f<5.5 (5’)
さらに、条件式(5)に代えて、以下の条件式(5”)を満たすことが望ましい。
4.3<f4/f<5.2 (5”)
【0091】
上述の対物光学系は、複数の構成を同時に満足してもよい。このようにすることが、良好な対物光学系を得る上で好ましい。また、好ましい構成の組み合わせは任意である。また、各条件式について、より限定した条件式の数値範囲の上限値あるいは下限値のみを限定しても構わない。
【0092】
(実施例8)
図9は、実施例8に係る3D観察用の対物光学系のレンズ断面図である。例えば、実施例8に係る対物光学系は、光軸Ax1を有する右眼用光学系と、光軸Ax2を有する左眼用光学系とを並列して配置した構成である。光軸Ax1と光軸Ax2の間隔を基線長と定義している。
【0093】
ここで、第5レンズL5は、円形形状のレンズの一部を直線的にカットした、所謂Dカットを行っている。3D観察用の対物光学系のピント調整は、左眼用光学系と右眼用光学系と、で独立に行う必要がある。本実施例では、一方の対物光学系は撮像素子(不図示)の位置を動かしてピント調整し、他方の対物光学系は第5レンズL5を移動してピント調整する。本実施例では、第5レンズL5の移動のために、第5レンズL5の前後に空間を持たせる構成である。
【0094】
また、本実施例では、左眼用光学系と右眼用光学系で第1レンズL1を共通化し、第1レンズL1で凹面の光線高を下げることで、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の基線長を短く確保できる。さらに、第5レンズL5(正の接合レンズ)の屈折力を小さくし、ピント調整時の収差性能の劣化を低減できる。
【0095】
図10は、実施例9に係る内視鏡10の概略構成を示す図である。内視鏡10は、電子内視鏡100と生体外装置200とから構成されている。電子内視鏡100は、スコープ部100aと接続コード部100bとを備えている。また、生体外装置200は、電源装置と、電子内視鏡100からの映像信号を処理するビデオプロセッサ(不図示)と、ビデオプロセッサからの映像信号をモニタ表示する表示ユニット204とを備えている。なお、スコープ部100aは、生体内装置に対応する。
【0096】
スコープ部100aは、操作部140と挿入部141に大別される。挿入部141は、細長で患者の体腔内へ挿入可能な可撓性を有する部材で構成されている。使用者(不図示)は、操作部140に設けられているアングルノブ等により、諸操作を行うことができる。
【0097】
また、操作部140からは、接続コード部100bが延設されている。接続コード部100bは、ユニバーサルコード150を備えている。ユニバーサルコード150は、コネクタ250を介して生体外装置200に接続されている。
【0098】
また、ユニバーサルコード150は、電源装置やビデオプロセッサからの電源電圧信号及びCMOS駆動信号等をスコープ部100aに通信すると共に、スコープ部100aからの映像信号をビデオプロセッサに通信する。なお、生体外装置200内のビデオプロセッサには、図示しないVTRデッキ、ビデオプリンタ等の周辺機器を接続可能である。ビデオプロセッサは、スコープ部100aからの映像信号に対して所定の信号処理を施して、表示ユニット204の表示画面上に内視鏡画像を表示できる。
【0099】
なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形例をとることができる。また、上記各実施例により示された形状枚数には必ずしも限定されない。また、上記各実施例において、カバーガラスは必ずしも配置しなくても良い。また、各レンズ間内又は各レンズ間外に、上記各実施例に図示されていないレンズであって実質的に屈折力を有さないレズを配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明は、ピント調整時のレンズ移動のストロークを確保しつつ、製造誤差による3D観察時の心ズレや光学性能の劣化の影響を抑制し、3D観察時は、左眼用対物光学系と右眼用対物光学系の基線長を短く設定できる対物光学系、撮像装置及び内視鏡に適している。
【符号の説明】
【0101】
Ax、Ax1、Ax2 光軸
L1―L5、L51,L52 レンズ
F1、F2 フィルタ(平行平板)
CG カバーガラス
I 像面
IMG 撮像素子
S 開口絞り
10 内視鏡
100 電子内視鏡
100a スコープ部
100b 接続コード部
140 操作部
141 挿入部
150 ユニバーサルコード
200 生体外装置
204 表示ユニット
250 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10