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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20240814BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240814BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q19/00
A61K8/73
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019224618
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021091643
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】山田 千晶
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048097(JP,A)
【文献】特開2017-200904(JP,A)
【文献】特開平04-305509(JP,A)
【文献】特開2005-120032(JP,A)
【文献】特開2019-023191(JP,A)
【文献】特開2017-014205(JP,A)
【文献】Advanced Medicated Whitening Essence,(ID#) 5293099,MIntel GNPD,2017年,<URL:https://www.portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全量に対して、0.01~0.2質量%のプルランと、1~2.5質量%のトラネキサム酸又はその塩を含有するTEWL改善用皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルランとトラネキサム酸又はその塩を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
角層のバリアー機能の評価は、皮膚からの水分蒸発量(経表皮水分喪失:TEWL)を指標として行われている(非特許文献1)。
トラネキサム酸は、保湿作用、美白作用等の作用を有することから化粧品の有効成分として用いられてきた(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、トラネキサム酸による角層バリアー機能改善効果が低いという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-109972号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】新化粧品ハンドブック、平成18年10月30日発行、505p
【文献】新化粧品ハンドブック、平成18年10月30日発行、118p
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トラネキサム酸又はその塩を含有する皮膚外用剤にプルランを配合することにより、TEWLが改善する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トラネキサム酸又はその塩とプルランを含有する皮膚外用剤を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚外用剤は、TEWL改善効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0010】
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品等のいずれの用途にも用いられ得る。
【0011】
トラネキサム酸又はその塩は、一般的に化粧料等に用いられているものであればよい。含有量として、皮膚外用剤全量に対し0.01~5質量%が好ましく、1~2.5質量%がより好ましく、2質量%が最も好ましい。
【0012】
本発明で使用するプルランは、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、好ましくは分子量が10万~0万のものを用いることが好ましい。プルランの市販品としては、「化粧品用プルラン」、「食品添加物プルラン」(以上、林原生物化学研究所社製)が挙げられる。
【0013】
本発明の皮膚外用剤100質量%中のプルランの含有量は、保湿効果とべたつきのない使用感の観点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下である。
【0014】
次に本発明の皮膚外用剤に配合し得る任意成分について記載する。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は、グリチルリチン酸,グリチルレチン酸,アズレン,サリチル酸,アラントイン,それらの誘導体及びそれらの塩から選択される1種又は2種以上の抗炎症剤を含有することができる。
【0016】
グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等が挙げられる。この中でもグリチルリチン酸ジカリウムを用いることが好ましい。市販品としては、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム(以上、アルプス薬品工業社製)、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム(以上、丸善製薬社製)、グリチルリチン酸ジカリウム「コウキ」、グリチルリチン酸モノアンモニウム「コウキ」(以上、宏輝社製)等が挙げられる。
【0017】
グリチルリチン酸、その誘導体及びそれらの塩を配合する場合、その配合量は皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%以上が好ましい。また、2質量%以下が好ましく、洗い流すものには0.8質量%以下、洗い流さないものには0.5質量%以下がより好ましい。
【0018】
グリチルレチン酸、その誘導体及びそれらの塩としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリン等が挙げられる。この中でもグリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリルを用いることが好ましい。市販品としては、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル(以上、アルプス薬品工業社製)、グリチルレチン酸、シーオーグレチノール(登録商標)(以上、丸善製薬社製)、アグリチノン、アグリチノンステアリル(以上、常盤植物化学研究所社製)、グリチルレチン酸「コウキ」、グリチルレチン酸ステアリル「コウキ」(以上、宏輝社製)等が挙げられる。
【0019】
グリチルレチン酸、その誘導体及びそれらの塩を配合する場合、その配合量は皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%以上が好ましい。また、2質量%以下が好ましく、洗い流すものには0.8質量%以下、洗い流さないものには0.5質量%以下がより好ましい。
【0020】
アズレン、その誘導体及びそれらの塩としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、アズレン、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸エチル、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、カマズレン等が挙げられる。この中でもグアイアズレンスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましい。市販品としては、グアイアズレン、水溶性アズレン(以上、甲南化工社製)等が挙げられる。
【0021】
アズレン、その誘導体及びそれらの塩を配合する場合、その配合量は皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%以上が好ましい。また、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
【0022】
サリチル酸、その誘導体及びそれらの塩としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸エチルへキシル等が挙げられる。これらの中でもサリチル酸エチルへキシル、サリチル酸ナトリウムを用いることが好ましい。市販品としては、SALICYLIC ACID(Solvay社製)、サリチル酸メチル(エーピーアイコーポレーション社製)、サリチルサンナトリウム(吉富ファインケミカル社製)、サリチル酸エスカロール587(アシュランド・ジャパン社製)、パルソール EHS(DSM社製)等が挙げられる。
【0023】
サリチル酸、その誘導体及びそれらの塩を配合する場合、その配合量は皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%以上が好ましい。また、1質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。
【0024】
アラントイン、その誘導体及びそれらの塩としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム等が挙げられる。この中でもアラントインを用いることが好ましい。市販品としては、アラントイン(アシュランド・ジャパン社製)、アラントイン、ALCA(以上、川研ファインケミカル社製)、RonaCare(登録商標) Allantoin(Meeck 社製)等が挙げられる。
【0025】
アラントイン、その誘導体及びそれらの塩を配合する場合、その配合量は皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%以上が好ましい。また、1質量%以下が好ましく、洗い流すものには0.5質量%以下、洗い流さないものには0.3質量%以下がより好ましい。
【0026】
本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、ハイドロキノン、その誘導体及びそれらの塩、ニコチン酸、その誘導体及びそれらの塩から選択される1種又は2種以上の美白剤を含有することができる。
【0027】
アスコルビン酸、その誘導体及びそれらの塩としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、アスコルビン酸としては、L-アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体としては、L-アスコルビン酸グルコシド、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステル、L-アスコルビン酸-3-リン酸エステル、L-アスコルビン酸-6-リン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-ポリリン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステル等のL-アスコルビン酸モノエステル類、L-アスコルビン酸-2-パルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-6-パルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-ステアリン酸エステル、L-アスコルビン酸-6-ステアリン酸エステル等のL-アスコルビン酸モノアルキルエステル類、 L-アスコルビン酸-2,6-ジブチルエステル、及びL-アスコルビン酸-2,6-ジパルミチン酸エステル等のL-アスコルビン酸ジアルキルエステル類、L-アスコルビン酸トリステアレート、L-アスコルビン酸トリオレエート、L-アスコルビン酸トリパルミテート等のL-アスコルビン酸トリアルキルエステル類、L-アスコルビン酸トリリン酸エステル等のL-アスコルビン酸トリエステル類、L-アスコルビルテトライソパルミテート等のL-アスコルビン酸テトラアルキルエステル類、アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、及びトリイソプロパノールアミン塩等が挙げられる。この中でもアスコルビン酸2-グルコシド、リン酸アスコルビルマグネシウムを用いることが好ましい。市販品としては、AA2G(林原生物化学研究所社製)、シーメート(BASFジャパン社製)、NIKKOL VC-PMG(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0028】
ハイドロキノン、その誘導体及びそれらの塩としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、ハイドロキノン配糖体が好適に例示される。ハイドロキノン配糖体の糖鎖部分としては、L-アラビノース、D-キシロース、D-リボース、D-キシルロース、D-リキソース、D-リブロース等の五炭糖、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-タガロース、D-フルクトース、L-ソルボース等の六単糖、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、ムラミン酸等のアミノ酸糖等が例示される。また、ハイドロキノン誘導体及びそれらの塩としては、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸、D-マンヌロン酸、L-イズロン酸等のウロン酸又はそれらのメチル化合物、アセチル化合物等が例示される。また、それらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、及びトリイソプロパノールアミン塩等が挙げられる。ハイドロキノン誘導体のうち、ハイドロキノンとグルコースが結合した化学構造を有するアルブチン及び/又はその塩を用いることが好ましい。市販品としては、アルブチン(日本精化社製)、ARUBTIN(SK bioland社製)等が挙げられる。
【0029】
ニコチン酸、その誘導体及びそれらの塩としては、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、具体的には、ニコチン酸誘導体としては、ニコチン酸アミド、ニコチン酸エステルが挙げられ、エステルとしては、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸エチル等が例示される。これらの中でもニコチン酸アミドを用いることが好ましい。市販品としては、ナイアシンアミドUSP PC(ロンザジャパン社製)、ニコチン酸アミド(DSMニュートリションジャパン社製)等が挙げられる。
【0030】
本発明の皮膚外用剤は、上記の美白剤から選択される1種又は2種以上を含有することができる。
美白剤を配合する場合の配合量は、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。これによって、美白効果を得ることができる。また、美白剤の配合量は、皮膚外用剤全量に対し、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
例えば、美白剤を配合する場合の配合量は、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%~5質量%が好ましく、0.001質量%~3質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。
【0031】
本発明の皮膚外用剤は、金属酸化物微粒子や有機紫外線吸収剤を配合することにより、日焼け止め化粧料として使用することができる。
【0032】
金属酸化物微粒子としては特に限定されないが、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛から選択される1種又は2種を用いることが一般的である。金属酸化物微粒子は、そのまま本発明の皮膚外用剤に配合することも可能であるが、シリコーン油、エステル油、水性成分に予め分散させたものを用いることも可能である。また、金属酸化物微粒子を板状粉体の表面に被覆した粉体及びかかる粉体を表面改質剤で改質した粉体を用いることもできる。
【0033】
有機紫外線吸収剤の種類は特に限定されず、公知の有機紫外線吸収剤を制限無く使用できる。このような公知の有機紫外線吸収剤として、例えばパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル等のケイ皮酸誘導体;パラアミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する。)、エチルPABA、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA、グリセリルPABA等のPABA誘導体;ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、ジプロピレングリコールサリチラート、TEAサリチラート等のサリチル酸誘導体;ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12等のベンゾフェノン誘導体;3-ベンジリデンショウノウ、4-メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体;アニソトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4-ビス-〔{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル〕-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体;フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール誘導体;ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸メンチル等のアントラニル誘導体;ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等のイミダゾリン誘導体;ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート誘導体;1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン等の4,4-ジアリールブタジエン誘導体;オクトクリレン、2-〔4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。有機紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0034】
有機紫外線吸収剤を配合する場合の配合量は1~20質量%が好ましい。1質量%未満では充分な日焼け止め効果を得ることができず、20質量%を超えるとべたつきや、皮膚への一次刺激性が高まるなど、使用感に悪影響を及ぼす。
【0035】
本発明の皮膚外用剤は、中実球状ホウケイ酸塩粒子を含むことができる。
中実球状ホウケイ酸塩粒子の平均粒子径は、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が一層好ましい。また、中実球状ホウケイ酸塩粒子の平均粒子径は、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、13μm以下がさらに好ましい。例えば、中実球状ホウケイ酸塩粒子の平均粒子径は、べたつき軽減効果の観点から、好ましくは1~20μmであり、より好ましくは5~15μmであり、さらに好ましくは7~13μmである。なお、中実球状ホウケイ酸塩粒子の平均粒子径は、粉体粒子の形状に合わせ、顕微鏡法の原理により個数平均の平均粒子径として測定することができる。
【0036】
中実球状ホウケイ酸塩粒子において、ホウケイ酸塩は、Na、K等のアルカリ金属塩、Mg、Ca等アルカリ土類金属塩、Al塩、又はこれらの塩の組み合わせであってよい。好ましくは、ホウケイ酸Na、ホウケイ酸Ca、ホウケイ酸Al、ホウケイ酸(Ca/Na)、ホウケイ酸(Ca/Al)であり、より好ましくはホウケイ酸(Ca/Na)である。
中実球状ホウケイ酸塩粒子は、化粧品表示名称(INCI名称)としては、ホウケイ酸(Ca/Na)(CALCIUM SODIUM BOROSILICATE)、ホウケイ酸(Ca/Al)(CALCIUM ALUMINUM BOROSILICATE)等と表示されるが、本発明においてはいずれの表示名称の中実球状ホウケイ酸塩粒子を用いてもよく、ホウケイ酸(Ca/Na)を用いることがより好ましい。
【0037】
中実球状ホウケイ酸塩粒子を配合する場合、中実球状ホウケイ酸塩粒子の配合量は特に限定されないが、皮膚外用剤全量に対し、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。また、中実球状ホウケイ酸塩粒子の配合量は特に限定されないが、皮膚外用剤全量に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
例えば、中実球状ホウケイ酸塩粒子の配合量は、皮膚外用剤全量に対し、0.01~30質量%が好ましく、より好ましくは0.1~20質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%である。例えば、水媒体又は油媒体の剤型の皮膚外用剤では、中実球状ホウケイ酸塩粒子は、皮膚外用剤全量に対し0.01~10質量%がさらに好ましい。また、粉末状又は固形状の剤型の皮膚外用剤では、中実球状ホウケイ酸塩粒子は、皮膚外用剤全量に対し0.1~20質量%がさらに好ましい。
【0038】
中実球状ホウケイ酸塩粒子は未処理のものを用いてもよいし、親水化処理、又は疎水化処理を施したものを用いてもよい。
【0039】
本発明の皮膚外用剤には、酸化亜鉛被覆球状粉体を配合することができる。酸化亜鉛被覆球状粉体は、皮脂固化能を有し、化粧持ち向上効果が期待できる。
【0040】
酸化亜鉛被覆球状粉体に用いられる球状粉体は、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)クロスポリマー、アルケニルコハク酸デンプンエステル金属塩、球状ホウケイ酸塩粉体から選択される1種又は2種以上を用いることが、その化粧持ち向上効果の点から好ましい。
【0041】
酸化亜鉛被覆球状粉体に用いられる酸化亜鉛は、固形粉体化粧料に配合し得るものであれば特に限定されない。酸化亜鉛の形状は特に限定されない。酸化亜鉛の平均粉体径は、皮脂固化能の観点より、10~200nmが好ましく、15~100nmがより好ましく、さらには15~50nmが一層好ましい。
【0042】
酸化亜鉛被覆球状粉体は、例えば球状粉体に酸化亜鉛を被覆することによって得ることができる。
酸化亜鉛は未処理の酸化亜鉛をそのまま用いることもできるが、疎水化処理を施した酸化亜鉛を用いることが好ましい。疎水化処理剤としては特に限定されるものではなく、ジメチコン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、金属石鹸等が例示される。これらの疎水化処理剤の中でも、ジメチコンを用いることが好ましい。疎水化処理剤の被覆量は酸化亜鉛を疎水化処理するのに十分な量であればよい。具体的には酸化亜鉛と疎水化処理剤の質量比が85:15~99:1が好ましく、さらには90:10~98:2が好ましい。
【0043】
本発明の皮膚外用剤に用いられる酸化亜鉛被覆球状粉体において、球状粉体1質量部に対し、酸化亜鉛の被覆量は0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましい。また、球状粉体1質量部に対し、酸化亜鉛の被覆量は2質量部以下が好ましく、1.5質量部以下がより好ましい。この範囲で、皮脂固化能をより高めて、皮脂崩れをより防止することができる。
球状粉体1質量部に対し、酸化亜鉛の被覆量は0.01~2質量部が好ましく、0.05~1.5質量部がより好ましい。
【0044】
球状粉体への酸化亜鉛の被覆方法としては、これまで知られた各種方法を用いることができ、例えば、物理化学的な混合摩砕法(乾式、湿式)、化学的な沈着法等を用いることができる。酸化亜鉛被覆球状粉体の皮脂固化能の点から、乾式の混合摩砕法を好ましく用いることができる。
【0045】
酸化亜鉛被覆球状粉体の市販品としては、プルセア ASOZ-20、プルセア OPZ-NV、プルセア CBZ-NV(以上、鈴木油脂工業社製)等が挙げられる。
【0046】
本発明の皮膚外用剤は、上述の成分の他に、通常の化粧料、医薬部外品に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、抗酸化剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0047】
本発明の皮膚外用剤の剤型は、特に限定されず、水系、油系、乳化型、粉体型等いずれの剤型でもよい。
【0048】
本発明の皮膚外用剤は定法により調製することができる。
【0049】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏、粉体型の剤型で用いることができる。
【実施例
【0050】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0051】
[TEWL試験]
・前腕内側部をあらかじめ決められた石鹸を用いて洗浄し、前腕の水分をふき取る。
・21±0.5℃、相対湿度50±5%の環境下で15分安静にし馴化する。
・左前腕に3箇所3.0cm×3.0cmの領域を記し、表1に記載の実施例若しくは比較例を合計6.75mg塗布して、塗布後1時間後の水分蒸散量を測定し、塗布前からの変化率を算出した。測定はキーストンサイエンティック社製TEWL測定器(SWL4081)を用いた。
なお、被験者3名は、試験前1週間前腕内側部に化粧料を使用しないよう指導のもと試験を行い、各測定領域につき2回測定した平均値を測定値とした。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示した通り、トラネキサム酸単独では、TEWL改善効果が認められないが、プルランを添加することにより、TEWLの劇的な改善が認められた。
【0054】
表2に肌荒れ対策クリーム、表3に美白乳液、表4に油中水型乳化日焼け止め化粧料、表5に水中油乳化型日焼け止め化粧料の処方を記載した。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】