(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)を含む発泡材
(51)【国際特許分類】
C08J 9/10 20060101AFI20240814BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240814BHJP
B29C 44/36 20060101ALI20240814BHJP
C08L 81/02 20060101ALI20240814BHJP
C08L 101/12 20060101ALI20240814BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C08J9/10 CEZ
B29C44/00 C
B29C44/00 D
B29C44/00 E
B29C44/00 G
B29C44/36
C08L81/02
C08L101/12
C09K3/00 111B
(21)【出願番号】P 2019552877
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2018058264
(87)【国際公開番号】W WO2018178323
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-09
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラクリシュナン, ヴィジェイ
(72)【発明者】
【氏名】リッチ, ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ナン
(72)【発明者】
【氏名】クワン, カーミット エス.
【合議体】
【審判長】植前 充司
【審判官】加藤 友也
【審判官】磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-18965(JP,A)
【文献】特開2013-60508(JP,A)
【文献】特開2004-193117(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103059413号明細書(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/10
B29C44/00-44/36
C08L81/02
C08L101/12
C09K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物(C)を含む発泡材(FP)であって、前記ポリマー組成物(C)が:
-少なくとも70重量%の少なくとも1種のポリフェニレンスルフィド(PPS)ポリマーと、
-少なくとも10重量%の少なくとも1種の官能化エラストマーと、
-0.01~5重量%の少なくとも1種の成核剤と
を含み、
前記重量%が、(C)の総重量を基準とし、
前記少なくとも1種の成核剤が、カーボンブラックを含
み、
前記少なくとも1種の官能化エラストマーが、エチレンとグリシジル(メタ)アクリレートとのコポリマー;エチレンとアクリル酸エステルとグリシジル(メタ)アクリレートとのターポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとのコポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとメタクリル酸グリシジルとのターポリマー;エチレン-無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸でグラフト化したエチレン-プロピレン-ゴム(EPR-g-MAH);無水マレイン酸でグラフト化したエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM-g-MAH)及びそれらの混合物からなる群から選択される、
発泡材(FP)。
【請求項2】
前記PPSポリマーの繰り返し単位の少なくとも50モル%が、式(L)(モル%は、前記PPSポリマー中の総モル数に基づいている):
[式中、
-各Rは、ハロゲン原子、C
1~C
12アルキル基、C
7~C
24アルキルアリール基、C
7~C
24アラルキル基、C
6~C
24アリーレン基、C
1~C
12アルコキシ基、及びC
6~C
18アリールオキシ基からなる群から独立して選択され、
-iは、0~4の整数である]
の繰り返し単位(R
PPS)である、請求項1に記載の発泡材。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が、少なくとも1種のフィラー(F)をさらに含む、請求項1
又は2に記載の発泡材。
【請求項4】
ASTM D1622に従って測定した200~1,200kg/m
3の密度を有する、請求項1~
3のいずれか1項に記載の発泡材。
【請求項5】
物品(A)であって、請求項1~
4のいずれか1項に記載の発泡材(FP)を含む少なくとも一部分を含む物品(A)。
【請求項6】
前記物品が、飛行機のキャビンインテリア構成要素、医療機器、防熱材又は防音材及び携帯用電子機器からなる群から選択される、請求項
5に記載の物品(A)。
【請求項7】
発泡材(FP)の製造方法であって、前記方法が:
-発泡性ポリマー組成物(FC)を調製する工程であって、前記発泡性ポリマー組成物(FC)が:
-少なくとも70重量%の少なくとも1種のポリフェニレンスルフィド(PPS)ポリマーと、
-少なくとも10重量%の少なくとも1種の
官能化エラストマーと、
-0.01~10重量%の少なくとも1種の発泡剤と、
-0.01~5重量%の少なくとも1種の成核剤と
を含み、
前記重量%が、(FC)の総重量を基準とする工程と、
-圧力セル法、オートクレーブ法、押出法、直接射出法、ブロー成形法及びビーズ発泡からなる群から選択される方法を用いる前記発泡性ポリマー組成物(FC)を発泡させる工程と
を備え、
前記少なくとも1種の成核剤が、カーボンブラックを含
み、
前記少なくとも1種の官能化エラストマーが、エチレンとグリシジル(メタ)アクリレートとのコポリマー;エチレンとアクリル酸エステルとグリシジル(メタ)アクリレートとのターポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとのコポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとメタクリル酸グリシジルとのターポリマー;エチレン-無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸でグラフト化したエチレン-プロピレン-ゴム(EPR-g-MAH);無水マレイン酸でグラフト化したエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM-g-MAH)及びそれらの混合物からなる群から選択される、
方法。
【請求項8】
前記発泡剤が、式(T-1)、(T-2)、(T-3)及び(T-4):
[式中、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル及びアリール基からなる群から選択され、
R
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキレン、アルケニル、アルケニルアリール及びアルケニルアラルキレン基からなる群から選択され、任意選択的に置換され、
R
1’及びR
2’は、結合及び任意選択的に1個若しくは複数個のヘテロ原子を含む二価基からなる群から独立して選択され、
nは、2又は3の整数であり、
Mは、バリウム、カルシウム、亜鉛、鉛及びアルミニウムからなる群から選択される金属カチオンである]
からなる群から選択されるテトラゾール化合物を含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が、高密度ポリエチレン(HDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、鎖状均一性エチレン/α-オレフィンコポリマー及び長鎖分岐を有する均一性エチレン/α-オレフィンコポリマーからなる群から選択されるオレフィンポリマーをさらに含む、請求項
7又は
8に記載の方法。
【請求項10】
発泡性ポリマー組成物(FC)であって:
-少なくとも70重量%の少なくとも1種のポリフェニレンスルフィド(PPS)ポリマーと、
-少なくとも10重量%の少なくとも1種の
官能化エラストマーと、
-0.01~10重量%の少なくとも1種の発泡剤と、
-0.01~5重量%の少なくとも1種の成核剤と
を含み、
前記重量%が、(FC)の総重量を基準とし、
前記少なくとも1種の成核剤が、カーボンブラックを含
み、
前記少なくとも1種の官能化エラストマーが、エチレンとグリシジル(メタ)アクリレートとのコポリマー;エチレンとアクリル酸エステルとグリシジル(メタ)アクリレートとのターポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとのコポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとメタクリル酸グリシジルとのターポリマー;エチレン-無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸でグラフト化したエチレン-プロピレン-ゴム(EPR-g-MAH);無水マレイン酸でグラフト化したエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM-g-MAH)及びそれらの混合物からなる群から選択される、
発泡性ポリマー組成物(FC)。
【請求項11】
さらに:
-紫外線吸収剤、安定剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤(AD)及び/又は
-高密度ポリエチレン(HDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、鎖状均一性エチレン/α-オレフィンコポリマー及び長鎖分岐を有する均一性エチレン/α-オレフィンコポリマーからなる群から選択されるオレフィンポリマー
を含む、請求項
10に記載の発泡性ポリマー組成物(FC)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月31日出願の米国仮特許出願第62/479625号及び2017年5月3日出願の欧州特許出願第17169261.9号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願のそれぞれの全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、少なくとも1種のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)と少なくとも1種のエラストマー(E)とを含むポリマー組成物(C)を含む発泡材(FP)に関する。本発明はまた、前記発泡材の製造方法、及び前記発泡材(FP)を含む物品(A)にも関する。
【背景技術】
【0003】
ポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)は、優れた機械物性を有する高性能エンジニアリングポリマーである。しかし、PPSは、剛直な主鎖及び高い結晶化度を有し、そのことが、特に発泡材を調製する多くの用途においてその使用をかなり制限する。
【0004】
しかし、発泡材が、例えば容易に賦形でき、且つそれらの特性を長期間、高温で保持できる、改善された機械物性(例えば熱安定性及び寸法安定性)を有する発泡材に対する継続的な必要性がある。
【0005】
本願出願人は、上述の要件を解消し、輸送材料、絶縁材及び建築材料などの様々な軽量用途で使用されている、PPSを含む発泡性ポリマー組成物を特定している。
【0006】
本発明の発泡性ポリマー組成物は、少なくとも2つの必須成分、即ちPPSポリマーと官能化エラストマーとの組み合わせをベースとする。そのような組成物により、エラストマーを全く含有しない組成物から取得した発泡材と比較して高い曲げひずみ及び引張破壊ひずみを有するだけでなく、かなり低下した密度を有する発泡材の調製が可能となる。
【0007】
米国特許第5,114,983号明細書は、PPS構造発泡体に関するが、エラストマーの存在をどのようにも記載していない。
【0008】
特開2013-118287号公報は、ガラス基板用のカセットであって、そのうちの一部分がポリアリーレンスルフィド樹脂発泡体からなるガラス基板用のカセットに関する。
【0009】
特開2013-067735号明細書は、ポリアリーレンスルフィド樹脂用の起泡剤に関する。
【0010】
しかし、これらの日本特許文献のどれにも、本開示による官能化エラストマーを、密度を低下させるために、又はそれから得られる発泡材の曲げひずみ及び引張破壊ひずみを改善するために、使用することが記載されていない。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第一態様は、ポリマー組成物(C)を含む発泡材(FP)であって、そのポリマー組成物(C)が:
-少なくとも1種のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)と、
-1~40重量%の少なくとも1種のエラストマーと、
その重量%が、(C)の総重量を基準とする発泡材(FP)に関する。
【0012】
本発明の本態様によれば、PPSは、PPSポリマーの繰り返し単位の少なくとも50モル%が式(L)(モル%は、PPSポリマー中の総モル数に基づいている):
[式中、
-各Rは、ハロゲン原子、C
1~C
12アルキル基、C
7~C
24アルキルアリール基、C
7~C
24アラルキル基、C
6~C
24アリーレン基、C
1~C
12アルコキシ基、及びC
6~C
18アリールオキシ基からなる群から独立して選択され、
-iは、0~4の整数である]
の繰り返し単位(R
PPS)であるポリマーとして定義され得る。
【0013】
このような発泡材は、例えば、ASTM D1622に従って測定した200~1,200kg/m3の密度を有することが可能である。
【0014】
本発明の別の態様は、発泡材(FP)を少なくとも一部含む物品(A)、例えば複合材に関する。これらの物品は、例えば、飛行機のキャビンインテリア構成要素、医療機器、防熱材又は防音材及び携帯用電子機器からなる群から選択してよい。
【0015】
本発明の別の態様は、発泡材(FP)の製造方法に関し、前記方法は:
-発泡組成物成分に加えて、0.01~10重量%の少なくとも1種の発泡剤を含む発泡性ポリマー組成物(FC)を調製する工程と、
-圧力セル法、オートクレーブ法、押出法、直接射出法、ブロー成形法及びビーズ発泡からなる群から選択される方法を用いる発泡性ポリマー組成物(FC)を発泡する工程と
を備える。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ポリマー組成物(C)を含む発泡材(FP)であって、そのポリマー組成物(C)が:
-少なくとも1種のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)と、
-1~40重量%の少なくとも1種のエラストマー(E)と
を含み、
重量%が、(C)の総重量を基準とする発泡材(FP)に関する。
【0017】
PPSポリマーと官能化エラストマーと、任意選択的に成核剤との組み合わせは、エラストマーを全く含有しない組成物から取得した発泡材と比較すると、かなり低下した密度を有する発泡材を生成することが判明されている。そのような発泡材は、上述の官能化エラストマーを含まない組成物から調製された同じ発泡材と比較すると、改善された機械物性、特に、高い曲げひずみ及び高い引張破壊ひずみをさらに呈する。
【0018】
特に明記しない限り、本発明との関連で、組成物中の成分の量は、100を乗じた、成分の重量と組成物の総重量との比(重量%又は重量における%)として示される。
【0019】
本発明との関連で、用語「発泡体」は、当業者に一般的に知られている意味で使用される。IUPAC. Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the “Gold Book” Compiled by A. D. McNaught and A. Wilkinson. Blackwell Scientific Publications, Oxford 1997, XML on-line corrected version: http://goldbook.iupac.org (2006-) created by M. Nic, J. Jirat, B. Kosata; updates compiled by A. Jenkins.ISBN 0-9678550-9-8. doi:10.1351/goldbook)を参照のこと。用語「発泡体」は、ガスの体積で大部分が気泡の形態で、液体、固体又はゲル中に分散する分散体を示す。気泡の直径は、通常、1μmより大きいが、気泡間のラメラの厚さは、通常のコロイドの大きさの範囲であることが多い。
【0020】
非制限の例として、本発明による発泡体の体積の少なくとも20%は、組成物の総容量を基準として例えば少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%又は少なくとも40%、ガスで占めることができる。
【0021】
本発明の発泡材は、PPSポリマーと官能化エラストマー、任意選択的に成核剤の組み合わせを含むポリマー組成物(C)を含む。
【0022】
ポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)
ポリマー組成物(C)はポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)を含む。
【0023】
本発明によれば、「ポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)」は、その繰り返し単位の少なくとも約50モル%が式(L)(本明細書では、モル%はPPSポリマー中の総モル数に基づく):
[式中、
-各Rは、水素原子、ハロゲン原子、C
1~C
12アルキル基、C
7~C
24アルキルアリール基、C
7~C
24アラルキル、C
6~C
24アリーレン基、C
1~C
12アルコキシ基、及びC
6~C
18アリールオキシ基からなる群から独立して選択され、
-iは、0~4の整数である]
の繰り返し単位(R
PPS)である任意のポリマーを意味する。
【0024】
最も広く解釈した定義において、本発明のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)は、置換及び/又は未置換のフェニレンスルフィド基からなることができる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、ポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)は、そのうちの繰り返し単位の少なくとも50モル%が式(L’):
の繰り返し単位(R
PPS)であり、式中、R
1は水素原子である、任意のポリマーを意味する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、そのポリフェニレンスルフィドポリマーは、PPS中の繰り返し単位の約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも約99モル%が、式(L)又は(L’)の繰り返し単位(RPPS)であるようなポリマーである。
【0027】
モル%は、PPS中の総モル数に基づく。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、PPSポリマーは、繰り返し単位の約100モル%が、式(L)又は(L’)の繰り返し単位(RPPS)であるようなポリマーである。この実施形態によれば、PPSポリマーは、本質的に式(L)又は(L’)の繰り返し単位(RPPS)からなる。
【0029】
PPSは、特にSolvay Specialty Polymers USA,LLC.により製造され、商品名Ryton(登録商標)PPSで販売されている。
【0030】
本発明によれば、(ASTM D1238手順Bに従って5Kgの重量下で316℃での)PPSのメルトフローレートは、50~400g/10分、例えば60~300g/10分又は70~200g/10分であり得る。
【0031】
一実施形態によれば、(ASTM D1238手順Bに従って5Kgの重量下で316℃での)PPSのメルトフローレートは、50~200g/10分、例えば60~150g/10分又は70~130g/10分である。
【0032】
別の実施形態によれば、(ASTM D1238手順Bに従って5Kgの重量下で316℃での)PPSのメルトフローレートは、100~300g/10分、例えば120~250g/10分又は140~230g/10分である。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として少なくとも50重量%のPPSを含む。例えば、ポリマー組成物は、少なくとも55重量%のPPS、少なくとも60重量%のPPS、少なくとも65重量%のPPS、又は少なくとも70重量%のPPSを含む。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として99重量%未満のPPSを含む。例えば、ポリマー組成物は、98重量%未満のPPS、95重量%未満のPPS、90重量%未満のPPS、又は85重量%未満のPPSを含む。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として50~98重量%のPPSを含む。例えば、ポリマー組成物は、52~96重量%のPPS、54~94重量%のPPS、56~92重量%のPPS、又は58~91重量%のPPSを含む。
【0036】
エラストマー(E)
本発明の組成物(C)は、1~40重量%の少なくとも1種の官能化エラストマーを含む。
【0037】
本発明との関係において、「エラストマー」は、低いガラス転移温度(Tg)、すなわち25℃未満、0℃未満、更には-25℃未満のガラス転移温度を示すポリマー材料として定義される。
【0038】
本発明による官能化エラストマー(E)は、オリゴマー又はポリマー化合物であってよく、官能基を有する。官能基は、エラストマー主鎖の重合中に官能性モノマーを共重合することにより、又は予備形成したポリマー主鎖をグラフト化することにより、組み込むことができる。官能基は、例えば、エポキシ基、無水物基、オキサゾリン基、マレイミド基又はそれらの混合物であってよい。
【0039】
本発明の官能化エラストマー(E)は、一般的に、以下のモノマー:エチレン;プロピレン、ブテン、オクテンなどの高次アルファオレフィン;ブタジエン及びイソプレンなどのジエン;アクリレート、スチレン、アクリロニトリル;(メタ)アクリル酸及びエステルなどのそれらの誘導体;酢酸ビニルなどのビニルモノマー、及びその他のビニルエステルのうちの少なくとも1種から誘導される繰り返し単位を含む。他のモノマーが、エラストマー(E)の構造に同様に含まれてもよい。
【0040】
エラストマー(E)のポリマー主鎖は、ポリエチレン及びそれらのコポリマー、例えばエチレンブテン;エチレン-オクテン;ポリプロピレン及びそれらのコポリマー;ポリブテン;ポリイソプレン;エチレン-プロピレン-ゴム(EPR);エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM);エチレン-アクリレートゴム;ブタジエン-アクリロニトリルゴム、エチレン-アクリル酸(EAA)、エチレン-ビニルアセテート(EVA);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム(ABS)、ブロックコポリマースチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS);ブロックコポリマースチレンブタジエンスチレン(SBS);メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)タイプのコアシェルエラストマー、又は上述の1種又は複数種の混合物からなるエラストマー主鎖の群から選択できる。
【0041】
本発明による官能化非芳香族系エラストマーの特定の例は、特には、エチレン、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸グリシジルのターポリマー;エチレンとアクリル酸ブチルエステルとのコポリマー;エチレンとアクリル酸ブチルエステルとメタクリル酸グリシジルとのコポリマー;エチレン-無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸でグラフト化したEPR;無水マレイン酸でグラフト化したEPDM(EPDM-g-MAH);又は上記のうちの1種若しくは複数種の混合物である。市販されている、本発明による官能化脂肪族エラストマーの例は、Exxon MobilからのExxelor(登録商標)ポリマー樹脂(例えば、Exxelor(登録商標)VA 1801)、ArkemaからのLotader(登録商標)ポリマー樹脂(例えばLotader(登録商標)AX8840)及びDupontからのElvaloyl(登録商標)ポリマー樹脂である。エチレン-オクテンからなる市販のエラストマー主鎖の特定の例は、DowからのEngage(登録商標)ポリマー樹脂である。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、エラストマーの官能化は、無水マレイン酸の官能化によるものである。官能化非芳香族エラストマーの例は、無水マレイン酸でグラフト化したEPDM(EPDM-g-MAH)であり得る。
【0043】
この定義によるエラストマーの定義では、アイオノマーも含む。アイオノマーは、スルホン酸基、カルボン酸基、アンモニウム基などの永久帯電した基を含有する有機ポリマーである。
【0044】
アイオノマーは、当業者に既知の任意の手段、特にエチレン酸コポリマーを1種又は複数種の金属イオンで中和することにより、生成できる。エチレン酸コポリマーは、エチレンから誘導された繰り返し単位と、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリン酸、又はそれらの2種以上の組み合わせなどのコモノマーをエチレンコポリマーの総重量に基づいて約1~約50重量%とを含むことができるポリマーである。アイオノマーは、当業者には公知である。参照により本明細書に援用される、米国特許第3,264,272号明細書を参照することができる。
【0045】
エラストマーは、組成物(C)の中に、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として1重量%超、2重量%超、3重量%超、又は5重量%超の総量で存在していてもよい。
【0046】
エラストマーは、ポリマー組成物(C)の総重量に基づいて、38重量%未満、36重量%未満、34重量%未満、32重量%未満、30重量%未満、28重量%未満、26重量%未満又は24重量%未満の総量で組成物(C)中に存在していてよい。
【0047】
一実施形態によれば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として1~39重量%のエラストマーを含む。例えば、ポリマー組成物は、4~35重量%のエラストマー、6~31重量%のエラストマー、7~29重量%のエラストマー、又は8~27重量%のエラストマーを含む。
【0048】
任意選択の成核剤(NA)
本発明の組成物(C)は、少なくとも1種の成核剤を0.01~5重量%含んでもよい。
【0049】
本発明との関係においては、「成核剤」は、気泡形成部位を提供することにより、発泡構造を制御するのを助力する成分として定義される。本発明の成核剤は、そこから得られる組成物又は発泡材の他の特性に影響を与えることもある。例えば、それらは、波長選択的な吸収の結果として反射した又は透過した光の色を変化させることによりポリマー組成物の選択された外観を得るために添加されることもある。成核剤は、力学的補強も付与できる。実際、本発明の成核剤のうちのいくつかは、成核剤としてとして作用し発泡構造をつくりだし制御するのを助力するだけでなく、顔料として作用し、それにより発泡材の色若しくは最終側面を変える及び/又は補強剤として作用し、例えば成核剤を含有する発泡材若しくは複合材に、向上した機械物性をもたらすこととなる。
【0050】
5重量%までの含有量でポリマー組成物中に存在する、本明細書で成核剤と呼ばれる成分は、主に成核剤として作用し、付随的に及び任意選択的に、着色、顔料着色及び補強などの他の機能を発泡材にもたらすこととなると思われている。5重量%を超えると、前記成分が、特に基本的な薬剤のサイズ及び組成物中に存在する全含有量によって、フィラーとして作用することもあると思われている。
【0051】
いくつかの実施形態においては、ポリマー組成物(C)は、1種又は複数種の成核剤を含む。
【0052】
成核剤の例は、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維、珪灰石、タルク、雲母、粘土、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、シリカ、シリケート、カオリン、チョーク、アルミナ、アルミネート、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、リン酸コバルト、チタン酸コバルト、スルホセレン化カドミウム、セレン化カドミウム、銅フタロシアニン、ウルトラマリン、ウルトラマリンバイオレット、亜鉛フェライト、マグネシウムフェライト、及び酸化鉄である。
【0053】
好ましい成核剤は、ガラス繊維、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、シリケート、窒化ホウ素、二酸化チタン、カーボンブラック、及びそれらの混合物である。
【0054】
一実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、カーボンブラックである少なくとも1種の成核剤を0.01~5重量%含む。カーボンブラックは、物理的及び化学的特性が様々である。物理的には、カーボンブラックは、平均粒径、粒径分布、比表面積、表面の多孔度及び鎖状構造に会合する個々の主な粒子の性向により変わる。化学的には、カーボンブラックは、それらの表面と結合する酸化した構造の種族及び本質(population and nature)により変わる。
【0055】
本発明の組成物(C)で用いるカーボンブラックは、200nm未満、例えば、150nm未満又は100nm未満の粒径を有してよい。カーボンブラック粒子の粒径は、例えば10nm~100nm、例えば10nm~50nmの範囲であってよい。カーボンブラックは、ASTM D-1765において分類される。
【0056】
別の実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、ASTM D-1765に従って求めた10nm~100nm、例えば10nm~50nmの範囲の粒径を有するカーボンブラックを(組成物の総重量に基づいて)0.01~5重量%含む。例えば、組成物(C)は、上述のカーボンブラックを、組成物(C)の総重量に基づいて、0.05~4重量%、0.1~3重量%又は0.2~2重量%含む。
【0057】
別の実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、二酸化チタンである少なくとも1種の成核剤を0.01~5重量%含む。
【0058】
任意選択のフィラー(F)
本発明の組成物(C)は、少なくとも1種のフィラー(F)を40重量%まで含んでもよい。
【0059】
定義によると、材料を増量してそのコストを削減するために、フィラーを使用する。フィラーは、最終の充填した発泡材又は複合材の機械物性を修正できる。フィラーは、発泡材の主要部分か主要でない部分かのどちらかを構成できる。フィラー粒子の構造は、球体、六角プレート、又は短繊維などの精確な幾何学形態から不規則な塊までの範囲である。フィラーは、材料を付随的に色付けできるが、一般的に非装飾用として使われる。フィラーは、補強も付与でき、大部分のフィラーは、補強効果を有する。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、少なくとも1種のフィラー(F)を40重量%まで含む。選択したフィラー(F)が選択した成核剤(NA)と同じである限りでは、フィラーの量は、5重量%超過で計算される。即ち、フィラー(F)の量は、5~40重量%の範囲である。例えば、フィラー(F)と成核剤(NA)が、両方ともTiO2であり、ポリマー組成物中のTiO2の総量が、6重量%であるならば、組成物(C)中のフィラー(F)としてのTiO2の量は、6重量%-5重量%=1重量%である。
【0061】
幅広い選択肢のフィラー(補強繊維又は補強剤とも呼ばれる)を、本発明による組成物に添加することができる。これらは、繊維及び粒子状のフィラーから選択することができる。繊維状フィラーは、本明細書では、平均長さが幅と厚さの両方よりも著しく大きい、長さ、幅及び厚さを有する材料であると見なされる。一般に、そのような材料では、長さと、幅及び厚さのうちの最大値との間の平均比であると定義されるアスペクト比が、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20若しくは少なくとも50である。
【0062】
フィラーは、鉱物フィラー(例えばタルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)、ガラス繊維、炭素繊維、合成ポリマー繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維、炭化ホウ素繊維、ロックウール繊維、スチール繊維及び珪灰石から選択してよい。
【0063】
繊維状フィラーの中でもガラス繊維が好ましく、これらには、Additives for Plastics Handbook,2nd edition,John Murphyのchapter5.2.3,p.43~48に記載されているチョップドストランドA-、E-、C-、D-、S-、及びR-ガラス繊維が含まれる。好ましくは、フィラーは繊維状フィラーから選択される。高温用途に耐えることができる補強繊維がより好ましい。
【0064】
補強剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、5重量%超、10重量%超、15重量%超、又は20重量%超の総量で組成物(C)に存在していてもよい。補強剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として39重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、又は25重量%未満の総量で組成物(C)に存在してもよい。
【0065】
補強フィラーは、例えばポリアミド組成物(C)の総重量を基準として、5~40重量%、7~37重量%、例えば9~36重量%の範囲の量で組成物(C)に存在していてもよい。
【0066】
任意選択の添加剤(AD)
ポリマー組成物(C)は、少なくとも1種の添加剤(AD)、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、例えば10重量%までの少なくとも1種の添加剤(AD)をさらに含んでもよい。添加剤は、酸化防止剤、化学起泡剤又は化学起泡剤の残渣、紫外線吸収剤、光安定剤などの安定剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、金属不活性化剤及びそれらの混合物からなる群から選択できる。
【0067】
酸化防止剤の例は、ホスフィット、ホスホレート、ヒンダードフェノール又はそれらの混合物である。
【0068】
界面活性剤もまた、気泡の核を形成してそれらを発泡プロセスの気泡成長期中に安定化させるのを助力するために添加してもよい。
【0069】
一実施形態によれば、本発明による発泡材(FP)においては、ポリマー組成物(C)は、酸化防止剤、化学起泡剤又は化学起泡剤の残渣、紫外線吸収剤、光安定剤などの安定剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、金属不活性化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤(AD)を、(C)の総重量を基準として0.1~9重量%、0.2~5重量%、又は0.5~3重量%含む。
【0070】
いくつかの実施形態においては、ポリマー組成物(C)は、複数の添加剤(AD)、例えば2又は3種の添加剤を含むことができる。
【0071】
一実施形態によれば、発泡材(FP)中の組成物(C)は、PPSポリマー及びエラストマー以外の他のポリマー成分を全く含まない。
【0072】
別の実施形態によれば、発泡材(FP)中のポリマー組成物(C)は、少なくとも1種のPPSポリマーと、少なくとも1種のエラストマーと、少なくとも1種の成核剤と、任意選択的に(C)の総重量を基準として10重量%までの少なくとも1種の添加剤(AD)から本質的になる。即ち、本実施形態によれば、ポリマー組成物(C)は、PPS以外の他のポリマー成分を全く含有しないか、又は他のポリマー成分を3重量%未満、2重量%未満、1.5重量%未満若しくは1重量%未満の含有量で含む。本実施形態の概念によれば、ポリマー組成物は、1種又は複数種の本発明によるPPSポリマーを含んでよい。例えば、ポリマー組成物は、分子量もメルトフローインデックス(MFR)も異なり、上述の定義による繰り返し単位の組成も異なる2種の別個のPPSポリマーを含んでよい。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、発泡材(FP)中のポリマー組成物(C)は、以下の成分(重量%は、(C)の総重量を基準とする)
-少なくとも1種のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)と、
-1~40重量%の少なくとも1種のエラストマーと、
-0.01~5重量%の少なくとも1種の成核剤(NA)と、
-任意選択的に40重量%までの少なくとも1種のフィラー(F)と、
-任意選択的に、酸化防止剤、化学起泡剤又は化学起泡剤の残渣、紫外線吸収剤、光安定剤などの安定剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、金属不活性化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される10重量%までの少なくとも1種の添加剤(AD)と
を含む又はから本質的になり、その重量%は、(C)の総重量を基準とし、及び3成分(PPSポリマー、エラストマー、成核剤)又は4成分(PPSポリマー、エラストマー、成核剤、添加剤)又は5成分(PPSポリマー、エラストマー、成核剤、添加剤、フィラー)の合計は、100重量%に等しい。
【0074】
発泡性ポリマー組成物(FC)
ポリマー組成物(C)は、本発明の発泡材(FP)の本質的な部分として使用され、少なくとも1種のPPSポリマー及び1種のエラストマーを含む一方、発泡性ポリマー組成物(FC)は、少なくとも1種の発泡剤をさらに含む。本発明によれば、発泡性ポリマー組成物(FC)は、それにより:
-少なくとも1種のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)と、
-1~40重量%の少なくとも1種のエラストマーと、
-0.01~15重量%の少なくとも1種の発泡剤(BA)と
を含み、その重量%は、(FC)の総重量を基準とする。
【0075】
一本発明の実施形態によれば、発泡性ポリマー組成物(FC)は、0.01~5重量%の少なくとも1種の成核剤(NA)をさらに含む。
【0076】
発泡剤(BA)
本発明によれば、発泡剤、又は発泡剤のブレンドは、発泡材(FP)の所望の密度に応じて異なる量で使用できる。発泡剤はまた、本明細書では同様に起泡剤と呼ぶことができる。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、使用される発泡剤の量は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、0.1~10重量%、0.5~5重量%又は1~3重量%で変わる。
【0078】
発泡プロセスは、化学発泡プロセスでも物理発泡プロセスでもよい。
【0079】
物理発泡プロセスは、高温及び高圧下でガス状である化合物を意味する物理発泡剤を用いる。物理起泡剤は、ガス形態、又は、物理的プロセス(例えば、蒸発、脱着)によってそれから気体が発生する任意の他の形態のいずれかで発泡が発生する装置に供給することができる。さもなければ、物理起泡剤は、発泡装置内に導入されることとなる、いわゆる発泡性ポリマー組成物(C)に含んでよい。物理発泡剤が溶融体に供給される場合、発泡剤が気泡を発生させ、例えば溶融体は、ダイを通過して、押出プロセスにおいて減圧される。
【0080】
物理発泡剤は、不活性ガス、例えば、CO2、窒素、アルゴン;炭化水素、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン;脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール;脂肪族ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン;脂肪族エステル、例えば酢酸メチル及び酢酸エチル;フッ素化炭化水素、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC 134a)及びジフルオロエタン(HFC 152a);並びにそれらの混合物からなる群から選択できる。
【0081】
化学発泡プロセスは、化学発泡剤を用い、その発泡剤は、プロセスで使用される熱の影響下で分解又は反応し、発泡ガスを発生させる。化学発泡剤は、発泡性組成物(FC)に含むことができるので、その場で発泡ガスを発生させるか、又は本発明のプロセス中に添加できる。化学発泡はまた、押出デバイスで実現してもよい。
【0082】
化学起泡剤は、塩、例えば重炭酸アンモニウム又は重炭酸ナトリウム;窒素放出の起泡剤、例えば芳香族アゾ及びジアゾ化合物、脂肪-芳香族アゾ及びジアゾ化合物、並びに脂肪族アゾ及びジアゾ化合物、例えばアゾジカルボンアミド、そしてスルホンヒドラジド、例えばベンゼンスルホンヒドラジド及びオキシ-ビス(ベンゼンスルホンヒドラジド);テトラゾール化合物、例えば式(T-1)、(T-2)、(T-3)及び(T-4):
[式中、
R
1は、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル及びアリール基からなる群から選択され、
R
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキレン、アルケニル、アルケニルアリール及びアルケニルアラルキレン基からなる群から選択され、任意選択的に置換され、
R
1’及びR
2’は、結合及び任意選択的に1個若しくは複数個のヘテロ原子を含む二価基からなる群から独立して選択され、
nは、2又は3の整数であり、
Mは、バリウム、カルシウム、亜鉛、鉛及びアルミニウムからなる群から選択される金属カチオンである]
からなる群から選択される化合物、からなる群から選択できる。
【0083】
テトラゾール化合物は、特に、その全内容が参照により本明細書に援用される国際公開第2015/097058 A1号パンフレットに列挙される化合物のうちから選択できる。
【0084】
化学的起泡剤は、任意選択的に、好適な活性化剤、例えばアミン及びアミド、ウレア、スルホンヒドラジド(二次起泡剤としても機能できる)などと混合できる。
【0085】
オレフィンポリマー
化学起泡剤は、任意選択的に、発泡性組成物内での化学起泡剤の送り込みや分散を容易にするために使用されるキャリヤに埋め込むことができる。参照により本明細書に援用される国際公開第2015/097058号パンフレットを参照されたい。
【0086】
本発明の一実施形態によれば、発泡性ポリマー組成物はまた、高密度ポリエチレン(HDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、鎖状均一性エチレン/α-オレフィンコポリマー及び長鎖分岐を有する均一性エチレン/α-オレフィンコポリマーからなる群から選択されるオレフィンポリマーを含む。
【0087】
発泡材(FP)は、発泡剤を殆ど含まない。しかしながら、1種又は複数種の発泡剤が残留量で発泡材中に残留し得る可能性が考えられるが、これらの残留量は発泡材(FP)の発泡特性に悪影響を与えるほどの量ではない。
【0088】
一実施形態によれば、発泡材(FP)は、(C)の総重量を基準として0.25重量%未満、0.15重量%未満又は0.05重量%未満の発泡剤若しくはそれらの残渣を含有する。
【0089】
代替実施形態においては、任意の残留発泡剤は、発泡材(FP)をさらに乾燥又は熱工程に付すことにより低減することができる。
【0090】
本発明の発泡材(FP)は、パネル、シート又はフィルムの形態であってよい。発泡材(FP)は、支持フィルム上へ支持されるか、2つの支持フィルム間に挟まれるかのどちらかのシート又はパネルとして製造できる。
【0091】
本発明の一実施形態においては、発泡パネルは、1mm~80mm、3mm~60mm又は4mm~50mmの範囲の厚さを有する。
【0092】
発泡性ポリマー組成物(FC)を調製するプロセス
発泡性ポリマー組成物(FC)は、その必須成分(PPS、エラストマー、成核剤、発泡剤)と、例えば溶融混合又は乾式配合と溶融混合の併用による発泡体調製プロセスにおいて有用な任意選択の添加剤(AD)及び/又は追加の成分のいずれかとの均質混合を伴う様々な方法により、調製できる。このプロセスは、固体又は微細粉末ミキサーで行うことができる。この目的のために使用可能なミキサーの型は、タンブル型ミキサー、リボン型ミキサー、高強度ミキサーとしても知られているインペラー型ミキサー、シェーカー型ミキサー、並びに当技術分野において公知のその他の型の固体及び粉末ミキサーを含む。
【0093】
その混合物は、その必須成分全てと、発泡プロセスで直接使用するのに好適な他の任意選択成分全てを含んでもよく、又は混合物は、別法として、その必須成分、及び続いての加工工程でマスターバッチとして使用され、追加量の成分で希釈される任意選択の成分の一部を含むことができる。
【0094】
上述の粉末混合物をさらに溶融配合することによって本発明の発泡性組成物(FC)を製造することもまた可能である。前述したように、溶融配合は、成分全てでも、それらの一部だけでも実現できる。共回転型及び反転型押出機、単軸スクリュー押出機、コニーダー、ディスク-パックプロセッサー及び様々な他のタイプの押出設備などの、様々な従来型の溶融配合デバイスを用いることができる。押出機、例えば二軸スクリュー押出機を使用するのが好ましい。
【0095】
特別設計された押出機、すなわち発泡などのその後のプロセスの開始が早過ぎないように、及び組成物の早過ぎる発泡を生じることなく組成物を溶融、ブレンド、押出及びペレット成形ができるように、温度を効果的に制御するように特別設計された押出機が特に好ましい。配合スクリューの設計、例えば、ネジのピッチ及び幅、隙間、長さの設計並びに運転条件は、十分な熱及び機械的エネルギーが上述の原料を有利には十分に混合し、有利には異なる原料の均一分布を得るように供給されるが、任意選択的化学発泡原料が組成物中に含まれる場合には、組成物の加工温度を発泡の開始が早過ぎる可能性がある温度より低く有利には維持するために十分に温和であるように選択される。
【0096】
加工温度を、ポリマー成分の軟化点よりもかなり高く且つ存在する可能性のあるいずれの成分の分解温度よりも低く保つとする条件下で、顕著な発泡を経ていない本発明の発泡性ポリマー組成物(FC)のストランド押出物を取得できるのは有利である。そのようなストランド押出物は、例えば、ダイプレート配列への完全な刃物を保証する通常は水中デバイスを備えるダイプレートの下方に向かって整列された回転刃物によってカットして、ペレット又はビーズの形態下で収集することができる。そこで、例えば、ペレット又はビーズの形態で存在できるポリマー組成物(FC)は、その後に発泡材(FP)の製造のためにさらに使用できる。
【0097】
発泡材(FP)及び調製プロセス
本発明によるポリマー組成物(C)を発泡させて、発泡性ポリマー組成物(FC)の密度と比較すると、かなり低下した密度を有する発泡材を作製する。例えば、発泡材の密度は、発泡性ポリマー組成物(FC)と比較すると、少なくとも20%、少なくとも25%又は少なくとも30%低下している。
【0098】
本発明の一実施形態によれば、発泡材(FP)は、200~1,200kg/m3、300~1,000kg/m3、350~950kg/m3、380~920kg/m3、又は400~900kg/m3の密度を有する。密度は、ASTM D1622に従って測定することができる。
【0099】
本発明の一実施形態によれば、発泡材(FP)は、1000μm未満、500μm未満、300μm未満又は250μm未満の平均気泡径を呈する。
【0100】
気泡径は、光学又は走査型電子顕微鏡を用いて測定できる。
【0101】
ポリマー組成物(C)を発泡させて本発明の発泡材(FP)を取得するには、任意の発泡技術を用いて、実施できる。本発明に用いられてもよい好適な発泡技術には、圧力セル法、オートクレーブ法、押出法、ブロー成形法、直接射出法及びビーズ発泡が含まれるが、それらに限定されない。
【0102】
圧力セル法は、例えば、回分式で実施される。通常、発泡性ポリマー組成物(FC)は、大気圧よりも高い圧力下に及びポリマー/ガス混合物のガラス遷移温度よりも低い温度でガスと共に圧力セルに装入される。その系を加熱浴に浸漬させて、ガラス遷移温度を超えて昇温させた後、ガスは、混合物から減圧されて、発泡材(FP)を生成する。圧力セルから加熱浴への移動は概して、溶解ガスが周囲圧力でポリマーから出て速やかに拡散することができることを考慮して、できるだけ速く実施される。発泡後に、発泡材(FP)は、通常約20℃でエタノール/水混合液中で急冷される。
【0103】
オートクレーブ法では、例えば、発泡性ポリマー組成物(FC)は、ポリマー(P1)/ガス混合物のガラス遷移温度を超える温度でオートクレーブにガスと共に装入され、発泡は、圧力の自然発生的な放出によって誘導される。圧力セル法が、ガス装入組成物(FC)を通常、加熱浴に移してそのガラス遷移温度を超える温度に上げるのとは対照的に、オートクレーブ法は、ポリマーが既に、ガスと共に装入された際にガラス遷移温度を超える所要の温度にあるので、加熱段階を必要としない。
【0104】
押出法は、上述の2つの技術とは対照的に、連続プロセスである。一般的に押出法においては、発泡材(FP)は、例えばペレット又はビーズの形態であることが可能である発泡性ポリマー組成物(FC)を溶融させ、そのようにして得られた溶融混合物を圧力下で少なくとも1種の発泡剤と混合することによって形成される。押出機の出口で、減圧中に、発泡剤は気化し、気化熱を吸収することによって、溶融塊を急冷し、それによって発泡材(EP)を形成する。
【0105】
ブロー成形法は、発泡性ポリマー組成物(FC)を溶断してそれをパリソンに、又は射出及び射出延伸ブロー成形の場合には予備形成物に形成することで始まる。パリソンは、一方の端に圧縮空気が通過できる穴を伴う管状プラスチック片である。次に、パリソンは、金型にクランプされ、空気がその中に吹き込まれる。その後、空気圧により、金型に合うようにプラスチックが押し出される。一旦、ポリマー組成物(C)が冷却されて硬化すると、金型が開き、一部が、排出される。
【0106】
発泡性ポリマー組成物(FC)を加工できる任意の好適な押出装置を押出のために用いることができる。例えば、単軸又は多軸スクリュー押出機を用いることができ、溶融押出機及び冷却押出機を伴うタンデム押出機が好ましい。
【0107】
特定の実施形態においては、ポリマー組成物(C)は、一次押出機において溶融される。次に、発泡剤は、一次押出機に供給され、一次押出機の最後のセクションで高圧及び高温下で溶融ブレンドに混ぜ込まれる。次に、圧力下で溶融塊を二次押出機に供給し、二次押出機を用いて、材料を冷却して発泡させ、それをダイを介してキャリブレーターに移送し、発泡材(FP)を形成する。キャリブレーターは、冷却速度と、発泡材(FP)の膨張とを制御するのを助力する。それ故、それは、発泡材(FP)の厚さ、幅及び密度を制御するのを助力する点で有利である。ダイは、必要な溶融物強度を提供するため及びダイ内での早過ぎる発泡を抑制するために、特定の温度範囲及び圧力範囲で運転される。一実施形態においては、単軸スクリュー押出機が一次押出機と二次押出機の両方に使用される。代替実施形態においては、二軸スクリュー押出機が、一次押出機と二次押出機の両方に使用される。さらにまた別の代替実施形態においては、単軸スクリュー押出機が、一次押出機又は二次押出機の一方に使用され、二軸スクリュー押出機が、もう一方に使用される。
【0108】
本発明の一実施形態によれば、発泡材(FP)は:
-D790 ASTM法に従って測定した、少なくとも5%、例えば少なくとも6%、少なくとも7%又は少なくとも8%の曲げひずみ;及び/又は
-D638 ASTM法(タイプIの引張試験片)に従って測定した少なくとも5%、例えば少なくとも6%、少なくとも7%又は少なくとも8%の引張破壊ひずみ
を呈する。
【0109】
物品
本発明による発泡材(FP)は、飛行機の客室インテリア構成要素、医療機器、防熱材(例えば、オイル及びガス配管用又は工業プロセス器具用)、防音材及び携帯用電子機器からなる群から選択される物品(A)の調製に特に好適である。これらの物品は、例えば少なくとも一部の前記発泡材(FP)で作製され得る。
【0110】
本明細書に記載される物品は、限定されないが、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、熱成形及びそれらの任意の組み合わせを含めて、当技術分野で公知の技術を使用して形成することができる。
【0111】
一態様においては、本発明は、物品又は物品の一部を調製するプロセスを提供し、前記プロセスは、その成分と任意選択の添加剤(AD)をブレンドし、ポリマー組成物(C)を発泡させて、そして次に物品又はその一部を形成することにより、上述の発泡性ポリマー組成物(FC)を調製する工程を備える。
【0112】
本発明はまた:
-少なくとも1種のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)と、
-1~40重量%の少なくとも1種のエラストマーと
を含むブレンドの使用にも関し、
その重量%は、
発泡材(FP)を調製するためのポリマーブレンドの総重量を基準とする。
【0113】
本発明はまた:
-少なくとも1種のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)と、
-1~40重量%の少なくとも1種のエラストマーと、
-0.01~10重量%の少なくとも1種の発泡剤と
を含む発泡性ポリマー組成物(FC)の使用にも関し、
その重量%は、発泡材(FP)を調製するための(C)の総重量を基準とする。
【0114】
本発明はまた:
-少なくとも1種のポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)と、
-1~40重量%の少なくとも1種のエラストマーと
を含むブレンド又は発泡性ポリマー組成物(FC)の使用にも関し、
その重量%は、
D790 ASTM法に従って測定した改善した曲げひずみ、及び/又はD638 ASTM法(タイプIの引張試験片)に従って測定した改善した引張破壊ひずみを有する発泡材(FP)を調製するためのポリマーブレンド又は発泡性ポリマー組成物(FC)の総重量を基準とする。
【0115】
以下の実施例は、その範囲を限定する意図なしに、本発明の実際の実施形態を例証するために提供される。
【0116】
参照により本明細書に組み込まれる任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【実施例】
【0117】
原材料
Solvay Specialty Polymers USA, L.L.C.から市販されているPPS Ryton(登録商標)QA200N
エラストマー#1: Arkemaから市販されているLotader(登録商標)AX8840、エチレンとメタクリル酸グリシジル(エポキシ官能化)とのコポリマー
エラストマー#2: Arkemaから市販されているLotader(登録商標)AX8900、エチレンと、アクリル酸エステルと、メタクリル酸グリシジル(エポキシ官能化)とのターポリマー
エラストマー#3: Dupontから市販されているElvaloy(登録商標)AS、エチレンと、n-ブチルアクリレートと、メタクリル酸グリシジル(エポキシ官能化)とのターポリマー
カーボンブラック(粒径: ASTM D3849に従って19nm)
BASFから市販されているIrganox(登録商標)1010、酸化防止剤
5-フェニルテトラゾール化学起泡剤
LyondellBasellから市販されているPro-fax PD702ポリプロピレンホモポリマー
DowTMから市販されているLDPE 5004I、低密度ポリエチレン樹脂
【0118】
発泡材(FP)を調製するための一般的手順
以下の表1、表2~3及び表4による比率で、様々なポリマー組成物を配合した。L/D比が48:1である26mmの二軸スクリュー押出機(Coperion ZSK-26)において、配合してペレット化を行った。ベースポリマーペレット、エラストマー、成核剤、フィラー、及び添加剤を押出機の供給口に供給し、押出機を305℃(581°F)の温度に設定した。ダイの温度を305℃(581°F)に設定し、40~50ポンド/時の押出量と共に、200rpmのスクリュー速度を用いた。各場合の押出機からの押出物を水桶中で冷却し、次にペレット化した。製剤から生成したペレットを80~
85℃(176~185°F)の温度で4時間乾燥させた。次に、配合したペレットを、ポリプロピレン中に20重量%の5-フェニルテトラゾール化学起泡剤のマスターバッチと乾式ブレンドした。ポリマー及び起泡剤を含むブレンドを発泡装置(foaming setup)に供給した。
【0119】
以下の実施例に記載するように2台の発泡装置を使用した。
【0120】
実施例1
本発明による5種の組成物(実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、及び実施例5)と1種の比較の組成物(実施例6C)を調製した。それらの組成物の重量比を表1に報告する。各組成物を、ポリプロピレン中に20重量%の5-フェニルテトラゾール化学起泡剤のマスターバッチと乾式ブレンドして、その結果、5-フェニルテトラゾールの最終濃度が約0.09重量%であった。
【0121】
例えば、実施例1~実施例6Cで、発泡装置は、4つの加熱/冷却ゾーンと24:1のL/D比を有し、2mm×65mmのスリットダイを備える直径1.5インチのSterling単軸スクリュー押出機からなった。2つの後部加熱ゾーンを282℃(540°F)に設定し、2つの前部加熱ゾーンを
299℃(570°F)に設定した。ダイの温度を279℃(535°F)に設定した。
【0122】
密度(kg/m3)
D1622 ASTM法に従って、密度を測定した。
【0123】
結果を表1に報告する。
【0124】
【0125】
本発明による実施例1、2、3、4、及び5の特定の組成物は、エラストマーを全く含有しない組成物から取得した発泡材(比較例6C)と比較すると、かなり低下した密度を有する発泡材の生成が可能となる。カーボンブラック(1重量%)を有する実施例1及び2は、さらにより良好な密度の低下を示す。
【0126】
実施例2
本発明による9種の組成物(実施例7~実施例15)と6種の比較の組成物(実施例16C~実施例21C)を調製した。それらの組成物の重量比を表2~3に報告する。各組成物を、ポリプロピレン中に20重量%の5-フェニルテトラゾール化学起泡剤のマスターバッチと乾式ブレンドして、その結果、5-フェニルテトラゾールの最終濃度が約0.4重量%であった。発泡装置は、L/D比が40:1で、C.W.Brabender Instruments,Inc.製のIntelli-Torque Plasti-Corder、直径1.5-mmの単軸スクリュー押出機からなった。押出機は、3つのバレル加熱/冷却ゾーンと2つのダイ加熱ゾーンを有し、且つ1インチ×3/32インチの開口部を有するスリットダイを備える。後部及び中間部バレル加熱ゾーンを277℃に設定し、前部バレル加熱ゾーンを280℃に設定した。両方のダイ加熱ゾーンを285℃の温度に設定した。
【0127】
密度(kg/m3)
D1622 ASTM法に従って、密度を測定した。
【0128】
曲げひずみ(%)
D790 ASTM法に従って、曲げひずみを測定した。10%のひずみまでか、又は試験片が折れるまでかのどちらかが最初に起こるまで、試験片を屈曲させた。
【0129】
表2~3に平均の最大曲げひずみの結果を報告する。ここで留意すべきは、報告された曲げひずみが10.00%以上であるものは、試験の結果、この組成物用の試験片のどれも折れなかったということを示すことである。
【0130】
【0131】
【0132】
実施例3
本発明による3種の組成物(実施例22~実施例24)と2種の比較の組成物(実施例25C及び実施例26C)を調製した。それらの組成物の重量比を表4に報告する。各組成物を、ポリプロピレン中に20重量%の5-フェニルテトラゾール化学起泡剤のマスターバッチと乾式ブレンドして、その結果、5-フェニルテトラゾールの最終濃度が約0.4重量%であった。発泡装置は、L/D比が40:1で、C.W.Brabender Instruments,Inc.製のIntelli-Torque Plasti-Corder、直径1.5-mmの単軸スクリュー押出機からなった。押出機は、3つのバレル加熱/冷却ゾーンと2つのダイ加熱ゾーンを有し、且つ1インチ×3/32インチの開口部を有するスリットダイを備える。後部及び中間部バレル加熱ゾーンを277℃に設定し、前部バレル加熱ゾーンを280℃に設定した。両方のダイ加熱ゾーンを285℃の温度に設定した。
【0133】
密度(kg/m3)
D1622 ASTM法に従って、密度を測定した。
【0134】
引張破壊ひずみ(%)
D638 ASTM法に従って、ASTMタイプI引張試験片で引張破壊ひずみを測定した。
【0135】
その結果を下の表4に報告する。
【0136】