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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20240814BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240814BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240814BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240814BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/262 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020034696
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021140866
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】刑部 友敬
(72)【発明者】
【氏名】神谷 誠
【審査官】佐宗 千春
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/163864(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0013502(US,A1)
【文献】特開2019-009086(JP,A)
【文献】特開2012-252898(JP,A)
【文献】特開2019-057445(JP,A)
【文献】特開2012-248374(JP,A)
【文献】特開2017-183071(JP,A)
【文献】特開2017-201587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルと、
前記複数のセルが第1方向に沿って並んだ状態で前記複数のセルを収容するケースと、を備え、
前記ケースは、
前記複数のセルを支持する底壁と、
それぞれが前記底壁から起立するとともに、前記第1方向に沿って前記セルを配置可能な間隔を置いて並ぶように配置された複数の区画壁と、
前記底壁のうち前記底壁の厚さ方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向における前記複数の区画壁の外側の部位から起立するとともに前記第1方向に延びる形状を有し、かつ、前記複数の区画壁を接続する一対の側壁と、を有し、
前記複数の区画壁の各区壁は、
前記第1方向に互いに隣接する一対の前記セル間に配置された区画板と、
前記区画板のうち前記第1方向における一方側の主面から前記第1方向に突出する形状を有する第1リブと、
前記区画板のうち前記第1方向における他方側の主面のうち前記第2方向に前記第1リブから離間した部位から前記第1方向に突出する第2リブと、を有し、
前記第1方向における、一の区画壁の前記第1リブ及び前記一の区画壁に隣接する区画壁の前記第2リブ間の距離は、前記第1方向における前記セルの寸法よりも小さく、
前記区画板は、
前記第1リブ及び前記第2リブを保持する本体部と、
前記本体部と前記底壁とを接続しており、前記本体部が前記セルとともに前記第1方向に沿って前記底壁に対して相対変位するのを許容する可撓性を有する底壁側可撓部と、を有する、電池モジュール。
【請求項2】
前記区画板は、前記底壁の剛性及び前記側壁の剛性よりも低い剛性を有する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記区画板は、前記本体部と前記側壁とを接続しており、前記本体部が前記セルとともに前記第1方向に沿って前記側壁に対して相対変位するのを許容する可撓性を有する側壁側可撓部をさらに有する、請求項に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1方向における両側から前記ケースを拘束する拘束部材をさらに備え、
前記拘束部材は、前記区画壁のうち前記第1方向に前記本体部と重なる部位のみを前記第1方向における両側から挟持する、請求項又はに記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2017-201587号公報には、複数の電池セルと、複数の電池セルの外周を覆うセルカバーと、を備える蓄電池モジュールが開示されている。各電池セルは、扁平な箱型形状に構成されたセルを有している。セルカバーは、上方に開口する形状を有する下面ケースと、下面ケースの開口を閉塞する上面ケースと、を有している。下面ケースは、複数の電池セルが一方向に沿って並ぶようにこれら電池セルを収容している。下面ケースは、一方向に互いに隣接する一対の電池セル間を仕切るカバーリブを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-201587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2017-201587号公報に記載されるような電池モジュールでは、各セルの並び方向における両側からセルに作用する拘束力が小さい。しかも、セルの充電等に起因してセルが膨張すると、各セルの並び方向における外向きにケースが膨出するように変形する。
【0005】
本開示の目的は、セルに拘束力を作用させつつ、セルの膨張時におけるケースの変形を抑制することが可能な電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に従った電池モジュールは、複数のセルと、前記複数のセルが第1方向に沿って並んだ状態で前記複数のセルを収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記複数のセルを支持する底壁と、それぞれが前記底壁から起立するとともに、前記第1方向に沿って前記セルを配置可能な間隔を置いて並ぶように配置された複数の区画壁と、前記底壁のうち前記底壁の厚さ方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向における前記複数の区画壁の外側の部位から起立するとともに前記第1方向に延びる形状を有し、かつ、前記複数の区画壁を接続する一対の側壁と、を有し、前記複数の区画壁の各区隔壁は、前記第1方向に互いに隣接する一対の前記セル間に配置された区画板と、前記区画板のうち前記第1方向における一方側の主面から前記第1方向に突出する形状を有する第1リブと、前記区画板のうち前記第1方向における他方側の主面のうち前記第2方向に前記第1リブから離間した部位から前記第1方向に突出する第2リブと、を有し、前記第1方向における、一の区画壁の前記第1リブ及び前記一の区画壁に隣接する区画壁の前記第2リブ間の距離は、前記第1方向における前記セルの寸法よりも小さい。
【0007】
この電池モジュールでは、第1方向における、一の区画壁の第1リブ及び前記一の区画壁に隣接する区画壁の第2リブ間の距離が、第1方向におけるセルの寸法よりも小さいため、各セルに対して第1方向における両側から拘束力が作用する。しかも、各区画壁が第1リブと第2リブとを有していることにより、区画壁を挟んで互いに隣接する一対のセル間に隙間が形成されている。よって、セルの充電等に起因してセルが膨張した場合、互いに隣接する一対のセルの一方が第1リブを押圧するとともに他方が第2リブを押圧することによって区画板が変形するため、換言すれば、区画板の変形によって各セルの膨張が吸収されるため、第1方向における外向きにケースが膨出するように変形することが抑制される。
【0008】
また、前記区画板は、前記底壁の剛性及び前記側壁の剛性よりも低い剛性を有することが好ましい。
【0009】
このようにすれば、セルの膨張時に区画板が有効に変形する。
【0010】
また、前記区画板は、前記第1リブ及び前記第2リブを保持する本体部と、前記本体部と前記底壁とを接続しており、前記本体部が前記セルとともに前記第1方向に沿って前記底壁に対して相対変位するのを許容する可撓性を有する底壁側可撓部と、を有することが好ましい。
【0011】
このようにすれば、互いに隣接する一対の区画壁間にセルを挿入する際や、一対の区画壁間に配置されたセルが膨張した際における区画板と底壁との境界部の破損が抑制される。
【0012】
この場合において、前記区画板は、前記本体部と前記側壁とを接続しており、前記本体部が前記セルとともに前記第1方向に沿って前記側壁に対して相対変位するのを許容する可撓性を有する側壁側可撓部をさらに有することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、互いに隣接する一対の区画壁間にセルを挿入する際や、一対の区画壁間に配置されたセルが膨張した際における区画板と側壁との境界部の破損が抑制される。
【0014】
また、前記電池モジュールにおいて、前記第1方向における両側から前記ケースを拘束する拘束部材をさらに備えていてもよい。この場合において、前記拘束部材は、前記区画壁のうち前記第1方向に前記本体部と重なる部位のみを前記第1方向における両側から挟持することが好ましい。
【0015】
この態様では、底壁に対する本体部の第1方向に沿った相対変位が許容されつつ拘束部材によってセルが有効に拘束される。
【0016】
また、本開示の他の局面に従った電池モジュールは、複数のセルと、前記複数のセルが第1方向に沿って並んだ状態で前記複数のセルを収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記複数のセルを支持する底壁と、それぞれが前記底壁から起立するとともに、前記第1方向に沿って前記セルを配置可能な間隔を置いて並ぶように配置された複数の区画壁と、前記底壁のうち前記底壁の厚さ方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向における前記複数の区画壁の外側の部位から起立するとともに前記第1方向に延びる形状を有し、かつ、前記複数の区画壁を接続する一対の側壁と、を有し、前記複数の区画壁の各区隔壁は、前記底壁及び前記一対の側壁に対して前記第1方向に沿って相対変位可能である。
【0017】
この電池モジュールでは、互いに隣接する一対の区画壁間にセルを挿入する際や、一対の区画壁間に配置されたセルが膨張した際における区画壁と底壁又は側壁との境界部の破損が抑制される。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、セルに拘束力を作用させつつ、セルの膨張時におけるケースの変形を抑制することが可能な電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の第1実施形態の電池モジュールを概略的に示す斜視図である。
図2】ケースに対する複数のセルの組付け方法を概略的に示す斜視図である。
図3】ケースに複数のセルが挿入された状態を概略的に示す平面図である。
図4図3におけるIV-IV線での断面図である。
図5】ケースに複数のセルが挿入され、第1方向における両側から拘束力が作用した状態を概略的に示す平面図である。
図6図5におけるVI-VI線での断面図である。
図7】区画壁と押圧板による押圧範囲との関係を示す図である。
図8】底壁の変形例を概略的に示す斜視図である。
図9図8に示される底壁の断面図である。
図10】本開示の第2実施形態の電池モジュールのケースにおける区画板に対する弾性部の組付け方法を概略的に示す斜視図である。
図11】本開示の第2実施形態の電池モジュールのケースの斜視図である。
図12図11に示されるケースの断面を概略的に示す図である。
図13】本開示の第3実施形態の電池モジュールのケースにおける区画板に対する弾性部の組付け方法を概略的に示す斜視図である。
図14図13に示されるケースの断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態の電池モジュールを概略的に示す斜視図である。この電池モジュール1は、例えば、車両に搭載される。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態の電池モジュール1は、複数のセル100と、ケース200と、拘束部材300と、を備えている。
【0023】
複数のセル100は、第1方向(図3及び図4等を参照)に並ぶように配置されている。各セル100は、筐体102と、一対の外部端子104と、を有している。
【0024】
筐体102は、直方体形状に形成されている。筐体102は、扁平に形成されている。つまり、筐体102は、相対的に大きな面積を有する第1側面102aと、第1側面102aの面積よりも小さな面積を有する第2側面102bと、を有している。複数のセル100は、各筐体102の第1側面102a同士が第1方向に互いに対向するように配置されている。換言すれば、複数の筐体102は、各筐体102の厚さ方向が第1方向と平行となるように配置されている。各筐体102には、電極等が収容されている。
【0025】
一対の外部端子104は、筐体102の上面から上方に向かって突出する形状を有している。一対の外部端子104の一方は、正極端子であり、他方は、負極端子である。互いに隣接する一対のセル100の一方のセル100の正極端子と他方のセル100の負極端子とは、バスバー(図示略)によって電気的に接続されている。
【0026】
ケース200は、複数のセル100を収容している。ケース200は、樹脂によって形成されている。図2に示されるように、ケース200は、上方に開口する形状を有している。図3及び図4に示されるように、ケース200は、底壁210と、複数の区画壁220と、一対の側壁230と、を有している。
【0027】
底壁210は、各セル100を支持している。図8に示されるように、底壁210は、高熱伝導部212を有していてもよい。高熱伝導部212は、底壁210のうち第2方向(第1方向及び底壁210の厚み方向の双方に直交する方向)における中央部に形成されている。高熱伝導部212は、底壁210における高熱伝導部212の側方の部位214の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料(金属等)で構成されている。高熱伝導部212及び部位214は、二色成形やインサート成形によって形成される。図9に示されるように、高熱伝導部212と部位214とは、ラビリンス構造で接続されていることが好ましい。高熱伝導部212の下方には、冷却媒体を流すための流路が形成されている。
【0028】
複数の区画壁220は、各セル100の収容室を区画している。各区画壁220は、第1方向に沿ってセル100を配置可能な間隔を置いて並ぶように配置されている。各区画壁220は、底壁210から起立するとともに、第2方向に沿って延びる形状を有している。各区隔壁220は、セル100の収容室を区画しながら、底壁210に対して第1方向に沿って相対変位可能に構成されている。具体的に、各区画壁220は、区画板222と、第1リブ224と、第2リブ226と、を有している。
【0029】
区画板222は、第1方向に互いに隣接する一対のセル100間に配置されている。区画板222は、平板状に形成されている。区画板222は、底壁210から起立するとともに、第2方向に沿って延びる形状を有している。区画板222は、底壁210の剛性よりも低い剛性を有している。
【0030】
第1リブ224は、区画板222のうち第1方向における一方側の主面S1から第1方向に突出する形状を有している。図3に示されるように、第1リブ224は、第2方向における主面S1の中央部から第1方向に突出する形状を有している。図4に示されるように、第1リブ224は、底壁210の厚み方向と平行な方向に延びる形状を有している。第1リブ224の上端部は、区画板222の上端部よりも下方に位置している。第1リブ224の下端部は、区画板222の下端部よりも上方に位置している。
【0031】
第2リブ226は、区画板222のうち第1方向における他方側の主面S2のうち第2方向に第1リブ224から離間した部位から第1方向に突出する形状を有している。本実施形態では、区画壁220は、2つの第2リブ226を有している。図3に示されるように、各第2リブ226は、第2方向における主面S2の側部で、かつ、第1方向にセル100と対向する部位から第1方向に突出する形状を有している。各第2リブ226は、第2方向に互いに対向している。第1方向における、一の区画壁220の第1リブ224及び一の区画壁220に隣接する区画壁220の第2リブ226間の距離は、第1方向におけるセル100の寸法よりも小さい。図4に示されるように、第2リブ226は、底壁210の厚み方向と平行な方向に延びる形状を有している。第2リブ226の上端部は、区画板222の上端部よりも下方に位置している。第2リブ226の下端部は、区画板222の下端部よりも上方に位置している。
【0032】
各側壁230は、複数の区画壁220を接続している。側壁230は、底壁210のうち第2方向における複数の区画壁220の外側の部位から起立するとともに、第1方向に延びる形状を有している。側壁230の剛性は、区画板222の剛性よりも高い。すなわち、区画板222は、底壁210の剛性及び側壁230の剛性よりも低い剛性を有している。
【0033】
ここで、区画板222の詳細について説明する。図3及び図4に示されるように、区画板222は、本体部222aと、底壁側可撓部222bと、側壁側可撓部222cと、を有している。
【0034】
本体部222aは、第1リブ224及び第2リブ226を保持している。本体部222aは、第1方向にセル100と重なっている。
【0035】
図4に示されるように、底壁側可撓部222bは、本体部222aと底壁210とを接続している。底壁側可撓部222bは、本体部222aがセル100とともに第1方向に沿って底壁210に対して相対変位するのを許容する可撓性を有している。
【0036】
このため、図4に示されるように、各区画壁220間にセル100が挿入されると、各本体部222aは、第1方向における底壁210の略中央部から第1方向における外向きに僅かに変位する。また、セル100の下端部は、当該セル100が本体部222aとともに第1方向に沿って底壁210に対して相対変位したときに底壁側可撓部222bと干渉しない形状を有している。
【0037】
図3に示されるように、側壁側可撓部222cは、本体部222aと側壁230とを接続している。側壁側可撓部222cは、本体部222aがセル100とともに第1方向に沿って側壁230に対して相対変位するのを許容する可撓性を有している。
【0038】
このため、各区画壁220間にセル100が挿入されると、各本体部222aは、第1方向における側壁230の略中央部から第1方向における外向きに僅かに変位する。また、セル100の側端部は、当該セル100が本体部222aとともに第1方向に沿って側壁230に対して相対変位したときに側壁側可撓部222cと干渉しない形状を有している。
【0039】
拘束部材300は、第1方向における両側からケース200を拘束する部材である。具体的に、拘束部材300は、各セル100に対して第1方向の両側から所定の拘束力がさようするように第1方向における両側からケース200を挟持している。拘束部材300は、平板状に形成された外板310と、押圧板320と、を有している。
【0040】
押圧板320は、平板状に形成されている。押圧板320の外形は、外板310の外形よりも小さい。図7に示されるように、押圧板320は、区画壁220のうち第1方向に本体部222aと重なる部位のみを第1方向に押圧している。
【0041】
図5及び図6に示されるように、各区画壁220間にセル100が挿入された状態において拘束部材300によってケース200が拘束されると、各本体部222aは、第1方向における底壁210の中央部に向けて僅かに変位する。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態の電池モジュール1では、各区隔壁220が底壁210及び一対の側壁230に対して第1方向に沿って相対変位可能であるため、互いに隣接する一対の区画壁220間にセル100を挿入する際や、一対の区画壁220間に配置されたセル100が膨張した際における区画壁220と底壁210又は側壁230との境界部の破損が抑制される。
【0043】
また、第1方向における、一の区画壁220の第1リブ224及び一の区画壁220に隣接する区画壁220の第2リブ226間の距離が、第1方向におけるセル100の寸法よりも小さいため、互いに隣接する区画壁220間にセル100が配置されることにより、当該セル100に対して第1方向における両側から拘束力が作用する。しかも、各区画壁220が第1リブ224と第2リブ226とを有していることにより、区画壁220を挟んで互いに隣接する一対のセル100間に隙間が形成されている。よって、セル100の充電等に起因してセル100が膨張した場合、互いに隣接する一対のセル100の一方が第1リブ224を押圧するとともに他方が第2リブ226を押圧することによって区画板222が変形するため、換言すれば、区画板222の変形によって各セル100の膨張が吸収されるため、第1方向における外向きにケース200が膨出するように変形することが抑制される。
【0044】
また、区画板222は、底壁側可撓部222bを有しているため、区画板222と底壁210との境界部の破損が抑制される。
【0045】
同様に、区画板222は、側壁側可撓部222cを有しているため、区画板222と側壁230との境界部の破損が抑制される。
【0046】
また、押圧板320は、区画壁220のうち第1方向に本体部222aと重なる部位のみを第1方向に押圧するため、底壁210に対する本体部222aの第1方向に沿った相対変位が許容されつつ拘束部材300によってセル100が有効に拘束される。
【0047】
また、各区画壁220の弾性率が底壁210及び側壁230のそれよりも小さいため、互いに隣接する区画壁220間へのセル100の挿入抵抗が低減され、拘束荷重が小さくなる。このため、拘束部材300の軽量化及びそれに伴うコストの低減が可能となる。
【0048】
また、ケース200がセル100の収容室を形成しているため、例えば電池モジュール1の下部が水没した場合におけるセル100間の液絡信頼性が確保される。
【0049】
(第2実施形態)
次に、図10から図12を参照しながら、本開示の第2実施形態の電池モジュール1のケース200について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0050】
本実施形態では、ケース200の区画壁220は、区画板222と、弾性部228と、を有している。
【0051】
弾性部228は、区画板222の本体部222aを被覆するとともに、底壁側可撓部222bと側壁側可撓部222cとを露出させている。図10に示されるように、弾性部228は、区画板222の上方から区画板222に組付けられる。弾性部228は、本体部222aの剛性よりも低い剛性を有している。弾性部228は、ゴム等からなる。このため、区画壁220の弾性率は、底壁210及び側壁230のそれよりも小さい。
【0052】
(第3実施形態)
次に、図13及び図14を参照しながら、本開示の第3実施形態の電池モジュール1のケース200について説明する。なお、第3実施形態では、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0053】
本実施形態では、弾性部228は、区画板222内に配置されている。図13に示されるように、弾性部228は、区画板222の下方から区画板222内に挿入される。
【0054】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
例えば、拘束部材300は、省略されてもよい。
【0056】
また、第1実施形態において、区画壁220は、単一の第1リブ224と単一の第2リブ226とを有していてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 電池モジュール、100 セル、102 筐体、104 外部端子、200 ケース、210 底壁、212 中央板、214 側板、220 区画壁、222 区画部、222a 本体部、222b 底壁側可撓部、222c 側壁、224 第1リブ、226 第2リブ、228 弾性部、230 側壁、300 拘束部材、310 外板、320 挟持板。
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