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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】無線機
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3827 20150101AFI20240814BHJP
【FI】
H04B1/3827 110
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020061019
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021163993
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 英聖
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴臣
(72)【発明者】
【氏名】橋本 多賀路
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-143030(JP,A)
【文献】特開2012-029272(JP,A)
【文献】特開2008-288930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38-1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信回路が搭載された回路基板と、
その両端が前記回路基板に接続されたアンテナと、
その両端が前記回路基板のグランドに接続された導体であって、前記回路基板に接続される電池を囲むように配置された導体と
前記回路基板、前記アンテナ、及び前記導体を収容する筐体とを備え、
前記導体は、前記筐体の内側壁に沿って配置される
無線機。
【請求項2】
前記アンテナは前記回路基板の一端に配置され、
前記グランドは前記回路基板の他端に配置され、
前記電池は前記アンテナが配置される前記回路基板の前記一端とは反対側の他端側に配置される、請求項1に記載の無線機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型の無線非常ボタンが知られている(例えば、特許文献1参照)。この無線非常ボタンは送信ボタンを備え、危険を感じた利用者によりこの送信ボタンが押下されると、非常信号を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3080503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この無線非常ボタンは利用者により携帯されて利用されるため、小型化が要請される。しかし、装置を小型化するためにその回路基板を小型化すると、グランドの長さが短くなってしまい、アンテナの利得が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、無線機を小型化しつつ、アンテナの利得を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る無線機は、無線通信回路が搭載された回路基板と、その両端が前記回路基板に接続されたアンテナと、その両端が前記回路基板のグランドに接続された導体であって、前記回路基板に接続される電池を囲むように配置された導体とを備える。
【0007】
好ましい態様において、前記導体は板金である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線機を小型化しつつ、アンテナの利得を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】非常通報ボタン1の正面図
図2】非常通報ボタン1の側面図
図3図1のA-A線断面図
図4図1のB-B線断面図
図5図2のC-C線断面図
図6】非常通報ボタン1Aの正面視断面を示す図
図7】非常通報ボタン1Aの側面視断面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
本発明の一実施形態に係る非常通報ボタン1について図面を参照して説明する。本実施形態に係る非常通報ボタン1は、警備会社に非常信号を送信するための携帯型の無線機である。この非常通報ボタン1は押ボタンスイッチ13を備え、この押ボタンスイッチ13が利用により押下されると、警備会社に対して非常信号を送信する。図1は、この非常通報ボタン1の正面図であり、図2は、この非常通報ボタン1の側面図である。図3は、図1のA-A線断面図であり、図4は、図1のB-B線断面図であり、図5は、図2のC-C線断面図である。
【0011】
これらの図に示す非常通報ボタン1は、筐体11、回路基板12、押ボタンスイッチ13、無線通信回路14、制御回路15、ループアンテナ16、GNDワイヤ17及び電池収容部18を備える。これらの構成要素のうち、無線通信回路14と制御回路15については図示を省略している。以下、各構成要素について説明する。
【0012】
筐体11は、略直方体の形状を有し、手のひらに収まるサイズを有する。この筐体11は、無線通信回路14を装置外部から絶縁するために樹脂製である。また、この筐体11は、正面の略中央に、押ボタンスイッチ13の押ボタン131を挿入するための円形の孔を有する。
【0013】
回路基板12は、矩形の形状を有し、筐体11に収容されている。この回路基板12の長手方向の長さは、筐体11の長手方向の長さの約半分である。また、この回路基板12は、筐体11内において、筐体11の下側に寄せて配置されている。
【0014】
押ボタンスイッチ13は、回路基板12に搭載されている。この押ボタンスイッチ13は円形の押ボタン131を備え、この押ボタン131は、筐体11の正面に設けられた孔に挿入されている。この押ボタンスイッチ13は、押ボタン131が利用者により押下されると、操作信号を制御回路15に出力する。
【0015】
無線通信回路14は、回路基板12に搭載されている。この無線通信回路14は、ループアンテナ16を介して非常信号を送信するための回路である。
【0016】
制御回路15は、回路基板12に搭載されている。この制御回路15は、押ボタンスイッチ13から操作信号が入力されると、無線通信回路14を制御して、非常信号を送信させる。
【0017】
ループアンテナ16は、コ字状の金属線である。このループアンテナ16は、回路基板12の下端側に搭載されている。このループアンテナ16は、正面視で、その長手方向が、回路基板12の短手方向と略平行になっている。また、このループアンテナ16は、側面視で、回路基板12に対して略垂直に延びている。このループアンテナ16は、その両端が無線通信回路14と接続されている。このループアンテナ16の電気長は、無線通信に用いられる搬送波の波長の1/4以下である。
【0018】
GNDワイヤ17は、コ字状の金属導体である。このGNDワイヤ17は、その両端が回路基板12の上端側のグランドに接続され、電池収容部18を囲むように筐体11の内側壁に沿って配置されている。また、このGNDワイヤ17は、側面視で、回路基板12と略平行に延びている。
【0019】
電池収容部18は、回路基板12に接続される電池を収容するための空間である。この電池収容部18は、正面視及び側面視で、GNDワイヤ17に囲まれている。また、この電池収容部18は、正面視で、回路基板12と重ならないように配置されている。
以上が、各構成要素についての説明である。
【0020】
以上説明した非常通報ボタン1は、利用者により携帯される。利用者は危険を感じた際に、この非常通報ボタン1の押ボタン131を押下する。押ボタン131が押下されると、この非常通報ボタン1は、警備会社に対して非常信号を送信する。その結果、警備会社に対し、当該利用者の非常事態を通報することができる。
【0021】
この非常通報ボタン1では、アンテナとしてループアンテナ16が採用されている。このループアンテナ16は、コ字状に折り曲げられている。そのため、直線状のアンテナを採用する場合と比較して、非常通報ボタン1の小型化が実現される。また、このループアンテナ16は、その両端が回路基板12に接続されている。この接続方法は、その一端のみを回路基板12に接続する方法と比較して、ループアンテナ16と回路基板12の接続をより強固にする。ループアンテナ16と回路基板12の接続がより強固になることで、非常通報ボタン1の組み立て作業が容易になる。
【0022】
また、この非常通報ボタン1では、GNDワイヤ17が回路基板12のグランドに接続されている。このGNDワイヤ17を接続することで、グランドの長さが延長される。その結果、ループアンテナ16の利得が向上する。また、このGNDワイヤ17は、コ字状に折り曲げられている。このGNDワイヤ17の形状は、直線状の形状と比較して、非常通報ボタン1のさらなる小型化を実現する。また、このGNDワイヤ17は、その両端が回路基板12に接続されている。この接続方法は、その一端のみを回路基板12に接続する方法と比較して、GNDワイヤ17と回路基板12の接続をより強固にする。GNDワイヤ17と回路基板12の接続がより強固になることで、非常通報ボタン1の組み立て作業が容易になる。
【0023】
なお、電池(電池収容部18)は、回路基板12に対して、ループアンテナ16の配置位置とは逆側に離れて配置されため、電池がループアンテナ16による無線放射特性に悪影響を与えないようにすることができる。
【0024】
また、GNDワイヤ17は、筐体11の内周縁に沿ってループ状に回路基板12に2点固定されるため、その内周面全体がGND(グランド)として機能するため、実効的にGND面を確保することにつながる。
【0025】
さらに、ループ状のGNDワイヤ17の内側スペースを、電池(電池収容部18)の配置スペースとしたため、GND面と電池配置スペースを兼用することができ、非常通報ボタン1の小型化を実現することができる。
【0026】
2.変形例
上記の実施形態は以下のように変形してもよい。以下に記載する変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0027】
2-1.変形例1
GNDワイヤ17に代えて板金19を採用してもよい。この板金19は、矩形の金属導体である。図6は、この板金19を備える非常通報ボタン1Aの正面視断面を示す図であり、図7は、この非常通報ボタン1Aの側面視断面を示す図である。
【0028】
これらの図に示す板金19は、その両端が回路基板12の上端側のグランドに接続され、電池収容部18を囲むように筐体11の内側壁に沿って配置されている。また、この板金19は、側面視で、回路基板12と略平行に延びている。また、この板金19は、回路基板12との接続部分を除いて、その短手方向が筐体11の厚み方向と平行になるように配置されている。この板金19の配置は、非常通報ボタン1Aの厚み方向の剛性を向上させる。
【0029】
2-2.変形例2
ループアンテナ16の径は任意に変更可能である。例えば、ループアンテナ16は、柱状の金属体であってもよい。
【0030】
2-3.変形例3
非常通報ボタン1で採用されているループアンテナ16とGNDワイヤ17の形状及び設置方法は、その他の無線機に採用されてもよい。例えば、人感センサ送信機や、扉開閉センサ送信機や、GPS発信機や、火災警報器に採用されてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1、1A…非常通報ボタン1、11…筐体、12…回路基板、13…押ボタンスイッチ、14…無線通信回路、15…制御回路、16…ループアンテナ、17…GNDワイヤ、18…電池収容部、19…板金
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7