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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】薬剤の発送システム及びサーバ装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240814BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20240814BHJP
【FI】
G16H20/10
G06Q10/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020112888
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011628
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-03-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 靖司
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111792(JP,A)
【文献】特開2020-091651(JP,A)
【文献】特開2004-287918(JP,A)
【文献】特開2020-093089(JP,A)
【文献】特開2004-253008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋情報が入力される第1端末と、
薬剤の発送処理を行う第2端末と、
前記第1端末及び前記第2端末と通信可能なサーバ装置と、を備えた、
薬剤の発送システムであって、
前記サーバ装置は、前記第1端末から前記処方箋情報が示す前記薬剤の服薬指導が終了した旨の終了情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部が前記終了情報を受信すると前記処方箋情報を前記第2端末に送信する第1送信部と、を有し、
前記第2端末は、受信した前記処方箋情報が示す前記薬剤の前記発送処理を行い、
前記第1端末は、前記サーバ装置から前記処方箋情報を受信することにより、前記処方箋情報が入力され、
第3端末をさらに備え、
前記サーバ装置は、前記第3端末と通信可能であり、前記第1端末及び前記第3端末を通じて薬剤師及び患者を対面させて、前記薬剤師に服薬指導を行わせるオンライン服薬指導部を備え、
前記第1端末への操作によって前記第1端末がオンライン服薬指導モードに切り替わることにより、前記サーバ装置及び前記第3端末もオンライン服薬指導モードに切り替わり、
前記サーバ装置は、オンライン服薬指導モードにおいて、前記オンライン服薬指導部として機能し、
前記オンライン服薬指導部の制御中に前記第1受信部が前記終了情報を受信すると、前記サーバ装置は、前記第1端末及び前記第3端末の接続を切断してオンライン服薬指導モードを終了し、その後、前記第1送信部が前記処方箋情報を前記第2端末に送信する、
薬剤の発送システム。
【請求項2】
請求項に記載の薬剤の発送システムであって、
前記サーバ装置は、医療機関に紐づけられた第4端末から前記処方箋情報を受信する第2受信部と、前記第2受信部が受信した前記処方箋情報を前記第1端末に送信して、前記第1端末に前記処方箋情報を入力する第2送信部と、をさらに有し、
前記第1送信部は、前記第2送信部が前記処方箋情報を送信した後、前記第1端末から前記終了情報を受信すると、前記第2受信部が受信した前記処方箋情報を前記第2端末に送信する、
薬剤の発送システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬剤の発送システムであって、
前記第2端末は、前記処方箋情報を受信した後、前記処方箋情報が示す薬剤と、発送する薬剤と、を照合するための照合画面を表示する、
薬剤の発送システム。
【請求項4】
処方箋情報が入力される第1端末及び薬剤の発送処理を行う第2端末と通信可能なサーバ装置であって、
前記第1端末から前記処方箋情報が示す前記薬剤の服薬指導が終了した旨の終了情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部が前記終了情報を受信すると前記処方箋情報を前記第2端末に送信する第1送信部と、を有し、
前記処方箋情報を前記第1端末に送信することで、前記第1端末に前記処方箋情報を受信させて前記処方箋情報を入力させ、
第3端末と通信可能であり、前記第1端末及び前記第3端末を通じて薬剤師及び患者を対面させて、前記薬剤師に服薬指導を行わせるオンライン服薬指導部を備え、
前記第1端末への操作によって前記第1端末がオンライン服薬指導モードに切り替わることにより、前記サーバ装置及び前記第3端末もオンライン服薬指導モードに切り替わり、
前記サーバ装置は、オンライン服薬指導モードにおいて、前記オンライン服薬指導部として機能し、
前記オンライン服薬指導部の制御中に前記第1受信部が前記終了情報を受信すると、前記第1端末及び前記第3端末の接続を切断してオンライン服薬指導モードを終了し、その後、前記第1送信部が前記処方箋情報を前記第2端末に送信する、
サーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の発送システム及びサーバ装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関から処方箋が出された患者は、処方箋を持って調剤薬局に行き、調剤薬局内で薬剤師から服薬指導を受けた後、薬剤が渡される。このため、調剤薬局毎に薬剤の在庫を持つ必要があり、売れ残り使用期限が過ぎて廃棄される薬剤が多い、という問題があった。
【0003】
また、薬剤を郵送するシステムとして、特許文献1~5に示されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-252535号公報
【文献】特開2003-85283号公報
【文献】特開2002-291706号公報
【文献】特開2013-238971号公報
【文献】特開2002-279069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、薬剤の在庫廃棄を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る薬剤の配送システム及びサーバ装置は、下記[1]~[]を特徴としている。
[1]
処方箋情報が入力される第1端末と、
薬剤の発送処理を行う第2端末と、
前記第1端末及び前記第2端末と通信可能なサーバ装置と、を備えた、
薬剤の発送システムであって、
前記サーバ装置は、前記第1端末から前記処方箋情報が示す前記薬剤の服薬指導が終了した旨の終了情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部が前記終了情報を受信すると前記処方箋情報を前記第2端末に送信する第1送信部と、を有し、
前記第2端末は、受信した前記処方箋情報が示す前記薬剤の前記発送処理を行い、
前記第1端末は、前記サーバ装置から前記処方箋情報を受信することにより、前記処方箋情報が入力され、
第3端末をさらに備え、
前記サーバ装置は、前記第3端末と通信可能であり、前記第1端末及び前記第3端末を通じて薬剤師及び患者を対面させて、前記薬剤師に服薬指導を行わせるオンライン服薬指導部を備え、
前記第1端末への操作によって前記第1端末がオンライン服薬指導モードに切り替わることにより、前記サーバ装置及び前記第3端末もオンライン服薬指導モードに切り替わり、
前記サーバ装置は、オンライン服薬指導モードにおいて、前記オンライン服薬指導部として機能し、
前記オンライン服薬指導部の制御中に前記第1受信部が前記終了情報を受信すると、前記サーバ装置は、前記第1端末及び前記第3端末の接続を切断してオンライン服薬指導モードを終了し、その後、前記第1送信部が前記処方箋情報を前記第2端末に送信する、
薬剤の発送システムであること。
[2]
]に記載の薬剤の発送システムであって、
前記サーバ装置は、医療機関に紐づけられた第4端末から前記処方箋情報を受信する第2受信部と、前記第2受信部が受信した前記処方箋情報を前記第1端末に送信して、前記第1端末に前記処方箋情報を入力する第2送信部と、をさらに有し、
前記第1送信部は、前記第2送信部が前記処方箋情報を送信した後、前記第1端末から前記終了情報を受信すると、前記第2受信部が受信した前記処方箋情報を前記第2端末に送信する、
薬剤の発送システムであること。
[3]
又は]に記載の薬剤の発送システムであって、
前記第2端末は、前記処方箋情報を受信した後、前記処方箋情報が示す薬剤と、発送する薬剤と、を照合するための照合画面を表示する、
薬剤の発送システムであること。
[4]
処方箋情報が入力される第1端末及び薬剤の発送処理を行う第2端末と通信可能なサーバ装置であって、
前記第1端末から前記処方箋情報が示す前記薬剤の服薬指導が終了した旨の終了情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部が前記終了情報を受信すると前記処方箋情報を前記第2端末に送信する第1送信部と、を有し、
前記処方箋情報を前記第1端末に送信することで、前記第1端末に前記処方箋情報を受信させて前記処方箋情報を入力させ、
第3端末と通信可能であり、前記第1端末及び前記第3端末を通じて薬剤師及び患者を対面させて、前記薬剤師に服薬指導を行わせるオンライン服薬指導部を備え、
前記第1端末への操作によって前記第1端末がオンライン服薬指導モードに切り替わることにより、前記サーバ装置及び前記第3端末もオンライン服薬指導モードに切り替わり、
前記サーバ装置は、オンライン服薬指導モードにおいて、前記オンライン服薬指導部として機能し、
前記オンライン服薬指導部の制御中に前記第1受信部が前記終了情報を受信すると、前記第1端末及び前記第3端末の接続を切断してオンライン服薬指導モードを終了し、その後、前記第1送信部が前記処方箋情報を前記第2端末に送信する、
サーバ装置であること。
【0007】
上記[1]及び[5]の構成の薬剤の発送システム及びサーバ装置によれば、サーバ装置は、第1端末から処方箋情報が示す薬剤の服薬指導が終了した旨の終了情報を受信すると、処方箋情報を第2端末に送信する。第2端末は、受信した処方箋情報が示す薬剤の発送処理を行う。これにより、各地にいる薬剤師が服薬指導を行った後、第2端末の発送処理に従ってドラッグセンタから一括して患者に薬剤の発送を行うことができる。調剤薬局などで薬剤の在庫を持たなくてもよく、薬剤の在庫廃棄を抑制することができる。
【0008】
上記[2]の構成の薬剤の発送システムによれば、サーバ装置の第1送信部は、オンライン服薬指導部の制御中に第1受信部が終了情報を受信すると、処方箋情報を第2端末に送信する。これにより、服薬指導の終わった薬剤の処方箋情報を第2端末に送信することができる。
【0009】
上記[3]の構成の薬剤の発送システムによれば、サーバ装置が、医療機関から送信された処方箋情報を受信し、第1端末に送信する。サーバ装置は、服薬指導後に処方箋情報を第2端末に送信することができる。
【0010】
上記[4]の構成の薬剤の発送システムによれば、照合画面を見ながら薬剤師が発送する薬剤の照合を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薬剤の在庫廃棄を抑制した薬剤の発送システム及びサーバ装置を得ることができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明のサーバ装置を組み込んだ薬剤の発送システムの一実施形態を示す概要図である。
図2図2は、図1に示す薬剤師用端末、患者用端末の構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示すセンタ用端末の構成を示すブロック図である。
図4図4は、図1に示すサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図5図5は、図1に示す薬剤の発送システムの動作を示すフローチャートである。
図6図6は、図1に示すセンタ用端末に表示される照合画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の薬剤の発送システム10は、医療機関20から処方箋をもらった患者30が薬剤師40からの服薬指導をオンライン(遠隔通信)で受けることができ、その後、ドラッグセンタ50から患者30に薬剤を発送できるシステムである。本実施形態では、調剤薬局60には、薬剤師40が配置されているが、薬剤の在庫保管を行っていない場合について説明する。即ち、複数の調剤薬局60の薬剤師40が服薬指導した薬剤は、服薬指導後、調剤薬局60から一括で各患者30に発送される。
【0016】
薬剤の発送システム10は、調剤薬局60に設置され、調剤薬局60に勤務する薬剤師40が使用する薬剤師用端末11(第1端末)と、医療機関20から処方箋をもらった患者30が使用する患者用端末12(第3端末)と、医療機関20に設置された医療機関用端末13(第4端末)と、ドラッグセンタ50に設置されたセンタ用端末14(第2端末)と、サーバ装置15と、を備えている。これら薬剤師用端末11、患者用端末12、医療機関用端末13及びセンタ用端末14と、サーバ装置15と、はインターネット通信網70を介して通信可能に設けられている。
【0017】
薬剤師用端末11、患者用端末12、医療機関用端末13、センタ用端末14は各々、プログラムに従って動作するコンピュータを内蔵したPC、タブレット、スマートフォンなどから構成されている。図1に示す例では、薬剤師用端末11、医療機関用端末13、センタ用端末14は、PCから構成され、患者用端末12は、スマートフォンやタブレットから構成されている。
【0018】
薬剤師用端末11は、複数の調剤薬局60毎に紐付けられ、調剤薬局60のIDが紐づけられている。図1に示す例では、1つの調剤薬局60に1つの薬剤師用端末11が紐づけられているが、1つの調剤薬局60に複数台の薬剤師用端末11が紐づけられていてもよい。
【0019】
薬剤師用端末11、患者用端末12は各々、図2に示すように、通信部101と、音声入力部102と、音声出力部103と、カメラ104と、表示部105と、操作部106と、制御部107と、を有している。
【0020】
通信部101は、インターネット通信網70に接続するための回路やアンテナ等から構成されている。音声入力部102は、マイクなどから構成され、薬剤師40、患者30の音声を入力することができる。音声出力部103は、スピーカなどから構成され、薬剤師40、患者30の音声を出力することができる。カメラ104は、周辺を撮影することができ、薬剤師40、患者30を撮影することができる。
【0021】
表示部105は、液晶ディスプレイなどから構成され、各種情報を表示することができる。操作部106は、キーボード、マウス(PCの場合)や、表示部105に設けたタッチパネル(タブレット、スマートフォン)などから構成され、薬剤師40、患者30の入力操作が行われる。
【0022】
制御部107は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備えたCPU(Central Processing Unit)で構成され、端末11、12全体の制御を司る。上述した薬剤師用端末11及び患者用端末12を通じて薬剤師40及び患者30が対面することにより、薬剤師40が患者30に対して服薬指導することができる。
【0023】
医療機関用端末13は、医療機関20に設置され、医療機関20のIDが紐づけられている。医療機関用端末13は、患者30に出した処方箋情報である電子処方箋(原本)をサーバ装置15に送信する。医療機関20は、患者30に対して電子処方箋の写し(紙)80を渡す。
【0024】
センタ用端末14は、ドラッグセンタ50に配置され、服薬指導が終了した電子処方箋を、サーバ装置15経由で受信する。ドラッグセンタ50は、薬剤が在庫保管されている。ドラッグセンタ50では、患者30宛てに電子処方箋に記載された薬剤を発送する。ドラッグセンタ50にも薬剤師90が配置され、この薬剤師90が、電子処方箋の内容と、発送する薬剤と、を照合する。
【0025】
センタ用端末14は、図3に示すように、通信部141と、表示部142と、操作部143と、制御部144と、を有している。通信部141は、インターネット通信網70に接続するための回路などで構成されている。表示部142は、液晶ディスプレイなどから構成され、各種情報を表示できる。操作部143は、キーボード、マウス(PCの場合)や、表示部142に設けたタッチパネル(タブレット、スマートフォン)などから構成されている。制御部144は、例えばRAM、ROMなどのメモリを備えたCPUで構成され、センタ端末14全体の制御を司る。また、センタ用端末14には、プリンター145やバーコードリーダ146などの外部機器が接続されている。
【0026】
サーバ装置15は、薬剤の発送システム10を提供する会社が所有し、図4に示すように、通信部151と、DB152と、制御部153と、を有している。通信部151は、インターネット通信網70に接続するための回路などで構成されている。DB152は、医療機関20の登録情報、調剤薬局60の登録情報(住所、勤務している薬剤師40の名前、人数など)や、患者30の登録情報(氏名、生年月日、性別、住所、保険者番号、患者用端末12のアドレス情報)が記録されている。制御部153は、例えばRAM、ROMなどのメモリを備えたCPUで構成され、サーバ装置15全体の制御を司る。
【0027】
次に、上述した構成の薬剤の発送システム10の動作を、図5を参照して説明する。調剤薬局60、患者30、医療機関20、ドラッグセンタ50は、各端末11~14に薬剤の発送システム10用のアプリケーションをインストールし、インストールしたアプリケーションを使って登録情報を入力し、登録情報をサーバ装置15に送信する。サーバ装置15は、受信した登録情報をDB152に格納する。
【0028】
医療機関20の医師は、患者30を診察し、必要に応じて処方箋を作成する。診察は、患者30が実際に医療機関20に出向いて行ってもよいし、オンラインで行ってもよい。処方箋には、患者30の氏名、生年月日、性別、保険者番号、処方箋番号(処方箋の識別情報)、医療機関名、処方した医師の名前、医師が処方した調剤薬の種類、量、服用法などが記載されている。
【0029】
診察後、医療機関20は、医師が作成した処方箋の写し又は上記処方箋に記載された処方箋番号を患者30に渡す。本実施形態では、患者30が医療機関20に出向いたものとし、図5に示すように、医療機関20が、処方箋の写し(紙)80を作成し(S1)、作成した処方箋の写し(紙)80を患者30に受領させる(S2)場合について説明する。処方箋の写し(紙)80を患者30に手渡しすることに限定されるものではなく、医療機関20が、患者用端末12に対して処方箋の写し又は処方箋番号を送信(インターネット通信網70経由でも直接通信でもよい)するようにしてもよい。
【0030】
また、医療機関20は、医療機関用端末13を操作して、電子処方箋(原本)をサーバ装置15に送信する(S3)。サーバ装置15の制御部153(以下、単にサーバ装置15と略記する)は、第2受信部として機能し、電子処方箋(原本)を受信すると(S4)、電子処方箋に記載された患者30の氏名、生年月日、保険者番号などからその患者30の登録情報をDB153から読み出し、電子処方箋と読み出した患者30の登録情報とを紐づける。その後、サーバ装置15は、第2送信部として機能し、患者30が服薬指導を希望する調剤薬局60の薬剤師用端末11に電子処方箋を送信する(S5)。
【0031】
服薬指導を希望する調剤薬局60は、患者30の登録情報に含めるようにしてもよい。この場合、サーバ装置15は、患者30の登録情報から希望する調剤薬局60を読み出し、読み出した調剤薬局60の薬剤師用端末11に電子処方箋を送信する。また、医療機関20が診察時に患者30から希望する調剤薬局60を聞き取り、電子処方箋と共に希望する調剤薬局60の情報をサーバ装置15に送信するようにしてもよい。
【0032】
薬剤師用端末11は、サーバ装置15から電子処方箋を受信すると(S6)、表示部105などに表示して、その旨を薬剤師40に伝える。薬剤師40は、服薬指導できる準備が整ったら、薬剤師用端末11を操作して、オンライン服薬指導モードにする(S7)。これにより、サーバ装置15、患者用端末12もオンライン服薬モードに切り替わる(S8、S9)。オンライン服薬指導モードにおいて、サーバ装置15は、オンライン服薬指導部として機能し、薬剤師用端末11及び患者用端末12を制御して、薬剤師用端末11及び患者用端末12介して薬剤師40が患者30に対して対面で服薬指導を行うことができるようにする。
【0033】
オンライン服薬指導モード中は、薬剤師40及び患者30は、薬剤師用端末11及び患者用端末12を通じて対面する。具体的には、薬剤師用端末11のカメラ104が撮影した薬剤師40の画像(動画)が患者用端末12の表示部105にリアルタイムに表示され、音声入力部102が入力した薬剤師40の音声が患者用端末12の音声出力部103からリアルタイムに出力される。また、患者用端末12のカメラ104が撮影した患者30の画像(動画)が薬剤師用端末11の表示部105にリアルタイムに表示され、音声入力部102が収音した患者30の音声が薬剤師用端末11の音声出力部103からリアルタイムに出力される。
【0034】
薬剤師40は、例えば、「鶴亀ドラッグ薬剤師の〇〇です。こんにちは。〇〇病院から出されたお薬の説明を行っていきます。先ず、お名前と生年月日を教えてください。説明の途中でも、分からないことや心配なことがあれば、おっしゃってください。」を患者30に声をかけて服薬指導をスタートさせる。
【0035】
薬剤師40は、服薬指導中に薬の名称、薬の効能,効果、薬の用法,用量、起こる可能性のある副作用について、飲み忘れたときの対応、治療完了後の薬の取り扱い、飲み合わせについて、余っている薬がないかの確認について説明する。
【0036】
薬剤師40は、服薬指導が終了すると例えば「それでは、ご説明を終了します。」と患者30に声をかけた後、薬剤師用端末11を操作した服薬指導が終了した旨の終了情報をサーバ装置15に送信する(S10)。サーバ装置15は、第1受信部として機能し、終了情報を受信すると(S11)、薬剤師用端末11及び患者用端末12の接続を切断して、オンライン服薬指導モードを終了する(S12~S14)。その後、サーバ装置15は、第1送信部として機能し、S4で受信した電子処方箋と、電子処方箋に紐づけた患者30の登録情報と、をセンタ用端末14に送信する(S15)。
【0037】
薬剤師用端末11は、サーバ装置15から電子処方箋と、患者30の登録情報と、を受信すると(S16)、受信した電子処方箋の発送伝票を作成するなどの発送処理を行う(S17)。発送伝票には、お届け先として、電子処方箋が出された患者30の患者名、住所、電話番号が記載され、送り元にはドラッグセンタ50の名称、住所が記載されている。また、発送伝票には、伝票番号が記載されると共に、電子処方箋を識別するためのバーコードが記載されている。
【0038】
ドラッグセンタ50に配置された薬剤師90は、薬剤師用端末11の発送処理により作成された発送伝票及び発送伝票に紐づけられた電子処方箋をプリンター145から印刷する。薬剤師90は、印刷された電子処方箋に従って薬を調合して薬剤を用意する。その後、薬剤師90は、センタ用端末14に接続されたバーコードリーダ146を用いて、発送伝票に印刷されたバーコードを読み取る。センタ用端末14は、発送伝票に印刷されたバーコードを読み取ると(S18)、バーコードに紐づけられた電子処方箋の照合画面Sを表示する(S19)。
【0039】
照合画面Sを図6に示す。照合画面Sには、患者チェック欄CC1と、処方チェック欄CC2と、が表示される。患者チェック欄CC1には、患者30の氏名、住所、電話番号のチェック欄が表示される。薬剤師90は、センタ用端末14に表示された患者30の氏名、住所、電話番号と、発送伝票に記載されたお届け先の氏名、住所、電話番号と、が一致していれば、マウスなどの操作部を操作して患者チェック欄CC1をチェックする。
【0040】
また、薬剤師90は、センタ用端末14に表示された患者30に処方された薬剤の種類、量、個数と、用意した薬剤の種類、量、個数と、が一致していれば、マウスなどの操作部を操作して処方チェック欄CC2をチェックする。その後、薬剤師90は、キーボードなどの操作部を操作して自身の名前を薬剤師名欄CC3に書き込むと、チェック完了ボタンB1が表示される。薬剤師90が、チェック完了ボタンB1を押すと、センタ用端末14は、電子処方箋、薬剤師名を含むチェック完了情報をサーバ装置15に送信する(S20)。サーバ装置15は、チェック完了情報を受信すると(S21)、電子処方箋にチェックした薬剤師名を紐づけてDB152に格納する。
【0041】
また、ドラッグセンタ50に勤める薬剤師90又は発送員は、薬剤師90が用意し、照合した薬剤を封筒や段ボール箱などの梱包材に梱包し、梱包材に発送伝票を張り付けて、梱包材を宅配業者に渡す。
【0042】
上述した実施形態によれば、サーバ装置15は、薬剤師用端末11から電子処方箋が示す薬剤の服薬指導が終了した旨の終了情報を受信すると、電子処方箋をセンタ用端末14に送信する。第2端末は、受信した処方箋情報が示す薬剤の発送処理を行う。これにより、各地にいる薬剤師40が薬剤師用端末11を用いて服薬指導を行った後、センタ用端末14の発送処理に従ってドラッグセンタ50から一括して患者30に薬剤の発送を行うことができる。このため、調剤薬局60などで薬剤の在庫を持たなくてもよく、薬剤の在庫廃棄を抑制することができる。
【0043】
また、上述した実施形態によれば、サーバ装置15は、オンライン服薬指導モード中に終了情報を受信すると、電子処方箋をセンタ用端末14に送信する。これにより、服薬指導の終わった薬剤の電子処方箋をセンタ用端末14に送信することができる。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、サーバ装置15が、医療機関20から送信された電子処方箋を受信し、薬剤師用端末11に送信する。サーバ装置15は、服薬指導後に電子処方箋をセンタ用端末14に送信することができる。
【0045】
また、上述した実施形態によれば、センタ用端末14は、電子処方箋を受信した後、電子処方箋が示す薬剤と、発送する薬剤と、を照合するための照合画面Sを表示する。これにより、照合画面Sを見ながら薬剤師が発送する薬剤の照合を行うことができる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、薬剤師用端末11及び患者用端末12を介して、オンライン服薬指導を行えるようにしていたが、これに限ったものではない。患者30が調剤薬局60に出向いて、服薬指導をしてもらってもよい。この場合も、薬剤師40は、調剤薬局60内で服薬指導を行った後、薬剤師用端末11を操作して終了情報をサーバ装置15に送信する。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、医療機関20からインターネット通信網70経由で薬剤師用端末11に電子処方箋を送信していたが、これに限ったものではない。薬剤師用端末11に、処方箋情報が入力されればよく、インターネット通信網70経由でなくてもよい。例えば、患者30が処方箋(紙)をもって調剤薬局60に出向いた場合は、処方箋(紙)をスキャナで読み取って薬剤師用端末11に入力するようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、調剤薬局60では薬剤の在庫管理を行っていなかったが、これに限ったものではない。例えば、調剤薬局60はよく出る薬剤については在庫管理を行ってもよい。患者30が調剤薬局60に出向いた場合、処方箋に記載された薬剤の在庫があれば、調剤薬局60に在庫のある薬剤を患者30に渡してもよい。この場合、薬剤師用端末11からサーバ装置15に送信する終了情報に、調剤薬局60が患者に渡した薬剤の情報を含めるようにすれば、ドラッグセンタ50では調剤薬局60に在庫のなかった薬剤を発送することができる。
【0050】
また、上述した実施形態によれば、薬剤師90は、照合画面Sを見て目視で、薬剤の種類の照合を行っていたが、これに限ったものではない。薬剤師90が用意した薬剤に種類を示すバーコードが印刷されている場合、このバーコードリーダ146を用いてバーコードを読み取り、薬剤の種類をセンタ用端末14に入力する。センタ用端末14は、入力された薬剤の種類と処方箋に記載された薬剤の種類と、を自動的に照合して、チェック欄にチェックするようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態によれば、薬剤師90は、操作部143を用いて薬剤師名をセンタ用端末14に入力していたが、これに限ったものではない。例えば、名札などに薬剤師を識別するバーコードを張り付け、バーコードリーダ146を用いてバーコードを読み取ることにより、薬剤師名をセンタ用端末14に入力するようにしてもよい。
【0052】
ここで、上述した本発明に係る薬剤の発送システム及びサーバ装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
処方箋情報が入力される第1端末(11)と、
薬剤の発送処理を行う第2端末(14)と、
前記第1端末(11)及び前記第2端末(14)と通信可能なサーバ装置(15)と、を備えた、
薬剤の発送システム(10)であって、
前記サーバ装置(15)は、前記第1端末(11)から前記処方箋情報が示す前記薬剤の服薬指導が終了した旨の終了情報を受信する第1受信部(153)と、前記第1受信部(153)が前記終了情報を受信すると前記処方箋情報を前記第2端末(14)に送信する第1送信部(153)と、を有し、
前記第2端末(14)は、受信した前記処方箋情報が示す前記薬剤の前記発送処理を行う、
薬剤の発送システム(10)。
[2]
[1]に記載の薬剤の発送システム(10)であって、
第3端末(12)をさらに備え、
前記サーバ装置(15)は、前記第3端末(12)と通信可能であり、前記第1端末(11)及び前記第3端末(12)を通じて薬剤師(40)及び患者(30)を対面させて、前記薬剤師(40)に服薬指導を行わせるオンライン服薬指導部(153)を備え、
前記第1送信部(153)は、前記オンライン服薬指導部(153)の制御中に前記第1受信部(153)が前記終了情報を受信すると、前記処方箋情報を前記第2端末(14)に送信する、
薬剤の発送システム(10)。
[3]
[1]又は[2]に記載の薬剤の発送システム(10)であって、
前記サーバ装置(15)は、医療機関に紐づけられた第4端末(13)から前記処方箋情報を受信する第2受信部(153)と、前記第2受信部(153)が受信した前記処方箋情報を前記第1端末(11)に送信して、前記第1端末(11)に前記処方箋情報を入力する第2送信部(153)と、をさらに有し、
前記第1送信部(153)は、前記第2送信部(153)が前記処方箋情報を送信した後、前記第1端末(11)から前記終了情報を受信すると、前記第2受信部(153)が受信した前記処方箋情報を前記第2端末(14)に送信する、
薬剤の発送システム(10)。
[4]
[1]~[3]何れか1項に記載の薬剤の発送システム(10)であって、
前記第2端末(14)は、前記処方箋情報を受信した後、前記処方箋情報が示す薬剤と、発送する薬剤と、を照合するための照合画面(S)を表示する、
薬剤の発送システム(10)。
[5]
処方箋情報が入力される第1端末(11)及び薬剤の発送処理を行う第2端末(14)と通信可能なサーバ装置(15)であって、
前記第1端末(11)から前記処方箋情報が示す前記薬剤の服薬指導が終了した旨の終了情報を受信する第1受信部(153)と、前記第1受信部(153)が前記終了情報を受信すると前記処方箋情報を前記第2端末(14)に送信する第1送信部(153)と、を有する、
サーバ装置(15)。
【符号の説明】
【0053】
10 薬剤の発送システム
11 薬剤師用端末(第1端末)
12 患者用端末(第3端末)
13 医療機関用端末(第4端末)
14 センタ用端末(第2端末)
15 サーバ装置
20 医療機関
30 患者
40 薬剤師
90 薬剤師
153 制御部(第1送信部、第1受信部、オンライン服薬指導部、第2受信部、第2送信部)
S 照合画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6