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  • 特許-エストロゲン活性調整剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】エストロゲン活性調整剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20240814BHJP
   A23G 4/06 20060101ALI20240814BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240814BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240814BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240814BHJP
   A61K 9/68 20060101ALI20240814BHJP
   A61K 36/889 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 5/30 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240814BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240814BHJP
   C07D 311/32 20060101ALI20240814BHJP
   A23C 9/13 20060101ALN20240814BHJP
   A23G 3/00 20060101ALN20240814BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20240814BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
A61K31/352
A23G4/06
A23L33/10
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/68
A61K36/889
A61P5/30
A61P7/02
A61P9/10 101
A61P13/00
A61P13/08
A61P15/02
A61P25/28
A61P35/00
C07D311/32
A23C9/13
A23G3/00
A23G3/34 101
A23L2/00 F
A23L2/52
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020138424
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2021130647
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2020026381
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594045089
【氏名又は名称】オリザ油化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹田 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】下田 博司
(72)【発明者】
【氏名】村井 弘道
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0133277(KR,A)
【文献】特開2018-100226(JP,A)
【文献】Da Yeon Lee et al.,New estrogenic compounds isolated from Broussonetia kazinoki,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2010年,20,3764-3767,DOI:10.1016/j.bmcl.2010.04.064
【文献】Timothy I. Richardson et al.,Benzopyrans as selective estrogen receptor β agonists (SERBAs). Part 2: Structure-activity relationship studies on the benzopyran scaffold,Timothy I. Richardson et al.,2007年,17,3570-3574,DOI:10.1016/j.bmcl.2007.04.051
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 36/889
A61K 9/00- 9/72
A61P
C07D 311/32
A23L 33/10
A23G 4/06
A23G 3/34
A23G 3/00
A23C 9/13
A23L 2/52
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で示されるフラバン化合物(A)を有効成分とするエストロゲン活性調整剤であって、エストロゲン非存在下ではエストロゲン様作用を示すことを特徴とするものであり、
前記化合物(A)は4'-ヒドロキシ 5,7-ジメトキシフラバン、5,4′-ジヒドロキシ-7-メトキシ-6-メチルフラバン、7,4'-ジヒドロキシ5-メトキシフラバン、6,7,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン、7,8,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするエストロゲン活性調整剤。
【化1】
上記化学式(1)においてX1~X4には、ヒドロキシル基、メトキシル基,メチル基、水素から選択される少なくとも一つが置換されている。
【請求項2】
アグアヘを非極性溶媒を主成分とする溶媒で抽出してアグアヘ抽出物を作製し、その後、前記アグアヘ抽出物を水と酢酸エチルで分離して酢酸エチル分画を得て、そして、前記酢酸エチル分画を精製することを特徴とする請求項1に記載の化合物(A)の製造方法。
【請求項3】
前記化合物(A)は、5,4′-ジヒドロキシ-7-メトキシ-6-メチルフラバンであることを特徴とする請求項2に記載の化合物(A)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エストロゲン活性調整剤に関する。本発明は、食品、健康食品、医薬品、医薬部外品等に広く利用される。
【背景技術】
【0002】
エストロゲン(卵胞ホルモンまたは女性ホルモン)は、ヒトの生殖器官の発生や分化、あるいは妊娠や性行動などに関与するステロイドホルモンであり、従来から、エストロゲンの欠乏によって、女性の更年期障害や様々な疾患が引き起こされることが知られている。具体的には、例えば、女性では萎縮性膣炎などの泌尿生殖器障害、男性では前立腺癌、前立腺肥大症、さらには男女共通では骨粗鬆症、動脈硬化、記憶障害、アルツハイマー病、血栓性疾患などが挙げられる。
【0003】
一方、エストロゲンは、ステロイド性の女性ホルモンであり、乳腺や子宮など多数の臓器に対して多様な生理活性を及ぼし、また、いくつかの臓器に対して発癌および癌の進行を促進することが知られている。
【0004】
したがって、ストロゲン非存在下ではエストロゲン様作用を示すが,エストロゲン存在下では拮抗的に働く剤が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景の下、本発明者は、所定の構造を有するフラバン化合物化が、エストロゲン非存在下ではエストロゲン様作用を示すことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、エストロゲン非存在下でエストロゲン様作用を示す新規な成分を有効成分とするエストロゲン活性調整剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.下記化学式(1)で示されるフラバン化合物(A)を有効成分とするエストロゲン活性調整剤であって、エストロゲン非存在下でエストロゲン様作用を示す。
【化1】

上記化合物においてX~X4には、水酸基、メトキシル基、メチル基、水素のいずれかが置換されている。
2.上記化合物(A)は4'-ヒドロキシ 5,7-ジメトキシフラバン、5,4′-ジヒドロキシ-7-メトキシ-6-メチルフラバン、7,4'-ジヒドロキシ5-メトキシフラバン、6,7,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン、7,8,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバンであることを特徴とする上記1.に記載のエストロゲン活性調整剤。
3.アグアヘを非極性溶媒を主成分とする溶媒で抽出してアグアヘ抽出物を作製し、その後、前記アグアヘ抽出物を水と酢酸エチルで分離して酢酸エチル分画を得て、そして、前記酢酸エチル分画を精製することを特徴とする上記1.の化合物(A)の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】フラバン化合物におけるエストロゲン活性試験の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記化学式(1)で示される化合物(A)を有効成分とすることを特徴とする。
【化2】
【0009】
尚、上記化合物においてX~X4には、水酸基、メトキシル基、メチル基、水素のいずれかが置換されている。
【0010】
即ち、上記化合物(A)として、例えば、4'-ヒドロキシ 5,7-ジメトキシフラバン、5,4'-ジヒドロキシ-7-メトキシ-6-メチルフラバン、7,4'-ジヒドロキシ5-メトキシフラバン、6,7,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン、7,8,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバンである。
【0011】
上記化合物(A)を得る方法は特に限定されないが、アグアヘを極性溶媒で抽出し、その後、上記アグアヘ抽出物を水と酢酸エチルで分離して酢酸エチル分画を得て、そして、前記酢酸エチル分画を精製することにより得ることができる。
アグアヘ(Aguaje)は、南米原産のヤシ科の植物であって、学名はMauritia flexuosa L.f.であり、別名:ミリチーザイス,アグアハーレス,オオミテングヤシ(和),Miriti palm(英)と呼ばれているものである。
【0012】
本発明において、アグアヘから上記化合物(A)を抽出する場合、その部位は特に限定されず、例えば、果実、種子、花、葉、根、茎等を用いることができ、特に果実を用いることが好ましい。上記化合物(A)を高濃度に抽出することができるからである。
【0013】
本発明において、アグアヘから上記化合物(A)を抽出する場合、その部位は特に限定されず、例えば、果実、種子、花、葉、根、茎等を用いることができ、特に果実を用いることが好ましい。有効成分を高濃度に抽出することができるからである。
【0014】
このとき、好ましい溶媒としては、n-ヘキサン、アセトン、酢酸エチル等の非極性溶媒を主成分とするものが好ましい。非極性溶媒を用いることにより、アグアヘ含有している多糖類の混入を除去することができるからである。
特に、非極性溶媒としてn-ヘキサンを用いることが好ましい。抽出物を食品素材等に利用しやすくなるからである。尚、これらの脱脂用の溶媒は、1種のみを用いても良いし2種以上併用しても良い。
【0015】
また、上記化合物(A)の抽出効率を高めるために、非極性溶媒を主成分としつつ、その一部に極性溶媒を含有する溶媒を用いることが好ましい。非極性溶媒のみの場合、十分な濃度の有効成分を抽出することが困難だからである。ここで極性溶媒は特に限定されないが、例えば、水、低級1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)、低級エステル(酢酸エチル等)、炭化水素(ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等)、アセトニトリル等が挙げられ、それらの一種又は二種以上を用いることができる。 抽出方法としては、撹拌抽出、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
また、最も好ましい組み合わせとしてはヘキサンとエタノールの混合物を用いることが好ましい。安全性が高く、食品素材の抽出に用いることができるからである。
【0016】
抽出溶媒としてヘキサンとエタノールの混合物を用いる場合、この割合は特に限定されないが、混合比ヘキサン/エタノールで60/40~99/1、更には、70/30~99/1とすることができる。より高濃度の上記化合物(A)を抽出することができるからである。
【0017】
また、上記アグアヘの果実として、乾燥、粉砕したものを用いることが好ましい。
生の場合の抽出方法としては、例えば、アグアヘの果実を圧搾後、上記溶媒で油分を分離する方法でもよいし、上記油分を圧搾により分離した後、圧搾物の残留油分を上記溶媒(脂溶性有機溶媒)により抽出分離しても良い。
【0018】
抽出温度としては、20~50℃、望ましくは30~40℃程度で行うとよい。抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくくなり、抽出温度が高すぎると、有効成分が劣化するからである。
【0019】
抽出方法としては、撹拌抽出、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0020】
具体的な抽出方法を示すと、処理槽に粗砕した原料(例えばアグアヘ果実の粉末)を投入し、抽出溶媒を満たし、攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば、抽出溶媒としてヘキサンとエタノールの混合液を用いる場合には、抽出原料の5~20倍量程度(重量比)の抽出溶媒を使用し、30分~2時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって抽出液を得る。
【0021】
そして、上記アグアヘ抽出物から上記化合物(A)を分離することによって、上記化合物(A)(エストロゲン活性調整剤)を得ることができる。
上記アグアヘ抽出物から、上記化合物(A)を分離する方法は特に限定されないが、アグアヘ抽出物を水と酢酸エチルに溶解させて、その後、酢酸エチル層を分配し、その後この酢酸エチル分画を精製することによって上記化合物(A)を得る。
【0022】
上記酢酸エチル分画を精製する方法は特に限定されないが、合成吸着樹脂、ゲル濾過樹脂等に抽出液を通して有効成分を吸着させ、これをメタノール、エタノール等で溶出させて濃縮を行うとよい。具体的には、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等が挙げられ、さらに具体的には、本明細書の実施例の方法にて上記化合物(A)を得ることができる。
【0023】
本発明のエストロゲン活性調整剤(上記化合物(A))は、各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては、例えば、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明のエストロゲン活性調整剤を適宜配合するとよい。
【0024】
これら飲食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L-アスコルビン酸、dl-α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。
【0025】
具体的な製法としては、エストロゲン活性調整剤をデキストリンとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また、前記目の疲れ改善剤及び肩こり改善剤を、例えば、油脂、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし、飲料に添加するか、固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム、デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0026】
本発明のエストロゲン活性調整剤を飲食品に適用する場合の添加量としては、飲食品に対して有効成分の含量が合計1~20wt%以下であるのが好ましい。
【0027】
本発明のエストロゲン活性調整剤は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。本発明のエストロゲン活性調整剤に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0028】
本発明のエストロゲン活性調整剤の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができるが、非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、溶液の状態、または分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、局所組織内投与、皮内、皮下、筋肉内および静脈内注射などによることができる。また、坐剤などの形態としてもよい。
【0029】
投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として0.5~5000mg程度投与することができる。エストロゲン活性調整剤の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3~15.0wt%、非経口投与による場合は、0.01~10wt%程度にするとよい。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【実施例
【0030】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明によって得られるエストロゲン活性調整剤の各種作用・効果等の確認のために説明するもので、本発明の範囲は、これらの製品および製法に限定されるものではない。
【0031】
実施例:アグアヘ果実のエストロゲン活性成分の単離
ペルー産アグアヘ果実乾燥粉末(2 kg)にヘキサンとエタノールの混合液(3 L)を加えて抽出(40℃,2時間)を行い、ろ液を濃縮・乾固してアグアヘ抽出物(124 g)を得た。なお、溶媒として使用したヘキサンとエタノール混合液は、ヘキサン/エタノール重量比で90/10である。
上記アグアヘ抽出物をシリカゲルカラムカラムクロマトグラフィーに付し,ヘキサン→ヘキサン:酢酸エチル(5:1)→ヘキサン:酢酸エチル(2:1)→ヘキサン:酢酸エチル(1:1)→酢酸エチル→メタノールで順次溶出し,溶媒を留去してヘキサン:酢酸エチル(2:1)分画(260 mg), ヘキサン:酢酸エチル(1:1)分画(260 mg),酢酸エチル分画(770 mg)およびメタノール分画(1.5 g)を得た。酢酸エチル分画(700 mg)を繰り返しHPLC(カラム:Capcelpack C18 20×250 mm, 大阪ソーダ,溶媒:メタノール:アセトン:水(3:3:4),検出:示差屈折)で精製し,7,8,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン(4.3 mg)を得た。ヘキサン:酢酸エチル(1:1)分画(200 mg)を繰り返しHPLC(カラム:Capcelpack C18 20×250 mm, 大阪ソーダ,溶媒:メタノール:アセトン:水(3:3:4),検出:示差屈折)で精製し,7,4'-ジヒドロキシ 5-メトキシフラバン(0.9 mg),4'-ヒドロキシ 5,7-ジメトキシフラバン(10 mg)、6,7,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン(9.2 mg)および5,4′-ジヒドロキシ-7-メトキシ-6-メチルフラバン(9.2 mg)を得た。
【0032】
試験例1:エストロゲン活性試験
方法:MCF-7細胞(2000 cells/100 uL)を活性炭処理ウシ胎児血清5%含有フェノールレッド不含D-MEM培地にサスペンドし,96穴プレートに播種した。1日培養後,サンプルを添加(DMSO終濃度0.1%)して4日間培養した。培地を除去し,MTTアッセイ(4時間反応)により,細胞増殖を測定した。その結果を図1に示す。
【0033】
結果及び試験例1における実施例の効果
図1に示されるように、上記化合物(A)に1 ug/mLで,増殖促進活性が見られた。その強度は6,7,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン,5,4′-ジヒドロキシ-7-メトキシ-6-メチルフラバン、7,4'-ヒドロキシ 5,7-ジメトキシフラバン,4'-ジヒドロキシ5-メトキシフラバン,7,8, 4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバンの順であった。
【0034】
実施例の効果
以上により、上記化合物(A)は、エストロゲン非存在下において、エストロゲン様活性を示すことが確認された。これにより、フラバン化合物(すなわち上記化合物(A))は、エストロゲン活性調整剤として有用であることが確認された。
【0035】
本発明によるエストロゲン活性調整剤の配合例を示す。尚、以下の配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
4'-ヒドロキシ 5,7-ジメトキシフラバン 0.5
100.0wt%
【0036】
配合例2:グミ
還元水飴 40.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブトウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
ユズ果汁 4.0
ユズフレーバー 0.6
色素 0.02
7,4'-ジヒドロキシ5-メトキシフラバン 1.0
100.0wt%
【0037】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.2
6,7,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン 0.4
100.0wt%
【0038】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
7,8,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0039】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
4'-ヒドロキシ 5,7-ジメトキシフラバン 0.3
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0040】
配合例6:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
7,4'-ジヒドロキシ5-メトキシフラバン 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0041】
配合例7:ソフトカプセル
玄米胚芽油 47.0wt%
ユズ種子油 40.0
乳化剤 12.0
6,7,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン 1.0
100.0wt%
【0042】
配合例8:錠剤
乳糖 54.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
7,8,4'-トリヒドロキシ 5-メトキシフラバン 1.0
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上により、本発明は、新規なエストロゲン活性調整剤及び上記化合物(A)の製造方法を提供することができる。
図1