IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産コパル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-開閉体監視装置 図1
  • 特許-開閉体監視装置 図2
  • 特許-開閉体監視装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】開閉体監視装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20240814BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20240814BHJP
   E05F 15/40 20150101ALI20240814BHJP
【FI】
E05F15/73
E06B9/84 D
E05F15/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020146796
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041540
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 浩一
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-338846(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030337(WO,A1)
【文献】特表2020-518533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0045327(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体として板状に形成される開閉体と、
前記開閉体の外枠を囲むように設置されるフレーム部材と、
前記フレーム部材の内部に埋め込まれ、前記開閉体の厚みを撮像する向きに設置される撮像装置と、
を有し、
前記撮像装置は、1台によって、前記開閉体の内側の監視と、前記開閉体の外側の監視と、前記開閉体自体の監視とを行う、
開閉体監視装置。
【請求項2】
請求項1記載の開閉体監視装置において、
前記フレーム部材は、
前記開閉体の天井部分となる第1の辺に設置される上部フレーム部材と、
前記第1の辺と交差し、互いに平行な第2の辺および第3の辺に設置される側部フレーム部材と、
を備え、
前記撮像装置は、前記側部フレーム部材の内部に設置される、
開閉体監視装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の開閉体監視装置において、
前記開閉体は、前記撮像装置と近接する部分に、光の透過性が高い材質で構成される透光部材を備える、
開閉体監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開閉体装置が自動的に閉鎖することによる閉じ込め等を防止できる開閉制御システムが示される。具体的には、当該開閉制御システムは、閉じ込め等の可能性のある領域での人の存在を検知する人感センサを備え、人感センサが人の存在を検知している場合には閉動作を行わないように制御する。人感センサは、赤外線等で検知するものや、監視カメラ等を用いて検知するものとなっている。
【0003】
特許文献2には、建物の外から出入口ドアに向かう訪問者を精度よく検知して撮影することができる撮影装置が示される。具体的には、当該撮影装置は、出入口の外側を撮像するカメラと、出入口の外側かつ近くを検知エリアとする人感センサと、出入口の外側かつ遠くを検知エリアとする人感センサと、制御部とを備える。制御部は、2個の人感センサによる検知の順番に基づいて訪問者か外出者かを判別し、訪問者である場合にカメラによる撮影を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-28249号公報
【文献】特開2019-83360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、シャッター等の開閉体の周りには、各種トラブルの記録や、セキュリティの強化といった様々な観点から監視カメラ(撮像装置)が設けられる場合が多い。この際には、例えば、特許文献2のような開閉体の外側の監視に限らず、開閉体の内側の監視や、挟み込みの状況等を記録するために開閉体自体の監視も必要とされ得る。この場合、通常、開閉体の周りの様々な箇所に複数台の監視カメラをそれぞれ設置するような方式が用いられる。しかし、このような方式では、コストの増大や、設置スペースの増大等が生じる恐れがあった。
【0006】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、開閉体の周りを低コストで監視することが可能な開閉体監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開閉体監視装置は、全体として板状に形成される開閉体と、前記開閉体の外枠を囲むように設置されるフレーム部材と、前記フレーム部材の内部に埋め込まれ、前記開閉体の厚みを撮像する向きに設置される撮像装置と、を有する。
【0008】
本発明の一態様では、前記フレーム部材は、前記開閉体の天井部分となる第1の辺に設置される上部フレーム部材と、前記第1辺と交差し、互いに平行な第2の辺および第3の辺に設置される側部フレーム部材と、を備え、前記撮像装置は、前記側部フレーム部材の内部に設置される。
【0009】
本発明の一態様では、前記開閉体は、前記撮像装置と近接する部分に、光の透過性が高い材質で構成される透光部材を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開閉体の周りを低コストで監視することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1による開閉体監視装置の構成例を示す概略図である。
図2図1の開閉体監視装置において、主要部のシステム構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態2による開閉体監視装置の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
(実施の形態1)
《開閉体監視装置の概略》
図1は、本発明の実施の形態1による開閉体監視装置の構成例を示す概略図である。図1には、開閉体監視装置10の正面図(XZ平面図)、側面図(YZ平面図)、および平面図(XY平面図)が示される。開閉体監視装置10は、開閉体16と、フレーム部材15と、撮像装置(監視カメラ)20とを備える。当該開閉体監視装置10は、例えば、車のガレージや倉庫の出入り口等を代表に、様々な箇所に適用される。
【0014】
開閉体16は、代表的には、シャッターであり、全体として板状に形成される。開閉体16は、幅W、高さH、厚みTを備える。図1では、幅Wの方向をX軸方向とし、高さHの方向をZ軸方向とし、厚みTの方向をY軸方向とする。図1には、代表的なシャッターとして、複数の金属板を繋ぎ合わせることで、全体として板状に形成されるシャッター構成例が示される。ただし、シャッターは、このような構成に限らず、例えば、金属製のパイプを格子状に組み立てることで全体として板状に形成されるようなものであってもよい。さらに、開閉体16は、シャッターに限らず、スライド式の窓や扉等であってもよい。
【0015】
開閉体16は、天井部分の辺となる上辺SD1と、上辺SD1に平行な地面部分の辺となる下辺SD4と、上辺SD1と交差し、互いに平行な辺となる測辺SD2,SD3とによって外枠が形成される。フレーム部材15は、上部フレーム部材15aと、側部フレーム部材15bとを備え、開閉体16の外枠を囲むように設置される。上部フレーム部材15aは、開閉体16の上辺SD1に設置され、側部フレーム部材15bは、開閉体16の測辺SD2,SD3に設置される。
【0016】
撮像装置20は、フレーム部材15の内部に埋め込まれ、開閉体16の厚みTを撮像する向きに設置される。この例では、撮像装置20は、側部フレーム部材15bの内部に設置される。撮像装置20は、例えば、レンズの径が15mm程度の広角カメラである。撮像装置20の画角θは、例えば、90°以上、望ましくは、120°以上である。
【0017】
このような構成により、複数台ではなく1台の撮像装置20によって、開閉体16の内側の監視と、開閉体16の外側の監視と、開閉体16自体の監視とが実現可能になる。すなわち、例えば、開閉体16の内外に存在する人を監視したり、開閉体16によって車等が挟まれた状況等を監視することができる。その結果、開閉体16の周りを低コストで監視することが可能になる。
【0018】
なお、例えば、撮像装置20の画角θが140°である場合を例として、図1の平面図(XY平面図)では、撮像装置20は、Z軸周りに関し、開閉体16の外側に向けた画角と内側に向けた画角とが均等(すなわち共に70°)となるように設置される。ただし、例えば、開閉体16の外側に向けた監視がより重要な場合等で、撮像装置20は、開閉体16の外側に向けた画角(例えば80°)と内側に向けた画角(60°)とが不均等となるように設置されてもよい。
【0019】
同様に、図1の正面図(XZ平面図)におけるY軸周りに関し、撮像装置20は、天井方向(上辺SD1)に向けた画角と、地面方向(下辺SD4)に向けた画角とが均等となるように設置されてもよく、不均等となるように設置されてもよい。例えば、挟み込みの状況を監視する観点から、撮像装置20は、地面方向(下辺SD4)に向けた画角が天井方向(上辺SD1)に向けた画角よりも大きくなるように設置されてもよい。
【0020】
また、撮像装置20は、側部フレーム部材15bに限らず、上部フレーム部材15aに設置されてもよい。ただし、例えば、次のような理由で側部フレーム部材15bに設置される方がより望ましい。第1に、側部フレーム部材15bに設置した方が、開閉体16の内外に存在する人の顔をより鮮明に撮像し易くなる。第2に、開閉体16がZ軸方向に駆動される場合、上部フレーム部材15aには、通常、開閉体16の巻き取り機構等が設けられるため、側部フレーム部材15bの方が設置スペースを確保し易い。第3に、開閉体16がZ軸方向に駆動される場合で何らかの挟み込みが生じた場合、側部フレーム部材15bに設置した方が、挟み込みの状況を撮像し易い。
【0021】
《開閉体監視装置のシステム構成》
図2は、図1の開閉体監視装置において、主要部のシステム構成の一例を示すブロック図である。図2に示す開閉体監視装置10は、撮像装置20と、システム制御装置30と、開閉駆動装置35と、開閉スイッチ36と、画像出力装置37とを備える。撮像装置20は、イメージセンサ25と、画像処理器26と、メモリ28と、コントローラ27とを備える。イメージセンサ25は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、またはCCD(Charge Coupled Device)センサ等であり、撮像によって画像データを取得し、メモリ28に保存する。
【0022】
画像処理器26は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やCPU(CentralProcessing Unit)等で構成され、イメージセンサ25で取得された画像データを所定の画像フォーマットに変換し、メモリ28に保存する。さらに、画像処理器26は、例えば、画像データから人を検出したり、人の顔を検出するといった画像処理を行ってもよい。このような画像処理は、例えば、防犯面に役立てることができる。コントローラ27は、CPU等で構成され、撮像装置20全体を制御する。
【0023】
開閉スイッチ36は、リモコンスイッチや、フレーム部材15等に設置された固定スイッチ等であり、ユーザの操作に応じて、開閉体16の開命令信号、閉命令信号、停止命令信号等を出力する。開閉駆動装置35は、例えば、モータや、モータドライバ等を備え、開閉スイッチ36からの各種命令信号に応じて開閉体16を駆動する。画像出力装置37は、例えば、ディスプレイ等であり、撮像装置20のメモリ28に保存された画像データ等を表示する。
【0024】
システム制御装置30は、例えば、マイクロコントローラ等で構成され、開閉体監視装置10全体を制御する。例えば、システム制御装置30は、開閉駆動装置35によって挟み込みが検知された場合に、アラームを発生するような処理や、その際の画像データを抽出するような処理を行ってもよい。また、システム制御装置30は、画像データから人が検出された場合に、アラームを発生するような処理や、その際の画像データを抽出するような処理を行ってもよい。さらに、システム制御装置30は、画像データから抽出された顔データに基づいて、開閉体16の操作を許可するような顔認証を行ってもよい。
【0025】
《実施の形態1の主要な効果》
以上、実施の形態1の開閉体監視装置を用いることで、代表的には、開閉体16の周りを低コストで監視することが可能になる。また、撮像装置20の設置スペースを増大させることなく、開閉体16の周りを監視することが可能になる。
【0026】
(実施の形態2)
《開閉体監視装置の概略》
図3は、本発明の実施の形態2による開閉体監視装置の構成例を示す概略図である。図3に示す開閉体監視装置10aは、図1の構成例と比較して、撮像装置20と近接する部分に、透光部材17を備える点が異なっている。透光部材17は、例えば、ガラスや、アクリルといった光の透過性が高い(理想的には透明な)材質で構成される。
【0027】
例えば、図1の構成例の場合、平面図(XY平面図)から分かるように、開閉体16の厚みTによって撮像装置20の画角内に死角が生じ得る。死角を減らすためには、例えば、開閉体16と撮像装置20との距離をある程度長くする必要がある。ただし、フレーム部材15の材質やサイズ等によっては、この距離を十分に確保できない場合がある。一方、図3の構成例では、透光部材17を設けることで、開閉体16と撮像装置20との距離が短い場合であっても、死角を減らすことが可能になる。
【0028】
《実施の形態2の主要な効果》
以上、実施の形態2の開閉体監視装置を用いることでも、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。さらに、実施の形態1の場合と比較して、開閉体16が遮光板等で構成される場合であっても、死角を減らし、本来の画角を維持することが可能になる。また、実施の形態1の場合と比較して、撮像装置20の設置スペースに対する制限を緩和することが可能になる。
【0029】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0030】
10,10a 開閉体監視装置
15 フレーム部材
15a 上部フレーム部材
15b 側部フレーム部材
16 開閉体
17 透光部材
20 撮像装置
25 イメージセンサ
26 画像処理器
27 コントローラ
28 メモリ
30 システム制御装置
35 開閉駆動装置
36 開閉スイッチ
37 画像出力装置
H 高さ
SD1 上辺
SD2,SD3 測辺
SD4 下辺
T 厚み
W 幅
θ 画角
図1
図2
図3