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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ノイズ除去機及びノイズ除去装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/06 20060101AFI20240814BHJP
   H01F 27/30 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01F17/06 K
H01F17/06 D
H01F27/30 101A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020147292
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042091
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】新渡戸 祐二
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-215096(JP,A)
【文献】特開2019-087602(JP,A)
【文献】特開2019-207908(JP,A)
【文献】特開平09-022821(JP,A)
【文献】特開2013-110170(JP,A)
【文献】特開2017-037914(JP,A)
【文献】特開2021-163797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/06
H01F 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が挿通される貫通部を有する磁性体コアと、
前記磁性体コアを収容し、前記磁性体コアの貫通部と連通する第1の貫通部を有するコアケースと、
を備え、
前記コアケースは、当該コアケースから突出する突出筒状部の内周面によって形成され、結束バンドを挿通可能な第2の貫通部を有し、
前記コアケースの第2の貫通部は、当該第2の貫通部にボルト孔が形成された固定板が有する係合部が挿入された状態で、前記固定板の係合部が係合される被係合部を有し、
前記固定板の係合部と前記コアケースの第2の貫通部の被係合部とが係合されることで、前記コアケースが前記固定板に固定される、ノイズ除去機。
【請求項2】
前記コアケースの第2の貫通部は、前記コアケースにおける第1の貫通部が貫通する側壁部に形成されている、請求項1に記載のノイズ除去機。
【請求項3】
前記被係合部は、前記コアケースの第2の貫通部における前記第1の貫通部の中心軸の側の面に対して逆側の面に設けられている、請求項2に記載のノイズ除去機。
【請求項4】
前記コアケースは、当該コアケースにおける第1の貫通部が貫通する側壁部の間に配置され、前記コアケースの周壁部を成す周壁筒状部に設けられたヒンジを介して開閉可能であり、
前記コアケースの第2の貫通部は、前記コアケースの周壁筒状部に形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のノイズ除去機。
【請求項5】
前記コアケースは、前記固定板と面接触する平坦部を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のノイズ除去機。
【請求項6】
前記コアケースの第2の貫通部は、前記コアケースが前記固定板に固定された状態で当該固定板の厚さ方向と等しい方向に前記コアケースの突出筒状部を貫通し、前記コアケースが前記固定板に固定された状態で当該固定板の厚さ方向から見て、前記コアケースの第1の貫通部の中心軸を間にして両側に配置されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のノイズ除去機。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のノイズ除去機と、
前記コアケースの第2の貫通部の被係合部に係合される係合部と、ボルトが挿通されるボルト孔と、を有する固定板と、
を備える、ノイズ除去装置。
【請求項8】
前記固定板のボルト孔は、当該固定板に嵌め込まれたインサートカラーによって形成されている、請求項に記載のノイズ除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ノイズ除去機及びノイズ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なノイズ除去機は、特許文献1に開示されているように、凹部が形成された分割コアが夫々、開閉可能なコアケースの両側に嵌め込まれた構成とされている。そして、一般的なノイズ除去機は、一方の分割コアの凹部に配線を配置し、分割コアの凹部が向かい合うようにコアケースを閉じることで、分割コアの凹部で形成された貫通部に配線が挿通された状態とされる。
【0003】
ここで、特許文献1のノイズ除去機は、コアケースに形成された固定バネによって配線の位置を固定できる構成とされている。また、特許文献1のノイズ除去機は、コアケースに形成されたねじ止め固定用穴にボルトを挿通して他の部材に固定できる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平7-10484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、以下の課題を見出した。ノイズ除去機の磁性体コアの貫通部には、配線としてケーブルやバスバーが挿通される。このとき、ノイズ除去機の磁性体コアの貫通部にケーブルが挿通される場合、例えば、結束バンドなどでノイズ除去機をケーブルに固定する場合がある。一方、ノイズ除去機の磁性体コアの貫通部にバスバーが挿通される場合、バスバーとノイズ除去機との相対的な位置関係を固定するために、ノイズ除去機をボルトなどで他の部材に固定する場合がある。
【0006】
そのため、磁性体コアの貫通部にケーブルが挿通される場合と、磁性体コアの貫通部にバスバーが挿通される場合と、の両方を想定して、結束ケーブルを挿通するための貫通部、及びボルトを挿通するためのボルト孔がコアケースに設けられている。
【0007】
よって、コアの貫通部にバスバーが挿通されないノイズ除去機であっても、ボルト孔をコアケースに設けており、ノイズ除去機の製造コストが嵩む課題を有する。一方、要望されるボルトのサイズやボルト孔の位置に応じて、適宜、コアケースを設計変更する必要があり、やはり、ノイズ除去機の製造コストが嵩む課題を有する。
【0008】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストを抑制しつつ、磁性体コアの貫通部にケーブル又はバスバーを挿通可能なノイズ除去機及びノイズ除去装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るノイズ除去機は、
配線が挿通される貫通部を有する磁性体コアと、
前記磁性体コアを収容し、前記磁性体コアの貫通部と連通する第1の貫通部を有するコアケースと、
を備え、
前記コアケースは、結束バンドを挿通可能な第2の貫通部を有し、
前記コアケースの第2の貫通部は、ボルト孔が形成された固定板が有する係合部が係合される被係合部を有し、
前記固定板の係合部と前記コアケースの第2の貫通部の被係合部とが係合されることで、前記コアケースが前記固定板に固定される。
【0010】
上述のノイズ除去機において、前記コアケースの第2の貫通部は、前記コアケースにおける第1の貫通部が貫通する側壁部に形成されていることが好ましい。
【0011】
上述のノイズ除去機において、前記被係合部は、前記コアケースの第2の貫通部における前記第1の貫通部の中心軸の側の面に対して逆側の面に設けられていることが好ましい。
【0012】
上述のノイズ除去機において、前記コアケースは、当該コアケースにおける第1の貫通部が貫通する側壁部の間に配置された筒状部に設けられたヒンジを介して開閉可能であり、
前記コアケースの第2の貫通部は、前記コアケースの筒状部に形成されていることが好ましい。
【0013】
上述のノイズ除去機において、前記コアケースは、前記固定板と面接触する平坦部を有することが好ましい。
【0014】
本開示の一態様に係るノイズ除去装置は、
上述のノイズ除去機と、
前記コアケースの第2の貫通部の被係合部に係合される係合部と、ボルトが挿通されるボルト孔と、を有する固定板と、
を備える。
【0015】
上述のノイズ除去装置において、前記固定板のボルト孔は、当該固定板に嵌め込まれたインサートカラーによって形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、製造コストを抑制しつつ、磁性体コアの貫通部にケーブル又はバスバーを挿通可能なノイズ除去機及びノイズ除去装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1のノイズ除去装置をZ軸+側から見た斜視図である。
図2】実施の形態1のノイズ除去装置において、ノイズ除去機が開いた状態をZ軸+側から見た斜視図である。
図3】実施の形態1のノイズ除去装置におけるノイズ除去機が開いた状態をZ軸+側から見た斜視図である。
図4】実施の形態1のノイズ除去装置の固定板をZ軸+側から見た斜視図である。
図5】コアケースの被係合部と固定板の係合部とが係合された状態を示す拡大図である。
図6図5のVI-VI断面図である。
図7】実施の形態1のノイズ除去機にケーブルを挿通して固定した状態をZ軸+側から見た斜視図である。
図8】実施の形態1のノイズ除去機にケーブルを挿通して固定した状態をZ軸-側から見た斜視図である。
図9】実施の形態1のノイズ除去機を固定板に固定する様子をZ軸+側から見た斜視図である。
図10】実施の形態1のノイズ除去機にバスバーを挿通する様子をZ軸+側から見た斜視図である。
図11】実施の形態1のノイズ除去機にバスバーを挿通した状態をZ軸+側から見た斜視図である。
図12】実施の形態2のノイズ除去機にケーブルを挿通して固定した状態をZ軸+側から見た斜視図である。
図13】実施の形態2のノイズ除去機にケーブルを挿通して固定した状態をZ軸+側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0019】
<実施の形態1>
先ず、本実施の形態のノイズ除去装置の構成を説明する。ここで、以下の説明では、説明を明確にするために、三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。そして、以下のノイズ除去装置の構成の説明は、ノイズ除去機が閉じた状態を基準として説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態のノイズ除去装置をZ軸+側から見た斜視図である。図2は、本実施の形態のノイズ除去装置において、ノイズ除去機が開いた状態をZ軸+側から見た斜視図である。図3は、本実施の形態のノイズ除去装置におけるノイズ除去機が開いた状態をZ軸+側から見た斜視図である。図4は、本実施の形態のノイズ除去装置の固定板をZ軸+側から見た斜視図である。
【0021】
本実施の形態のノイズ除去装置1は、図1及び図2に示すように、ノイズ除去機2及び固定板3を備えている。ノイズ除去機2は、図3に示すように、磁性体コア21及びコアケース22を備えている。
【0022】
磁性体コア21は、X軸方向から見て扁平楕円筒状(即ち、オーバル状)であり、磁性体コア21の略中央にX軸方向に貫通する貫通部21aが形成された軟磁性フェライトである。貫通部21aは、配線であるケーブルやバスバーを挿通可能な空間を形成し、例えば、X軸方向から見て扁平楕円柱状である。
【0023】
このような磁性体コア21は、図2及び図3に示すように、第1の分割コア21bと第2の分割コア21cとに分割されている。磁性体コア21は、例えば、XY平面が対称面となるように、第1の分割コア21bと第2の分割コア21cとに分割されている。
【0024】
そのため、第1の分割コア21bの凹部21dと第2の分割コア21cの凹部21eとが向かい合うように、第1の分割コア21bと第2の分割コア21cとを突き合わせることで貫通部21aが形成される。
【0025】
コアケース22は、図1乃至図3に示すように、磁性体コア21を収容する。コアケース22は、例えば、第1の筒状部22a、第1の側壁部22b、第2の側壁部22c、第1の貫通部22d及び第2の貫通部22eを備えている。第1の筒状部22aは、磁性体コア21の外周面と略等しい内周面を有する扁平楕円筒状であり、図3に示すように、第1の筒状部22aのZ軸+側の面及びZ軸-側の面に平坦部22fを備えている。
【0026】
第1の側壁部22bは、図1に示すように、第1の筒状部22aのX軸+側の開口部を塞ぐように当該第1の筒状部22aに固定されている。第2の側壁部22cは、第1の筒状部22aのX軸-側の開口部を塞ぐように当該第1の筒状部22aに固定されている。
【0027】
第1の貫通部22dは、磁性体コア21の貫通部21aと略等しい形状の扁平楕円柱状であり、コアケース22をX軸方向に貫通する。つまり、第1の貫通部22dは、第1の側壁部22b、第1の筒状部22aの内部及び第2の側壁部22cを貫通する。
【0028】
これらの第1の筒状部22a、第1の側壁部22b、第2の側壁部22c及び第1の貫通部22dは、図3に示すように、XY平面が対称面となるように、第1の分割ケース22gと第2の分割ケース22hとに分割されている。
【0029】
そして、図3に示すように、第1の分割ケース22gと第2の分割ケース22hとが開閉可能に、第1の分割ケース22gのY軸-側の端部と第2の分割ケース22hのY軸-側の端部とがヒンジ22iによって連結されている。
【0030】
また、第1の分割ケース22gと第2の分割ケース22hとは、図1に示すように、係止部22jを介して閉じた状態で固定可能である。係止部22jは、図3に示すように、係合部22k及び被係合部22lを備えている。係合部22kは、コアケース22からY軸+側に突出する爪部を有するスナップフィットを備えており、例えば、第2の分割ケース22hのY軸+側の端部に設けられている。
【0031】
被係合部22lは、図3に示すように、係合部22kの爪部が係合される貫通部を備えており、第1の分割ケース22gのY軸+側の端部に設けられている。但し、係合部22kが第1の分割ケース22gに設けられ、被係合部22lが第2の分割ケース22hに設けられてもよい。
【0032】
これらの第1の分割ケース22gに第1の分割コア21bが嵌め込まれ、第2の分割ケース22hに第2の分割コア21cが嵌め込まれている。これにより、X軸方向から見て、第1の分割コア21bと第2の分割コア21cとで形成される貫通部21aと、第1の分割ケース22gと第2の分割ケース22hとで形成される第1の貫通部22dと、が略重なるように配置されている。
【0033】
第2の貫通部22eは、詳細は後述するが、結束バンドによってノイズ除去機2をケーブルに固定する際に当該結束バンドが挿通される。第2の貫通部22eは、例えば、図3に示すように、Z軸方向に貫通する第2の筒状部22mの内周面によって形成されている。第2の筒状部22mは、Z軸方向から見て四角筒状を基本形態としている。そのため、第2の貫通部22eは、略四角柱状である。
【0034】
第2の筒状部22mは、図3に示すように、第2の分割ケース22hからX軸方向に突出するように、第2の分割ケース22hの第1の側壁部22b及び第2の側壁部22cに設けられている。このとき、第2の筒状部22mは、例えば、図1に示すように、Y軸方向において、コアケース22における第1の貫通部22dの中心軸AX1を挟んで両側に配置されているとよい。
【0035】
詳細には、第2の筒状部22mは、コアケース22の第1の貫通部22dのY軸+側の部分近傍及び当該第1の貫通部22dのY軸-側の部分近傍に配置されているとよい。但し、詳細は後述するが、結束バンドによってノイズ除去機2をケーブルに固定するための当該結束バンドを挿通することができれば、第2の筒状部22mの形状や配置は限定されない。
【0036】
第2の筒状部22mは、図3に示すように、被係合部22nを備えている。言い換えると、第2の貫通部22eは、被係合部22nを備えていることになる。ここで、図5は、コアケースの被係合部と固定板の係合部とが係合された状態を示す拡大図である。図6は、図5のVI-VI断面図である。
【0037】
詳細は後述するが、図5及び図6に示すように、第2の貫通部22eに固定板3の係合部32が挿入された状態で、被係合部22nに固定板3の係合部32が係合される。このとき、詳細な機能は後述するが、被係合部22nは、第2の貫通部22eにおける第1の貫通部22dの中心軸AX1の側の面に対して逆側の面に配置されているとよい。
【0038】
被係合部22nは、第2の貫通部22eの内側に突出する爪部を有するスナップフィットを備えており、スナップフィットの爪部が被係合部22nのZ軸-側の端部に配置されている。
【0039】
被係合部22nは、第2の筒状部22mにおける第1の貫通部22dの中心軸AX1の側の側壁部に対して逆側の側壁部に形成された切り欠き部22oの内部に配置されており、当該被係合部22nのZ軸+側の端部が当該切り欠き部22oのZ軸+側の端部に弾性変形可能に連結されている。
【0040】
固定板3は、図4に示すように、平板部31、係合部32及び貫通部33を備えている。平板部31は、平板部31のZ軸+側の面及びZ軸-側の面に平坦面を備えており、図1に示すように、平板部31のZ軸+側の面にノイズ除去機2が搭載される。
【0041】
係合部32は、図6に示すように、固定板3にノイズ除去機2が搭載される際に当該ノイズ除去機2のコアケース22の被係合部22nに係合される。そのため、係合部32は、Z軸方向から見て、ノイズ除去機2のコアケース22の被係合部22nと対応するように配置されている。
【0042】
係合部32は、Y軸方向において平板部31の周縁の側に突出する爪部を有するスナップフィットを備えており、スナップフィットの爪部が係合部32のZ軸+側の端部に配置されている。このような係合部32は、平板部31のZ軸+側に突出するように、係合部32のZ軸-側の端部が平板部31のZ軸+側の面に弾性変形可能に連結されている。
【0043】
貫通部33は、詳細は後述するが、ボルトが挿通されるボルト孔であり、図4に示すように、平板部31をZ軸方向に貫通する。このとき、貫通部33は、平板部31に嵌め込まれたインサートカラー34の内周面によって形成されているとよい。インサートカラー34は、例えば、金属製の筒体であり、例えば、固定板3を樹脂成型する際にインサートされる。
【0044】
次に、本実施の形態のノイズ除去機2にケーブルを挿通して固定する流れを説明する。図7は、本実施の形態のノイズ除去機にケーブルを挿通して固定した状態をZ軸+側から見た斜視図である。図8は、本実施の形態のノイズ除去機にケーブルを挿通して固定した状態をZ軸-側から見た斜視図である。
【0045】
先ず、固定板3から取り外されたノイズ除去機2の第1の分割ケース22gと第2の分割ケース22hとを開いた状態で、第2の分割コア21cの凹部21eにX軸方向に延在するケーブル4を配置し、第1の分割ケース22gと第2の分割ケース22hとを閉じて係止部22jによって固定する。
【0046】
次に、図7及び図8に示すように、コアケース22の第2の貫通部22eに結束バンド5のバンド5aを通して、当該結束バンド5のバンド5aでケーブル4を巻き込み、結束バンド5のバンド5aをヘッド5bに挿入する。これにより、結束バンド5によってノイズ除去機2をケーブル4に固定することができる。
【0047】
このとき、コアケース22の被係合部22nが、第2の貫通部22eにおける第1の貫通部22dの中心軸AX1の側の面に対して逆側の面に配置され、且つ、第2の筒状部22mがコアケース22の第1の貫通部22dのY軸+側の部分近傍又は当該第1の貫通部22dのY軸-側の部分近傍に配置されている場合、結束バンド5のバンド5aが弾性変形し易いスナップフィットの爪部を有する被係合部22nに干渉することを抑制できる。そのため、結束バンド5によってノイズ除去機2をケーブル4に確実に固定することができる。
【0048】
このように配線がケーブル4の場合、固定板3を省略することができる。そのため、予め配線がケーブル4であることが判っている場合、ノイズ除去機2をボルトによって他の部材に固定するための構成を省略することができる。そのため、ノイズ除去機2を安価に製造することができる。しかも、ノイズ除去機2を小型化することができる。
【0049】
次に、本実施の形態のノイズ除去機にバスバーを挿通して当該ノイズ除去機を固定板に固定する流れを説明する。図9は、本実施の形態のノイズ除去機を固定板に固定する様子をZ軸+側から見た斜視図である。図10は、本実施の形態のノイズ除去機にバスバーを挿通する様子をZ軸+側から見た斜視図である。図11は、本実施の形態のノイズ除去機にバスバーを挿通した状態をZ軸+側から見た斜視図である。
【0050】
先ず、図9に示すように、固定板3の貫通部33にボルト6を挿通して、ボルト6を介して固定板3を他の部材に固定する。このとき、固定板3の貫通部33は、インサートカラー34の内周面によって形成されているため、ボルト6の軸力による固定板3の変形を抑制することができる。
【0051】
次に、ノイズ除去機2の第1の分割ケース22gと第2の分割ケース22hとを開いた状態で、ノイズ除去機2の第2の貫通部22eに固定板3の係合部32を挿入する。これにより、ノイズ除去機2の被係合部22nに固定板3の係合部32が係合され、図2に示すように、ノイズ除去機2が固定板3に固定される。
【0052】
このとき、ノイズ除去機2のコアケース22に平坦部22fを備えている場合、当該平坦部22fと固定板3の平板部31のZ軸+側の面とを略面接触させることができ、ノイズ除去機2を固定板3に安定して固定することができる。
【0053】
次に、図10に示すように、第2の分割コア21cの凹部21eにX軸方向に延在するバスバー7を配置する。その後、図11に示すように、第1の分割ケース22gと第2の分割ケース22hとを閉じて係止部22jによって固定する。これにより、固定板3を介してノイズ除去機2を他の部材に固定し、ノイズ除去機2とバスバー7との相対的な位置を固定することができる。
【0054】
このように配線がバスバー7の場合、固定板3を介してノイズ除去機2を他の部材に固定することができる。そのため、予め配線がバスバー7であることが判っている場合に固定板3を用意すればよく、特に、要望されるボルト6のサイズや貫通部33の位置が共通の場合、共通の固定板3を用意すればよい。つまり、固定板3を汎用することができる。一方、要望されるボルト6のサイズや貫通部33の位置が異なる場合でも、ノイズ除去機2を汎用することができる。そのため、ノイズ除去装置1を安価に製造することができる。
【0055】
一般的なノイズ除去機では、配線がバスバーか否かに拘わらず、ボルトによってノイズ除去機を他の部材に固定するための構成を、ノイズ除去機をケーブルに固定するための構成とは別に備えているが、本実施の形態のノイズ除去機2では、ノイズ除去機2を他の部材に固定するための第2の貫通部22eを、ノイズ除去機2をケーブル4に固定する際も併用することができる。
【0056】
そのため、製造コストを抑制しつつ、磁性体コア21の貫通部21aにケーブル4又はバスバー7を挿通可能なノイズ除去機2及びノイズ除去装置1を実現することができる。しかも、ノイズ除去機2を小型化することができる。
【0057】
また、要望されるボルト6のサイズや貫通部33の位置が共通の場合、共通の固定板3を汎用することができる。一方、要望されるボルト6のサイズや貫通部33の位置が異なる場合でも、ノイズ除去機2を汎用することができる。そのため、ノイズ除去装置1を安価に製造することができる。
【0058】
<実施の形態2>
図12は、本実施の形態のノイズ除去機にケーブルを挿通して固定した状態をZ軸+側から見た斜視図である。図13は、本実施の形態のノイズ除去機にケーブルを挿通して固定した状態をZ軸+側から見た平面図である。
【0059】
なお、本実施の形態のノイズ除去機201は、実施の形態1のノイズ除去機2と略等しい構成とされているため、重複する説明は省略し、等しい部材には等しい符号を用いて説明する。
【0060】
本実施の形態のノイズ除去機201は、図12及び図13に示すように、コアケース202の第2の筒状部202aが第1の側壁部22bや第2の側壁部22cではなく、第1の筒状部22aに設けられている。つまり、第2の貫通部202bがコアケース202の第1の筒状部22aに設けられている。
【0061】
このような構成により、例えば、ケーブル4をコアケース202の第1の分割ケース22gに巻き付けるようにコアケース202の第1の貫通部22dに通し、ケーブル4における第1の分割ケース22gに巻き付けた部分4aを、コアケース202の第2の貫通部202bに挿通されて第1の筒状部22aに巻き付けられた結束バンド203によって固定すると、結束バンド203によってノイズ除去機201をケーブル4に固定できると共に、コアケース202を閉じた状態に拘束することができる。
【0062】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施の形態のノイズ除去機は、第2の貫通部22e、202bのいずれか一方を備えているが、両方の第2の貫通部22e、202bを備えていてもよい。
上記実施の形態のノイズ除去機のコアケース22、202は、扁平楕円形を基本形態としているが、磁性体コア21の形状に応じて、適宜、変更することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 ノイズ除去装置
2 ノイズ除去機
3 固定板
4 ケーブル、4a ケーブルにおける第1の分割ケースに巻き付けた部分
5 結束バンド、5a バンド、5b ヘッド
6 ボルト
7 バスバー
21 磁性体コア
21a 貫通部
21b 第1の分割コア、21d 凹部
21c 第2の分割コア、21e 凹部
22 コアケース
22a 第1の筒状部
22b 第1の側壁部
22c 第2の側壁部
22d 第1の貫通部
22e 第2の貫通部
22f 平坦部
22g 第1の分割ケース
22h 第2の分割ケース
22i ヒンジ
22j 係止部、22k 係合部、22l 被係合部
22m 第2の筒状部
22n 被係合部
22o 切り欠き部
31 平板部
32 係合部
33 貫通部
34 インサートカラー
201 ノイズ除去機
202 コアケース
202a 第2の筒状部
202b 第2の貫通部
203 結束バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図12
図13