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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】原稿送り装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20240814BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20240814BHJP
   B65H 3/66 20060101ALI20240814BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240814BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240814BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B65H5/36
B65H3/06 A
B65H3/66
B65H5/06 D
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020147592
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042254
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 裕典
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-210788(JP,A)
【文献】特開2002-179276(JP,A)
【文献】特開2013-249185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B65H 3/06
B65H 3/66
B65H 5/06
H04N 1/00
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、前記装置本体に対して開閉自在に設けられる開閉カバーとを有し、前記装置本体側に給紙ローラおよび給紙ローラ駆動軸を有する原稿送り装置であって、
前記給紙ローラのローラ軸線方向の外側で、前記給紙ローラ駆動軸に対して回転可能に取り付けられ、前記開閉カバーが閉じられた状態で、搬送される原稿をガイドするガイド部材を有し、
前記ガイド部材は、平面に形成された搬送ガイド面を有し、
前記給紙ローラ駆動軸に取り付けられた前記ガイド部材は、自重によって、前記搬送ガイド面を下方に向ける所定の向きに維持されることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿送り装置であって、
前記開閉カバーの下面には、前記給紙ローラおよび前記給紙ローラ駆動軸に対向する位置に前記ガイド部材の回転を規制する壁面を有する凹部が設けられていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の原稿送り装置であって、
前記ガイド部材は、前記給紙ローラ駆動軸に対して、前記給紙ローラの両側に設けられることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項4】
請求項に記載の原稿送り装置であって、
前記ガイド部材は、前記搬送ガイド面に対する原稿搬送方向の上流側に傾斜面が設けられており、
前記傾斜面は、前記ガイド部材が前記所定の向きとなっている状態で、下流側から上流側に向かって上昇するような傾斜を有していることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項5】
請求項に記載の原稿送り装置であって、
前記開閉カバーが閉じられ、前記ガイド部材が前記所定の向きとなっている状態で、前記搬送ガイド面の上流側に位置する前記開閉カバーの下面と前記搬送ガイド面との間には、前記搬送ガイド面が上方側に位置するような段差が設けられ、前記搬送ガイド面の下流側に位置する前記開閉カバーの下面と前記搬送ガイド面との間には、前記搬送ガイド面が下方側に位置するような段差が設けられることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項6】
請求項に記載の原稿送り装置であって、
前記搬送ガイド面は、前記ガイド部材が前記所定の向きとなっている状態で、原稿搬送方向の下流側から上流側に向かって上昇するように傾斜配置されることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項7】
請求項1からの何れか1項に記載の原稿送り装置であって、
前記ガイド部材におけるローラ軸線方向の外側端部は、最大サイズ原稿の原稿幅方向の両端よりも外側に延出されていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項8】
請求項1からの何れか1項に記載の原稿送り装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿送り装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像形成装置においては、原稿読取装置が設けられている。また、原稿読取装置は、通常、原稿送り装置と共に用いられる。原稿送り装置は、原稿トレイに載置された原稿束からピックアップローラおよび給紙ローラによって原稿を1枚ずつ分離・給送し、画像読取位置を経由させて排出トレイへ排出するように搬送する。
【0003】
また、原稿送り装置は、原稿の搬送ジャムが生じたときに搬送路を開放してジャム処理が行えるように、開閉カバーを有している。給紙ローラに関しては、開閉カバーに取り付ける構成もあれば、原稿送り装置の装置本体に取り付ける構成もある。給紙ローラを装置本体に取り付ける構成とした場合、モータなどの駆動源から給紙ローラへの駆動力伝達機構を簡素化できるといったメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-60277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給紙ローラを装置本体に取り付ける場合、給紙ローラを駆動する駆動軸も装置本体側に取り付けられることになるが、原稿搬送時に、原稿の先端がこの駆動軸に引っ掛かり、搬送ジャムが生じる恐れがある。
【0006】
尚、特許文献1には、原稿送り装置ではなく給紙装置ではあるが、給紙ローラに外部から衝撃が加わることを防止する補助ローラを、給紙ローラ駆動軸に取り付けた構成が開示されている。但し、特許文献1の補助ローラを、原稿送り装置に適用したとしても、開閉カバーの凹部に原稿の先端が引っ掛かることを防止することはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、給紙ローラを駆動する駆動軸に原稿が引っ掛かって生じる搬送ジャムを防止することのできる原稿送り装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である原稿送り装置は、装置本体と、前記装置本体に対して開閉自在に設けられる開閉カバーとを有し、前記装置本体側に給紙ローラおよび給紙ローラ駆動軸を有する原稿送り装置であって、前記給紙ローラのローラ軸線方向の外側で、前記給紙ローラ駆動軸に対して回転可能に取り付けられ、所定の向きで前記給紙ローラ駆動軸に対向することで、前記開閉カバーが閉じられた状態で、搬送される原稿をガイドするガイド部材を有していることを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、給紙ローラ駆動軸に対してガイド部材を回転可能に取り付けたことにより、開閉カバーが閉じられた状態では、ガイド部材を給紙ローラ駆動軸に対向させながら、ガイド部材を搬送ガイドとして機能させることができる。これにより、原稿搬送時に、原稿の先端が給紙ローラ駆動軸に引っ掛かって搬送ジャムが生じることを防止できる。
【0010】
また、上記原稿送り装置では、前記開閉カバーの下面には、前記給紙ローラおよび前記給紙ローラ駆動軸に対向する位置に凹部が設けられている構成とすることができる。
【0011】
また、上記原稿送り装置では、前記ガイド部材は、平面に形成された搬送ガイド面を有する構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、原稿搬送時に、開閉カバーの下面と、ガイド部材の搬送ガイド面とで構成される上搬送ガイドによって、原稿の先端をスムーズにガイドすることができる。
【0013】
また、上記原稿送り装置では、前記給紙ローラ駆動軸に取り付けられた前記ガイド部材は、自重によって、前記搬送ガイド面を下方に向ける前記所定の向きに維持される構成とすることができる。
【0014】
また、上記原稿送り装置では、前記ガイド部材は、前記給紙ローラ駆動軸に対して、前記給紙ローラの両側に設けられる構成とすることができる。
【0015】
また、上記原稿送り装置では、前記ガイド部材は、前記搬送ガイド面に対する原稿搬送方向の上流側に傾斜面が設けられており、前記傾斜面は、前記ガイド部材が前記所定の向きとなっている状態で、下流側から上流側に向かって上昇するような傾斜を有している構成とすることができる。
【0016】
上記の構成によれば、ガイド部材に傾斜面を設けることにより、ガイド部材の上流側の隙間(搬送ガイド面と開閉カバーの下面との間の隙間)に原稿の先端が引っ掛かることを防止でき、原稿の搬送ジャムをより確実に防止することができる。
【0017】
また、上記原稿送り装置は、前記開閉カバーが閉じられ、前記ガイド部材が前記所定の向きとなっている状態で、前記搬送ガイド面の上流側に位置する前記開閉カバーの下面と前記搬送ガイド面との間には、前記搬送ガイド面が上方側に位置するような段差が設けられ、前記搬送ガイド面の下流側に位置する前記開閉カバーの下面と前記搬送ガイド面との間には、前記搬送ガイド面が下方側に位置するような段差が設けられる構成とすることができる。
【0018】
上記の構成によれば、開閉カバーの下面とガイド部材の搬送ガイド面とで構成される上搬送ガイドが段差を有する階段状に形成される。この段差により、ガイド部材の上流側および下流側の隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止でき、原稿の搬送ジャムをより確実に防止することができる。
【0019】
また、上記原稿送り装置では、前記搬送ガイド面は、前記ガイド部材が前記所定の向きとなっている状態で、原稿搬送方向の下流側から上流側に向かって上昇するように傾斜配置される構成とすることができる。
【0020】
上記の構成によれば、搬送ガイド面の傾斜配置により、搬送ガイド面と開閉カバーの下面との間で段差が生じる。この段差により、ガイド部材の上流側および下流側の隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止でき、原稿の搬送ジャムをより確実に防止することができる。
【0021】
また、上記原稿送り装置では、前記ガイド部材におけるローラ軸線方向の外側端部は、最大サイズ原稿の原稿幅方向の両端よりも外側に延出されている構成とすることができる。
【0022】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である画像形成装置は、上記記載の原稿送り装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明の原稿送り装置および画像形成装置は、給紙ローラ駆動軸に対してガイド部材を回転可能に取り付けたことにより、原稿搬送時に原稿の先端が給紙ローラを駆動する駆動軸に引っ掛かることを防止でき、その結果、搬送ジャムが生じることを防止できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態を示すものであり、画像形成装置の概略断面図である。
図2】原稿送り装置の外観を示すものであり、開閉カバーを開いた状態を示す斜視図である。
図3】原稿給紙ユニットを斜め上から見た斜視図である。
図4】原稿給紙ユニットの筐体部分における下面図である。
図5】ガイド部材の上面図である。
図6】ガイド部材の側面図である。
図7】ガイド部材の下面図である。
図8】実施の形態1および2に係る原稿送り装置において、原稿搬送方向に沿ったガイド部材付近の部分断面図である。
図9】実施の形態3に係る原稿送り装置において、原稿搬送方向に沿ったガイド部材付近の部分断面図である。
図10】実施の形態4に係る原稿送り装置において、原稿搬送方向に沿ったガイド部材付近の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明が適用される画像形成装置10の一例を示す概略構成図である。尚、図1に示す画像形成装置10は、複数のプロセスユニットを有するカラー画像形成装置であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、単一のプロセスユニットを有するモノクロ画像形成装置に適用することもできる。
【0026】
画像形成装置10は、図1に示すように、本体部11、原稿読取部12、原稿送り装置20および給紙装置13を具備して構成されている。本体部11は、記録用紙に画像を印字するための画像形成部を内部に有している。原稿読取部12は、本体部11の上方に配置され、原稿のコピーを行う際に原稿の読取を行う。原稿送り装置20は、自動読み取りモードにおいて、原稿セットトレイ上に載置された原稿を原稿読取部12の原稿載置台上に向かって順次搬送する。給紙装置13は、記録用紙をストックし、画像形成時に記録用紙を本体部11へ給送する。
【0027】
画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、画像形成装置10は、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられた4つのプロセスユニットPa~Pdを有している。各プロセスユニットPa~Pdは、電子写真技術を用いて画像データに応じたトナー像を形成する。
【0028】
各プロセスユニットPa~Pdで形成された各トナー像は、中間転写ベルト14に順次転写して重ねられる。これにより、中間転写ベルト14上にカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト14上のカラーのトナー像は記録用紙上に転写され、定着装置15にて記録用紙を加熱および加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0029】
以下に、本実施の形態1に係る原稿送り装置20の特徴的構成について説明する。図2は、原稿送り装置20の外観を示すものであり、開閉カバー22を開いた状態を示す斜視図である。
【0030】
原稿送り装置20は、装置本体21に対して開閉自在に設けられる開閉カバー22を有しており、原稿の搬送ジャムが生じたときには、開閉カバー22を開くことで搬送路を開放し、ジャム処理が行えるようになっている。また、原稿送り装置20では、後述する給紙ローラ232およびピックアップローラ233を含む原稿給紙ユニット23が、開閉カバー22ではなく、装置本体21側に設けられている。原稿給紙ユニット23を装置本体21側に設けることで、開閉カバー22を開いたときにも原稿給紙ユニット23が移動することはなく、モータなどの駆動源から給紙ローラ232やピックアップローラ233への駆動力伝達機構を簡素化できる。
【0031】
開閉カバー22の下面は、原稿送り装置20の使用時(開閉カバー22が閉じられた状態)において、搬送される原稿に対する上ペーパーガイド(搬送ガイド)となる。このときの下ペーパーガイドは、装置本体21の上面において形成されている。さらに、開閉カバー22の下面には、開閉カバー22が閉じられた状態で、原稿給紙ユニット23(特に、後述する給紙ローラ232および駆動軸235)に対しての逃げとなる凹部221が設けられている。すなわち、凹部221は、開閉カバー22が閉じられた状態で、給紙ローラ232および駆動軸(給紙ローラ駆動軸)235に対向する位置において上方側に窪むように形成され、下方側が開口している。
【0032】
続いて、原稿給紙ユニット23の構成について説明する。図3は、原稿給紙ユニット23を斜め上から見た斜視図である。図4は、原稿給紙ユニット23の筐体部分の下面図である。
【0033】
図3および図4に示すように、原稿給紙ユニット23は、筐体231、給紙ローラ232、ピックアップローラ233、伝達ベルト234、駆動軸235およびガイド部材30を有している。筐体231は、下方側が開口し、かつ、内部に空間を有しており、この空間内部に給紙ローラ232、ピックアップローラ233および伝達ベルト234を収容している。尚、給紙ローラ232およびピックアップローラ233については、下部が筐体231よりも下方に突出しており、下方を通過する原稿に接することができる。原稿給紙ユニット23では、ピックアップローラ233が給紙ローラ232に対して原稿搬送方向の上流側に配置されている。
【0034】
給紙ローラ232は、駆動軸235に取り付けられている。駆動軸235は、筐体231の外側まで延伸されており、図示しない駆動源(モータなど)からの駆動力を受けて回転する。ピックアップローラ233は、自身の回転軸233aが筐体231に軸支されている。伝達ベルト234は、駆動軸235と回転軸233aとに張架されている。これにより、駆動軸235を回転させた際、給紙ローラ232だけでなく、伝達ベルト234を介してピックアップローラ233が回転する。
【0035】
ガイド部材30は、駆動軸235に対して、筐体231の外側(すなわち、給紙ローラ232のローラ軸線方向の外側)に取り付けらており、筐体231の両側にそれぞれ1つずつ設けられている。図5は、ガイド部材30の上面図である。図6は、ガイド部材30の側面図である。図7は、ガイド部材30の下面図である。
【0036】
ガイド部材30は、駆動軸235に沿う方向(原稿幅方向)を長手方向としており、この長手方向に沿ったペーパーガイド部31と、ペーパーガイド部31の両端に設けられた軸取付部32とを有している。ペーパーガイド部31は、細長い略矩形の板状に形成されており、一方の主面にペーパーガイド面311となる平面が形成されている。軸取付部32は、ペーパーガイド部31の端部からペーパーガイド面311と反対側に立設して設けられている。また、軸取付部32は、略三角形状に形成されており、ペーパーガイド部31は三角形の一辺に沿って軸取付部32と繋がっており、ペーパーガイド部31と繋がる辺の対角付近に駆動軸235を通すための貫通孔321が設けられている。
【0037】
ペーパーガイド面311には、原稿搬送方向(短手方向)に沿って複数の案内リブ312が設けられていてもよい。また、ペーパーガイド部31におけるペーパーガイド面311と反対側の面には、原稿幅方向に沿って補強リブ313が設けられていてもよい。筐体231の両側においてそれぞれ1つずつ設けられるガイド部材30は、その両方に同一形状の部材を用いるものであってもよい。
【0038】
ガイド部材30は、軸取付部32の貫通孔321に駆動軸235を通すことで、原稿給紙ユニット23に取り付けられる。このとき、ガイド部材30は、駆動軸235に対して回転自在に取り付けられ、ペーパーガイドとして機能する所定の向きに、自重によって維持されるようになっている。具体的には、ガイド部材30は、自重によってペーパーガイド面311を常に下方に向けるような重量バランスとされており、この状態は原稿送り装置20における原稿搬送時(駆動軸235の回転時)にも維持される。
【0039】
尚、駆動軸235の回転時には、駆動軸235の外周面とガイド部材30の貫通孔321の内壁面との摩擦により、ガイド部材30が駆動軸235に対して連れ回ることも考えられる。しかしながらこの場合も、ガイド部材30は、凹部221の壁面に当接することでその回転が規制されるため、ガイド部材30が駆動軸235との連れ回りによって大きく変位することはない。
【0040】
また、ガイド部材30は、駆動軸235に対して回転自在に取り付けられるが、軸方向に沿った移動は規制されることが好ましい。このため、駆動軸235の所定の位置に、軸取付部32の厚みと同程度の幅を有する位置決め溝を設け、この位置決め溝内に軸取付部32が配置されるようにしてもよい。
【0041】
本実施の形態1に係る原稿送り装置20では、原稿給紙ユニット23にガイド部材30を設けたことにより、開閉カバー22が閉じられた状態では、図8に示すように、筐体231の両側に存在する凹部221の開口部分においてガイド部材30が駆動軸23に対向し、凹部221の開口部分をガイド部材30によって覆うことができる。すなわち、開閉カバー22の下面と、ガイド部材30のペーパーガイド面311とが、ほぼ連続した上ペーパーガイドを形成する。これにより、原稿搬送時には、開閉カバー22の下面と、ガイド部材30のペーパーガイド面311とで構成される上ペーパーガイドによって、原稿の先端がスムーズにガイドされ、原稿の先端が駆動軸235や凹部221に引っ掛かって搬送ジャムが生じることを防止できる。
【0042】
尚、ガイド部材30は、原稿送り装置20において搬送可能な定型サイズにおける最大サイズ(例ばA3サイズ(297mm))をガイドできる寸法とすることが好ましい。すなわち、ガイド部材30における外側端部は、最大サイズの原稿幅方向の両端よりも外側に延出されていることが好ましい。また、ガイド部材30は、給紙ローラ232(または筐体231)の幅方向寸法よりもサイズが大きい定型サイズのうちの最小サイズ(例えばハーフレターサイズ(5.5インチ))をガイドできる寸法とすることが好ましい。すなわち、ガイド部材30における内側端部は、最小サイズの原稿幅方向の両端よりも内側に延出されていることが好ましい。尚、給紙ローラ232(または筐体231)の幅方向寸法よりもサイズが小さい定型サイズ(例えば名刺サイズ)については、ガイド部材30によってガイドしなくても、原稿の先端が駆動軸235や凹部221に引っ掛かることはない。
【0043】
〔実施の形態2〕
実施の形態1で説明した原稿送り装置20は、開閉カバー22が閉じられた状態で、凹部221の開口部分をガイド部材30が覆い、開閉カバー22の下面とガイド部材30のペーパーガイド面311とが、ほぼ連続した上ペーパーガイドを形成する構成となっている。但し、この構成においても、開閉カバー22の下面とガイド部材30のペーパーガイド面311とが完全に連続した上ペーパーガイドを形成することはできない。すなわち、原稿搬送方向におけるガイド部材30の上流側および下流側では、ペーパーガイド面311と開閉カバー22の下面との間に僅かながらの隙間は生じる。このため、搬送される原稿の先端が上方にカールしている場合などには、カールした原稿の先端がこの隙間に引っ掛かる恐れもある。
【0044】
このため、原稿送り装置20では、ガイド部材30と開閉カバー22との隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止し、原稿の搬送ジャムをより確実に防止できるような構成を有することが好ましい。
【0045】
このような構成として、原稿送り装置20では、図6~8に示すように、ガイド部材30において、ペーパーガイド面311の上流側に傾斜面314が設けられる。傾斜面314は、ガイド部材30が自重によって所定の向きとなっている状態で、下流側から上流側に向かって上昇するような傾斜を有している。このように、ガイド部材30に傾斜面314を設けることにより、ガイド部材30の上流側の隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止できる。
【0046】
〔実施の形態3〕
本実施の形態3に係る原稿送り装置20は、ガイド部材30と開閉カバー22との隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止し、原稿の搬送ジャムをより確実に防止できるようにする他の変形例を示すものである。
【0047】
本実施の形態3に係る原稿送り装置20は、図9に示すように、開閉カバー22の下面222および223とガイド部材30のペーパーガイド面311とで構成される上ペーパーガイドを階段状に形成するものである。すなわち、ペーパーガイド面311の上流側に位置する開閉カバー22の下面222と、ペーパーガイド面311との間では、ペーパーガイド面311が上方側に位置するような段差が設けられる。この段差により、ガイド部材30の上流側の隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止できる。
【0048】
また、ペーパーガイド面311の下流側に位置する開閉カバー22の下面223と、ペーパーガイド面311との間では、ペーパーガイド面311が下方側に位置するような段差が設けられる。この段差により、ガイド部材30の上流側および下流側の隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止できる。
【0049】
〔実施の形態4〕
本実施の形態4に係る原稿送り装置20は、ガイド部材30と開閉カバー22との隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止し、原稿の搬送ジャムをより確実に防止できるようにするさらに他の変形例を示すものである。
【0050】
本実施の形態4に係る原稿送り装置20は、図10に示すように、開閉カバー22の下面222および223とガイド部材30のペーパーガイド面311とで構成される上ペーパーガイドにおいて、ペーパーガイド面311が開閉カバー22の下面222および223に対して傾斜するようにしたものである。
【0051】
ペーパーガイド面311は、ガイド部材30が自重によって所定の向きとなっている状態で、下流側から上流側に向かって上昇するように傾斜配置される。これにより、ペーパーガイド面311の上流側の隙間では、開閉カバー22の下面222の下流側端部と、ペーパーガイド面311の上流側端部との間では、ペーパーガイド面311が上方側に位置するような段差が生じる。また、ペーパーガイド面311の下流側の隙間では、開閉カバー22の下面223の上流側端部と、ペーパーガイド面311の下流側端部との間では、ペーパーガイド面311が下方側に位置するような段差が生じる。この段差により、ガイド部材30の上流側および下流側の隙間に原稿の先端が引っ掛かることを防止できる。尚、ペーパーガイド面311がこのように傾斜するガイド部材30は、ガイド部材30の重量バランスを調整することで、容易に設計可能である。
【0052】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10 画像形成装置
20 原稿送り装置
21 装置本体
22 開閉カバー
221 凹部
222,223 開閉カバーの下面
23 原稿給紙ユニット
231 筐体
232 給紙ローラ
233 ピックアップローラ
234 伝達ベルト
235 駆動軸(給紙ローラ駆動軸)
30 ガイド部材
31 ペーパーガイド部
311 ペーパーガイド面(搬送ガイド面)
312 案内リブ
313 補強リブ
314 傾斜面
32 軸取付部
321 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10