(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
(21)【出願番号】P 2020160146
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】執行 里恵
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068055(JP,A)
【文献】特開平11-242491(JP,A)
【文献】特開2010-128403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が選曲した楽曲に対応する、所定数の歌唱採点データを取得する取得部と、
前記所定数の歌唱採点データそれぞれについて、
カラオケ歌唱に伴う飛沫が発生し易い歌唱技法による加点が行われた演奏位置を示す技法使用位置を特定する特定部と、
特定された技法使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
少なくとも一の技法使用位置が前記所定条件を満たすと判定された場合、前記
カラオケ歌唱に伴う飛沫が発生し易い歌唱技法の使用
を控えるよう注意を促すための注意事項を報知する報知部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
前記
カラオケ歌唱に伴う飛沫が発生し易い歌唱技法は、シャウト技法であり、
前記特定部は、シャウト技法による加点が行われた演奏位置を示すシャウト使用位置を特定し、
前記判定部は、特定されたシャウト使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定し、
前記報知部は、少なくとも一のシャウト使用位置が前記所定条件を満たすと判定された場合、前記シャウト技法の使用
を控えるよう注意を促すための注意事項を報知することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記所定条件を満たすと判定されたシャウト使用位置に応じて、前記注意事項を報知することを特徴とする請求項2記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記
カラオケ歌唱に伴う飛沫が発生し易い歌唱技法は、アクセント歌唱であり、
前記特定部は、アクセント歌唱による加点が行われた演奏位置を示すアクセント使用位置を特定し、
前記判定部は、特定されたアクセント使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定し、
前記報知部は、少なくとも一のアクセント使用位置が前記所定条件を満たすと判定された場合、前記アクセント歌唱の使用
を控えるよう注意を促すための注意事項を報知することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項5】
前記判定部は、特定されたアクセント使用位置を歌詞テロップデータと比較し、特定されたアクセント使用位置に対応する歌詞が破裂音または摩擦音を含む場合、当該アクセント使用位置が所定条件を満たすと判定することを特徴とする請求項4記載のカラオケ装置。
【請求項6】
前記報知部は、前記楽曲の歌詞テロップデータに基づいて表示手段に表示される歌詞のうち、前記所定条件を満たすと判定されたアクセント使用位置に対応する歌詞の表示態様を変更することを特徴とする請求項4または5記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置は、マイクを介して入力された歌唱音声から抽出した歌唱音声データと、楽曲の主旋律を示すリファレンスデータとを比較することにより、カラオケ歌唱の巧拙を採点する採点機能を搭載している。
【0003】
また、カラオケ装置の利用者の中にはプロ歌手の歌唱を真似て、しゃくり、フォール、こぶし、シャウト、アクセント歌唱などの歌唱技法を用いて歌唱を行う者もいる。特許文献1~5には、これらの歌唱技法を検出し、歌唱を評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-107336号公報
【文献】特開2008-225115号公報
【文献】特開2008-268370号公報
【文献】特開2012-078701号公報
【文献】特開2019-015761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カラオケルームのような密閉空間において感染症対策を徹底するためには、カラオケ歌唱に伴う飛沫を抑制することが望ましい。
【0006】
一方、歌唱技法の中には、たとえば、叫ぶように歌唱するシャウト技法や、あるノートについて強調して歌唱するアクセント歌唱のように、飛沫が発生し易い技法がある。また、採点機能を利用する場合、これらの歌唱技法の使用は加点要素となることが一般的である。よって、利用者はこれらの歌唱技法を積極的に使用する傾向がある。
【0007】
本発明の目的は、特定の歌唱技法の使用に関する注意喚起を行うことが可能なカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、利用者が選曲した楽曲に対応する、所定数の歌唱採点データを取得する取得部と、前記所定数の歌唱採点データそれぞれについて、所定の歌唱技法による加点が行われた演奏位置を示す技法使用位置を特定する特定部と、特定された技法使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、少なくとも一の技法使用位置が前記所定条件を満たすと判定された場合、前記所定の歌唱技法の使用に関する注意事項を報知する報知部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の歌唱技法の使用に関する注意喚起を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るカラオケ装置及びサーバ装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る技法使用位置を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る技法使用位置を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1~
図5を参照して、第1実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0012】
図1に示すように、カラオケ装置Kは、ネットワークNを介してサーバ装置Sと通信可能に接続されている。ネットワークNは、たとえば公衆電話回線網やインターネット回線等の伝送路である。
【0013】
サーバ装置Sは、各種情報を管理するコンピュータである。サーバ装置Sは、ネットワークNを介してカラオケ装置K以外の他のカラオケ装置(図示なし)とも通信可能となっている。サーバ装置Sは、各カラオケ装置から取得した、楽曲のカラオケ歌唱に伴う歌唱採点データをカラオケ歌唱毎に記憶している。
【0014】
歌唱採点データは、楽曲識別情報及び採点値を含む。楽曲識別情報は、個々の楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。採点値は、たとえば、利用者がカラオケ歌唱したノート毎の音高評価を点数化し、それらの点数を合計したものである。採点値は、たとえば、100点を満点とする数値で示すことができる。ここで、あるノートにおいて歌唱技法が使用された場合、音高評価の点数に所定の点数を加点したものが当該あるノートの点数となる。歌唱技法は、しゃくり、フォール、こぶし、シャウト、アクセント歌唱などの特殊な技法である。歌唱採点データは、歌唱日時や、カラオケ歌唱を行った利用者の識別情報(たとえば、利用者毎に固有の利用者ID)を含んでいてもよい。
【0015】
サーバ装置Sは、カラオケ装置Kからの要求に基づいて、歌唱採点データを送信する(詳細は後述)。
【0016】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。
図2に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0017】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20は、カラオケ本体10からの信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30は、カラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。表示装置30は「表示手段」の一例である。マイク40は、利用者のカラオケ歌唱に基づく歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0018】
図3に示すように、カラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0019】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶手段10aは、楽曲データを記憶する。
【0020】
楽曲データは、楽曲識別情報が付与されている。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータを含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、楽曲の主旋律を示すデータであり、利用者によるカラオケ歌唱を採点する際に使用される。
【0021】
また、記憶手段10aは、カラオケ演奏に合わせて楽曲の歌詞を表示装置30等に表示させるための歌詞テロップデータや、カラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景映像等の背景映像データを楽曲毎に記憶する。
【0022】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50やサーバ装置Sとの通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0023】
[演奏手段]
演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏及びマイク40を通じて入力された歌唱音声に基づく信号の処理を行う。演奏手段10dは、音源、ミキサ、アンプ等を含む(いずれも図示なし)。
【0024】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示なし)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0025】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、取得部100、特定部200、判定部300、及び報知部400として機能する。
【0026】
(取得部)
取得部100は、利用者が選曲した楽曲に対応する、所定数の歌唱採点データを取得する。
【0027】
たとえば、カラオケ装置Kの利用者は、リモコン装置50を操作してカラオケ歌唱を希望する楽曲Xを選曲する。取得部100は、楽曲Xの楽曲IDに基づいて、サーバ装置Sに対し、楽曲Xに対応する所定数の歌唱採点データを送信するよう要求する。所定数は、たとえば、10個、20個のように予め設定されている値である。
【0028】
サーバ装置Sは、楽曲Xに対応する歌唱採点データのうち、所定数の歌唱採点データを抽出し、カラオケ装置Kに送信する。歌唱採点データの抽出は様々な方法により行うことができる。たとえば、サーバ装置Sは、楽曲Xの歌唱採点データのうち、採点値が高い順に所定数を抽出し、カラオケ装置Kに送信することができる。また、サーバ装置Sは、楽曲Xの歌唱採点データの中から所定数の歌唱採点データをランダムに抽出し、カラオケ装置Kに送信することができる。
【0029】
なお、取得部100は、所定数の歌唱採点データを要求する代わりに、サーバ装置Sに対し、楽曲Xに対応する全ての歌唱採点データや、所定期間内(たとえば、直近1か月)に得られた楽曲Xの歌唱採点データを送信するように要求してもよい。この場合、取得部100は、受信した歌唱採点データの中から、所定数の歌唱採点データを取得する。
【0030】
以下、取得部100が、利用者が選曲した楽曲Xに対応する、10個の歌唱採点データDX01~DX10を取得した例について説明する。
【0031】
(特定部)
特定部200は、所定数の歌唱採点データそれぞれについて、技法使用位置を特定する。
【0032】
技法使用位置は、所定の歌唱技法による加点が行われた演奏位置(ノートの位置)であり、所定の歌唱技法が使用されたタイミングを示す位置である。技法使用位置は、たとえば、カラオケ演奏開始からの経過時刻として特定することができる。所定の歌唱技法は、シャウト技法やアクセント歌唱等、カラオケ歌唱に伴う飛沫が発生し易い技法である。
【0033】
特定部200は、歌唱採点データを解析し、所定の歌唱技法による加点が行われたノートを検出することにより、技法使用位置を特定する。特定部200は、歌唱採点データ毎に特定した技法使用位置を判定部300に出力する。なお、一の歌唱採点データにおいて、複数の技法使用位置が特定される場合もありうる。
【0034】
ここで、本実施形態における所定の歌唱技法は、シャウト技法であるとする。この場合、特定部200は、シャウト使用位置を特定する。シャウト使用位置は、シャウト技法による加点が行われた演奏位置を示すものであり、「技法使用位置」の一例である。
【0035】
たとえば、特定部200は、取得部100が取得した楽曲Xに対応する歌唱採点データDX01~DX10それぞれについて、シャウト使用位置を特定する。特定部200は、歌唱採点データ毎に特定したシャウト使用位置を判定部300に出力する。
【0036】
図4は、歌唱採点データDX1~DX10について、特定部200が特定したシャウト使用位置を示したものである。
図4において、特定したシャウト使用位置を「〇」で示している。たとえば、歌唱採点データDX01については、2つのシャウト使用位置P01及びP04が特定されている。或いは、歌唱採点データDX04については、6つのシャウト使用位置P02~P07が特定されている。
【0037】
(判定部)
判定部300は、特定された技法使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する。
【0038】
所定条件は、報知部400による注意事項の報知(後述)を行うかどうかを決定するために予め設定された条件である。ある技法使用位置において所定条件を満たす場合、当該技法使用位置において所定の歌唱技法が使用されやすいといえる。所定条件は、たとえば、「所定の歌唱技法が使用された歌唱採点データの数がN個以上」である。「N」は、取得部100が取得する歌唱採点データの数以下の値である。
【0039】
判定部300は、特定部200から出力された技法使用位置毎に、所定の歌唱技法が使用された歌唱採点データの数を合計し、合計値それぞれが所定条件を満たすかどうかを判定する。判定部300は、所定条件を満たすと判定した技法使用位置の情報を報知部400に出力する。
【0040】
ここで、上述の通り、本実施形態における所定の歌唱技法は、シャウト技法であるとする。この場合、判定部300は、特定されたシャウト使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する。なお、ここでの所定条件は「シャウト技法が使用された歌唱採点データの数が5個以上」とする。
【0041】
図4の例によると、シャウト使用位置P01において、シャウト技法が使用された歌唱採点データは、6つ(歌唱採点データDX01、DX03、DX06~DX08、DX10)である。よって、判定部300は、シャウト使用位置P01は所定条件を満たすと判定する。この場合、判定部300は、シャウト使用位置P01の情報を報知部400に出力する。一方、シャウト使用位置P06において、シャウト技法が使用された歌唱採点データは、3つ(歌唱採点データDX02~DX04)である。よって、判定部300は、シャウト使用位置P06は所定条件を満たさないと判定する。この場合、判定部300は、シャウト使用位置P06の情報を報知部400に出力しない。
図4の例では、シャウト使用位置P01、P04、及びP08の情報が、報知部400に出力される。なお、所定条件は、「シャウト技法が使用された歌唱採点データが一番多い」であってもよい。その場合は、シャウト使用位置P08の情報が報知部400に出力される。また、所定条件は「シャウト技法が使用された歌唱採点データが多い順に5個」であってもよい。その場合は、シャウト使用位置P08、P01、P04、P03及びP06の情報が、報知部400に出力される。
【0042】
(報知部)
報知部400は、少なくとも一の技法使用位置が所定条件を満たすと判定された場合、注意事項を報知する。
【0043】
注意事項は、所定の歌唱技法の使用に関する注意喚起を促すためのものである。上述のように、所定の歌唱技法は、カラオケ歌唱に伴う飛沫が発生し易い技法である。よって、そのような歌唱技法の使用を控えるよう注意を促すことが望ましい。注意事項は、たとえば「●●(所定の歌唱技法の名称)を使用すると飛沫が発生します」のような、表示装置30に表示されるメッセージや、スピーカ20から放音される音声である。
【0044】
注意事項は、様々なタイミングで報知することができる。たとえば、報知部400は、判定部300から出力された技法使用位置の情報に基づいて、当該技法使用位置に対応するカラオケ演奏が行われる際に、注意事項のメッセージを表示させる。判定部300から出力された技法使用位置は、カラオケ歌唱の際に歌唱技法が使用され易い位置であるといえる。よって、報知部400は、技法使用位置に対応するカラオケ演奏が行われる際に表示装置30に注意事項のメッセージを表示させることで、歌唱技法の使用に関する注意喚起を行うことができる。或いは、報知部400は、カラオケ演奏が開始される前に注意事項を報知してもよい。
【0045】
ここで、上述の通り、本実施形態における所定の歌唱技法は、シャウト技法であるとする。この場合、報知部400は、少なくとも一のシャウト使用位置が所定条件を満たすと判定された場合、シャウト技法の使用に関する注意事項を報知する。また、報知部400は、所定条件を満たすと判定されたシャウト使用位置に応じて、注意事項を報知することができる。
【0046】
たとえば、判定部300からシャウト使用位置P01、P04、及びP08の情報が出力されたとする。この場合、報知部400は、楽曲Xのカラオケ演奏を開始する前、或いはカラオケ演奏開始から終了まで「シャウト技法を使用すると飛沫が発生します」というメッセージを表示装置30に表示させることができる。
【0047】
また、報知部400は、シャウト使用位置P01、P04、及びP08の情報に基づいて、各シャウト使用位置のカラオケ演奏がなされる際にのみ(たとえば、シャウト使用位置P01のカラオケ演奏中及び前後3秒間)、上記メッセージを表示装置30に表示させることができる。
【0048】
==カラオケ装置における処理について==
次に、
図5を参照して本実施形態に係るカラオケ装置Kにおける処理について述べる。
図5は、カラオケ装置Kにおける処理を示すフローチャートである。なお、この例において、所定の歌唱技法はシャウト技法である。
【0049】
カラオケ装置Kの利用者は、リモコン装置50を操作してカラオケ歌唱を希望する楽曲Xを選曲する。取得部100は、サーバ装置Sから、利用者が選曲した楽曲Xに対応する、所定数の歌唱採点データを取得する(所定数の歌唱採点データを取得。ステップ10)。
【0050】
特定部200は、ステップ10で取得した所定数の歌唱採点データそれぞれについて、シャウト技法による加点が行われた演奏位置を示すシャウト使用位置を特定する(歌唱採点データそれぞれについて、シャウト使用位置を特定。ステップ11)。
【0051】
判定部300は、ステップ11で特定されたシャウト使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する(シャウト使用位置毎に所定条件を満たすかを判定。ステップ12)。
【0052】
少なくとも一のシャウト使用位置が所定条件を満たすと判定された場合(ステップ13でYの場合)、報知部400は、シャウト技法の使用に関する注意事項を報知する(シャウト技法の使用に関する注意事項を報知。ステップ14)。
【0053】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、利用者が選曲した楽曲に対応する、所定数の歌唱採点データを取得する取得部100と、所定数の歌唱採点データそれぞれについて、所定の歌唱技法による加点が行われた演奏位置を示す技法使用位置を特定する特定部200と、特定された技法使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する判定部300と、少なくとも一の技法使用位置が所定条件を満たすと判定された場合、所定の歌唱技法の使用に関する注意事項を報知する報知部400と、を有する。
【0054】
このようなカラオケ装置Kによれば、複数の歌唱採点データを利用することにより、カラオケ歌唱に伴って飛沫が発生し易い歌唱技法の技法使用位置を特定することができる。そして、特定された技法使用位置が所定条件を満たす場合、カラオケ装置Kは、歌唱技法の使用に関する注意事項を報知することができる。注意事項を報知することにより、通常、利用者は歌唱技法の使用を控える。よって、カラオケルームのような密閉空間においても感染症対策を徹底することができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、特定の歌唱技法の使用に関する注意喚起を行うことができる。
【0055】
また、所定の歌唱技法をシャウト技法とすることができる。この場合、カラオケ装置Kの特定部200は、シャウト技法による加点が行われた演奏位置を示すシャウト使用位置を特定し、判定部300は、特定されたシャウト使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定し、報知部400は、少なくとも一のシャウト使用位置が所定条件を満たすと判定された場合、シャウト技法の使用に関する注意事項を報知することができる。このようなカラオケ装置Kによれば、飛沫が発生し易いシャウト技法の使用に関する注意喚起を行うことができる。
【0056】
また、カラオケ装置Kの報知部400は、所定条件を満たすと判定されたシャウト使用位置に応じて、注意事項を報知することができる。このようなカラオケ装置Kによれば、シャウト技法が使用され易いタイミングで注意事項を報知することができる。
【0057】
<第2実施形態>
次に、
図6及び
図7を参照して、第2実施形態に係るカラオケ装置について説明する。本実施形態では、所定の歌唱技法がアクセント歌唱の例について述べる。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0058】
(特定部)
特定部200は、アクセント歌唱による加点が行われた演奏位置を示すアクセント使用位置を特定する。アクセント使用位置は、アクセント歌唱による加点が行われた演奏位置を示すものであり、「技法使用位置」の一例である。
【0059】
ここで、取得部100が、利用者が選曲した楽曲Yに対応する、10個の歌唱採点データDY01~DY10を取得したとする。この場合、特定部200は、楽曲Yに対応する歌唱採点データDY01~DY10それぞれについて、アクセント使用位置を特定する。特定部200は、滑翔採点データ毎に特定したアクセント使用位置を判定部300に出力する。
【0060】
図6は、歌唱採点データDY1~DY10について、特定部200が特定したアクセント使用位置を示したものである。
図6において、特定したアクセント使用位置は「〇」で示している。たとえば、歌唱採点データDY01については、2つのアクセント使用位置Q01及びQ04が特定されている。或いは、歌唱採点データDY04については、6つのアクセント使用位置Q02~Q07が特定されている。
【0061】
(判定部)
判定部300は、特定されたアクセント使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する。なお、ここでの所定条件は「アクセント歌唱が使用された歌唱採点データの数が5個以上」とする。
【0062】
図6の例によると、アクセント使用位置Q01において、アクセント歌唱が使用された歌唱採点データは、6つ(歌唱採点データDY01、DY03、DY06~DY08、DY10)である。よって、判定部300は、アクセント使用位置Q01は所定条件を満たすと判定する。この場合、判定部300は、アクセント使用位置Q01の情報を報知部400に出力する。一方、アクセント使用位置Q06において、アクセント歌唱が使用された歌唱採点データは、3つ(歌唱採点データDY02~DY04)である。よって、判定部300は、アクセント使用位置Q06は所定条件を満たさないと判定する。この場合、判定部300は、アクセント使用位置Q06の情報を報知部400に出力しない。
図6の例では、アクセント使用位置Q01、Q04、及びQ08の情報が、報知部400に出力される。
【0063】
(報知部)
報知部400は、少なくとも一のアクセント使用位置が所定条件を満たすと判定された場合、アクセント歌唱の使用に関する注意事項を報知する。
【0064】
たとえば、判定部300からアクセント使用位置Q01、Q04、及びQ08の情報が出力されたとする。この場合、報知部400は、楽曲Yのカラオケ演奏を開始する前、或いはカラオケ演奏開始から終了まで「アクセント歌唱を使用すると飛沫が発生します」というメッセージを表示装置30に表示させることができる。
【0065】
また、報知部400は、楽曲の歌詞テロップデータに基づいて表示手段に表示される歌詞のうち、所定条件を満たすと判定されたアクセント使用位置に対応する歌詞の表示態様を変更することができる。
【0066】
たとえば、カラオケ装置Kは、楽曲Yの歌詞テロップデータに基づいて、楽曲Yのカラオケ演奏に合わせて歌詞を表示装置30に表示させる。ここで、判定部300からアクセント使用位置Q01、Q04、及びQ08の情報が出力されたとする。この場合、報知部400は、楽曲Yの歌詞テロップデータを参照し、アクセント使用位置Q01、Q04、及びQ08に対応する歌詞C01、C04、及びC08を特定する。報知部400は、特定した歌詞C01、C04、及びC08が表示装置30に表示される際、当該歌詞の表示態様を他の歌詞の表示態様と異ならせる。具体的に、報知部400は、歌詞C01、C04、及びC08の色を他の歌詞の色と変えて表示させたり、歌詞C01、C04、及びC08のフォントサイズを他の歌詞のフォントサイズより大きくすることができる。
【0067】
==カラオケ装置における処理について==
次に、
図7を参照して本実施形態に係るカラオケ装置Kにおける処理について述べる。
図7は、カラオケ装置Kにおける処理を示すフローチャートである。なお、この例において、所定の歌唱技法はアクセント歌唱である。
【0068】
カラオケ装置Kの利用者は、リモコン装置50を操作してカラオケ歌唱を希望する楽曲Yを選曲する。取得部100は、サーバ装置Sから、利用者が選曲した楽曲Yに対応する、所定数の歌唱採点データを取得する(所定数の歌唱採点データを取得。ステップ20)。
【0069】
特定部200は、ステップ20で取得した所定数の歌唱採点データそれぞれについて、アクセント歌唱による加点が行われた演奏位置を示すアクセント使用位置を特定する(歌唱採点データそれぞれについて、アクセント使用位置を特定。ステップ21)。
【0070】
判定部300は、ステップ21で特定されたアクセント使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する(アクセント使用位置毎に所定条件を満たすかを判定。ステップ22)。
【0071】
少なくとも一のアクセント使用位置が所定条件を満たすと判定された場合(ステップ23でYの場合)、報知部400は、アクセント歌唱の使用に関する注意事項を報知する(アクセント歌唱の使用に関する注意事項を報知。ステップ24)。
【0072】
このように、本実施形態において、所定の歌唱技法はアクセント歌唱である。この場合、カラオケ装置Kの特定部200は、アクセント歌唱による加点が行われた演奏位置を示すアクセント使用位置を特定し、判定部300は、特定されたアクセント使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定し、報知部400は、少なくとも一のアクセント使用位置が所定条件を満たすと判定された場合、アクセント歌唱の使用に関する注意事項を報知する。このようなカラオケ装置Kによれば、飛沫が発生し易いアクセント歌唱の使用に関する注意喚起を行うことができる。
【0073】
また、カラオケ装置Kの報知部400は、楽曲の歌詞テロップデータに基づいて表示手段に表示される歌詞のうち、所定条件を満たすと判定されたアクセント使用位置に対応する歌詞の表示態様を変更することができる。このようなカラオケ装置Kによれば、アクセント歌唱が使用され易い歌詞を利用者が把握しやすくなる。
【0074】
<第2実施形態の変形例>
アクセント歌唱において、歌詞に破裂音(子音が「P」、「B」、「T」、「D」、「K」または「G」のいずれかである音)や摩擦音(子音が「S」または「H」の音)が含まれる場合は、特に飛沫が発生し易い。そこで、カラオケ装置Kは、特定されたアクセント使用位置を歌詞テロップデータと比較し、特定されたアクセント使用位置に対応する歌詞が破裂音または摩擦音を含む場合を所定条件として加えてもよい。
【0075】
たとえば、所定条件が「アクセント歌唱が使用された歌唱採点データの数が5個以上」且つ「アクセント使用位置に対応する歌詞が破裂音を含む」とする。また、実施形態で特定されたアクセント使用位置に対応する歌詞C01~C08のうち、歌詞C02,C04、C07が破裂音を含む歌詞であるとする。
【0076】
この場合、判定部300は、「アクセント歌唱が使用された歌唱採点データの数が5個以上」の条件を満たすアクセント使用位置Q01、Q04、及びQ08を楽曲Yの歌詞テロップデータと比較し、「アクセント使用位置に対応する歌詞が破裂音を含む」条件を満たすアクセント使用位置Q04(歌詞C04)のみを、所定条件を満たすアクセント使用位置と判定する。判定部300は、アクセント使用位置Q04の情報を報知部400に出力する。
【0077】
以上のように、本変形例に係る判定部300は、特定されたアクセント使用位置を歌詞テロップデータと比較し、特定されたアクセント使用位置に対応する歌詞が破裂音または摩擦音を含む場合、当該アクセント使用位置が所定条件を満たすと判定することができる。このような判定部300を含むカラオケ装置Kによれば、特に飛沫が発生し易いアクセント歌唱の使用に関して注意喚起を行うことができる。
【0078】
<その他>
上記実施形態では、一の楽曲のカラオケ歌唱において所定の歌唱技法が一種類のみ用いられている例について説明した。一方、一の楽曲のカラオケ歌唱において所定の歌唱技法が複数使用される場合もありうる。このような場合、特定部100は、それぞれの歌唱技法について、技法使用位置を特定することができる。
【0079】
ここで、たとえば、所定の歌唱技法としてシャウト技法及びアクセント歌唱が使用されたとする。この場合、特定部200は、それぞれの歌唱技法について、技法使用位置を特定する。また、判定部300は、特定された技法使用位置毎に、所定条件を満たすか否かを判定する。
【0080】
そして、報知部400は、シャウト技法の技法使用位置(シャウト使用位置)のみが所定条件を満たすと判定された場合、シャウト技法の使用に関する注意事項のみを報知し、アクセント歌唱の技法使用位置(アクセント使用位置)のみが所定条件を満たすと判定された場合、アクセント歌唱の使用に関する注意事項のみを報知することができる。また、報知部400は、シャウト技法及びアクセント歌唱の技法使用位置がいずれも所定条件を満たすと判定された場合、シャウト技法及びアクセント歌唱双方の使用に関する注意事項を報知することができる。
【0081】
また、上記実施形態のカラオケ装置Kを利用した結果、利用者が特定の歌唱技法の使用を控えた場合、あるカラオケ歌唱において、特定部200によって特定される技法使用位置が大きく変わる可能性がある。よって、歌唱採点データの抽出においては、所定の期間を指定してもよい。所定の期間は、「半年~1年前の6か月間」、「感染症の非流行期」等、予め設定することができる。なお、この場合、歌唱採点データは、歌唱日時を含む必要がある。
【0082】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
100 取得部
200 特定部
300 判定部
400 報知部
K カラオケ装置