(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/42 20060101AFI20240814BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240814BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240814BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B41J29/42 F
B41J21/00 Z
H04N1/00 350
G06F3/12 328
G06F3/12 308
G06F3/12 356
G06F3/12 355
G06F3/12 392
(21)【出願番号】P 2020167742
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】佐枝 政夫
(72)【発明者】
【氏名】中井 康博
(72)【発明者】
【氏名】村上 光一
(72)【発明者】
【氏名】早野 康友
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-047606(JP,A)
【文献】特開2015-060356(JP,A)
【文献】特開2014-039176(JP,A)
【文献】特開2011-114807(JP,A)
【文献】特開2002-055802(JP,A)
【文献】特開2018-065319(JP,A)
【文献】特開2006-227948(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0186084(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0132812(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/42
B41J 21/00
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のアプリケーションソフトウェアまたは当該アプリケーションソフトウェアと互換性のある互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータの入力を受け付けるとともに当該アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行可能な画像形成装置であって、
前記アプリケーションデータを解析する解析手段、
前記解析手段による解析結果に基づいて前記アプリケーションデータに含まれるフォントを代替する必要があるかどうかを判定する判定手段、
前記判定手段により前記フォントを代替する必要があると判定されたときに所定の注意情報を出力する注意情報出力手段、および
前記判定手段により前記フォントを代替する必要があると判定されたときに当該フォントが代替された後の代替後データに基づくプレビュー画像を表示するプレビュー画像表示手段を備え
、
前記プレビュー画像表示手段は、前記プレビュー画像における第2領域を拡大した第2拡大画像を、当該プレビュー画像と選択的にまたは当該プレビュー画像と同時に表示し、
前記第2領域は、前記代替後データに含まれるオブジェクトが前記印刷処理による印刷範囲をはみ出す可能性のある部分に対応する前記プレビュー画像におけるはみ出し対応部分を含む一部の領域であり、さらに
前記プレビュー画像表示手段は、代替された前記フォントが横書および縦書のいずれであるのかに基づいて前記第2領域を定める、画像形成装置。
【請求項2】
前記プレビュー画像表示手段は、前記プレビュー画像における前記フォントの代替対応部分に所定の第1修飾を施した状態で当該プレビュー画像を表示する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プレビュー画像表示手段は、前記プレビュー画像における前記フォントの代替対応部分に前記アプリケーションデータに基づく第2修飾が予め施されている場合に、当該第2修飾とは異なる種類の前記第1修飾を施す、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プレビュー画像表示手段は、前記第1修飾を動的な態様で施す、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プレビュー画像表示手段は、前記第2領域に所定の第3修飾を施した状態で前記プレビュー画像を表示する、請求項
1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
ディスプレイを有する携帯端末装置の当該ディスプレイに前記プレビュー画像を表示するためのプレビュー画像表示データを当該携帯端末装置へ送信する送信手段をさらに備える、請求項1から
5までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
所定のアプリケーションソフトウェアまたは当該アプリケーションソフトウェアと互換性のある互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータの入力を受け付けるとともに当該アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行可能な画像形成装置の制御プログラムであって、
前記アプリケーションデータを解析する解析手順、
前記解析手順による解析結果に基づいて前記アプリケーションデータに含まれるフォントを代替する必要があるかどうかを判定する判定手順、
前記判定手順により前記フォントを代替する必要があると判定されたときに所定の注意情報を出力する注意情報出力手順、および
前記判定手順により前記フォントを代替する必要があると判定されたときに当該フォントが代替された後の代替後データに基づくプレビュー画像を表示するプレビュー画像表示手順を、前記画像形成装置のコンピュータに実行させ
、
前記プレビュー画像表示手順においては、前記プレビュー画像における第2領域を拡大した第2拡大画像を、当該プレビュー画像と選択的にまたは当該プレビュー画像と同時に表示し、
前記第2領域は、前記代替後データに含まれるオブジェクトが前記印刷処理による印刷範囲をはみ出す可能性のある部分に対応する前記プレビュー画像におけるはみ出し対応部分を含む一部の領域であり、さらに
前記プレビュー画像表示手順においては、代替された前記フォントが横書および縦書のいずれであるのかに基づいて前記第2領域を定める、制御プログラム。
【請求項8】
所定のアプリケーションソフトウェアまたは当該アプリケーションソフトウェアと互換性のある互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータの入力を受け付けるとともに当該アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行可能な画像形成装置の制御方法であって、
前記アプリケーションデータを解析する解析ステップ、
前記解析ステップによる解析結果に基づいて当該アプリケーションデータに含まれるフォントを代替する必要があるかどうかを判定する判定ステップ、
前記判定ステップにより前記フォントを代替する必要があると判定されたときに所定の注意情報を出力する注意情報出力ステップ、および
前記判定ステップにより前記フォントを代替する必要があると判定されたときに当該フォントが代替された後の代替後データに基づくプレビュー画像を表示するプレビュー画像表示ステップを含
み、
前記プレビュー画像表示ステップにおいては、前記プレビュー画像における第2領域を拡大した第2拡大画像を、当該プレビュー画像と選択的にまたは当該プレビュー画像と同時に表示し、
前記第2領域は、前記代替後データに含まれるオブジェクトが前記印刷処理による印刷範囲をはみ出す可能性のある部分に対応する前記プレビュー画像におけるはみ出し対応部分を含む一部の領域であり、さらに
前記プレビュー画像表示ステップにおいては、代替された前記フォントが横書および縦書のいずれであるのかに基づいて前記第2領域を定める、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリンタや複合機(MFP)などの画像形成装置において、パーソナルコンピュータ(PC)などのクライアント装置から受信した印刷データ(印刷ジョブ)を解析して、フォント代替が発生したときに、当該フォント代替が発生したページのプレビュー画像を表示する技術が、開示されている。この技術によれば、フォント代替が発生したときに、ユーザは、そのことを印刷処理が実行される前に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置として、所定のアプリケーションソフトウェア(ワープロソフトや表計算ソフトなどの言わばオフィスソフト)により作成されたアプリケーションデータ(文書ファイルや表計算ファイルなどの言わばオフィスファイル)の入力を受け付けるとともに、当該アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行することができる、いわゆるオフィスダイレクトプリント機能を有するものがある。このオフィスダイレクトプリント機能によれば、所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータに基づく印刷処理を、パーソナルコンピュータなどの外部装置を用いることなく直接的に実行することができる。また、近年のオフィスダイレクトプリント機能においては、所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータのみならず、当該所定のアプリケーションソフトウェアと互換性のある互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータについても、対応可能である。ただし、互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータについては、そのアプリケーションデータに含まれるのと同じフォント(書体データ)が画像形成装置側に用意されていないことがあり、その場合は、当該フォントが代替されることになる。したがって、オフィスダイレクトプリント機能を有する画像形成装置においても、フォントが代替される場合には、そのことを印刷処理が実行される前にユーザへ通知することができれば、極めて有益である。
【0005】
そこで、本発明は、オフィスダイレクトプリント機能を有する画像形成装置において、フォントが代替される場合に、そのことを印刷処理が実行される前にユーザへ通知することができる、新規な技術を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、画像形成装置に係る第1の発明と、画像形成装置の制御プログラムに係る第2の発明と、画像形成装置の制御方法に係る第3の発明と、を含む。
【0007】
このうちの画像形成装置に係る第1の発明は、オフィスダイレクトプリント機能を有する。すなわち、本第1の発明に係る画像形成装置は、所定のアプリケーションソフトウェアまたは当該アプリケーションソフトウェアと互換性のある互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータの入力を受け付けるとともに、当該アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行可能である。その上で、本第1の発明に係る画像形成装置は、解析手段、判定手段、注意情報出力手段およびプリント画像表示手段を備える。解析手段は、アプリケーションデータを解析し、たとえば当該アプリケーションデータの属性情報を解析する。そして、判定手段は、解析手段による解析結果に基づいて、アプリケーションデータに含まれるフォントを代替する必要があるかどうかを判定し、つまり当該アプリケーションデータに含まれるのと同じフォントが画像形成装置側で用意されているかどうかを判定する。さらに、注意情報出力手段は、判定手段によりフォントを代替する必要があると判定されたときに、所定の注意情報を出力し、たとえば視覚的態様または聴覚的態様により当該注意情報を出力する。併せて、プレビュー画像表示手段は、判定手段によりフォントを代替する必要があると判定されたときに、当該フォントが代替された後の代替後データに基づくプレビュー画像を表示する。加えて、プレビュー画像表示手段は、プレビュー画像における第2領域を拡大した第2拡大画像を、当該プレビュー画像と選択的に、または、当該プレビュー画像と同時に、表示する。ここで言う第2領域とは、代替後データに含まれるオブジェクトが印刷処理による印刷範囲をはみ出す可能性のある部分に対応するプレビュー画像におけるはみ出し対応部分を含む一部の領域である。さらに加えて、プレビュー画像表示手段は、代替されたフォントが横書および縦書のいずれであるのかに基づいて、第2領域を定める。
【0008】
なお、プレビュー画像表示手段は、プレビュー画像におけるフォントの代替対応部分に所定の第1修飾を施した状態で当該プレビュー画像を表示してもよい。
【0009】
ただし、プレビュー画像におけるフォントの代替対応部分にアプリケーションデータに基づく第2修飾が予め施されている場合には、つまりそのようなアプリケーションデータである場合には、プレビュー画像表示手段は、当該第2修飾とは異なる種類の第1修飾を施すのが、望ましい。
【0010】
また、プレビュー画像表示手段は、第1修飾を動的な態様で施してもよい。
【0013】
併せて、プレビュー画像表示手段は、プレビュー画像における第2領域に所定の第3修飾を施した状態で当該プレビュー画像を表示してもよい。
【0015】
そして、本第1の発明においては、送信手段が、さらに備えられてもよい。この送信手段は、ディスプレイを有する携帯端末装置の当該ディスプレイにプレビュー画像を表示するためのプレビュー画像表示データを、当該携帯端末装置へ送信する。
【0016】
本発明のうちの第2の発明に係る画像形成装置の制御プログラムは、当該画像形成装置のコンピュータに、解析手順、判定手順、注意情報出力手順およびプレビュー画像表示手順を実行させる。ここで、画像形成装置は、オフィスダイレクトプリント機能を有する。すなわち、画像形成装置は、所定のアプリケーションソフトウェアまたは当該アプリケーションソフトウェアと互換性のある互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータの入力を受け付けるとともに、当該アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行可能である。その上で、解析手順においては、アプリケーションデータを解析する。そして、判定手順においては、解析手順による解析結果に基づいて、アプリケーションデータに含まれるフォントを代替する必要があるかどうかを判定する。さらに、注意情報出力手順においては、判定手順によりフォントを代替する必要があると判定されたときに、所定の注意情報を出力する。併せて、プレビュー画像表示手順においては、判定手順によりフォントを代替する必要があると判定されたときに、当該フォントが代替された後の代替後データに基づくプレビュー画像を表示する。加えて、プレビュー画像表示手順においては、プレビュー画像における第2領域を拡大した第2拡大画像を、当該プレビュー画像と選択的に、または、当該プレビュー画像と同時に、表示する。ここで言う第2領域とは、代替後データに含まれるオブジェクトが印刷処理による印刷範囲をはみ出す可能性のある部分に対応するプレビュー画像におけるはみ出し対応部分を含む一部の領域である。さらに加えて、プレビュー画像表示手順においては、代替されたフォントが横書および縦書のいずれであるのかに基づいて、第2領域を定める。
【0017】
本発明のうちの第3の発明に係る画像形成装置の制御方法は、解析ステップ、判定ステップ、注意情報出力ステップおよびプレビュー画像表示ステップを含む。ここで、画像形成装置は、オフィスダイレクトプリント機能を有する。すなわち、画像形成装置は、所定のアプリケーションソフトウェアまたは当該アプリケーションソフトウェアと互換性のある互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータの入力を受け付けるとともに、当該アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行可能である。その上で、解析ステップにおいては、アプリケーションデータを解析する。そして、判定ステップにおいては、解析ステップによる解析結果に基づいて、アプリケーションデータに含まれるフォントを代替する必要があるかどうかを判定する。さらに、注意情報出力ステップにおいては、判定ステップによりフォントを代替する必要があると判定されたときに、所定の注意情報を出力する。併せて、プレビュー画像表示ステップにおいては、判定ステップによりフォントを代替する必要があると判定されたときに、当該フォントが代替された後の代替後データに基づくプレビュー画像を表示する。加えて、プレビュー画像表示ステップにおいては、プレビュー画像における第2領域を拡大した第2拡大画像を、当該プレビュー画像と選択的に、または、当該プレビュー画像と同時に、表示する。ここで言う第2領域とは、代替後データに含まれるオブジェクトが印刷処理による印刷範囲をはみ出す可能性のある部分に対応するプレビュー画像におけるはみ出し対応部分を含む一部の領域である。さらに加えて、プレビュー画像表示ステップにおいては、代替されたフォントが横書および縦書のいずれであるのかに基づいて、第2領域を定める。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、オフィスダイレクトプリント機能を有する画像形成装置において、フォントが代替される場合に、そのことを印刷処理が実行される前にユーザへ通知することができる。このことは、オフィスダイレクトプリント機能というフォントが代替される可能性が十分にある機能を有する画像形成装置にとって、極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例に係る複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施例におけるオフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータが意図する出力画像の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施例におけるオフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータに基づく実際の出力画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施例における注意メッセージ画面を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施例におけるプレビュー画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施例におけるプレビュー画面の別の態様の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施例における主記憶部のRAM内の構成を概念的に示すメモリマップである。
【
図8】
図8は、第1実施例における代替フォントテーブルの構成を概念的に示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施例におけるフォント代替実施テーブルの構成を概念的に示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施例におけるフォント代替制御タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図11】
図11は、第1実施例におけるフォント代替制御タスクの残りの部分の流れを示すフロー図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施例における修飾順位テーブルの構成を概念的に示す図である。
【
図13】
図13は、第2実施例におけるフォント代替制御タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施例におけるプレビュー画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第3実施例におけるオフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータに基づく縦書の文字列を含む出力画像の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、第3実施例における横書用優先テーブルの構成を概念的に示す図である。
【
図17】
図17は、第3実施例における縦書用優先テーブルの構成を概念的に示す図である。
【
図18】
図18は、第3実施例におけるフォント代替制御タスクの一部の流れを示すフロー図である。
【
図19】
図19は、本発明の第4実施例における携帯端末装置のディスプレイにプレビュー画像が表示された状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施例]
本発明の第1実施例について、
図1に示される複合機10を例に挙げて説明する。
【0021】
本第1実施例に係る複合機10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を備える。このため、複合機10は、画像読取部12、画像処理部14、画像形成部16および給紙部18を備える。併せて、複合機10は、制御部20、補助記憶部22、通信部24および外部記憶媒体通信部26を備える。さらに、複合機10は、操作表示部28を備える。これらは、互いに共通のバス30を介して接続される。
【0022】
画像読取部12は、画像読取手段の一例である。すなわち、画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、その読取画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このため、画像読取部12は、原稿が載置される不図示の原稿台を備える。併せて、画像読取部12は、不図示の光源、複数のミラー、結像レンズ、ラインセンサなどを含む画像読取ユニットや、当該画像読取ユニットによる画像読取位置を移動させるための不図示の駆動機構などを備える。さらに、画像読取部12は、原稿台に載置された原稿を抑えるための不図示の原稿押さえカバーを備える。なお、原稿押さえカバーには、オプション装置の1つである不図示の自動原稿送り装置(ADF)が設けられる場合がある。
【0023】
画像処理部14は、画像処理手段の一例である。すなわち、画像処理部14は、前述の読取画像データなどの各種の画像データに適宜の画像処理を施す。このような画像処理部14は、不図示のDSPなどの画像処理実行手段を有する。この画像処理部14による画像処理には、後述するプレビュー画像データを生成するための処理が含まれる。
【0024】
画像形成部16は、画像形成手段の一例である。すなわち、画像形成部16は、画像処理部14による画像処理後のデータなどの適宜の画像データに基づく画像を不図示のシート状の画像記録媒体としての用紙に形成する、画像形成処理、換言すれば印刷処理、を担う。この印刷処理は、たとえば公知の電子写真方式(カールソンプロセス方式)により行われる。このため、画像形成部16は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、クリーニング装置、除電装置などを備える。この画像形成部16による印刷処理後の用紙、言わば印刷物は、不図示の排紙トレイに排出される。なお、画像形成部16は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他の方式によって、印刷処理を行うものであってもよい。
【0025】
給紙部18は、給紙手段の一例である。すなわち、給紙部18は、1以上の、たとえば複数の、不図示の給紙カセットを有する。それぞれの給紙カセットには、適宜の規定サイズの用紙が収容される。併せて、給紙部18は、1以上の、たとえば1つの、不図示の手差しトレイを含む。この手差しトレイにも、適宜のサイズの用紙がセットされる。そして、給紙部18は、いずれかの給紙カセットまたは手差しトレイを給紙元として、当該給紙元から画像形成部16へ用紙を1枚単位で供給する。
【0026】
制御部20は、複合機10の全体的な制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部20は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU20a、を有する。併せて、制御部20は、CPU20aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部20bを有する。主記憶部20bは、たとえば不図示のROMおよびRAMを含む。このうちのROMには、CPU20aの動作を制御するための制御プログラム、いわゆるファームウェア、が記憶される。そして、RAMは、CPU20aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0027】
補助記憶部22は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部22には、前述の読取画像データなどの種々の画像データを含む種々のデータが適宜に記憶される。このような補助記憶部22は、たとえば不図示のハードディスクドライブを有する。併せて、補助記憶部22は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有する場合がある。
【0028】
通信部24は、通信手段の一例である。すなわち、通信部24は、不図示の通信網と接続されることで、当該通信網を介しての双方向の通信処理を担う。ここで言う通信網としては、LANやインターネット、公衆交換電話網などがある。また、LANには、無線LAN、とりわけWi-Fi(登録商標)が、含まれる。このため、通信部24は、Wi-Fiに従う無線通信処理を担う無線通信部24aを有する。併せて、無線通信部24aは、近距離無線通信規格の1つであるブルートゥース(登録商標)に従う無線通信処理をも担う。さらに、無線通信部24aは、赤外線通信規格の1つであるIrDA(登録商標)に従う無線通信処理をも担う。
【0029】
外部記憶媒体通信部26は、外部記憶媒体通信手段の一例である。すなわち、外部記憶媒体通信部26は、可搬型の外部記憶媒体50が装着可能な不図示の装着部を有する。そして、外部記憶媒体通信部26は、装着部に装着された外部記憶媒体50との間での双方向の通信処理を担う。なお、外部記憶媒体50としては、USBメモリやSDメモリカードなどの半導体メディア、あるいは、CDやDVDなどのディスク型メディアがある。
【0030】
操作表示部28は、いわゆる操作パネルであり、表示手段の一例としてのディスプレイ28aと、操作受付手段の一例としてのタッチパネル28bと、を有する。ディスプレイ28aは、概略矩形状の表示面を有し、タッチパネル28bは、当該ディスプレイ28aの表示面に重なるように設けられる。なお、ディスプレイ28aは、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)であるが、これに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの他方式のディスプレイであってもよい。そして、タッチパネル28bは、たとえば静電容量方式のパネルであるが、これに限らず、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他方式のパネルであってもよい。また、操作表示部28は、ディスプレイ28a以外に、不図示の発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。併せて、操作表示部28は、タッチパネル28b以外に、不図示の押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチ手段を有する。
【0031】
さて、本第1実施例に係る複合機10は、所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータの入力を受け付けるとともに、当該アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行することができる、オフィスダイレクトプリント機能を有する。このオフィスダイレクトプリント機能によれば、所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータに基づく印刷処理を、パーソナルコンピュータなどの外部装置を用いることなく直接的に実行することができる。また、本第1実施例におけるオフィスダイレクトプリント機能においては、所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータのみならず、当該所定のアプリケーションソフトウェアと互換性のある互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータについても、対応可能である。ただし、互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたアプリケーションデータについては、そのアプリケーションデータに含まれるのと同じフォントが複合機10側に用意されていないことがあり、その場合は、当該フォントが代替される。
【0032】
具体的には、たとえば互換アプリケーションソフトウェアとしての或るワープロソフトにより作成された文書ファイルが、
図2に示されるような出力画像(印刷物)100を意図するデータである、とする。なお、
図2に示される出力画像100は、その構成要素であるオブジェクトとして、適当な写真102と、適当な図形(グラフ)104と、を含む。併せて、出力画像100は、オブジェクトとして、複数の適当な文字列106、106、…を含む。これらの文字列106、106、…には、ひらがなの文字列106aが含まれる。
【0033】
この
図2に示される出力画像100を意図する文書ファイルが、本第1実施例におけるオフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供される、とする。なお、ここで言う文書ファイルを含め、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータは、たとえば外部記憶媒体50から取り込まれる。また、前述の通信網と接続される不図示の共有サーバやクラウドサーバなどの適宜のサーバなどからも、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータを取り込むことができる。
【0034】
前述の如く
図2に示される出力画像100を意図する文書ファイルが、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供された結果、たとえば
図3に示されるような出力画像200が得られる場合がある。この
図3に示される言わば実際の出力画像200は、
図2に示される言わば所期の出力画像100におけるのと同様の写真202と、図形204と、複数の文字列206、206、…と、を含む。ただし、
図3に示される実際の出力画像200においては、一部の文字列、たとえばひらがなの文字列206aが、
図2に示される所期の出力画像100におけるひらがなの文字列106aとは別のフォントに代替される。なお、
図3は、実際の出力画像200において、代替されたフォントに従う文字列206aの各文字間隔が大きくなることにより、当該文字列206aの一部(右側端部)が出力画像200(印刷範囲)からはみ出しそうな状態になる一例を示す。
【0035】
このようにフォントが代替される場合、つまり実際の出力画像200が所期の出力画像100とは異なる態様となる可能性がある場合、本第1実施例においては、印刷処理が実行される前に、
図4に示されるような注意メッセージ画面300が、ディスプレイ28aに表示される。この注意メッセージ画面300は、たとえばモーダルダイアログである。
【0036】
この注意メッセージ画面300においては、たとえばその上部の中央に、感嘆符(!)が付された適当な注意喚起マーク302が配される。そして、注意喚起マーク302の下方に、これから実行されようとする印刷処理に供されるファイルによっては文字や画像の表示位置などが所期のもの(オリジナル)とは異なる場合があること、および、その詳細については次の画面(プレビュー画面400)で確認できることを、ユーザへ伝える内容を含む適当な文字列304が配される。言い換えれば、文字列304は、これから実行されようとする印刷処理においては、一部または全部のフォントが代替されることを示唆する内容を含む。さらに、文字列304の下方に、換言すれば注意メッセージ画面300における下部に、「OK」キー308が配される。この「OK」キー308は、注意メッセージ画面300の内容を、とりわけ文字列304によって表される内容を、ユーザが認識したときに、そのことを当該ユーザが表明するための操作キーである。
【0037】
このような注意メッセージ画面300が表示されることを受けて、ユーザは、印刷処理に供されるファイルによっては文字や画像の表示位置などが所期のものと異なる場合があること、および、その詳細を次の画面で確認できることを、認識することができる。そして、ユーザにより「OK」キー308が操作(押下)されると、注意メッセージ画面300が消える。その上で、
図5に示されるようなプレビュー画面400が、ディスプレイ28aに表示される。
【0038】
この
図5に示されるプレビュー画面400においては、たとえばその上部の左寄りの位置に、2つの文字列402および404が上下2段に配される。このうちの上側の文字列402は、これから実行されようとする印刷処理によって、後述するプレビュー画像406で表されるような出力画像200(
図3参照)が得られることをユーザへ伝える内容を含む。そして、下段の文字列404は、プレビュー画像406で表されるような出力画像200が得られることについて、ユーザが了承するのであれば(支障がなければ)、後述する「つぎへ」キー414を操作するよう、当該ユーザへ促す内容を含む。さらに、これらの文字列402および404の下方に、換言すればプレビュー画面400におけるほぼ中央の左寄りの位置に、プレビュー画像406が配される。
【0039】
プレビュー画像406は、出力画像200として予想される画像の縮小画像であり、前述の画像処理部14により生成されるプレビュー画像データに基づいて配される。また、プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分には、つまりひらがなの文字列406aが配された部分には、適当な修飾が施され、たとえば当該文字列406aを囲むように矩形状の枠線408が付される。なお、
図5からは分からないが、枠線408は、動的な態様で付され、たとえば点滅する。
【0040】
加えて、プレビュー画像406の近傍に、たとえば当該プレビュー画像406の上部の右横方に、文字列410が配される。この文字列410は、プレビュー画像406における枠線408(マーク)で囲まれた部分において、厳密には出力画像200における当該枠線408で囲まれた部分に対応する部分において、文字のスタイルなどが異なる場合があることをユーザへ伝える内容を含む。併せて、文字列410の下方に、別の文字列412が配される。この文字列412は、プレビュー画像406における枠線408で囲まれた部分がタッチ(押下)されると、当該枠線408で囲まれた部分が拡大表示されることをユーザへ伝える内容を含む。すなわち、プレビュー画像406は、当該プレビュー画像406における枠線408で囲まれた部分を拡大表示するための操作を受け付ける操作子として機能する。
【0041】
そして、文字列412の下方に、換言すればプレビュー画面400における右下隅の近傍に、「つぎへ」キー414が配される。この「つぎへ」キー414は、印刷処理を実行するのに必要な次の手順へ進むための操作キーである。併せて、プレビュー画面400における左下隅の近傍に、「もどる」キー416が配される。この「もどる」キー416は、1つ前の画面、たとえば外部記憶媒体50などの適宜のデータ源から印刷処理に供されるアプリケーションデータを選択して取り込むための不図示のデータ取込画面、がディスプレイ28aに表示される状態へ戻るための操作キーである。さらに、プレビュー画面400における右上隅の近傍に、「終了する」キー418が配される。この「終了する」キー418は、印刷処理の実行を見送るための、換言すればオフィスダイレクトプリント機能の使用を終了するための、操作キーである。
【0042】
このようなプレビュー画面400が表示されることを受けて、とりわけプレビュー画像406から、ユーザは、どのような出力画像200が得られるのかを、印刷処理が実行される前に確認することができる。ここでたとえば、プレビュー画像406で表されるような出力画像200が得られることについて、ユーザが了承するのであれば、当該ユーザは、「つぎへ」キー414を操作することにより、印刷処理を実行するのに必要な次の手順へ進むことができる。この場合、プレビュー画面400に代えて、次の手順へ進むための不図示の適当な操作画面が、ディスプレイ28aに表示される。
【0043】
これに対して、たとえば「もどる」キー416が操作されると、プレビュー画面400に代えて、当該プレビュー画面400の前の画面である前述のデータ取込画面が、ディスプレイ28aに表示される。これにより、ユーザは、外部記憶媒体50などの適宜のデータ源から別のアプリケーションデータを選択して取り込むことを含め、これまでの操作を適宜にやり直すことができる。
【0044】
また、「終了する」キー418が操作されると、印刷処理の実行が見送られる。この場合は、プレビュー画面400に代えて、オフィスダイレクトプリント機能の使用が終了されることを表す不図示の終了メッセージ画面が、一定期間(数秒間程度)にわたってディスプレイ28aに表示される。その後、不図示のホーム画面(または「ポータル画面」とも称される。)がディスプレイ28aに表示される。
【0045】
さらに、プレビュー画像406における枠線408で囲まれた部分がタッチされると、当該枠線408で囲まれた部分が拡大表示され、詳しくは、プレビュー画面400が、
図6に示されるような態様に変化する。厳密に言えば、プレビュー画像406における枠線408で囲まれた部分に限らず、当該プレビュー画像406における任意の部分がタッチされると、当該プレビュー画面400が、
図6に示されるような態様に変化する。すなわち、プレビュー画像406における枠線408で囲まれた部分のみならず、当該プレビュー画像406全体が、操作子として機能する。
【0046】
この
図6に示されるプレビュー画面400においては、
図5における文字列402に代えて、別の文字列420が、配される。この文字列420は、後述する拡大画像422がプレビュー画像406における枠線408で囲まれた部分を含む一部の領域を拡大した画像であることを表す内容を含む。
【0047】
併せて、
図6に示されるプレビュー画面400においては、
図5におけるプレビュー画像406に代えて、当該プレビュー画像406における枠線408で囲まれた部分を含む一部の領域を拡大した拡大画像422が、配される。ここでは、プレビュー画像406における枠線408で囲まれた部分を含む当該プレビュー画像406における右下の4分の1の領域を拡大した拡大画像422が配される。この拡大画像422においても、ひらがなの文字列422aが配された部分には、つまりフォントの代替対応部分には、当該文字列422aを囲むように矩形状の枠線424が付される。また、
図6からは分からないが、枠線424は、動的な態様で付され、たとえば点滅する。
【0048】
加えて、
図6に示されるプレビュー画面400においては、
図5における文字列412に代えて、別の文字列426が配される。この文字列426は、拡大画像422における任意の部分がタッチされると、当該拡大画像422に代えて、改めてプレビュー画像406が表示されることを、つまりプレビュー画面400が
図5に示される元の態様に戻ることを、表す内容を含む。すなわち、拡大画像422は、プレビュー画面400を
図5に示される元の態様に戻すための操作を受け付ける操作子として機能する。
【0049】
この
図6に示されるプレビュー画面400から、とりわけ拡大画像422から、ユーザは、出力画像200におけるフォントの代替部分をより詳細に確認することができる。そして、この
図6に示されるプレビュー画面400においても、たとえば「つぎへ」キー414が操作されると、当該プレビュー画面400に代えて、次の手順へ進むための不図示の適当な操作画面が、ディスプレイ28aに表示される。また、
図6に示されるプレビュー画面400において、「もどる」キー416が操作されると、プレビュー画面400に代えて、前述のデータ取込画面が、ディスプレイ28aに表示される。さらに、「終了する」キー418が操作されると、プレビュー画面400に代えて、前述の終了メッセージ画面が、一定期間にわたってディスプレイ28aに表示され、その後、前述のホーム画面が、ディスプレイ28aに表示される。加えて、
図6に示されるプレビュー画面400において、拡大画像422における任意の部分がタッチされると、当該プレビュー画面400が、
図5に示される元の態様に戻る。
【0050】
なお、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータについて、フォントが代替されない場合は、注意メッセージ画面300およびプレビュー画面400は表示されない。この場合は、プレビュー画面400における「つぎへ」キー414が操作されたときと同様、印刷処理を実行するのに必要な次の手順へ進むため不図示の操作画面が表示される。このようなフォントが代替されない場合としては、たとえばアプリケーションデータが互換アプリケーションソフトウェアではない所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたものである場合がある。またたとえば、アプリケーションデータがpdfファイルのような取扱環境に依存しない、いわゆる環境非依存ファイルである場合も、フォントは代替されない。さらに、アプリケーションデータが互換アプリケーションソフトウェアにより作成された場合であっても、当該アプリケーションデータに含まれている全てのフォントが複合機10側で用意されている場合には、フォントは代替されない。加えて、アプリケーションデータにフォントが含まれていない場合には当然に、フォントは代替されない。
【0051】
ここで、
図7に、主記憶部20bのRAM内の構成を概念的に表すメモリマップ500を示す。
【0052】
このメモリマップ500に示されるように、RAMは、プログラム記憶領域510と、データ記憶領域550と、を有する。このうちのプログラム記憶領域510には、前述の制御プログラムが記憶される。具体的には、制御プログラムは、表示制御プログラム512と、操作検出プログラム514と、画像読取制御プログラム516と、画像処理制御プログラム518と、画像形成制御プログラム520と、給紙制御プログラム522と、を含む。併せて、制御プログラムは、補助記憶制御プログラム524と、通信制御プログラム526と、外部記憶媒体通信制御プログラム528と、を含む。さらに、制御プログラムは、オフィスダイレクトプリントプログラム(または「オフィスダイレクトレタリングプログラム」とも称される。)530と、フォント代替制御プログラム532と、を含む。
【0053】
表示制御プログラム512は、ディスプレイ28aに前述のホーム画面をはじめとする種々の画面を表示させるのに必要な表示画面データを生成するためのプログラムである。操作検出プログラム514は、タッチパネル28bに対する操作状態を検出するためのプログラムである。画像読取制御プログラム516は、画像読取部12を制御するためのプログラムである。画像処理制御プログラム518は、画像処理部14を制御するためのプログラムである。画像形成制御プログラム520は、画像形成部16を制御するためのプログラムである。給紙制御プログラム522は、給紙部18を制御するためのプログラムである。補助記憶制御プログラム524は、補助記憶部22を制御するためのプログラムである。通信制御プログラム526は、通信部24を制御するためのプログラムである。外部記憶媒体通信制御プログラム528は、外部記憶媒体通信部26を制御するためのプログラムである。オフィスダイレクトプリントプログラム530は、オフィスダイレクトプリント機能を実現するためのプログラムである。そして、フォント代替制御プログラム532は、CPU20aに後述するフォント代替制御タスクを実行させるためのプログラムである。
【0054】
一方、データ記憶領域550には、種々のデータが記憶される。この種々のデータとしては、表示画像生成データ552、操作データ554、フォントデータ556、テーブルデータ558などがある。
【0055】
表示画像生成データ552は、前述の表示制御プログラム512に基づく表示画面データの生成に用いられるポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。操作データ554は、タッチパネル28bに対する操作状態を表すデータであり、詳しくは当該タッチパネル28bに対するタッチ位置(座標)を表す時系列のデータである。そして、フォントデータ556は、フォントのデータであり、詳しくは複数種類の日本語および英数字のフォントのデータである。そして、テーブルデータ558は、様々なテーブルのデータを含み、とりわけ
図8に示される代替フォントテーブル558aと、
図9に示されるフォント代替実施テーブル558bと、を含む。
【0056】
図8に示される代替フォントテーブル558aは、フォントデータ556に含まれていないフォントについて、つまり複合機10側で用意されていない言わば非搭載フォントについて、当該フォントデータ556に含まれているいずれのフォントにより代替するのかの対応関係が纏められたテーブルである。すなわち、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータに非搭載フォントが含まれている場合に、この非搭載フォントをフォントデータ556に含まれているいずれのフォントにより代替するのかの対応関係が、代替フォントテーブル558aに纏められている。
【0057】
そして、
図9に示されるフォント代替実施テーブル558bは、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータについて、フォントが代替される場合に、その詳細な情報を記憶するためのテーブルである。たとえば、アプリケーションデータに含まれる或るフォントが代替される場合に、その代替の対象となる言わばオリジナルフォントと、当該オリジナルフォントと代替される代替フォントと、の関係が、互いに紐付けられた状態で、フォント代替実施テーブル558bに記憶される。併せて、フォントの代替位置、詳しくは先頭の位置(座標)が、フォント代替実施テーブル558bに記憶される。
【0058】
前述したように、CPU20aは、制御プログラムに従って動作するが、とりわけオフィスダイレクトプリント機能による印刷処理の実行に際して、フォント代替制御タスクを実行する。このフォント代替制御タスクの流れを、
図10および
図11に示す。なお、フォント代替制御タスクは、前述のフォント代替制御プログラム532に従って実行される。また、フォント代替制御タスクは、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータが外部記憶媒体50などの適宜のデータ源から取り込まれたときに、これに応答して実行される。
【0059】
このフォント代替制御タスクによれば、CPU20aは、まず、ステップS1において、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータを解析し、たとえば当該アプリケーションデータの拡張子などの属性情報を解析する。そして、CPU20aは、処理をステップS3へ進める。
【0060】
ステップS3において、CPU20aは、ステップS1における解析結果に基づいて、印刷処理に供されるアプリケーションデータがpdfファイルなどの非環境依存ファイルであるかどうかを判定する。ここでたとえば、アプリケーションデータが非環境依存ファイルである場合(S3:YES)、CPU20aは、処理をステップS5へ進める。一方、アプリケーションデータが非環境依存ファイルでない場合には(S3:NO)、CPU20aは、処理を後述するステップS7へ進める。
【0061】
ステップS5において、CPU20aは、アプリケーションデータに基づく印刷処理を実行するのに必要な次のタスクの実行を開始する。これにより、前述の次の手順へ進むための不図示の操作画面がディスプレイ28aに表示される。これをもって、CPU20aは、フォント代替制御タスクを終了する。
【0062】
これに対して、CPU20aは、前述のステップS3からステップS7へ処理を進めた場合、当該ステップS7において、アプリケーションデータが所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたものであるのかどうかを判定する。このステップS7における判定もまた、ステップS1における解析結果に基づいて行われる。このステップS7において、たとえばアプリケーションデータが所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたものである場合(S7:YES)、CPU20aは、処理をステップS5へ進める。一方、アプリケーションデータが所定のアプリケーションソフトウェアにより作成されたものでない場合、つまり当該アプリケーションデータが互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたものである場合には(S7:NO)、CPU20aは、処理をステップS9へ進める。
【0063】
ステップS9において、CPU20aは、フォントを代替する必要があるかどうかを、詳しくはアプリケーションデータに前述の非搭載フォントが含まれているかどうかを、判定する。このステップS9における判定もまた、ステップS1における解析結果に基づいて行われる。ここでたとえば、フォントを代替する必要がない場合、つまりアプリケーションデータに非搭載フォントが含まれていない場合(S9:NO)、CPU20aは、処理をステップS5へ進める。一方、フォントを代替する必要がある場合、つまりアプリケーションデータに非搭載フォントが含まれている場合は(S9:YES)、CPU20aは、処理をステップS11へ進める。なお、アプリケーションデータにフォントが含まれていない場合も当然に、CPU20aは、フォントを代替する必要がないものとして、処理をステップS5へ進める。
【0064】
ステップS11において、CPU20aは、アプリケーションデータに含まれる非搭載フォントを代替フォントに置き替える。これに際して、CPU20aは、代替フォントテーブル558aを参照する。併せて、CPU20aは、フォントの代替に関する情報を、フォント代替実施テーブル558bに記憶する。その上で、CPU20aは、処理をステップS13へ進める。
【0065】
ステップS13において、CPU20aは、フォントが代替された後の代替後データに基づいて、プレビュー画像データを生成し、厳密にはそうするように画像処理部14を制御する。これに従って、画像処理部14は、ラスタライズを含め、プレビュー画像データを生成するための画像処理を行う。そして、CPU20aは、ステップS13の実行後、処理をステップS15へ進める。
【0066】
ステップS15において、CPU20aは、注意メッセージ画面300をディスプレイ28aに表示する。そして、CPU20aは、処理をステップS17へ進める。なお、ステップS15は、ステップS13の直後ではなく、たとえばステップS13の直前またはステップS11の直前に設けられてもよい。
【0067】
ステップS17において、CPU20aは、注意メッセージ画面300における「OK」キー308が操作を受け付けるのを待つ(S17:NO)。そして、「OK」キー308が操作を受け付けると(S17:YES)、CPU20aは、処理をステップS19へ進める。
【0068】
ステップS19において、CPU20aは、注意メッセージ画面300を消した上で、プレビュー画面400をディスプレイ28aに表示し、厳密には
図5に示されるようなプレビュー画像406を含むプレビュー画面400をディスプレイ28aに表示する。そして、CPU20aは、処理をステップS21へ進める。
【0069】
ステップS21において、CPU20aは、プレビュー画面400が何らかの操作を受け付けるのを待つ(S21:NO)。そして、プレビュー画面400が何らかの操作を受け付けると(S21:YES)、CPU20aは、処理をステップS23へ進める。
【0070】
ステップS23において、CPU20aは、ステップS21で受け付けられた操作がプレビュー画面400における「つぎへ」キー414への操作であるかどうかを判定する。ここでたとえば、ステップS21で受け付けられた操作が「つぎへ」キー414への操作である場合(S23:YES)、CPU20aは、処理を前述のステップS5へ進める。一方、ステップS21で受け付けられた操作が「つぎへ」キー414への操作でない場合には(S23:NO)、CPU20aは、処理をステップS24へ進める。
【0071】
ステップS24において、CPU20aは、前述のステップS21で受け付けられた操作がプレビュー画面400における「もどる」キー416への操作であるかどうかを判定する。ここでたとえば、ステップS21で受け付けられた操作が「もどる」キー416への操作である場合(S24:YES)、CPU20aは、処理をステップS25へ進める。一方、ステップS21で受け付けられた操作が「もどる」キー416への操作でない場合は(S24:NO)、CPU20aは、処理を後述するステップS26へ進める。
【0072】
ステップS25において、CPU20aは、前述のデータ取込画面がディスプレイ28aに表示される状態へ戻るべく、フォント代替制御タスクの前のタスクの実行を開始する。これにより、プレビュー画面400に代えて、データ取込画面が、改めてディスプレイ28aに表示される。これをもって、CPU20aは、フォント代替タスクを終了する。
【0073】
これに対して、CPU20aは、ステップS24からステップS26へ処理を進めた場合、当該ステップS26において、前述のステップS21で受け付けられた操作がプレビュー画面400における「終了する」キー418への操作であるかどうかを判定する。ここでたとえば、ステップS21で受け付けられた操作が「終了する」キー418への操作である場合(S26:YES)、CPU20aは、処理をステップS27へ進める。一方、ステップS21で受け付けられた操作が「終了する」キー418への操作でない場合には(S26:NO)、CPU20aは、処理を後述するステップS29へ進める。
【0074】
ステップS27において、CPU20aは、オフィスダイレクトプリント機能を終了するための処理を実行する。このステップS27における終了処理には、プレビュー画面400に代えて、前述の終了メッセージ画面を一定期間にわたってディスプレイ28aに表示し、その後、前述のホーム画面をディスプレイ28aに表示する処理が含まれる。これをもって、CPU20aは、フォント代替制御タスクを終了する。
【0075】
これに対して、CPU20aは、ステップS26からステップS29へ処理を進めた場合、当該ステップS29において、前述のステップS21で受け付けられた操作に従う処理を実行する。このステップS29における処理には、たとえば
図5に示されるようなプレビュー画像406を含むプレビュー画面400において、当該プレビュー画像406の任意の位置がタッチされることに応じた処理が含まれる。前述したように、プレビュー画像406の任意の位置がタッチされると、プレビュー画面400が
図6に示される態様に変化する。また、
図6に示されるような拡大画像422を含むプレビュー画面400において、当該拡大画像422の任意の部分がタッチされると、プレビュー画面400が
図5に示される態様に変化するが、このときの処理もまた、ステップS29における処理に含まれる。このステップS29における処理の実行後、CPU20aは、処理をステップS21へ戻す。
【0076】
以上のように、本第1実施例によれば、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理の実行に際して、フォントが代替される場合に、当該印刷処理の実行に先立って、注意メッセージ画面300がディスプレイ28aに表示される。すなわち、ユーザは、フォントが代替されることにより実際の出力画像200が所期の出力画像100とは異なる態様となる可能性があることを、印刷処理が実行される前に、認識することができる。これに加えて、プレビュー画像406を含むプレビュー画面400がディスプレイ28aに表示され、さらに、当該プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分を含む領域の拡大画像422を表示させることができる。すなわち、ユーザは、どのような出力画像200が得られるのかを、直観的に認識することができる。このことは、オフィスダイレクトプリント機能というフォントが代替される可能性が十分にある複合機10にとって、極めて有益である。
【0077】
なお、本第1実施例に係る複合機10は、不特定多数のユーザにより使用されることを前提として、コンビニエンスストアなどのパブリックスペースに設置されることがある。このような環境下においては、特に、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータが様々な互換アプリケーションソフトウェアにより作成されたものである可能性があり、つまりフォントが代替される可能性が高い。このような環境下において、本第1実施例は、極めて効果的である。
【0078】
本第1実施例において、フォント代替制御タスクを実行するCPU20aは、とりわけ当該フォント代替制御タスクにおけるステップS1を実行するCPU20aは、本発明に係る解析手段の一例である。そして、ステップS3、ステップS7およびステップS9を実行するCPU20aは、本発明に係る判定手段の一例である。さらに、ステップS15を実行するCPU20aは、ディスプレイ28aと協働して、本発明に係る注意情報出力手段の一例を構成する。併せて、ステップS19を実行するCPU20aは、ディスプレイ28aと協働して、本発明に係るプレビュー画像表示手段の一例を構成する。
【0079】
また、本第1実施例における注意メッセージ画面300は、本発明に係る注意情報の一例である。この注意情報については、注意メッセージ画面300という視覚的態様に代えて、もしくは、これに加えて、音声という聴覚的態様により出力されてもよい。
【0080】
そして、
図5に示されるプレビュー画面400におけるプレビュー画像406に付された枠線408は、本発明に係る第1修飾の一例である。この第1修飾としては、枠線408に限らず、適当な模様や色彩などの他の種類の修飾が付されてもよい。この場合も、模様や色彩などの他の種類の修飾は、動的な態様で付されてもよく、たとえば点滅するように付されてもよい。
【0081】
さらに、
図6に示されるプレビュー画面400における拡大画像422は、
言わば第1拡大画像の一例である。この拡大画像422によって表される領域は、つまり
図5に示されるプレビュー画像406における右下の4分の1の領域は、
言わば第1領域の一例である。また、プレビュー画像406と拡大画像422とは、言わば選択的に表示されるが、同時に表示されてもよく、つまり共通のプレビュー画面に並べて配されてもよい。
【0082】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0083】
前述したように、第1実施例においては、とりわけ
図5に示されるようなプレビュー画像406を含むプレビュー画面400においては、当該プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分に、第1修飾の一例としての枠線408が付される。ここでたとえば、プレビュー画像406における枠線408が付された部分に、当該枠線408とは別の言わば第2修飾が、元から、つまりアプリケーションデータに基づいて、付されている、とする。この場合、プレビュー画像406に付されているのが第2修飾なのか、それとも、第1修飾としての枠線408であるのかの判別が難しく、つまりフォントが代替された部分を直観的に認識することが難しい。このような不都合を解消するべく、本第2実施例においては、プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分に元から第2修飾が付されている場合には、当該第2修飾とは異なる種類の第1修飾が付される。
【0084】
そのために、本第2実施例においては、
図12に示されるような修飾順位テーブル558cが設けられ、詳しくは前述のテーブルデータ558に組み込まれる。この修飾順位テーブル558cにおいては、第2修飾の候補としての複数種類の修飾要領が規定される。併せて、それぞれの修飾要領に優先順位が付けられる。なお、
図12は、優先順位の高い順に、『枠線』、『色付』および『下線』という3つの修飾要領が規定された例を示す。これら3つの修飾要領の優先順位は、任意に変更することができる。また、修飾要領の数や種類についても、任意に規定することができる。
【0085】
その上で、本第2実施例においては、プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分に元から第2修飾が付されている場合に、当該第2修飾とは異なる種類の修飾要領であって、最も優先順位の高い修飾要領が、第1修飾として採用される。たとえば、第2修飾が枠線である場合には、当該枠線の次に優先順位の高い修飾要領である『色付』が第1修飾として採用される。この結果、プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分に第1修飾としての適当な色彩が付される。またたとえば、第2修飾が色彩である場合には、当該色彩よりも優先順位の高い修飾要領である『枠線』が第1修飾として採用される。この結果、プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分に枠線408が付される。さらにたとえば、第2修飾として枠線および色付という2種類の修飾が付されている場合には、『下線』が第1修飾として採用される。この結果、プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分に下線が付される。なお、
図6に示されるような拡大画像422を含むプレビュー画面400においても、当該拡大画像422におけるフォントの代替対応部分に、プレビュー画像406に付される第1修飾と同じ種類の修飾が付される。
【0086】
このような本第2実施例においても、CPU20aは、フォント代替制御タスクを実行するが、本第2実施例においては、フォント代替制御タスクにおけるステップS17(YES)とステップS19との間に、
図13に示されるようなステップS101~ステップS105が設けられる。すなわち、ステップS17において、注意メッセージ画面300における「OK」キー308の操作を受け付けると(S17:YES)、CPU20aは、処理をステップS101へ進める。
【0087】
ステップS101において、CPU20aは、プレビュー画像データから推定されるフォントの代替部分に第2修飾が付されているかどうかを判定する。ここでたとえば、第2修飾が付されている場合(S101:YES)、CPU20aは、処理をステップS103へ進める。一方、第2修飾が付されていない場合には(S101:NO)、CPU20aは、処理を後述するステップS105へ進める。
【0088】
ステップS103において、CPU20aは、修飾順位テーブル558cを参照して、第2修飾とは異なる種類の修飾要領であって、最も優先順位の高い修飾要領を、第1修飾として採用する。そして、CPU20aは、
図5に示されるようなプレビュー画像406を含むプレビュー画面400をディスプレイ28aに表示するべく、処理をステップS19へ進める。この場合、ステップS19によりディスプレイ28aに表示されるプレビュー画面400においては、ステップS103による採用結果が反映される。
【0089】
これに対して、CPU20aは、ステップS101からステップS105へ処理を進めた場合、当該ステップS105において、優先順位が第1位の修飾方法、つまり『枠線』を、第1修飾として採用する。その上で、CPU20aは、処理をステップS19へ進める。この場合、ステップS19によりディスプレイ28aに表示されるプレビュー画面400においては、ステップS105による採用結果が反映され、つまり第1修飾として枠線408が付される。
【0090】
このように本第2実施例によれば、プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分に第2修飾が元から付されている場合には、当該第2修飾とは異なる種類の第1修飾が付される。したがって、プレビュー画像406におけるフォントの代替対応部分に第2修飾が元から付されている場合でも、当該フォントの代替対応部分を直観的に認識することができる。
【0091】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について説明する。
【0092】
本第3実施例においては、第1実施例(および第2実施例)における
図5および
図6に示されるようなプレビュー画面400に代えて、
図14に示されるようなプレビュー画面600が、ディスプレイ28aに表示される。
【0093】
この
図14に示されるプレビュー画面600においては、たとえばその上部の左寄りの位置に、
図5に示されるプレビュー画面400における文字列402および404と同様の2つの文字列602および604が上下2段に配される。そして、これらの文字列602および604の下方に、換言すればプレビュー画面600におけるほぼ中央の左寄りの位置に、プレビュー画像606が配される。このプレビュー画像606は、
図5に示されるプレビュー画面400におけるプレビュー画像406よりも少し小さい。
【0094】
プレビュー画像606には、これを上側の領域と下側の領域とに二分する直線状の上下分割線608と、当該プレビュー画像606を左側の領域と右側の領域とに二分する直線状の左右分割線610と、が付される。すなわち、プレビュー画像606は、上下分割線608と左右分割線610とによって、左上の領域、右上の領域、左下の領域、および、右下の領域、という4つの領域に分割される。なお、上下分割線608と左右分割線610とのそれぞれは、たとえば細い破線のような比較的に目立ち難い態様で付され、つまりプレビュー画像606を見るのに邪魔にならない態様で付される。
【0095】
そして、前述の如く4つの領域に分割されたプレビュー画像606の当該4つの領域のいずれかに、第3修飾としての適当な修飾、たとえば矩形状の枠線612、が付される。この枠線612は、これが付された領域において、厳密には当該枠線612が付された領域に対応する出力画像200における領域において、フォントが代替されることに起因して、文字などのオブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性があることを表す。すなわち、枠線612は、出力画像200に含まれるオブジェクトが印刷部分からはみ出す可能性がある部分に対応するプレビュー画像606におけるはみ出し対応部分を含む領域に、付される。なお、
図14は、プレビュー画像606における右下の領域に枠線612が付された例を示す。
【0096】
さらに、プレビュー画像606の下方に、文字列614が配される。この文字列614は、プレビュー画像606における枠線612が付された領域が当該プレビュー画像606の右横方に拡大表示されることをユーザへ伝える内容を含む。そして、プレビュー画像606の右横方に、プレビュー画像606における枠線612が付された領域が拡大表示され、詳しくは当該枠線612が付された領域の拡大画像616が配される。
【0097】
この
図14に示されるプレビュー画面600においても、その右下隅の近傍に、
図5(および
図6)に示されるプレビュー画面400における「つぎへ」キー414と同様の「つぎへ」キー618が配される。併せて、プレビュー画面600の左下隅の近傍に、
図5に示されるプレビュー画面400における「もどる」キー416と同様の「もどる」キー620が配される。さらに、プレビュー画面600の右上隅の近傍に、
図5に示されるプレビュー画面400における「終了する」キー418と同様の「終了する」キー622が配される。
【0098】
この
図14に示されるプレビュー画面600からも、とりわけプレビュー画像606および拡大画像616から、ユーザは、どのような出力画像200が得られるのかを、印刷処理が実行される前に確認することができる。これに加えて、ユーザは、フォントが代替されることに起因して、出力画像200に含まれるオブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性のある部分を、直観的に確認することができる。
【0099】
ところで、フォントが代替されることに起因して、出力画像200に含まれるオブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性のある領域は、換言すれば当該可能性の高さは、代替されたフォントが横書であるのか、それとも、縦書であるのかによって、変わる。たとえば、代替されたフォントが横書である場合には、つまり出力画像200が
図3に示されるような(文字列として横書の文字列206のみを含む)画像である場合には、当該出力画像200における右下の領域、右上の領域、左下の領域、および、左上の領域の順に、オブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性が高いものと推測される。したがって、
図14に示されるプレビュー画面600においては、出力画像200に含まれるオブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性が最も高い右下の領域に対応するプレビュー画像606における右下の領域に、枠線612が付される。
【0100】
なお、代替されたフォントが横書である場合において、出力画像200における右下の領域にオブジェクトが存在しないときは、当該出力画像200における右下の領域に対応するプレビュー画像606における右下の領域には、枠線612は付されない。そのようなときは、次にオブジェクトが印刷領域からはみ出す可能性の高い出力画像200における右上の領域に対応するプレビュー画像606における右上の領域に、枠線612が付される。そして、出力画像200における右上の領域にオブジェクトが存在しないときは、次にオブジェクトが印刷領域からはみ出す可能性の高い出力画像200における左下の領域に対応するプレビュー画像606における左下の領域に、枠線612が付される。さらに、出力画像200における左下の領域にオブジェクトが存在しないときは、プレビュー画像606における左上の領域に、枠線612が付される。
【0101】
これに対して、代替されたフォントが縦書である場合には、つまり出力画像200が
図15に示されるような(文字列として縦書の文字列206のみを含む)画像である場合には、当該出力画像200における左下の領域、右下の領域、左上の領域、および、右上の領域の順に、オブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性が高いものと推測される。したがって、基本的には、出力画像200に含まれるオブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性が最も高い左下の領域に対応するプレビュー画像606における左下の領域に、枠線612が付される。
【0102】
ただし、代替されたフォントが縦書である場合において、出力画像200における左下の領域にオブジェクトが存在しないときは、当該出力画像200における左下の領域に対応するプレビュー画像606における左下の領域には、枠線612は付されない。そのようなときは、次にオブジェクトが印刷領域からはみ出す可能性の高い出力画像200における右下の領域に対応するプレビュー画像606における右下の領域に、枠線612が付される。そして、出力画像200における右下の領域にオブジェクトが存在しないときは、次にオブジェクトが印刷領域からはみ出す可能性の高い出力画像200における左上の領域に対応するプレビュー画像906における左上の領域に、枠線612が付される。さらに、出力画像200における左上の領域にオブジェクトが存在しないときは、プレビュー画像606における右上の領域に、枠線612が付される。
【0103】
このような本第3実施例においては、
図16に示されるような横書用優先テーブル558dが設けられ、詳しくは前述のテーブルデータ558に組み込まれる。この横書用優先テーブル558dにおいては、プレビュー画像606における4つの領域について、優先順位が設定される。なお、各領域の優先順位は、任意に変更することができる。また、領域の数や分割態様(形状)についても、任意に設定することができる。
【0104】
併せて、本第3実施例においては、
図17に示されるような縦書用優先テーブル558eが設けられ、詳しくはテーブルデータ558に組み込まれる。この縦書用優先テーブル558eにおいても、プレビュー画像606における4つの領域について、優先順位が設定される。そして、各領域の優先順位についても、任意に変更することができる。また、領域の数や形状についても、任意に設定することができる。
【0105】
その上で、本第3実施例においても、CPU20aは、フォント代替制御タスクを実行するが、本第3実施例においては、フォント代替制御タスクにおけるステップS17(YES)とステップS19との間に、
図18に示されるようなステップS201~ステップS215が設けられる。すなわち、ステップS17において、注意メッセージ画面300における「OK」キー308の操作を受け付けると(S17:YES)、CPU20aは、処理をステップS201へ進める。
【0106】
ステップS201において、CPU20aは、代替されたフォントが横書であるかどうかを判定する。この判定は、前述のステップS1における解析結果に基づいて行われる。ここでたとえば、代替されたフォントが横書である場合(S201:YES)、CPU20aは、処理をステップS203へ進める。一方、代替されたフォントが横書でない場合には、つまり代替されたフォントが縦書である場合には(S201:NO)、CPU20aは、処理を後述するステップS205へ進める。
【0107】
ステップS203において、CPU20aは、後述するステップS209で参照される参照対象テーブルとして、横書用優先テーブル558dを設定する。その上で、CPU20aは、処理をステップS207へ進める。
【0108】
これに対して、CPU20aは、ステップS201からステップS205へ処理を進めた場合、当該ステップS205において、後述するステップS209で参照される参照対象テーブルとして、縦書用優先テーブル558eを設定する。その上で、CPU20aは、処理をステップS207へ進める。
【0109】
ステップS207において、CPU20aは、プレビュー画像606における4つの領域のいずれかを選択するためのインデックスnの値として『1』を設定する。そして、CPU20aは、処理をステップS209へ進める。
【0110】
ステップS209において、CPU20aは、前述のステップS203またはステップS205で設定された参照対象テーブルを参照する。そして、CPU20aは、処理をステップS211へ進める。
【0111】
ステップS211において、CPU20aは、ステップS209における参照結果に基づいて、優先順位が『n』である領域を特定し、言わば領域『n』を特定する。その上で、CPU20aは、処理をステップS213へ進める。
【0112】
ステップS213において、CPU20aは、(代替後データに基づく)出力画像200における領域『n』にオブジェクトが存在するかどうかを判定する。この判定は、たとえば領域『n』におけるカバレッジ(領域『n』全体における下地以外の部分の割合)が所定の閾値よりも大きいかどうかに基づいて行われる。ここでたとえば、領域『n』にオブジェクトが存在する場合、つまり当該領域『n』におけるカバレッジが閾値よりも大きい場合(S213:YES)、CPU20aは、処理をステップS19へ進める。これにより、ステップS19において、
図14に示されるようなプレビュー画面600がディスプレイ28aに表示される。そして、プレビュー画像606における領域『n』に(対応する領域に)、枠線612が付される。一方、ステップS213において、領域『n』にオブジェクトが存在しない場合、つまり当該領域『n』におけるカバレッジが閾値以下である場合は(S213:NO)、CPU20aは、処理をステップS215へ進める。
【0113】
ステップS215において、CPU20aは、前述のインデックスnの値を『1』だけ増大させ、つまりインクリメントする。その上で、CPU20aは、処理をステップS209へ戻す。
【0114】
このように本第3実施例によれば、出力画像200に含まれるオブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性の高い領域に対応するプレビュー画像606における領域に、枠線612が付される。したがって、ユーザは、この枠線612が付された領域において、厳密にはこれに対応する出力画像200における領域において、オブジェクトが印刷範囲からはみ出す可能性があることを、直観的に認識することができる。
【0115】
なお、本第3実施例において、プレビュー画像606における枠線612が付された領域は、本発明に係る第2領域の一例である。そして、拡大画像616は、本発明に係る第2拡大画像の一例である。この拡大画像616は、プレビュー画像606と同時に、つまり共通のプレビュー画面600に並べて、配されたが、これに限らない。たとえば、プレビュー画像606と拡大画像616とは、選択的に、つまり別々のプレビュー画面に、配されてもよい。
【0116】
また、枠線612については、点滅するなどの動的な態様で付されてもよい。併せて、枠線612に代えて、適当な模様や色彩などの他の種類の修飾が付されてもよい。この場合も、模様や色彩などの他の種類の修飾は、動的な態様で付されてもよい。
【0117】
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について説明する。
【0118】
本第4実施例においては、
図19に示されるような携帯端末装置700のディスプレイ702に、プレビュー画像800が表示される。そして、このプレビュー画像800においても、フォントの代替対応部分800aに適当な修飾が施され、たとえば矩形状の枠線802が付される。
【0119】
これを実現するために、複合機10から携帯端末装置700へプレビュー画像表示データが送信される。そして、携帯端末装置700においては、複合機10から受信したプレビュー画像表示データに基づいて、ディスプレイ702にプレビュー画像800を表示するための適宜の処理が行われる。なお、複合機10と携帯端末装置700とは、無線により接続され、たとえばWiFiにより接続される。この処理は、通信部24が担い、とりわけ無線通信部24aが担う。
【0120】
このような本第4実施例によれば、ユーザは、携帯端末装置700により、言わば手元で、プレビュー画像800を確認することができる。そして、ユーザは、携帯端末装置700を適宜に操作(ピンチイン、ピンチアウト、スワイプなど)することで、たとえばプレビュー画像800を拡大表示させることで、当該プレビュー画像800を詳細に確認することができ、とりわけフォントの代替対応部分800aを詳細に確認することができる。これにより、複合機10および携帯端末装置700を含むシステム全体としての操作性の向上が図られる。
【0121】
なお、本第4実施例において、複合機10と携帯端末装置700との接続を担う無線通信部24aは、厳密には無線通信部24aとこれを制御するCPU20aは、本発明に係る送信手段の一例である。また、複合機10と携帯端末装置700との接続は、WiFiに限らず、ブルートゥースやIrDAなど他の方式により行われてもよい。
【0122】
さらに、本第4実施例における携帯端末装置700としては、たとえばスマートフォンがある。これに限らず、タブレットなどの他の装置が、携帯端末装置700として採用されてもよい。
【0123】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0124】
たとえば、各実施例においては、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータが1ページ分のデータであるように見受けられるが、そうではない。アプリケーションデータが1ページ分のデータであっても、複数ページ分のデータを含む場合であっても、本発明を適用することができる。
【0125】
また、オフィスダイレクトプリント機能による印刷処理に供されるアプリケーションデータのデータ源として、外部記憶媒体50および適宜のサーバを例に挙げたが、これに限らない。たとえば、
図19に示される携帯端末装置700も、データ源として採用可能である。
【0126】
さらに、各実施例においては、画像形成装置として複合機10を例に挙げたが、これに限らない。プリンタなどの複合機10以外の画像形成装置にも、本発明を適用することができる。
【0127】
加えて、各実施例が適宜に組み合わされてもよい。
【0128】
そして、本発明は、画像形成装置という装置の形態に限らず、当該画像形成装置の制御プログラムというプログラムの形態、および、当該画像形成装置の制御方法という方法の形態によっても、提供することができる。
【0129】
併せて、本発明は、画像形成装置の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体という形態によっても、提供することができる。この場合、記憶媒体に記録された制御プログラムが画像形成装置のコンピュータにより読み取られ、当該コンピュータにより実行されることで、本発明と同様の画像形成装置が実現される。ここで言う記憶媒体としては、前述の外部記憶媒体50のような可搬型の媒体がある。また、可搬型の媒体ではなく、ROMやハードディスクドライブなどのような画像形成装置に組み込まれる組込み型(内蔵型)の媒体もまた、ここで言う記憶媒体として適用可能である。
【符号の説明】
【0130】
10 … 複合機
14 … 画像処理部
16 … 画像形成部
20 … 制御部
20a … CPU
20b … 主記憶部
28 … 操作表示部
28a … ディスプレイ
28b … タッチパネル
300 … 注意メッセージ画面
400、600 … プレビュー画面
406、606 … プレビュー画像
408、612 … 枠線
422、616 … 拡大画像
700 … 携帯端末装置