(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】高所作業車
(51)【国際特許分類】
B66F 9/065 20060101AFI20240814BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20240814BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B66F9/065 A
B66F11/04
B66F9/06 M
(21)【出願番号】P 2020171634
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕也
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-157626(JP,U)
【文献】特表2003-521429(JP,A)
【文献】実開平06-037295(JP,U)
【文献】特開平09-067099(JP,A)
【文献】実開昭58-191195(JP,U)
【文献】米国特許第05669517(US,A)
【文献】中国特許出願公開第107108189(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00- 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体上に起伏自在に設けられたブームと、前記ブームの先端部に取り付けられて前記ブームにより昇降移動される作業台と、
前記ブームの先端部に取り付けられ、前記ブームの起伏動に応じて伸縮作動することによって前記作業台の床面の水平を保持するレベリングシリンダと、前記ブームの先端部と前記作業台との間に設けられた平行リンク機構とを備える高所作業車であって、
前記平行リンク機構が、
前記ブームの先端に第1枢結軸上において枢結されて垂直方向に延びるブーム側垂直リンク部材と、
前記第1枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材に枢結されて水平方向に延びる上水平リンク部材と、
前記第1枢結軸から水平方向に離れた第2枢結軸上において前記上水平リンク部材に枢結されて垂直方向に延びる作業台側垂直リンク部材と、
前記第2枢結軸より下方に位置する第3枢結軸上において前記作業台側垂直リンク部材に枢結されて水平方向に延びる下水平リンク部材とを備え、
前記下水平リンク部材は、前記第1枢結軸より下方に位置する第4枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材に枢結されており、
前記作業台側垂直リンク部材に前記作業台を取り付け、
前記レベリングシリンダの先端部が前記第4枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材に枢結され
ており、
前記ブーム側垂直リンク部材に形成されたブーム側支持部と、
前記作業台側垂直リンク部材に形成された作業台側支持部と、を有し、
前記ブーム側支持部と前記作業台側支持部との間で上下方向から挟持され、前記作業台側から前記ブーム側に作用する垂直方向の荷重を検出する荷重検出装置を備えることを特徴とする高所作業車。
【請求項2】
前記ブームの先端部、前記ブーム側垂直リンク部材および前記上水平リンク部材が、前記第1枢結軸上において、単一の枢結ピンにより互いに枢結され、
前記レベリングシリンダの先端部、前記ブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材が、前記第4枢結軸上において、別の単一の枢結ピンにより互いに枢結されていることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
【請求項3】
車体と、前記車体上に起伏自在に設けられたブームと、前記ブームの先端部に取り付けられた平行リンク式ジブ機構と、
前記ブームの先端部に取り付けられ、前記ブームの起伏動に応じて伸縮作動することによって前記平行リンク式ジブ機構を起伏作動させるレベリングシリンダと、前記平行リンク式ジブ機構の先端部に取り付けられて昇降移動される作業台と、前記平行リンク式ジブ機構の先端部と前記作業台との間に設けられた平行リンク機構とを備える高所作業車であって、
前記平行リンク機構が、
前記平行リンク式ジブ機構を構成する上アーム部材の先端に第1枢結軸上において枢結されて垂直方向に延びるブーム側垂直リンク部材と、
前記第1枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材に枢結されて水平方向に延びる上水平リンク部材と、
前記第1枢結軸から水平方向に離れた第2枢結軸上において前記上水平リンク部材に枢結されて垂直方向に延びる作業台側垂直リンク部材と、
前記第2枢結軸より下方に位置する第3枢結軸上において前記作業台側垂直リンク部材に枢結されて水平方向に延びる下水平リンク部材とを備え、
前記下水平リンク部材は、前記第1枢結軸より下方に位置する第4枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材に枢結されており、
前記作業台側垂直リンク部材に前記作業台を取り付け、
前記平行リンク式ジブ機構を構成する下アーム部材の先端部が前記第4枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材に枢結され
ており、
前記ブーム側垂直リンク部材に形成されたブーム側支持部と、
前記作業台側垂直リンク部材に形成された作業台側支持部と、を有し、
前記ブーム側支持部と前記作業台側支持部との間で上下方向から挟持され、前記作業台側から前記ブーム側に作用する垂直方向の荷重を検出する荷重検出装置を備えることを特徴とする高所作業車。
【請求項4】
前記上アーム部材の先端部、前記ブーム側垂直リンク部材および前記上水平リンク部材が、前記第1枢結軸上において、単一の枢結ピンにより互いに枢結され、
前記下アーム部材の先端部、前記ブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材が、前記第4枢結軸上において、別の単一の枢結ピンにより互いに枢結されていることを特徴とする請求項3に記載の高所作業車。
【請求項5】
前記作業台側垂直リンク部材に垂直ポスト部材を設け、前記垂直ポスト部材によって前記作業台を水平方向へ首振り自在に支持することを特徴とする請求項1~
4のうちいずれかに記載の高所作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体上に起伏作動自在にブームを設け、当該ブームの先端部において平行リンク機構によって作業台を上下方向に揺動自在に支持する高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高所作業車は、車輪又はクローラ装置を有して走行可能な走行体と、その走行体上に水平旋回可能に設けられた旋回台と、その旋回台に起伏および伸縮可能に設けられたブームと、そのブームの先端部に首振り可能に支持された作業台とを備えている。また、作業台に操作装置を設け、作業台に搭乗した作業者が操作装置を操作することで、旋回台の旋回作動、ブームの起伏作動及び作業台の首振り作動等の制御を可能としている。
【0003】
上述したような高所作業車を用いて高所に位置する作業対象物に対して作業を行う場合、作業者が工具や資材等と共に作業台に搭乗し、上述した操作装置を作業者が操作することで、作業台を高所の作業対象物まで移動させることができる。このとき、高所作業車には、車体を作業台の方向へ転倒させようとするモーメント(以下「転倒モーメント」と称する)が常に作用する。この転倒モーメントは、作業台への積載荷重の増加や、ブームの伸長作動等によって増大するため、高所作業車の中には、例えば特許文献1に記載されているように、作業台への積載荷重を検出し、検出された積載荷重に応じてブームの作動範囲を規制することにより、ブームの作動に応じて変化する転倒モーメントによって車体の安定性が損なわれないようにしたものがある。
【0004】
上述した特許文献1の高所作業車では、ブームの先端部に取り付けられるブラケットと、作業台に形成されたボスと、上リンク部材及び下リンク部材とを、互いに枢結することで平行リンク機構を構成している。この平行リンク機構によって、作業台は、床面の水平を保ったまま上下方向への揺動が自在となり、平行リンク機構の可動部となるボスの下面に配設されたロードセルによって作業台の垂直荷重を検出している。
【0005】
また、ブームの先端部には、垂直ポストが上下方向へ揺動自在に枢結されており、この垂直ポストは、長尺平板形状を有するアームの一端部を水平方向へ首振り自在に枢支している。そして、アームの他端部は、平行リンク機構を構成するブラケットを、ピポットによって水平方向へ首振り自在に枢支している。また、上述した垂直ポストは、ブームの他端部に加えて、ブームに配設されているレベリングシリンダの先端部とも枢結しており、このレベリングシリンダの伸縮作動によって、ブームの起伏作動に対して垂直ポストが垂直を保持(延いては作業台が水平を保持)するようなレベリング制御を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した平行リンク機構は、ブラケット、ボス、上リンク部材及び下リンク部材によって構成され、ブラケットと上リンク部材との枢結部、上リンク部材とボスとの枢結部、ボスと下リンク部材との枢結部、及び、下リンク部材とブラケットとの枢結部において、各々1本(合計4本)のピンを用いて互いの部材を枢結している。また、ブームの先端部と垂直ポストとの枢結部、及び、垂直ポストとレベリングシリンダの先端部との枢結部においても、各々1本(合計2本)のピンを用いて互いの部材を枢結している。
【0008】
しかしながら、平行リンク機構の各部材を枢結するためのピンも、垂直ポストとブーム先端部及びレベリングシリンダとを枢結するためのピンも、複数の部材を枢結させるものであることに変わりはなく、工夫次第で各部材を枢結するためのピン数を削減し、製造コストを低減することができる余地がある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、平行リンク機構によって上下方向に揺動自在に支持された作業台を、ブームの先端部に取り付けるための部品点数を削減することができる高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る高所作業車は、車体(例えば、実施形態における走行体10)と、前記車体上に起伏自在に設けられたブーム(例えば、実施形態におけるブーム30)と、前記ブームの先端部に取り付けられて前記ブームにより昇降移動される作業台(例えば、実施形態における作業台50)と、前記ブームの先端部に取り付けられ、前記ブームの起伏動に応じて伸縮作動することによって前記作業台の床面の水平を保持するレベリングシリンダ(例えば、実施形態におけるブーム側レベリングシリンダ37)と、前記ブームの先端部と前記作業台との間に設けられた平行リンク機構(例えば、実施形態における平行リンク機構70)とを備える高所作業車であって、前記平行リンク機構が、前記ブームの先端に第1枢結軸上において枢結されて垂直方向に延びるブーム側垂直リンク部材(例えば、実施形態におけるブーム側垂直リンク部材72)と、前記第1枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材に枢結されて水平方向に延びる上水平リンク部材(例えば、実施形態における上水平リンク部材73)と、前記第1枢結軸から水平方向に離れた第2枢結軸上において前記上水平リンク部材に枢結されて垂直方向に延びる作業台側垂直リンク部材(例えば、実施形態における作業台側垂直リンク部材71)と、前記第2枢結軸より下方に位置する第3枢結軸上において前記作業台側垂直リンク部材に枢結されて水平方向に延びる下水平リンク部材(例えば、実施形態における下水平リンク部材74)とを備え、前記下水平リンク部材は、前記第1枢結軸より下方に位置する第4枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材に枢結されており、前記作業台側垂直リンク部材に前記作業台を取り付け、前記ブームの先端部に取り付けられたレベリングシリンダ(例えば、実施形態におけるブーム側レベリングシリンダ37)の先端部が前記第4枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材に枢結されており、前記ブーム側垂直リンク部材に形成されたブーム側支持部(例えば、実施形態におけるロードセル支持部72a)と、前記作業台側垂直リンク部材に形成された作業台側支持部(例えば、実施形態における作業台支持部71a)と、を有し、前記ブーム側支持部と前記作業台側支持部との間で上下方向から挟持され、前記作業台側から前記ブーム側に作用する垂直方向の荷重を検出する荷重検出装置(例えば、実施形態におけるロードセル80)を備える。
【0011】
なお、上記構成の高所作業車において、前記ブームの先端部、前記ブーム側垂直リンク部材および前記上水平リンク部材が、前記第1枢結軸上において、単一の枢結ピン(例えば、実施形態における上部枢結ピン75)により互いに枢結され、前記レベリングシリンダの先端部、前記ブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材が、前記第4枢結軸上において、別の単一の枢結ピン(例えば、実施形態における下部枢結ピン76)により互いに枢結されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る高所作業車は、車体(例えば、実施形態における走行体10)と、前記車体上に起伏自在に設けられたブーム(例えば、実施形態におけるブーム30)と、前記ブームの先端部に取り付けられた平行リンク式ジブ機構(例えば、実施形態におけるジブ機構40)と、前記ブームの先端部に取り付けられ、前記ブームの起伏動に応じて伸縮作動することによって前記平行リンク式ジブ機構を起伏作動させるレベリングシリンダ(例えば、実施形態におけるブーム側レベリングシリンダ37)と、前記平行リンク式ジブ機構の先端部に取り付けられて昇降移動される作業台(例えば、実施形態における作業台50)と、前記平行リンク式ジブ機構の先端部と前記作業台との間に設けられた平行リンク機構(例えば、実施形態における平行リンク機構70)とを備える高所作業車であって、前記平行リンク機構が、前記平行リンク式ジブ機構を構成する上アーム部材(例えば、実施形態における上アーム部材41)の先端に第1枢結軸上において枢結されて垂直方向に延びるブーム側垂直リンク部材(例えば、実施形態におけるブーム側垂直リンク部材72)と、前記第1枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材に枢結されて水平方向に延びる上水平リンク部材(例えば、実施形態における上水平リンク部材73)と、前記第1枢結軸から水平方向に離れた第2枢結軸上において前記上水平リンク部材に枢結されて垂直方向に延びる作業台側垂直リンク部材(例えば、実施形態における作業台側垂直リンク部材71)と、前記第2枢結軸より下方に位置する第3枢結軸上において前記作業台側垂直リンク部材に枢結されて水平方向に延びる下水平リンク部材(例えば、実施形態における下水平リンク部材74)とを備え、前記下水平リンク部材は、前記第1枢結軸より下方に位置する第4枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材に枢結されており、前記作業台側垂直リンク部材に前記作業台を取り付け、前記平行リンク式ジブ機構を構成する下アーム部材(例えば、実施形態における下アーム部材42)の先端部が前記第4枢結軸上において前記ブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材に枢結されており、前記ブーム側垂直リンク部材に形成されたブーム側支持部(例えば、実施形態におけるロードセル支持部72a)と、前記作業台側垂直リンク部材に形成された作業台側支持部(例えば、実施形態における作業台支持部71a)と、を有し、前記ブーム側支持部と前記作業台側支持部との間で上下方向から挟持され、前記作業台側から前記ブーム側に作用する垂直方向の荷重を検出する荷重検出装置(例えば、実施形態におけるロードセル80)を備える。
【0013】
なお、上記構成の高所作業車において、前記上アーム部材の先端部、前記ブーム側垂直リンク部材および前記上水平リンク部材が、前記第1枢結軸上において、単一の枢結ピン(例えば、実施形態における上部枢結ピン75)により互いに枢結され、前記下アーム部材の先端部、ブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材が、前記第4枢結軸上において、別の単一の枢結ピン(例えば、実施形態における下部枢結ピン76)により互いに枢結されていることが好ましい。
【0015】
また、上記構成の高所作業車において、前記作業台側垂直リンク部材に垂直ポスト部材(例えば、実施形態における垂直ポスト60)を設け、前記垂直ポスト部材によって前記作業台を水平方向へ首振り自在に支持することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る高所作業車によれば、ブーム(又は平行リンク式ジブ機構)の先端部と作業台との間に設けられた平行リンク機構が、ブーム側垂直リンク部材と、上水平リンク部材と、作業台側垂直リンク部材と、下水平リンク部材とによって構成されており、ブーム(又は上アーム部材)の先端に第1枢結軸上においてブーム側垂直リンク部材が枢結され、さらに第1枢結軸上において上水平リンク部材が枢結される。また、ブームの先端部に取り付けられたレベリングシリンダ(又は下アーム部材)の先端部が第1枢結軸から水平方向に離れた第2枢結軸上においてブーム側垂直リンク部材および前記下水平リンク部材に枢結される。これにより、平行リンク機構を構成するための枢結部(具体的には、ブーム側垂直リンク部材と上水平リンク部材との枢結部やブーム側垂直リンク部材と下水平リンク部材との枢結部)と、平行リンク機構をブームの先端及びレベリングシリンダの先端部(又は上アーム部材及び下アーム部材の各先端部)に枢結するための枢結部とを一つにまとめることができる。このため、例えば、平行リンク機構を構成するための枢結部と、平行リンク機構をブーム又は平行リンク式ジブ機構に枢結させるための枢結部とを、別個に枢結した場合に比べて、枢結するための部材(例えば枢結ピン)の数を減らすことができる。
【0017】
また、上記の構成の高所作業車において、ブーム側垂直リンク部材に形成されたブーム側支持部と作業台側垂直リンク部材に形成された作業台側支持部との間で上下方向に挟持され、作業台側からブーム側に作用する垂直方向の荷重を検出する荷重検出装置を備える。これにより、作業台への垂直荷重によるモーメントは、上水平リンク部材へ作用する水平引張力又は下水平リンク部材へ作用する水平圧縮力と、リンク部材間距離との積によるモーメントによって相殺されるため、荷重検出装置は作業台側からブーム側に作用する垂直方向の荷重を検出することができる。
【0018】
また、上記いずれかの構成の高所作業車において、好ましくは、作業台側垂直リンク部材に垂直ポスト部材を設け、垂直ポスト部材によって作業台を水平方向へ首振り自在に支持する。これにより、上記いずれかの構成の高所作業車において作業台の首振り作動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る高所作業車の外観を示す側面図である。
【
図2】上記高所作業車のジブ機構及び作業台の外観を示す側面図である。
【
図3】上記高所作業車のジブ機構及び作業台の間に設けられた平行リンク機構の外観を示す側面図である。
【
図4】上記高所作業車のジブ機構及び作業台の間に設けられた平行リンク機構の外観を示す斜視図である。
【
図5】上記高所作業車のブーム先端部に設けられた平行リンク機構及び作業台の外観を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る高所作業車の一例として、
図1に自走式の高所作業車1を示す。高所作業車1は、走行可能に構成された走行体10と、走行体10の上部に設けられ、水平方向に旋回可能な旋回体20と、旋回体20の上部に設けられ、起伏可能なブーム30と、ブーム30の先端部に設けられたジブ機構40及び作業台50とを備えて構成される。なお、
図1においてはブーム30の長さを一部省略して図示している。また、
図1の紙面左側(駆動輪13側)を前方とし、紙面右側(操舵輪12側)を後方とする。
【0021】
走行体10は、走行体フレーム11に回転自在に設けられた左右一対の操舵輪12と、左右一対の駆動輪13を有している。走行体フレーム11の上部中央には旋回機構15が設けられ、旋回機構15によって、旋回体20を水平方向へ旋回可能に構成されている。旋回機構15は、走行体フレーム11に固定された外輪と、この外輪に係合し、旋回体20に固定された内輪と、走行体10に設けられている各種アクチュエータに作動油を供給するためのロータリーセンタージョイント(図示略)とを有している。旋回体20の上部にはブーム30が設けられており、ブーム30は枢結ピン34を軸として上下方向に回動自在(起伏自在)になっている。ブーム30は、旋回体20に枢結された基端ブーム31と、基端ブーム31に入れ子式に組み合わされた中間ブーム32及び先端ブーム33とを有し、これらブームを伸縮自在に構成されている。
【0022】
先端ブーム33の先端部に設けられたブームヘッド36は平行リンク式のジブ機構40の基端部であるジブベース43と枢結ピン43aによって枢結している。また、ジブベース43は、先端ブーム33の内部に設けられたブーム側レベリングシリンダ37(
図2参照)のピストンロッド37aと枢結ピン43bによって枢結している。これにより、ブーム側レベリングシリンダ37の伸縮作動によって枢結ピン43aを軸として、ブームヘッド36に対してジブ機構40を起伏作動させることができる。ジブ機構40の先端部には、平行リンク機構70が取り付けられており、平行リンク機構70は、作業台50を上下動自在に支持している。また、作業台50には、操作装置が設けられており、作業台50に搭乗した作業者によって、走行体10の走行、旋回体20の旋回作動、ブーム30の起伏作動、及び作業台40の首振り作動などの制御が可能になっている。
【0023】
次に
図2を参照して、ジブ機構40の構成について説明する。ジブ機構40は、主にジブベース43と、上アーム部材41と、下アーム部材42とによって構成されている。ジブベース43は、前述した枢結ピン43a,43bによりブームヘッド36及びレベリングシリンダ37のシリンダロッド37aの先端部と枢結しており、さらに枢結ピン43cにより水平方向に延びる長尺棒状の上アーム部材41の一端部と枢結している。また、枢結ピン43cの位置よりも下方において、ジブベース43と、上アーム部材41とほぼ平行に延びる長尺棒状の下アーム部材42の一端部とが枢結ピン43dにより枢結している。そして、上アーム部材41及び下アーム部材42の各他端部は、平行リンク機構70と枢結している。
【0024】
上アーム部材41と下アーム部材42との間には、ジブ側シリンダ44が設けられており、ピストンロッド44aの先端部は、ジブベース43と下アーム部材42との枢結部において、ジブベース43及び下アーム部材42とともに枢結ピン43dにより枢結されている。また、ジブ側シリンダ44のシリンダチューブ44bの基端部は、上アーム部材41と枢結している。このような構成によって、ブーム30の起伏作動に応じてブーム側レベリングシリンダ37を伸縮作動させて作業台50のレベリング制御を行いつつ、ジブ側シリンダ44を伸縮作動させることで、作業台50の床面が水平に保たれた状態で、ブーム30の先端に対して作業台50を上下方向に揺動させることができる。
【0025】
次に
図3及び
図4を参照して、平行リンク機構70及びその周辺の構成と、平行リンク機構70と上アーム部材41及び下アーム部材42との枢結部について説明する。ここで、
図3は平行リンク機構70及びその周辺の構成を示す側面図、
図4は、平行リンク機構70及びその周辺の構成をやや後方から作業台50の方向を見たときの斜視図である。平行リンク機構70は、垂直方向に延びブーム30側に位置するブーム側垂直リンク部材72と、垂直方向に延び作業台側に位置する作業台側垂直リンク部材71と、水平方向に延び、一端部がブーム側垂直リンク部材72と枢結
(この枢結軸を第1枢結軸と称する)し、他端部が作業台側垂直リンク部材71と枢結
(この枢結軸を第2枢結軸と称する)する上水平リンク部材73と、上水平リンク部材73の下方において水平方向に延び、一端部がブーム側垂直リンク部材72と枢結
(この枢結軸を第4枢結軸と称する)し、他端部が作業台側垂直リンク部材71と枢結
(この枢結軸を第3枢結軸と称する)する下水平リンク部材74とによって構成されている。また、ブーム側垂直リンク部材72、作業台側垂直リンク部材71、上水平リンク部材73及び下水平リンク部材74は、各々、
図3において紙面奥側と手前側とに1つずつ、対向して配設された二つ一組の部材で構成されている(
図4参照)。
【0026】
平行リンク機構70は、上水平リンク部材73及びブーム側垂直リンク部材72を枢結するための上部枢結ピン75によって上アーム部材41先端と枢結し、下水平リンク部材74及びブーム側垂直リンク部材72を枢結するための下部枢結ピン76によって下アーム部材42先端と枢結することで、ジブ機構40の先端部に取り付けられている。より詳細には、上水平リンク部材73とブーム側垂直リンク部材72とを枢結するための上部枢結ピン75は、上アーム部材41の上部ピン孔41a(
図3参照)に貫入される。これにより上アーム部材41は、ブーム側垂直リンク部材72と上水平リンク部材73との枢結部と同軸上においてブーム側垂直リンク部材72及び上水平リンク部材73に枢結される。同様に、下水平リンク部材74とブーム側垂直リンク部材72とを枢結するための下部枢結ピン76は、下アーム部材42の下部ピン孔42a(
図3参照)に貫入される。これにより下アーム部材42は、ブーム側垂直リンク部材72と下水平リンク部材74との枢結部と同軸上においてブーム側垂直リンク部材72及び下水平リンク部材74に枢結される。
【0027】
図3及び
図4に示すように、対向する2つの作業台側垂直リンク部材71の間には、作業台50を支持するための作業台支持部71aが形成されている。この作業台支持部71aには垂直ポスト60が固定されており、垂直ポスト60は作業台50を水平方向へ首振
り自在に支持している。また、垂直ポスト60の内部には首振りモータが設けられており、この首振りモータによって作業台50の首振り作動が可能となる。さらに作業台50は、平行リンク機構70によって床面を水平に保ったままジブ機構40の先端部に対して上下方向への揺動が可能となる。
【0028】
また、対向する2つのブーム側垂直リンク部材72の間には、ロードセル支持部72aが形成されており、ロードセル支持部72aの上面には、略直方体のロードセル80の一端部がボルトによって固定されている。また、ロードセル80の他端部上面側には、荷重受け部材81及び高さ調整部材82が取り付けられている。荷重受け部材81は円盤状の部材であり、作業台支持部71aの下面に当接して作業台50側の荷重を受けている。高さ調整部材82は、荷重受け部材81に固定されたボルト82aとロードセル80の他端部上面に位置するナット82bとにより構成されている。ロードセル80においてナット82bのる位置には、高さ調整部材82のボルト82aの先端が貫通し得る貫通孔が設けられている。これにより、高さ調整部材82のボルト82aに固定された荷重受け部材81を作業台支持部71a側から見て時計方向に回すと、荷重受け部材81の当接面(詳細には作業台支持部71aの下面との当接面)が下方へ移動し(すなわちロードセル80側にねじ込まれていく)、反時計方向に回すと荷重受け部材81の当接面が上方へ移動するように構成されている。
【0029】
上述した構成により、ロードセル支持部72aと作業台側支持部71aとの間に、ロードセル80が上下方向に挟持されて作業台50の上下方向の移動を阻止するように配置されることで、ロードセル80によって作業台50側からブーム30側に作用する垂直方向の荷重の検出が可能となる。
【0030】
このように、本実施形態においては平行リンク機構70を構成する上水平リンク部材73とブーム側垂直リンク部材72との枢結部と、平行リンク機構70をジブ機構40の上アーム部材41と枢結させるための枢結部とを、同軸上に合わせ、1本の上部枢結ピン75によって枢結することができる。また、下水平リンク部材74とブーム側垂直リンク部材72との枢結部と、平行リンク機構70をジブ機構40の下アーム部材42と枢結させるための枢結部とを、同軸上に合わせ、1本の下部枢結ピン76によって枢結することができる。これにより、平行リンク機構を構成したり、当該平行リンク機構とブームの先端部とを枢結させたりするために必要となる枢結ピンの本数を削減することができる。
【0031】
次に、
図5を参照して本実施形態の変形例について説明する。上述した実施形態では、ブーム30の先端部に取り付けられたジブ機構40と平行リンク機構70とを枢結していたが、本変形例では、ブーム30の先端部に平行リンク機構70を直接枢結させている。ここで、
図5(a)は、ブーム30の先端部に平行リンク機構70を取り付けた状態を示す側面図であり、
図5(b)は、ブーム30の先端部から平行リンク機構70を取り外した状態を示す側面図である。また、
図5において、
図2~
図4に示した実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0032】
本変形例において、平行リンク機構70は、上水平リンク部材73とブーム側垂直リンク部材72とを枢結するための上部枢結ピン75が、ブームヘッド36に設けられた上部ピン孔36a(
図5(b)参照)に貫入される。これにより、ブーム側垂直リンク部材72と上水平リンク部材73との枢結部と同軸上においてブームヘッド36がブーム側垂直リンク部材72及び上水平リンク部材73に枢結される。同様に、下水平リンク部材74とブーム側垂直リンク部材72とを枢結するための下部枢結ピン76は、ブーム側レベリングシリンダ37のピストンロッド37aの先端に設けられた下部ピン孔37b(
図5(b)参照)に貫入される。これにより、ブーム側垂直リンク部材72と下水平リンク部材74との枢結部と同軸上においてピストンロッド37aがブーム側垂直リンク部材72及
び下水平リンク部材74に枢結される。
【0033】
上述した変形例においては、上部枢結ピン75を軸として平行リンク機構70(延いては作業台50)が上下方向に揺動自在となる。これにより、ブーム30の起伏作動に応じてブーム側レベリングシリンダ37を伸縮作動させることで、作業台50の床面が水平を保持するレベリング制御が可能となる。
【0034】
このように、上述した変形例においては、平行リンク機構70を構成する上水平リンク部材73とブーム側垂直リンク部材72との枢結部と、平行リンク機構70をブームヘッド36と枢結させるための枢結部とを、同軸上に合わせ、1本の上部枢結ピン75によって枢結することができる。また、下水平リンク部材74とブーム側垂直リンク部材72との枢結部と、平行リンク機構70をブーム側レベリングシリンダ37のシリンダロッド37aの先端部と枢結させるための枢結部とを、同軸上に合わせ、1本の下部枢結ピン76によって枢結することができる。これにより、平行リンク機構を構成したり、当該平行リンク機構とブームの先端部とを枢結させたりするために必要となる枢結ピンの本数を削減することができる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、本実施形態では、作業台50を垂直ポスト60に首振り自在に取り付け、垂直ポスト60を作業台側垂直リンク部材71の作業台支持71aに設けていたが、垂直ポスト60を省略し、作業台50を直接作業台支持71aに設けてもよい。また、本実施形態は、作業者が作業台に設けられた操作装置から走行体の走行制御を行う自走式の高所作業車であったが、キャブオーバ型トラックの車体に旋回台を設け、先端部に作業台を設けたブームを旋回台に起伏自在に取り付けた高所作業車であってもよい。また、本実施形態では、走行体がタイヤ車輪式である高所作業車であったが、走行体は必ずしもタイヤ車輪式に限定されるものではなく、クローラ装置等により走行するものであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 高所作業車
10 走行体
12 操舵輪
13 駆動輪
20 旋回体
30 ブーム
40 ジブ機構
41 上アーム部材
42 下アーム部材
50 作業台
60 垂直ポスト
70 平行リンク機構
71 作業台側垂直リンク部材
71a 作業台支持部
72 ブーム側垂直リンク部材
72a ロードセル支持部
73 上水平リンク部材
74 下水平リンク部材
75 上部枢結ピン
76 下部枢結ピン
80 ロードセル