(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】ドローンポートとその使用方法
(51)【国際特許分類】
B64F 1/12 20060101AFI20240814BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240814BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20240814BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20240814BHJP
B64U 70/90 20230101ALI20240814BHJP
【FI】
B64F1/12
B64C39/02
B64D27/24
B64F1/36
B64U70/90
(21)【出願番号】P 2020175338
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼我 隆之
(72)【発明者】
【氏名】緑川 亨平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 克之
(72)【発明者】
【氏名】巽 慎太郎
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2018-0002358(KR,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0259998(US,A1)
【文献】米国特許第10369975(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/12
B64F 1/36
B64D 27/24
B64C 39/02
B64U 70/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンが離着陸する着陸台を着陸位置とバッテリ交換位置との間で移動可能な着陸台移動装置と、
複数のバッテリを格納するバッテリ格納部と、
前記ドローンが搭載する前記バッテリを、前記バッテリ格納部の別の前記バッテリと交換するバッテリ交換装置と、を備
え、
前記バッテリは、電力を給電及び受電するための通電端子と、前記ドローンに着脱可能に係合する係合部と、前記ドローンに対し位置決めする保持部材と、を有し、
前記ドローンは、前記係合部と係合して前記バッテリを着脱可能に搭載するバッテリ搭載部と、前記保持部材を定位置で着脱可能に固定するストッパと、を有し、
前記バッテリ交換装置は、鉛直面に沿って水平方向及び高さ方向に移動可能な移動ユニットと、前記移動ユニットに取り付けられ水平旋回及び前記鉛直面に直交する水平移動が可能であり、前記バッテリを把持可能なピッキング装置と、を有し、
前記ピッキング装置は、水平旋回可能な旋回装置と、前記旋回装置に設けられ前記鉛直面に直交する水平方向に移動可能な横行装置と、前記横行装置に設けられ前記バッテリを把持可能なピッキングアームと、を有し、
前記ストッパは、回転軸を中心に回転可能でありかつ水平位置に付勢されており、該水平位置において、水平方向外方端に設けられたテーパ面と前記保持部材が嵌合する係合溝とを有しており、
前記ピッキングアームは、前記テーパ面に係合し定位置で前記保持部材から前記ストッパを解除するストッパ解除部材を有する、ドローンポート。
【請求項2】
前記バッテリ格納部は、複数の前記バッテリを同一の
前記鉛直面に沿って水平方向及び高さ方向に間隔を隔てて位置決めするバッテリ棚を有
する、請求項
1に記載のドローンポート。
【請求項3】
前記移動ユニットは、前記鉛直面に沿って水平移動可能な移動台車と、
前記移動台車に設けられ前記鉛直面に沿って昇降可能
であり前記旋回装置を昇降する昇降ユニットと、を有
する、請求項
2に記載のドローンポート。
【請求項4】
前記バッテリ格納部の複数の前記バッテリを管理するバッテリ管理装置を備え、
前記バッテリ管理装置は、交流電源及び直流電源から複数の前記バッテリに充電する充電装置と、
前記バッテリの充電率を計測し管理する充電率管理部と、
前記バッテリの温度を計測し管理する温度管理部と、を有する、請求項1に記載のドローンポート。
【請求項5】
ドローンポート稼動用の交流機器及び直流機器と、
複数の前記バッテリからの直流電流を充電に適した交流電流に変換して前記交流機器に供給するDC-ACインバータと、
複数の前記バッテリからの直流電流を充電に適した直流電流に変換して前記直流機器に供給する変圧器と、を備える、請求項1に記載のドローンポート。
【請求項6】
外部と通信する通信機器と、前記バッテリの温度を検出する温度センサと、発火又は発煙を検出する発火・発煙センサと、内部を消火する消火設備とのうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載のドローンポート。
【請求項7】
請求項1に記載のドローンポートの使用方法であって、
前記ドローンが前記着陸位置の前記着陸台に着陸した後、前記着陸台を前記バッテリ交換位置まで移動させ、
前記ドローンが搭載する前記バッテリを、前記バッテリ交換装置により取り外して前記バッテリ格納部に格納し、
別の前記バッテリを、前記バッテリ格納部から取り出して、前記ドローンに搭載する、ドローンポートの使用方法。
【請求項8】
複数の前記バッテリから任意の前記バッテリを順次選択し、
前記バッテリのバッテリ温度が充電適正範囲かをチェックし、充電用に温度調整の必要がある場合、前記充電適正範囲になるように前記バッテリを加熱又は冷却した後に充電を開始する、請求項
7に記載のドローンポートの使用方法。
【請求項9】
複数の前記バッテリから任意の前記バッテリを順次選択し、
満充電後に一定期間経過したかをチェックし、未経過の場合、保管を継続し、経過している場合、充放電により残量を規定値にし、満充電のバッテリ数は一定数以下かをチェックし、一定数以下の場合、保管用の充電を開始する、請求項
7に記載のドローンポートの使用方法。
【請求項10】
停電時に、ドローンポート稼動用の交流機器及び直流機器で使用する前記バッテリと、交換用の前記バッテリの比率を適正範囲に変更し、かつ満充電の前記バッテリを交換用に選択する、請求項
7に記載のドローンポートの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローンが離着陸でき、着陸したドローンのバッテリを直接交換して、充電時間の待機なしにドローンを長時間運用するドローンポートとその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「ドローン」とは、小型の無人ヘリコプターの一種である。近年、ドローンを用いて、小型の荷物を無人で搬送したり、橋梁等の建造物を点検したり、農薬を散布したりすることが計画されている。
かかるドローンは、通常、その動力源としてバッテリが用いられている。
【0003】
ドローンを長時間運用する場合、バッテリの充電が不可欠となる。そこで、バッテリの充電が可能なドローンポートとして、例えば特許文献1,2が開示されている。
【0004】
特許文献1の「無人航空機待機ブース」は、無人航空機待機ブースを構成するケースに、機体バッテリの充電ユニットを配置することを提案している。充電ユニットを配置した場合、無人航空機待機ブースを搬送している最中に機体バッテリの充電を行うことが可能となり、運用現場でのバッテリ不足を生じさせるおそれを低減できる。
【0005】
特許文献2の「無人航空機による液体輸送、その方法及びシステム」は、UAV充電器をドローンが離着陸するドッキング受け部に設けることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-23210号公報
【文献】特許第6571739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1,2の手段では、ドローンの機体内にバッテリを格納し、ドローンへ直接充電を行っている。
そのため、ドローンのバッテリに直接充電を行うので、充電に時間がかかり、ドローンを長時間運用できない。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ドローンのバッテリを直接交換でき、これにより充電時間の待機なしに、短時間の着陸でドローンを長時間運用することができるドローンポートとその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ドローンが離着陸する着陸台を着陸位置とバッテリ交換位置との間で移動可能な着陸台移動装置と、
複数のバッテリを格納するバッテリ格納部と、
前記ドローンが搭載する前記バッテリを、前記バッテリ格納部の別の前記バッテリと交換するバッテリ交換装置と、を備え、
前記バッテリは、電力を給電及び受電するための通電端子と、前記ドローンに着脱可能に係合する係合部と、前記ドローンに対し位置決めする保持部材と、を有し、
前記ドローンは、前記係合部と係合して前記バッテリを着脱可能に搭載するバッテリ搭載部と、前記保持部材を定位置で着脱可能に固定するストッパと、を有し、
前記バッテリ交換装置は、鉛直面に沿って水平方向及び高さ方向に移動可能な移動ユニットと、前記移動ユニットに取り付けられ水平旋回及び前記鉛直面に直交する水平移動が可能であり、前記バッテリを把持可能なピッキング装置と、を有し、
前記ピッキング装置は、水平旋回可能な旋回装置と、前記旋回装置に設けられ前記鉛直面に直交する水平方向に移動可能な横行装置と、前記横行装置に設けられ前記バッテリを把持可能なピッキングアームと、を有し、
前記ストッパは、回転軸を中心に回転可能でありかつ水平位置に付勢されており、該水平位置において、水平方向外方端に設けられたテーパ面と前記保持部材が嵌合する係合溝とを有しており、
前記ピッキングアームは、前記テーパ面に係合し定位置で前記保持部材から前記ストッパを解除するストッパ解除部材を有する、ドローンポートが提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記のドローンポートの使用方法であって、
前記ドローンが前記着陸位置の前記着陸台に着陸した後、前記着陸台を前記バッテリ交換位置まで移動させ、
前記ドローンが搭載する前記バッテリを、前記バッテリ交換装置により取り外して前記バッテリ格納部に格納し、
別の前記バッテリを、前記バッテリ格納部から取り出して、前記ドローンに搭載する、ドローンポートの使用方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バッテリ格納部とバッテリ交換装置を備え、ドローンが搭載するバッテリを、バッテリ交換装置により取り外してバッテリ格納部に格納し、別のバッテリを、バッテリ格納部から取り出してドローンに搭載する。
従って、ドローンのバッテリを直接交換でき、これにより充電時間の待機なしに、短時間の着陸でドローンを長時間運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるドローンポートの全体構成図である。
【
図3】
図2(C)のE-E矢視図でありストッパの説明図である。
【
図4】バッテリ管理装置を備えたドローンポートの構成図である。
【
図7】異常監視、エネルギー管理、消火の各方法の全体フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明によるドローンポート100の全体構成図である。
この図において、ドローンポート100は、着陸台移動装置20、バッテリ格納部30、及びバッテリ交換装置40を備える。
着陸台移動装置20は、ドローン1が離着陸する着陸台22を着陸位置H1とバッテリ交換位置H2との間で移動可能(この例では昇降可能)に構成されている。
なお、着陸台22の移動は、昇降に限定されず、着陸位置H1とバッテリ交換位置H2の間で着陸台22を移動できればよい。
バッテリ格納部30は、複数のバッテリ5を格納する。
バッテリ交換装置40は、ドローン1が搭載するバッテリ5を、バッテリ格納部30の別のバッテリ5と交換する機能を有する。
【0015】
この例において、ドローンポート100は、中空ボックス10を備える。
中空ボックス10は、中空内部11を有し、かつ上面中央にドローン1が通過可能な開口12を有する。また、開口12を開閉可能なルーフ装置14が中空ボックス10の上面に設けられている。
この例において、上述した着陸台移動装置20、バッテリ格納部30、及びバッテリ交換装置40は、ドローンポート100の内側に設置されている。
なお、中空ボックス10は、必須ではなく、これを省略してもよい。
【0016】
図1において、バッテリ格納部30は、バッテリ棚32を有する。バッテリ棚32は、複数のバッテリ5を同一の鉛直面33に沿って水平方向X及び高さ方向Zに間隔を隔てて位置決めしている。
この図において、鉛直面33は紙面に垂直な仮想平面であり、水平方向Xは紙面に垂直方向であり、高さ方向Zは上下方向である。また、Yは鉛直面33に直交する水平方向である。以下、水平方向X,YをそれぞれX方向、Y方向と呼び、高さ方向ZをZ方向と呼ぶ。
【0017】
図1において、バッテリ交換装置40は、移動ユニット42とピッキング装置50とを有する。
【0018】
移動ユニット42は、鉛直面33に沿って水平方向X及び高さ方向Zに移動可能に構成されている。この例で、移動ユニット42は、鉛直面33に沿ってX方向に水平移動可能な移動台車44と、移動台車44に設けられ鉛直面33に沿ってZ方向に昇降可能な昇降ユニット46と、を有する。
移動台車44は、この例で走行車輪44aを有し、中空ボックス10の底面に設置されX方向に延びるレール44bに沿って移動可能に構成されている。
昇降ユニット46は、この例でユニット台47を水平に保持しながら昇降するシーザーリフト装置である。
【0019】
ピッキング装置50は、移動ユニット42(この例ではユニット台47)に取り付けられ水平旋回及び鉛直面33に直交する水平移動が可能であり、バッテリ5を把持可能に構成されている。水平旋回は、鉛直軸を中心とする旋回である。鉛直面33に直交する水平移動は、Y方向の移動である。
この例で、ピッキング装置50は、旋回装置52、横行装置54、及びピッキングアーム56を有する。
旋回装置52は、昇降ユニット46(この例ではユニット台47)に設けられ横行装置54を水平旋回可能に構成されている。
横行装置54は、旋回装置52の旋回部分に設けられ鉛直面33に直交する水平方向(Y方向)に移動可能に構成されている。
ピッキングアーム56は、横行装置54の移動部分に設けられバッテリ5を把持可能に構成されている。
【0020】
図2は、ドローン1とバッテリ5の説明図である。この図において、(A)は、
図1のドローン1の拡大図、(B)は(A)の右側面図、(C)は(B)のバッテリ搭載部2の拡大図、(D)は、(C)のバッテリ5の単体図である。
【0021】
図2(D)において、バッテリ5は、電力を給電及び受電するための通電端子6と、ドローン1に着脱可能に係合する係合部7と、ドローン1に対し位置決めする保持部材8と、を有する。
通電端子6は、この例ではバッテリ5のY方向端面の一方又に両方に設けられているが、本発明はこれに限定されず、その他の位置でもよい。
係合部7は、この例ではバッテリ5の上端部からX方向両側に張り出した張出部7aである。
保持部材8は、この例ではバッテリ5のX方向端面からX方向外方に延びる棒状部材8aである。
【0022】
図2(C)において、ドローン1は、バッテリ5の係合部7と係合してバッテリ5を着脱可能に搭載するバッテリ搭載部2と、バッテリ5の保持部材8を定位置で着脱可能に固定するストッパ3と、を有する。
バッテリ搭載部2は、この例では、バッテリ5の上端部を下方に収容し、バッテリ5のX方向両側に下方に延びる1対の収容壁2aと、収容壁2aの下端から張出部7aの真下に水平内側に延び、張出部7aを支持する支持部2bとを有する。
この構成により、バッテリ5の係合部7をバッテリ搭載部2の収容壁2aの間にY方向に水平に挿入することで、バッテリ5をドローン1に搭載することができる。
【0023】
図3は、
図2(C)のE-E矢視図でありストッパ3の説明図である。
ストッパ3は、回転軸3cを中心に回転可能でありかつ水平位置に付勢されており、水平位置において、水平方向外方端に設けられたテーパ面3aと保持部材8が嵌合する係合溝3bとを有している。
図3(A)において、ストッパ3は、テーパ面3a、係合溝3b、回転軸3c、バネ3d及び支持部材3eを有するY方向に細長い部材である。
回転軸3cと支持部材3eは、バッテリ搭載部2に固定されている。バネ3dは、この例で圧縮バネであり、一端がバッテリ搭載部2に固定され他端がストッパ3の回転軸3cより図で右側に固定されている。この構成により、ストッパ3は、X方向に延びる回転軸3cを中心に、支持部材3eで支持された(A)の状態から(B)の状態まで上下方向に揺動するようになっている。
【0024】
図3(A)において、棒状部材8aは、テーパ面3aの下部に係合する高さに設定されている。
また、上述したピッキングアーム56は、テーパ面3aの上部に係合し定位置で保持部材8からストッパ3を解除するストッパ解除部材58を有する
すなわちストッパ解除部材58は、定位置で保持部材8からストッパ3を解除する機能を有する。
【0025】
バッテリ5をドローン1のバッテリ搭載部2にY方向に水平に挿入する際、ピッキングアーム56はバッテリ5を把持しており、ストッパ解除部材58と棒状部材8aは、同期して
図3(A)に示すように図で左方向に移動する。
ストッパ解除部材58又は棒状部材8aが、棒状部材8aのテーパ面3aに係合すると、
図3(B)に示すように、その水平力によりテーパ面3aを上方に押し上げながら、さらに図で左方向に移動する。
【0026】
係合溝3bに棒状部材8aが嵌合した位置が、保持部材8の定位置である。
図3(B)に示すように、保持部材8が定位置まで移動した後、ピッキングアーム56がバッテリ5を開放して右方向に移動する。
この際、バッテリ5は開放されているので、バッテリ搭載部2に残り、バッテリ5と共に棒状部材8aを残してストッパ解除部材58が右方向に移動して、
図3(C)に示すようにストッパ3によりバッテリ5の保持部材8を定位置で固定することができる。
【0027】
本発明のドローンポート100は、さらにバッテリ管理装置60を備える。
図4は、バッテリ管理装置60を備えたドローンポート100の構成図である。
バッテリ管理装置60は、入力装置、出力装置、記憶装置、及び演算装置を有するコンピュータ(例えばPC)であり、バッテリ格納部30の複数のバッテリ5を管理する。
【0028】
この図において、バッテリ管理装置60は、充電装置63、充電率管理部64、及び温度管理部65を有する。
【0029】
充電装置63は、交流電源61a及び直流電源61bから複数のバッテリ5に充電する。交流電源61aは、例えば商用電源である。直流電源61bは、例えば太陽光パネル、風力発電、等である。この例でAC-DCコンバータ62aとDC-DCコンバータ62bが設けられており、AC-DCコンバータ62aにより交流電源61aからの交流電流を直流電流に変換してバッテリ5に充電する。また、DC-DCコンバータ62bにより直流電源61bからの直流電流を充電に適した電圧の直流電流に変換してバッテリ5に充電する。
【0030】
充電率管理部64は、複数のバッテリ5の充電率を計測し管理する。
温度管理部65は、複数のバッテリ5の温度を計測し管理する。
【0031】
図4において、本発明のドローンポート100は、さらに、ドローンポート稼動用の交流機器71aと直流機器71bを有する。
交流機器71aは、ドローンポート100に設置され交流電力で作動する動力装置、制御装置、その他の機器である。充電用機器としてDC-ACインバータ62cが設けられており、DC-ACインバータ62cにより複数のバッテリ5からの直流電流を充電に適した交流電流に変換して交流機器71aに供給する。
直流機器71bは、ドローンポート100に設置され直流電力で作動する動力装置、制御装置、その他の機器である。充電用機器として変圧器72が設けられており、変圧器72により複数のバッテリ5からの直流電流を充電に適した直流電流に変換して直流機器71bに供給する。
【0032】
図4において、本発明のドローンポート100は、さらに、通信機器73、温度センサ74、発火・発煙センサ75、消火設備76を有する。
通信機器73は外部と通信する。温度センサ74は複数のバッテリ5の温度を検出する。発火・発煙センサ75は発火又は発煙を検出する。消火設備76は内部を消火する。
【0033】
図5~
図7は、本発明によるドローンポート100の使用方法を示すフロー図である。
このうち
図5は、バッテリ交換方法の全体フロー図であり、S1~S12dの各ステップ(工程)からなる。
【0034】
S1でドローン1から着陸要請があると(YES)、S2で着陸要請があったドローン1に適したバッテリ5を準備する。着陸要請がない(NO)場合は、待機(S12a)し、S1に戻る。
S2の後、又はS2と並行してS3でルーフ装置14により天井(開口12)を開放し、着陸面(着陸台22)を着陸位置H1に移動(この例で上昇)させる。
【0035】
次いで、ドローン1の着陸完了(S4でYES)まで待機し(S12b)、S5で着陸面をバッテリ交換位置H2まで移動(この例で下降)させてドローン1を格納し、並行して天井(開口12)を閉鎖する。
S6では、ドローン1が搭載するバッテリ5を、バッテリ交換装置40により取り外してバッテリ格納部30に格納し、別のバッテリ5を、バッテリ格納部30から取り出して、ドローン1に搭載する。
【0036】
S7で、天井を開放し、着陸面を上昇させ、S8で飛行許可をドローン1へ通知する。
次いで、ドローン1の離陸完了(S9でYES)まで待機し(S12c)、離陸完了後、S10で着陸面をバッテリ交換位置H2まで移動(この例で下降)させ、並行して天井(開口12)を閉鎖した後、待機(S12d)して終了する。
【0037】
図6は、バッテリ管理方法の全体フロー図であり、T1~T15の各ステップ(工程)からなる。なお以下のステップは、複数のバッテリ5に対し、必要に応じて順次実施することが好ましい。
【0038】
T1で充電用に温度調整の必要があるかをチェックし、YESの場合、12aで加熱又は冷却する。
次いで、T2でバッテリ温度は充電適正範囲かをチェックし、NOの場合、T13で充電せずにT2に戻る。バッテリ5は高温のまま、若しくは低温のまま充電すると劣化を早めるからである。充電適正範囲は、例えば22℃~28℃である。
T2でYESの場合、T3aで充電を開始し、T4で規定充電に達したかをチェックし、NOの場合、充電を継続し(T14)、T4に戻る。
T4でYESの場合、充電を終了する(T5)。
【0039】
上述したように複数のバッテリ5から任意のバッテリ5を順次選択し、バッテリ5のバッテリ温度が充電適正範囲かをチェックし、充電用に温度調整の必要がある場合、充電適正範囲になるようにバッテリ5を加熱又は冷却した後に充電を開始する。
これにより、充電適正範囲を超える高温又は低温での充電開始を防止し、バッテリ5の早期劣化を防止することができる。
【0040】
次いで、T6で満充電後に一定期間経過したかをチェックし、NOの場合、保管を継続する(T15)。
T6でYESの場合、T7で充放電により残量を規定値にし、T8で満充電は一定の数量以下かをチェックし、YESの場合、T3bで保管用の充電を開始し、T4に戻る。
【0041】
すなわち、任意のバッテリ5を順次選択し、満充電後に一定期間経過したかをチェックし、未経過の場合、保管を継続する。また、一定期間を経過している場合、充放電により残量を規定値にし、満充電のバッテリ数が一定数以下かをチェックし、一定数以下の場合、保管用の充電を開始する。
これにより、満充電のバッテリ数が減ったら、保管用のバッテリ5を充電して、満充電のバッテリ数を増やし、満充電のバッテリ数を、適正範囲(例えば全体数量の約60%程度)に維持することができる。
【0042】
T8でNOの場合、T9で直近にドローン1の使用予定があるかをチェックし、NOの場合、保管を継続する(T15)。
例えば1か月以上使用しないバッテリ5は、中程度の残量、例えば40~65%の残量が理想的である。
T9でYESの場合、T10で温度調整の必要があるかをチェックし、YESの場合、12bで加熱又は冷却する。
次いで、T11でバッテリ交換の準備を開始して、終了する。
T11のバッテリ交換準備は、
図5のS2に相当する。
【0043】
図7は、異常監視、エネルギー管理、消火の各方法の全体フロー図である。
【0044】
図7(A)は、異常監視方法であり、U1で異常温度を検知したかをチェックし、NOの場合、監視を継続する(U4)。
U1でYESの場合、充電を停止し(U2)、異常状態を発報し(U3)、終了する。
異常状態の発報は、例えばネットワーク回線等を通じて異常状態であることを管理者へ通知する。
【0045】
図7(B)は、エネルギー管理方法であり、V1で停電したかをチェックし、NOの場合、通常運用を継続する(V3)。
V1でYESの場合、V2でバッテリ5の使用割合を変更し、システム及び装置作動用に割り当てて、終了する。
バッテリ5の使用割合を変更するのは、停電時でもドローンポート100の機能を維持するためである。例えば、ドローンポート100の稼動用に全体数量の60%を割り当て、ドローン1への受け渡し用に全体数量の40%を割り当てる。また、ドローン1への受け渡し用は、満充電(残量100%)のバッテリ5を保管用から優先的に適用するのがよい。
【0046】
すなわち、停電時に、ドローンポート稼動用の交流機器71a及び直流機器71bで使用するバッテリ5と、交換用のバッテリ5の比率を適正範囲に変更し、かつ満充電のバッテリ5を交換用に選択する。
これにより、停電時でもドローンポート100の機能を長期間維持することができる。
【0047】
図7(C)は、消火方法であり、W1で煙を検知したかをチェックし、YESの場合、消火設備を稼働し(W2)、異常状態を発報して(W3)、終了する。
W1でNOの場合、W1に戻り煙の検知を継続する。
【0048】
上述した本発明の実施形態によれば、バッテリ格納部30とバッテリ交換装置40を備え、ドローン1が搭載するバッテリ5を取り外してバッテリ格納部30に格納し、別のバッテリ5をドローン1に搭載する。
従って、ドローン1のバッテリ5を直接交換でき、これにより充電時間の待機なしに、短時間の着陸でドローン1を長時間運用することができる。
【0049】
さらに本発明によれば、以下の付随する効果が得られる。
(1)ストッパ解除部材58が、テーパ面3aに係合し定位置で保持部材8からストッパ3を解除するので、ピッキングアーム56を用いてバッテリ5をバッテリ搭載部2に水平に挿入し、バッテリ5を開放して戻るだけで、ドローン1にバッテリ5を搭載できる。バッテリ5の取り出し時も同様である。
(2)交流電源61a及び直流電源61b(例えば太陽光パネル、風力発電、等)から複数のバッテリ5に充電する充電装置63を備えるので、離島などインフラが整備されていない場所でも使用できる。
(3)ドローンポート稼動用の交流機器71a及び直流機器71bと、複数のバッテリ5からこれらを充電する充電用機器(DC-ACコンバータ、変圧器)とを備えるので、停電時に太陽光パネル、等が利用できない場合でも、稼動を継続することができる。
(4)バッテリ温度が充電適正範囲かをチェックし、充電適正範囲になるようにバッテリ5を加熱又は冷却した後に充電を開始するので、充電適正範囲を超える高温又は低温での充電開始を防止し、バッテリ5の早期劣化を防止することができる。
(5)満充電のバッテリ数が減ったら、保管用のバッテリ5を充電して、満充電のバッテリ数を増やし、満充電のバッテリ数を、適正範囲(例えば全体数量の約60%程度)に維持することができる。
(6)停電時に、ドローンポート稼動用の交流機器71a及び直流機器71bで使用するバッテリ5と、交換用のバッテリ5の比率を適正範囲に変更し、かつ満充電のバッテリ5を交換用に選択するので、停電時でもドローンポート100の機能を長期間維持できる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
H1 着陸位置、H2 バッテリ交換位置、1 ドローン、2 バッテリ搭載部、
3 ストッパ、3a テーパ面、3b 係合溝、3c 回転軸、3d バネ、
3e 支持部材、5 バッテリ、6 通電端子、7 係合部、8 保持部材、
10 中空ボックス、11 中空内部、12 開口、14 ルーフ装置、
20 着陸台移動装置、22 着陸台、30 バッテリ格納部、32 バッテリ棚、
40 バッテリ交換装置、42 移動ユニット、44 移動台車、
44a 走行車輪、44b レール、46 昇降ユニット、47 ユニット台、
50 ピッキング装置、52 旋回装置、54 横行装置、
56 ピッキングアーム、58 ストッパ解除部材、60 バッテリ管理装置、
61a 交流電源、61b 直流電源、62a AC-DCコンバータ、
62b DC-DCコンバータ、62c DC-ACインバータ、
63 充電装置、64 充電率管理部、65 温度管理部、71a 交流機器、
71b 直流機器、72 変圧器、73 通信機器、74 温度センサ、
75 発火・発煙センサ、76 消火設備、100 ドローンポート