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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】業務支援システム、業務支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/02 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G05B13/02 M
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020206596
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022093878
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】301078191
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】メドラノ カテレア
(72)【発明者】
【氏名】岡部 淳
(72)【発明者】
【氏名】相川 竜一
(72)【発明者】
【氏名】河村 幸生
(72)【発明者】
【氏名】徳田 勇也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 卓弥
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/087374(WO,A1)
【文献】特開2020-30138(JP,A)
【文献】特開2020-140226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械学習により業務を支援するAIコントローラと、
前記AIコントローラの状態を判定するAIエクスプレイナーと、
前記AIエクスプレイナーの判定基準を生成する基準ジェネレータと、を備え、
前記基準ジェネレータは、前記AIコントローラの入出力値の学習経験値及びAI信頼度を判定する判定基準を生成するとともに、前記AIコントローラの事前学習データに基づき学習済み又は未学習を判定する学習範囲を設定し、
前記学習範囲の上限及び下限の各々に所定のマージンを付加した拡張範囲を設定し、
前記AIエクスプレイナーは、前記基準ジェネレータが生成した判定基準に基づき、前記AIコントローラの状態を判定するとともに、前記AIコントローラの入出力値を前記学習範囲及び前記拡張範囲と比較することで、前記AIコントローラの状態を分類することを特徴とする業務支援システム。
【請求項2】
請求項に記載の業務支援システムであって、
前記AIエクスプレイナーは、前記AIコントローラの入出力値の学習経験値を学習済み又は未学習の2つに分類し、かつ、前記AIコントローラの入出力値のAI信頼度を高低の2つに分類し、
前記AIコントローラの入出力値を、学習済みかつAI信頼度高とする判定、未学習かつAI信頼度高とする判定、未学習かつAI信頼度低とする判定、の3つの内のいずれかに分類することを特徴とする業務支援システム。
【請求項3】
請求項に記載の業務支援システムであって、
前記学習範囲の上限及び下限の各々に、前記所定のマージンとは異なる別のマージンをさらに付加した別の拡張範囲を設定し、
前記AIコントローラの入出力値を、前記拡張範囲及び前記別の拡張範囲に基づき、3つを超える分類の内のいずれかに分類することを特徴とする業務支援システム。
【請求項4】
請求項に記載の業務支援システムであって、
前記基準ジェネレータは、前記学習範囲の上下限が、自然数Noによって規定される場合に、前記AIコントローラの前記事前学習データのデータカウントに基づいて、前記学習範囲と前記拡張範囲とを規定することにより、学習経験値及びAI信頼度を判定する基準を生成することを特徴とする業務支援システム。
【請求項5】
請求項に記載の業務支援システムであって、
前記基準ジェネレータは、前記AIコントローラの事前学習データのデータ分布の標準偏差に基づいて、前記学習範囲及び前記拡張範囲を設定することを特徴とする業務支援システム。
【請求項6】
請求項1に記載の業務支援システムであって、
PIコントローラおよびPIDコントローラの少なくともいずれか一方と、
前記PIコントローラおよびPIDコントローラの少なくともいずれか一方と前記AIコントローラの内、いずれの処理を実行するか選択するスイッチと、を備え、
前記AIコントローラの状態の判定結果に基づき、前記PIコントローラおよびPIDコントローラの少なくともいずれか一方または前記AIコントローラを選択することを特徴とする業務支援システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の業務支援システムであって、
オペレータが前記所定のマージンを入力する入力装置を備えることを特徴とする業務支援システム。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の業務支援システムであって、
前記AIコントローラの状態の判定結果を表示するディスプレイを備えることを特徴とする業務支援システム。
【請求項9】
請求項に記載の業務支援システムであって、
前記ディスプレイは、前記AIコントローラの入出力値の状態を、学習経験値とAI信頼度を区別して表示することを特徴とする業務支援システム。
【請求項10】
機械学習により業務を支援するAIコントローラと、
前記AIコントローラの状態を判定するAIエクスプレイナーと、
前記AIエクスプレイナーの判定基準を生成する基準ジェネレータと、を備え、
前記基準ジェネレータは、前記AIコントローラの入出力値の学習経験値及びAI信頼度を判定する判定基準を生成し、
前記AIエクスプレイナーは、前記基準ジェネレータが生成した判定基準に基づき、前記AIコントローラの状態を判定するとともに、前記AIコントローラの入出力値の学習経験値を学習済み又は未学習の2つに分類し、かつ、前記AIコントローラの入出力値のAI信頼度を高低の2つに分類し、
前記AIコントローラの入出力値を、学習済みかつAI信頼度高とする判定、未学習かつAI信頼度高とする判定、未学習かつAI信頼度低とする判定、の3つの内のいずれかに分類することを特徴とする業務支援システム。
【請求項11】
AIコントローラを利用した機械学習により業務を支援する業務支援方法であって、
(a)AIコントローラの入出力値の学習経験値及びAI信頼度を判定する判定基準を生成するステップ、
(b)前記(a)ステップにおいて生成した判定基準に基づき、前記AIコントローラの状態を判定するステップ、
を有し、
前記(a)ステップにおいて、前記AIコントローラの事前学習データに基づき学習済み又は未学習を判定する学習範囲を設定し、かつ、前記学習範囲の上限及び下限の各々に所定のマージンを付加した拡張範囲を設定し、
前記(b)ステップにおいて、前記AIコントローラの入出力値を前記学習範囲及び前記拡張範囲と比較することで、前記AIコントローラの状態を分類することを特徴とする業務支援方法。
【請求項12】
請求項11に記載の業務支援方法であって、
前記(b)ステップにおいて、前記AIコントローラの入出力値の学習経験値を学習済み又は未学習の2つに分類し、かつ、前記AIコントローラの入出力値のAI信頼度を高低の2つに分類し、
前記AIコントローラの入出力値を、学習済みかつAI信頼度高とする判定、未学習かつAI信頼度高とする判定、未学習かつAI信頼度低とする判定、の3つの内のいずれかに分類することを特徴とする業務支援方法。
【請求項13】
請求項12に記載の業務支援方法であって、
前記学習範囲の上限及び下限の各々に、前記所定のマージンとは異なる別のマージンをさらに付加した別の拡張範囲を設定し、
前記AIコントローラの入出力値を、前記拡張範囲及び前記別の拡張範囲に基づき、3つを超える分類の内のいずれかに分類することを特徴とする業務支援方法。
【請求項14】
請求項11に記載の業務支援方法であって、
前記学習範囲の上下限が、自然数Noによって規定される場合に、前記AIコントローラの前記事前学習データのデータカウントに基づいて、前記学習範囲と前記拡張範囲とを規定することにより、学習経験値及びAI信頼度を判定する基準を生成することを特徴とする業務支援方法。
【請求項15】
AIコントローラを利用した機械学習により業務を支援する業務支援方法であって、
(a)AIコントローラの入出力値の学習経験値及びAI信頼度を判定する判定基準を生成するステップ、
(b)前記(a)ステップにおいて生成した判定基準に基づき、前記AIコントローラの状態を判定するステップ、
を有し、
前記(b)ステップにおいて、前記AIコントローラの入出力値の学習経験値を学習済み又は未学習の2つに分類し、かつ、前記AIコントローラの入出力値のAI信頼度を高低の2つに分類し、
前記AIコントローラの入出力値を、学習済みかつAI信頼度高とする判定、未学習かつAI信頼度高とする判定、未学習かつAI信頼度低とする判定、の3つの内のいずれかに分類することを特徴とする業務支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学習を利用したAI制御システムの構成とその制御に係り、特に、機械学習により業務を支援する業務支援システム及び業務支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラントや化学製品製造プラントなどの産業プラントは、相互に依存して動作するさまざまな機器を備えるシステムで構成されている。これらのプラントの全体的な効率及び安全性を確保するには、稼働条件及び環境の変化に対して、これらの相互依存システムの動作を適切に制御することが重要である。
【0003】
しかしながら、専門家による定期的な微調整を必要とするPIコントローラ(Proportional-Integral Controller)やPIDコントローラ(Proportional-Integral-Differential Controller)などの従来のプラント制御システムを使用する場合、正確な制御プランを作成するために産業プラントの複雑なシステムや、想定可能な多数の動作シナリオを取り込むのは困難である。
【0004】
最適な動作効率を実現すると同時に、専門知識の必要性を最小限に抑えるために、従来のコントローラからより高度でインテリジェントなAIコントローラ(人工知能:Artificial Intelligence Controller)へと移行していく中で、いくつかの発展が見られている。従来のコントローラとは異なり、AIコントローラの制御モデルは、従来の制御理論を適用する代わりに、例えば強化学習などによってプラントの実動作を学習することで構築されている。
【0005】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、火力発電プラント用のAIコントローラを実装するために強化学習を利用する方法が開示されている。本文献では、専門家の補助を受けずに、AIコントローラが変動するプラント条件に迅速に適応できるようにする高速再学習方法もさらに導入している。特許文献1によれば、従来のコントローラを使用した場合、達成するのに相当の時間や専門知識を必要とするのに対し、極めて効率的なプラント制御を期待することができる。
【0006】
また、特許文献2には、AIモデルを用いて、AI機器が正常に動作しているか、又は誤動作しているかを診断する方法が開示されている。この方法は、制御オペレータがAIコントローラの状態を把握するのに役立つ可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-305194号公報
【文献】米国特許出願公開第2019/0384273号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、AIコントローラは従来のコントローラに比べて著しい利点をもたらしているが、ブラックボックス的性質や説明可能性が低いことにより、安全性に関する疑問が生じ、このために、制御オペレータがそれらへの依存に消極的になってしまう恐れがある。
【0009】
とりわけ制御オペレータは、AIコントローラが安全かつ正確な制御範囲内で動作しているかどうかについて、通常はほとんど把握しておらず、それもプラント故障が既に発生してしまってから初めて認識することになる。このような状況を回避するために、制御オペレータは、AIコントローラから従来のコントローラへの不必要な切替えや頻繁な切替えを行う場合がある。このため、AIコントローラの説明可能性の欠如が原因で、制御オペレータによって行われる意思決定プロセスが非効果的なものになる。
【0010】
特許文献1では、ユーザが極めて効率的なAI制御方法を獲得できているが、上記のような課題に対処できる説明可能性を備えたAIコントローラについては記載されていない。
【0011】
また、特許文献2では、診断は別のAIモデルによって実行されるため、特許文献1と同様に、上記のような説明可能性の課題は完全には解決されていない。
【0012】
さらに、正常又は異常とする2つのレベルの診断を使用しても、AIコントローラの動作を正確に判定することはできない。このことは同様に、制御オペレータによって行われる意思決定が非効果的なものになることにつながり得る。
【0013】
そこで、本発明の目的は、機械学習により業務を支援する業務支援システムにおいて、高度な説明可能性を有するAIコントローラを備えた信頼性の高い業務支援システム及び業務支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、機械学習により業務を支援するAIコントローラと、前記AIコントローラの状態を判定するAIエクスプレイナーと、前記AIエクスプレイナーの判定基準を生成する基準ジェネレータと、を備え、前記基準ジェネレータは、前記AIコントローラの入出力値の学習経験値及びAI信頼度を判定する判定基準を生成するとともに、前記AIコントローラの事前学習データに基づき学習済み又は未学習を判定する学習範囲を設定し、前記学習範囲の上限及び下限の各々に所定のマージンを付加した拡張範囲を設定し、前記AIエクスプレイナーは、前記基準ジェネレータが生成した判定基準に基づき、前記AIコントローラの状態を判定するとともに、前記AIコントローラの入出力値を前記学習範囲及び前記拡張範囲と比較することで、前記AIコントローラの状態を分類することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、AIコントローラを利用した機械学習により業務を支援する業務支援方法であって、(a)AIコントローラの入出力値の学習経験値及びAI信頼度を判定する判定基準を生成するステップ、(b)前記(a)ステップにおいて生成した判定基準に基づき、前記AIコントローラの状態を判定するステップ、を有し、前記(a)ステップにおいて、前記AIコントローラの事前学習データに基づき学習済み又は未学習を判定する学習範囲を設定し、かつ、前記学習範囲の上限及び下限の各々に所定のマージンを付加した拡張範囲を設定し、前記(b)ステップにおいて、前記AIコントローラの入出力値を前記学習範囲及び前記拡張範囲と比較することで、前記AIコントローラの状態を分類することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、機械学習により業務を支援する業務支援システムにおいて、高度な説明可能性を有するAIコントローラを備えた信頼性の高い業務支援システム及び業務支援方法を実現することができる。
【0017】
これにより、AIコントローラの状態を正確に判定し、かつAIコントローラから従来のコントローラへの不必要な切替え又は遅延切替えを回避するなど、制御オペレータがより効果的な制御決定を行うのを支援することができる。
【0018】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1に係る高度な説明可能性を有するAIコントローラを備えた業務支援システムの概略構成を示す図である。
図2】AIコントローラの入出力データの具体例を示す図である。
図3図1のAIからオペレータへのアシスタント7の構成を示す図である。
図4図3の基準ジェネレータ72により生成されたAIコントローラの入出力データを分類する基準を示す図である。
図5図3のAIエクスプレイナー71での処理を示すフローチャートである。
図6図3のディスプレイ73の表示例を示す図である。
図7】本発明の実施例2に係るAIエクスプレイナー71が識別する3つを超える分類タイプの例を示す図である。
図8】本発明の実施例4に係る基準ジェネレータ72により生成される基準72aを示す図である。
図9】本発明の実施例5に係るディスプレイ73の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0021】
本明細書では、本発明の実施形態として5つの実施例を説明する。詳細は後述するが、実施例1と実施例2との相違は、AIエクスプレイナー71が識別できる分類タイプの数にある。また、実施例1と実施例3及び4との相違は、基準ジェネレータ72が基準72aを生成する方法にある。また、実施例5では、経験値及びAI信頼度の結果を別々に視覚化する表示方法を示している。
【0022】
先ず、実施例1を説明し、他の実施例については、主に実施例1との相違点について説明する。
【0023】
なお、本明細書において、「経験値」とは、AIコントローラの入出力データが当該AIコントローラによって既に学習されているか、又はいまだに学習されていないか(以下、未学習とも呼ぶ)を示すものである。
【0024】
また、「AI信頼度」とは、AIコントローラの入出力データにより、安全かつ正確な推奨制御動作又は制御推定を行うAIコントローラの能力が確定されるかどうかを示すものである。
【実施例1】
【0025】
図1から図6を参照して、本発明の実施例1に係る業務支援システム及び業務支援方法について説明する。
【0026】
図1は、本実施例の高度な説明可能性を有するAIコントローラを備えた業務支援システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施例の業務支援システムは、火力発電プラントや化学製品製造プラントなどの産業プラントであるプラント3を制御するためのバックアップ制御システムとして構成されており、例えばPIコントローラなどの従来のコントローラ4と共に、AIコントローラ2を主制御装置として実装している業務支援システム1に組み込まれた、AIからオペレータへのアシスタント7の構成である。
【0027】
業務支援システム1の制御は、例えばスイッチ5を介してAIコントローラ2又は従来のコントローラ4のどちらを実行するかを決定する、プラント制御オペレータ6(以下、オペレータとも呼ぶ)によって管理されている。
【0028】
AIからオペレータへのアシスタント7は、AIコントローラ2の高度な説明可能性を確保することにより、オペレータ6によるAIコントローラ2と従来のコントローラ4との間の効率的な切替えをガイドする。より具体的には、AIからオペレータへのアシスタント7は、経験値及びAI信頼度に基づいて、AIコントローラの入出力データ21b(以下、AI I/Oとも呼ぶ)の分類タイプに関する正確な情報を提供する。分類タイプと処理に関する詳細は後述する。
【0029】
≪AI I/O≫
図2に、AI I/O 21bの一例を示す。AI I/O 21bは、AIコントローラ2の入力データである計測データ3aと、AIコントローラ2の出力データであるAI制御信号21aとで構成されている。計測データ3aは、例えばプラント3内の温度、圧力、又は流量の現在のセンサ測定値であり、AI制御信号21aは、例えばバルブ角度について、AIコントローラ2によって計算された制御条件値である。計測データ3aはプラント3の現在状態も示しているが、AI制御信号21aは、プラント3の現在のプラント状態に対するAIコントローラ2による推奨制御動作である。
【0030】
≪AIからオペレータへのアシスタント≫
図3は、AIからオペレータへのアシスタント7の構成を示す図である。AIからオペレータへのアシスタント7は、図3に示すように、AIエクスプレイナー71と、基準ジェネレータ72と、ディスプレイ73と、入力装置74とで構成されている。
【0031】
≪基準ジェネレータ≫
基準ジェネレータ72は、AI I/O 21bの経験値と信頼度とを区別する基準として基準72aを生成し、次いで生成された基準72aをAIエクスプレイナー71へと送信する。
【0032】
本発明では、AI I/O 21bの分類基準として経験値を使用することにより、AIコントローラ2がその事前学習データ8内で入力データを使用しているか、又は出力データを生成しているかをオペレータ6に具体的に示すことができる。
【0033】
「事前学習データ」とは、例えば当該プラントで制御されている温度や圧力の過去のセンサデータであり、AIコントローラの制御モデルを構築するために使用されたものなど、事前に学習したデータを指す。
【0034】
さらに、分類基準としてAI信頼度を使用することにより、本発明は、AIコントローラ2がその厳密な範囲内若しくは範囲外で入力データを使用しているか、又は出力データを生成しているかをオペレータ6に具体的に示すことができる。
【0035】
学習済みのAI I/O 21bは、AIコントローラ2がその厳密な範囲内で動作していることを常時示しているが、未学習のAI I/O 21bは、AIコントローラ2がその厳密な範囲外で動作していることを必ずしも意味するものではない。
【0036】
具体的には、このことは、未学習のAI I/O 21bが、安全かつ正確な推定を行う能力が低下することや、AI信頼度が低下することに必ずしもつながるとは限らないことを意味する。そのような仮定はオペレータ6がより効果的な制御決定を行うのにも不可欠であるが、経験値及びAI信頼度の両方を組み合わせる基準を生成することにより、本発明ではそのような仮定を行うことを回避している。
【0037】
基準ジェネレータ72が基準72aを生成する方法の詳細について、図4に沿って説明する。基準ジェネレータ72は、事前学習データ8の最大値及び最小値を、それぞれ上限BVa 82及び下限BV 81として設定することにより、学習範囲83を生成する。例えば、AI I/O 21bの温度I1の事前学習データ8が最大値220°Cと最小値180°Cとで構成されている場合、基準ジェネレータ72はBV 82を220°Cに、BV 81を180°Cに設定する。詳細については後述するが、AIエクスプレイナー71は学習範囲83を確認することで、AI I/O 21bの経験値を区別することができる。
【0038】
基準ジェネレータ72は、BV 82及びBV 81からのマージン74aだけ学習範囲83を拡張することにより、拡張範囲84をさらに生成する。具体的には、AI I/O 21bの温度においてマージン74aが10°Cであり、なおかつBV 82が220°CであってBV 81が180°Cであった場合、拡張範囲84は170°C~230°Cになる。マージン74aは、オペレータ6が入力装置74を介して設定することができ、その値は、拡張範囲84の上限及び下限を計算する上で異なる可能性がある。
【0039】
本発明は、拡張範囲84を通じて、学習範囲83外の値に近接している、あるいはこれから離隔しているものとして定義することができる。具体的には、拡張範囲84のスパンを超える値は、学習範囲83から離隔している。これに対して、学習範囲83を超えてはいるが拡張範囲84内にある値は、学習範囲83に近接していることを示す。詳細については後述するが、拡張範囲84を設けることにより、AIエクスプレイナー7はAI I/O 21bのAI信頼度を区別することができる。
【0040】
≪AIエクスプレイナー≫
AIエクスプレイナー71は、基準ジェネレータ72で生成された基準72aを適用して、AI I/O 21bの経験値を学習済みと未学習とに区別し、またAI信頼度の高低を区別する。
【0041】
具体的には、AIエクスプレイナー71は学習範囲83を確認して経験値を区別する一方で、拡張範囲84を確認してAI信頼度を区別する。なお、拡張範囲84を確認することによるAI信頼度の判定は、未学習のAI I/O 21bにのみ適用される。前述のように、学習済みのAI I/O 21bは、AIコントローラ2が厳密な範囲内で動作していることを常時示しているため、学習済みのAI I/O 21b全てのAI信頼度は、拡張範囲84を確認する必要もなく常時高いと判定されることになる。
【0042】
AIエクスプレイナー71は、AI I/O 21bの値が学習範囲83内にある場合、その経験値を学習済みと判定する。そうでない場合、AIエクスプレイナー71は当該経験値を未学習と判定する。
【0043】
AIエクスプレイナー71は、未学習のAI I/O 21bの値が拡張範囲84内にある場合、そのAI信頼度を高いと判定する。拡張範囲84内にあることが学習範囲83への近接を意味することを想起すれば、拡張範囲84内に値があるとAI信頼度が高くなることが予想される。学習範囲83に近接していると、AIコントローラ2が正確な推定を行えるだけの高い能力を有していることが保証されるためである。そうならずに、AI I/O 21bの値が拡張範囲84外にある場合、AIエクスプレイナー7は当該AI信頼度を低いと判定する。
【0044】
上記で説明した基準72aに基づくAIエクスプレイナー71による処理の詳細について、図5に沿って説明する。
【0045】
先ず、ステップS1では、AIエクスプレイナー71は、AI I/O 21bが学習範囲83内にあるかどうかを判定する。
【0046】
具体的には、AI I/O 21bがBV 81以上であり、なおかつBV 82以下である場合、AI I/O 21bは学習範囲83内にあることになる。AIエクスプレイナー71は、AI I/O 21bが学習範囲83内にある場合、ステップS6へと進む。そうでない場合、処理はステップS2へと進む。
【0047】
ステップS6では、AIエクスプレイナー71は、AI I/O 21bの経験値とAI信頼度とを、それぞれ学習済みであり、かつAI信頼度が高いと判定する。次いで、処理はステップS61へと進む。
【0048】
一方、ステップS2では、AIエクスプレイナー71は、AI I/O 21bの経験値を未学習と判定する。次いで、処理はステップS3へと進む。
【0049】
ステップS3では、AIエクスプレイナー71は、ステップS2で未学習と判定したAI I/O 21bが拡張範囲84内にあるかどうかを判定する。
【0050】
具体的には、ここで判定するAI I/O 21bがBV 81とマージン74aとの差よりも大きく(>(BV-マージン))、なおかつBV 82とマージン74aとの合計よりも小さい(<(BV-マージン))場合、AI I/O 21bは拡張範囲84内にあることになる。
【0051】
ステップS2で未学習と判定したAI I/O 21bが拡張範囲84内にある場合、AIエクスプレイナー71は、ステップS4の判定へと進む。そうでない場合、ステップS5の判定へと進む。なお、ステップS3で、未学習のAI I/O 21bの信頼度を即座に低いと判定する代わりに、この信頼度をさらに区別することにより、AI I/O 21bのより正確な分類が可能になる。
【0052】
ステップS4では、AIエクスプレイナー71は、AI I/O 21bのAI信頼度を高いと判定し、ステップS2で未学習とした判定と組み合わせる。この判定は、未学習のAI I/O 21bがAIコントローラ2による安全かつ正確な推定、又は高いAI信頼度をもたらす可能性があることを、オペレータ6に具体的に示している。これにより、AIコントローラ2の操作可能範囲も広がることになる。
【0053】
ステップS5では、AIエクスプレイナー71は、AI I/O 21bのAI信頼度を低いと判定し、ステップS2で経験値を未学習とした判定と組み合わせる。具体的には、本ステップでは、AI I/O 21bに対する1つの判定として、未学習と低いAI信頼度とを組み合わせる。この判定により、AIコントローラ2の不正確かつ安全でない動作によりプラントで誤動作が発生する可能性を早期に検出することができる。
【0054】
ステップS61では、AIエクスプレイナー71は、ステップS6で判定したAI I/O 21bを緑色に分類する。この分類は、判定したAI I/O 21bについて、学習済みであり、なおかつAI信頼度が高いことを示している。
【0055】
また、ステップS41では、AIエクスプレイナー71は、ステップS4で判定したAI I/O 21bを黄色に分類する。この分類は、判定したAI I/O 21bについて、未学習であり、なおかつAI信頼度が高いことを示している。
【0056】
また、ステップS51では、AIエクスプレイナー71は、ステップS5で判定したAI I/O 21bを赤色に分類する。この分類は、判定したAI I/O 21bについて、未学習であり、なおかつAI信頼度が低いことを示している。
【0057】
AI I/O 21bの分類において、例えば「緑色」、「赤色」、又は「黄色」と識別した時点で処理が完了する。
【0058】
≪ディスプレイ≫
ディスプレイ73の表示例を図6に沿って説明する。ディスプレイ73は、計測データ3a及びAI制御信号21aを含むAI I/O 21bに関する情報を表示する。また、AI I/O 21bの状態D1を、AIエクスプレイナー71からの分類結果に応じて、「緑色」、「黄色」、又は「赤色」として表示する。AI I/O 21bの状態D1を表示して、AIコントローラ2から従来のコントローラ4へと操作を切り替える必要があるかどうかをオペレータ6に通知する。
【0059】
「緑色」は、AI I/O 21bが学習済みであり、なおかつAI信頼度が高いため、AIコントローラ2から従来のコントローラ4へと切り替える必要がないことを、オペレータ6が認識するのを補助する。
【0060】
「黄色」は、AI I/O 21bが未学習であってもAI信頼度を維持しているため、必ずしもAIコントローラ2から従来のコントローラ4へと切り替える必要がないことを、オペレータ6が認識するのを補助する。
【0061】
「赤色」は、AI I/O 21bが未学習であり、なおかつAI信頼度が低いため、AIコントローラ2から従来のコントローラ4へと切り替える必要があることを、オペレータ6が認識するのを補助する。
【0062】
こうした情報を表示することで、その学習済みで厳密な範囲外でAIコントローラ2が非効率的に動作してプラントの誤動作が発生する前に、オペレータ6が操作を従来のコントローラ4へと早期に切り替えることができる。
【0063】
ディスプレイ73は、マージン74aの値と、オペレータ6がAI I/O 21bをAIエクスプレイナー71への情報として使用できるか、又は使用できないかを示す列D2とをさらに表示する。
【0064】
また、ディスプレイ73は、AI I/O 21bの状態を、経験値とAI信頼度とに区別して表示する。
【実施例2】
【0065】
図7を参照して、本発明の実施例2に係る業務支援システム及び業務支援方法について説明する。図7は、本実施例のAIエクスプレイナー71が識別する3つを超える分類タイプの例を示す図である。
【0066】
実施例1では、AI I/O 21bの状態を3つのタイプへと分類し、オペレータ6がAIコントローラ2の動作を把握できるようにしている。但し、そのような分類はまた、オペレータ6がAI I/O 21bの状態を把握する際、その状態を学習済み又は未学習とし、かつAI信頼度が低い又は高いとすることに限定してしまう。
【0067】
そこで、実施例2では、より多くの分類タイプを導入することにより、AI I/O 21bのより正確な分類が達成される。
【0068】
≪AIエクスプレイナー≫
AIエクスプレイナー71がAI I/O 21bを分類する際に実行される、3つのタイプに限定されない方法の詳細を、図7に沿って説明する。AIエクスプレイナー71は、ケース100で示す発生順に従ってAI I/O 21bを判定する。
【0069】
より具体的には、AIエクスプレイナー71は、最初にケース1の条件を判定し、次いでケース2を、となるように判定する。例えば、AI I/O 21bがケース1の条件101を満たしている場合、AIエクスプレイナー71は、経験値及びAI信頼度について該当する判定102を行い、分類103に従ってAI I/O 21bの分類へと進む。AI I/O 21bがケース1の条件を満たさなかった場合、AIエクスプレイナー71はケース2の条件に従ってAI I/O 21bを判定し始める。
【0070】
各ケースの条件は重複しないため、1つのケースの条件を満たせば、AIエクスプレイナー71の処理が完了したことを意味する。これはまた、先行のケースの条件が満たされなかった場合、AIエクスプレイナー71が後続のケースを判定し続けることを意味する。
【0071】
≪基準ジェネレータ≫
AI I/O 21bの3つを超えるタイプへの分類を実行する方法は、拡張範囲84よりも広い拡張範囲を規定することによって行われる。例えば、拡張範囲84よりも広い拡張範囲84aは、基準ジェネレータ72が、拡張範囲84の上限及び下限にマージン74aを付加することによって生成される。さらに、拡張範囲84aよりも広い拡張範囲84b(図示せず)は、拡張範囲84aの上限及び下限にマージン74aを付加することにより、基準ジェネレータ72によって生成することができる。
【0072】
複合的な拡張範囲84,84a,84bを生成することにより、AIエクスプレイナー71は単にAI信頼度の高低だけではなく、AI I/O 21bのどの拡張範囲に当たるかに応じて、高-高、高、低、低-低に区分するなど、AI信頼度をより正確に判定することもできる。そのような区分を行うと、表示する分類タイプを3つのみにしないことで、AIコントローラ2の操作についてより深い洞察もオペレータ6にもたらされるようになる。
【実施例3】
【0073】
本発明の実施例3に係る業務支援システム及び業務支援方法について説明する。
【0074】
実施例1では、基準ジェネレータ72は、事前学習データ8内の最大値及び最小値をそれぞれBV 82及びBV 81として単に使用することにより、学習範囲83の上下限を定めている。従って、AIエクスプレイナー71は、AI I/O 21bの経験値が事前学習データ8の最小値及び最大値の範囲内にある限り、これを学習済みであると判定し、これが実際に学習データとして使用されたかどうかは無視する。
【0075】
そこで、実施例3では、AIコントローラ2の学習データとしてのAI I/O 21b値の実際の使用、又はその重みを考慮して、カウントベースの方法を適用して、学習範囲83と拡張範囲84とを規定する。AIエクスプレイナー71は、AIコントローラ2の制御モデルの訓練であまり使用されなかったAI I/O 21bを識別できるため、学習済みと未学習、及びAI信頼度の高低をより正確に区別することができる。
【0076】
以下では、AI I/O 21bを3つのタイプに分類するものとして、実施例3について説明する。なお、本実施例は、実施例2と同様に、3つを超えるAI I/O 21bの分類タイプを生成する際にも適用することができる。
【0077】
≪基準ジェネレータ≫
基準ジェネレータ72は、数Nを下限として設定し、なおかつ上限を無限大の数に拡張し続けることにより、基準72aの学習範囲83を生成する。具体的には、学習範囲83はNから正の無限大までとなる。Nは、オペレータ6が入力装置74を介して設定できる自然数である。
【0078】
また、基準ジェネレータ72は、例えば0などの非常に小さい数を下限として設定し、なおかつNを上限として設定することにより、基準72aの拡張範囲84を生成する。拡張範囲84の下限は、オペレータ6が入力装置74を介して設定することができる。
【0079】
基準ジェネレータ72は、事前学習データ8における各データのカウントを示す情報を含むカウントデータベースをさらに作成する。例えば、180℃となる温度センサ測定値を事前学習データ8が5つのカウントを含む場合、基準ジェネレータ72は、180℃の温度カウントを5つとして記録する。このカウントデータベースは、基準72aと共にAIエクスプレイナー71へと送信される。
【0080】
≪AIエクスプレイナー≫
AIエクスプレイナー71のステップS1(図5参照)では、AI I/O 21bのカウントがN以上である場合、AI I/O 21bは学習範囲83内にあることになる。
【0081】
AIエクスプレイナー71は、基準ジェネレータ72によって作成されたカウントデータベースを確認することにより、AI I/O 21bのカウントを確認する。
【0082】
AIエクスプレイナー71のステップS3(図5参照)では、AI I/O 21bのカウントがN未満であり、なおかつ拡張範囲84の下限以上である場合、AI I/O 21bは拡張範囲84内にあることになる。
【0083】
カウントに基づいて学習範囲83及び拡張範囲84を使用すると、経験値とAI信頼度とを判定するときに、事前学習データ8におけるAI I/O 21bの重みが考慮され、AIエクスプレイナー71によるより正確な判定を行うことができる。
【実施例4】
【0084】
図8を参照して、本発明の実施例4に係る業務支援システム及び業務支援方法について説明する。図8は、本実施例の基準ジェネレータ72により生成される基準72aを示す図である。
【0085】
実施例3においては、経験値の判定で事前学習データ8におけるAI I/O 21bの重みを考慮できるが、この場合その実際の値の代わりに、AI I/O 21bのカウントを評価する必要がある。従って、学習範囲83及び拡張範囲84の上下限の設定は、直観的に行うことができない可能性がある。
【0086】
この課題に対処するために、実施例4では、事前学習データ8の分布の標準偏差値(以下、σとも呼ぶ)を使用して、学習範囲83と拡張範囲84とを規定している。この方法では、σがデータ分布に基づいているため、事前学習データ8におけるAI I/O 21bの重みを同様に考慮することができる。これは、正規分布を有する事前学習データ8においてはとりわけ有効である。この方法では、カウントベースの方法とは異なり、そのカウントの代わりにAI I/O 21bの値を評価することにより、学習範囲83及び拡張範囲84の上下限を設定することができる。
【0087】
以下では、AI I/O 21bを3つのタイプに分類するものとして、実施例4について説明する。なお、本実施例は、実施例2と同様に、3つを超えるAI I/O 21bの分類タイプを生成する際にも適用することができる。
【0088】
≪基準ジェネレータ≫
事前学習データ8の標準偏差値σに基づいて基準ジェネレータ72が基準72aを生成する方法の詳細を、図8に沿って説明する。
【0089】
基準ジェネレータ72は、事前学習データ8の平均値(以下、X-とも呼ぶ)を中心とする学習範囲83を伴う基準72aを生成する。基準ジェネレータ72は、σと係数k1との積をX-に加算することにより、学習範囲83の上限82aを設定し(=X-+k1σ)、またX-からσと係数k1との積を減算することにより、下限81aを設定する(=X--k1σ)。
【0090】
基準ジェネレータ72は、学習範囲83の上下限を設定する方法と同様の方法を使用して、拡張範囲84の上限82b及び下限81bを設定するが、ここでは係数k1を係数k2に置き換える。
【0091】
係数k1及び係数k2は、オペレータ6が入力装置74を介して設定することができる。
【0092】
なお、事前学習データ8の平均値X-及び標準偏差値σの単位はAI I/O 21bと同じであるため、AI I/O 21bのカウントの代わりに実際の値を使用して、学習範囲83と拡張範囲84とを確認することができる。
【0093】
≪AIエクスプレイナー≫
AIエクスプレイナー71のステップS1(図5参照)では、AI I/O 21bが下限81a以上であり、なおかつ上限82a以下である場合、AI I/O 21bは学習範囲83内にあることになる。
【0094】
AIエクスプレイナー71のステップS3(図5参照)では、AI I/O 21bが下限81bより大きく、なおかつ上限82bより小さい場合、AI I/O 21bは拡張範囲84内にあることになる。
【実施例5】
【0095】
図9を参照して、本発明の実施例5に係る業務支援システム及び業務支援方法について説明する。図9は、本実施例のディスプレイ73の表示例を示す図である。
【0096】
実施例1では、判定された経験値及びAI信頼度によるAI I/O 21bの分類は、緑色、黄色、及び赤色として表示される。この方法では、経験値の結果とAI信頼度の結果とを組み合わせるので、その色がそれぞれ何を表しているかについて混乱が生じる可能性がある。
【0097】
そこで、実施例5では、AI信頼度の結果と経験値の結果とを別々に示すことにより、AI I/O 21bの分類結果が表示される。
【0098】
以下では、AI I/O 21bを3つのタイプに分類するものとして、実施例5について説明する。なお、本実施例は、3つを超えるAI I/O 21bの分類タイプを表示する際にも適用することができる。
【0099】
≪ディスプレイ≫
経験値の結果とAI信頼度の結果とを別々に表示しているディスプレイを、図9に沿って説明する。このディスプレイには、AIエクスプレイナー71による経験値及び信頼度の判定結果を示す情報D1が含まれる。例えば、緑色に分類されたAI I/O 21bに対する経験値の列は「学習済み」という語句を示し、その一方で信頼度の列は「高い」という語句を示す。また、黄色に分類されたAI I/O 21bに対する経験値の列は「未学習」という語句を示し、その一方で信頼度の列は「高い」という語句を示す。また、赤色に分類されたAI I/O 21bに対する経験値の列は「未学習」という語句を示し、その一方で信頼度の列は「低い」という語句を示す。AI信頼度及び経験値の個別の結果を示す際、語句の代わりに記号を使用することもできる。
【0100】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施例は本発明に対する理解を助けるために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1…業務支援システム
2…AIコントローラ
21a…AI制御信号
21b…AI I/O
3…プラント
3a…計測データ
4…従来のコントローラ
5…スイッチ
6…オペレータ
7…AIからオペレータへのアシスタント
71…AIエクスプレイナー
72…基準ジェネレータ
72a…基準
73…ディスプレイ
74…入力装置
74a…マージン
8…事前学習データ
81…BV(学習範囲83の下限)
81a…学習範囲83の下限
81b…拡張範囲84の下限
82…BV(学習範囲83の上限)
82a…学習範囲83の上限
82b…拡張範囲84の上限
83…学習範囲
84,84a,84b…拡張範囲
100…想定されるAI I/O 21bのケース
101…AI I/O 21bを判定するためにAIエクスプレイナー71によって適用される条件
102…条件101を満たしていることで、AIエクスプレイナー71によってAI I/O 21bに付与される判定
103…条件101を満たしていることで、AIエクスプレイナー71によってAI I/O 21bに適用される分類
D1…AI I/O 21bの状態
D2…計測データ3a又はAI制御信号21aをAI I/Oとして使用する選択肢
I1…温度(データ)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9