(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】電力管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240814BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2020215888
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆寿
(72)【発明者】
【氏名】末永 高史
(72)【発明者】
【氏名】七里 一正
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-206021(JP,A)
【文献】特開2013-027207(JP,A)
【文献】特開2004-222374(JP,A)
【文献】特開2019-187150(JP,A)
【文献】特開2008-089433(JP,A)
【文献】特開2014-081336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0333294(US,A1)
【文献】特開2015-46994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統から分散電源が解列された自立状態において、前記分散電源の自立運転を制御する制御部と、
前記自立運転において、前記分散電源の出力電力を計測する計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記自立運転において、前記分散電源の出力電力の電圧値を所定電圧値へ向けて徐々に上昇させる起動動作を開始し、
前記起動動作において、前記計測部によって計測された計測値が所定条件を満たしているか否かに基づいて、前記分散電源に接続された負荷機器への給電を許可するか否かを決定
し、
前記所定条件は、前記計測部によって計測された計測値が不規則かつ突発的な最大値又は最小値を含む条件を含む、電力管理システム。
【請求項2】
電力系統から分散電源が解列された自立状態において、前記分散電源の自立運転を制御する制御部と、
前記自立運転において、前記分散電源の出力電力を計測する計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記自立運転において、前記分散電源の出力電力の電圧値を所定電圧値へ向けて徐々に上昇させる起動動作を開始し、
前記起動動作において、前記計測部によって計測された計測値が所定条件を満たしているか否かに基づいて、前記分散電源に接続された負荷機器への給電を許可するか否かを決定し、
前記所定条件は、前記分散電源の出力電力が満たすべき電圧値及び電流値の少なくともいずれか1つの範囲を定める整定値に基づいて定義される条件を含み、
前記制御部は、前記起動動作において、2以上の段階のそれぞれについて定められる2以上の目標値に基づいて、前記分散電源の出力電力を制御し、
前記整定値は、前記2以上の目標値のそれぞれについて定められる
、電力管理システム。
【請求項3】
電力系統から分散電源が解列された自立状態において、前記分散電源の自立運転を制御する制御部と、
前記自立運転において、前記分散電源の出力電力を計測する計測部と、を備え、
前記制御部は、
前記自立運転において、前記分散電源の出力電力の電圧値を所定電圧値へ向けて徐々に上昇させる起動動作を開始し、
前記起動動作において、前記計測部によって計測された計測値が所定条件を満たしているか否かに基づいて、前記分散電源に接続された負荷機器への給電を許可するか否かを決定し、
前記所定条件は、前記分散電源の出力電力の時間的な変化に基づいて定義される条件を含む
、電力管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記負荷機器への給電を不許可と決定した場合に、前記負荷機器を前記分散電源から切り離す、請求項1
乃至請求項3のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記時間的な変化は、前記分散電源に接続された負荷機器に応じて定められる、請求項
3に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記自立運転を自動的に開始する、請求項1乃至請求項
5のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記負荷機器への給電を不許可と決定した後において、所定のユーザ操作が実行された場合に、前記自立運転を再開する、請求項1乃至請求項
6のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項8】
前記自立状態において前記分散電源に負荷機器を接続する電力線の少なくとも一部は、前記電力系統に前記分散電源が連系された連系状態において前記分散電源に負荷機器を接続する電力線の少なくとも一部と共通である、請求項1乃至請求項
7のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記自立運転を自動的に開始する開始条件が満たされているか否かに基づいて、前記自立運転を自動的に開始するか否かを決定する、請求項1乃至請求項
8のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項10】
前記開始条件は、ユーザ設定及び災害情報の少なくともいずれか1つに基づいて定義される、請求項
9に記載の電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害などの発生に応じて、施設と電力系統との接続状態を連系状態から自立状態に切り替えるとともに、施設に設置された分散電源から負荷機器に電力を供給する自立運転が知られている。
【0003】
例えば、分散電源のPCS(Power Conditioning System)を自立運転で制御する場合において、PCSの定格電力よりも大きな電力を一時的に出力することによって、モータ負荷又はコンプレッサ負荷などの負荷機器を速やかに起動する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した自立運転は、災害などの発生に応じて実行されるケースが考えられる。このようなケースにおいては、発明者等は、鋭意検討の結果、負荷機器への給電で不都合(例えば、床上浸水により水に濡れた負荷機器への給電など)が生じる可能性に着目し、分散電源の自立運転の起動動作を改善する余地を見出した。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、分散電源の自立運転を適切に開始することを可能とする電力管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴は、電力管理システムであって、電力系統から分散電源が解列された自立状態において、前記分散電源の自立運転を制御する制御部と、前記自立運転において、前記分散電源の出力電力を計測する計測部と、を備え、前記制御部は、前記自立運転において、前記分散電源の出力電力の電圧値を所定電圧値へ向けて徐々に上昇させる起動動作を開始し、前記起動動作において、前記計測部によって計測された計測値が所定条件を満たしているか否かに基づいて、前記分散電源に接続された前記負荷機器への給電を許可するか否かを決定する、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分散電源の自立運転を適切に開始することを可能とする電力管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御装置150を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電圧制御を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電流制御を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る所定条件の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る動作例を示す図である。
【
図7】
図7は、変更例2に係る整定値の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、変更例2に係る整定値の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、変更例3に係る計測値の時間的な変化の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、変更例3に係る計測値の時間的な変化の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、変更例5に係る電力管理システム1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0011】
[実施形態]
(電力管理システム)
以下において、実施形態に係る電力管理システムについて説明する。
【0012】
図1に示すように、電力管理システム1は、電源装置10と、負荷機器20と、分電盤30と、PCS(Power Conditioning System)100と、を有する。実施形態では、電源装置10及びPSC100を分散電源と称してもよい。
【0013】
電源装置10は、直流電力(以下、DC電力)を出力する装置である。例えば、電源装置10は、太陽電池装置であってもよく、蓄電装置であってもよい。蓄電装置は、EV(Electric Vehicle)に搭載された蓄電装置であってもよい。
【0014】
負荷機器20は、電力を消費する機器である。負荷機器20は、電力系統200から解列された自立状態で動作する自立負荷21を含んでもよい。負荷機器20は、電力系統200と連系された連系状態で動作する連系負荷22を含んでもよい。
【0015】
分電盤30は、PCS100に接続された電力線を分岐することによって、PCS100と電力系統200とを電力線によって接続し、PCS100と連系負荷22とを電力線によって接続する。分電盤30は、PCS100(及び連系負荷22)と電力系統200との接続状態を切り替えるリレー31を有する。リレー31は、自立状態と連系状態とを切り替えるスイッチの一部であると考えてもよい。
【0016】
PCS100は、電源装置10から出力されるDC電力を交流電力(以下、AC電力)に変換する。PCS100は、電力系統200から供給されるAC電力をDC電力に変換してもよい。具体的には、PCS100は、DC/DC110と、INV120と、リレー130と、コンデンサ140と、制御装置150と、を有する。PCS100は、連系出力161と、自立出力162と、を有する。
【0017】
DC/DC110は、電源装置10に接続されたDC/DCコンバータである。DC/DC110は、電源装置10の出力電力の電圧を昇圧する。電源装置10が蓄電装置である場合に、DC/DC110は、INV120から供給されるDC電力を蓄電装置の充電に適したDC電力に変換してもよい。
【0018】
INV120は、DC/DC110に接続されたインバータである。INV120は、DC/DC110から出力されるDC電力をAC電力に変換する。電源装置10が蓄電装置である場合に、INV120は、電力系統200から供給されるAC電力をDC電力に変換してもよい。
【0019】
リレー130は、連系出力161と、自立出力162との間でINV120が接続される出力を切り替える。リレー130は、PCS100が電力系統200と連系された連系状態において、INV120を連系出力161に接続する。リレー130は、PCS100が電力系統200から解列された自立状態において、INV120を自立出力162に接続する。
【0020】
コンデンサ140は、DC/DC110とINV120との間に配置されたコンデンサである。コンデンサ140は、DC/DC110から出力されるDC電力の平滑化に用いられてもよい。コンデンサ140は、キャパシタと称されてもよい。
【0021】
制御装置150は、PCS100を制御する。例えば、制御装置150は、電源装置10の出力電力の電圧値(V
PS)及び電流値(I
dc)を取得する。制御装置150は、DC/DC110の出力電力の電圧値(V
dc)を取得する。制御装置150は、INV120の出力電力の電圧値(V
ac)及び電流値(I
ac)を取得する。PCS100が電力を出力するケースを例に挙げると、制御装置150は、電圧値(V
dc)が所望値となるようにDC/DC110を制御し、電圧値(V
ac)が所望値となるようにINV120を制御する。制御装置150の詳細については後述する(
図2を参照)。
【0022】
連系出力161は、連系状態で用いられる出力である。連系出力161は、電力系統200(U相及びW相)に接続される。例えば、連系出力161の標準電圧値は101±6Vであってもよい。連系出力161は、100V系の連系負荷22に接続される。
【0023】
自立出力162は、自立状態で用いられる出力である。例えば、自立出力162の標準電圧値は101±6Vであってもよい。自立出力162は、電力系統200に接続されずに、101Vで動作する自立負荷21に接続される。
【0024】
(制御装置)
以下において、実施形態に係る制御装置について説明する。
図2に示すように、制御装置150は、通信部151と、計測部152と、制御部153と、を有する。
【0025】
通信部151は、通信モジュールを有していてもよい。IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3、RS485などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0026】
例えば、通信部151は、PCS100の外部に設置される外部装置と通信を実行してもよい。外部装置は、EMS(Energy Management System)を含んでもよく、PCS100を管理する機器管理サーバを含んでもよく、インターネット又は移動体通信網などのネットワーク上に設置されるサーバを含んでもよい。
【0027】
計測部152は、分散電源(PCS100)の出力電力を計測する。詳細には、計測部152は、分散電源の出力電力の電圧値(Vac)及び電流値(Iac)を計測してもよい。計測部152は、電源装置10の出力電力の電圧値(VPS)を計測してもよく、電源装置10の出力電力の電流(Idc)を計測してもよい。計測部152は、DC/DC110の出力電力の電圧値(Vdc)を計測してもよい。計測部152の計測は、各電力線に接続されたセンサの検出値(電圧値又は電流値)を監視する動作を含んでもよい。
【0028】
制御部153は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(integrated circuit)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路(integrated circuit(s))及び/又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0029】
例えば、制御部153は、電力系統200に分散電源が連系された連系状態において、分散電源の連系運転を制御する。制御部153は、電力系統200から分散電源が解列された自立状態において、分散電源の自立運転を制御する。以下においては、自立運転について主として説明する。
【0030】
制御部153は、自立運転において、分散電源の出力電力の電圧値(Vac)を所定電圧値へ向けて徐々に上昇させる起動動作を開始する。所定電圧値は、自立出力162の標準電圧値(例えば、101±6V)であってもよい。起動動作は、自立運転の一部であると考えてもよい。起動動作は、ソフトスタートと称されてもよい。
【0031】
ここで、制御部153は、
図3の上段に示すように、電圧制御によって起動動作を実行してもよい。電圧制御は、PWM(Pulse Width Modulation)制御、すなわち、Duty比の制御によって実行されてもよい。具体的には、制御部153は、計測部152によって計測される電圧値(V
ac)が徐々に増大するようにDC/DC110及びINV120を制御してもよい。
図3の上段では、電圧値(V
ac)を線形的に増大するケースが例示されているが、制御部153は、電圧値(V
ac)を階段状に増大してもよい。
【0032】
このようなケースにおいて、計測部152によって計測される電流値(I
ac)の時間的な変化は、自立負荷21のタイプによって異なる。
図3の下段に示すように、自立負荷21が抵抗負荷である場合には、電流値(I
ac)は、電圧値(V
ac)と比例して増大する。一方で、自立負荷21がコンデンサ付き負荷である場合には、電流値(I
ac)は、自立負荷21への給電を開始した直後にラッシュ電流として計測された後に、電圧値(V
ac)が自立負荷21のインバータの起動電圧値に達するまで一時的に低下し、電圧値(V
ac)が起動電圧値に達した後に増大する。
【0033】
或いは、制御部153は、
図4の上段に示すように、電流制御によって起動動作を実行してもよい。具体的には、制御部153は、計測部152によって計測される電流値(I
ac)が徐々に増大するようにDC/DC110及びINV120を制御してもよい。制御部153は、電流制限を実行しながら電圧値(V
ac)を監視し、電圧値(V
ac)の上昇とともに電流制限を緩和する。
【0034】
このようなケースにおいて、計測部152によって計測される電圧値(V
ac)の時間的な変化は、自立負荷21のタイプによって異なる。
図4の下段に示すように、自立負荷21が抵抗負荷である場合には、電圧値(V
ac)は、電流値(I
ac)と同様の挙動で増大する。一方で、自立負荷21がコンデンサ付き負荷である場合には、電圧値(V
ac)は、電流値(I
ac)と異なる挙動で増大する。例えば、コンデンサ付き負荷の電圧値(V
ac)は、負荷抵抗の電圧値(V
ac)よりも遅れて増大する。
【0035】
制御部153は、起動動作において、計測部152によって計測された計測値が所定条件を満たしているか否かに基づいて、分散電源に接続された自立負荷21への給電を許可するか否かを決定する。言い換えると、制御部153は、起動動作において、計測部152によって計測された計測値が所定条件を満たしているか否かに基づいて、分散電源に接続された自立負荷21への給電を継続するか停止するかを決定する。自立負荷21への給電を許可とする決定は、自立負荷21への給電の実行と読み替えてもよく、自立負荷21への給電を不許可とする決定は、自立負荷21への給電の不実行と読み替えてもよい。
【0036】
例えば、制御部153は、電圧制御によって起動動作を実行する場合に、電流値(I
ac)を監視することによって、計測値が所定条件を満たすか否かを判定する。所定条件は、電流値(I
ac)の時間的な変化が
図3の下段に示す正常な時間的な変化ではないことであってもよく、電流値(I
ac)の時間的な変化が許容範囲内の時間的な変化ではないことであってもよい。制御部153は、電流制御によって起動動作を実行する場合に、電圧値(V
ac)を監視することによって、計測値が所定条件を満たすか否かを判定する。所定条件は、電圧値(V
ac)の時間的な変化が
図4の下段に示す正常な時間的な変化ではないことであってもよく、電圧値(V
ac)の時間的な変化が許容範囲内の時間的な変化ではないことであってもよい。
【0037】
ここで、計測値が所定条件を満たすケースについて、電圧制御を例に挙げながら説明する。
図5の下段は、
図5の上段(
図3の下段と同様)に示す電流値(I
ac)の局所的なリアルタイム波形を示している。
図5の下段に示すように、自立負荷21への給電で不都合が生じると、リアルタイム波形において、不規則かつ突発的な最大値又は最小値が計測される。このような不都合は、床上浸水により水に濡れた自立負荷21への給電などによって生じ得る。不規則かつ突発的な最大値又は最小値が計測された場合に、制御部153は、計測値が所定条件を満たし、自立負荷21への給電が不許可であると決定してもよい。
【0038】
図5では、電圧制御について例示したが、リアルタイム波形において、不規則かつ突発的な最大値又は最小値が計測される点については、電流制御についても同様である。
【0039】
さらに、制御部153は、自立負荷21への給電を不許可と決定した場合に、自立負荷21を分散電源から切り離す。例えば、制御部153は、上述したリレー130を制御することによって、INV120と自立出力162とを電気的に遮断する。
【0040】
(動作例)
以下において、実施形態に係る動作例について説明する。以下においては、制御装置150が実行する起動動作について主として説明する。ここでは、起動動作が電圧制御によって実行されるケースを例示する。
【0041】
図6に示すように、ステップS10において、制御装置150は、起動動作を開始する。制御装置150は、停電の検知などに応じて起動動作を開始してもよい。制御装置150は、電圧目標値(Vref)を増大する段階数(n)として”0”をセットし、電圧目標値(Vref)として”0”をセットする。
【0042】
ステップS11において、制御装置150は、段階数(n)にn+1をセットし、電圧目標値(Vref)として10nをセットする。ここで、”10”は、1回の段階で増大する電圧値の大きさの一例である。1回の段階で増大する電圧値の大きさは”10”に限定されるものではない。制御装置150は、電圧値(Vac)が電圧目標値(Vref)となるように電圧値(Vac)を増大する。
【0043】
ステップS12において、制御装置150は、計測部152によって計測された計測値(I
ac)に基づいて、計測値が所定条件を満たすか否かを判定する。制御装置150は、計測値が所定条件を満たす場合に、自立負荷21への給電を不許可と決定し、制御装置150は、計測値が所定条件を満たさない場合に、自立負荷21への給電を許可と決定する。例えば、所定条件は、
図5で説明したように、リアルタイム波形において、不規則かつ突発的な最大値又は最小値が計測されることであってもよい。制御装置150は、計測値が所定条件を満たす場合に、ステップS14の処理を実行し、制御装置150は、計測値が所定条件を満たさない場合に、ステップS13の処理を実行する。
【0044】
ステップS13において、制御装置150は、計測部152によって計測された電圧値(Vac)が95V以上であるか否かを判定する。95Vは、通常の自立運転を実行可能であるか否かを判定するための閾値の一例である。ここでは、自立負荷21が100V系であるケースが例示されている。制御装置150は、電圧値(Vac)が95V以上である場合に、ステップS15の処理を実行し、制御装置150は、電圧値(Vac)が95V以上でない場合に、ステップS11の処理に戻る。
【0045】
ステップS14において、制御装置150は、自立負荷21を分散電源から切り離す。例えば、制御装置150は、上述したリレー130を制御することによって、INV120と自立出力162とを電気的に遮断する。
【0046】
ステップS15において、制御装置150は、起動動作を終了して、通常の自立運転を開始する。通常の自立運転は、起動動作と区別するために用いる用語である。制御装置150は、通常の自立運転において、電圧値(Vac)が自立出力162の標準電圧値(例えば、101±6V)となるように、DC/DC110及びINV120を制御する。
【0047】
(作用及び効果)
実施形態では、自立運転において、分散電源の出力電力の電圧値を所定電圧値へ向けて徐々に上昇させる起動動作が新たに導入される。さらに、制御装置150は、起動動作において、計測部152によって計測された計測値が所定条件を満たしているか否かに基づいて、分散電源に接続された自立負荷21への給電を許可するか否かを決定する。このような構成によれば、自立負荷21への給電で不都合が生じる場合において、自立負荷21への給電に伴うトラブルを抑制することができ、分散電源の自立運転を適切に開始することができる。
【0048】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0049】
上述した実施形態では特に触れていないが、変更例1では、制御装置150は、起動動作において自立負荷21を分散電源から切り離す前において、m回(mは1以上の整数)のリトライを実行してもよい。リトライは、計測値が所定条件を満たす判定を留保する処理であってもよい。すなわち、制御装置150は、計測値が所定条件を満たす判定の回数がm+1回に達した場合に、自立負荷21を分散電源から切り離してもよい。リトライは、起動動作を最初からやり直す処理を含んでもよい。すなわち、制御装置150は、計測値が所定条件を満たす場合に、上述した電圧制御(又は、電流制御)を最初からやり直してもよい。
【0050】
上述した実施形態では、電圧値(Vac)が”0V”~”95V”の範囲において、電圧目標値(Vref)を増大する毎に、計測値が所定条件を満たすか否かを判定するケースを例示した。これに対して、変更例1では、制御装置150は、電圧値(Vac)が”0V”~”95V”の一部において、計測値が所定条件を満たすか否かを判定してもよい。制御装置150は、p回(pは2以上の整数)の電圧目標値(Vref)の増大毎に、計測値が所定条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0051】
これにより制御装置150における計測と制御の処理回数を少なくして、スムーズな起動動作を実現できるため、分散電源の自立運転をより適切に開始することができる。
【0052】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0053】
変更例2においては、上述した所定条件のバリエーションについて説明する。所定条件は、分散電源の出力電力が満たすべき電圧値及び電流値の少なくともいずれか1つの範囲を定める整定値に基づいて定義される条件を含む。ここで、制御装置150は、起動動作において、2以上の段階のそれぞれについて定められる目標値に基づいて、分散電源の出力電力を制御してもよい。このようなケースにおいては、整定値は、2以上の目標値のそれぞれについて定められてもよい。
【0054】
以下においては、起動動作が電圧制御によって実行されるケースについて例示する。計測値が所定条件を満たすか否かの判定に用いる電圧制御の目標値(目標電圧値)として、40V、60V、80V及び90Vが設定されるケースについて例示する。40V、60V、80V及び90Vは、計測値が所定条件を満たすか否かの判定に用いる目標電圧値であるため、制御装置150は、これらとは異なる差分(例えば、10V)ごとに所定条件を定めてもよい。
【0055】
図7及び
図8に示すように、整定値として、過電圧を定義する整定値、不足電圧を定義する整定値及び過電流を定義する整定値が定義される。整定値は、過電圧、不足電圧及び過電流を判定するための時間を含んでもよい。
【0056】
図8は、
図7に示す整定値よりも検出の感度を抑制した整定値の一例を示したものである。例えば、想定されるユーザの使用状況に応じて、分散電源の施工時にいずれかの整定値を選択して設定するとよい。
【0057】
例えば、
図7に示す目標電圧値60Vを例に挙げると、60Vの目標電圧値で電圧制御を実行している場合に、50msに亘って電圧値(V
ac)を観測した結果、観測された電圧値(V
ac)の平均値が67.5Vを超えていれば、過電圧が生じていると判定される。観測された電圧値(V
ac)の平均値が51.0Vを下回っていれば、不足電圧が生じていると判定される。観測された電流値(I
ac)の平均値が14.4Aを超えていれば、過電流が生じていると判定される。制御装置150は、過電圧、不足電圧及び過電流の少なくともいずれか1つが生じている場合に、計測値が所定条件を満たすと判定する。
【0058】
同様に、
図8に示す目標電圧値60Vを例に挙げると、60Vの目標電圧値で電圧制御を実行している場合に、100msに亘って電圧値(V
ac)を観測した結果、観測された電圧値(V
ac)の平均値が72.0Vを超えていれば、過電圧が生じていると判定される。観測された電圧値(V
ac)の平均値が54.0Vを下回っていれば、不足電圧が生じていると判定される。
【0059】
このような構成によれば、自立負荷21への給電で不都合が生じる場合をより確実に検出し、自立負荷21への給電に伴うトラブルを抑制することができ、分散電源の自立運転をより適切に開始することができる。
【0060】
ここで、起動動作が電圧制御によって実行されるケースであっても、以下の理由から電圧値(Vac)が目標電圧値から乖離する可能性があることに留意すべきである。具体的には、電圧制御では、電圧値(Vac)が目標電圧値に近づくようにフィードバック制御が実行されるが、フィードバック制御は完全なリアルタイムで実行される訳ではない。従って、自立負荷21の消費電力の急増が生じると、電流値(Iac)が遅れて増加する期間において電圧値(Vac)が減少することが考えられる。すなわち、水漏れ等によって自立負荷21の消費電力がイレギュラーに変動すると、電圧値(Vac)が目標電圧値から乖離することがあり得る。
【0061】
図7及び
図8に示したように、過電圧、不足電圧及び過電流を判定するための時間として異なる時間が定められてもよく、過電圧、不足電圧及び過電流を定義する値が時間毎に異なってもよい。
【0062】
さらに、
図7及び
図8に示す整定値は一例に過ぎず、他の整定値が用いられてもよい。起動動作で用いる整定値は、自立負荷21への給電を停止する保護機能の感度に応じて設定されてもよい。起動動作で用いる整定値は、予め定められてもよく、ユーザによって設定されてもよく、PCS100に接続される自立負荷21のタイプによって定められてもよい。
【0063】
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0064】
変更例3においては、上述した所定条件のバリエーションについて説明する。所定条件は、分散電源の出力電力の時間的な変化に基づいて定義される条件を含む。時間的な変化は、分散電源に接続された自立負荷21に応じて定められる。
【0065】
以下においては、起動動作が電圧制御によって実行されるケースについて例示する。このようなケースにおいて、所定条件は、PCS100の出力電力の電流値(Iac)によって定義される条件を含む。
【0066】
例えば、
図9に示すように、自立負荷21がセラミックヒータ又はシーズヒータなどの抵抗負荷である場合に、電流値(I
ac)の時間的な変化は、PCS100の出力電力の電圧値(V
ac)と正比例する時間的な変化である。
【0067】
図10に示すように、自立負荷21がハロゲンヒータなどの抵抗負荷である場合に、電流値(I
ac)の時間的な変化は、セラミックヒータ又はシーズヒータなどの抵抗負荷とは異なる時間的な変化である。
【0068】
或いは、上述した
図3の下段に示したように、自立負荷21がコンデンサ付き負荷である場合には、電流値(I
ac)の時間的な変化は、
図9及び
図10に示す抵抗負荷とは異なる時間的な変化である。
【0069】
図9及び
図10に示す時間的な変化は一例に過ぎず、電圧値(V
ac)及び電流値(I
ac)の時間的な変化は、自立負荷21のタイプによって予め特定されていればよい。
【0070】
このように、制御装置150は、電流値(Iac)の時間的な変化に基づいて、PCS100に接続された自立負荷21のタイプを特定することができる。自立負荷21のタイプが特定タイプ(例えば、各種ヒータなどの抵抗負荷)である場合については、自立負荷21は例えば自立負荷21に付属の取扱説明書などに定められた正常な使用環境で使われなければならない。そこで、自立負荷21が正常な使用環境にない場合を想定して、制御装置150は、自立負荷21のタイプが特定タイプである場合に、計測値が所定条件を満たすと判定し、自立負荷21への給電を不許可であると決定してもよい。
【0071】
自立運転は自然災害発生後の停電に対応するために用いる場合がありうることから、自立負荷21が異常な状態におかれる可能性を想定して、自立負荷21のタイプが特定タイプであると判定した場合に、自立負荷21への給電を不許可とし、特定タイプでないと判定した場合に、自立負荷21への給電を許可することで、安全性を高めて、自立運転をより適切に開始することができる。
【0072】
ここで、制御装置150は、自立負荷21のタイプが特定タイプであり、かつ、電流値(Iac)の時間的な変化が正常な時間的な変化ではない場合に、計測値が所定条件を満たすと判定し、自立負荷21への給電が不許可であると決定してもよい。
【0073】
或いは、制御装置150は、自立負荷21のタイプが特定タイプであり、かつ、計測部152によって計測された計測値が整定値を満たさない場合に、計測値が所定条件を満たすと判定し、自立負荷21への給電が不許可であると決定してもよい。
【0074】
変更例3において、制御装置150は、PCS100の出力電圧値(Vac)が閾値(例えば、60V)以上である状態で、計測部152によって計測された電流値(Iac)を監視し、電流値(Iac)の時間的な変化に基づいて、PCS100に接続された自立負荷21のタイプを特定してもよい。
【0075】
[変更例4]
以下において、実施形態の変更例4について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0076】
変更例4では、制御装置150は、停電の検知などに応じて、自立運転(起動動作)を自動的に開始してもよい。ここで、制御装置150は、停電の検知などに応じて、連系運転への復帰処理を試みた上で、連系運転への復帰処理に失敗した場合に自立運転を自動的に開始してもよい。復帰処理は、q(qは1以上の整数)回に亘って実行されてもよい。
【0077】
このようなケースにおいて、制御装置150は、自立負荷21への給電を不許可であると決定した後において、所定のユーザ操作が実行された場合に、自立運転を再開してもよい。所定のユーザ操作は、PCS100に対する操作であってもよく、PCS100を制御するリモートコントローラに対する操作であってもよい。
【0078】
すなわち、制御装置150は、停電の要因又は自立負荷21のタイプを考慮して、ユーザが安全を確認する機会を設けた上で、所定のユーザ操作が実行された場合に、自立運転を再開する。このような構成によれば、ユーザの利便性が向上する。
【0079】
制御装置150は、自立負荷21への給電を不許可であると決定した場合に、ユーザが安全を確認するための情報を出力してもよい。出力は、画像の態様であってもよく、音声の態様であってもよい。例えば、制御装置150は、「自立負荷21がヒータである可能性があります。目視で安全の確認後に自立運転を再開する操作を行って下さい。」といったメッセージを出力してもよい。
【0080】
さらに、制御装置150は、自立運転を自動的に開始する開始条件が満たされているか否かに基づいて、自立運転を自動的に開始するか否かを決定してもよい。
【0081】
開始条件は、ユーザ設定に基づいて定義されてもよい。すなわち、自立運転を自動的に開始するか否かをユーザが予め設定してもよい。例えば、災害に伴う停電があまり発生しないが、他の要因で停電が頻繁に発生する地域においては、自立運転を自動的に開始するユーザ設定が実行されることを想定している。これにより分散電源の利便性をさらに高められる。一方で、災害が頻繁に発生する地域においては、自立運転を自動的に開始しないユーザ設定が実行されることを想定している。これにより分散電源の自立運転をより適切に開始させることができる。
【0082】
開始条件は、災害情報に基づいて定義されてもよい。災害情報は、災害情報を管理するサーバ(例えば、気象サーバ)から通信部151によって受信されてもよく、災害情報を受信したEMSから通信部151によって受信されてもよい。災害情報は、大雨警報、洪水警報、津波警報などを含んでもよい。災害情報は、緊急地震速報、雷注意報などを含んでもよい。災害情報は、浸水などの可能性がある旨の情報を含んでもよい。災害情報は、自立運転を自動的に開始する動作の停止を要求する命令を含んでもよい。このような命令は、PCS100を管理する機器管理サーバ又はEMSから、災害の発生に応じてPCS100に送信されてもよい。
【0083】
すなわち、制御装置150は、停電の要因が災害である場合には、自立運転を自動的に開始せずに、制御装置150は、停電の要因が災害でない場合には、自立運転を自動的に開始してもよい。
【0084】
このような構成によれば、電力管理システム1や周囲の状況を確認する複数の仕組みを設けることができ、分散電源の自立運転をより適切に開始することができる。
【0085】
[変更例5]
以下において、実施形態の変更例5について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0086】
実施形態では、自立負荷21は、PCS100の自立出力162に直接的に接続される。これに対して、変更例5では、自立負荷21は、分電盤30を介してPCS100に接続される。
【0087】
具体的には、
図11に示すように、自立出力162に接続された電力線は、PCS100と分電盤30とを接続する電力線に接続される。言い換えると、自立状態において分散電源に自立負荷21を接続する電力線の少なくとも一部は、電力系統200に分散電源が連系された連系状態において分散電源に連系負荷22を接続する電力線の少なくとも一部と共通である。
【0088】
このようなケースにおいて、分電盤30は、上述したリレー31に加えて、リレー32を有してもよい。リレー32は、PCS100と連系負荷22との接続状態を切り替えるリレーである。リレー32は、自立状態において、連系負荷22をPCS100から切り離すスイッチであると考えてもよい。
【0089】
変更例5では、PCS100は、連系出力161とは別に自立出力162を有するが、変更例5はこれに限定されるものではない。PCS100は、自立出力162を有しておらず、連系状態及び自立状態の双方において連系出力161を用いてもよい。
【0090】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0091】
上述した開示において、所定条件は、計測部152によって計測される計測値が満たす条件であればよい。従って、制御装置150は、計測値が不規則かつ突発的な最大値又は最小値を含む条件(以下、条件1)が満たされた場合に、自立負荷21への給電を不許可であると決定してもよい。制御装置150は、計測値が整定値から外れる条件(以下、条件2)が満たされた場合に、自立負荷21への給電を不許可であると決定してもよい。制御装置150は、計測値が特定タイプの自立負荷21を示す条件(以下、条件3)が満たされる場合に、自立負荷21への給電を不許可であると判定してもよい。制御装置150は、条件1~条件3の中から選択された2以上の条件が満たされる場合に、自立負荷21への給電を不許可であると決定してもよい。
【0092】
上述した開示では、制御装置150は、計測値が特定タイプの自立負荷21を示す条件(条件3)が満たされる場合に、自立負荷21への給電を不許可であると決定する。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。制御装置150は、計測値が特定タイプの自立負荷21を示す条件が満たされる場合に、自立負荷21への給電を許可であると決定してもよい。
【0093】
上述した開示では、起動動作が電圧制御によって実行されるケースについて主として説明した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。上述した開示は、起動動作が電流制御によって実行されるケースにも適用可能である。
【0094】
上述した開示では、連系出力161の標準電圧値は101±6Vであるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。連系出力161の標準電圧値は202±20Vであってもよい。同様に、自立出力162の標準電圧値は101±6Vであるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。自立出力162の標準電圧値は202±20Vであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…電力管理システム、10…電源装置、20…負荷機器、21…自立負荷、22…連系負荷、30…分電盤、31…リレー、32…リレー、100…PCS、110…DC/DC、120…INV、130…リレー、140…コンデンサ、150…制御装置、151…通信部、152…計測部、153…制御部、200…電力系統