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特許7538038吸収性物品用不織布、その製造方法、吸収性物品用表面シート、及び吸収性物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】吸収性物品用不織布、その製造方法、吸収性物品用表面シート、及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20240814BHJP
   A61F 13/512 20060101ALI20240814BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20240814BHJP
   D04H 1/498 20120101ALI20240814BHJP
   D04H 5/03 20120101ALI20240814BHJP
【FI】
A61F13/511 300
A61F13/511 400
A61F13/512 200
D04H1/425
D04H1/498
D04H5/03
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020537068
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 JP2019031671
(87)【国際公開番号】W WO2020036143
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2018152236
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519354108
【氏名又は名称】大和紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】牧原 弘子
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/124092(WO,A1)
【文献】特表2009-542930(JP,A)
【文献】特開2017-205143(JP,A)
【文献】特開2010-005925(JP,A)
【文献】特開2010-279621(JP,A)
【文献】特表2017-528612(JP,A)
【文献】特開2009-148328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
D04H 1/00
D04H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1繊維層と第2繊維層とを含む多層不織布であり、
第1繊維層がコットン繊維からなり、かつ目付が5~30g/m2であり、
第2繊維層が合成長繊維不織布からなり、かつ目付が5~20g/m2であり、
第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士が三次元的に交絡されて一体化されており、
前記多層不織布が開孔を有し、前記開孔は、前記多層不織布の第1繊維層側の表面からでも観察され、
第2繊維層の横方向の破断強度が5.0N/5cm以下であり、
横方向の破断強度が3.0~30N/5cmであることを特徴とする、吸収性物品用不織布。
【請求項2】
前記第2繊維層の横方向の5%伸長時応力が0.8N/5cm以下である、請求項1に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項3】
前記第2繊維層の縦方向の5%伸長時応力が8.0N/5cm以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項4】
前記第2繊維層は、ポリエステル系繊維からなる合成長繊維不織布である請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項5】
前記合成長繊維不織布は、スパンボンド不織布又はメルトブローン不織布である、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の吸収性物品用不織布を含み、前記第1繊維層を肌対向面とする、吸収性物品用表面シート。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品用表面シートを含む、吸収性物品。
【請求項8】
コットン繊維からなり、かつ目付が5~30g/m2である、第1繊維層となる繊維ウェブと、目付が5~20g/m2である、第2繊維層となる合成長繊維不織布とを積層して積層体とし、
第1繊維層の面から水圧1.0~10.0MPaの水流を噴射して積層体中の第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士を三次元的に交絡させて一体化させた後、第2繊維層の面から水圧1.0~10.0MPaの水流を噴射して第1繊維層と第2繊維層からなる積層体に開孔構造を付与することで、
第1繊維層と第2繊維層とを含む多層不織布であり、開孔構造を有する吸収性物品用不織布を得ており、前記開孔構造は、前記多層不織布の第1繊維層側の表面からでも観察され、
前記一体化は、前記積層体を経糸の線径が0.05~0.2mm、緯糸の線径が0.05~0.2mm、メッシュ数が70~110メッシュの平織りネットに載置して行い、前記開孔構造の付与には、前記積層体を経糸の線径が0.5~1.5mm、緯糸の線径が0.5~1.5mm、メッシュ数が5~60メッシュの平織りネット上に載置して行い、
吸収性物品用不織布の横方向の破断強度が3.0~30N/5cmであり、
吸収性物品用不織布における第2繊維層の横方向の破断強度が5.0N/5cm以下であることを特徴とする、吸収性物品用不織布の製造方法。
【請求項9】
積層体とする工程における、前記第2繊維層となる合成長繊維不織布の横方向の破断強度が5.0N/5cm以下である、請求項8に記載の吸収性物品用不織布の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンや紙オムツ(乳幼児用と成人用の紙オムツを含む)等の吸収性物品に用いる吸収性物品用不織布、その製造方法、吸収性物品用表面シート、及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンや紙オムツ等の吸収性物品は、主に装着者の肌に当接する表面シート、液体を吸収する吸収体、液体が吸収性物品の外に漏れることを防ぐ防漏シートで構成されている。そして、吸収性物品に用いる表面シートには、装着時の快適性のため、柔らかで滑らかな触感を有すること、経血といった体内から排出された血液や、尿や流動性のある便等の排泄物を吸収する吸液特性に優れること等が求められている。
【0003】
特許文献1には、グラム重が5~50g/m2である30%~100%綿繊維から構成された表面層と、不織布補強層とで構成された不織布を吸収性製品の肌面層に用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2016-529412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の不織布では、不織布補強層を含ませることで、綿を含む不織布の強度を高めているが、不織布補強層によって、綿繊維の高い吸液特性を阻害する場合があった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、コットン繊維を含む不織布の強度を高めつつ、吸液特性を向上させた吸収性物品用不織布、その製造方法、吸収性物品用表面シート、及び吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1繊維層と第2繊維層とを含む多層不織布であり、第1繊維層がコットン繊維からなり、かつ目付が5~30g/m2であり、第2繊維層が合成長繊維不織布からなり、かつ目付が5~20g/m2であり、第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士が三次元的に交絡されて一体化されており、前記多層不織布が開孔を有し、第2繊維層の横方向の破断強度が5.0N/5cm以下であることを特徴とする、吸収性物品用不織布に関する。
【0008】
前記吸収性物品用不織布において、第2繊維層の横方向の5%伸長時応力が0.5N/5cm以下であることが好ましい。第2繊維層の縦方向の5%伸長時応力が3.0N/5cm以下であることが好ましい。第2繊維層は、ポリエステル系繊維からなる合成長繊維不織布であることが好ましい。
【0009】
本発明は、また、コットン繊維からなり、かつ目付が5~30g/m2である、第1繊維層となる繊維ウェブと、目付が5~20g/m2である、第2繊維層となる合成長繊維不織布とを積層して積層体とし、積層体中の第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士を三次元的に交絡させて一体化させるとともに、積層体に開孔構造を付与することで、第1繊維層と第2繊維層とを含む多層不織布であり、開孔構造を有する吸収性物品用不織布を得ており、吸収性物品用不織布における第2繊維層の横方向の破断強度が5.0N/5cm以下であることを特徴とする、吸収性物品用不織布の製造方法に関する。
【0010】
前記積層体とする工程における、前記第2繊維層となる合成長繊維不織布の横方向の破断強度が5.0N/5cm以下であることが好ましい。
【0011】
本発明は、また、前記の吸収性物品用不織布を含み、第1繊維層を肌対向面とする、吸収性物品用表面シートに関する。
【0012】
本発明は、また、前記の吸収性物品用表面シートを含む、吸収性物品に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、コットン繊維を含む不織布の強度を高めつつ、吸液特性を向上させた吸収性物品用不織布、吸収性物品用表面シート、及びこれを含む吸収性物品を提供することができる。また、本発明の吸収性物品用不織布の製造方法によれば、コットン繊維を含む不織布の強度を高めつつ、吸液特性を向上させた吸収性物品用不織布を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、コットン繊維からなり、かつ目付が5~30g/m2である第1繊維層に、目付が5~20g/m2である合成長繊維不織布からなる第2繊維層を積層し、第1繊維層と第2繊維層との構成繊維同士を三次元的に交絡させて一体化して、開孔を有する多層不織布にし、多層不織布における第2繊維層の横方向の破断強度を5.0N/5cm以下にすることで、コットン繊維を含む不織布の強度を高めつつ、吸液特性を向上し得ることを見出した。
【0015】
前記吸収性物品用不織布は、第1繊維層と第2繊維層とを含む多層不織布である。第1繊維層は、コットン繊維からなり、かつ目付が5~30g/m2である。第1繊維層をコットン繊維で構成することで、肌触りが柔らかくなる。吸収性物品用不織布の液漏れ防止性を向上させる、すなわち液戻り量を低減する観点から、第1繊維層の目付は10~25g/m2であることが好ましく、15~22g/m2であることがより好ましい。
【0016】
第1繊維層を構成するコットン繊維は、特に限定されないが、例えば、繊度が0.5~6.0dtexであることが好ましい。触感を滑らかにする観点から、繊度は5.0dtex以下であることが好ましく、4.0dtex以下であることがより好ましい。吸液速度を高める観点から、繊度が0.6dtex以上であることが好ましく、0.8dtex以上であることがより好ましい。なお、コットン繊維の繊度は、JIS L 1019 7.4.1 マイクロネヤによる方法に準じ、算出できる。
【0017】
第1繊維層を構成するコットン繊維は、特に限定されないが、カード通過性を考慮すると、繊維長は1~100mmであることが好ましい。より好ましくは10~80mmであり、さらに好ましく15~60mmである。繊維長はすべて同じである必要はない。コットン繊維のような植物由来の天然繊維は、一般には、繊維長が一定でない形態で供給されるが、そのような形態のものを使用してよい。
【0018】
第1繊維層としては繊維ウェブを用いることができる。前記繊維ウェブとしては、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ、及びクリスクロスウェブ等のカードウェブ、エアレイドウェブ等が挙げられる。吸収性物品用表面シートは嵩高性、柔軟性、繊維間にある程度空隙が存在するように適度な空隙率を有していることが求められるため、繊維ウェブはカードウェブであることが好ましい。
【0019】
第2繊維層は、合成長繊維不織布からなり、第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士が三次元的に交絡されて一体化している。コットン繊維からなる第1繊維層と合成長繊維不織布からなる第2繊維層を積層して多層不織布とすることで、吸収性物品用不織布の強度を上げることができ、液戻り量を低減することができる。また、第2繊維層として長繊維不織布を用いることから、第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士を三次元的に交絡させても、第1繊維層の表面には合成繊維が本質的には存在せず、コットン繊維特有の柔らかい肌触りを保持することができる。ここで、「第1繊維層の表面には合成繊維が本質的には存在せず」とは、第1繊維層の表面に合成繊維が全く存在しないか、或いは、第1繊維層の表面に合成繊維がわずかに存在したとしても、機能や効果を発揮しないことを意味する。
【0020】
前記吸収性物品用不織布において、第2繊維層は、横方向(CD方向とも称される。)の破断強度が5.0N/5cm以下である。これにより、第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士の交絡性が高まり、吸収性物品用不織布の開孔が明瞭になり、毛羽が低減して地合が向上し、風合いが良好になる。好ましくは、第2繊維層の横方向の破断強度が4.0N/5cm以下であることが好ましく、3.5N/5cm以下であることがより好ましく、3.0N/5cm以下であることがさらに好ましく、2.5N/5cm以下であることがさらにより好ましく、2.0N/5cm以下であることがさらにより好ましく、1.5N/5cm以下であることがさらにより好ましく、1.0N/5cm以下であることがさらにより好ましい。吸収性物品用不織布の強度を高める観点から、第2繊維層の横方向の破断強度は0.1N/5cm以上であることが好ましく、0.3N/5cm以上であることがより好ましく、0.5N/5cm以上であることがさらに好ましい。
【0021】
前記吸収性物品用不織布において、第2繊維層は、特に限定されないが、第1繊維層と前記第2繊維層の構成繊維同士の交絡性をより高める観点から、縦方向(MD方向とも称される。)の破断強度が10.0N/5cm以下であることが好ましく、8.0N/5cm以下であることがより好ましく、6.0N/5cm以下であることがさらにより好ましく、4.0N/5cm以下であることがさらにより好ましく、2.0N/5cm以下であることがさらにより好ましく、1.5N/5cm以下であることがさらにより好ましい。吸収性物品用不織布の強度を高める観点から、第2繊維層の縦方向の破断強度は0.3N/5cm以上であることが好ましく、0.5N/5cm以上であることがより好ましく、0.7N/5cm以上であることがさらに好ましい。
【0022】
前記吸収性物品用不織布において、第2繊維層は、特に限定されないが、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点から、横方向の破断伸度が5~100%であることが好ましく、10~80%であることがより好ましく、20~70%であることがさらに好ましい。また、前記吸収性物品用不織布において、第2繊維層は、特に限定されないが、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点から、縦方向の破断伸度が20~100%であることが好ましく、30~80%であることがより好ましく、35~70%であることがさらに好ましい。
【0023】
前記吸収性物品用不織布において、第2繊維層は、特に限定されないが、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点から、横方向の5%伸長時応力が0.01~1.0N/5cmであることが好ましく、0.02~0.9N/5cmであることがより好ましく、0.03~0.8N/5cmであることがさらに好ましく、0.03~0.2N/5cmであることがさらにより好ましい。前記吸収性物品用不織布において、第2繊維層は、特に限定されないが、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点から、縦方向の5%伸長時応力が0.03~10N/5cmであることが好ましく、0.05~8.0N/5cmであることがより好ましく、0.07~5.0N/5cmであることがさらに好ましく、0.07~1.0N/5cmであることがさらにより好ましい。
【0024】
前記合成長繊維不織布(第2繊維層)は、目付が5~20g/m2であり、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点やコストの観点から、好ましくは7~18g/m2であり、より好ましくは8~15g/m2である。
【0025】
前記合成長繊維不織布は、特に限定されず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。コスト、構成繊維同士の交絡性、開孔明瞭性、多層不織布の強度、及び高い吸液速度の観点から、スパンボンド不織布が好ましい。
【0026】
前記合成長繊維不織布は、合成長繊維で構成された不織布を用いればよく、特に限定されない。液戻り量を低減する観点から、前記合成長繊維は、疎水性繊維であることか好ましい。疎水性繊維は、例えば、公定水分率が5.0%以下の繊維であってよく、より好ましくは2.0%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。公定水分率は、JIS L0105(2006)に示されている。公定水分率が知られていない場合には、次の式から算出される値を公定水分率とする。
公定水分率(%)=[(W-W’)/W’]×100
ここで、Wは温度20℃、湿度65%RHの環境下における繊維の質量(g)、W’は繊維絶乾時の質量(g)をそれぞれ意味する。なお、温度20℃、湿度65%RHの環境下における繊維の質量は、温度20℃、湿度65%RHの環境下に繊維を放置し、一定の質量になった時の質量を意味し、繊維絶乾時の質量は、105℃に設定した乾燥機中に繊維を放置し、一定の質量になった時の質量を意味する。
【0027】
前記疎水性繊維としては、公定水分率が5.0%以下の繊維であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、塩化ビニル系繊維等が挙げられる。ポリエステル系繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート及びその共重合体などから選択される、一つ以上のポリエステル系樹脂で構成される繊維を用いることができる。ポリオレフィン系繊維としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン-1及びエチレン-プロピレン共重合体から選択される、一つ以上のポリオレフィン系樹脂で構成される繊維を用いることができる。ポリアミド繊維としては、例えば、ナイロン6又はナイロン66のようなポリアミド樹脂で構成される繊維を用いることができる。前記合成長繊維は、単一繊維であってもよく、複合繊維であってもよい。液戻り量をより低減する観点から、ポリエステル系繊維またはポリオレフィン系繊維であることが好ましく、構成繊維同士の交絡性の観点からポリエステル系繊維が特に好ましい。
【0028】
前記合成長繊維不織布において、合成長繊維の繊度は、特に限定されないが、例えば、0.6~5.0dtexであることが好ましい。合成長繊維不織布の目付の均一性の観点から、繊度は4.5dtex以下であることが好ましく、4.0dtex以下であることがより好ましい。吸液速度を高める観点から、繊度が0.6dtex以上であることが好ましく、0.8dtex以上であることがより好ましい。
【0029】
前記吸収性物品用不織布は、特に限定されないが、例えば、第1繊維層となるコットン繊維100質量%からなる繊維ウェブと、第2繊維層となる合成長繊維不織布を積層し、積層体中の第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士を三次元的に交絡させて一体化させるとともに、積層体に開孔構造を付与することで作製することができる。具体的には、積層体に対して水流交絡処理を施すことで、第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士を三次元的に交絡させて一体化するとともに、積層体に開孔構造を付与することができる。
【0030】
第2繊維層の原材料として用いる合成長繊維不織布は、横方向の破断強度が5.0N/5cm以下であることが好ましく、4.0N/5cm以下であることがより好ましく、3.5N/5cm以下であることがさらに好ましく、3.0N/5cm以下であることがさらにより好ましく、2.5N/5cm以下であることがさらにより好ましい。これにより、第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士の交絡性が高まり、吸収性物品用不織布の開孔が明瞭になり、毛羽が低減して地合が向上し、風合いが良好になる。吸収性物品用不織布の強度を高める観点から、第2繊維層の原材料として用いる合成長繊維不織布の横方向の破断強度は0.5N/5cm以上であることが好ましく、1.0N/5cm以上であることがより好ましく、1.3N/5cm以上であることがさらに好ましい。
【0031】
第2繊維層の原材料として用いる合成長繊維不織布は、縦方向の破断強度が20N/5cm以下であることが好ましく、18N/5cm以下であることがより好ましく、16N/5cm以下であることがさらに好ましく、10N/5cm以下であることがさらにより好ましい。これにより、第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士の交絡性が高まり、吸収性物品用不織布の開孔が明瞭になり、毛羽が低減して地合が向上し、風合いが良好になる。吸収性物品用不織布の強度を高める観点から、第2繊維層の原材料として用いる合成長繊維不織布の縦方向の破断強度は2.0N/5cm以上であることが好ましく、3.0N/5cm以上であることがより好ましく、4.0N/5cm以上であることがさらに好ましい。
【0032】
第2繊維層の原材料として用いる合成長繊維不織布は、特に限定されないが、例えば、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点から、横方向の破断伸度が3~70%であることが好ましく、5~60%であることがより好ましく、7~50%であることがさらに好ましく、7~30%であることがさらにより好ましい。また、第2繊維層の原材料として用いる合成長繊維不織布は、特に限定されないが、例えば、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点から、縦方向の破断伸度が5~40%であることが好ましく、7~30%であることがより好ましく、8~20%であることがさらに好ましい。
【0033】
第2繊維層の原材料として用いる合成長繊維不織布は、特に限定されないが、例えば、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点から、横方向の5%伸長時応力が0.1~5.0N/5cmであることが好ましく、0.5~4.0N/5cmであることがより好ましく、0.7~3.0N/5cmであることがさらに好ましい。第2繊維層の原材料として用いる合成長繊維不織布は、特に限定されないが、構成繊維同士の交絡性をより高め、より明瞭な開孔を付与する観点から、縦方向の5%伸長時応力が1.5~8.0N/5cmであることが好ましく、2.0~7.0N/5cmであることがより好ましく、3.0~6.0N/5cmであることがさらに好ましい。
【0034】
水流交絡処理は、積層体を、支持体の上に載置し、積層体の片面又は両面に、水流を噴射して実施することができる。前記支持体の形態について、特に制限はなく、従来から知られた支持体を用いればよいが、例えば、経糸の線径が0.05mm~1.5mm、緯糸の線径が0.05mm~1.5mm、メッシュ数が5~110メッシュの平織りネットを用いることができる。孔径0.05~0.5mmのオリフィスが、0.5~1.5mmの間隔で設けられたノズルから、水圧1.0~10.0MPaの水流を、積層体の片面又は両面にそれぞれ1~4回ずつ噴射することができる。水圧が1.0MPa未満であると、繊維同士の交絡が不十分となり、得られた不織布において毛羽抜けが生じやすくなることがある。水圧が10.0MPaを越えると、繊維同士の交絡が強固になりすぎて、吸収性物品用不織布の風合いが低下する恐れや、コットン繊維の交絡が過度に進んで合成長繊維不織布中のコットン繊維の存在量が多くなり液戻り量が多くなる恐れがある。水圧は、より好ましくは2.0~9.0MPaであり、さらに好ましくは2.0~7.0MPaであり、さらにより好ましくは2.0~6.0MPaである。ノズルと積層体間の距離は、例えば、5~30mmであってもよく、7~20mmであってもよい。
【0035】
具体的には、まず、積層体を支持体の上に載置し、積層体の第1繊維層の面から、水圧1.0~10.0MPaの水流を、1~4回噴射することで、第1繊維層と第2繊維層の構成繊維同士を三次元的に交絡させて一体化する。この際、支持体としては経糸の線径が0.05~0.2mm、緯糸の線径が0.05~0.2mm、メッシュ数が70~110メッシュの平織りネットを用いることが好ましい。次に、開孔を形成するために、積層体を粗いメッシュの平織りネット、例えば、経糸の線径が0.5~1.5mm、緯糸の線径が0.5~1.5mm、メッシュ数が5~60メッシュの平織りネット上に載置し、第2繊維層の面から、水圧1.0~10.0MPaの水流を、1~4回噴射する。
【0036】
次に、水流交絡により得た多層不織布を乾燥処理する。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥機を用いて実施することができる。乾燥温度は、繊維の熱接着が生じないような温度であることが好ましい。
【0037】
前記吸収性物品用不織布は、特に限定されないが、例えば、不織布全体にわたって明瞭な開孔を有する観点から、開孔率が5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。また、前記吸収性物品用不織布は、特に限定されないが、例えば、不織布全体にわたって明瞭な開孔を有する観点から、開孔面積が0.5~3.5mm2であることが好ましく、0.7~3.0mm2であることがより好ましい。
【0038】
前記吸収性物品用不織布は、特に限定されないが、例えば、強度及び風合いの観点から、横方向の破断強度が3.0~30N/5cmであることが好ましく、5.0~25N/5cmであることがより好ましく、7.0~20N/5cmであることがさらにより好ましい。また、縦方向の破断強度が10~60N/5cmであることが好ましく、15~50N/5cmであることがより好ましく、20~40N/5cmであることがさらにより好ましい。
【0039】
前記吸収性物品用不織布は、特に限定されないが、例えば、切断などの加工性の観点から、横方向の破断伸度が50~200%であることが好ましく、60~180%であることがより好ましく、70~150%であることがさらに好ましい。また、前記吸収性物品用不織布は、特に限定されないが、切断などの加工性の観点から、縦方向の破断伸度が10~100%であることが好ましく、15~80%であることがより好ましく、20~60%であることがさらに好ましい。
【0040】
前記吸収性物品用不織布は、特に限定されないが、例えば、強度及び風合いの観点から、横方向の10%伸長時応力が0.3~2.5N/5cmであることが好ましく、0.4~2.0N/5cmであることがより好ましく、0.5~1.5N/5cmであることがさらに好ましく、0.6~1.2N/5cmであることがさらにより好ましい。前記吸収性物品用不織布は、特に限定されないが、例えば、強度及び風合いの観点から、縦方向の10%伸長時応力が2.0~25N/5cmであることが好ましく、3.0~20N/5cmであることがより好ましく、4.0~10N/5cmであることがさらに好ましく、5.0~9.0N/5cmであることがさらにより好ましい。
【0041】
前記吸収性物品用不織布は、吸収性物品用表面シートとして用いることができる。前記吸収性物品用表面シートにおいて、第1繊維層は、吸収性物品を着用する着用者の肌に当接する。コットン繊維からなる第1繊維層が肌に当たることで、吸収性物品の使用者に対し、快適な使用感を与えることができる。
【0042】
前記吸収性物品用表面シートは、生理用ナプキン、幼児用紙オムツ、成人用紙オムツ、ほ乳類を始めとする動物用の紙オムツ、パンティーライナー(おりものシート)、失禁用ライナー等の各種吸収性物品の表面シートとして好ましく使用できる。
【0043】
本発明の吸収性物品としては、前記吸収性物品用表面シートを含むものであればよく、特に限定されない。例えば、生理用ナプキン、幼児用紙オムツ、成人用紙オムツ、ほ乳類を始めとする動物用の紙オムツ、パンティーライナー(おりものシート)、失禁用ライナー等が挙げられる。
【実施例
【0044】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0045】
まず、測定方法及び評価方法を説明する。
【0046】
(目付)
JIS L 1913(単位面積当たりの質量)に準じて測定した。
【0047】
(厚さ)
厚さは、厚さ測定器(大栄科学精器製作所製、商品名「THICKNESS GAUGE」、モデル「CR-60A」)を用い、試料1cm2あたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
【0048】
(破断強度、破断伸度、5%伸長時応力、10%伸長時応力)
JIS L 1913(2010) 6.3に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値(引張強さ(破断強度))、伸び率(破断伸度)、及び5%伸長時応力(又は10%伸長時応力)を測定した。引張試験は、不織布の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)を引張方向として実施した。評価結果はいずれも3点の試料について測定した値の平均で示している。
【0049】
(開孔面積、開孔率)
マイクロスコープ(スリーアールソリューション社製、型番「3R-MSUSB401」)を用いて、第1繊維層側から見た不織布表面について60倍の拡大写真を撮影し、画像解析処理ソフト「ImageJ」(フリーソフト)を使用し、画像について開孔している部分とそれ以外の部分とに二値化を行い、不織布全体の面積に対して、開孔部分の合計面積が占める割合を求め、開孔率とした。なお、写真は、試料不織布の任意に選択した2箇所(1cm×1cm)について撮影し、それらの平均値を開孔率とした。開孔面積は、任意に選択した2箇所に存在する全ての開孔部分について、1つ1つの開孔部分の面積を測定してそれらの平均値を求めて開孔面積とした。
【0050】
(吸液時間)
評価用の吸収性物品において、試料不織布の上に、注入筒付きプレート(高さ75mm、筒上部の内径25mm、筒下部の内径10mm、肉厚5mmの二段円筒状のもの)を置き、この注入筒付きプレートの注入筒内に、5.0ccの人工経血(温度37℃、粘度8mPa・s)を注入した。不織布表面から液体が見えなくなるまでに要した時間を測定し、吸液時間(秒)とした。なお、人工経血の組成は、グリセリン12.30質量%、イオン交換水85.18質量%、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)0.45質量%、NaCl(塩化ナトリウム)0.97質量%、Na2CO3(炭酸ナトリウム)1.04質量%、青粉0.06質量%であった。また、上記吸液時間の測定後、15分が経過した後、再び5.0ccの人工経血(温度37℃、粘度8mPa・s)を注入し、2回目の吸液時間(秒)の測定を行った。
【0051】
(拡散長)
1回目の吸液時間の測定の際、人工経血の注入から5分後に、試料不織布のMD方向における人工経血を吸収した部分の長さを計測し、拡散長とした。
また、2回目の吸液時間の測定の際にも、1回目と同様に人工経血の注入から5分後に拡散長を計測した。
【0052】
(液戻り量)
評価用の吸収性物品において、上記1回目の吸液時間の測定と同様にして人工経血を注入し、注入から10分後に、トップシート(表面シート)となる不織布の上にろ紙(東洋濾紙株式会社製、商品名ADVANTEC(登録商標)No.2、10cm×10cm)を10枚置き、ろ紙の上に質量1kg(形状:正方形、10cm×10cm)の重りを載せた。重りを載せてから20秒後にろ紙を取り出して、人工経血を吸収したろ紙の質量を測定し、不織布の上に載せる前のろ紙の質量を差し引き、1回目の液戻り量(g)を算出した。
さらに、評価用の吸収性物品において、上記2回目の吸液時間の測定と同様にして人工経血を注入し、注入から10分後に、上記1回目と同様にろ紙を用いて2回目の液戻り量(g)を算出した。
【0053】
尚、吸液時間、拡散長及び液戻り量の測定に際しては、各実施例及び比較例の不織布について、それぞれ2つのサンプルを用意した。2つのサンプルのそれぞれについて測定した吸液時間、拡散長及び液戻り量の平均値を、各実施例及び比較例の不織布の吸液時間、拡散長及び液戻り量とした。
【0054】
合成長繊維不織布として、以下を用意した。
合成長繊維不織布A:繊度1.6dtex(繊維径12.2μm)のポリエチレンテレフタレート長繊維(公定水分率:0.4%)からなる、目付10g/m2のスパンボンド不織布。
合成長繊維不織布B:繊度2.3dtex(繊維径18.0μm)のポリプロピレン長繊維(公定水分率:0.0%)からなる、目付10g/m2のスパンボンド不織布。
原材料として用いた合成長繊維不織布A及び合成長繊維不織布Bの破断強度、破断伸度及び5%伸長時応力を上記のとおりに測定し、その結果を下記表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
(実施例1)
<多層不織布の作製>
繊度1.0~5.0dtex、繊維長10mm~60mmのコットン(商品名MSD、丸三産業(株)製)を用いて、コットン繊維からなる目付20g/m2のパラレルカードウェブを作製し、第1繊維層として用いた。第2繊維層として合成長繊維不織布Aを用いた。
第2繊維層の上に第1繊維層を積層し、得られた積層体に対して水流交絡処理(第1水流交絡処理)を実施した。第1水流交絡処理は、積層体を、線径0.132mmのモノフィラメントからなる90メッシュ平織りの支持体に載せて、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて、第1繊維層の面から2.0MPaの柱状水流を1回、3.0MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。このときの支持体の搬送速度は、4m/分であり、ノズルと積層体との間の距離は10mmであった。
次に、開孔を形成するための水流交絡処理(第2水流交絡処理)を実施した。第2水流交絡処理は、第1水流交絡処理後の積層体を、線径1.2mmのモノフィラメントからなる12メッシュの平織りの支持体に載せて、第1水流交絡処理で用いたものと同じノズルを用いて、第2繊維層の面から4.0MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。支持体の搬送速度及びノズルと積層体との間の距離は第1水流交絡処理と同様にした。第2水流交絡処理後の積層体を100℃の熱風乾燥機で乾燥させ、実施例1の多層不織布を得た。
得られた多層不織布は、約0.5~2.0mm2の開孔(平均1.2mm2)を有し、開孔率は24%であり、不織布全体にわたって概ね明瞭な開孔を有していた。
【0057】
<吸収性物品の作製>
市販の生理用ナプキン(花王株式会社製の商品名「ロリエエフしあわせ素肌 多い昼用羽根なし」)から、トップシートを剥がして、トップシートの代わりに、上述で得られた多層積層不織布(MD30cm×CD10.5cm)を積層して、評価用の吸収性物品を得た。
【0058】
(比較例1)
<多層不織布の作製>
第2繊維層として合成長繊維不織布Bを使用したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の多層不織布を得た。得られた多層不織布は、約0.07~0.2mm2の開孔(平均0.12mm2)を有し、開孔率が2.4%であり、不織布全体にわたって開孔が明瞭に形成されていない箇所が多かった。
【0059】
<吸収性物品の作製>
比較例1で得られた多層不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価用の吸収性物品を得た。
【0060】
(比較例2)
実施例1で使用したコットンを用いて、コットン繊維からなる目付30g/m2のパラレルカードウェブを作製した。
カードウェブに対して水流交絡処理(第1水流交絡処理)を実施した。第1水流交絡処理は、カードウェブを、線径0.132mmのモノフィラメントからなる90メッシュ平織りの支持体に載せて、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて、カードウェブの一方の面から2.0MPaの柱状水流を1回、3.0MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。このときの支持体の搬送速度は、4m/分であり、ノズルとカードウェブとの間の距離は10mmであった。
次に、開孔を形成するための水流交絡処理(第2水流交絡処理)を実施した。第2水流交絡処理は、第1水流交絡処理後のカードウェブを、線径1.2mmのモノフィラメントからなる12メッシュの平織りの支持体に載せて、第1水流交絡処理で用いたものと同じノズルを用いて、第1水流交絡処理の際に噴射したカードウェブの面とは反対の面から4.0MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。支持体の搬送速度及びノズルとカードウェブとの間の距離は第1水流交絡処理と同様にした。第2水流交絡処理後のカードウェブを100℃の熱風乾燥機で乾燥させ、比較例2の不織布を得た。
【0061】
実施例及び比較例で作製した不織布の破断強度、破断伸度及び10%伸長時応力を上記のとおりに測定し、その結果を下記表2に示した。また、実施例1及び比較例1で作製した多層不織布において、第1繊維層を以下の測定用試料作成方法によって取り除き、得られた第2繊維層を用い、多層不織布における第2繊維層の破断強度、破断伸度及び5%伸長時応力を上記のとおりに測定し、その結果を下記表3に示した。
[測定用試料作成方法]
(1)多層不織布を20cm×5cmに切断して試料を得た。
(2)ビーカーに切断した試料3枚と撹拌子を入れ、70%硫酸を200mL入れた。
(3)マグネチックスターラーで2時間撹拌し、第1繊維層を取り除いた。
(4)撹拌子を取り出した後、硫酸を廃棄した。
(5)ビーカー内の第2繊維層の試料を流水で洗浄した。
(6)洗浄後の第2繊維層の試料をシャーレに広げて入れ、80℃の乾燥機で1時間乾燥させた。
(7)乾燥後の第2繊維層の試料を測定用試料とした。
【0062】
実施例及び比較例で作製した評価用の吸収性物品を用い、上述したとおりに吸液時間、拡散長及び液戻り量を評価した。その結果を下記表4に示した。下記表4には、上述したとおりに測定した多層不織布の目付及び厚さを併せて示した。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
上記表4の結果から、実施例1の吸収性物品は、比較例1の吸収性物品と液戻り量はほぼ同等であるが、コットン繊維100質量%からなる不織布を表面シートとして用いた比較例2の吸収性物品より、液戻り量が小さかった。また、実施例1の吸収性物品は、コットン繊維100質量%からなる不織布を表面シートとして用いた比較例2の吸収性物品と吸液時間がほぼ同等であったが、比較例1の吸収性物品より、吸液時間が短くなっていた。また、厚さは実施例1の方が大きく、開孔が明瞭に形成されていることを示唆している。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の吸収性物品用不織布は、生理用ナプキン、幼児用紙オムツ、成人用紙オムツ、ほ乳類を始めとする動物用の紙オムツ、パンティーライナー(おりものシート)、失禁用ライナー等の各種吸収性物品の表面シートとして好適に使用できる。