(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】穿孔式内視鏡アクセスおよびアブレーションシステムのための装置および付属品
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240814BHJP
A61B 1/005 20060101ALI20240814BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20240814BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240814BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20240814BHJP
A61B 1/015 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B1/005 513
A61B1/12 522
A61B1/00 622
A61B1/005 524
A61B1/018 515
A61B1/015 512
A61B1/005 522
(21)【出願番号】P 2020538074
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 US2019013074
(87)【国際公開番号】W WO2019140105
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-04
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516209360
【氏名又は名称】アトリキュア, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ダンド,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】キュイル,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】バラチャンドラン,ラム
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム,タメール
(72)【発明者】
【氏名】バニー,ガイ
(72)【発明者】
【氏名】マクレビッシュ,アル
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンズ,アーロン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-525016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0054465(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0242788(US,A1)
【文献】特表2006-500169(JP,A)
【文献】特表2014-529429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 - 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーションアセンブリと、
遠位端および近位端を有する軸体であって、前記アブレーションアセンブリが前記遠位端に配置され、前記軸体が前記遠位端に隣接する遠位部分、および前記遠位部分から近位側に間隔をおいて配置される可撓性を備えた可撓性部分と、前記近位端と前記可撓性部分との間に近位部分とを有し、前記近位部分の近位可撓性が前記可撓性部分の中位部分の中位可撓性よりも小さく、前記中位可撓性は前記遠位部分の遠位可撓性よりも小さい、軸体と、
前記近位端に配置されるとともに
操舵アクチュエータを有するハンドルと、
前記ハンドル上に設けられ、前記ハンドルの長手方向に対して横方向の軸
を中心とした回転が可能であ
るロック機構と、
前記
操舵アクチュエータと接続された操舵部材であって、前記
操舵アクチュエータの運動が前記遠位部分の偏向を制御し、前記遠位部分の前記偏向が第1の平面に制限されているとともに、前記操舵部材を引く又は押すことにより前記遠位部分の偏向を制御する操舵部材と、
を備え、
前記軸体の前記可撓性部分は第2の平面内で屈曲するように制限され、前記第2の平面は前記第1の平面に対して直交
し、
前記ロック機構の回転は、前記操舵アクチュエータが解放されたときに前記遠位端を偏向位置に設定する医療用アブレーション装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記軸体の遠位部分の偏向を固定する、請求項1に記載の医療用アブレーション装置。
【請求項3】
前記軸体が複数のルーメンからなり、少なくとも1つのルーメンが前記ハンドルで弁に流体的に結合されている、請求項1に記載の医療用アブレーション装置。
【請求項4】
前記軸体および前記アブレーションアセンブリを通って延びるガイドワイヤルーメンをさらに備える、請求項1に記載の医療用アブレーション装置。
【請求項5】
前記操舵部材が、前記軸体の前記遠位部分に固定された少なくとも1本のプルワイヤからなる、請求項1に記載の医療用アブレーション装置。
【請求項6】
前記軸体がスロット付きチューブ構造体を含み、同スロット付きチューブの第1の部分が前記軸体の前記遠位部分に位置し、前記スロット付きチューブの第2の部分が前記可撓性部分に位置し、前記スロット付きチューブの前記第1の部分が複数の第1のスロットからなり、前記スロット付きチューブの前記第2の部分が複数の第2のスロットからなり、前記第1のスロットおよび前記第2のスロットが前記スロット付きチューブ上で互いに90度離間して位置している、請求項1に記載の医療用アブレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
組織を治療的に処置するための装置、システム、および方法。装置および方法は、低侵襲手術または開放外科処置に適している。より詳細に、本明細書に記載された方法および装置は、治療用装置を用いて組織の領域にアクセスおよび/または治療することを可能にする。
【背景技術】
【0002】
心房細動手術には、心房組織にアブレーション病変または凝固病変を形成することが必要とされる。典型的には、医師は、心房細動を維持する、または心房粗動、心房頻拍、若しくは他の不整脈を生じさせる、心房組織を伝搬するウェーブレットまたは電気信号/インパルスを防止するために、エネルギー(極低温、高周波、直流、マイクロ波、レーザー、エレクトロポレーション、高周波超音波、または他の熱的モダリティを含むが、これらに限定されない)を用いて病変部を形成する。
【0003】
心房組織へのエネルギーの印加における多くの従来のアプローチは、病変パターンを横断する電気的インパルスの伝播を防ぐ完全な病変パターンを形成しようとすることの困難に直面している。これらの困難に起因するいくつかの要因は、電極の長手部分全体を通しての組織の接触が一貫していないことであり、これにより、アブレーションされた/凝固された組織の目標長手部分全体を通してのエネルギーの伝達にばらつきが生じる。さらに、周囲の解剖学的組織もまた、完全な病変パターンを形成することの困難さを助長する。その結果、不完全な病変または病変パターンは、組織を介して、および病変パターンを介してウェーブレットの伝播を可能にする、生存可能なまたは半生存可能な組織の1つまたは複数の間隙を含む。
【0004】
アブレーション治療のもう1つの課題は、完全な曲線的、経膜的病変を確実に形成することであり、心房の反対側の表面上の対流冷却の存在である。
【0005】
従来、心房凝固パターンは心内膜凝固病変を用いてのみ完了していた。このような手技では、医師は心房組織に血管を介して1本または複数本の静脈カテーテルを導入していた。心内凝固は、医師が切除される部位を容易に視覚化できないという課題がある。さらに、心内膜凝固術は、食道瘻、凝固塊形成による血栓塞栓症合併症、PV狭窄症、横隔神経麻痺、肺損傷など、心内膜表面から外側にアブレーションすることによる合併症のリスクを伴う。リスクはさておき、心内膜アプローチによる完全な線状病変線の形成は困難である。
【0006】
最近では、心外膜および心内膜上の心臓組織をアブレーションするシステムが開発されている。心外膜凝固により、手技の複雑さと時間を犠牲にしても、より包括的な両心房病変パターンが可能となる。しかしながら、現在の多くの手技では、所望の病変パターンを形成するために、他の組織構造を大幅に操作する必要がある。例えば、多くの手技は、標的部位にアクセスするために、胸壁に配置された1つ以上のポートまたはトロッカー、および/または肺の収縮を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書に記載される改良された方法および装置は、装置の改良された操舵により組織の領域に到達するための改良を提供する。さらなる改良は、仮想化ソフトウェアを使用して装置を識別することを含む。
【0008】
本明細書に記載の改良された方法および装置は、体内の組織領域、特に胸腔内の器官へのアクセスを改良する。本明細書に記載されたこれらの方法および装置の変形例は、心房細動および心室頻拍アブレーションを治療する能力を改良し、選択された組織領域を正確な方法で治療することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法の変形例は、心膜内の心臓組織への改良されたアクセスを可能にすることにより、改良された経皮内視鏡的アブレーション手技を提供する。本明細書に記載された装置、システム、および方法のさらなる変形例は、心臓空間の外側の領域で使用することができる。本明細書に記載される方法、システム、および装置の変形例は、可能な限り、様々な実施形態の要素の組み合わせ、または実施形態自体の組み合わせを含む。
【0010】
本開示は、操縦可能な医療用アブレーション装置を含む。例えば、装置の一変形例は、アブレーションアセンブリと、遠位端および近位端を有する軸体であって、アブレーションアセンブリが遠位端に配置され、軸体が遠位端に隣接する遠位部分、および遠位部分から近位側に間隔をおいて配置される可撓性を備えた部分を有する、軸体と、近位端に配置されるとともにアクチュエータを有するハンドルと、アクチュエータと軸体の遠位部分との間に結合された操舵部材であって、アクチュエータの運動が遠位部分の偏向を制御し、遠位部分の偏向が第1の平面に制限されている、操舵部材と、を備え、軸体の近位部分は可撓性を備えるとともに第2の平面内で屈曲するように制限され、第2の平面が第1の平面に対して直交する。
【0011】
医療装置は、近位端と可撓性部分との間に近位部分をさらに備えてもよく、近位部分の可撓性は可撓性部分の可撓性よりも小さい。装置の変形例は、アブレーションアセンブリのアブレーション要素が開口部で露出しており、開口部が第1の平面に平行であることを含んでもよい。
【0012】
本明細書に記載される医療装置は、ハウジングの外側の周囲に配置される複数のナビゲーション要素をさらに備えてもよく、同複数のナビゲーション要素のうちの少なくとも1つの第1のナビゲーション要素は、電気解剖学的マッピングシステムにおいて第1の仮想画像を提供するように構成され、複数のナビゲーション要素のうちの少なくとも1つの第2のナビゲーション要素は、電気解剖学的マッピングシステムにおいて第2の仮想画像を提供するように構成され、第1の仮想画像は、医療装置を表し、第2の仮想画像は、医療装置に対するアブレーションアセンブリの配向を表している。このような装置の変形例は、らせん状電極であるアブレーション要素を含んでもよい。装置のいくつかの変形例において、ハウジングの偏向が、アクチュエータを使用して制御されてもよい。
【0013】
装置の別の変形例は、組織の領域にアクセスして、1つ以上の個別の医療装置のアクセス装置として機能するための医療装置を含む。例えば、そのようなアクセス装置は、遠位端および近位端を有するとともに遠位端と近位端とを通って延びる通路を備える軸体であって、同軸体が遠位端に隣接する遠位部分、および遠位部分から近位側に間隔をおいて配置される可撓性を備えた部分を有する、軸体と、近位端に配置されるとともにアクチュエータを有するハンドルと、アクチュエータと軸体の遠位部分との間に結合された操舵部材であって、アクチュエータの運動が遠位部分の偏向を制御し、遠位部分の偏向が第1の平面に制限されている、操舵部材と、を備えてもよい。軸体の近位部分は可撓性を備えるとともに第2の平面内で屈曲するように制限され、第2の平面が第1の平面に対して直交する。
【0014】
本明細書に記載される装置は、ハンドル上にロック機構をさらに備えてもよく、同ロック機構は、軸体の遠位部分を円弧状に固定する。
【0015】
装置の変形例は、軸体が複数のルーメンからなることを含んでもよく、少なくとも1つのルーメンがフラッシングポートからなり、フラッシングポートがハンドルで弁に流体的に結合されている。追加の変形例は、軸体(および存在する場合にはアブレーションアセンブリ)を通って延びる1つ以上のガイドワイヤルーメンからなる軸体を含むことができる。
【0016】
軸体の変形例は、スロット付きチューブ構造体を含んでもよく、同スロット付きチューブの第1の部分が軸体の遠位部分と整列し、スロット付きチューブの第2の部分が可撓性部分と整列し、スロット付きチューブの第1の部分が複数の第1のスロットからなり、スロット付きチューブの第2の部分が複数の第2のスロットからなり、第1のスロットおよび第2のスロットがスロット付きチューブ上で90度離間して位置している。
【0017】
アクセス装置の変形例は、軸体を通って延びる1つまたは複数の拡張器をさらに含むことができ、拡張器は、軸体の遠位端を通って延びる非外傷性先端チップを有し、拡張器は、ハンドルと取り外し可能にロックするように構成されたハブをさらに含む。
【0018】
本開示は、電気解剖学的マッピングシステムで使用するように構成された装置をさらに含む。例えば、そのような装置の1つは、真空源に結合され、柔軟な組織を凝固させるように構成された治療装置を含む。外科用器具は、側壁およびルーメンからなる長尺状部材であって、ルーメンが真空源に流体的に結合可能である、長尺状部材と、長尺状部材内の側壁に隣接する組織加熱要素と、側壁を通してルーメンと連通するとともに組織加熱要素を露出させる開口部であって、組織加熱要素が組織に対して配置されたときに、組織加熱要素が開口部で柔軟な組織を凝固させるように、組織加熱要素が開口部内に配置されている、開口部と、長尺状部材上に配置される少なくとも1つの第1のナビゲーション要素であって、第1のナビゲーション要素は、電気解剖学的マッピングシステムにおいて長尺状部材の少なくとも一部を表す第1の仮想画像を生成するように構成されている、第1のナビゲーション要素と、ハウジングに対して要素を露出させる側壁の開口部の配向を表す第2の仮想画像を生成するように構成されている少なくとも1つの第2のナビゲーション要素とを備える。
【0019】
外科用器具の一変形例は、側壁が、真空源からの真空の適用時に組織に対してシールを形成するように柔軟な組織に適合するように可撓性を備え、これにより、真空は開口部内に組織を張引し、組織加熱要素が開口部からずれるように組織を組織加熱要素に接触させることを含み得る。
【0020】
本明細書に記載された装置と組み合わせて使用され得る凝固装置の例は、病変を作成するためのものを含む、共通に付与された特許に開示されている。2002年6月14日に出願され、2005年5月17日に発行された米国特許第6893442号明細書;2005年3月30日に出願され、2008年8月12日に発行された米国特許第7410487号明細書;2008年6月6日に出願され、2017年3月28日に発行された米国特許第9603657号明細書;2003年4月29日に出願され、2006年6月20日に発行された米国特許第7063698号明細書;2006年5月12日に出願され、2010年8月24日に発行された米国特許第7780661号明細書;2006年5月12日に出願され、2010年7月20日に発行された米国特許第7758578号明細書;2006年5月23日に出願され、2010年9月28日に発行された米国特許第7803155号明細書;2010年6月22日に出願され、2017年3月28日に発行された米国特許第9603658号明細書;2010年8月6日に出願され、2014年10月14日に発行された米国特許第8858552号明細書;2005年8月18日に出願され、2009年8月11日に発行された米国特許第7572257号明細書;2009年6月16日に出願され、2011年10月11日に発行された米国特許第8034053号明細書;2006年4月21日に出願され、2013年7月19日に発行された米国特許第5320065号明細書;2006年4月21日に出願され、2015年4月7日に発行された米国特許第8998900号明細書;2006年11月9日に出願され、2012年8月3日に発行された米国特許第5054116号明細書;2006年11月9日に出願され、2016年9月13日に発行された米国特許第9439714号明細書;2007年4月19日に出願され、2017年11月7日に発行された米国特許第9808280号明細書;2007年4月19日に出願され、2012年8月7日に発行された米国特許第8235990号明細書;2012年2月3日に出願され、2013年6月4日に発行された米国特許第8454598号明細書;および2013年5月30日に出願され、2016年4月12日に発行された米国特許第9308042号明細書が挙げられる。本明細書に記載された装置と組み合わせて使用することができる凝固装置の例は、米国特許出願公開の明細書にも記載されている。2016年10月26日に出願され、2017年2月16日に公開された米国特許出願公開第20170042612号明細書;2015年5月8日に出願され、2015年9月10日に公開された米国特許出願公開第20150250538号明細書;2011年10月10日に出願され、2012年7月12日に公開された米国特許出願公開第20120179150号明細書;2015年2月27日に出願され、2015年9月24日に公開された米国特許出願公開第20150265338号明細書;2006年11月9日に出願され、2008年5月15日に公開された米国特許出願公開第20080114355号明細書;2016年9月8日に出願され、2017年8月3日に公開された米国特許出願公開第20170215942号明細書;2017年10月5日に出願され、2018年2月1日に公開された米国特許出願公開第20180028225号明細書;および2016年4月8日に出願され、2016年8月4日に公開された米国特許出願公開第20160220306号明細書が挙げられる。各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、組織の領域にアクセスするための医療システムの変形例を示す。
【
図2A】
図2Aは、本明細書に開示されるようなシステムの軸体の変形例を示す。
【
図2B】
図2Bは、軸体がその長手部分に沿って変化する特性および構造を有する、本明細書で議論されるような構造を有する軸体の別の変形例を示す。
【
図3A】
図3Aは、単一平面内の遠位部分の双方向操舵部を備える軸体の内部構造を実証する目的で、軸体の遠位部分の例を示す。
【
図3B】
図3Bは、単一平面内の遠位部分の双方向操舵部を備える軸体の内部構造を実証する目的で、軸体の遠位部分の例を示す。
【
図3C】
図3Cは、軸体の異なる部分に必要とされる異なる曲げ特性を提供するスロット付きチューブの例を示す。
【
図3D】
図3Dは、軸体の異なる部分に必要とされる異なる曲げ特性を提供するスロット付きチューブの例を示す。
【
図4A】
図4Aは、軸体の遠位端に配置された作業部分(例えば、アブレーションアセンブリ)を備える、本明細書に記載されるような軸体を有する医療システムの別の変形例を示す。
【
図4B】
図4Bは、単一平面内の双方向操舵部を備える軸体の作業部分および遠位部分を示す。
【
図4C】
図4Cは、本明細書に記載されたアブレーション装置のアブレーション構成要素の変形例を示す。
【
図4D】
図4Dは、本明細書に記載されたアブレーション装置のアブレーション構成要素の変形例を示す。
【
図4E】
図4Eは、本明細書に記載されたアブレーション装置のアブレーション構成要素の変形例を示す。
【
図5A】
図5Aは、アブレーション装置と組み合わせて使用するためのハンドルの背面図を示す。
【
図5B】
図5Bは、図示のためにハンドルアセンブリを取り外した状態での操舵アクチュエータの要素の一例を示す。
【
図5C】
図5Cは、図示のためにハンドルアセンブリを取り外した状態での操舵アクチュエータの要素の一例を示す。
【
図5D】
図5Dは、図示のためにハンドルアセンブリを取り外した状態での操舵アクチュエータの要素の一例を示す。
【
図6A】
図6Aは、本開示のアクセス装置で使用するための様々な拡張器の構成要素を例示する。
【
図6B】
図6Bは、本開示のアクセス装置で使用するための様々な拡張器の構成要素を例示する。
【
図6C】
図6Cは、本開示のアクセス装置で使用するための様々な拡張器の構成要素を例示する。
【
図6D】
図6Dは、本開示のアクセス装置で使用するための様々な拡張器の構成要素を例示する。
【
図6E】
図6Eは、本開示のアクセス装置で使用するための様々な拡張器の構成要素を例示する。
【
図6F】
図6Fは、本開示のアクセス装置で使用するための様々な拡張器の構成要素を例示する。
【
図7A】
図7Aおよび
図7Bは、リング電極露出が、電気解剖学的マッピングシステムにおけるナビゲーション要素として電極がどのように観察されるかに影響を与える、リング電極露出の異なる構成を図示している。
【
図7B】
図7Aおよび
図7Bは、リング電極露出が、電気解剖学的マッピングシステムにおけるナビゲーション要素として電極がどのように観察されるかに影響を与える、リング電極露出の異なる構成を図示している。
【
図8A】
図8Aおよび
図8Bは、
図7Aおよび7Bに示されているのと同様の、装置の仮想位置および装置の治療面(例えば、電極)の配向を示すように構成されたナビゲーション電極を有する、アブレーション装置の一変形を例示する。
【
図8B】
図8Aおよび
図8Bは、
図7Aおよび
図7Bに示されているのと同様の、装置の仮想位置および装置の治療面(例えば、電極)の配向を示すように構成されたナビゲーション電極を備える、アブレーション装置の一変形を例示する。
【
図9】
図9は、位置および配向を判定するために使用されるナビゲーション電極の表現を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
組織へのアクセスを提供し、かつ/または組織を治療するための方法および装置が本明細書に開示されている。装置および方法は、低侵襲手術または開放外科処置に適している。本明細書に開示される方法および装置は、図示の目的のために心臓組織の治療について論じている。しかしながら、方法および装置は、組織が処置される任意の応用に適用することができる(例えば、加熱、冷却、機械的なモードを含むこれらのモードを介して)。
【0023】
本明細書に記載された装置により、心臓表面上に心臓病変パターンを形成可能である。しかしながら、方法および技法は、心臓以外の治療にも適用可能である。本明細書に記載された装置、方法、および手順の変形例は、可能な限り、様々な実施形態の要素の組み合わせ、または実施形態自体の組み合わせを含む。
【0024】
図1は、組織の領域にアクセスするための医療システム100の変形例を示す。図示の変形例では、医療システム100は、アブレーション装置または他の医療治療/撮像/検知装置などの二次的装置150のためのアクセス装置として機能する。これに代えて、後述するように、医療システム100は、医療システム100自体が医療治療/撮像/検知を実行するように、医療システム100の遠位端上に1つ以上の作動要素を含むことができる。
【0025】
図1に示す変形例に係るシステム100は、アクチュエータ104を有するハンドル102を備える。以下で詳細に後述するように、アクチュエータ104により、軸体120の遠位端122の方向の操舵が可能である。図示しないが、アクチュエータ104は、軸体120の遠位端122を所望の方向に配向するか、または関節運動させることができる任意の数の操舵機構または部材を採用することができる。そのような機構は、1つ以上の操舵ワイヤ、管状部材などを含むことができるが、これらに限定されない。システム100のハンドル102はまた、遠位端122を所望の位置に維持する(または遠位端122に隣接する軸体120の遠位部分を所望の円弧状プロフィールに維持する)ロック機構108を備えることができる。
【0026】
図2Aは、本明細書に開示されるようなシステム100の軸体120の変形例を示す。この変形例では、軸体は、軸体
120の遠位端122に隣接する遠位部分130を構成する。本明細書に記載されているように、軸体
120の遠位部分130は、システムハンドル102のアクチュエータ(
図2Aには示されていない)に結合されており、これは、遠位端122および/または遠位部分130の動きまたは操向を制御する。軸体
120はまた、遠位部分130から近位側に間隔をあけて配置される可撓性を備えた部分132を含む。可撓性部分132により、ユーザはハンドル102を使用してシステム100を操作することができ、そのような操作により、最終的に軸体の遠位端122が配向される。例えば、
図2Aに示す例示的な実施例では、軸体120の遠位部分130は、線10を含む平面内で双方向に移動するように構成される。この双方向の移動により、遠位端122は、線10によって画定される平面内で角度Aをなして移動することができる。軸体120の可撓性部分132は、線12を含む平面内で撓むように構成される。したがって、可撓性部分132は、
図2Aに示すプロファイルを想定して、角度Bによって示すように撓むことができる。この変形例では、線10は線12に直交し、これは、アクチュエータ(図示しない)が遠位部分130の偏向を操作できることを意味し、ここで、遠位部分の偏向は線10を含む第1の平面に限定され、一方、軸体の可撓性部分132は線12を含む第2の平面にて屈曲されることに限定され、ここで、第2の平面は第1の平面に直交している。システム100の代替的な変形例では、第1の平面および第2の平面は非直交であることができる。
【0027】
図2Aに示す構成の1つの利点は、システム100の遠位端122を、隣接する組織構造が対向する力を提供する必要なく、組織表面に適用することができることにある。例えば、心臓装置が心膜内で心房表面に進められるときに、本明細書に記載された構成を有する装置は、隣接する心膜からの支持を必要とすることなく心房表面に係合することができる。操作者は、装置の遠位端および遠位部分を組織の所望の領域に案内し、装置のハンドル102を使用して遠位端122にトルクまたは下向きの力を加えることができる。
図2Aはまた、軸体120が、中間領域または可撓性領域132よりも可撓性の低い第3の領域または近位領域134を有するものとして例示する。
【0028】
図2Bは、軸体120がその長さに沿って変化する特性および構造を有する、本明細書で議論されるような構造を有する軸体120の別の変形例を示す。例えば、軸体120の曲げ剛性は、近位方向から遠位方向に変化するか、または減少し得る。そのような構成により、最も可撓性の低い近位部分134と、近位部分よりも可撓性の高い中間部分または可撓性部分132と、最も可撓性が高いが、軸体の他の部分が撓むことができる平面とは異なる方向または平面にのみ撓む、偏向可能な遠位部分130とが得られる。
【0029】
図3Aは、単一平面内での遠位部分130の双方向操舵を有する軸体120の内部構造の一例を実証する目的で、軸体120の遠位部分130の一例を示す。この変形例では、軸体120は、軸体120を形成する構成要素をより良く示すために、透明なポリマーから構成される。明らかに、他のポリマーが本開示の範囲内にある。軸体120がアクセス装置の一部であるこれらの変形例では、遠位部分130の遠位端122は、柔軟なチップ構造体を含むことができる。柔軟なチップは、近位部分および遠位部分からの特性を混合するために、これらまたは他の構成要素への複数の変更から構成されてもよいことも理解されよう。
【0030】
図示のように、軸体120は、ポリマー内のスロット付きチューブ140の構造体と、スロット付きチューブ140の周囲に配置された網組または包囲ワイヤ136(例えば、ステンレス鋼網組)とから構成される。カテーテル技術に使用される他の構造が、本開示のシースの範囲内に組み込むことができる。
【0031】
図3Aおよび
図3Bはまた、軸体120の遠位先端122の近傍に結合された操舵部材106の変形例を示す。操舵部材106は、アクチュエータ(
図3Aには示されていない)と遠位部分130との間で結合され得る。任意の数の操舵部材106を使用することができるが、本変形形態では、軸体120の両側に配置された2つの操舵部材106を使用する。操舵部材106は、チューブ140の1つ以上の部分に貼着されるプル/プッシュワイヤとして機能することができる。
【0032】
図3Cは、
図3Aおよび
図3Bのスロット付きチューブ140の部分的な上面図を示す。図示のように、スロット付きチューブ140は、異なる構成を有する複数の領域を含むことができ、ここで、各領域は、上述したように、軸体上の領域に対応する。例えば、軸体の遠位領域130は、上述したように、遠位部分130の平面内での双方向の操舵を可能にする一連の切り欠き136を有する、スロット付きチューブ140内の領域に対応する。図示のように、軸体の可撓性部分132は、複数の切り欠き138が、遠位部分が操向可能な第1の平面とは異なる平面内での可撓性領域132の偏向を可能にするような態様(例えば、切り欠き136と比較して90度回転された態様)で配向されているチューブ140内の領域に対応する。
図3Dは、対応する遠位部分130および中間(または可撓性)部分132における回転された切り欠き136および138をより良く図示するための、スロット付きチューブ140の側面図を示す。
【0033】
本明細書に記載されているように、軸体の構造は、軸体を通した真空、灌流、ガイドワイヤ、および電気的接続の使用に対応するために、1つまたは複数のルーメンを有する押し出しされたシリコーンを含むことができる。軸体の機械的特性および構造の変形例は、軸体ジャケットの変形例を変更することによって達成され得、軸体ジャケットは、複数の構成の複数の材料の妥協されたものであり得る。例えば、近位軸体部分の軸体ジャケットは、ステンレス鋼網組で覆われたPETライナーと、外側のポリオレフィン・ジャケットとから構成することができる。可撓性軸体部分は、ステンレス鋼網組と外側のポリオレフィン・ジャケットとを含むことができる。偏向可能な遠位部分は、ポリオレフィン、編組、またはPETライナーを含まずに、シリコーン単独で構成してもよい。繰り返しになるが、装置の構造は様々であり、議論された例は、軸体の可能性のある構造の一つを示すことを意図している。
【0034】
図4Aは、上述したように軸体120を有する医療システム100の別の変形例を例示している。しかしながら、
図4Aに示す変形例は、軸体120の遠位端122に配置された作業部分152を含む。この変形例では、作業部分152は、上述した共通に付与された特許出願に記載されたものと同様のアブレーションハウジングを構成する。図示のように、アブレーション部材152の作業面156は、軸体120の遠位部分130の移動面に対して直交する方向に露出している。
【0035】
図4Bは、
図4Aの装置の部分的な底面図を示す。図示のように、軸体の遠位部分130は、上述したように、平面内の角度Aにより双方向に移動するように構成されている。これにより、作業面156およびそこに含まれるエネルギー伝達要素の位置決めが可能となる。
【0036】
図4Cは、
図4Aおよび
図4Bの装置のアブレーション構成要素152の変形例を示す。ここでも、装置の要素は、吸引ポッド170、アブレーション電極またはコイル172、ペーシングまたは心臓組織を検知するための電極174、およびナビゲーション電極180を有する操縦可能なアブレーションカテーテル/装置を含むことができる。
【0037】
遠位先端チップ部分152は、軸体120の長手部分に直交する全軸において可撓性を備え、ハンドル(
図4Cには示されていない)によって制御される双方向の操舵を含み得る。アブレーション電極172は、らせん形状であり得るが、他の形状が組織に係合するために使用されてもよい。アブレーション電極172は、白金-イリジウム、ステンレス鋼、銅、銀、金、および当該技術分野において周知の他の材料から形成される。
【0038】
図4Dは、アブレーション部材152のサブアセンブリにおける操舵構成の一例を図示している。図示のように、操舵部材106(プルワイヤまたはケーブルなど)は、弾丸ノーズ144に接続されたハイポチューブ142を通って延びることができ、これにより、偏向中にらせん状アブレーションコイル172を未変形の形状に維持する。弾丸ノーズ144は、電極および非外傷性先端チップとしても機能し得る。
図4Eは、らせん状アブレーション要素172の代替的な変形例を例示しており、ここで、要素172は、要素172の偏向中にコイルの変形を最小限にするスプライン176を含む。
【0039】
図5Aは、
図4Aに示すアブレーション装置と組み合わせて使用するためのハンドル102の背面図を示す。図示のように、ハンドル102は、遠位部分および/またはアブレーション要素(
図5Aにはどちらも示されていない)を偏向させる操舵アクチュエータ104を含むことができる。ハンドル102は、操舵アクチュエータ
104が解放されたとき、または直線形態に戻ったときに、操舵アクチュエータ(ひいては装置の遠位端)を所望の偏向位置に設定する操舵ロック108を含むことができる。ハンドル102はまた、ガイドワイヤ用の1つまたは複数のルーメン182、アブレーション中の熱調整のために生理食塩水または他の流体を供給する灌流ライン186(操舵可能なアブレーションカテーテル/装置のインターフェースとなる止血弁190を有するか否かを問わず)、装置の遠位端を通して吸引するための真空ライン188、装置を伝って追跡するためのガイドワイヤルーメン、および電極配線184を含むことができる。電極配線は、任意の構成において、ハイパワー(アブレーション)配線をペーシング/検知電極またはナビゲーション電極のための配線から分離してもよい。
【0040】
ハンドル102は、任意の数の構造体から構成することができる。図示の例では、ハンドルは、軸体の遠位端を双方向に作動させることが可能な操舵機構104を有する接合された半部から構成されている。
【0041】
図5Bおよび
図5Cは、図示の目的でハンドルアセンブリを取り外した状態での操舵アクチュエータ104の要素の一例を示す。操舵アクチュエータ104は、プルワイヤ内の張力を設定し、軸体が通過するための開放オリフィスを維持しながら作動(回転)させるなどの複数の機能を果たすことができる。プルワイヤ106内の張力を設定する1つの方法は、プルワイヤ106にバンジョーねじのような締結具112を取り付け、その後、操舵アクチュエータに対する締結具の回転を、プルワイヤの張力を確実に設定するための手段として使用することにある。この方法では、バンジョーねじは、近位方向から、近位ではあるが操舵アクチュエータに近接するまで、プルワイヤを伝って(ひずみ逃げで露出している)進められる。次いで、締結具は、はんだまたは当該技術分野において周知の他の手段を介してプルワイヤ106に固定される。固定された締結具は、次いで、操舵アクチュエータ104にセットされ(
図5Cに示すように)、適切な量の張力が適用されるまで回転され、次いで、操舵アクチュエータに押し込まれ、これにより、張力を設定し、操舵アクチュエータに対する締結具の相対的な位置をロックすることができる。締結具は、プルワイヤに張力を設定するための複数の回転を組み込むことができる。
図5Dは、軸体120に衝突することなく操舵アクチュエータ104の回転を可能にする開口部114を例示する操舵アクチュエータ
104のオフセット図を示す。
【0042】
図6Aは、
図1に示されるようにアクセス装置として使用される場合の、操舵可能なシースシステムの一部として含まれることができる拡張器要素200を図示している。シース拡張器200は、典型的には、ガイドワイヤまたは類似の構造体を伝って追跡することを可能にするガイドワイヤルーメンを有するとともに軸体の通路内に適合する操縦可能シースの取り外し可能な部分である。
【0043】
図6Aは、様々なサイズの一連の拡張器202乃至210からなる拡張器セット200の1つの変形例を示す。それぞれの場合において、拡張器202乃至210は、拡張器の直径に関係なく、組織の一貫した拡張または解剖を可能にする均一のテーパ状長手部分212を含むことができる。
【0044】
典型的には、本明細書に記載されるシステムで使用するための拡張器200は、中心軸に沿ったガイドワイヤルーメン、テーパ状/非外傷性ノーズコーン、可撓性を備えた軸体部分、および近位端上のロック要素を有する。
図6Bは、近位端にロックハブ220を有する非外傷性先端チップを有するさらなる拡張器200の変形例を図示している。装置の変形例では、ロックハブは、システムのハンドルと取り外し可能にロック可能である。ロック要素は、操縦可能な拡張器のノーズコーンが操縦可能なシースの遠位端から延びるように、操縦可能なシースのハンドルの近位端と係合する。典型的な使用では、操舵可能な拡張器は、使用前に操舵可能なシースに挿入されるとともにロックされる。次いで、ガイドワイヤが、遠位から近位方向に操舵可能な拡張器を通して供給される。操舵可能なシースシステム(シースおよび拡張器)は、続いて前進の間に、ノーズコーンが非外傷性要素として機能して、ワイヤを伝って体内に前進される。
【0045】
図6Cは、
図6Bの拡張器の複数の構成要素216を図示しており、これにより拡張器の屈曲または関節運動が可能となる。構成要素216は、図示のボールおよびソケット構造体のように、各構成要素216が隣接する構成要素とスナップする可撓性部分を形成する。これらの繰り返し部分の内部形状は、シースが曲がった形態にあるときにガイドワイヤを伝って追跡するように構成される。
図6Dは、
図6Cの構成要素の断面図を示しており、これは、拡張器の屈曲によっては妨げられないガイドワイヤ通路218を示している。既製の拡張器も使用されてもよ
い。
【0046】
図6Eおよび
図6Fは、システムで使用するためのさらなる拡張器200の構成要素を図示している。
図6Eは、ガイドワイヤルーメン(図示しない)、非外傷性ノーズコーン214、可撓性を備えた軸体222、およびハンドルの近位端に取り付けるための近位ロックハブ220を有する拡張器200を図示している。
図6Fは、らせん状に切断された軸体222を有する同様の拡張器を示す。2つの実施形態が図示されており、
図6Eの実施形態は、可撓性コイルを有する。
【0047】
上述したように、本開示の装置は、電気解剖学的マッピングシステム(例えば、米国カリフォルニア州Diamond Barに所在するBiosense社から販売されているCARTOマッピングシステム)を用いて、関連付けられる装置の配向を遠隔で検知できるようにするナビゲーション電極180(
図4C)を含むことができる。図示された実施例では、ナビゲーション電極は、アブレーション装置に固定されて示されているが、ナビゲーション電極は、本明細書に記載された任意の装置上で使用することができる。例えば、ナビゲーション電極は、上述したアクセス装置の軸体に固定してもよい。
【0048】
ナビゲーション電極は、
図4Cに示すように、アブレーション先端チップを包囲することができる。しかし、代替的変形例では、軸体または装置を包囲しない電極を含んでもよい。
図7Aおよび
図7Bは、リング電極露出の異なる構成を示す。位置電極(240、242、244、246、248、および250)は、電気的な「中心」または「重心」がリングの幾何学的な中心にあるように、周方向に対称であり得る。配向電極(244,246)は、電気的な「中心」または「重心」がリングの幾何学的な中心と一致しないように、周方向に非対称であり得る。例えば、構成1では、リング244および246は、エネルギー送達の方向に向かっている電極の電気信号/位置を生成する。逆に、構成2では、リング244は、エネルギー送達から離れる方向の電極についての電気信号/位置を有し、一方、リング246は、エネルギー送達方向の電極についての電気信号/位置を有する。
【0049】
ナビゲーション電極を装置上の特定の構造体に配置することにより、マッピングソフトウェア内で「仮想装置」を作成することが可能となり、これにより、組織(または「仮想組織」)に対する装置の相対的位置が分かる。マッピングソフトウェアからの電圧場は、検知された電極信号に基づいて電極位置を三角測量することができる。複数の電極信号を組み合わせることにより、「仮想カテーテル」または「仮想装置」を生成することができる。本明細書に記載された方法および装置は、カテーテルの位置を検知するのみならず、装置の配向を検知するためにこれらの技術を使用し、これにより、ユーザが装置からのエネルギー送達の方向を常に認識できるようにする。
【0050】
図8Aは、
図7Aおよび
図7Bに示されているものと同様に、アブレーション装置258の仮想位置および電極の配向を示すように構成されているナビゲーション電極を有するアブレーション装置258の一変形例を示す。この変形例では、リング電極が装置上に配置され、電極240、242、244、246、248、および250が、
図8Bに示すように、「仮想カテーテル」を生成し、電極240、242、244、246、248、および250は図示のように仮想的に表される。電極244および246は、ユーザが電極の方向性を識別することを可能にするマッピングソフトウェア内での仮想的な表現を提供する(
図8Aの下の図)。この例では、電極240、242、および250は、
図8Bに示す仮想カテーテル270を生成する。この仮想カテーテル
270により、ユーザはマッピングソフトウェアを使用して装置の位置を判定することができる。ナビゲーション電極244および246は、装置の配向を判定する仮想インジケータ272を生成する。この仮想方向により、ユーザは、コイル/電極からのコイル方向、すなわちエネルギー送達の方向を識別することができる。仮想カテーテルは、ソフトウェア内で任意のサイズであるように定義することができるので、仮想インジケータ272が仮想カテーテル270から外れた電極を有するように見えるのが典型的であることに注意されたい。これは、仮想インジケータ272の配向を見やすくするために望ましい。
図8Aの電極248は、
図8Bの仮想表現のこの変形例では使用されない。
【0051】
仮想カテーテル270を生成するために、例えばリング電極を電界から絶縁するためのシリコーンがないように、電極リングは完全に露出している。リング電極の重心の位置は、ソフトウェアによって決定され、仮想カテーテルとして表現される。最終的な効果は、仮想カテーテル270が、3つのリング電極の中心線に対応する正確な位置決めを有することである。このカテーテルは、多数の電極構成を含み得る。
【0052】
仮想インジケータ272を生成するために、電極リングは部分的に露出しており、これは、シリコーンが電気信号の一部を絶縁することを意味する。上記の例では、リング3が装置のコイル側(図の上側)に露出し、リング4が装置の背側に露出している。最終的な効果は、リング電極4の位置が装置の露出した背側に偏っており、電極3の位置が装置の露出したコイル側に偏っており、これにより仮想インジケータ272が生成される。
【0053】
図9は、位置および配向を判定するために使用されるナビゲーション電極の表現を示す。この設定では、装置256は、導電性タンク内に配置され、電圧場にさらされた。次いで、電極からの信号は、心臓マッピングソフトウェアを使用して読み取られた。続いて、第2の市販の診断用カテーテルが、エネルギー送達カテーテル256のコイル/方向に近接するようにタンク内に配置された。
【0054】
心臓マッピングソフトウェアを使用して、仮想カテーテルを可視化した。診断カテーテル258に対するアブレーション装置256の位置は、アブレーションカテーテル256を表す仮想カテーテル270および診断カテーテル258を表す仮想装置274によって示される。装置の配向およびエネルギー送達の方向は、遠位の仮想電極が市販のカテーテルに向けられている仮想インジケータ272によって検証される。
【0055】
追加の変形例では、追加の仮想インジケータを生成するために、追加の電極を使用することができる。例えば、追加の電極248(例えば、
図8Aの)を電極246と組み合わせて使用して別の仮想インジケータを生成する場合、これらの2つの仮想インジケータによって形成された「V」の開放方向に常にエネルギーが印加されていることをユーザに知らせることが可能であろう。明らかに、仮想カテーテルおよび/または仮想インジケータの配向は、装置上の代替電極設計によって調整することができる。