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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A45D33/00 615B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021002063
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107235
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】柳谷 梢太
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-155907(JP,U)
【文献】特開2000-175734(JP,A)
【文献】実開昭61-184510(JP,U)
【文献】実開昭59-027006(JP,U)
【文献】特開2015-051192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0275759(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0040012(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00,34/00,40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体が連結されたケース本体であって、前記ケース本体の一部の領域または全体の領域の外縁となる本体壁部を有する前記ケース本体に取り付けられる容器であって、
前記本体壁部が外縁となる領域の内側に位置し、化粧料を収容する凹部を形成する容器壁部と、
前記容器壁部から前記凹部の外側へ張り出している張出部と、
前記張出部の外縁から延出しており、前記本体壁部の外側面に当接する爪部と、
を備え、
前記爪部のうち少なくとも1つは前記ケース本体の外側面である前記本体壁部の外側面に当接する、容器。
【請求項2】
前記容器壁部は、互いに対向する2つの壁部を含み
記2つの壁部はそれぞれ前記爪部を備える、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器は、前記凹部の深さ方向に直交する軸を対称軸として線対称である、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記本体壁部は、部分的に厚みが薄い薄肉部を有し、
前記爪部は前記薄肉部の外側面に当接する、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記容器壁部は、互いに対向する2つの壁部を含み、
前記2つの壁部の一方が前記爪部を備え、他方が前記爪部を備えない、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の容器、前記ケース本体および前記蓋体を備える、化粧料ケース。
【請求項7】
複数の前記容器を備える、請求項6に記載の化粧料ケース。
【請求項8】
前記本体壁部の高さ方向における両側に前記本体壁部に囲まれる開口が形成されている、請求項6または7に記載の化粧料ケース。
【請求項9】
前記ケース本体は本体底部を有し、前記本体壁部は前記本体底部から立設されており、
前記容器は容器底部を有し、前記容器壁部は前記容器底部から立設されており、
前記凹部の深さ方向での前記張出部から前記容器底部の外面までの長さは、前記本体壁部の前記本体底部からの高さの半分以下である、請求項6または7に記載の化粧料ケース。
【請求項10】
前記ケース本体は本体底部を有し、前記本体壁部は前記本体底部から立設されており、
前記容器は容器底部を有し、前記容器壁部は前記容器底部から立設されており、
前記本体底部と前記容器底部との間に空間が確保されている、請求項6または7に記載の化粧料ケース。
【請求項11】
前記ケース本体は、塗布具を収納する塗布具収納領域、および前記容器を収納する容器収納領域を有し、
前記本体壁部は、前記塗布具収納領域と前記容器収納領域を仕切る仕切り板を含む、請求項6~10のいずれか一項に記載の化粧料ケース。
【請求項12】
複数の前記爪部は、前記仕切り板の前記塗布具収納領域の側面に当接し、前記仕切り板の長手方向において離間して位置するように形成されており、複数の前記爪部が離間している領域に前記塗布具の柄部が位置する、請求項11に記載の化粧料ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧用コンパクトケースが広く用いられている。ある種の化粧用コンパクトケースは、化粧料を収容する中皿(容器)および化粧料の塗布具を収容する塗布具収容部を有するケース本体と、ケース本体に対して開閉可能に取り付けられた蓋体とを備える。使用者は、化粧用コンパクトケースを開き、塗布具を塗布具収容部から取り出し、塗布具で中皿に収容された化粧料を擦り取り、塗布具を目的の部位に当てることにより、化粧料を塗布する。
【0003】
ある種の化粧用コンパクトケースでは、上記の中皿は、接着剤または両面テープなどによりケース本体に取り付けられる。また、他の種の化粧用コンパクトケースでは、中皿が突起または凹部を有し、当該突起または凹部がケース本体に嵌合することにより中皿がケース本体に着脱可能に取り付けられる。かかる構成によれば、中皿が取り換え可能となるので、化粧用コンパクトケースを繰り返し使用することができる。このような嵌合により中皿がケース本体に取り付けられる化粧用コンパクトケースを開示する文献としては、例えば以下の特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-269218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、嵌合により中皿をケース本体に取り付けるためには、中皿にだけでなく、ケース本体にも嵌合のための突起または凹部のような構造が必要になり得る。または、別パーツの追加により嵌合が実現されることもある。
【0006】
本発明は、ケース本体への取り付けが簡素な構成で実現される容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点は、蓋体が連結されたケース本体であって、前記ケース本体の一部の領域または全体の領域の外縁となる本体壁部を有する前記ケース本体に取り付けられる容器であって、前記本体壁部が外縁となる領域の内側に位置し、化粧料を収容する凹部を形成する容器壁部と、前記容器壁部から前記凹部の外側へ張り出している張出部と、前記張出部の外縁から延出しており、前記本体壁部の外側面に当接する爪部と、を備える、容器に関する。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明の容器によれば、ケース本体への取り付けを簡素な構成で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による化粧用コンパクトケース10の構成を示す斜視図である。
図2】ケース本体20の構成を示す斜視図である。
図3】中皿容器30の構成を示す斜視図である。
図4図1に示したI-I線断面を示す説明図である。
図5】塗布具40を塗布具収容領域26に収容しているケース本体20および中皿容器30の平面図である。
図6】第2の変形例による中皿容器30-2およびケース本体20の断面図である。
図7】中皿容器30のさらなる変形例を示す説明図である。
図8】中皿容器30のさらなる変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<化粧用コンパクトケースの構成>
本発明の実施形態は、化粧料を収容する化粧料ケースとして用いられる化粧用コンパクトケースに関する。まず、図1を参照し、本発明の実施形態による化粧用コンパクトケースの構成を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による化粧用コンパクトケース10の斜視図である。図1および図2に示したように、本発明の実施形態による化粧用コンパクトケース10は、ケース本体20、中皿容器30および蓋体50を備える。
【0013】
ケース本体20は、1または2以上の中皿容器30を収容する。中皿容器30は、化粧料Cを収容する容器の一例である。中皿容器30に収容される化粧料Cは、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、口紅またはチーク等が挙げられる。また、ケース本体20は、化粧料を塗布するための塗布具が置かれる塗布具収容領域26を有する。使用者は、塗布具収容領域26に収容された化粧料を塗布具で擦り取り、化粧料が付着した塗布具を目的の部位に当てることにより、化粧料を塗布する。
【0014】
蓋体50は、ケース本体20に連結される。例えば、蓋体50は、図1に示した回転軸L周りにケース本体20に対して回転可能である。蓋体50が回転軸L周りにケース本体20に対して回転することにより、ケース本体20が開閉される。なお、蓋体50およびケース本体20は、回転軸Lに沿って設けられた穴をそれぞれ有し、双方の穴にピンが挿入されることで連結されてもよいし、蓋体50とケース本体20が直接連結されてもよい。
【0015】
なお、本明細書においては、回転軸Lと平行な方向を幅方向と称し、ケース本体20の厚み方向を上下方向と称し、幅方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する場合がある。
【0016】
本発明の一実施形態による化粧用コンパクトケース10では、中皿容器30の着脱が容易であり、パーツ数の増加を抑制可能であり、ケース本体20には既存の製品を使用可能である。以下、このような本発明の一実施形態による化粧用コンパクトケース10の構成をより詳細に説明する。
【0017】
<ケース本体20の構成>
図2は、ケース本体20の構成を示す斜視図である。図2に示したように、ケース本体20は、本体底部21、一対の本体側壁22(本体側壁22aおよび本体側壁22b)、本体前壁23、本体後壁24および仕切り板25を有する。
【0018】
本体底部21は、ケース本体20の底部を構成する部分である。より具体的には、本体底部21は、塗布具収容領域26の底部を構成する塗布具収容領域底部21aと、中皿容器30を収容する容器収容領域27の底部を構成する容器収容領域底部21bを含む。
【0019】
一対の本体側壁22、本体前壁23、本体後壁24および仕切り板25は、本体底部21から立設されている。一対の本体側壁22は、互いに対向しており、前後方向に沿って形成されている本体側壁22aおよび本体側壁22bからなる。本体前壁23は、本体側壁22aの前側端部および本体側壁22bの前側端部を繋ぐように、幅方向に沿って形成されている。本体後壁24は、本体側壁22aの後側端部および本体側壁22bの後側端部を繋ぐように、幅方向に沿って形成されている。本体後壁24は、幅方向の中央付近に、厚みが薄い薄肉部24aを含む。
【0020】
仕切り板25は、本体前壁23および本体後壁24の間に位置し、本体側壁22aおよび本体側壁22bを繋ぐように幅方向に沿って形成されている。当該仕切り板25により、ケース本体20の収容空間が塗布具収容領域26、および容器収容領域27に仕切られる。仕切り板25と本体後壁24とは互いに対向して形成されており、また仕切り板25と本体前壁23とは互いに対向して形成されている。なお、本明細書では、容器収容領域27の外縁となる一対の本体側壁22の一部、本体後壁24および該仕切り板25を本体壁部と称する場合がある。
【0021】
<中皿容器30の構成>
図3は、中皿容器30の構成を示す斜視図である。図3に示したように、中皿容器30は、容器底部31、化粧料を収容する凹部を形成する容器壁部32、容器壁部32から凹部の外側へ張り出している張出部33、および張出部33の外縁から延出しており、本体壁部の外側面に当接する爪部34を有する。以下、各構成をより詳細に説明する。
【0022】
容器底部31は、中皿容器30の底部を構成する部分である。
【0023】
容器壁部32は、容器底部31から立設されている。容器壁部32は、化粧料を収容する凹部Sを形成する。中皿容器30がケース本体20に収容される際、容器壁部32は、ケース本体20の容器収容領域27の内側に位置する。このような容器壁部32は、一対の容器側壁32aおよび32b、容器前壁32cおよび容器後壁32dを含む。一対の容器側壁32aおよび32bは、前後方向に沿って形成されている。容器前壁32cは、容器側壁32aおよび32bの前側の端部を繋ぐように幅方向に沿って形成されている。容器後壁32dは、容器側壁32aおよび32bの後側の端部を繋ぐように幅方向に沿って形成されている。
【0024】
張出部33は、容器壁部32の上端から凹部Sの外側へ張り出している。中皿容器30がケース本体20に収容される際、当該張出部33は本体壁部の上面に支持される。なお、張出部33は、容器壁部32の上端から、少なくとも後述する爪部34が形成される方向に張り出す。図3に示した例では、張出部33は、容器壁部32の上端から、爪部34が形成されている前方向および後方向の少なくとも2方向に張り出す。加えて、張出部33は、容器壁部32の上端から幅方向の1方向にも張り出すことで、計3方向に張り出してもよい。
【0025】
爪部34は、張出部33の外縁から下側に向かって延出している。図3では、互いに対向する容器前壁32cおよび容器後壁32dの各々から延出する2つの爪部34を示している。また、2つの爪部34は、幅方向における同一位置に形成されている。このため、図3に示した中皿容器30は、凹部Sの深さ方向である上下方向に直交する幅方向に沿い、中皿容器30の前後方向における中心を通る軸を対称軸として、線対称である。
【0026】
このような中皿容器30のケース本体20への取り付けについて、図4を参照して説明する。
【0027】
図4は、図1に示したI-I線断面を示す説明図である。図4に示したように、中皿容器30がケース本体20に取り付けられた状態においては、容器前壁32cおよび容器後壁32dなどの容器壁部32が、本体後壁24および仕切り板25などの本体壁部の内側に位置する。要するに、容器壁部32は、本体壁部が外縁となる領域の内側に位置する。また、中皿容器30の張出部33が本体後壁24および仕切り板25などの本体壁部の上面に支持される。容器底部31の下面は本体底部21の上面に支持されていてもよいし、容器底部31の下面と本体底部21の上面の間には隙間があってもよい。
【0028】
また、中皿容器30の爪部34が本体壁部の外側面(容器収容領域27に面さない側の側面)に当接する。本体壁部の外側面は、ケース本体20の外側面に必ずしも一致しない。図4に示した例では、一方の爪部34が仕切り板25の外側面に当接している。また、他方の爪部34が本体後壁24の薄肉部24aに当接している。ここで、爪部34は、外側に広がるように弾性変形しながら本体壁部の外側面に当接する。これにより、2つの爪部34が仕切り板25および本体後壁24の薄肉部24aを挟み込む力、または、爪部34と容器壁部32が仕切り板25および本体後壁24の薄肉部24aを挟み込む力が生じるので、中皿容器30がケース本体20から外れ難い。
【0029】
なお、中皿容器30がケース本体20に取り付けられた状態においても、中皿容器30の張出部33に隣接して、本体側壁22a、本体側壁22bおよび本体後壁24の上面で露出している部分が残る。蓋部50が閉じられる際には、蓋部50が本体側壁22a、本体側壁22bおよび本体後壁24の上面で露出している部分に当接することで、中皿容器30の張出部33が蓋部50の内側に収容される。
【0030】
<作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態では、爪部34が本体壁部に引っ掛かるように使用者が中皿容器30を容器収容領域27に入れることにより、中皿容器30がケース本体20に取り付けられる。また、使用者が爪部34を本体壁部から外すことにより、中皿容器30がケース本体20から取り外される。すなわち、本発明の一実施形態によれば、中皿容器30の着脱を容易に実現することが可能である。結果、使用者は、中皿容器30を取り外して中皿容器30から化粧料をとって使用し、中皿容器30をケース本体20に取り付け直すことも可能である。また、中皿容器30の交換が失敗し難く、使用者の手も汚れ難い。
【0031】
また、本発明の一実施形態によれば、ケース本体20側には中皿容器30の取り付けのための特別な構成を要しないので、ケース本体20には既存の製品を使用することが可能である。パーツ数の増加も抑えられるので、本発明の一実施形態はコスト面でも優れる。
【0032】
また、本発明の一実施形態による中皿容器30は、互いに対向する2つの壁部である容器前壁32cおよび容器後壁32dのうちの異なる壁部から延出する2つの爪部34を備える。かかる構成によれば、ケース本体20への中皿容器30の取り付けが安定し、中皿容器30のガタツキが抑制される。
【0033】
また、本発明の一実施形態による化粧用コンパクトケース10は、複数の中皿容器30を有する。従って、使用者は、好みの化粧料が収容された中皿容器30を組み合わせて使用することが可能である。例えば、化粧用コンパクトケース10は、図1に示したように2つの中皿容器30を有し、当該2つの中皿容器30は同一の構成であり、2つの中皿容器30を異なる向きで組み合わせて使用することができる。
【0034】
また、本発明の一実施形態によれば、使用者が塗布具を化粧用コンパクトケース10から容易に取り出すことが可能である。この点について、図5を参照してより詳細に説明する。図5は、塗布具40を塗布具収容領域26に収容しているケース本体20および中皿容器30の平面図である。図5に示したように、ケース本体20には2つの中皿容器30が並べて収容される。2つの中皿容器30の前側の爪部34は、仕切り板25の幅方向における一点鎖線の円で示した中央を避けて位置するように形成されている。かかる構成によれば、塗布具40の中央において前後方向に隙間が確保されるので、塗布具40の両端にチップまたはブラシのような塗布体が位置し、塗布具40の中央に柄部が位置する場合に、爪部34が邪魔にならず、使用者が塗布具40を容易に取り出すことが可能である。ただし、チップまたはブラシのような塗布体が片端にのみ存在する塗布具も考えられる。この場合、2つの中皿容器30の前側の爪部34は、必ずしも仕切り板25の幅方向における中央を避けて位置しなくてもよい。2つの中皿容器30の前側の爪部34は、仕切り板25の幅方向において互いに離間するように配置され、離間する領域に塗布具の柄部が位置していればよい。
【0035】
また、本発明の一実施形態によれば、中皿容器30は、幅方向に沿い、かつ、中皿容器30の前後方向における中心を通る軸を対称軸として、線対称である。このため、図5に示したように2つの中皿容器30をケース本体20に並べて取り付ける際に、同一の中皿容器30を使用することが可能である。従って、中皿容器30を製造するための金型は1つでよいので、製造コストの面で優れる。
【0036】
また、化粧品を展示する店舗においては、通常、化粧料のテスターを配置するためのテスター台が用意されるところ、本発明の一実施形態によれば、ワイヤーに爪部34を引っかけることで化粧料が収容された中皿容器30の展示を実現することも可能である。従って、テスター台の製造にかかる費用が削減される。また、テスター台に配置された化粧料と展示性の差別化を図ることも可能である。
【0037】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態を説明した。以下では、上述した実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で上述した実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで上述した実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、上述した実施形態の構成に代えて適用されてもよいし、上述した実施形態の構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0038】
(第1の変形例)
上述した実施形態では、容器収容領域27の底部を構成する容器収容領域底部21bが形成されていた。第1の変形例では、当該容器収容領域底部21bが形成されない。すなわち、第1の変形例では、本体後壁24および該仕切り板25などの本体壁部の高さ方向における両側(上側および下側)の双方に、本体壁部に囲まれる開口が形成される。このような第1の変形例では、本体壁部の上面に中皿容器30の張出部33が載ることで中皿容器30が支持される。
【0039】
かかる構成によれば、容器収容領域底部21bを形成するための樹脂の使用の削減することが可能である。また、中皿容器30の容器底部31の下面に化粧料の内容量および商品情報などを示す表示ラベルがある場合に、使用者は当該表示ラベルを化粧用コンパクトケース10の下面からいつでも確認することが可能である。
【0040】
(第2の変形例)
次に、図6を参照して、第2の変形例を説明する。
【0041】
図6は、第2の変形例による中皿容器30-2およびケース本体20の断面図である。図6に示したように、第2の変形例による中皿容器30-2と上述した実施形態による中皿容器30とでは、凹部の深さが異なる。具体的には、第2の変形例による中皿容器30-2の凹部の深さは、上述した実施形態による中皿容器30の深さよりも浅い。
【0042】
第2の変形例による中皿容器30-2の凹部の深さに関し、張出部33から容器底部31の下面(外面)までの長さd1は、例えば、本体底部21からの本体壁部の高さd2の半分以下であってもよい。
【0043】
かかる構成によれば、中皿容器30-2と本体底部21との間に空間が確保される。当該空間は、化粧料を収容する樹脂皿または塗布具40と種類の異なる塗布具などの収納空間として活用可能である。そして、使用者は、中皿容器30-2を着脱することにより、当該空間に収容された化粧料および塗布具などを使用することができる。
【0044】
(さらなる変形例)
以下では、さらなる変形例として、中皿容器30の形状の変形例を説明する。
【0045】
図7および図8は、中皿容器30のさらなる変形例を示す説明図である。図7には、第3の変形例による中皿容器30-3、および第4の変形例による中皿容器30-4を示している。上述した実施形態では、ケース本体20に複数の中皿容器30が取り付けられる例を説明したが、ケース本体20には1つの中皿容器30-3が取り付けられてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では平面視において中皿容器30の凹部の形状が略長方形であったが、平面視において凹部が他の形状を有する中皿容器がケース本体20に取り付けられてもよい。例えば、ケース本体20には、図7に示したように平面視における凹部の形状が略円形である中皿容器30-4が取り付けられてもよい。その他、凹部の形状は楕円形であってもよいし、半円系であってもよい。
【0047】
また、ケース本体20には、形状が異なる複数の中皿容器が取り付けられてもよい。また、複数の中皿容器が前後方向に沿って並べて取り付けられてもよい。例えば、図8に示したように、2つの第5の変形例による中皿容器30-5が幅方向に沿って並べられ、2つの第5の変形例による中皿容器30-5に対して前側に第6の変形例による中皿容器30-6が並べられてもよい。ケース本体20には、安定性の向上のために、中皿容器30-5と中皿容器30-6の間を仕切る板部が形成されていてもよい。第5の変形例による中皿容器30-5は後側にのみ爪部を有し、第6の変形例による中皿容器30-6は前側にのみ爪部を有する。なお、図8に示した2つの中皿容器30-5および中皿容器30-6は一体的に形成されていてもよい。
【0048】
<補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0049】
例えば、上記ではケース本体20に仕切り板25が設けられ、ケース本体20の領域が塗布具収容領域26と容器収容領域27に仕切られる例を説明したが、仕切り板25は設けられなくてもよい。この場合、ケース本体20の内側の領域の全体が容器収容領域27として機能し、一対の本体側壁22、本体前壁23および本体後壁24が本体壁部として当該容器収容領域27の外縁となる。
【0050】
また、上記では中皿容器30の1つの側には1つの爪部34が形成される例を説明したが、中皿容器30の1つの側に、複数の爪部34が形成されてもよい。爪部34の数が増えることにより、中皿容器30の支持の安定性が向上し得る。
【符号の説明】
【0051】
10 化粧用コンパクトケース
20 ケース本体
21 本体底部
22 本体側壁
23 本体前壁
24 本体後壁
25 仕切り板
30 中皿容器
31 容器底部
32 容器壁部
33 張出部
34 爪部
40 塗布具
50 蓋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8