IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-カメラ搭載構造 図1
  • 特許-カメラ搭載構造 図2
  • 特許-カメラ搭載構造 図3
  • 特許-カメラ搭載構造 図4
  • 特許-カメラ搭載構造 図5
  • 特許-カメラ搭載構造 図6
  • 特許-カメラ搭載構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】カメラ搭載構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/26 20220101AFI20240814BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B60R1/26 100
B60J5/10 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021022071
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124352
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】伊知地 紀公
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-111390(JP,A)
【文献】特開2021-160557(JP,A)
【文献】特開2001-111874(JP,A)
【文献】特開2006-171451(JP,A)
【文献】特開2007-286199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00 ; 1/26
B60R 11/00 - 11/06
B60J 5/10
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における車室外に向けて固定されると共に、前記車両に固定されることにより、前記車両の外側に向く外側面、及び前記車両の内側に向く内側面を備える支持部材と、
カメラを支持可能であると共に、前記カメラを前記支持部材に対して取り付けるための取付部と、
前記支持部材及び前記取付部の間に配置される止水部材と、を備えており、
前記支持部材を介して前記車両に前記カメラを搭載するものであり、
前記支持部材は、前記内側面及び前記外側面に亘って連通するカメラ開口部を有しており、
前記カメラ開口部は、前記取付部を前記支持部材に取り付ける際に、前記カメラを前記内側面から前記外側面に向けて嵌め込むことが可能であり、
前記取付部は、前記内側面に向けて突出するリブを有しており、
前記リブは、前記取付部を前記支持部材に取り付けた状態において、前記止水部材が、前記カメラ開口部の内側方向に向けて移動することを抑制するものであり、
前記リブが、前記支持部材への取り付け状態において、前記支持部材の内側面に向けて突出形成される共に、前記リブにおける先端側から基端側に向かって厚みが増大する傾斜部を有すること、を特徴とするカメラ搭載構造。
【請求項2】
車両における車室外に向けて固定されると共に、前記車両に固定されることにより、前記車両の外側に向く外側面、及び前記車両の内側に向く内側面を備える支持部材と、
カメラを支持可能であると共に、前記カメラを前記支持部材に対して取り付けるための取付部と、
前記支持部材及び前記取付部の間に配置される止水部材と、を備えており、
前記支持部材を介して前記車両に前記カメラを搭載するものであり、
前記支持部材は、前記内側面及び前記外側面に亘って連通するカメラ開口部を有しており、
前記カメラ開口部は、前記取付部を前記支持部材に取り付ける際に、前記カメラを前記内側面から前記外側面に向けて嵌め込むことが可能であり、
前記取付部は、前記内側面に向けて突出するリブを有しており、
前記リブは、前記取付部を前記支持部材に取り付けた状態において、前記止水部材が、前記カメラ開口部の内側方向に向けて移動することを抑制するものであり、
前記リブが、前記支持部材への取り付け状態において、前記支持部材の内側面に向けて突出形成される共に、前記カメラ開口部を前記外側面から正面視した際に、手前側から奥側に向かうに連れて前記カメラ開口部の内側に向けて傾斜するように形成された傾斜部を有すること、を特徴とするカメラ搭載構造。
【請求項3】
車両における車室外に向けて固定されると共に、前記車両に固定されることにより、前記車両の外側に向く外側面、及び前記車両の内側に向く内側面を備える支持部材と、
カメラを支持可能であると共に、前記カメラを前記支持部材に対して取り付けるための取付部と、
前記支持部材及び前記取付部の間に配置される止水部材と、を備えており、
前記支持部材を介して前記車両に前記カメラを搭載するものであり、
前記支持部材は、前記内側面及び前記外側面に亘って連通するカメラ開口部を有しており、
前記カメラ開口部は、前記取付部を前記支持部材に取り付ける際に、前記カメラを前記内側面から前記外側面に向けて嵌め込むことが可能であり、
前記取付部は、前記内側面に向けて突出するリブを有しており、
前記リブは、前記取付部を前記支持部材に取り付けた状態において、前記止水部材が、前記カメラ開口部の内側方向に向けて移動することを抑制するものであり、
前記支持部材は、
前記内側面において前記カメラ開口部に対して外側に外れた位置に形成された被係合部を有するものであり、
前記取付部は、当該取付部の下端側に形成された係合部を有しており、
前記リブは、前記係合部の上位に配置されており、
前記止水部材は、前記取付部における前記リブの下方側に配置されており、
前記係合部を前記被係合部に係合させること、を特徴とするカメラ搭載構造。
【請求項4】
前記被係合部が、車両への搭載状態において上方に向けて形成されており、
前記係合部が、前記被係合部と向き合うように形成されていること、を特徴とする請求項に記載のカメラ搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両へのカメラ搭載構造に関する。車両に搭載されるバックハンドル等の部材へのカメラの搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、運転者を支援するための各種のカメラが搭載されている。前記カメラとして、例えば、車両のバックドアに搭載されるバックカメラが知られている。また、最近では、車両の意匠性を高めるために、バックドアハンドルの支持部材(インナーガーニッシュに相当)にバックカメラを内蔵させたバックドアハンドルが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-111390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したバックハンドルのように、車両のドアハンドルにカメラを搭載する場合は、ドアハンドルの支持部材にカメラを露出させるための開口を設ける必要がある。また、ドアハンドルの内部やカメラ等への水の侵入を抑制するために前記開口の周りを止水部材により封止する必要がある。
【0005】
ところで、前記開口の周りに止水部材を設ける場合は、止水部材が、前記開口の内側方向にはみ出す恐れがある。上述のように止水部材が、前記開口の内側方向にはみ出した場合は、車両の意匠を損ねる問題がある。かかる問題を解決するにあたり、止水部材を開口の外側方向に向けて押し込むことが考えられる。しかしながら、止水部材を押し込む場合は、止水部材が、押し込みの力に反して、めくれてずれる問題がある。また、止水部材を押し込むための部材が、前記開口から視認されることも考えられる。このように、車両の支持部材にカメラを搭載する場合は、止水部材による封止の構造や、外観の意匠性を考慮したカメラの搭載構造を検討する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、止水部材がめくれてずれることを抑制可能であると共に、止水部材が車外から視認されることを抑制可能な車両のカメラ搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明のカメラ搭載構造は、車両における車室外に向けて固定されると共に、前記車両に固定されることにより、前記車両の外側に向く外側面、及び前記車両の内側に向く内側面を備える支持部材と、カメラを支持可能であると共に、前記カメラを前記支持部材に対して取り付けるための取付部と、前記支持部材及び前記取付部の間に配置される止水部材と、を備えており、前記支持部材を介して前記車両に前記カメラを搭載するものであり、前記支持部材は、前記内側面及び前記外側面に亘って連通するカメラ開口部を有しており、前記カメラ開口部は、前記取付部を前記支持部材に取り付ける際に、前記カメラを前記内側面から前記外側面に向けて嵌め込むことが可能であり、前記取付部は、前記内側面に向けて突出するリブを有しており、前記リブは、前記取付部を前記支持部材に取り付けた状態において、前記止水部材が前記カメラ開口部の内側方向に向けて移動することを抑制すること、を特徴とするものである。
【0008】
上述したカメラ搭載構造は、カメラの取付部が、支持部材の内側面に向けて突出するリブを有しており、当該リブにより、止水部材がカメラ開口部の内側方向に向けて移動することを抑制している。すなわち、リブにより、止水部材がカメラ開口部の内側にはみ出すことを抑制している。従って、カメラ開口部の内側において、止水部材が視認されることを抑制できる。また、止水部材により、カメラ開口部から支持部材の内部に水が侵入することを抑制できる。ここで、リブは、支持部材におけるカメラ開口部から外側に外れる位置や支持部材におけるカメラ開口部と向き合う位置など、止水部材のカメラ開口部へのはみ出しを抑制可能な各所に配置することができる。また、リブの形状や取付部からの突出量は、止水部材の大きさや形状に合わせて適宜変更することができる。
【0009】
(2)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記リブが、前記支持部材への取り付け状態において、前記支持部材の内側面に向けて突出形成される共に、前記リブにおける先端側から基端側に向かって厚みが増大する傾斜部を有するとよい。
【0010】
かかる構成によれば、傾斜部によって、光が正面方向とは異なる方向に反射するので、リブが目立つことがない。これにより、車両の意匠性向上が期待できる。また、カメラ開口部に向けて水がかかっても傾斜方向に水を跳ね返すことができるので、カメラ開口部から支持部材の内部に水が侵入することを抑制できる。また、止水部材に水が直接的にかかることがないので、止水部材の劣化を抑制することができる。ここで、前記リブは、例えば、側面視した場合に、断面が三角形状を呈するようにするとよい。また、止水部材の材質は、ウレタンゴムなどの防水性を有する各種の素材のものを使用することができる。また、傾斜部の傾斜方向は、支持部材の搭載場所等に応じて、各種の方向とすることができる。
【0011】
(3)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記傾斜部が、前記カメラ開口部を前記外側面から正面視した際に、手前側から奥側に向かうに連れて前記カメラ開口部の内側に向けて傾斜するように形成されているとよい。
【0012】
かかる構成によれば、傾斜部の傾斜によって、光が正面方向と異なる方向(カメラ開口部の内側方向)に反射するので、リブが目立つことがない。これにより、車両の意匠性向上が期待できる。また、カメラ開口部に向けて、水がかかっても傾斜方向に水を跳ね返すことができるので、カメラ開口部から支持部材の内部に水が侵入することを抑制できる。また、止水部材に水が直接的にかかることがないので、止水部材の劣化を抑制することができる。ここで、前記リブは、例えば、側面視した場合に、断面が三角形状を呈するようにするとよい。また、傾斜部の傾斜角度は、車両に支持部材を搭載する場所に応じて、適宜、変更することができる。例えば、支持部材が傾斜した状態で車両に装着される場合は、その傾斜を加味して傾斜の角度を設定すればよい。
【0013】
(4)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記支持部材は、前記内側面において前記カメラ開口部に対して外側に外れた位置に形成された被係合部を有するものであり、前記取付部は、当該取付部の下端側に形成された係合部を有しており、前記リブは、前記係合部の上位に配置されており、前記止水部材は、前記取付部における前記リブの下方側に配置されており、前記係合部を前記被係合部に係合させるとよい。
【0014】
かかる構成によれば、係合部の被係合部への係合により、カメラの取付部を支持部材に固定することができる。これにより、確実にカメラを支持部材に固定することができ、カメラによる撮影精度を高めることができる。また、支持部材に新たにネジ穴を形成することなく、カメラを固定することができるので、省スペースでカメラを搭載することができる。これにより、支持部材の設計自由度の向上と意匠性向上が期待できる。また、係合部を被係合部に係合させる際に、リブによって止水部材を被係合部方向に押し込むことができる。これにより、止水部材が、被係合部からめくれて被係合部の上方側にずれることを抑制できる。また、止水部材が、カメラ開口部の内側方向にはみ出すことを抑制することができる。ここで、被係合部は、例えば、横長の溝として形成されているものや突出形成した支持アームの先端側を折り曲げ形成したものなど、係合部と係合させることが可能な各種の形状のものを採用できる。
【0015】
(5)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記被係合部が、車両への搭載状態において上方に向けて形成されており、前記係合部が、前記被係合部と向き合うように形成されているとよい。
【0016】
かかる構成によれば、上方から下方に向けて係合部を被係合部に係合させることができる。また、係合部の被係合部への嵌め込みと共に、リブによって、止水部材を被係合部方向に押し込むことができる。これにより、止水部材が、被係合部からめくれて被係合部の上方側にずれることを抑制できる。また、止水部材が、カメラ開口部からはみ出すことを抑制することができる。
【0017】
(6)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記被係合部が、前記車両の内側に向けて形成されており、前記係合部が、前記被係合部と向き合うように形成されているとよい。
【0018】
かかる構成によれば、カメラ開口部の形成面に対して、交差する方向に係合部と被係合部とを形成することができる。そのため、水が上下方向から侵入することを効果的に抑制することができる。ここで、係合部が被係合部と当接するようにすれば、より一層、水が支持部材の内部に侵入することを抑制できる。また、樹脂成型においてヒケを抑制するために設けられるヒケ抑制溝の被係合部としての利用が期待できる。これにより、カメラの搭載スペースの省スペース化が期待できる。
【0019】
(7)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記取付部が、前記係合部から外れた位置に支持部を有するものであり、前記支持部材が、前記支持部と向き合う位置に締結部を有するものであり、前記支持部及び前記締結部が、締結部材により締結されるとよい。
【0020】
かかる構成によれば、少なくとも2点で、カメラを支持部材に支持することができる。これにより、確実にカメラを支持部材に固定することができ、カメラによる撮影精度を高めることができる。ここで、支持部は、例えば、円形孔やU字形状の開口など各種の形状に形成することができる。また、締結部は、締結部材として例えば、ネジを用いる場合は、当該ネジを螺合させることが可能なネジ穴とすればよい。上述した、支持部、締結部、及び締結部材は、各種の形状やものを使用することができる。また、支持部は、係合部から外れた各種の位置に設けることができる。例えば、支持部が、カメラ開口部に対して上方に外れた位置に設けられるとよい。これにより、カメラの支持位置をより離間させることができるので、確実にカメラを支持することができ、カメラの撮影精度向上が期待できる。また、支持部や締結部は、一又は複数設けることができる。
【0021】
(8)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記支持部材が、前記車両のバックドアに搭載されるものであるとよい。
【0022】
かかる構成によれば、バックドアに設けられる後方撮影用カメラの止水性を高めることができる。また、支持部材を小型化できると共に、止水部材が車外から視認されないので、バックドアの意匠性を高めることが期待できる。
(9)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記支持部材が、ドアハンドルを操作可能に支持するものであり、前記カメラ開口部が、前記ドアハンドルから外れた位置に配置されているとよい。
【0023】
かかる構成によれば、ドアハンドル及びカメラを共通の支持部材で支持することができる。そのため、ドアハンドルと別途にカメラを搭載する場合に比べて、カメラを目立たなくすることができる。これにより、車両の意匠性向上が期待できる。ここで、カメラ開口部は、ドアハンドルと干渉しない各種の位置に配置することができる。
【0024】
(10)上述した本発明のカメラ搭載構造は、前記リブにおいて突出する先端側が、前記取付部の前記支持部材への取り付け状態において、前記支持部材の前記内側面に当接するとよい。
【0025】
かかる構成によれば、リブと、支持部材の内側面との間に隙間が形成されることを抑制できる。これにより、リブによる止水効果が得られるので、止水部材と併せて、より高い止水効果が期待できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、止水部材がめくれてずれることを抑制可能であると共に、止水部材が車外から視認されることを抑制可能な車両のカメラ搭載構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係るカメラ搭載構造が採用された車両を後方側から見た正面図である。
図2】本発明に係るカメラ搭載構造を採用する車両のドアハンドルの拡大正面図である。
図3図2のA-A方向矢視断面図である。
図4図3の要部拡大断面図である。
図5】本発明に係るカメラ搭載構造に用いられるカメラ及び取付部の拡大図である。
図6】本発明に係るカメラ搭載構造の変形例を表す正面図である。
図7図6のB-B方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係るカメラ搭載構造の一実施形態について、図1図5を参照しながら以下に詳細を説明する。本実施形態では、カメラ20が、車両1のバックドア2におけるドアハンドル10に搭載されている場合を例として説明する。
【0029】
図1は、車両1の後方側を正面視したものである。車両1は、上下に開閉が可能なバックドア2を有している。バックドア2は、本発明のカメラ搭載構造を採用するドアハンドル10と、後部窓3等を有している。
【0030】
図2及び図3に示すように、ドアハンドル10は、バックドア2に固定される支持部材11と、カメラ20を支持部材11に対して取り付けるための取付部22と、支持部材11及び取付部22の間に配置される止水部材30(図3参照)等を有している。また、本実施形態では、取付部22にカメラ20が搭載されている場合を例として説明する。
【0031】
支持部材11は、バックドア2の外側面(車両1の外側に向く面)に固定されるものである。従って、図3に示すように、支持部材11は、車両1に固定されることにより、車両1の外側に向く外側面R、及び車両1の内側に向く内側面Fを備えるものである。また、支持部材11は、樹脂を素材とし、射出成型等の樹脂成型により略矩形状に形成されている。そのため、支持部材11は、軽量に形成されている。なお、支持部材11は、樹脂以外の素材で形成されていてもよい。
【0032】
図2及び図3に示すように、支持部材11は、支持部材11の上半部分に設けられたハンドル操作部12と、ハンドル操作部12の左側下方(図2参照)に形成されたカメラ開口部13と、を有している。また、支持部材11は、内側面F(図3参照)に被係合部14及び締結部15が形成されている。
【0033】
ハンドル操作部12は、上端側が支持部材11に対して揺動機構(図示せず)により揺動可能に支持されており、操作者による操作が可能である。ハンドル操作部12を操作することにより、バックドア2を開閉することができる。ハンドル操作部12は、支持部材11と同様に樹脂成型により形成されている。そのため、ドアハンドル10は、軽量に形成されている。
【0034】
図3に示すように、カメラ開口部13は、支持部材11における内側面F及び外側面Rに亘って連通するように形成されている。また、カメラ開口部13は、後述するカメラ20よりも僅かに大きく形成されている。従って、支持部材11に対して、カメラ20を、内側面Fから外側面Rに向けて嵌め込むことが可能である。
【0035】
被係合部14は、支持部材11の内側面Fに横長の溝として形成されており、車両1への搭載状態において上方に向けて形成されている。また、被係合部14は、後述する取付部22の係合部23と向き合うように形成されている。なお、被係合部14は、例えば、内側面Fから取付部22に向けて支持アームを突出形成し、当該支持アームの先端を折り曲げ形成したものでもよい。かかる場合は、後述する係合部23を、前記支持アームの折り曲げ形成した部分に係合させればよい。
【0036】
締結部15は、支持部材11の内側面Fに、隆起するように形成されている。締結部15は、本実施形態では、ネジ16(締結部材16とも称する)を螺合させることが可能な雌ネジが形成されている。締結部15は、後述する取付部22の支持部24と、ネジ16により締結される。
【0037】
カメラ20は、本実施形態では、車両1の後方を撮影可能なバックカメラが用いられている。カメラ20は、例えば、車両1の駐車の際に車両1の後方を撮影することにより、運転者の支援を行うことができる。カメラ20は、箱状の支持枠を有しており、当該支持枠に撮影のためのレンズ21が設けられている。カメラ20の下面には、カメラ20を支持すると共に、支持部材11に対して取り付けるための取付部22が装着される。なお、本実施形態では、カメラ20を搭載する場合を例示するが、取付部22にカメラ20が搭載されていないものでもよい。
【0038】
取付部22は、支持部材11に取り付けた状態において、カメラ開口部13と向き合う位置にカメラ20を支持することができる。取付部22は、カメラ開口部13よりも大きく形成されている。また、取付部22は、カメラ20をカメラ開口部13に嵌め込んだ際に、カメラ開口部13の周囲の内側面Fと当接するものとされている。取付部22は、カメラ20をカメラ開口部13に嵌め込んだ際に、レンズ21が斜め下方を向くように折り曲げ形成されている。また、取付部22の下端側には、被係合部14と向き合うように下方側に突出した係合部23が形成されている。係合部23は、カメラ20をカメラ開口部13に嵌め込んだ際に、被係合部14に係合させることができる。
【0039】
また、取付部22は、上方側に延びるように形成された支持部24を有している。支持部24には、締結部15と向き合うように円形孔が形成されている。支持部24と締結部15とは、ネジ16により締結が可能である。すなわち、カメラ20は、支持部材11に対して、係合部23及び支持部24の少なくとも2点で支持される。これにより、確実にカメラ20を支持部材11に固定することができ、カメラ20による撮影精度を高めることができる。なお、上述した支持部24や締結部15の形状や大きさは、各種のものに変更することが可能である。例えば、支持部24は、円形孔ではなく、長孔やU字形状の切込みとしてもよい。また、締結部材16は、ネジだけではなく、係合ピン等を用いてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、支持部24が、カメラ開口部13に対して上方に外れた位置に設けられている。すなわち、取付部22の上端側に支持部24が設けられ、取付部22の下端側に係合部23が設けられている。これにより、カメラ20の支持位置を離間させることができるので、確実にカメラ20を支持することができ、カメラ20の撮影精度向上が期待できる。
【0041】
次に、取付部22に設けられるリブ26についての詳細を以下に説明する。図4に示すように、取付部22は、内側面Fに向けて突出するリブ26が形成されている。リブ26は、係合部23の上位に配置されている。また、リブ26は、支持部材11への取り付け状態において、先端側Tから基端側Bに向かって厚みが増大する傾斜部26aを有している。
【0042】
傾斜部26aは、カメラ開口部13を外側面Rから正面視した際に、手前側から奥側に向かうに連れてカメラ開口部13の内側に向けて傾斜するように形成されている。すなわち、傾斜部26aは、所定の角度を有する傾斜面を備えており、本実施形態では、リブ26は、側面視した場合に、断面が三角形状を呈するように形成されている。これにより、カメラ開口部13を正面視した場合に、傾斜部26aにおける傾斜面によって、光を正面方向とは異なる方向に反射させることができる。そのため、リブ26が目立つことを抑制できる。また、車両1の意匠性向上が期待できる。また、カメラ開口部13に向けて、水がかかっても傾斜方向に水を跳ね返すことができるので、カメラ開口部13から支持部材11の内部に水が侵入することを抑制できる。また、止水部材30に水が直接的にかかることがないので、止水部材30の劣化を抑制することができる。なお、傾斜部26aの傾斜方向は、支持部材11の搭載場所等に応じて、各種の方向とすることができる。
【0043】
また、傾斜部26aは、取付部22の支持部材11への取り付け状態において、先端側Tが支持部材11の内側面Fに当接している。そのため、リブ26と、支持部材11の内側面Fとの間に隙間が形成されることを抑制できる。これにより、リブ26による止水効果が得られるので、後述する止水部材30と併せて、より高い止水効果が期待できる。
【0044】
図3に示すように、本実施形態では、取付部22は、上方側に上方側リブ27が設けられている。上方側リブ27は、カメラ開口部13の上方側に位置し、カメラ開口部13を正面視した場合に視認されにくいよう、上述したリブ26と同様の構成を有している。上方側リブ27の構成は、上述したリブ26と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
次に、本発明のカメラ搭載構造に用いられる止水部材30について、以下に説明する。止水部材30は、例えば、ウレタンゴム等の防水性部材で形成されている。止水部材30は、例えば、多孔質で弾性を有するスポンジ状の部材で形成してもよい。このように、スポンジ状の部材で形成することにより、水を止水部材30に含ませつつ、徐々に揮発させることができる。
【0046】
図3及び図4に示すように、止水部材30は、取付部22におけるリブ26の下方側に配置されている。止水部材30は、係合部23を被係合部14に嵌め込む際に、リブ26により被係合部14に押し込まれる。これにより、止水部材30が被係合部14の外側にめくれることを抑制できる。また、止水部材30がカメラ開口部13の内側方向に向けて移動することが抑制される。すなわち、リブ26により、止水部材30がカメラ開口部13の内側方向にはみ出すことが抑制される。従って、カメラ開口部13の内側において、止水部材30が視認されることを抑制できる。
【0047】
また、止水部材30は、被係合部14内において、支持部材11と当接が可能である。これにより、車体内部やカメラ20に水が侵入することを抑制できる。また、止水部材30は、カメラ20が支持部材11を介して車両1に搭載された状態において、カメラ開口部13を外側面Rから正面視した際に視認されない位置に配置されている。これにより、止水部材30を目立たなくできるので、車両1の意匠性向上が期待できる。なお、止水部材30は、各種の防水性部材を使用することができる。
【0048】
また、本実施形態では、取付部22の上方側にも前記止水部材30と同様の上方側止水部材30a(図3参照)が設けられている。上方側止水部材30aは、止水部材30と同様に、ウレタンゴム等の防水性部材やウレタン等を素材とするスポンジ状の防水性部材で形成されている。上方側止水部材30aは、カメラ開口部13の上端側に位置し、支持部材11の内側面Fと当接している。これにより、カメラ開口部13の上端側から、車体内部に水が侵入することが抑制される。なお、止水部材30は、横方向だけではなく、カメラ開口部13の両側において縦方向に設けるものなど、各種の形状のものを使用できる。例えば、環状の止水部材30が、カメラ開口部13の周囲全体に一体的に配置されてもよい。また、断片状の止水部材30が、カメラ開口部13の周囲に組み合わされて配置されたものなど、各種の形態のものを使用することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上方側止水部材30aの下方側において、取付部22が前方側に突出して支持部材11の内側面Fと当接している。これにより、水の侵入を、より一層抑制することができる。なお、上方側止水部材30aは、カメラ20が支持部材11を介して車両1に搭載された状態において、カメラ開口部13を外側面Rから正面視した際に視認されない位置に配置するとよい。また、上方側止水部材30aが、上方側リブ27により、カメラ開口部13の内側方向に移動することを抑制することも可能である。以上が、本発明のカメラ搭載構造の実施形態である。
【0050】
≪変形例≫
次に、支持部材11に形成される被係合部14の変形例について、図6及び図7に基づいて、以下に説明する。本変形例では、カメラ20の取付部22における係合部23、及び支持部材11における被係合部14の形成方向が異なる点と、被係合部14としてヒケ抑制溝14aが利用される点が異なる以外の構成は、上述した実施形態と同様であるので、同様部分の説明は省略する。また、同一の部材には同一の符号を用いていることに留意されたい。
【0051】
図6に示すように、ヒケ抑制溝14aは、支持部材11の内側面F(図7参照)の下端側において長手方向に沿って形成されている。図7に示すように、ヒケ抑制溝14aは、凹状に形成された溝であり、樹脂成型時に支持部材11に発生するヒケを抑制するために設けられている。なお、ヒケ抑制溝14aの大きさや形状は、ヒケを考慮して各種の大きさや形状のものとすることが可能である。また、ヒケ抑制溝14aは、適宜形成する方向を変更することが可能である。
【0052】
取付部22の下端側には、ヒケ抑制溝14aと向き合うように前方側に突出した係合部23が形成されている。係合部23は、カメラ20をカメラ開口部13に嵌め込んだ際に、ヒケ抑制溝14aと当接(係合とも称する)することができる。係合部23とヒケ抑制溝14aとの当接は、後述する止水部材30を介して間接的に当接するものとしてもよい。また、係合部23は、単数だけではなく複数設けてもよい。係合部23の形状や大きさは、被係合部14の形状や大きさに合わせて、各種の形状や大きさのものとすることができる。
【0053】
本変形例では、ヒケ抑制溝14aを利用して、カメラ20における取付部22が固定されるので、支持部材11に対して新たにカメラ支持用の被係合部14を形成する必要がない。そのため、省スペースでカメラ20を搭載することができ、支持部材11の加工費用を低減することができる。また、新たにネジ穴を形成することに比べ、省スペースでカメラ20を固定することが可能である。
【0054】
止水部材30は、取付部22における係合部23の上方側に当接可能である。これにより、車体内部やカメラ20に水が侵入することを抑制できる。また、止水部材30は、取付部22のリブ26よりも下方に配置されている。これにより、カメラ開口部13の内側方向に止水部材30が移動することを抑制することができる。また、カメラ開口部13を外側面Rから正面視した際に視認されることが抑制される。これにより、止水部材30を目立たなくできるので、車両1の意匠性向上が期待できる。
【0055】
以上が、本発明のカメラ搭載構造の変形例であるが、本発明のカメラ搭載構造は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0056】
本実施形態では、バックドア2にカメラ20が搭載されているが、本発明のカメラ搭載構造は、これには限定されない。例えば、カメラ20が、車両1の前方側に設けられるラジエーターグリルやフロントバンパー等に搭載されるものでもよい。また、カメラ20が、車両1の側方やドアミラー等に搭載されるものでもよい。また、本実施形態では、カメラ20がバックドア2のドアハンドル10に搭載されているが、本発明のカメラ搭載構造は、これには限定されず、各種のものにカメラ20を搭載することができる。例えば、ドアハンドル10とは独立して、カメラ20が、別途の支持部材に搭載されてもよい。また、カメラ20をドアハンドル10に搭載する場合は、ハンドル操作部12の操作に影響を及ぼさない各種の位置に搭載することができる。また、ドアハンドル10は、バックドア2に搭載されるものだけではなく、車両1に搭載される各種のドアハンドルに搭載することが可能である。
【0057】
また、本実施形態では、カメラ20が取付部22に搭載されているが、取付部22にカメラ20が搭載されていなくてもよい。かかる場合は、カメラ開口部13を塞ぐ適宜の部材をカメラ20に代えて取付部22に搭載すればよい。これにより、カメラ20を搭載しない(カメラレス)車両と、カメラ20を搭載する車両とにおいて、部品を共通化することができる。
【0058】
また、支持部材11やカメラ20の形状や大きさは、各種の形状や大きさのものに変更することが可能である。取付部22に形成されるリブ26は、止水部材30が、カメラ開口部13の内側方向に向けて移動することを抑制できるものであれば各種の形状や大きさのものを採用できる。
【0059】
また、本実施形態では、リブ26が、先端側Tから基端側Bに向かって厚みが増大する傾斜部26aを有するものとしたが、傾斜部26aを有しないものとすることができる。かかる場合は、リブ26を曲面のような正面方向への光の反射を抑制可能な形状とするとよい。なお、リブ26は、各種の形状や大きさのものを採用することができる。また、本実施形態では、傾斜部26aが、カメラ開口部13を外側面Rから正面視した際に、手前側から奥側に向かうに連れてカメラ開口部13の内側に向けて傾斜するように形成されたものを例示したが、傾斜部26aの傾斜角は、適宜変更することができる。また、本実施形態では、リブ26が、側面方向から断面視した場合に、三角形状のものを例示したが、リブ26は、これに限定されず、各種の形状や大きさのものを採用することができる。例えば、リブ26が、側面方向から断面視した場合に、円弧状や矩形状に形成されていても良い。また、本実施形態では、リブ26の先端側Tが、支持部材11の内側面Fに当接するものとしたが、リブ26の先端側Tが、支持部材11の内側面Fに当接しないものとしてもよい。
【0060】
また、カメラ開口部13やカメラ20の取付部22の形状や大きさも適宜変更することが可能である。また、取付部22に設けられる係合部23や、支持部材11に設けられる被係合部14の形状や大きさも適宜変更することが可能である。
【0061】
また、本実施形態では、被係合部14が、車両1への搭載状態において上方に向けて形成されているが、被係合部14が開口する方向は、係合部23の配置に応じて各種の方向とすることができる。また、被係合部14は、横長の溝として形成されているものだけではなく、例えば、内側面Fから取付部22に向けて支持アームを突出形成し、当該支持アームの先端を折り曲げ形成したものでもよい。かかる場合は、係合部23を、前記支持アームの折り曲げ形成した部分に係合させればよい。なお、被係合部14を前記支持アームに形成する場合は、係合部23の形状に合わせて、前記支持アームを各種の位置に配置することができる。また、前記支持アームは、単数だけではなく複数設けることもできる。
【0062】
また、本変形例では、被係合部14として、ヒケ抑制溝14aを利用するものとしたが、被係合部14がヒケ抑制溝14aを利用しないものとしてもよい。また、支持部材11がヒケ抑制溝14aを有しないものとしてもよい。また、係合部23や被係合部14は、単数だけではなく複数設けてもよい。また、支持部材11や取付部22の材質は、樹脂だけではなく各種の素材を用いることができる。また、係合部23及び被係合部14が、互いに入れ替わって形成されていてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、取付部22に設けられた係合部23を支持部材11の被係合部14に当接させることにより、カメラ20を支持部材11に搭載するようにしたが、係合部23と被係合部14との当接は、直接的なものだけではなく、止水部材30を介して、間接的に当接するようにしてもよい。すなわち、係合部23とヒケ抑制溝14aとをラビリンス構造とし、止水部材30を介して、係合部23とヒケ抑制溝14aとの間の隙間が塞がれるようにしてもよい。
【0064】
本実施形態では、止水部材30が、係合部23及び被係合部14の間に配置されると共に、係合部23の上方側に当接可能なものとしたが、止水部材30が、係合部23の上側以外の他方向から当接可能なものとしてもよい。また、本実施形態では、カメラ20が車両1に搭載された状態において、止水部材30が、カメラ開口部13を外側面Rから正面視した際に視認されない構成としたが、止水部材30が視認されていてもよい。かかる場合は、止水部材30を目立たなく配置することが望ましい。また、止水部材30は、環状のものや断片状のものなど、各種の形状や大きさのものを使用することができる。また、止水部材30は、防水が可能な各種の材質のものを使用することができる。
【0065】
また、本実施形態では、取付部22が、係合部23から外れた位置に支持部24を有するものとしたが、支持部24は、締結部15が形成される位置に応じて、各種の位置に配置することができる。例えば、支持部24や締結部15が、カメラ開口部13の横方向に配置されていてもよい。上述した支持部24及び締結部15を配置する位置は、搭載する部材の形状や大きさに合わせて、省スペースとなる配置とすることが望ましい。また、支持部24や締結部15は、ネジ16により締結するものだけではなく、各種の締結手段を採用することができる。例えば、支持部24と締結部15とが、係合ピン等で締結されるものであってもよい。また、支持部24や締結部15の形状や大きさは、各種のものに変更することが可能である。例えば、支持部24は、円形孔ではなく、長孔やU字形状の切込みとしてもよい。
【0066】
以上が、本発明に係るカメラ搭載構造の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のカメラ搭載構造は、各種の車両における車室外にカメラを搭載する際に利用することができる。また、本発明のカメラ搭載構造は、バックドア等に設けられるドアハンドルにカメラを搭載する際に好ましく利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 :車両
2 :バックドア
10 :ドアハンドル
11 :支持部材
12 :ハンドル操作部
13 :カメラ開口部
14 :被係合部
14a:ヒケ抑制溝(被係合部)
15 :締結部
16 :締結部材(ネジ)
20 :カメラ
21 :レンズ
22 :取付部
23 :係合部
24 :支持部
26 :リブ
26a:傾斜部
30 :止水部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7