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  • 特許-車両のキックセンサ取付構造 図1
  • 特許-車両のキックセンサ取付構造 図2
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  • 特許-車両のキックセンサ取付構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】車両のキックセンサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20240814BHJP
   E05B 81/64 20140101ALI20240814BHJP
   E05B 79/02 20140101ALI20240814BHJP
【FI】
E05F15/73
E05B81/64
E05B79/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021024838
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022126961
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】新井 悠生
(72)【発明者】
【氏名】関 勇大
(72)【発明者】
【氏名】杉江 崇
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173121(JP,A)
【文献】特開2019-148099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0123649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
E05B 1/00 - 85/28
B60R 25/31
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの開動作を制御するために前記車両の幅方向外側の下部に取り付けられ、ユーザの足部を検知するセンサ電極線を有するキックセンサ、の取付構造であって、
前記センサ電極線に沿って延びる下壁と、前記下壁の両端部のそれぞれから立ち上がる側壁とを有し、内側に前記センサ電極線が配置されるカバーと、
前記カバーの内側に配置されて、前記センサ電極線を保持するホルダーと、を備え、
前記カバーは、前記下壁と、2つの前記側壁のうちの少なくとも一方との間の角に、前記下壁の切り欠き部分を含む水抜き孔を有し、
前記センサ電極線は、前記切り欠き部分よりも前記カバーの中央側に保持される、
ことを特徴とする車両のキックセンサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの開動作を制御するためのキックセンサ、の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のスライドドアを開ける場合のユーザの利便性を図るために、車両の幅方向外側の下部にキックセンサが設けられる。キックセンサは、ユーザが足先を車両の側部下側に突き出したことを検出するセンサで、ユーザが荷物を持ったまま、閉状態の電動スライドドアに近づき、足先を車両下側に突き出すと、これを検出し、スライドドア開閉部を制御して、スライドドアが自動的に開く(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-133529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電容量式のキックセンサには、検出部としてセンサ電極線を有するものがあり、このキックセンサは、センサ電極線から電界を発生させて、その電界の領域にユーザの足部が入ると、センサ電極線の電荷量が変化するので、その変化を捉えてユーザの足部を検出する。キックセンサは車体の底部に搭載されるため、タイヤの走行回転等による飛び石からセンサ電極線を保護するために、センサ電極線をカバーで覆う必要がある。一方、カバーの内部には、浸水路走行時や雨天走行時に水が入るので、カバーに水抜き孔を設ける必要があるが、水抜き孔から飛び石がカバー内に入り、センサ電極線を破損させてしまう虞がある。カバーによりセンサ電極線を保護しつつ、カバー内部の水を排出することできる、キックセンサの取付構造が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、カバーによりセンサ電極線を保護しつつ、カバー内部の水を排出することができる、車両のキックセンサ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両のキックセンサ取付構造は、車両のドアの開動作を制御するために前記車両の幅方向外側の下部に取り付けられ、ユーザの足部を検知するセンサ電極線を有するキックセンサ、の取付構造であって、前記センサ電極線に沿って延びる下壁と、前記下壁の両端部のそれぞれから立ち上がる側壁とを有し、内側に前記センサ電極線が配置されるカバーと、前記カバーの内側に配置されて、前記センサ電極線を保持するホルダーと、を備え、前記カバーは、前記下壁と、2つの前記側壁のうちの少なくとも一方との間の角に、前記下壁の切り欠き部分を含む水抜き孔を有し、前記センサ電極線は、前記切り欠き部分よりも前記カバーの中央側に保持される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
カバー内の水を水抜き孔から排出することができ、センサ電極線が水抜き孔の切り欠き部分よりもカバーの中央側に保持されるので、カバーの下から水抜き孔に飛び込んでくる石が、センサ電極線に直接当たることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両におけるキックセンサの取付位置を説明するための図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】カバー、キックセンサ、およびホルダーを組み付けた状態を示す斜視図である。
図4図3の一体物をカバー、キックセンサ、およびホルダーに分解した状態を示す斜視図である。
図5】水抜き孔の部分をカバーの外側から見た図である。
図6図2のカバーの部分の拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。以下の説明において、特段の断りがない限り、前後左右上下等の方向および向きを表す語句は、車両に関する方向および向きを表す。また、車両の左右方向(幅方向)において車両の前後方向に延びる中心線に近い側を車幅方向内側、遠い側を車幅方向外側と記す。各図において、矢印FRの向きが前方、矢印UPの向きが上方、矢印RHの向きが右方を表す。
【0010】
図1は、車両10の側部を示す図であり、同図のハッチングされた四角は、キックセンサ14の位置を示している。キックセンサ14は、車両10の右側の下部であって、後側ドア16の前方に取り付けられている。車両右側の後側ドア16は、電動スライドドアである。ユーザが車両10の右脇に立って、足先をキックセンサ14の下側に突き出すと、これをキックセンサ14が検出し、車両右側の後側ドア16が自動的に開くようになっている。
【0011】
図2は、図1のA-A断面図であり、図3は、カバー30、キックセンサ14、およびホルダー32を組み付けた状態を示す斜視図であり、図4は、それらを分解した状態を示す斜視図である。なお、図2は、さらに図3に示すa-a線に沿った断面(水抜き孔42の部分の断面)を示している。キックセンサ取付構造12は、カバー30、キックセンサ14、およびホルダー32を備える。キックセンサ14とホルダー32は、カバー30の内側に配置され、キックセンサ14は、ホルダー32により上から覆われる。
【0012】
図4に示すように、キックセンサ14は、センサ電極線18と、センサ電極線18に電気的に接続されたコントローラ20と、コントローラ20に電気的に接続されたコネクタ22とを備える。センサ電極線18は、一端と他端がコントローラ20に電気的に接続されて、輪を形成する2本のセンサ電極線18が前後方向に延びている。コントローラ20は、センサ電極線18から電界を発生させ、その電界の領域にユーザの足部が入るとセンサ電極線18の電荷量が変化するので、その変化を捉えてユーザの足部を検出する。コネクタ22には、コントローラ20に電力を供給する配線と、コントローラ20と後側ドア16のアクチュエータ等との間の通信配線が、別のコネクタ(不図示)を介して接続される。なお、カバー30には配線を通すための孔(不図示)が形成される。
【0013】
カバー30は、前後方向に延びる下壁36と、下壁36の左右方向の両端部から立ち上がる2つの側壁38と、下壁36の前後方向の両端部から立ち上がる2つの端壁40とを備える。前方の端壁40の上端には、前方に延びるフランジ44が設けられており、後方の端壁40の上端には、後方に延びるフランジ45が設けられている。フランジ44,45には、それぞれ、締結孔46,47が形成されている。カバー30は、下壁36と、各側壁38との間の角に、水抜き孔42を有している。水抜き孔42は、前後方向に間隔をあけて複数設けられており、この実施形態では、左右の水抜き孔42の前後方向の位置は同じとなっている。
【0014】
ホルダー32は、キックセンサ14のコントローラ20を上から覆うコントローラ保持部52と、キックセンサ14のセンサ電極線18を上から覆う電極線保持部50とを備える。電極線保持部50は、その左右端部に、前後方向に延びる盛り上がり部58を有している。各盛り上がり部58の下部には、図6図2のカバー30部分の拡大図)に示すように、センサ電極線18が入り込む溝62が形成されている。センサ電極線18は、その溝62に押し込まれることで、ホルダー32に保持される。また、図4に示すように、電極線保持部50の左右端部には、前後方向に間隔をあけて複数の爪54が設けられている(左側の爪は不図示)。電極線保持部50の各爪54は、カバー30の各水抜き孔42に対応する位置に設けられており、ホルダー32をカバー30の内側に配置した際に、図5(カバー30の外側から水抜き孔42を見た図)に示すように、爪54が水抜き孔42に入り込むようになっている。
【0015】
次に、カバー30、キックセンサ14、およびホルダー32の組み付けについて説明する。まず、キックセンサ14のセンサ電極線18を、ホルダー32の溝62に押し込んで保持する。そして、キックセンサ14とホルダー32を、カバー30の内側に配置して、カバー30の水抜き孔42に、ホルダー32の爪54を係合する。図6に示すように、カバー30の下壁36は、その剛性を高めるために、一部が盛り上がった形状を有している。カバー30の下壁36のその盛り上がり部分は、電極線保持部50の中央側の平坦部の下面に当たっており、電極線保持部50の左右の爪54は、カバー30の水抜き孔42の上面に当たっている。このように、カバー30が電極線保持部50の中央側を下から支持し、電極線保持部50の左右端を上から支持することで、カバー30にホルダー32が固定される。
【0016】
キックセンサ14とホルダー32が組み付けられたカバー30は、車体に取り付けられる。図2に示すように、車幅方向外側の下部には、前後方向に延びて、車体の骨格を形成するロッカ70が配置されている。ロッカ70は、ロッカインナパネル72とロッカアウタパネル74を備え、それらが結合することで中空断面が形成されている。カバー30は、ロッカインナパネル72の下面に取り付けられる。具体的には、カバー30の前後のフランジ44,45(図3参照)が、ロッカインナパネル72の下面にあてられ、各フランジ44,45の締結孔46,47に下からボルトが挿入され、各ボルトが、ロッカインナパネル72の下壁に設けられた孔(不図示)を通ってロッカ70内のナットに螺合される。図2には、カバー30の前方側の締結部76が示されている。
【0017】
図5,6に示すように、水抜き孔42は、カバー30の下壁36を切り欠いた部分(切り欠き部分48と記す)を有する。各センサ電極線18は、切り欠き部分48よりもカバー30の中央側の領域CAに保持されている。
【0018】
以上説明したキックセンサ取付構造12によれば、カバー30内に水が入った場合には、図5に示すように、水(図5において破線で示す)を水抜き孔42から排出することができる。また、図6に示すように、各センサ電極線18が水抜き孔42の切り欠き部分48よりもカバー30の中央側の領域CAに保持されるので、カバー30の下から水抜き孔42に飛び込んでくる石(図6において白抜き矢印で示す)が、センサ電極線18に直接当たることを防ぐことができる。よって、センサ電極線18が破損することを抑制することができる。
【0019】
なお、以上説明した実施形態では、水抜き孔42が、カバー30の左右に設けられていたが、水抜き孔42は、カバー30の左右の一方のみに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0020】
10 車両、12 キックセンサ取付構造、14 キックセンサ、16 後側ドア、18 センサ電極線、20 コントローラ、22 コネクタ、30 カバー、32 ホルダー、36 下壁、38 側壁、40 端壁、42 水抜き孔、44,45 フランジ、46,47 締結孔、48 切り欠き部分、50 電極線保持部、52 コントローラ保持部、54 爪、58 盛り上がり部、62 溝、70 ロッカ、72 ロッカインナパネル、74 ロッカアウタパネル、76 締結部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6