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特許7538066車両用アンダーカバー及び車両用アンダーカバーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】車両用アンダーカバー及び車両用アンダーカバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B62D25/20 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021033602
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134468
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】車谷 健太郎
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/043268(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0055547(US,A1)
【文献】特開平8-56080(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0630773(EP,A1)
【文献】特開2016-78469(JP,A)
【文献】特開2000-190873(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016115753(DE,A1)
【文献】実開昭59-176277(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0369131(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0118004(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108569345(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00- 25/08
B62D 25/14- 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の下部に取り付けられるように構成された車両用アンダーカバーであって、
板状の第1カバー部と、
前記第1カバー部の厚み方向と直交する方向において前記第1カバー部と連結可能な板状の第2カバー部と、
を備え、
前記第1カバー部は、他の部位よりも厚みが小さい折り曲げ部を有すると共に、前記折り曲げ部に沿って折り曲げ可能であり、
前記第1カバー部の前記折り曲げ部により区切られた複数の部分は、それぞれ、全体として互いに略同一の形状であり、
前記第1カバー部の前記折り曲げ部により区切られた複数の部分は、それぞれ、前記第2カバー部と、全体として略同一の形状である、
車両用アンダーカバー。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用アンダーカバーであって、
前記第1カバー部は、前記折り曲げ部を含む板状のカバー本体を有し、
前記カバー本体は、樹脂製又は強化樹脂製である、車両用アンダーカバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用アンダーカバーであって、
前記折り曲げ部は、
前記第1カバー部に設けられた第1凹部と、
前記第1カバー部の厚み方向において前記第1凹部の反対側に設けられた第2凹部と、
を有する、車両用アンダーカバー。
【請求項4】
車両の下部に取り付けられるように構成された車両用アンダーカバーの製造方法であって、
他の部位よりも厚みが小さい折り曲げ部に沿って折り曲げ可能であると共に、互いに厚み方向と直交する方向に連結可能な板状の複数の第1カバー部を形成する工程と、
前記複数の第1カバー部のうち少なくとも1つの第1カバー部を前記折り曲げ部で分割することで、少なくとも1つの第2カバー部を形成する工程と、
を備える、車両用アンダーカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用アンダーカバー及び車両用アンダーカバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路面との接触やチッピングから車両を保護するために、車両の下部にはアンダーカバーが取り付けられる。このアンダーカバーは、車両の点検時等に取り外す必要がある。そこで、車両への着脱が容易となるように、折り曲げ可能としたアンダーカバーが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭63-16613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したアンダーカバーでは、2つの板材を蝶番で連結することで折り曲げ部が構成されている。そのため、アンダーカバーの部品点数が多く、アンダーカバーの組み立てに時間を要する。
【0005】
本開示の一局面は、部品点数を低減できる車両用アンダーカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両の下部に取り付けられるように構成された車両用アンダーカバーである。車両用アンダーカバーは、板状の第1カバー部と、第1カバー部の厚み方向と直交する方向において第1カバー部と連結可能な板状の第2カバー部と、を備える。第1カバー部は、他の部位よりも厚みが小さい折り曲げ部を有すると共に、折り曲げ部に沿って折り曲げ可能である。
【0007】
このような構成によれば、第1カバー部の折り曲げ部が他の部位よりも厚みを小さくすることで構成される。そのため、蝶番等の連結部材を設けることなく、折り曲げ可能な第1カバー部を得ることができる。結果として、アンダーカバーの部品点数が低減され、アンダーカバーの組み立て時間が短縮される。
【0008】
本開示の一態様では、第1カバー部は、折り曲げ部を含む板状のカバー本体を有してもよい。カバー本体は、樹脂製又は強化樹脂製であってもよい。このような構成によれば、アンダーカバーを軽量化できると共に、第1カバー部を折り曲げやすくできる。その結果、アンダーカバーの組み立ての作業性が向上する。
【0009】
本開示の一態様では、第2カバー部は、第1カバー部の一部と同一形状の部位を含んでもよい。このような構成によれば、第1カバー部の一部を利用して第2カバー部を製造できるため、製造設備を簡略化できる。その結果、アンダーカバーの製造コストを低減できる。
【0010】
本開示の一態様では、折り曲げ部は、第1カバー部に設けられた第1凹部と、第1カバー部の厚み方向において第1凹部の反対側に設けられた第2凹部と、を有してもよい。このような構成によれば、車両の下方からアンダーカバーに荷重入力があった場合に折り曲げ部が上方に凸となるように曲がることで、衝撃が吸収される。その結果、折り曲げ部の破損が抑制される。
【0011】
本開示の別の態様は、車両の下部に取り付けられるように構成された車両用アンダーカバーの製造方法である。車両用アンダーカバーの製造方法は、他の部位よりも厚みが小さい折り曲げ部に沿って折り曲げ可能であると共に、互いに厚み方向と直交する方向に連結可能な板状の複数の第1カバー部を形成する工程と、複数の第1カバー部のうち少なくとも1つの第1カバー部を折り曲げ部で分割することで、少なくとも1つの第2カバー部を形成する工程と、を備える。
【0012】
このような構成によれば、第1カバー部の折り曲げ部が他の部位よりも厚みを小さくすることで構成されるため、アンダーカバーの部品点数が低減され、アンダーカバーの組み立て時間が短縮される。
【0013】
また、第1カバー部を折り曲げ部で分割することで、第1カバー部を利用して比較的容易に第2カバー部を製造できるため、製造設備を簡略化できる。その結果、アンダーカバーの製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態における車両用アンダーカバーの使用状態を示す模式図である。
図2図2は、図1の車両用アンダーカバーの平面図である。
図3図3は、図2の車両用アンダーカバーにおける各カバー部を示す平面図である。
図4図4Aは、図3のIVA-IVA線での模式的な部分断面図であり、図4Bは、第1カバー部を折り曲げた状態を示す模式的な部分断面図であり、図4C及び図4Dは、図4Aとは異なる実施形態における折り曲げ部の模式的な断面図である。
図5図5Aは、折り曲げ部と掘り込み部とを示す模式的な部分断面図であり、図5Bは、図5Aとは異なる実施形態における掘り込み部を示す模式的な部分断面図である。
図6図6Aは、図2のVIA-VIA線での模式的な断面図であり、図6Bは、図6Aの第1カバー部を折り曲げた状態を示す模式的な断面図である。
図7図7は、実施形態における車両用アンダーカバーの製造方法のフローチャートである。
図8図8は、図3とは異なる実施形態における車両用アンダーカバーを示す平面図である。
図9図9A及び図9Bは、図3とは異なる実施形態における車両用アンダーカバーを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す車両用アンダーカバー1は、車両100の下部に取り付けられることで、車体の底面の一部を構成する。車両用アンダーカバー1は、例えば、車両100の内燃機関、モータ、バッテリ等が配置された空間の下方に配置される。
【0016】
図2に示すように、車両用アンダーカバー1は、第1カバー部2と、第2カバー部3と、第3カバー部4とを備える。なお、図2は、車両用アンダーカバー1を外面側(つまり車両100に取り付けられた状態における下側)から視た平面図である。
【0017】
車両用アンダーカバー1は、第1カバー部2、第2カバー部3及び第3カバー部4が互いに連結されることにより構成されている。図3に示すように、これらのカバー部は、連結された状態から互いに分離が可能である。
【0018】
<第1カバー部>
第1カバー部2は、第1カバー本体21と、折り曲げ部22と、複数の差し込み部23A-23Hと、複数の掘り込み部24A-24Dとを有する板状の部材である。
【0019】
第1カバー本体21は、樹脂製又は強化樹脂製の板状の部材である。強化樹脂としては、例えば、樹脂に繊維(例えば炭素繊維)、フィラー等の強化材を含有させた複合材が挙げられる。
【0020】
第1カバー本体21の平面形状は、四角形である。第1カバー本体21は、車両100に取り付けられた状態で、厚み方向が水平方向と交差する(具体的には厚み方向が上下方向となる)ように配置される。
【0021】
折り曲げ部22は、第1カバー本体21に設けられている。本実施形態では、折り曲げ部22は、第1カバー本体21の前後方向の中心線と重なる位置に配置されている。ただし、折り曲げ部22は、第1カバー本体21の前後方向の中心線からずれて配置されてもよい。
【0022】
図4Aに示すように、折り曲げ部22は、第1カバー本体21の他の部位よりも厚みが小さい。具体的には、折り曲げ部22は、第1カバー本体21の上面(つまり車両100と対向する表面)に設けられた第1凹部22Aによって構成されている。
【0023】
第1凹部22Aは、左右方向と平行に延伸する溝である。第1凹部22Aは、第1カバー本体21の左端から右端まで連続して設けられている。図4Bに示すように、第1カバー部2は、折り曲げ部22に沿って折り曲げ可能である。
【0024】
具体的には、第1カバー本体21において第1凹部22Aを左右方向に挟んだ2つの部位の上面が互いに近づくように(つまり、第1カバー本体21の上面が折り曲げの内側となるように)、第1カバー本体21が折れ曲がる。
【0025】
第1凹部22Aは、第1カバー本体21の折り曲げ時に、底面部が折り曲げの中心となり、かつ2つの側面同士が近づくように(つまり第1凹部22Aが閉じるように)変形する。折り曲げ部22における折り曲げ(つまり第1凹部22Aの変形)は繰り返し可能である。
【0026】
なお、第1凹部22Aの第1カバー本体21の折り曲げ線と直交する(つまり左右方向から視た)断面は、例えば、図4Aに示す直線状の底辺を有する多角形でもよいし、図4Cに示すように円形の一部(つまり円弧)であってもよい。
【0027】
また、図4Dに示すように、折り曲げ部22は、第1カバー部2の厚み方向において第1凹部22Aの反対側に設けられた第2凹部22Bをさらに有してもよい。第2凹部22Bは、第1カバー本体21の下面(つまり車両100の外側の表面)に設けられている。第2凹部22Bは、上下方向において第1凹部22Aと重なっている。
【0028】
第2凹部22Bによって、車両100の下方から車両用アンダーカバー1に荷重入力があった場合に折り曲げ部22が上方に凸となるように曲がることで、衝撃が吸収される。その結果、折り曲げ部22の破損が抑制される。
【0029】
図3に示す差し込み部23A-23Hは、それぞれ、第1カバー本体21から第1カバー本体21の板面と平行な方向(つまり前後方向又は左右方向)に突出した板状の部位である。
【0030】
差し込み部23A-23Hの厚みは、第1カバー本体21の厚みよりも小さい。また、差し込み部23A-23Hには、それぞれ、ボルト締結用の少なくとも1つの孔が設けられている。
【0031】
第1差し込み部23A及び第2差し込み部23Bは、第1カバー本体21の左端から突出している。第1差し込み部23Aは、折り曲げ部22よりも後方に配置されている。第2差し込み部23Bは、折り曲げ部22よりも前方に配置されている。
【0032】
第3差し込み部23C及び第4差し込み部23Dは、第1カバー本体21の右端から突出している。第3差し込み部23Cは、折り曲げ部22よりも後方に配置されている。第4差し込み部23Dは、折り曲げ部22よりも前方に配置されている。
【0033】
第1差し込み部23Aと第3差し込み部23Cとは前後方向において同じ位置に配置されている。第2差し込み部23Bと第4差し込み部23Dとは前後方向において同じ位置に配置されている。なお、第1差し込み部23A、第2差し込み部23B、第3差し込み部23C及び第4差し込み部23Dは、本実施形態では他のカバー部と連結されない。
【0034】
第5差し込み部23E及び第6差し込み部23Fは、第1カバー本体21の後端から突出している。第5差し込み部23Eは、第2カバー部3の第1掘り込み部34Aに挿抜可能である。第6差し込み部23Fは、第2カバー部3の第2掘り込み部34Bに挿抜可能である。
【0035】
第7差し込み部23G及び第8差し込み部23Hは、第1カバー本体21の前端から突出している。第7差し込み部23Gは、第3カバー部4の第1掘り込み部44Aに挿抜可能である。第8差し込み部23Hは、第3カバー部4の第2掘り込み部44Bに挿抜可能である。
【0036】
第5差し込み部23Eと第7差し込み部23Gとは左右方向において同じ位置に配置されている。第6差し込み部23Fと第8差し込み部23Hとは左右方向において同じ位置に配置されている。
【0037】
掘り込み部24A-24Dは、第1カバー本体21の厚みを小さくした部位であり、第1カバー本体21の上面側に設けられている。また、掘り込み部24A-24Dには、それぞれ、ボルト締結用の少なくとも1つの孔が設けられている。
【0038】
第1掘り込み部24A及び第3掘り込み部24Cは、前後方向において第5差し込み部23Eと第7差し込み部23Gと重なる位置に配置されている。第2掘り込み部24B及び第4掘り込み部24Dは、前後方向において第6差し込み部23Fと第8差し込み部23Hと重なる位置に配置されている。
【0039】
第1掘り込み部24Aと第3掘り込み部24Cとを前後に区画する境界、及び第2掘り込み部24B及び第4掘り込み部24Dとを前後に区画する境界は、それぞれ折り曲げ部22で構成されている。
【0040】
図5Aに示すように、掘り込み部(図5A,5Bでは第1掘り込み部24A及び第3掘り込み部24Cを代表して示す)の表面は、第1凹部22Aの底面よりも上方に位置する。つまり、第1カバー本体21のうち折り曲げ部22が形成されている部分の厚みは、掘り込み部が形成されている部分の厚みよりも小さい。
【0041】
掘り込み部の表面には、差し込み部が厚み方向に重ね合わされる。掘り込み部の表面は、図5Aに示すように、第1カバー本体21の板面と平行であってもよいし、図5Bに示すように、第1カバー本体21の板面に対し傾斜していてもよい。
【0042】
図5Bでは、掘り込み部の表面は、前後方向における第1カバー本体21の中心(つまり折り曲げ部22)に近づくに連れて下方に向かうように傾斜している。このように掘り込み部の表面が傾斜していることで、差し込み部の挿入が容易となる。
【0043】
図3に示すように、第1カバー部2は、左右方向及び前後方向において対称な形状を有する。つまり、第1カバー部2は、前後方向の中心軸に対して対称形状であり、かつ、左右方向の中心軸に対して対称形状である。また、本実施形態では、差し込み部23A-23H及び掘り込み部24A-24Dは、第1カバー本体21と一体成型されている。
【0044】
なお、第1カバー部2は、第1カバー本体21の全体又は一部に重ねて配置される少なくとも1枚の補助板をさらに有してもよい。補助板の材質は、樹脂又は強化樹脂に限定されず、金属であってもよい。
【0045】
<第2カバー部>
第2カバー部3は、第1カバー部2の厚み方向と直交する方向(具体的には前後方向)において第1カバー部2と連結可能な板状の部材である。第2カバー部3は、第2カバー本体31と、複数の差し込み部33A-33Dと、複数の掘り込み部34A,34Bとを有する。
【0046】
第2カバー部3は、第1カバー部2の一部と同一形状の部位を含んでいる。具体的には、第2カバー部3は、第1カバー部2の折り曲げ部22よりも後方の部分(つまり後半分)と同じ形状を有する。つまり、第2カバー部3は、第1カバー部2を折り曲げ部22で切断することで得られる。
【0047】
第2カバー本体31は、第1カバー本体21の後半分と同じ形状である。第2カバー部3の第1差し込み部33A、第2差し込み部33B、第3差し込み部33C及び第4差し込み部33Dは、それぞれ、第1カバー部2の第1差し込み部23A、第3差し込み部23C、第5差し込み部23E及び第6差し込み部23Fと同じ形状である。第2カバー部3の第1掘り込み部34A及び第2掘り込み部34Bは、それぞれ、第1カバー部2の第1掘り込み部24A及び第2掘り込み部24Bと同じ形状である。
【0048】
第2カバー部3の第1掘り込み部34Aに第1カバー部2の第5差し込み部23Eが挿入され、第2カバー部3の第2掘り込み部34Bに第1カバー部2の第6差し込み部23Fが挿入されることで、第2カバー部3が第1カバー部2の後端に連結される。
【0049】
<第3カバー部>
第3カバー部4は、厚み方向と直交する方向(具体的には前後方向)において第1カバー部2と連結可能な板状の部材である。第3カバー部4は、第3カバー本体41と、複数の差し込み部43A-43Dと、複数の掘り込み部44A,44Bとを有する。
【0050】
第3カバー部4は、第1カバー部2の一部と同一形状の部位を含んでいる。具体的には、第3カバー部4は、第1カバー部2の折り曲げ部22よりも前方の部分(つまり前半分)と同じ形状を有する。
【0051】
第3カバー部4は、第2カバー部3を前後方向に反転させた形状である。第3カバー部4は、第1カバー部2を折り曲げ部22で切断することで、第2カバー部3と共に得られる。
【0052】
第3カバー本体41は、第1カバー本体21の前半分と同じ形状である。第3カバー部4の第1差し込み部43A、第2差し込み部43B、第3差し込み部43C及び第4差し込み部43Dは、それぞれ、第1カバー部2の第2差し込み部23B、第4差し込み部23D、第7差し込み部23G及び第8差し込み部23Hと同じ形状である。第3カバー部4の第1掘り込み部44A及び第2掘り込み部44Bは、それぞれ、第1カバー部2の第3掘り込み部24C及び第4掘り込み部24Dと同じ形状である。
【0053】
第3カバー部4の第1掘り込み部44Aに第1カバー部2の第7差し込み部23Gが挿入され、第3カバー部4の第2掘り込み部44Bに第1カバー部2の第8差し込み部23Hが挿入されることで、第3カバー部4が第1カバー部2の前端に連結される。
【0054】
<アンダーカバーの取り付け状態>
図6Aに示すように、車両用アンダーカバー1が車両100に取り付けられた状態では、第1カバー部2、第2カバー部3、及び第3カバー部4の下面が面一となる。これにより、車両100の空気抵抗が低減され、空力性能が向上する。
【0055】
<アンダーカバーの取り付け方法>
車両用アンダーカバー1を車両100への取り付ける場合、まず、第2カバー部3及び第3カバー部4を車両100に取り付ける。
【0056】
次に、図6Bに示すように、折り曲げ部22で折り曲げた第1カバー部2を第2カバー部3と第3カバー部4との間に挿入する。第1カバー部2の挿入後、第1カバー部2の折り曲げを戻し、第1カバー部2の差し込み部を第2カバー部3及び第3カバー部4それぞれの掘り込み部に挿入する。
【0057】
このとき、第2カバー部3及び第3カバー部4がガイドとして機能するため、第1カバー部2の差し込み部の挿入作業が容易となる。差し込み部の挿入により、図6Aに示すように第1カバー部2が第2カバー部3及び第3カバー部4に連結される。
【0058】
各カバー部の連結後、第1カバー部2を車両100に固定することで、車両用アンダーカバー1の取り付けが完了する。なお、各カバー部の車両への固定は、例えばボルトによる締結が用いられる。
【0059】
車両用アンダーカバー1が車両100に取り付けられた状態で、第1カバー部2の車両100への固定を解除し、第1カバー部2を図6Bに示すように折り曲げることで、車両100から第1カバー部2を取り外すことができる。その後、必要に応じて第2カバー部3及び/又は第3カバー部4を取り外すことで、車両100の車体底面を開口させることができる。
【0060】
なお、第1カバー部2、第2カバー部3及び第3カバー部4の車両100への取り付け順及び取り外し順は上述したものに限定されない。例えば、第2カバー部3又は第3カバー部4を第1カバー部2よりも後から車両100へ取り付けてもよい。
【0061】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1カバー部2の折り曲げ部22が他の部位よりも厚みを小さくすることで構成される。そのため、蝶番等の連結部材を設けることなく、折り曲げ可能な第1カバー部2を得ることができる。結果として、車両用アンダーカバー1の部品点数が低減され、車両用アンダーカバー1の組み立て時間が短縮される。
【0062】
(1b)第1カバー本体21を樹脂製又は強化樹脂製とすることで、車両用アンダーカバー1を軽量化できると共に、第1カバー部2を折り曲げやすくできる。その結果、車両用アンダーカバー1の組み立ての作業性が向上する。
【0063】
(1c)第1カバー部2の一部を利用して第2カバー部3及び第3カバー部4を製造できるため、製造設備を簡略化できる。その結果、車両用アンダーカバー1の製造コストを低減できる。
【0064】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図7に示す車両用アンダーカバーの製造方法は、第1カバー部形成工程S10と、第2カバー部形成工程S20と、連結工程S30とを備える。本製造方法により、図2の車両用アンダーカバー1が得られる。
【0065】
<第1カバー形成工程>
本工程では、他の部位よりも厚みが小さい折り曲げ部22に沿って折り曲げ可能であると共に、互いに厚み方向と直交する方向に連結可能な板状の複数の第1カバー部2を形成する。
【0066】
本工程で形成される複数の第1カバー部2の一部は、次の第2カバー部形成工程S20において、第2カバー部3及び第3カバー部4を形成するために使用される。そのため、本実施形態では、例えば、射出成型、真空成型、プレス成型等によって各カバー部を成型するために必要な金型が1つとなる。
【0067】
<第2カバー形成工程>
本工程では、複数の第1カバー部2のうち少なくとも1つの第1カバー部2を折り曲げ部22で分割することで、第2カバー部3及び第3カバー部4を形成する。具体的には、折り曲げ部分22(つまり前後方向の中心線)に沿って、第1カバー部2を切断する。
【0068】
ここで、第1凹部22Aの断面を図4Aに示す直線状の底辺を有する多角形とすることで、第1凹部22Aで第1カバー本体21を切断する際の切断位置のズレに対して許容を持たせることができる。また、第1凹部22Aの断面を図4Cに示す円形の一部とすることで、第1凹部22Aが切断時のガイドとして機能するため、切断位置の位置決め精度が向上する。
【0069】
<連結工程>
本工程では、第1カバー部2を第2カバー部3及び第3カバー部4に連結する。なお、車両用アンダーカバー1は、第1カバー部2が第2カバー部3及び第3カバー部4に連結されていない状態で車両100の生産ラインに供給されてもよい。この場合、本工程は省略される。
【0070】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)第1カバー部2を折り曲げ部22で分割することで、第1カバー部2を利用して比較的容易に第2カバー部3を製造できるため、製造設備(例えば金型の種類)を簡略化できる。その結果、車両用アンダーカバー1の製造コストを低減できる。
【0071】
(2b)第2カバー部3及び第3カバー部4が第1カバー部2と共通の金型で成型されるため、連結部分(つまり、差し込み部、掘り込み部及びボルト孔)の位置精度が高められる。
【0072】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0073】
(3a)上記実施形態の車両用アンダーカバーにおいて、第1カバー部は、2以上の折り曲げ部を有してもよい。図8に示す車両用アンダーカバー11の第1カバー部12は、図3の折り曲げ部22に加えて、第2折り曲げ部122をさらに有する。
【0074】
第2折り曲げ部122は、第1カバー本体21の左右方向の中心線と重なる位置に配置されている。第2折り曲げ部122の延伸方向は、折り曲げ部22と直交している。そのため、第1カバー部12は、2方向に折り曲げ可能である。
【0075】
また、第1カバー部12を第2折り曲げ部122で分割することで、第4カバー部5及び第5カバー部6が形成される。第4カバー部5及び第5カバー部6は、第1カバー部12に対し、左右方向に連結可能である。
【0076】
さらに、図3の第2カバー部3及び第3カバー部4をそれぞれ左右方向に分割することで、複数の補助カバー部15が形成される。補助カバー部15は、第1カバー部12、第2カバー部3、第3カバー部4、第4カバー部5及び第5カバー部6に対し、左右方向又は前後方向に連結可能である。なお、図8の車両用アンダーカバー11は、必ずしも4つの補助カバー部15を備えなくてもよい。
【0077】
(3b)上記実施形態の車両用アンダーカバーは、図8及び図9A,9Bに示すように、3つ以上の補助カバー部を備えてもよい。図9A,9Bでは、第1カバー部2に直接連結されない(つまり補助カバー部15又は二次補助カバー部15Aに連結される)二次補助カバー部15Aを有する。さらに、車両用アンダーカバーは、2つ以上の折り曲げ可能な第1カバー部を備えてもよい。
【0078】
また、車両用アンダーカバーは、2つのカバー部(つまり第1カバー部及び第2カバー部)で構成されてもよい。さらに、複数のカバー部の連結方向は、前後方向又は左右方向に限定されない。
【0079】
車両100のサイズ、車両用アンダーカバーの上方に配置される機器の種類等に合わせて第1カバー部及び補助カバー部の数及び連結方向を変えることで、複数種の車両100において、同一形状のカバー部を共通使用することができる。
【0080】
(3c)上記実施形態の車両用アンダーカバーにおいて、第1カバー本体は、折り曲げ部での折り曲げが可能であれば、樹脂又は強化樹脂以外の材料で構成されてもよい。
【0081】
(3d)上記実施形態の車両用アンダーカバーにおいて、第2カバー部は、必ずしも第1カバー部の一部と同じ形状を有しなくてもよい。第2カバー部は、第1カバー部とは異なる部位を含んでもよい。また、第2カバー部の材質は第1カバー部の材質と異なっていてもよい。
【0082】
(3e)上記実施形態の車両用アンダーカバーにおいて、第1カバー部の折り曲げ方向は上述したものに限定されない。つまり、第1カバー部は、第1カバー本体の下面が折り曲げの内側となるように折り曲げ可能であってもよい。また、第1凹部は、第1カバー本体の折り曲げ時に、2つの側面同士が離れるように(つまり第1凹部が開くように)変形してもよい。
【0083】
(3g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0084】
1…車両用アンダーカバー、2…第1カバー部、3…第2カバー部、
4…第3カバー部、5…第4カバー部、6…第5カバー部、21…第1カバー本体、
22…折り曲げ部、22A…第1凹部、22B…第2凹部、
23A-23H…差し込み部、24A-24D…掘り込み部、31…第2カバー本体、
33A-33D…差し込み部、34A,34B…掘り込み部、41…第3カバー本体、
43A-43D…差し込み部、44A,44B…掘り込み部、100…車両、
11…車両用アンダーカバー、12…第1カバー部、122…第2折り曲げ部、
15…補助カバー部、15A…二次補助カバー部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9