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特許7538069対物レンズ、電子顕微鏡、対物レンズのクリーニング方法、および治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】対物レンズ、電子顕微鏡、対物レンズのクリーニング方法、および治具
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/145 20060101AFI20240814BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20240814BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01J37/145
H01J37/28 B
H01J37/20 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021037132
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022052698
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2020158447
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100161540
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 良伸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 潤
(72)【発明者】
【氏名】岡野 康之
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭一
(72)【発明者】
【氏名】掛谷 拓史
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/179115(WO,A1)
【文献】特開2014-041734(JP,A)
【文献】特開2012-054169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0138814(US,A1)
【文献】特開平05-325859(JP,A)
【文献】特開2019-062069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能な電極と、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記電極を着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記電極は、前記内ヨークの先端に配置され、
前記電極は、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記電極には、前記軸部よりも径が大きい磁極片が固定され、
前記嵌合孔は、前記外ヨークの先端の開口であり、
前記磁極片は、前記嵌合孔に前記軸部がはめあわされた場合に、前記外ヨークの先端に突き当たる突き当て面を有し、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度が規制される、対物レンズ。
【請求項2】
請求項1において、
前記保持部は、ナットであり、
前記被保持部は、前記電極に設けられたねじである、対物レンズ。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記保持部は、前記外ヨークまたは前記内ヨークに固定されている、対物レンズ。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記内ヨーク内に配置され、電子を加速または減速させる加減速電極を含む、対物レンズ。
【請求項5】
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能な電極と、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記電極を着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記電極は、前記内ヨークの先端に配置され、
前記電極は、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
前記軸部よりも径が大きいフランジ部と、
を含み、
前記嵌合孔は、前記保持部に設けられ、
前記フランジ部は、前記嵌合孔に前記軸部がはめあわされた場合に、前記保持部の面に突き当たる突き当て面を有し、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度が規制される、対物レンズ。
【請求項6】
請求項において、
前記保持部は、ナットであり、
前記被保持部は、前記電極に設けられたねじである、対物レンズ。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記保持部および前記電極は、前記外ヨークおよび前記内ヨークと電気的に絶縁されている、対物レンズ。
【請求項8】
請求項7において、
前記保持部は、前記外ヨーク内に配置され、
前記保持部と前記外ヨークとの間には、絶縁部材が配置されている、対物レンズ。
【請求項9】
請求項8において、
前記絶縁部材は、Oリングであり、
前記外ヨークと前記保持部との間を気密に封止する、対物レンズ。
【請求項10】
請求項ないし9のいずれか1項において、
前記内ヨークと前記電極は、離間している、対物レンズ。
【請求項11】
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能なオリフィスと、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記オリフィスを着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記オリフィスは、前記内ヨークの先端に配置され、
前記オリフィスは、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記オリフィスには、前記軸部よりも径が大きい磁極片が固定され、
前記嵌合孔は、前記外ヨークの先端の開口であり、
前記磁極片は、前記嵌合孔に前記軸部がはめあわされた場合に、前記外ヨークの先端に突き当たる突き当て面を有し、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度が規制される、対物レンズ。
【請求項12】
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能なオリフィスと、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記オリフィスを着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記オリフィスは、前記内ヨークの先端に配置され、
前記オリフィスは、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
前記軸部よりも径が大きいフランジ部と、
を含み、
前記嵌合孔は、前記保持部に設けられ、
前記フランジ部は、前記嵌合孔に前記軸部がはめあわされた場合に、前記保持部の面に突き当たる突き当て面を有し、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度が規制される、対物レンズ。
【請求項13】
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能な電極と、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記電極を着脱可能に保持するナット部と、
を含み、
前記電極は、前記内ヨークの先端に配置され、
前記電極は、
前記ナット部で保持されるねじ部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記ねじ部は、前記電極の先端に位置し、
前記ねじ部と前記ナット部は、ガタを有しながら螺合して、前記電極を保持し、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度を規制せず、
前記ねじ部を前記ナット部にねじ込むことで、前記軸部が前記嵌合孔にはめあわされ、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度が規制される、対物レンズ。
【請求項14】
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能なオリフィスと、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記オリフィスを着脱可能に保持するナット部と、
を含み、
前記オリフィスは、前記内ヨークの先端に配置され、
前記オリフィスは、
前記ナット部で保持されるねじ部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記ねじ部は、前記オリフィスの先端に位置し、
前記ねじ部と前記ナット部は、ガタを有しながら螺合して、前記オリフィスを保持し、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度を規制せず、
前記ねじ部を前記ナット部にねじ込むことで、前記軸部が前記嵌合孔にはめあわされ、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度が規制される、対物レンズ。
【請求項15】
請求項1ないし1のいずれか1項に記載の対物レンズを含む、電子顕微鏡。
【請求項16】
電子顕微鏡の対物レンズのクリーニング方法であって、
前記対物レンズの内ヨークの先端に配置された電極を取り外す工程と、
前記内ヨーク内をクリーニングする工程と、
を含み、
前記対物レンズは、対物レンズ本体を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された前記内ヨークと、
前記電極を着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記電極は、前記内ヨークの先端に配置され、
前記電極は、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度が規制され、
前記嵌合孔にはめあわされる嵌合部を有する治具に、掃除具を固定する工程と、
前記嵌合部を前記嵌合孔にはめあわせて、前記掃除具を前記内ヨーク内に導入する工程と、
前記治具を動かして、前記掃除具で前記内ヨーク内をクリーニングする工程と、を含む、対物レンズのクリーニング方法。
【請求項17】
電子顕微鏡の対物レンズのクリーニング方法であって、
前記対物レンズの内ヨークの先端に配置されたオリフィスを取り外す工程と、
前記内ヨーク内をクリーニングする工程と、
を含み、
前記対物レンズは、対物レンズ本体を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された前記内ヨークと、
前記オリフィスを着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記オリフィスは、前記内ヨークの先端に配置され、
前記オリフィスは、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度が規制され、
前記嵌合孔にはめあわされる嵌合部を有する治具に、掃除具を固定する工程と、
前記嵌合部を前記嵌合孔にはめあわせて、前記掃除具を前記内ヨーク内に導入する工程と、
前記治具を動かして、前記掃除具で前記内ヨーク内をクリーニングする工程と、を含む、対物レンズのクリーニング方法。
【請求項18】
請求項16または17において、
前記掃除具を固定する工程では、前記治具に複数の掃除具を固定する、対物レンズのクリーニング方法。
【請求項19】
請求項18において、
前記電子顕微鏡は、前記内ヨーク内に配置され、電子を加速または減速させる加減速電極を含み、
前記加減速電極は、筒状であって、内部を電子線が通過し、
前記複数の掃除具のうちの第1掃除具は、筒状の前記加減速電極の内側に導入され、
前記複数の掃除具のうちの第2掃除具は、筒状の前記加減速電極の外側に導入される、対物レンズのクリーニング方法。
【請求項20】
請求項16ないし19のいずれか1項において、
前記電子顕微鏡は、試料ステージを有し、
前記治具を前記試料ステージに配置し、前記試料ステージで前記治具を移動させることで、前記掃除具を前記内ヨーク内に導入する、対物レンズのクリーニング方法。
【請求項21】
電子顕微鏡の対物レンズのクリーニングに用いられる掃除具を固定するための治具であって、
前記対物レンズの嵌合孔にはめあわされる嵌合部と、
前記掃除具を固定するための固定部と、
を含み、
前記嵌合部が前記嵌合孔にはめあわされることによって、前記固定部に固定された前記掃除具が前記対物レンズ内に導入される、治具。
【請求項22】
請求項21において、
前記固定部には、複数の掃除具が固定可能であり、
前記嵌合部が前記嵌合孔にはめあわされることによって、前記固定部に固定された前記複数の掃除具が前記対物レンズ内に導入される、治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズ、電子顕微鏡、対物レンズのクリーニング方法、および治具に関する。
【背景技術】
【0002】
走査電子顕微鏡は、電子線で試料を走査し、試料から放出された二次電子や反射電子を検出し像を取得する電子顕微鏡である。走査電子顕微鏡は、特許文献1に記載されているように、コンデンサーレンズや、対物レンズを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-63640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走査電子顕微鏡では、対物レンズ内に微細な粉塵などの異物が入り込み、対物レンズ内に付着してしまう場合がある。対物レンズ内に異物が付着すると、放電が発生したり、帯電や非点の原因となったりする。そのため、対物レンズ内の異物を除去するためのクリーニングを行う必要がある。
【0005】
しかしながら、対物レンズの先端には電極やオリフィスなどが配置される場合がある。電極やオリフィスに形成される電子線を通過させるための孔は径が小さい。そのため、対物レンズ内をクリーニングすることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る対物レンズの一態様は、
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能な電極と、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記電極を着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記電極は、前記内ヨークの先端に配置され、
前記電極は、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記電極には、前記軸部よりも径が大きい磁極片が固定され、
前記嵌合孔は、前記外ヨークの先端の開口であり、
前記磁極片は、前記嵌合孔に前記軸部がはめあわされた場合に、前記外ヨークの先端に突き当たる突き当て面を有し、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度が規制される。
本発明に係る対物レンズの一態様は、
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能な電極と、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記電極を着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記電極は、前記内ヨークの先端に配置され、
前記電極は、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
前記軸部よりも径が大きいフランジ部と、
を含み、
前記嵌合孔は、前記保持部に設けられ、
前記フランジ部は、前記嵌合孔に前記軸部がはめあわされた場合に、前記保持部の面に突き当たる突き当て面を有し、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度が規制される。
本発明に係る対物レンズの一態様は、
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能な電極と、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記電極を着脱可能に保持するナット部と、
を含み、
前記電極は、前記内ヨークの先端に配置され、
前記電極は、
前記ナット部で保持されるねじ部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記ねじ部は、前記電極の先端に位置し、
前記ねじ部と前記ナット部は、ガタを有しながら螺合して、前記電極を保持し、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度を規制せず、
前記ねじ部を前記ナット部にねじ込むことで、前記軸部が前記篏合孔にはめあわされ、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度が規制される。
【0007】
このような対物レンズでは、内ヨークの先端に配置された電極が着脱可能であるため、対物レンズのクリーニングの際に電極を取り外すことができ、内ヨーク内の異物を容易に除去できる。
【0008】
本発明に係る対物レンズの一態様は、
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能なオリフィスと、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記オリフィスを着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記オリフィスは、前記内ヨークの先端に配置され、
前記オリフィスは、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記オリフィスには、前記軸部よりも径が大きい磁極片が固定され、
前記嵌合孔は、前記外ヨークの先端の開口であり、
前記磁極片は、前記嵌合孔に前記軸部がはめあわされた場合に、前記外ヨークの先端に突き当たる突き当て面を有し、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度が規制される。
本発明に係る対物レンズの一態様は、
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能なオリフィスと、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記オリフィスを着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記オリフィスは、前記内ヨークの先端に配置され、
前記オリフィスは、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
前記軸部よりも径が大きいフランジ部と、
を含み、
前記嵌合孔は、前記保持部に設けられ、
前記フランジ部は、前記嵌合孔に前記軸部がはめあわされた場合に、前記保持部の面に突き当たる突き当て面を有し、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度が規制される。
本発明に係る対物レンズの一態様は、
対物レンズ本体と、
前記対物レンズ本体に着脱可能なオリフィスと、
を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された内ヨークと、
前記オリフィスを着脱可能に保持するナット部と、
を含み、
前記オリフィスは、前記内ヨークの先端に配置され、
前記オリフィスは、
前記ナット部で保持されるねじ部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記ねじ部は、前記オリフィスの先端に位置し、
前記ねじ部と前記ナット部は、ガタを有しながら螺合して、前記電極を保持し、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度を規制せず、
前記ねじ部を前記ナット部にねじ込むことで、前記軸部が前記篏合孔にはめあわされ、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度が規制される。
【0009】
このような対物レンズでは、内ヨークの先端に配置されたオリフィスが着脱可能であるため、対物レンズのクリーニングの際にオリフィスを取り外すことができ、内ヨーク内の異物を容易に除去できる。
【0010】
本発明に係る電子顕微鏡の一態様は、
上記対物レンズを含む。
【0011】
このような電子顕微鏡では、上記対物レンズを含むため、対物レンズのクリーニングが容易である。
【0012】
本発明に係る対物レンズのクリーニング方法の一態様は、
電子顕微鏡の対物レンズのクリーニング方法であって、
前記対物レンズの内ヨークの先端に配置された電極を取り外す工程と、
前記内ヨーク内をクリーニングする工程と、
を含み、
前記対物レンズは、対物レンズ本体を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された前記内ヨークと、
前記電極を着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記電極は、前記内ヨークの先端に配置され、
前記電極は、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記電極と前記対物レンズ本体の同軸度が規制され、
前記嵌合孔にはめあわされる嵌合部を有する治具に、掃除具を固定する工程と、
前記嵌合部を前記嵌合孔にはめあわせて、前記掃除具を前記内ヨーク内に導入する工程と、
前記治具を動かして、前記掃除具で前記内ヨーク内をクリーニングする工程と、を含む
【0013】
このような対物レンズのクリーニング方法では、内ヨークの先端に配置された電極を取り外す工程を含むため、内ヨーク内の異物を容易に除去できる。
【0014】
本発明に係る対物レンズのクリーニング方法の一態様は、
電子顕微鏡の対物レンズのクリーニング方法であって、
前記対物レンズの内ヨークの先端に配置されたオリフィスを取り外す工程と、
前記内ヨーク内をクリーニングする工程と、
を含み、
前記対物レンズは、対物レンズ本体を含み、
前記対物レンズ本体は、
外ヨークと、
前記外ヨーク内に配置された前記内ヨークと、
前記オリフィスを着脱可能に保持する保持部と、
を含み、
前記オリフィスは、前記内ヨークの先端に配置され、
前記オリフィスは、
前記保持部で保持される被保持部と、
前記対物レンズ本体に設けられた嵌合孔にはめあわされる軸部と、
を含み、
前記嵌合孔と前記軸部のはめあいによって、前記オリフィスと前記対物レンズ本体の同軸度が規制され、
前記嵌合孔にはめあわされる嵌合部を有する治具に、掃除具を固定する工程と、
前記嵌合部を前記嵌合孔にはめあわせて、前記掃除具を前記内ヨーク内に導入する工程と、
前記治具を動かして、前記掃除具で前記内ヨーク内をクリーニングする工程と、を含む
【0015】
このような対物レンズのクリーニング方法では、内ヨークの先端に配置されたオリフィスを取り外す工程を含むため、内ヨーク内の異物を容易に除去できる。
【0016】
本発明に係る治具の一態様は、
電子顕微鏡の対物レンズのクリーニングに用いられる掃除具を固定するための治具であって、
前記対物レンズの嵌合孔にはめあわされる嵌合部と、
前記掃除具を固定するための固定部と、
を含み、
前記嵌合部が前記嵌合孔にはめあわされることによって、前記固定部に固定された前記掃除具が前記対物レンズ内に導入される。
【0017】
このような治具では、対物レンズの嵌合孔にはめあわされる嵌合部を有するため、対物レンズ内の適切な位置に掃除具を導入することができる。したがって、容易に対物レンズ内をクリーニングできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る対物レンズが搭載された走査電子顕微鏡の構成を示す図。
図2】第1実施形態に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図3】第1実施形態に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図4】第1実施形態に係る対物レンズのクリーニング方法の一例を示すフローチャート。
図5】第1変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図6】第1変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図7】第2変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図8】第2変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図9】第2変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図10】第2変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図11】第2変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図12】第2実施形態に係る対物レンズが搭載された走査電子顕微鏡の構成を示す図。
図13】第2実施形態に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図14】第2実施形態に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図15】第1変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図16】第1変形例に係る対物レンズを模式的に示す断面図。
図17】第3実施形態に係る治具を模式的に示す断面図。
図18】第3実施形態に係る治具を模式的に示す平面図。
図19】掃除具で対物レンズの内ヨーク内の異物を除去している様子を模式的に示す断面図。
図20】掃除具で対物レンズの内ヨーク内の異物を除去している様子を模式的に示す断面図。
図21】掃除具で対物レンズの内ヨーク内の異物を除去している様子を模式的に示す断面図。
図22】第2変形例に係る治具を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0020】
1. 第1実施形態
1.1. 電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る対物レンズが搭載された電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る対物レンズが搭載された走査電子顕微鏡10の構成を示す図である。
【0021】
走査電子顕微鏡10は、電子線EBで試料Sを走査し、試料Sから放出された二次電子や反射電子を検出し像を取得する電子顕微鏡である。走査電子顕微鏡10は、図1に示す
ように、対物レンズ100が搭載されている。走査電子顕微鏡10は、電子源11と、コンデンサーレンズ12と、走査偏向器13と、試料ステージ14と、電子検出器15と、対物レンズ100と、を含む。
【0022】
電子源11は、電子を発生させる。電子源11は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する電子銃である。
【0023】
コンデンサーレンズ12は、電子源11から放出された電子線EBを集束させる。コンデンサーレンズ12によって、電子線EBの径および電子線EBの電流量を制御することができる。
【0024】
対物レンズ100は、試料室に収容された試料Sの直前に配置されている。対物レンズ100は、電子線EBを集束させる。対物レンズ100およびコンデンサーレンズ12で電子線EBを集束させることによって、電子プローブを形成できる。
【0025】
走査偏向器13は、電子線EBを二次元的に偏向させる。走査偏向器13は、電子線EBで試料S上を走査するために用いられる。
【0026】
試料ステージ14には、試料Sが載置される。試料ステージ14は、試料Sを保持することができる。試料ステージ14は、試料Sを移動させるための移動機構を有している。試料ステージ14で試料Sを移動させることにより、試料S上での電子線EBが照射される位置を移動させることができる。
【0027】
電子検出器15は、電子線EBが試料Sに照射されることにより試料Sから放出された二次電子を検出する二次電子検出器である。なお、電子検出器15は、電子線EBが試料Sに照射されることにより試料Sから放出される反射電子を検出する反射電子検出器であってもよい。また、走査電子顕微鏡10には、二次電子検出器と反射電子検出器の両方が搭載されていてもよい。
【0028】
1.2. 対物レンズ
図2および図3は、第1実施形態に係る対物レンズ100を模式的に示す断面図である。なお、図2は、電界リング150が対物レンズ本体2に取り付けられた状態を図示し、図3は、電界リング150が対物レンズ本体2から取り外された状態を図示している。
【0029】
対物レンズ100は、図2および図3に示すように、対物レンズ本体2と、電界リング150(電極の一例)と、を含む。対物レンズ本体2は、外ヨーク110と、内ヨーク120と、磁極片130と、加減速電極140と、ナット160(保持部の一例)と、を含む。
【0030】
外ヨーク110と内ヨーク120は、磁力線の経路を作る。内ヨーク120は、外ヨーク110内に配置されている。外ヨーク110と内ヨーク120の間の隙間には、不図示のコイルが配置されている。外ヨーク110と内ヨーク120は、コイルで作られた磁力線を磁極片130に導く。
【0031】
磁極片130は、電界リング150に固定されている。磁極片130は、コイルで作られた磁力線を、空間に漏洩させる。これにより、対物レンズ100の光軸上に強い磁場が形成される。
【0032】
加減速電極140は、内ヨーク120内に配置される。加減速電極140は、筒状であり、内部を電子線EBが通過する。加減速電極140には、高電圧が印加される。加減速
電極140に、高電圧が印加されると、加減速電極140と電界リング150との間で電界レンズが形成される。この電界レンズによって、電子線EBを加速させたり、減速させたりすることができる。
【0033】
電界リング150は、対物レンズ本体2の先端に配置されている。具体的には、電界リング150は、外ヨーク110の先端および内ヨーク120の先端に配置されている。
【0034】
電界リング150は、加減速電極140との間で、電子線EBを加速または減速させるための静電レンズを形成する。すなわち、電界リング150は、静電レンズを形成するための電極として機能する。電界リング150は、例えば、グランド電位である。
【0035】
電界リング150は、筒状である。電子線EBは、電界リング150内を通過する。電界リング150の下端には、磁極片130が固定されている。電界リング150の上端には、ねじ部152(被保持部の一例)が設けられている。電界リング150の先端の外面に形成されたおねじが、ねじ部152を構成している。電界リング150は、対物レンズ本体2に対して着脱可能である。
【0036】
ナット160は、電界リング150を保持する。具体的には、ナット160と電界リング150に設けられたねじ部152が螺合することによって、ナット160に電界リング150が固定される。ナット160は、円筒状であり、内面にめねじ162が形成されている。ナット160は、外ヨーク110に固定されている。ナット160内に、内ヨーク120の先端が位置している。
【0037】
なお、図示はしないが、ナット160は、内ヨーク120に固定されていてもよい。また、図示はしないが、外ヨーク110の内面に、めねじを形成してもよい。すなわち、外ヨーク110に、電界リング150を保持するための保持部を設けてもよい。
【0038】
電界リング150のねじ部152を、ナット160に螺合することによって、電界リング150が保持される。ねじ部152とナット160によって電界リング150が保持されるため、電界リング150は対物レンズ本体2に対して着脱可能である。
【0039】
電界リング150のねじ部152の下には、軸部154が設けられている。軸部154は、ねじ部152と磁極片130との間に設けられている。軸部154は、筒状である。軸部154の直径は、ねじ部152の直径よりも大きい。
【0040】
電界リング150を外ヨーク110の先端の開口112(嵌合孔の一例)に挿入し、電界リング150のねじ部152をナット160にねじ込んでいくと、軸部154が外ヨーク110の開口112にはめあわされる。これにより、対物レンズ本体2と電界リング150の同軸度が確保される。具体的には、外ヨーク110と電界リング150の同軸度が確保される。
【0041】
このように、対物レンズ100では、外ヨーク110の開口112と軸部154のはめあいによって、電界リング150と外ヨーク110(対物レンズ本体2)の同軸度が規制される。なお、電界リング150と外ヨーク110の同軸度とは、電界リング150の軸と外ヨーク110の軸の狂いの大きさをいう。
【0042】
対物レンズ100では、上記のように、外ヨーク110の開口112と軸部154のはめあいによって、電界リング150と外ヨーク110の同軸度が規制される。そのため、ねじ部152とナット160は、ピッチおよび引っかかりを緩くして、ねじとしてのガタを大きくする。これにより、ねじ部152とナット160は、電界リング150を保持す
る機能を有し、同軸度を規制する機能を有さない。このように、対物レンズ100では、ねじ部152とナット160は、電界リング150と外ヨーク110の同軸度の規制に寄与しない。
【0043】
電界リング150を外ヨーク110の先端の開口112に挿入し、電界リング150のねじ部152をナット160にねじ込んでいくと、電界リング150に固定された磁極片130の上面132が、外ヨーク110の先端の面114に突き当たる。これにより、電界リング150が外ヨーク110に対して傾くことを防止できる。すなわち、磁極片130の上面132は、電界リング150の垂直方向のずれを規制するための突き当て面として機能する。
【0044】
1.3. 対物レンズのクリーニング方法
図4は、対物レンズ100のクリーニング方法の一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、走査電子顕微鏡10内を大気解放する。そして、内ヨーク120の先端に配置された電界リング150を取り外す(S100)。具体的には、ねじ部152を緩めることで、電界リング150を対物レンズ本体2から取り外す。これにより、内ヨーク120の先端から電界リング150を取り除くことができる。
【0046】
次に、内ヨーク120内の異物を除去する(S102)。内ヨーク120内の異物は、例えば、綿棒などを用いて除去できる。ここでは、内ヨーク120内に配置された加減速電極140内の異物を除去する。
【0047】
次に、電界リング150を対物レンズ本体2に取り付ける(S104)。電界リング150は、電界リング150の軸と外ヨーク110の軸が一致するように、取り付けられる。
【0048】
具体的には、電界リング150を外ヨーク110の先端の開口112に挿入し、電界リング150のねじ部152をナット160にねじ込んでいく。これにより、ナット160とねじ部152が螺合して電界リング150が保持されるとともに、外ヨーク110の開口112と軸部154のはめあいによって、電界リング150と外ヨーク110の同軸度が規制される。そして、走査電子顕微鏡10内を真空排気する。
【0049】
以上の工程により、対物レンズ100をクリーニングできる。
【0050】
1.4. 作用効果
対物レンズ100は、対物レンズ本体2と、対物レンズ本体2に着脱可能な電界リング150を含む。また、対物レンズ本体2は、外ヨーク110と、内ヨーク120と、電界リング150を着脱可能に保持するナット160と、を含む。また、電界リング150は、ナット160で保持されるねじ部152と、外ヨーク110に設けられた開口112にはめあわされる軸部154と、を含み、開口112と軸部154のはめあいによって、電界リング150と対物レンズ本体2(外ヨーク110)の同軸度が規制される。
【0051】
このように、対物レンズ100では、ナット160とねじ部152によって、電界リング150を着脱可能とし、かつ、開口112と軸部154のはめあいによって、電界リング150と外ヨーク110の同軸度が規制される。対物レンズ100では、内ヨーク120の先端に配置された電界リング150が着脱可能であるため、対物レンズ100のクリーニングの際に、電界リング150を取り外すことができる。これにより、内ヨーク120内に付着した異物を容易に除去できる。
【0052】
ここで、はめあいでは、ねじとナットに比べて、同軸度を小さくできる。そのため、対物レンズ100では、電界リング150を着脱可能としながら、電界リング150と外ヨーク110の同軸度を小さくできる。したがって、クリーニングの際に取り外した電界リング150を対物レンズ本体2に取り付ける際に、容易に、電界リング150と外ヨーク110の同軸度を小さくできる。例えば、電界リング150の軸と外ヨーク110の軸を一致させることができる。
【0053】
対物レンズ100では、軸部154がはめあわされる嵌合孔は、外ヨーク110の開口112である。そのため、対物レンズ100では、電界リング150と外ヨーク110の同軸度を小さくできる。
【0054】
対物レンズ100は、内ヨーク120内に配置された加減速電極140を含む。対物レンズ100では、上述したように、電界リング150を取り外すことができるため、加減速電極140に付着した異物を容易に除去できる。
【0055】
走査電子顕微鏡10は、対物レンズ100を含むため、対物レンズ100のクリーニングを容易に行うことができる。
【0056】
対物レンズ100のクリーニング方法は、対物レンズ100の内ヨーク120の先端に配置された電界リング150を取り外す工程と、内ヨーク120内をクリーニングする工程と、を含む。このようなクリーニング方法では、電界リング150を取り外す工程を含むため、内ヨーク120内のクリーニングを容易に行うことができる。
【0057】
1.5. 変形例
1.5.1. 第1変形例
図5および図6は、第1変形例に係る対物レンズ101を模式的に示す断面図である。なお、図5は、オリフィス151が対物レンズ本体2に取り付けられた状態を図示し、図6は、オリフィス151が対物レンズ本体2から取り外された状態を図示している。
【0058】
以下、第1変形例に係る対物レンズ101において、上述した対物レンズ100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0059】
上述した対物レンズ100では、図2および図3に示すように、電界リング150が対物レンズ本体2に対して着脱可能であった。
【0060】
これに対して、対物レンズ101では、図5および図6に示すように、オリフィス151が対物レンズ本体2に対して着脱可能である。以下、対物レンズ101について、対物レンズ100と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0061】
オリフィス151は、孔156を有している。孔156は、電子線EBを通し、かつ、対物レンズ101内と対物レンズ101の外(試料室)との間に圧力差を形成する。例えば、オリフィス151によって対物レンズ101内を高真空に維持しつつ、試料室を低真空にできる。これにより、低真空状態で試料Sの観察ができる。
【0062】
なお、オリフィス151は、加減速電極140とともに電界レンズを形成する電極として機能してもよい。
【0063】
対物レンズ101は、対物レンズ本体2と、対物レンズ本体2に着脱可能なオリフィス151と、を含む。また、オリフィス151は、ねじ部152と、軸部154と、を有し
、外ヨーク110の開口112と軸部154のはめあいによって、オリフィス151と外ヨーク110の同軸度が規制される。
【0064】
したがって、対物レンズ101では、対物レンズ100と同様に、対物レンズ101のクリーニングの際に、オリフィス151を取り外すことができる。これにより、内ヨーク120内に付着した異物を容易に除去できる。さらに、対物レンズ101では、対物レンズ100と同様に、クリーニングの際に取り外したオリフィス151を対物レンズ本体2に取り付ける際に、容易に、オリフィス151と外ヨーク110の同軸度を小さくできる。
【0065】
なお、図1に示す走査電子顕微鏡10において、対物レンズ100の電界リング150を、オリフィス151と交換してもよい。
【0066】
1.5.2. 第2変形例
図7図9は、第2変形例に係る対物レンズ102を模式的に示す断面図である。なお、図7は、電界リング150が対物レンズ本体2に取り付けられた状態を図示し、図8は、電界リング150が対物レンズ本体2から取り外された状態を図示している。図9は、図7のIX-IX線断面図である。
【0067】
以下、第2変形例に係る対物レンズ102において、上述した対物レンズ100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0068】
上述した対物レンズ100では、図2および図3に示すように、ナット160とねじ部152によって、電界リング150が対物レンズ本体2に着脱可能であった。すなわち、ナット160が保持部として機能し、ねじ部152が被保持部として機能した。
【0069】
これに対して、対物レンズ102では、図7図9に示すように、支持リング170に固定されたボール172と電界リング150に設けられた凹部153によって、電界リング150が対物レンズ本体2に着脱可能である。
【0070】
支持リング170は、外ヨーク110に固定されている。なお、図示はしないが、支持リング170は、内ヨーク120に固定されてもよい。支持リング170には、図9に示すように、4つのボール172が固定されている。4つのボール172は、互いに等間隔(90°間隔)で配置されている。なお、ボール172の数は、電界リング150を保持できれば特に限定されない。電界リング150には、4つのボール172に対応して4つの凹部153が設けられている。
【0071】
電界リング150を外ヨーク110の先端の開口112に挿入すると、4つのボール172が凹部153にはまる。これにより、電界リング150が保持される。このとき、軸部154が外ヨーク110の開口112にはめあわされる。これにより、外ヨーク110と電界リング150の同軸度が確保される。
【0072】
なお、図10および図11に示すように、支持リング170に固定された円環状のばねや円環状のゴムなどの弾性体173を、電界リング150の外面に形成された溝155にはめることで、電界リング150を保持してもよい。弾性体173と溝155によって、電界リング150を着脱可能にできる。
【0073】
2. 第2実施形態
2.1. 電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る対物レンズが搭載された電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図12は、第2実施形態に係る対物レンズが搭載された走査電子顕微鏡20の構成を示す図である。以下、走査電子顕微鏡20において、上述した図1に示す走査電子顕微鏡10の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0074】
走査電子顕微鏡20は、図12に示すように、対物レンズ200が搭載されている。対物レンズ200は、いわゆるセミインレンズ型の対物レンズである。対物レンズ200では、試料Sから放出された二次電子が対物レンズ200の漏洩磁場によってレンズ内に吸い上げられ、さらに、対物レンズ200の磁場に拘束されたまま光軸に沿って上方に導かれる。そのため、電子検出器15は、二次電子を効率よく検出するために、対物レンズ200の上方に配置されている。
【0075】
2.2. 対物レンズ
図13および図14は、第2実施形態に係る対物レンズ200を模式的に示す断面図である。なお、図13は、先端電極230が対物レンズ本体2に取り付けられた状態を図示し、図14は、先端電極230が対物レンズ本体2から取り外された状態を図示している。
【0076】
対物レンズ200は、図13および図14に示すように、対物レンズ本体2と、先端電極230(電極の一例)と、を含む。対物レンズ本体2は、外ヨーク210と、内ヨーク220と、ナット240(保持部の一例)と、絶縁部材250と、を含む。
【0077】
外ヨーク210および内ヨーク220は、上述した外ヨーク110および内ヨーク120と同様の構成、同様の機能を有している。
【0078】
先端電極230は、対物レンズ本体2の先端に配置されている。具体的には、先端電極230は、内ヨーク120の先端に配置されている。先端電極230は、対物レンズ200内に電子を引き寄せる、または、電子を跳ねのけるための電極である。先端電極230は、筒状であり、先端電極230内を電子線EBが通過する。先端電極230には、所定の電圧が印加される。
【0079】
先端電極230の上端には、ねじ部232(被保持部の一例)が設けられている。また、先端電極230のねじ部232の下には、軸部234が設けられている。軸部234は、ねじ部232とフランジ部238との間に設けられている。軸部234は、筒状である。軸部234の直径は、ねじ部232の直径よりも大きい。軸部234の下には、突き当て面236が設けられている。突き当て面236は、フランジ部238の上面であり、フランジ部238の直径は、軸部234の直径よりも大きい。先端電極230は、ナット240に対して着脱可能である。
【0080】
ナット240は、先端電極230を保持する。具体的には、ナット240と先端電極230に設けられたねじ部232が螺合することによって、ナット240に先端電極230が固定される。ナット240は、円筒状であり、内面にめねじ242が形成されている。
【0081】
ナット240には、嵌合孔244が設けられている。嵌合孔244は、ナット240の内面で規定される孔であり、めねじ242が設けられた部分の下に位置している。
【0082】
ナット240は、絶縁リング270と絶縁ブッシュ272を介して、固定ビス274で台座フランジ276に固定されている。絶縁リング270と絶縁ブッシュ272によって、先端電極230と台座フランジ276は、電気的に独立している。ナット240には、
端子280と配線282によって、電圧が印加される。ナット240に電圧が印加されることによって、ナット240に取り付けられた先端電極230に電圧が印加される。
【0083】
ナット240と外ヨーク210との間には、絶縁部材250が配置されている。絶縁部材250によって、ナット240と外ヨーク210との間を電気的に絶縁できる。絶縁部材250は、例えば、Oリングであり、ナット240と外ヨーク210との間を気密に封止する。
【0084】
先端電極230のねじ部232をナット240にねじ込んでいくと、軸部234がナット240の嵌合孔244にはめあわされる。これにより、内ヨーク220と先端電極230の同軸度が確保される。このように、対物レンズ200では、ナット240の嵌合孔244と軸部234のはめあいによって、先端電極230と対物レンズ本体2の同軸度が規制される。具体的には、先端電極230と内ヨーク220の同軸度が規制される。
【0085】
対物レンズ200では、対物レンズ100と同様に、ねじ部232とナット240は、ピッチおよび引っかかりを緩くして、ねじとしてのガタを大きくする。これにより、ねじ部232とナット240は、先端電極230を保持する機能を有し、同軸度を規制する機能を有さない。このように、対物レンズ200では、ねじ部232とナット240は、先端電極230と内ヨーク220の同軸度の規制に寄与しない。
【0086】
先端電極230のねじ部232をナット240にねじ込んでいくと、先端電極230の突き当て面236が、ナット240の先端の面246に突き当たる。これにより、先端電極230が内ヨーク220に対して傾くことを防止できる。すなわち、突き当て面236は、電界リング150の垂直方向のずれを規制する。
【0087】
2.3. 対物レンズのクリーニング方法
対物レンズ200のクリーニング方法は、上述した対物レンズ100のクリーニング方法と同様であり、その説明を省略する。
【0088】
2.4. 作用効果
対物レンズ200は、対物レンズ100と同様に、ナット240とねじ部232によって、先端電極230を着脱可能とし、かつ、嵌合孔244と軸部234のはめあいによって、先端電極230と内ヨーク220の同軸度が規制される。したがって、対物レンズ200では、対物レンズ100と同様に、クリーニングの際に、先端電極230を取り外すことができる。これにより、内ヨーク220内に付着した異物を容易に除去できる。また、対物レンズ200では、対物レンズ100と同様に、容易に、先端電極230と内ヨーク220の同軸度を小さくできる。
【0089】
対物レンズ200では、ナット240に、嵌合孔244が設けられている。また、ナット240は、外ヨーク210内に配置され、ナット240と外ヨーク210の間には、絶縁部材250が配置されている。そのため、対物レンズ200では、先端電極230と外ヨーク210を電気的に独立にできる。
【0090】
また、対物レンズ200では、絶縁部材250は、Oリングであり、外ヨーク210とナット240との間を気密に封止する。そのため、対物レンズ200では、対物レンズ200の内と外に圧力差をつくることができる。
【0091】
対物レンズ200では、内ヨーク220と先端電極230とは、離間している。そのため、内ヨーク220と先端電極230を電気的に独立にできる。
【0092】
2.5. 変形例
2.5.1. 第1変形例
図15および図16は、第1変形例に係る対物レンズ201を模式的に示す断面図である。なお、図15は、オリフィス231が対物レンズ本体2に取り付けられた状態を図示し、図16は、オリフィス231が対物レンズ本体2から取り外された状態を図示している。
【0093】
以下、第1変形例に係る対物レンズ201において、上述した対物レンズ101および対物レンズ200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0094】
上述した対物レンズ200では、図13および図14に示すように、先端電極230が対物レンズ本体2に対して着脱可能であった。
【0095】
これに対して、対物レンズ201では、図15および図16に示すように、オリフィス151が対物レンズ本体2に対して着脱可能である。オリフィス231は、孔235を有している。孔235は、電子線EBを通し、かつ、対物レンズ201内と対物レンズ201の外(試料室)との間に圧力差を形成する。対物レンズ201のその他の構成は、対物レンズ200と同様であり、その説明を省略する。
【0096】
対物レンズ201では、対物レンズ200と同様に、対物レンズ201のクリーニングの際に、オリフィス231を取り外すことができる。これにより、内ヨーク220内に付着した異物を容易に除去できる。さらに、対物レンズ201では、対物レンズ200と同様に、クリーニングの際に取り外したオリフィス231を対物レンズ本体2に取り付ける際に、容易に、オリフィス231と内ヨーク220の同軸度を小さくできる。
【0097】
なお、図12に示す走査電子顕微鏡20において、対物レンズ200の先端電極230を、オリフィス231と交換してもよい。
【0098】
2.5.2. 第2変形例
上述した対物レンズ200では、図13および図14に示すように、ナット240とねじ部232によって、先端電極230が対物レンズ本体2に対して着脱可能であったが、先端電極230を着脱可能とする手法はこれに限定されない。例えば、上述した「1.5.2. 第2変形例」と同様の手法で、先端電極230を着脱可能としてもよい。
【0099】
3. 第3実施形態
3.1. 治具
次に、第3実施形態に係る治具について図面を参照しながら説明する。図17は、第3実施形態に係る治具300を模式的に示す断面図である。図18は、第3実施形態に係る治具300を模式的に示す平面図である。なお、図17は、図18のXVII-XVII線断面図である。
【0100】
治具300は、上述した図2および図3に示す走査電子顕微鏡10の対物レンズ100のクリーニングに用いられる掃除具301を保持するための治具である。治具300を用いることで、上述した図4に示す内ヨーク140内の異物を除去する工程S102において容易に内ヨーク140内の異物を除去できる。
【0101】
治具300は、図17および図18に示すように、嵌合部312を有する筐体310と、掃除具301を固定するための固定部320と、を含む。
【0102】
筐体310は、固定部320を収容している。筐体310は、筒状であり、内部に固定部320を収容している。
【0103】
筐体310の先端には、外ヨーク110の開口112にはめあわされる嵌合部312が設けられている。嵌合部312は、筒状であり、筐体310の他の部分よりも径が小さい。嵌合部312と筐体310の他の部分との境界には段差が形成されており、この段差によって上面311が形成されている。筐体310の上面311は、後述するように、治具300の垂直方向のずれを規制するための突き当て面として機能する。
【0104】
筐体310は、例えば、対物レンズ100の外ヨーク110よりも柔らかい材料で構成されている。筐体310の材質は、例えば、アクリル樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)などの樹脂である。また、外ヨーク110の材質が鉄の場合、筐体310として、アルミニウムや、銅などの鉄よりも柔らかい金属を用いてもよい。
【0105】
固定部320は、掃除具301を固定するための部材である。掃除具301は、例えば、綿棒や、ブラシなどである。固定部320は、筐体310内に収容されている。固定部320は、例えば、円柱状である。固定部320の上面には、掃除具301を固定するための孔322が設けられている。図示の例では、固定部320には、4つの孔322が設けられている。4つの孔322のうちの2つの孔322は、加減速電極140の内側に導入される掃除具301を固定するためのものであり、他の2つの孔322は、加減速電極140の外側に導入される掃除具301を固定するためのものである。当該2つの孔322は、第1仮想円上に配置され、当該他の2つの孔322は、第1仮想円よりも径が大きい第2仮想円上に配置されている。第1仮想円および第2仮想円は、中心が同じ位置にある同心円である。
【0106】
固定部320の4つの孔322の各々には、掃除具301が挿入される。すなわち、固定部320には、4つの掃除具301が固定される。なお、固定部320に固定される掃除具301の数は特に限定されない。
【0107】
筐体310の側面には、長孔314が設けられている。固定部320は、長孔314を通る固定用ねじ330で筐体310に固定されている。長孔314は、上下方向(高さ方向)に延びる孔であり、固定部320を固定する位置が変更可能となっている。固定部320を固定する位置を変更することによって、掃除具301の高さを調整できる。
【0108】
3.2. 対物レンズのクリーニング方法
対物レンズ100のクリーニング方法は、上述した「1.3. 対物レンズのクリーニング方法」で説明したとおりであり、内ヨーク120の先端に配置された電界リング150を取り外す工程S100と、内ヨーク120内の異物を除去する工程S102と、電界リング150を対物レンズ本体2に取り付ける工程S104と、を含む。
【0109】
掃除具301を保持する治具300は、内ヨーク120内の異物を除去する工程S102で用いられる。
【0110】
図19は、治具300に保持された掃除具301で内ヨーク120内の異物を除去している様子を模式的に示す断面図である。
【0111】
まず、図17および図18に示すように、治具300の固定部320に複数の掃除具301を固定する。固定部320の孔322に掃除具301を差し込むことで、固定部320に掃除具301を固定できる。
【0112】
次に、図19に示すように、治具300の嵌合部312を、外ヨーク110の開口112にはめあわせる。
【0113】
具体的には、嵌合部312を開口112に挿入すると、筐体310の上面311が外ヨーク110の先端の面114に突き当たる。これにより、治具300が外ヨーク110に対して傾くことを防止できる。上面311が面114に突き当たると、嵌合部312が開口112にはめあわされる。このようにして、治具300の嵌合部312を、外ヨーク110の開口112にはめあわせることができる。このとき、外ヨーク110の開口112は、治具300によって塞がれる。
【0114】
嵌合部312を外ヨーク110の開口112にはめあわせることによって、図19に示すように、4つの掃除具301を内ヨーク120内に導入できる。図示の例では、2つの掃除具301が内ヨーク120の内側に導入され、内ヨーク120の内面に接している。また、他の2つの掃除具301が内ヨーク120の外側に導入され、内ヨーク120の外面に接している。ここで、開口112と嵌合部312のはめあいによって、治具300と対物レンズ本体2(外ヨーク110)の同軸度が規制される。そのため、内ヨーク120内において4つの掃除具301を適切な位置に導入することができる。
【0115】
次に、治具300を回転させる。これにより、内ヨーク120の内側に導入された2つの掃除具301によって内ヨーク120の内側の異物を除去でき、内ヨーク120の外側に導入された2つの掃除具301によって内ヨーク120の外側の異物を除去できる。例えば、ユーザーが筐体310を持って、筐体310を回転させることによって、治具300を回転させることができる。
【0116】
なお、図20に示すように、固定用ねじ330で固定部320を固定する位置を変更することによって、掃除具301の高さを調整できる。
【0117】
内ヨーク120内のクリーニングが終了した後、電界リング150を対物レンズ本体2に取り付ける。
【0118】
3.3. 作用効果
対物レンズ100のクリーニング方法は、対物レンズ100の外ヨーク110の開口112にはめあわされる嵌合部312を有する治具300に複数の掃除具301を固定する工程と、嵌合部312を開口112にはめあわせて、複数の掃除具301を内ヨーク120内に導入する工程と、治具300を動かして、複数の掃除具301で内ヨーク120内をクリーニングする工程と、を含む。治具300は、対物レンズ100の開口112にはめあわされる嵌合部312を有するため、対物レンズ100内の適切な位置に掃除具301を導入することができる。したがって、対物レンズ100のクリーニング方法では、容易に対物レンズ100内をクリーニングできる。
【0119】
対物レンズ100のクリーニング方法では、4つの掃除具301のうちの2つの掃除具301(第1掃除具)は、加減速電極140の内側に導入され、4つの掃除具301のうちの他の2つの掃除具301(第2掃除具)は、加減速電極140の外側に導入される。そのため、対物レンズ100のクリーニング方法では、加減速電極140の内側および外側の異物を除去できる。
【0120】
対物レンズ100のクリーニング方法では、筐体310には、高さ方法に延びる長孔314が設けられ、長孔314に固定用ねじ330を通して固定部320を筐体310に固定できる。そのため、掃除具301の高さを調整できる。
【0121】
治具300は、走査電子顕微鏡10の対物レンズ100の外ヨーク110の開口112にはめあわされる嵌合部312と、複数の掃除具301を固定するための固定部320と、を含み、嵌合部312が開口112にはめあわされることによって、複数の掃除具301が対物レンズ100内に導入される。このように、治具300は、対物レンズ100の開口112にはめあわされる嵌合部312を有するため、対物レンズ100内の適切な位置に掃除具301を導入することができる。したがって、容易に対物レンズ100内をクリーニングできる。
【0122】
3.4. 変形例
以下では、上述した治具300の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0123】
3.4.1. 第1変形例
図21は、治具300に保持された掃除具301で内ヨーク120内の異物を除去している様子を模式的に示す断面図である。
【0124】
図21に示すように、治具300を試料ステージ14上に設置し、試料ステージ14を動作させることで、掃除具301で内ヨーク120内をクリーニングしてもよい。
【0125】
例えば、試料ステージ14で治具300を高さ方向に移動させることで、試料ステージ14に設置された治具300の嵌合部312を外ヨーク110の開口112にはめあわせることができる。
【0126】
また、試料ステージ14で治具300を回転させることによって、内ヨーク120の内側および内ヨーク120の外側の異物を除去できる。
【0127】
3.4.2. 第2変形例
図22は、第2変形例に係る治具400を説明するための図である。以下、治具400において、上述した治具300の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0128】
治具400は、図22に示すように、筐体310を回転させる回転機構410を有する。回転機構410は、例えば、モーターを含み、モーターの回転力によって筐体310を回転させる。筐体310を回転させることによって、固定部320が回転し、固定部320に固定された掃除具301が回転する。掃除具301を回転させることによって、内ヨーク120の内側および内ヨーク120の外側の異物を除去できる。なお、回転機構410の構成は特に限定されない。
【0129】
3.4.3. 第3変形例
上述した実施形態では、治具300を走査電子顕微鏡10の対物レンズ100のクリーニングに用いる場合について説明したが、治具300を走査電子顕微鏡20の対物レンズ200のクリーニングに用いてもよい。治具300を対物レンズ200のクリーニングに用いる場合も、治具300を対物レンズ100のクリーニングに用いる場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0130】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0131】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に
同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0132】
2…対物レンズ本体、10…走査電子顕微鏡、11…電子源、12…コンデンサーレンズ、13…走査偏向器、14…試料ステージ、15…電子検出器、20…走査電子顕微鏡、100…対物レンズ、101…対物レンズ、102…対物レンズ、110…外ヨーク、112…開口、114…面、120…内ヨーク、130…磁極片、132…上面、140…加減速電極、150…電界リング、151…オリフィス、152…ねじ部、153…凹部、154…軸部、155…溝、156…孔、160…ナット、162…めねじ、170…支持リング、172…ボール、173…弾性体、200…対物レンズ、201…対物レンズ、210…外ヨーク、220…内ヨーク、230…先端電極、231…オリフィス、232…ねじ部、234…軸部、235…孔、236…突き当て面、238…フランジ部、240…ナット、242…めねじ、244…嵌合孔、246…面、250…絶縁部材、270…絶縁リング、272…絶縁ブッシュ、274…固定ビス、276…台座フランジ、280…端子、282…配線、300…治具、301…掃除具、310…筐体、311…上面、312…嵌合部、314…長孔、320…固定部、322…孔、330…固定用ねじ、400…治具、410…回転機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22