(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/51 20060101AFI20240814BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/49 312Z
A61F13/49 413
(21)【出願番号】P 2021052467
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 京子
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 耕平
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-118986(JP,A)
【文献】特開2020-108736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/51
A61F 13/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と該長手方向に直交する幅方向とを有するとともに、着用者の股間部に配される股下部並びに該股下部の前後に延在する腹側部及び背側部を有し、
吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートを有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備える吸収性物品であって、
前記外装体は、内層シートと、該内層シートの非肌対向面側に配された外層シートと、該内層シート及び該外層シートの間に伸長可能に配された弾性部材とを有し、
前記内層シートと前記外層シートとは、前記長手方向に沿って延び且つ前記幅方向に間欠配置された複数の接合部により接合されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記内層シートは、前記接合部を底部に有し且つ前記長手方向に延びる複数の凹条部と、該凹条部間に位置する中空の凸条部とからなる襞構造を有し、
前記外装体は、前記腹側部又は前記背側部に、前記長手方向における前記吸収性本体の端部の位置よりも前記長手方向外方に位置する第1領域と、前記端部の位置よりも前記股下部側に位置する第2領域と
を有し、
前記凸条部は、前記第1領域及び前記第2領域に連続して形成されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記第1領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA1とし、前記第1領域における前記凸条部の高さをB1としたときに、A1に対するB1の比B1/A1が1未満であり、前記第2領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA2とし、前記第2領域における前記凸条部の高さをB2としたときに、A2に対するB2の比B2/A2が1以上であ
り、
前記外装体は、前記腹側部又は前記背側部の平面視において前記第1領域と重なる位置であり且つ前記内層シートの肌対向面側に配された第1シートを有し、
前記内層シートと前記第1シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合され、該幅方向に隣り合う、前記内層シートと前記第1シートとの前記接合部どうし同士の間には、該内層シートと該第1シートとが接合されていない非接合部が前記長手方向に連続して形成されており、
前記非接合部は、前記内層シートと前記外層シートとの前記接合部のうち一部の該接合部と平面視において重なり、
前記内層シートと第1シートとの前記接合部の面積率が、前記内層シートと前記外層シートとの前記接合部の面積率よりも小さい、吸収性物品。
【請求項2】
長手方向と該長手方向に直交する幅方向とを有するとともに、着用者の股間部に配される股下部並びに該股下部の前後に延在する腹側部及び背側部を有し、
吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートを有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備える吸収性物品であって、
前記外装体は、内層シートと、該内層シートの非肌対向面側に配された外層シートと、該内層シート及び該外層シートの間に伸長可能に配された弾性部材とを有し、
前記内層シートと前記外層シートとは、前記長手方向に沿って延び且つ前記幅方向に間欠配置された複数の接合部により接合されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記内層シートは、前記接合部を底部に有し且つ前記長手方向に延びる複数の凹条部と、該凹条部間に位置する中空の凸条部とからなる襞構造を有し、
前記外装体は、前記腹側部又は前記背側部に、前記長手方向における前記吸収性本体の端部の位置よりも前記長手方向外方に位置する第1領域と、前記端部の位置よりも前記股下部側に位置する第2領域とを有し、
前記凸条部は、前記第1領域及び前記第2領域に連続して形成されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記第1領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA1とし、前記第1領域における前記凸条部の高さをB1としたときに、A1に対するB1の比B1/A1が1未満であり、前記第2領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA2とし、前記第2領域における前記凸条部の高さをB2としたときに、A2に対するB2の比B2/A2が1以上であり、
前記外装体は、該外装体の平面視において前記第1領域の少なくとも一部と重なる位置であり且つ前記内層シートの肌対向面側に配された第1シートと、該第1シートの肌対向面側に配された第2シートとを有し、
前記内層シートと前記第1シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合されており、
前記第1シートと前記第2シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合されており、
前記第1シートと前記第2シートとの前記接合部の面積率が、前記内層シートと前記第1シートとの前記接合部の面積率よりも大きい、吸収性物品。
【請求項3】
長手方向と該長手方向に直交する幅方向とを有するとともに、着用者の股間部に配される股下部並びに該股下部の前後に延在する腹側部及び背側部を有し、
吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートを有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備える吸収性物品であって、
前記外装体は、内層シートと、該内層シートの非肌対向面側に配された外層シートと、該内層シート及び該外層シートの間に伸長可能に配された弾性部材とを有し、
前記内層シートと前記外層シートとは、前記長手方向に沿って延び且つ前記幅方向に間欠配置された複数の接合部により接合されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記内層シートは、前記接合部を底部に有し且つ前記長手方向に延びる複数の凹条部と、該凹条部間に位置する中空の凸条部とからなる襞構造を有し、
前記外装体は、前記腹側部又は前記背側部に、前記長手方向における前記吸収性本体の端部の位置よりも前記長手方向外方に位置する第1領域と、前記端部の位置よりも前記股下部側に位置する第2領域とを有し、
前記凸条部は、前記第1領域及び前記第2領域に連続して形成されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記第1領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA1とし、前記第1領域における前記凸条部の高さをB1としたときに、A1に対するB1の比B1/A1が1未満であり、前記第2領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA2とし、前記第2領域における前記凸条部の高さをB2としたときに、A2に対するB2の比B2/A2が1以上であり、
前記外装体は、該外装体の平面視において第1領域の少なくとも一部と重なる位置であり且つ前記内層シートの肌対向面側に配された第1シートと、該第1シートの肌対向面側に配された第2シートとを有し、
前記内層シートと前記第1シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合されており、
前記第1シートと前記第2シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合されており、
前記第1シート及び前記第2シートはそれぞれ、前記吸収性物品の自然状態において、前記長手方向に延びる複数の凹条部と、前記幅方向に隣り合う該凹条部どうしの間に位置する凸条部とを有し、
前記第1領域の平面視において、前記内層シートの前記凹条部と、前記第1シートの前記凸条部及び前記第2シートの前記凸条部とが重なる、吸収性物品。
【請求項4】
自然状態において、前記第1領域における
前記内層シートの前記凸条部の高さB1が、前記第2領域における
前記内層シートの前記凸条部の高さB2よりも低い、請求項1
~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1領域側から前記第2領域側にいくにしたがって
前記内層シートの前記凸条部の高さが漸次高くなっている、請求項
4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
自然状態において、前記第1領域における前記幅方向に隣り合う
、前記内層シートと前記外層シートとの前記接合部どうし間の距離A1が、前記第2領域における前記幅方向に隣り合う
、前記内層シートと前記外層シートとの前記接合部どうし間の距離A2よりも大きい、請求項1~
5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記内層シートの曲げ剛性が、前記外層シートの曲げ剛性よりも小さい、請求項1~
6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記外装体は
、前記第1シートの肌対向面側に配された第2シー
トを有し、
前記長手方向における前記第1シートの両端部が前記第2シートにより覆われている、請求項1~
7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品において、通気性が損なわれないようにすることを目的として、吸収性物品の外装体に襞構造を形成することが行われている。そのような吸収性物品としては、例えば、特許文献1ないし3に記載された吸収性物品が知られている。
【0003】
特許文献1ないし3に記載された吸収性物品では、外装体は、外層シート、内層シート及び両シート間に配された複数本の弾性部材から形成されている。外層シートと内層シートとは、幅方向に間欠的に配された接合部により接合されており、該接合部どうしの間において外層シート及び内層シートが外方に向けて膨らむように変形している。特許文献3に記載された吸収性物品では、外層シート及び内層シートは腹側部及び背側部それぞれにおいて、ウエスト開口部の周縁端に沿って肌対向面側に折り返されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-173286号公報
【文献】国際公開第2019/043885号
【文献】特開2020-108736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収性物品の外装体に襞構造が形成された吸収性物品においては、吸収性物品の着用時に外装体が着用者の肌に押しつられたときに、該外装体の襞構造に由来する跡が着用者の肌についてしまう場合がある。特にウエスト周りの領域は、ズボン等のアウター衣料のウエストに配されたゴム等により強く圧迫されることが多いので、上述した跡が一層つきやすくなる。また乳幼児は、胴回りよりもウエスト周りの方が腹囲が大きく、特に食後にはウエスト回りの周長が急激に大きくなることも多いので、ウエスト周りに外装体の襞に由来する跡がつきやすい傾向がある。特許文献1ないし3の吸収性物品においても、襞構造による跡がつくことに関し、改善の余地があった。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長手方向と該長手方向に直交する幅方向とを有するとともに、着用者の股間部に配される股下部並びに該股下部の前後に延在する腹側部及び背側部を有し、
吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートを有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備える吸収性物品であって、
前記外装体は、内層シートと、該内層シートの非肌対向面側に配された外層シートと、該内層シート及び該外層シートの間に伸長可能に配された弾性部材とを有し、
前記内層シートと前記外層シートとは、前記長手方向に沿って延び且つ前記幅方向に間欠配置された複数の接合部により接合されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記内層シートは、前記接合部を底部に有し且つ前記長手方向に延びる複数の凹条部と、該凹条部間に位置する中空の凸条部とからなる襞
構造を有し、
前記外装体は、前記腹側部又は前記背側部に、前記長手方向における前記吸収性本体の端部の位置よりも前記長手方向外方に位置する第1領域と、前記端部の位置よりも前記股下部側に位置する第2領域と有し、
前記凸条部は、前記第1領域及び前記第2領域に連続して形成されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記第1領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA1とし、前記第1領域における前記凸条部の高さをB1としたときに、A1に対するB1の比B1/A1が1未満であり、前記第2領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA2とし、前記第2領域における前記凸条部の高さをB2としたときに、A2に対するB2の比B2/A2が1以上である、吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、襞構造による良好な通気性が維持されるとともに、着用者の肌に外装体の襞構造に由来する跡がつきにくい吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの自然状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すパンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態を示す図であって、該おむつの肌対向面側(表面シート側)を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すパンツ型使い捨ておむつにおける、外層シートと内層シートとの接合部を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すパンツ型使い捨ておむつにおける外装体の第1領域及び第2領域を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、第1領域を模式的に示す断面図であり、
図5(b)は第2領域を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6(a)及び(b)は、第1領域が圧迫された状態を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の吸収性物品の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8(a)は、従来の吸収性物品に係る外装体を模式的に示す斜視図であり、
図8(b)は、
図8(a)に示す外装体が圧迫された状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
図1に本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ(以下、「おむつ」という。)1を示す。おむつ1は、
図1に示すとおり、着用時に着用者の股間部に配される股下部C並びに該股下部Cの前後に延在する腹側部A及び背側部Bを有する。
【0010】
図2には、おむつ1の展開且つ伸長状態における平面図が示されている。おむつ1は、
図2に示すとおり、長手方向Xと該長手方向Xに直交する幅方向Yとを有している。おむつ1の長手方向Xは、着用時に着用者の前後方向と一致する方向である。また、おむつ1は、長手方向Xに延びる縦長の形状を有している。
おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1を、後述するサイドシール部Sで切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0011】
おむつ1は、
図1及び
図2に示すとおり、吸収性本体2と、該吸収性本体2の非肌対向
面側に配された外装体3とを備えている。外装体3は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける長手方向Xに沿う両側縁部AS,BSどうしが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。これによりおむつ1には、一対のサイドシール部S,S並びに着用者の胴が通されるウエスト開口部WH、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部LH,LHが形成されている。
【0012】
吸収性本体2は、
図2に示すとおり、吸収体23、該吸収体23の肌対向面側に配された表面シート21及び該吸収体23の非肌対向面側に配された裏面シート22を有する。
吸収体23は、吸収性本体2と同様に、おむつ1の長手方向Xに長い形状を有しており、表面シート21と裏面シート22との間に介在配置されている。
【0013】
「肌対向面」は、おむつ1又はその構成部材(例えば吸収体23)に着目したときに、おむつ1の着用時に着用者の肌に向けられる面であり、「非肌対向面」は、おむつ1の着用時に着用者の肌とは反対側に向けられる面である。また「着用時」及び「着用状態」は、おむつ1の適正な着用位置が維持されて着用された状態を指す。
【0014】
外装体3は、腹側部A及び背側部Bに、第1領域G1と第2領域G2と有する。第1領域G1は、長手方向Xにおける吸収性本体2の端部の位置よりも長手方向X外方に位置する領域である。第2領域G2は、長手方向Xにおける吸収性本体2の端部の位置よりも股下部C側に位置する領域である。
図1に示す実施形態では、第1領域G1及び第2領域G2は、おむつ1の幅方向において、吸収性本体2の両側縁それぞれとサイドシール部Sとの間に形成されている。腹側部A又は背側部Bに、第1領域G1と第2領域G2とを有するという表現には、本実施形態のように、腹側部A及び背側部Bに、第1領域G1と第2領域G2とを有する場合も含まれる。
【0015】
外装体3は、
図2に示すとおり、内層シート4と、該内層シート4の非肌対向面側に配された外層シート5と、該内層シート4及び該外層シート5の間に伸長可能に配された弾性部材6a,6b,6cとを有する。弾性部材6a,6b,6cを伸長可能とするためには、例えば、該弾性部材6a,6b,6cを伸長状態で配すればよい。
【0016】
内層シート4と外層シート5とは、
図3に示すとおり、複数の接合部31a(以下、「第1接合部31a」と言う)により接合されている。第1接合部31aは、長手方向Xに沿って延び且つ幅方向Yに間欠配置されている。第1接合部31aは、長手方向Xに間欠的に配されていてもよいし、連続していてもよい。幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうしの間には、内層シート4と外層シート5とが接合されていない非接合部31b(以下、「第1非接合部31b」と言う)が形成されている。
【0017】
おむつ1は、内層シート4及び外層シート5の間に配された弾性部材として、第1領域G1に配された第1弾性部材6aと、第2領域G2に配された第2弾性部材6bと、第3弾性部材6cとを含んでいる。第1及び第2弾性部材6a,6bは、一対のサイドシール部S,S間に幅方向Yに延びて配されている。第1及び第2弾性部材6a,6bは、伸長可能な状態で且つ長手方向Xに所定間隔を置いて間欠配置されている。第3弾性部材6cは、レッグ開口部LHの周縁部に沿って配されている。弾性部材6a,6b,6cは、それぞれ伸長可能な状態で、ホットメルト型接着剤等の任意の接合手段により内層シート4及び外層シート5の少なくとも一方に接合されている。
【0018】
おむつ1の自然状態においては、第1及び第2弾性部材6a,6bが収縮することにより、第1及び第2領域G1,G2における外層シート5及び内層シート4に襞構造41,51が形成されている(
図4参照)。
【0019】
外層シート5の襞構造51は、第1接合部31a(
図4において図示せず)を底部に有し且つ長手方向Xに延びる凹条部53と、該凹条部53間に位置する中空の凸条部52とからなる。前記襞構造51においては、長手方向Xにそれぞれ延びる凸条部52と凹条部53とが、幅方向Yに交互に並んで形成される。凸条部52は、
図4に示すとおり、第1領域G1及び第2領域G2に連続して形成されている。
【0020】
内層シート4の襞構造41は、第1接合部31aを底部に有し且つ長手方向Xに延びる凹条部43と、該凹条部43間に位置する中空の凸条部42とからなる。前記襞構造41においては、長手方向Xにそれぞれ延びる凸条部42と凹条部43とが、幅方向Yに交互に並んで形成される。凸条部42は、
図4に示すとおり、第1領域G1及び第2領域G2に連続して形成されている。こうすることにより、おむつ1の着用時に着用者の肌に跡がつくことを防ぐことができる。詳細には、第1領域G1と第2領域G2との境界において凸条部42が形成されておらず、凸条部42が不連続である場合、該境界において外装体3が折れ曲がりやすくなり、該境界の近傍に位置する凸条部42に圧力が集中し、該凸条部42が着用者の肌に強く押し付けられやすくなる。上述のように凸条部42を連続して形成することにより、凸条部42に圧力が集中することを防ぎ、該凸条部42が着用者の肌に強く押し付けられることを防ぐことができるので、着用者の肌に跡がつくことを防ぐことができる。
【0021】
おむつ1では、第1領域G1において、幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離が、凸条部42の高さよりも大きくなっている。換言すれば、第1領域G1における幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離をA1とし、第1領域G1における凸条部42の高さをB1としたときに、A1に対するB1の比B1/A1が1未満である〔
図5(a)参照〕。こうすることにより、凸条部42が倒れて該凸条部42どうしが重なることを防ぐことができるので、おむつ1の着用時に、外装体3の襞構造に由来する跡が着用者の肌につくことを防ぐことができる。
【0022】
以下、この点について詳述する。
図8(a)には、自然状態における、従来の吸収性物品の外装体90が模式的に示されている。
図8(a)に示す外装体90においては、幅方向Yに隣り合う接合部93どうし間の距離A1が、内層シート91の凸条部92の高さB1以下になっており、A1に対するB1の比B1/A1が1以上である。前記比B1/A1が1以上である場合、例えば、おむつ1の上から着用したズボン等のアウター衣料によってウエスト周りが圧迫されたときに、
図8(b)に示すように、内層シート91の凸条部92が倒れて該凸条部92どうしが重なり合い易い。本発明者らは、凸条部92が重なり合うことで剛性の高い部分が生じやすくなり、該剛性の高い部分が着用者の肌に押し付けられることによって、着用者の肌に外装体の襞構造に由来する跡がつきやすくなることを知見した。さらに、本発明者らは、前記比B1/A1を1未満とすることによって、襞構造に由来する跡が付きにくくなることを知見した。
【0023】
本実施形態のおむつ1のように、前記比B1/A1を1未満とすることにより、外装体3が圧迫されたときに、凸条部42が倒れて該凸条部42どうしが重なることを防ぐことができる。これにより、剛性の高い部分が生じることを防ぐことができるので、おむつ1の着用時に、外装体3の襞構造に由来する跡が着用者の肌につくことを防ぐことができる。斯かる効果が一層確実に奏されるようにする観点から、前記比B1/A1は、好ましくは1未満、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.9以下である。外装体3の厚み方向への圧縮に対して該外装体3が柔軟に変形し、外装体3の肌触りを良好とする観点から、前記比B1/A1は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上である。上述した効果を両立する観点から、前記比B1/A1は、好ましくは0.1以上1未満、より好ましくは0.15以上0.95以下、更に好まし
くは0.2以上0.9以下である。
【0024】
上述のように、前記比B1/A1を1未満とすることにより、外装体3の襞構造に由来する跡が着用者の肌につくことを防ぐことができる。しかしながら、第1領域G1のみならず、第2領域G2においても、幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離を、凸条部42の高さよりも大きくした場合、内層シート4が有する凸条部42内の中空の空間が小さくなってしまい、通気性が低下しやすくなってしまう。外装体3の襞構造に由来する跡が着用者の肌につくことを防ぐこと、及び通気性を維持することを両立できるようにする観点から、本実施形態のおむつ1にでは、第2領域G2において、幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうしの距離が、凸条部42の高さ以下となっている。換言すれば、第2領域G2における幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離をA2とし、第2領域G2における凸条部42の高さをB2としたときに、A2に対するB2の比B2/A2が1以上である〔
図5(b)参照〕。外装体3の襞構造に由来する跡が着用者の肌につくことを防ぐこと、及び通気性を維持することを両立するという効果が一層顕著に奏されるようにする観点から、前記比B2/A2は、好ましくは1以上、より好ましくは1.03以上、更に好ましくは1.05以上である。前記比B2/A2の上限は3とすることができる。
自然状態における第1接合部どうし間の距離A1,A2及び凸条部42の高さB1,B2はそれぞれ以下の方法により測定することができる。
【0025】
<自然状態における接合部どうし間の距離の測定方法>
まず、おむつ1をサイドシール部Sで切り離して展開状態とする。そして、外装体3における腹側部Aの側縁部ASから吸収性本体2の該側縁部AS側の端縁までの部分、又は外装体3における背側部Bの側縁部BSから吸収性本体2の該側縁部BS側の端縁までの部分について、幅方向の長さを三等分し、三等分した中央部分を切り出す。
第1領域G1における第1接合部31aどうし間の距離(A1,A2)を測定する場合、切り出した中央部分における、ウエスト開口部WHの開口縁側の端面をマイクロスコープにより撮影する。マイクロスコープとしては、KEYENCE社製のマイクロスコープVHX100を用いることができる。ウエスト開口部WHの開口縁において外層シート5が折り返されており、ウエスト開口部WHの開口縁側の端面に襞構造が露出していない場合、外層シート5の折り返し部を切断してこれを除去し、襞構造を露出させた後に端面を撮影する。
第2領域G2における第1接合部31aどうし間の距離を測定する場合、切り出した中央部分を第1領域G1と第2領域G2との境界で切断し、該切断面をマイクロスコープにより撮影する。
撮影により得られた画像を用いて、隣り合う第1接合部31aのうち、一方の第1接合部31aにおける他方の第1接合部31a側の端から、他方の第1接合部31aにおける一方の第1接合部31a側の端までの距離を測定する。距離の測定は、撮影により得られた画像における4箇所で行い、4箇所で測定した距離の平均値を接合部どうし間の距離とする。
【0026】
<自然状態における凸条部の高さの測定方法>
上述の<接合部どうし間の距離の測定方法>と同様にして、第1領域G1の端面及び第2領域の断面を撮影する。撮影により得られた画像を用いて、弾性部材6a,6bにおける凸条部42側の端縁の位置から、凸条部42の頂点の位置までの最短距離(B1,B2)を測定する。距離の測定は、撮影により得られた画像における4箇所で行い、4箇所で測定した距離の平均値を凸条部の高さとする。
【0027】
おむつ1の自然状態での、第1領域G1における幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離A1は、凸条部42を倒れにくくする観点から、好ましくは1.0mm以
上、より好ましくは1.2mm以上、更に好ましくは1.5mm以上であり、おむつ1の柔らかさを維持する観点から、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.7mm以下、更に好ましくは4.5mm以下であり、それら両方を両立する観点から、好ましくは1.0mm以上5.0mm以下、より好ましくは1.2mm以上4.7mm以下、更に好ましくは1.5mm以上4.5mm以下である。
【0028】
おむつ1の自然状態での、第1領域G1における凸条部42の高さをB1は、おむつ1の柔らかさを維持する観点から、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.7mm以上であり、凸条部42を倒れにくくする観点から、好ましくは4.5mm以下、より好ましくは4.3mm以下、更に好ましくは4.0mm以下であり、それら両方を両立する観点から、好ましくは0.3mm以上4.5mm以下、より好ましくは0.5mm以上4.3mm以下、更に好ましくは0.7mm以上4.0mm以下である。
【0029】
おむつ1の自然状態での、第2領域G2における幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離A2は、凸条部42を倒れにくくする観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは1mm以上であり、おむつ1の柔らかさを維持する観点から、好ましくは4.5mm以下、より好ましくは4.3mm以下、更に好ましくは4.0mm以下であり、それら両方を両立する観点から、好ましくは0.5mm以上4.5mm以下、より好ましくは0.7mm以上4.3mm以下、更に好ましくは1.0mm以上4.0mm以下である。
【0030】
おむつ1の自然状態での、第2領域G2における凸条部42の高さをB2は、おむつ1の柔らかさを維持する観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.2mm以上、更に好ましくは1.5mm以上であり、凸条部42を倒れにくくする観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは4.7mm以下、更に好ましくは4.5mm以下であり、それら両方を両立する観点から、好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは1.2mm以上4.7mm以下、更に好ましくは1.5mm以上4.5mm以下である。
【0031】
おむつ1においては、第1領域G1における凸条部42の高さB1が、第2領域G2における凸条部42の高さB2よりも低いことが好ましい。こうすることにより、おむつ1の着用時、特におむつ1の上から着用したズボン等の衣服によってウエスト部分が圧迫されたときに、第1領域G1よりも第2領域G2に圧力がかかりやすくなる。そのため、第1領域G1には圧力がかかりにくくなり、第1領域G1の凸条部42が倒れにくくなるので、着用者の肌に跡がつくことをより効果的に防ぐことができる。
【0032】
第1領域G1における凸条部42の高さB1を、第2領域G2における凸条部42の高さよりも低くするための手段としては、例えば、以下(1)~(3)が挙げられる。
(1)第1領域G1の伸長率を第2領域G2の伸長率よりも小さくする。
(2)第1弾性部材6aの太さを第2弾性部材6bの太さよりも細くする。
(3)第1領域G1における単位面積当たりの第1弾性部材6aの本数を、第2領域G2における単位面積当たりの第2弾性部材6bの本数よりも少なくする。
本実施形態においては、上記(1)~(3)のうち、いずれか2つ以上を組み合わせて用いることが好ましい。
【0033】
第2領域G2の伸長率に対する第1領域G1の伸長率の比は、着用者のお腹周りに対するフィット感を向上させる観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.3以上であり、第1領域G1における凸条部42の高さB1を、第2領域G2における凸条部42の高さよりも一層低くする観点から、好ましくは0.99以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.9以下であり、それらの両立
の観点から、好ましくは0.2以上0.99以下、より好ましくは0.25以上0.95以下、更に好ましくは0.3以上0.90以下である。第1領域G1及び第2領域G2の伸長率は以下の方法により測定することができる。
【0034】
<伸長率の測定方法>
先ず、吸収性物品における伸長率の測定対象領域を弾性部材の伸縮方向に最大に伸長させた状態にして、外層シート上から弾性部材に油性ペンを用いて、該伸縮方向に一定間隔L0 (例:100mm)をあけて2つの印を付ける。この際、油性ペンのインクが、外
層シートから浸み込むため、弾性部材に前記印を付すことができる。次いで、吸収性物品の前記測定対象領域における弾性部材から、前記2つの印間を切り出す。この切り出した弾性部材の長さL1 を非伸長状態で測定する。次いで、下記式〔1〕により、伸長率を
求める。
伸長率(%)=(L0 /L1 )×l00・・・〔1〕
前記測定対象領域に配された全ての弾性部材について伸長率を求め、それらの平均値を測定対象領域の伸長率とする。
【0035】
第1領域G1の伸長率は、様々な体型の人へのフィット性の観点から、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.7以上であり、第1領域G1における凸条部42の高さB1を一層低くする観点から、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.7以下、更に好ましくは3.5以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは1.2以上4.0以下、より好ましくは1.5以上3.7以下、更に好ましくは1.7以上4.0以下である。
【0036】
第2領域G2の伸長率は、第2領域G2における凸条部42の高さB2を高くし、第1領域G1における凸条部42の高さB1を相対的に低くする観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.7以上、更に好ましくは2.0以上であり、おむつ1の装着時に内層シート4側の襞の高さが高くなりすぎないようにし、アウター着用時にごわつくことを防ぐ観点から、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.3以下、更に好ましくは4.0以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは1.5以上4.5以下、より好ましくは1.7以上4.3以下、更に好ましくは2.0以上4.0以下である。
【0037】
第2弾性部材6bの太さに対する第1弾性部材6aの太さ(繊度)の比は、腹囲変動の低い領域でズレ落ちを防止しつつ、外装体3におけるウエスト開口部WHの開口端部が肌から浮き上がってしまうことを避ける観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、第1領域G1における凸条部42の高さB1を、第2領域G2における凸条部42の高さよりも一層低くする観点から、好ましくは0.99以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.9以下であり、それらの両立の観点から、好ましくは0.1以上0.99以下、より好ましくは0.2以上0.95以下、更に好ましくは0.3以上0.9以下である。第1弾性部材6a及び第2弾性部材6bの太さは以下の方法により測定することができる。
【0038】
<弾性部材の太さの測定方法>
吸収性物品全体を十分な量のテトラヒドロフラン(THF)溶剤につけ、弾性部材を該吸収性物品から剥がした後、20℃、湿度50%の室内で1週間乾燥させ、弾性部材を十分乾燥させる。乾燥後の弾性部材の自然状態の長さL(mm)と重量W(g)を測定する。弾性部材の繊度(dtex)は以下の式で求められる。
弾性部材の繊度=10000000/(L×W)
【0039】
第1弾性部材6aの太さ(繊度)は、お腹周りに対するフィット性の観点から、好ましくは150dtex以上、より好ましくは180dtex以上、更に好ましくは200d
tex以上であり、第1領域G1における凸条部42の高さB1を一層低くする観点から、好ましくは1000dtex以下、より好ましくは950dtex以下、更に好ましくは900dtex以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは150dtex以上1000dtex以下、より好ましくは180dtex以上950dtex以下、更に好ましくは200dtex以上900dtex以下である。
【0040】
第2弾性部材6bの太さは、第2領域G2における凸条部42の高さB2を高くし、第1領域G1における凸条部42の高さB1を相対的に低くする観点から、好ましくは200dtex以上、より好ましくは250dtex以上、更に好ましくは300dtex以上であり、多量排尿時のおむつ1のズレ落ちを防止する観点から、好ましくは1400dtex以下、より好ましくは1300dtex以下、更に好ましくは1200dtex以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは200dtex以上1400dtex以下、より好ましくは250dtex以上1300dtex以下、更に好ましくは300dtex以上1200dtex以下である。
【0041】
第2領域G2に配された弾性部材の本数に対する第1領域G1に配された弾性部材の本数の比は、おむつ1の着用時に、ウエスト開口部WHの開口端部がお腹から浮いてしまうことによる着用時の違和感や外観の悪化を防ぐ観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、第1領域G1における凸条部42の高さB1を、第2領域G2における凸条部42の高さよりも一層低くする観点から、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下であり、それらの両立の観点から、好ましくは0.2以上1.0以下、より好ましくは0.3以上0.9以下、更に好ましくは0.4以上0.8以下である。第2領域G2に配された弾性部材の本数に対する第1領域G1に配された弾性部材の本数の比は以下の方法により測定することができる。
【0042】
<弾性部材の本数の比の測定方法>
第1領域の幅W1と第2領域の幅W2とを測定する。腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、第1領域の幅W1は、吸収性物品の長手方向Xにおける、ウエスト開口部WHの開口端から吸収性本体2の端縁までの距離であり、第2領域の幅W2は、吸収性物品の長手方向Xにおける、吸収性本体2の端縁から、サイドシール部Sを形成した状態における腹側部Aの側縁部ASの股下部C側の端部までの距離である(
図2参照)。吸収性物品が展開型使い捨ておむつである場合、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、第2領域の幅W2は、該吸収性物品の長手方向Xにおける、吸収性本体2の端縁から、着用時に着用者の胴回りに配される胴回り領域の股下部C側の端部までの距離である。
そして、第1領域及び第2領域に配された弾性部材の本数を測定し、それぞれN1及びN2とする。各領域の幅当たりの弾性部材の本数はそれぞれN1/W1、N2/W2となる。第2領域G2の本数に対する第1領域G1の本数の比は、(N1/W1)/(N2/W2)により算出することができる。なお、1本の弾性部材がプレカットされて複数本になっている場合、該弾性部材は1本とカウントする。
【0043】
第1領域G1に配された弾性部材の本数は、おむつ1の着用時にウエスト開口部WHの開口端部がお腹から浮いてしまうことによる着用時の違和感や外観の悪化を防ぐ観点から、好ましくは2本以上、より好ましくは3本以上、更に好ましくは4本以上であり、第1領域G1における凸条部42の高さB1を一層低くする観点から、好ましくは10本以下、より好ましくは9本以下、更に好ましくは8本以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは2本以上10本以下、より好ましくは3本以上9本以下、更に好ましくは4本以上8本以下である。
【0044】
第2領域G2に配された弾性部材の本数は、第2領域G2における凸条部42の高さB
2を高くし、第1領域G1における凸条部42の高さB1を相対的に低くする観点から、好ましくは5本以上、より好ましくは6本以上、更に好ましくは7本以上であり、第2領域G2の収縮力が強くなりすぎないようにし、内層シート4側の襞の高さが高くなりすぎることを防ぐ観点から、好ましくは30本以下、より好ましくは25本以下、更に好ましくは20本以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは5本以上30本以下、より好ましくは6本以上25本以下、更に好ましくは7本以上20本以下である。
【0045】
またおむつ1においては、第1領域G1側から第2領域G2側にいくにしたがって凸条部42の高さが漸次高くなっていることが好ましい。こうすることにより、第1領域G1と第2領域G2との境界において凸条部42に圧力がかかることを防ぐことができるので、凸条部42を更に倒れにくくすることができる。
【0046】
おむつ1では、自然状態において、第1領域G1における幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離A1が、第2領域G2における幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離A2よりも大きいことが好ましい。こうすることにより、自然状態における凸条部42の幅を相対的に広くすることができ、凸条部42が更に倒れにくくなるので、着用者の肌に跡がつくことを効果的に防ぐことができる。
【0047】
おむつ1では、該おむつ1の最大伸長状態において、第1領域G1における幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離A1と、第2領域G2における幅方向Yに隣り合う第1接合部31aどうし間の距離A2とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。両者が異なる場合、前記距離A1と前記距離A2のいずれが大きくてもよい。最大伸長状態とは、各弾性部材6a,6bを伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法)となるまで外装体3を構成する内層シート4及び外層シート5を引き伸ばした状態のことである。
【0048】
最大伸長状態において前記距離A1が前記距離A2よりも大きい場合、第1領域G1は、第2領域G2よりも凸条部42の数が少なくなる。その結果、第1領域G1において、内層シート4と着用者の肌との接触点が少なくなるので、凸条部42が潰れやすくなり、内層シート4に細かい襞が形成されやすくなる。したがって、凸条部42が一層倒れにくくなるので、着用者の肌に跡がつくことを効果的に防ぐことができる。
【0049】
最大伸長状態において前記距離A1が前記距離A2よりも小さい場合、第1領域G1は、第2領域G2よりも凸条部42の数が多くなり、相対的に細かい襞が形成される。したがって、内層シート4と着用者の肌との接触点が増えることになり、おむつ1の着用時に第1領域G1にかかる圧力を分散することができるので、凸条部42が一層倒れにくくなり、着用者の肌に跡がつくことを効果的に防ぐことができる。
【0050】
おむつ1では、内層シート4の曲げ剛性が、外層シート5の曲げ剛性よりも小さいことが好ましい。こうすることにより、内層シート4の襞構造が細かく変形しやすくなるので、凸条部42が一層倒れにくくなり、着用者の肌に跡がつくことを効果的に防ぐことができる。この効果が一層顕著に奏されるようにする観点から、外層シート5の曲げ剛性に対する内層シート4の曲げ剛性の比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、また好ましくは0.99以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.90以下であり、また好ましくは0.1以上0.99以下、より好ましくは0.2以上0.95以下、更に好ましくは0.3以上0.90以下である。内層シート4及び外層シート5の曲げ剛性は以下の方法により測定することができる。
【0051】
<曲げ剛性の測定方法>
曲げ剛性の測定は、カトーテック(株)製KES-FB2-AUTO-A曲げ測定試験機を用いて行うことができる。具体的には、おむつ1をテトラヒドロフラン溶液(以下、THF溶液)に15分浸漬した後、該THF溶液からおむつ1を取り出し、おむつ1を圧縮してTHF溶液を搾出する。次いで、おむつ1から内層シート及び外層シートを剥がし、内層シート及び外層シートを1週間、25℃、50%RH下で乾燥させる。次いで、外層シート及び内層シートのそれぞれを10cm×10cmにカットし、これをサンプルとする。次に、各サンプルにおいて、吸収性物品の幅方向の曲げ剛性を測定できるように、測定試験機のチャック間に各サンプルを固定する。最大曲率+2.5cm-1まで肌対向面側に曲げ、次に、最大曲率-2.5cm-1まで非肌対向面側に曲げた後に、肌対向面側に曲げる前の状態に戻す。曲げ剛性値は、肌対向面側に曲げはじめて曲率に対する曲げモーメントの傾きがほぼ一定になったときの傾きと、非肌対向面側に曲げはじめて曲率に対する曲げモーメントの傾きがほぼ一定になったときの傾きとの平均値から算出する。各サンプルにつき5回測定を繰り返し、その平均値を曲げ剛性とする。
【0052】
内層シート4の曲げ剛性は、弾性部材6a,6b,6cが該内層シート4の非肌対向面側から着用者の肌に食い込むことでできる線状のゴム跡が生じることを防ぐ観点から、好ましくは0.0010gf・cm2/cm以上、より好ましくは0.0015gf・cm2/cm以上、更に好ましくは0.0020gf・cm2/cm以上であり、内層シート4の襞構造を細かく変形しやすくする観点から、好ましくは0.010gf・cm2/cm以下、より好ましくは0.009gf・cm2/cm以下、更に好ましくは0.008gf・cm2/cm以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは0.0010gf・cm2/cm以上0.010gf・cm2/cm以下、より好ましくは0.0015gf・cm2/cm以上0.009gf・cm2/cm以下、更に好ましくは0.0020gf・cm2/cm以上0.008gf・cm2/cm以下である。
【0053】
外層シート5の曲げ剛性は、クッション感を向上させる観点から、好ましくは0.0015gf・cm2/cm以上、より好ましくは0.0020gf・cm2/cm以上、更に好ましくは0.0025gf・cm2/cm以上であり、外層シート5の襞構造51がしなやかに変形できるようにする観点から、好ましくは0.020gf・cm2/cm以下、より好ましくは0.015gf・cm2/cm以下、更に好ましくは0.010gf・cm2/cm以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは0.0015gf・cm2/cm以上0.020gf・cm2/cm以下、より好ましくは0.0020gf・cm2/cm以上0.015gf・cm2/cm以下、更に好ましくは0.0025gf・cm2/cm以上0.020gf・cm2/cm以下である。
【0054】
おむつ1では、内層シート4の厚みが、外層シート5の厚みよりも小さいことが好ましい。こうすることにより、内層シート4が相対的に薄くなるので、内層シート4の襞構造が細かく変形しやすくなる。その結果、凸条部42が一層倒れにくくなり、着用者の肌に跡がつくことを効果的に防ぐことができる。この効果が一層顕著に奏されるようにする観点から、外層シート5の厚みに対する内層シート4の厚みの比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、また好ましくは0.99以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.90以下であり、また好ましくは0.1以上0.99以下、より好ましくは0.2以上0.95以下、更に好ましくは0.3以上0.90以下である。内層シート4及び外層シート5の厚みTは以下の方法により測定することができる。
【0055】
<厚みTの測定方法>
内層シート及び外層シートの厚さ寸法Tの測定には、カトーテック(株)製KES-FB3-AUTO-A圧縮試験機を用いる。まず、吸収性物品を十分量のTHF溶剤に1時間つける。その後、吸収性物品から外層シート及び内層シートを剥がし、得られた内層シ
ートと外層シートを1時間つるした後、1週間20℃、湿度50%の室内で乾燥させる。乾燥後の各シートから100mm×100mmの大きさのサンプルを切り出し、該サンプルの中心を上下に位置する円盤で静かに挟み込み圧縮面積(円盤の面積)2.0cm2、49hPa荷重下における各サンプルの厚さ寸法Tを測定する。
【0056】
内層シート4の厚みは、弾性部材6a,6b,6cが該内層シート4の非肌対向面側から着用者の肌に食い込むことでできる線状のゴム跡が生じること防ぐ観点から、好ましくは0.08mm以上、より好ましくは0.10mm以上、更に好ましくは0.12mm以上であり、内層シート4の襞構造を細かく変形しやすくする観点から、好ましくは0.40mm以下、より好ましくは0.38mm以下、更に好ましくは0.35mm以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは0.08mm以上0.40mm以下、より好ましくは0.10mm以上0.38mm以下、更に好ましくは0.12mm以上0.35mm以下である。
【0057】
外層シート5の厚みは、クッション感を向上させる観点から、好ましくは0.10mm以上、より好ましくは0.12mm以上、更に好ましくは0.15mm以上であり、外層シート5の襞構造51がしなやかに変形できるようにする観点から、好ましくは0.50mm以下、より好ましくは0.45mm以下、更に好ましくは0.40mm以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは0.10mm以上0.50mm以下、より好ましくは0.12mm以上0.45mm以下、更に好ましくは0.12mm以上0.40mm以下である。
【0058】
おむつ1の自然状態において、第1領域G1における、幅方向Yの長さ20mm当たりの凸条部42の数は、凸条部42を倒れにくくする観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上であり、また好ましくは20個以下、より好ましくは18個以下、更に好ましくは15個以下であり、また好ましくは2個以上20個以下、より好ましくは3個以上18個以下、更に好ましくは4個以上15個以下である。凸条部42の数は以下の方法により測定することができる。
【0059】
<凸条部の数の測定方法>
上述の<接合部どうし間の距離の測定方法>と同様にして、第1領域G1の端面及び第2領域の断面を撮影する。撮影により得られた画像を用いて、肉眼で目視したときに幅方向Yの長さが10mmに相当する範囲に含まれる凸条部の数を測定する。測定は、撮影により得られた画像における4箇所で行う。撮影により得られた画像に、肉眼で目視したときに幅方向Yの長さが10mmに相当する範囲が4箇所含まれていない場合、別の箇所をマイクロスコープにより撮影して得られた画像を用いて、凸条部42の数の測定を行う。合計4箇所で測定した凸条部42の数の平均値を凸条部42の数とする。
【0060】
おむつ1においては、
図7に示すとおり、外装体3は、内層シート4の肌対向面側に配された第1シート7を有していてもよい。第1シート7は、外装体3の平面視において第1領域G1の少なくとも一部と重なる位置に配されている。第1シート7は、内層シート4及び外層シート5とは別体のシートであってもよいし、内層シート4又は外層シート5がウエスト開口部WHの開口縁にて股下部C側へ折り返されて形成されていてもよい。
【0061】
内層シート4と第1シート7とは、
図7に示すとおり、複数の接合部(以下、「第2接合部」と言う)32aにより接合されている。第2接合部32aは、長手方向Xに沿って延び且つ幅方向Yに間欠配置されている。第2接合部32aは、長手方向Xに間欠的に配されていてもよいし、連続していてもよい。幅方向Yに隣り合う第2接合部32aどうしの間には、内層シート4と第1シート7とが接合されていない非接合部(以下、「第2非接合部」と言う)32bが形成されている。
【0062】
図7に示す実施形態において、第2非接合部32bは、一部の第1接合部31aと重なっている。第2非接合部32bは、第1領域G1の平面視において第1接合部31aと重なる位置に形成されており、且つ第2接合部32aの面積率は、第1接合部31aの面積率よりも小さいことが好ましい。こうすることにより、第1シート7が内層シート4の凹条部43に入り込みやすくなり、外装体3における肌対向面の凹凸を小さくすることができるので、内層シート4の襞構造41に由来する跡が着用者の肌につくことを効果的に防ぐことができる。この効果が一層顕著に奏されるようにする観点から、第1接合部31aの面積率に対する第2接合部32aの面積率の比は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、また好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下であり、また好ましくは0.01以上0.9以下、より好ましくは0.05以上0.8以下、更に好ましくは0.1以上0.7以下である。第1接合部31aの面積率及び第2接合部32aの面積率は以下の方法により測定することができる。
【0063】
<接合部の面積率の測定方法>
吸収性物品の幅方向に外装体の腹側部又は背側部を最大伸長させる。最大伸長させた腹側部又は背側部における、ウエスト開口部WHの開口縁から股下部側へ長手方向Xの距離が30mmまでであり且つ外装体を、吸収性物品の幅方向に3等分した際の中央の領域を測定対象領域とし、該測定対象領域において内層シートと外層シートとが重なり合う面積S1を測定する。その後、前記測定対象領域であり且つ内層シートと外層シートとが重なり合う領域内の第1接合部の面積S2を測定し、前記S2を前記S1で除した値を第1接合部の面積率とする。前記測定対象領域において、内層シート及び第1シートが重なり合う面積S3と、内層シート及び第1シートが重なり合う領域内の第2接合部の面積S4を測定し、前記S4を前記S3で除した値を第2接合部の面積率とする。
【0064】
第1接合部31aの面積率は、凸条部42を倒れにくくする観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上、更に好ましくは0.005以上であり、おむつ1の柔らかさを維持する観点から、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.08以下、更に好ましくは0.05以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは0.001以上0.1以下、より好ましくは0.002以上0.08以下、更に好ましくは0.005以上0.05以下である。
【0065】
第2接合部32aの面積率は、第1シート7が内層シート4から浮き上がりにくくし、第1領域G1及び第2領域G2がだぶついた印象となることを防ぐ観点から、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.0002以上、更に好ましくは0.0005以上であり、第1シート7が内層シート4の凹条部43に貼り込みやすくする観点から、好ましくは0.01以下、より好ましくは0.008以下、更に好ましくは0.005以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは0.0001以上0.01以下、より好ましくは0.0002以上0.008以下、更に好ましくは0.0005以上0.005以下である。
【0066】
また外装体3は、
図7に示すとおり、第1シート7の肌対向面側に配された第2シート8を有していてもよい。第2シート8は、内層シート4、外層シート5及び第1シート7とは別体のシートであってもよいし、内層シート4、外層シート5又は第1シート7がウエスト開口部WHの開口縁にて股下部C側へ折り返されて形成されていてもよい。
【0067】
図7に示す実施形態においては、長手方向Xにおける第1シート7の両端部が第2シート8により覆われていることが好ましい。例えば長手方向Xにおける第2シート8の長さが長手方向Xにおける第1シート7の長さよりも短く、第1シート7の前記両端部が第2
シート8により覆われていない場合、長手方向Xにおける第1シート7の端部と、長手方向Xにおける第2シート8の端部との間に段差が生じてしまい、該段差により着用者の肌に跡がついてしまう場合がある。長手方向Xにおける第1シート7の両端部が第2シート8より覆われていることにより、前記段差が生じることを防ぐことができるので、着用者の肌に前記段差に由来する跡がつくことを防ぐことができる。この効果が一層顕著に奏されるようにする観点から、長手方向Xにおける第2シート8の長さは、長手方向Xにおける第1シート7の長さよりも長いことが好ましい。
【0068】
第1シート7と第2シート8とは、
図7に示すとおり、複数の接合部(以下、「第3接合部」と言う)33aにより接合されている。第3接合部33aは、長手方向Xに沿って延び且つ幅方向Yに間欠配置されている。第3接合部33aは、長手方向Xに間欠的に配されていてもよいし、連続していてもよい。幅方向Yに隣り合う第3接合部33aどうしの間には、第1シート7と第2シート8とが接合されていない非接合部(以下、「第3非接合部」と言う)33bが形成されている。
【0069】
第3接合部33aの面積率は、第2接合部32aの面積率よりも大きいことが好ましい。こうすることにより、おむつ1の着用時に、第2シート8に内層シート4の襞構造41よりも小さな襞構造81が形成されやすくなる。第2シート8に形成された襞構造81は、内層シート4の襞構造41よりも小さいので、内層シート4の凹条部43に入り込みやすい。そのため、内層シート4の凸条部42を一層倒れにくくすることができるので、着用者の肌に跡がつくことを一層効果的に防止することができる。この効果が一層顕著に奏されるようにする観点から、第2接合部32aの面積率に対する第3接合部33aの面積率の比は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上であり、また好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下であり、また好ましくは1.1以上20以下、より好ましくは1.2以上15以下、更に好ましくは1.5以上10以下である。第3接合部33aの面積率は、上述の<接合部の面積率の測定方法>と同様の方法により測定することができる。
【0070】
第3接合部33aの面積率は、第1シート7から第2シート8が浮き上がりにくくし、ウエスト開口部WHの開口端部のだぶつきを防ぐ観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上、更に好ましくは0.005以上であり、第2シート8が内層シート4の凹条部43に貼り込みやすくする観点から、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.08以下、更に好ましくは0.05以下であり、それらを両立する観点から、好ましくは0.001以上0.1以下、より好ましくは0.002以上0.08以下、更に好ましくは0.005以上0.05以下である。
【0071】
第1シート7及び第2シート8は、
図7に示すとおり、襞構造71,81を有していてもよい。
図7に示す実施形態では、第1シート7は、おむつ1の自然状態において、長手方向Xに延びる複数の凹条部73と、幅方向Yに隣り合う該凹条部73,73どうしの間に位置する凸条部72とを有する。第1シート7の襞構造71は、凹条部73及び凸条部72により形成されている。第2シート8は、おむつ1の自然状態において、長手方向Xに延びる複数の凹条部83と、幅方向Yに隣り合う該凹条部83,83どうしの間に位置する凸条部82とを有する。第2シート8の襞構造81は、凹条部83及び凸条部82により形成されている。
【0072】
次に、おむつ1の構成材料について説明する。
内層シート4、外層シート5、第1シート7又は第2シート8等の、外装体3を構成するシートとしては、各種製法による不織布を用いることができ、例えばスパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、メルトブローン不織布、又はこれらの積層不織布等が挙げられる。
内層シート4を構成する繊維は、捲縮繊維であることが好ましい。こうすることにより、内層シート4を嵩高にすることができるので、凸条部42が圧迫された場合であっても該凸条部42を倒れにくくすることができる。捲縮繊維としては、例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性樹脂を成分とする偏心芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維等を用いることができる。
【0073】
第1ないし第3弾性部材6a,6b,6cとしては、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を糸状(糸ゴム等)又は紐状(平ゴム等)に形成したもの等を好ましく用いることができる。第1ないし第3弾性部材6a,6b,6cの断面は矩形、正方形、円形、楕円形、多角形状等であってもよい。
【0074】
表面シート21としては、例えば親水性を有する液透過性のシートや、不織布、穿孔フィルムなどを用いることもできる。表面シート21は、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シート21の肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シート21の肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。そのような目的のために、2枚以上の不織布を用いて表面シート21を形成することもできる。
【0075】
一方、裏面シート22としては、例えば液難透過性のフィルムやスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液難透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。おむつの肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シート22の外面に不織布等の風合いの良好なシートを積層してもよい。
【0076】
吸収体23は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体、2枚の吸収性シート間に吸収性ポリマーが担持された積層構造体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
【0077】
以上、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態に基づいて説明してきたが、本発明の吸収性物品は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の吸収性物品は、乳幼児又は成人用の展開型使い捨ておむつ等であってもよい。
【0078】
本発明は更に以下の付記を開示する。
<1>
長手方向と該長手方向に直交する幅方向とを有するとともに、着用者の股間部に配される股下部並びに該股下部の前後に延在する腹側部及び背側部を有し、
吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートを有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備える吸収性物品であって、
前記外装体は、内層シートと、該内層シートの非肌対向面側に配された外層シートと、該内層シート及び該外層シートの間に伸長可能に配された弾性部材とを有し、
前記内層シートと前記外層シートとは、前記長手方向に沿って延び且つ前記幅方向に間欠配置された複数の接合部により接合されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記内層シートは、前記接合部を底部に有し且つ前記長手方向に延びる複数の凹条部と、該凹条部間に位置する中空の凸条部とからなる襞
構造を有し、
前記外装体は、前記腹側部又は前記背側部に、前記長手方向における前記吸収性本体の端部の位置よりも前記長手方向外方に位置する第1領域と、前記端部の位置よりも前記股下部側に位置する第2領域と有し、
前記凸条部は、前記第1領域及び前記第2領域に連続して形成されており、
前記吸収性物品の自然状態において、前記第1領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA1とし、前記第1領域における前記凸条部の高さをB1としたときに、A1に対するB1の比B1/A1が1未満であり、前記第2領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離をA2とし、前記第2領域における前記凸条部の高さをB2としたときに、A2に対するB2の比B2/A2が1以上である、吸収性物品。
【0079】
<2>
前記比B1/A1は、0.1以上1未満、好ましくは0.15以上0.95以下、より好ましくは0.2以上0.9以下である、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記比B2/A2は、好ましくは1.03以上、より好ましくは1.05以上3以下である、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記A1が、1.0mm以上5.0mm以下、好ましくは1.2mm以上4.7mm以下、より好ましくは1.5mm以上4.5mm以下である、前記<1>~<3>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<5>
前記B1が、0.3mm以上4.5mm以下、好ましくは0.5mm以上4.3mm以下、より好ましくは0.7mm以上4.0mm以下である、前記<1>~<4>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<6>
前記A2が、0.5mm以上4.5mm以下、好ましくは0.7mm以上4.3mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下である、前記<1>~<5>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<7>
前記B2が、1mm以上5mm以下、好ましくは1.2mm以上4.7mm以下、より好ましくは1.5mm以上4.5mm以下である、前記<1>~<6>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<8>
自然状態において、前記第1領域における前記凸条部の高さB1が、前記第2領域における前記凸条部の高さB2よりも低い、前記<1>~<7>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<9>
前記第1領域における前記弾性部材の伸長率が、前記第2領域における前記弾性部材の伸長率よりも小さい、前記<8>に記載の吸収性物品。
<10>
前記第2領域の伸長率に対する前記第1領域の伸長率の比が、0.2以上0.99以下、好ましくは0.25以上0.95以下、より好ましくは0.3以上0.90以下である、前記<9>に記載の吸収性物品。
【0080】
<11>
前記第1領域における前記弾性部材の太さが、前記第2領域における前記弾性部材の太さよりも細い、前記<8>に記載の吸収性物品。
<12>
前記第2領域の前記弾性部材の太さに対する前記第1領域の前記弾性部材の太さの比が、0.1以上0.99以下、好ましくは0.2以上0.95以下、より好ましくは0.3以上0.9以下である、前記<11>に記載の吸収性物品。
<13>
前記第1領域における前記弾性部材の単位面積当たりの本数が、前記第2領域における前記弾性部材の単位面積当たりの本数よりも少ない、前記<8>に記載の吸収性物品。
<14>
前記第2領域の前記弾性部材の本数に対する前記第1領域の前記弾性部材の本数の比が、0.2以上1.0以下、好ましくは0.3以上0.9以下、より好ましくは0.4以上0.8以下である、前記<13>に記載の吸収性物品。
<15>
前記第1領域側から前記第2領域側にいくにしたがって前記凸条部の高さが漸次高くなっている、前記<8>に記載の吸収性物品。
<16>
自然状態において、前記第1領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離A1が、前記第2領域における前記幅方向に隣り合う前記接合部どうし間の距離A2よりも大きい、前記<1>~<15>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<17>
前記内層シートの曲げ剛性が、前記外層シートの曲げ剛性よりも小さい、前記<1>~<16>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<18>
前記外層シートの曲げ剛性に対する前記内層シートの曲げ剛性の比が、0.1以上0.99以下、好ましくは0.2以上0.95以下、より好ましくは0.3以上0.90以下である、前記<17>に記載の吸収性物品。
<19>
前記内層シートの厚みが、前記外層シートの厚みに対して小さい、前記<1>~<18>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<20>
前記外層シートの厚みに対する前記内層シートの厚みの比が、0.1以上0.99以下、好ましくは0.2以上0.95以下、より好ましくは0.3以上0.90以下である、前記<19>に記載の吸収性物品。
【0081】
<21>
前記外装体は、前記腹側部又は前記背側部の平面視において前記第1領域と重なる位置であり、且つ前記内層シートの肌対向面側に配された第1シートを有し、
前記内層シートと第1シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合され、該幅方向に隣り合う前記接合部どうし同士の間には、該内層シートと第1シートとが接合されていない非接合部が前記長手方向に連続して形成されており、
前記非接合部は、前記内層シート及び前記外層シートの接合部のうち一部の該接合部と平面視において重なり、
前記内層シートと第1シートとの前記接合部の面積率が、前記内層シートと前記外層シートとの前記接合部の面積率よりも小さい、前記<1>~<20>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<22>
前記内層シートと前記外層シートとの前記接合部の面積率に対する前記内層シートと第1シートとの前記接合部の面積率の比が、0.01以上0.9以下、好ましくは0.05以上0.8以下、より好ましくは0.1以上0.7以下である、前記<21>に記載の吸収性物品。
<23>
前記外装体は、該外装体の平面視において前記第1領域の少なくとも一部と重なる位置
であり、且つ前記内層シートの肌対向面側に配された第1シートと、該第1シートの肌対向面側に配された第2シートとを有し、
前記内層シートと前記第1シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合されており、
前記第1シートと前記第2シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合されており、
前記第1シートと前記第2シートとの前記接合部の面積率が、前記内層シートと前記第1シートとの前記接合部の面積率よりも大きい、前記<1>~<22>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<24>
前記外装体は、該外装体の平面視において前記第1領域の少なくとも一部と重なる位置であり、且つ前記内層シートの肌対向面側に配された第1シートと、該第1シートの肌対向面側に配された第2シートとを有し、
前記長手方向における第1シートの両端部が前記第2シートにより覆われている、前記<1>~<23>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<25>
前記外装体は、該外装体の平面視において第1領域の少なくとも一部と重なる位置であり、且つ前記内層シートの肌対向面側に配された第1シートと、該第1シートの肌対向面側に配された第2シートとを有し、
前記内層シートと前記第1シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合されており、
前記第1シートと前記第2シートとは、前記幅方向に間欠的に配置された複数の接合部により接合されており、
前記第1シート及び前記第2シートはそれぞれ、前記吸収性物品の自然状態において、前記長手方向に延びる複数の凹条部と、前記幅方向に隣り合う該凹条部どうしの間に位置する凸条部とを有し、
前記第1領域の平面視において、前記内層シートの前記凹条部と、前記第1シートの前記凸条部及び前記第2シートの前記凸条部とが重なる、前記<1>~<24>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【符号の説明】
【0082】
1 使い捨ておむつ
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23吸収体
3 外装体
4 内層シート
41 内層シートの襞構造
42 内層シートの凸条部
42a 内層シートの凸条部の頂部
43 内層シートの凹条部
5 外層シート
6a 第1弾性部材
6b 第2弾性部材
6c 第3弾性部材
7 第1シート
8 第2シート
31a 内層シートと外層シートとの接合部(第1接合部)
31b 第1非接合部
32a 内層シートと第1シートとの接合部(第2接合部)
32b 第2非接合部
33a 第1シートと第2シートとの接合部(第3接合部)
33b 第3非接合部
G1 第1領域
G2 第2領域