(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】コネクタを用いた接続装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H01R13/52 302G
H01R13/52 301E
(21)【出願番号】P 2021081987
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】柳田 英治
(72)【発明者】
【氏名】八代 尭久
(72)【発明者】
【氏名】今川 聖
(72)【発明者】
【氏名】深田 啓太
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 宗一郎
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-217034(JP,A)
【文献】実開平2-83617(JP,U)
【文献】特開2017-92003(JP,A)
【文献】特開平9-204954(JP,A)
【文献】特開2001-126842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の電線と、前記複数本の電線の端部および前記端部に装着された複数個の端子金具が収容された複数個の電線挿入孔と、を備えるコネクタを用いた接続装置であって、
前記複数本の電線は、一端が
前記コネクタの前記電線挿入孔に挿入され且つ他端が他のコネクタに接続されたリード線と、前記リード線と同じ種類の電線であって、一端および他端が
前記コネクタの前記電線挿入孔のうちの一対の空き電線挿入孔にそれぞれ挿入され
且つ前記他のコネクタ側がU字状に回曲させられた回曲端部を有するダミー電線と、を有する
とともに、
前記コネクタと前記他のコネクタとの間には、前記リード線の両端部を除いた全長に亘って該リード線と前記ダミー電線とを包む、前記リード線よりも短い筒状の保護チューブが設けられており、
前記ダミー電線の前記回曲端部は、前記保護チューブの前記他のコネクタ側の端部から露出させられている
ことを特徴とするコネクタを用いた接続装置。
【請求項2】
前記コネクタは、複数個の前記電線挿入孔が形成されたハウジングを備え、
前記ダミー電線の両端部には、前記ハウジングの前記電線挿入孔内に収容された前記端子金具が接続されている
ことを特徴とする請求項
1のコネクタを用いた接続装置。
【請求項3】
前記コネクタは、
複数個の前記電線挿入孔が形成されたハウジングと、
前記ハウジングに重ねられ、前記複数本の電線を水密状に挿入可能な複数個の前記電線挿入孔と前記ハウジングに水密状に嵌合されたハウジング防水部とを有する防水部材と、
前記防水部材を前記ハウジングから抜けないように保持する保持カバーと、を備え、
前記ダミー電線の一端および他端は、前記防水部材に設けられた前記電線挿入孔、又は、前記防水部材に設けられた前記電線挿入孔および前記ハウジングに形成された前記電線挿入孔に挿入されている
ことを特徴とする請求項
1のコネクタを用いた接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電線挿入孔のうちの空いている電線挿入孔を閉じることができるコネクタを用いた接続装置であって、コネクタ等の形状が変化しても汎用性のある、コネクタを用いた接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数本の電線と、複数本の電線の端部およびその端部に装着された端子金具を収容する複数個の電線挿入孔が形成されたハウジングを備えるコネクタが、知られている。このようなコネクタでは、電線挿入孔の全部が用いられない場合には、空き電線挿入孔から異物が容易に入り込むので、端子金具と相手コネクタ内の端子金具との接触の信頼性が低下する恐れがあった。
【0003】
これに対して、特許文献1に記載のコネクタでは、複数個の電線挿入孔が保持カバー開口を通して露出されており、防水部材の電線挿入孔のうちの空いている電線挿入孔にダミー栓が挿着されることで、空いている電線挿入孔が閉じられるようになっている。これにより、コネクタは、ハウジングや防水部材等の設計変更を要することなく、電線挿入孔の総数よりも少ない本数の電線に対しても適用されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のコネクタでは、機能や材質の改良等のための設計変更によってハウジングの寸法、形状、材質等の仕様が変わってしまうと、その度にコネクタの空き電線挿入孔を閉じる部材であるダミー栓の長さや径を新たに設計し直す必要が発生し、汎用性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、コネクタの仕様変更があっても、コネクタの空き電線挿入孔を閉じる部材の設計変更を必要としないコネクタを用いた接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の要旨とするところは、(a)複数本の電線と、前記複数本の電線の端部および前記端部に装着された複数個の端子金具が収容された複数個の電線挿入孔と、を備えるコネクタを用いた接続装置であって、(b)前記複数本の電線は、一端が前記コネクタの前記電線挿入孔に挿入され且つ他端が他のコネクタに接続されたリード線と、前記リード線と同じ種類の電線であって、一端および他端が前記コネクタの前記電線挿入孔のうちの一対の空き電線挿入孔にそれぞれ挿入され且つ前記他のコネクタ側がU字状に回曲させられた回曲端部を有するダミー電線と、を有するとともに、(c)前記コネクタと前記他のコネクタとの間には、前記リード線の両端部を除いた全長に亘ってそのリード線と前記ダミー電線とを包む、前記リード線よりも短い筒状の保護チューブが設けられており、(d)前記ダミー電線の前記回曲端部は、前記保護チューブの前記他のコネクタ側の端部から露出させられていることにある。
【0009】
第3発明の要旨とするところは、第1発明において、前記コネクタは、複数個の前記電線挿入孔が形成されたハウジングを備え、前記ダミー電線の両端部には、前記ハウジングの前記電線挿入孔内に収容された前記端子金具が接続されていることにある。
【0010】
第4発明の要旨とするところは、第1発明において、前記コネクタは、複数個の前記電線挿入孔が形成されたハウジングと、前記ハウジングに重ねられ、前記複数本の電線を水密状に挿入可能な複数個の前記電線挿入孔と前記ハウジングに水密状に嵌合されたハウジング防水部とを有する防水部材と、前記防水部材を前記ハウジングから抜けないように保持する保持カバーと、を備え、前記ダミー電線の一端および他端は、前記防水部材に設けられた前記電線挿入孔、又は、前記防水部材に設けられた前記電線挿入孔および前記ハウジングに形成された前記電線挿入孔に挿入されていることにある。
【発明の効果】
【0011】
第1発明のコネクタを用いた接続装置によれば、前記複数本の電線は、一端が前記電線挿入孔に挿入され且つ他端が他のコネクタに接続されたリード線と、前記リード線と同じ種類の電線であって、一端および他端が前記電線挿入孔のうちの一対の空き電線挿入孔にそれぞれ挿入されたダミー電線と、を有する。このため、コネクタに仕様変更があっても、コネクタの空き電線挿入孔を閉じる部材の設計変更を必要としないコネクタを用いた接続装置を得ることができる。
【0012】
また、前記コネクタと前記他のコネクタとの間には、前記リード線の両端部を除いた全長に亘ってそのリード線と、前記ダミー電線とを包む、前記リード線よりも短い筒状の保護チューブが設けられており、前記ダミー電線は、前記他のコネクタ側がU字状に回曲させられた回曲端部を有し、前記ダミー電線の前記回曲端部は、前記保護チューブの前記他のコネクタ側の端部から露出させられている。このため、空き電線挿入孔および他の空き電線挿入孔にダミー電線が挿入されたものであることを確認する検査を外観の目視により簡易に行なうことができる。
【0013】
第3発明のコネクタを用いた接続装置によれば、前記コネクタは、複数個の前記電線挿入孔が形成されたハウジングを備え、前記ダミー電線の両端部には、前記ハウジングの前記電線挿入孔内に収容された前記端子金具が接続されている。このため、ダミー電線も、先端に端子金具が接続されてハウジングの収容空間内に挿入されることで抜け止めされたリード線と、同様の抜け止め性能が得られる。
【0014】
第4発明のコネクタを用いた接続装置によれば、前記コネクタは、複数個の前記電線挿入孔が形成されたハウジングと、前記ハウジングに重ねられ、前記複数本の電線を水密状に挿入可能な複数個の前記電線挿入孔と前記ハウジングに水密状に嵌合されたハウジング防水部とを有する防水部材と、前記防水部材を前記ハウジングから抜けないように保持する保持カバーと、を備え、前記ダミー電線の一端および他端は、前記防水部材に設けられた前記電線挿入孔、又は、前記防水部材に設けられた前記電線挿入孔および前記ハウジングに形成された前記電線挿入孔に挿入されている。これにより、リード線と同じ種類の電線であるダミー電線の一端および他端が、防水部材に設けられた電線挿入孔、又は、防水部材およびハウジングに設けられた電線挿入孔にそれぞれ挿入されているので、異物の進入だけでなく、水や塵の浸入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例の接続装置に備えられた防水コネクタと他のコネクタとの接続状態を説明する図である。
【
図2】
図1の実施例の防水コネクタを拡大して説明する斜視図である。
【
図3】複数本の電線が挿入された状態の
図2の防水コネクタの内部構造を説明する断面図であって、
図2のIII-III視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明が好適に適用された、防水コネクタ12を用いた接続装置10を示す図である。
図1において、接続装置10は、複数本の電線W及び防水コネクタ12を備える。防水コネクタ12は、位置固定のブラケット14により支持された相手側コネクタ16に嵌め付けられている。防水コネクタ12は、複数本の電線Wを介して、防水コネクタ12と対を成す他のコネクタ22に接続されている。他のコネクタ22は、例えば、回転体の位相角を検出するレゾルバ等の車両内の機器20に設けられたものである。
【0018】
防水コネクタ12と他のコネクタ22との間の複数本の電線Wは、一端が防水コネクタ12の後述の電線挿入孔38に挿入され、且つ他端が他のコネクタ22に接続された複数本のリード線LWと、一端が電線挿入孔38のうちの空き電線挿入孔38に挿入され且つ他端も電線挿入孔のうちの他の空き電線挿入孔38に挿入されたダミー電線DWと、を含んでいる。ダミー電線DWは、リード線LWと同じ種類の電線、例えば、外径、芯線、及び被膜の材質、規格等においてリード線LWと共通の電線である。
【0019】
防水コネクタ12を備えた接続装置10において、防水コネクタ12と他のコネクタ22との間には、リード線LWと、他のコネクタ22側がU字状に回曲させられたダミー電線DWとを包む、リード線LWよりも短い筒状の保護チューブ18が設けられている。保護チューブ18は、ガラス繊維製の織布が円筒状に縫製された上でワニスが含浸された所謂ガラスワニスチューブである。ダミー電線DWのU字状に回曲させられた回曲端部26は、保護チューブ18の他のコネクタ22側の端部18aから露出させられており、ダミー電線DWの回曲端部26が目視可能となっている。
【0020】
図2は防水コネクタ12の斜視図である。防水コネクタ12は、硬質樹脂製のハウジング28と、ハウジング28の電線W側の端面に重ねられた防水部材30と、防水部材30をハウジング28から抜けないように保持する硬質樹脂製の保持カバー40とを備えている。
図3は、複数本の電線Wが挿入された状態の防水コネクタ12の内部構造を説明する断面図であって、
図2のIII-III視断面図である。ハウジング28には、複数本の電線Wの端部および電線Wの端部に装着された端子金具24をそれぞれ収容可能な複数個の収容空間28aが貫通して形成されている。この収容空間28aは、電線Wの端部が挿し込まれるハウジング28の電線挿入孔として機能しており、ハウジング28の他のコネクタ22側である後面と相手コネクタ側の前面との間で貫通した角柱状の空間である。防水部材30は、電線Wのうち収容空間28aに到達した部分から他のコネクタ22側に隣接する部分を水密状に挿通可能な電線挿入孔38と、ハウジング28に水密状に嵌合されるハウジング28よりも軟質な樹脂或いはゴム製のハウジング防水部34とを備えている。
【0021】
図3に示すように、端子金具24は、電線Wの端部に露出した芯線に圧着されて接続される接続部24aと、接続部24aに続き、段状の掛止部24cを接続部24aとの間に有する角筒状の連結部24bとを備え、銅板等の導電性金属板からプレスにより曲成されている。端子金具24が収容されるハウジング28の収容空間28aは、ハウジング28を貫通して形成されており、相手側コネクタ16の棒状端子が挿入されるようになっている。リード線LWの端部及びダミー電線DWの両端部には、上記端子金具24がそれぞれ装着されている。
【0022】
本実施例では、端子金具24の掛止部24cが、ハウジング28の下面(
図3では下側の面)に開口するリテーナ嵌入口28bから嵌め入れられるリテーナ42に係合することによって抜け止めされている。リテーナ42は電線Wの抜け止めを行な
う抜止部材として機能している。リテーナ42とハウジング28とは、相対的に浅い仮掛止位置と、仮掛止位置よりも深い掛止位置(
図3に示す位置)との2つの掛止位置で位置させられるようになっていて、仮掛止位置では、端子金具24の収容空間28a内への挿入及び抜き出しが許容されるが、掛止位置では、端子金具24の掛止部がリテーナ42の角に掛け止められて、端子金具24の収容空間28aからの抜けが阻止されるようになっている。
【0023】
ハウジング28の上面(
図3では上側の面)には、上下方向に弾性変形可能な長手状のロックアーム44が片持ち状に一体に設けられている。ロックアーム44の長手方向の中央部には、相手側コネクタ16と係合して抜け止めを行なう係合突起44aが外向き(
図3では上方)へ突設されている。ロックアーム44の先端は、防水部材30の内側に当接して、防水部材30の位置決めを行なう。
【0024】
図3に示すように、防水部材30は、例えば合成ゴムのような弾性変形が容易な材料から箱状に形成されており、ハウジング28の電線W側全体を覆うためにハウジング28を嵌め入れる組付開口30aを備えている。組付開口30aは、ハウジング28のロックアーム44を含めて内部に収容可能な形状を有し、防水部材30の底面には外側から押圧操作することでロックアーム44の押し込みを可能とする、
図2に示す操作部30bが形成されている。組付開口30aの内面には、全周にわたって複数本の凸条30cが形成されている。
【0025】
防水部材30のハウジング28の収容空間28aに対応する位置には、複数本の電線挿入孔38が貫通して形成されている。電線挿入孔38の内壁面には、複数の環状凸条38aが形成されている。環状凸条38aの内径は、電線Wの外径よりも僅かに小さくされており、環状凸条38aが電線Wの外周面に押圧されることで、水密構造が形成されている。
【0026】
なお、
図3の断面では、複数本の電線Wのうちのリード線LWは断面に表れていないが、一対のダミー電線DWが断面に表れている。電線挿入孔38のうちダミー電線DWが挿入される一対の空き電線挿入孔38は、必ずしも
図3に示す位置でなくてもよい。
【0027】
図2に示すように、保持カバー40は、防水部材30に形成された電線挿入孔38を露出させるための矩形状の開口40aが底面に形成された箱形を成し、防水部材30を覆うように合成樹脂により成形されたものである。保持カバー40には、図示しない係合アームがハウジング28側へ突設されており、その係合アームがハウジング28に形成された図示しない係合凹部と係合されている。これにより、保持カバー40は、防水部材30を保持しつつハウジング28に固定されている。
【0028】
上述のように、本実施例の防水コネクタ12を用いた接続装置10によれば、複数本の電線Wと、複数本の電線Wの端部及びその端部に装着された複数個の端子金具24が収容された複数個の電線挿入孔(電線挿入孔38、収容空間28a)と、を備え、複数本の電線Wは、一端が電線挿入孔に挿入され且つ他端が他のコネクタ22に接続されたリード線LWと、リード線LWと同じ種類の電線であって、一端及び他端が電線挿入孔のうちの一対の空き電線挿入孔にそれぞれ挿入されたダミー電線DWと、を有する。このため、防水コネクタ12の仕様変更や適用対象に変更があって、防水コネクタ12の電線挿入孔に空きができたとしても、防水部材30の空き電線挿入孔38或いは空き収容空間(空き電線挿入孔)28aを閉じる部材の設計変更を必要としない防水コネクタ12を用いた接続装置10を得ることができる。
【0029】
また、本実施例の防水コネクタ12を用いた接続装置10によれば、防水コネクタ12と他のコネクタ22との間には、リード線LWと、他のコネクタ22側がU字状に回曲させられたダミー電線DWとを包む、リード線LWよりも短い筒状の保護チューブ18が設けられており、ダミー電線DWは、他のコネクタ22側がU字状に回曲させられた回曲端部26を有し、ダミー電線DWの回曲端部26は、保護チューブ18の他のコネクタ22側の端部18aから露出させられている。これにより、空き電線挿入孔(28a、38)及び他の空き電線挿入孔(28a、38)にダミー電線DWが挿入されたものであることを確認する検査を、回曲端部26の有無に基づいて外観の目視により簡易に行なうことができる。
【0030】
また、本実施例の防水コネクタ12を用いた接続装置10によれば、防水コネクタ12は、複数個の収容空間(電線挿入孔)28aが形成されたハウジング28を備え、ダミー電線DWの両端部には、収容空間28a内に収容された端子金具24が接続されている。このため、ダミー電線DWも、先端に端子金具24が接続されてハウジング28の収容空間28a内に挿入されることで抜け止めされたリード線LWと、同様の抜け止め性能が得られる。
【0031】
また、本実施例の防水コネクタ12を用いた接続装置10によれば、防水コネクタ12は、複数個の収容空間(電線挿入孔)28aが形成されたハウジング28と、ハウジング28に重ねられ、複数本の電線Wを水密状に挿入可能な複数個の電線挿入孔38とハウジング28に水密状に嵌合されたハウジング防水部34とを有する防水部材30と、防水部材30をハウジング28から抜けないように保持する保持カバー40と、を備え、ダミー電線DWの一端及び他端は、防水部材30に設けられた電線挿入孔38、又は、防水部材30及びハウジング28に設けられた電線挿入孔38及び収容空間28aに挿入されている。これにより、リード線LWと同じ種類の電線であるダミー電線DWの一端及び他端が、少なくとも防水部材30に設けられた電線挿入孔38にそれぞれ挿入されているので、異物の進入だけでなく、水や塵の浸入を防止することができる。
【0032】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0033】
例えば、前述の実施例では、1本のダミー電線DWが用いられた例が示されていたが、2本以上のダミー電線DWが用いられていてもよい。
【0034】
また、前述の実施例のハウジング28の収容空間28aの数、及び防水部材30の電線挿入孔38の数は、用途に応じて適宜変更されるものであるし、ハウジング28及び防水部材30の形状或いは構造は、種々の変形或いは改良が加えられ得る。
【0035】
また、前述の実施例において、防水部材30をハウジング28から抜けないように保持する硬質樹脂製の保持カバー40は、ハウジング28と防水部材30との間の固定構造が信頼性のあるものであるなどの場合には、必ずしも設けられていなくても良い。
【0036】
また、前述の実施例において、ダミー電線DWの両端部に端子金具24が接続されることで、ダミー電線DWの抜け止めが行なわれていたが、他の抜け止め構造が適用されたものでもよいし、防水コネクタ12と他のコネクタ22との間に引張力が加えられても、ダミー電線DWの両端部にはそれほど大きな引張力が加えられないので、必ずしも抜け止めが施されていなくてもよい。
【0037】
また、前述の実施例では、防水部材30と、防水部材30をハウジング28に固定する保持カバー40とを備える防水コネクタ12について説明されていたが、防水コネクタ12に替えて、防水部材30と、防水部材30をハウジング28に固定する保持カバー40と、を備えないコネクタについても本発明が適用される。この場合のコネクタを用いた接続装置は、複数本の電線Wと、複数本の電線Wの端部及びその端部に装着された複数個の端子金具24を収容する複数個の収容空間(電線挿入孔)28aが形成されたハウジング28と、を備える。このように構成されたコネクタであっても、ダミー電線DWによって空き収容空間(空き電線挿入孔)28aが閉じられるので、異物の進入が好適に抑制される。
【0038】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
10:接続装置
12:防水コネクタ(コネクタ)
18:保護チューブ
18a:端部
22:他のコネクタ
24:端子金具
26:回曲端部
28:ハウジング
28a:収容空間(電線挿入孔)
30:防水部材
34:ハウジング防水部
38:電線挿入孔
W:電線
LW:リード線
DW:ダミー電線