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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 99/00 20230101AFI20240814BHJP
   H10B 20/25 20230101ALI20240814BHJP
   H10B 61/00 20230101ALI20240814BHJP
   G06F 11/10 20060101ALI20240814BHJP
   G06F 11/18 20060101ALI20240814BHJP
   G06F 12/00 20060101ALI20240814BHJP
   G06F 12/02 20060101ALI20240814BHJP
   G11C 29/00 20060101ALI20240814BHJP
   G11C 29/44 20060101ALI20240814BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240814BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H10B99/00 461
H10B20/25
H10B61/00
G06F11/10 604
G06F11/18 660
G06F12/00 597Z
G06F12/02 510A
G11C29/00 410
G11C29/44
H01L27/04 F
H01L27/04 V
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021088976
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022181808
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 謙
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】倉藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】帶刀 恭彦
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 朋也
(72)【発明者】
【氏名】神田 明彦
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-065430(JP,A)
【文献】特開2019-109956(JP,A)
【文献】特開2009-266258(JP,A)
【文献】特開2016-225007(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0205396(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0285722(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0059703(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0180173(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03496102(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0262574(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0350178(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03098815(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/132219(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 99/00
H10B 20/25
H10B 61/00
G06F 11/10
G06F 11/18
G06F 12/00
G06F 12/02
G11C 29/00
G11C 29/44
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジック回路と、
メモリと、
記憶装置と、
を備え、
前記記憶装置は、
はんだリフロー前に特殊情報が書き込まれる第1特殊情報用の記憶領域と、
前記はんだリフロー後に更新用の特殊情報が書き込まれる第2特殊情報用の記憶領域と、
データ用の記憶領域と、
を備え、
少なくとも前記第1特殊情報用の記憶領域は、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)をOTP(One Time Programable)セルとして使用するMRAM-OTPセルで構成され、
前記第1特殊情報用の記憶領域には、前記OTPセルを破壊して書き込みを行い、
前記第2特殊情報用の記憶領域および前記データ用の記憶領域は、前記MRAM-OTPセルで構成され、
前記第2特殊情報用の記憶領域および前記データ用の記憶領域には、前記OTPセルを破壊せずに書き込みを行う、
半導体装置。
【請求項2】
ロジック回路と、
メモリと、
記憶装置と、
を備え、
前記記憶装置は、
はんだリフロー前に特殊情報が書き込まれる第1特殊情報用の記憶領域と、
前記はんだリフロー後に更新用の特殊情報が書き込まれる第2特殊情報用の記憶領域と、
データ用の記憶領域と、
を備え、
少なくとも前記第1特殊情報用の記憶領域は、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)をOTP(One Time Programable)セルとして使用するMRAM-OTPセルで構成され、
前記第1特殊情報用の記憶領域には、前記OTPセルを破壊して書き込みを行い、
前記第2特殊情報用の記憶領域に、前記第1特殊情報用の記憶領域および前記第2特殊情報用の記憶領域のいずれを使用するかを選択するスワップビットを記憶するスワップビット用の記憶領域が設けられ、
外部から受信した更新用の特殊情報が前記第2特殊情報用の記憶領域に書き込まれた場合には、前記第2特殊情報用の記憶領域を選択する前記スワップビットが前記スワップビット用の記憶領域に記憶される、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリおよびロジックが混載されたSoC(System on a Chip)は、さまざまな電子機器に搭載されている。例えば、特許文献1には、ロジックと不揮発性メモリである磁気抵抗メモリ(MRAM)とを混載した半導体装置が開示されている。
【0003】
特許文献1には、半導体記憶装置に磁気抵抗メモリを用いる場合に、データの書き換え可能回数とデータの保持期間との双方を適切に確保することが可能な技術が開示されている。具体的には、半導体記憶装置は、第1磁気抵抗メモリと第2磁気抵抗メモリとを備え、対象ロジック部と第1磁気抵抗メモリと第2磁気抵抗メモリとが1つの半導体チップに形成され、第1磁気抵抗メモリは、第2磁気抵抗メモリよりも保磁力が大きい旨記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、耐熱性が高く、より安定したデータ保持特性を備えた相変化メ
モリ素子が示される。具体的には、相変化メモリ素子を構成する元素の組成(含有量)を適正化することで、高い耐熱性と、安定したデータ保持特性とを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-205329号公報
【文献】国際公開第2008/010290号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不揮発性メモリおよびロジックを混載するSoCの製造過程では、はんだリフローが実施される。しかしながら、はんだリフローの実施中、不揮発性メモリは非常に高温になるため、リフローによってデータが保持できない可能性がある。
【0007】
このため、従来では、リテンション特性の高い、すなわちデータ保持特性が高い不揮発性メモリが用いられてきた。しかしながら、リテンション特性を高くするためには、メモリセルを大きくする必要があるため、チップ面積の増大や、製造コストの増大を招くこととなる。また、メモリセルを大きくすることで、書き込み電流が増加する。
【0008】
一方、メモリセルが破壊型OTP(One Time Programable)セルで構成された不揮発性メモリ(One Time Programable memory)を用いることも可能である。しかしながら、OTPセルを用いた不揮発性メモリでは1回しか書き込みができないため、デバッグ段階等でのフレキシブルな使用が困難である。また、OTPセルを用いた場合にも、メモリセルサイズが大きく、チップ面積や、製造コストが増大するという問題がある。
【0009】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、製造コストの増大を抑えつつ、リテンション特性の低下を抑え、フレキシブルに使用することが可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。代表的な半導体装置は、ロジック回路と、揮発性メモリと、記憶装置と、を備えている。記憶装置は、はんだリフロー前に特殊情報が書き込まれる第1特殊情報用の記憶領域と、はんだリフロー後に更新用の特殊情報が書き込まれる第2特殊情報用の記憶領域と、データ用の記憶領域と、を備えている。第1特殊情報用の記憶領域は、はんだリフロー後もデータが保持されているリフロー耐性が高いメモリセルで構成される。第2特殊情報用の記憶領域およびデータ用の記憶領域は、はんだリフロー中にデータが保持されない可能性があるリフロー耐性が低いメモリセルで構成される。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、製造コストの増大を抑えつつフレキシブルに使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の概要を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1の変形例に係る記憶装置の構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態2に係るリフレッシュ方法を説明する図である。
図5】本発明の実施の形態3に係るリフレッシュ方法を説明する図である。
図6】本発明の実施の形態4に係るMRAM-OTPセルの特性を例示する図である。
図7】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するためのすべての図において、同一部分には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。半導体装置1は、ロジック回路および組み込み不揮発性メモリ(Embedded Non-Volatile Memory)等が混載されたワンチップのシステムLSIである。半導体装置1は、図1に示すように、ロジック回路10、メモリ20、記憶装置30を備えている。
【0015】
ロジック回路10は、例えば、MCU(Memory Control Unit)やCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアである。ロジック回路10は、例えばメモリ20に保持された各種プログラムやパラメータ等を読み込み実行することで、各種機能ブロックをソフトウェアで実現する。また、ロジック回路10は、一部の機能をハードウェアで実現してもよいし、すべての機能をハードウェアで実現してもよい。
【0016】
メモリ20は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。メモリ20は、例えば、プログラムやパラメータ、ロジック回路10の演算結果等の各種情報を一時的に保持する。なお、これらの情報は、ロジック回路10のキャッシュ(図示は省略)に保持されてもよい。
【0017】
記憶装置30は、各種情報を記憶する装置である。記憶装置30は、例えば、フラッシュメモリや抵抗変化型の不揮発性メモリで構成される。抵抗変化型の不揮発性メモリとしては、例えば、MRAM(Magnetoresistive RAM)、PRAM(Phase-change RAM)、ReRAM(Resistive RAM)等が挙げられる。
【0018】
ところで、半導体装置1の製造過程において、はんだリフローの工程が行われる。はんだリフローでは、記憶装置を含む半導体装置が高温状態になるため、メモリセルの構成によってはリテンション特性が低下することがある。例えばメモリセルサイズを大きくすれば、リテンション特性の低下を抑えることができるが、前述したように、チップ面積や製造コストが増大するというデメリットがある。
【0019】
そこで、本実施の形態では、各記憶領域の用途に応じて、リフロー耐性の高いメモリセルと、リフロー耐性の低いメモリセルとを使い分けることとする。なお、リフロー耐性の高いメモリセルとは、はんだリフロー後もデータが保持されているメモリセルであり、リフロー耐性の低いメモリセルとは、はんだリフロー中にデータが保持されない可能性があるメモリセルである。なお、リフロー耐性は、例えば、PRAMを例とすると、特許文献2に示されるように、メモリ素子を構成する元素の組成(含有量)によって変化する。
【0020】
図1に示すように、記憶装置30は、第1特殊情報用の記憶領域31、第2特殊情報用の記憶領域33、データ用の記憶領域35を備えている。
【0021】
第1特殊情報用の記憶領域31は、例えば初期コード等の特殊情報を記憶する記憶領域である。当該特殊情報(初期コード)は、例えばトリミング情報等を含んでもよい。当該特殊情報は、はんだリフロー前に記憶領域31に書き込まれる。記憶領域31は、特殊情報を保持する必要がある。このため、第1特殊情報用の記憶領域31には、リフロー耐性の高いメモリセルが用いられる。
【0022】
一方、第2特殊情報用の記憶領域33は、例えば更新用コード等の特殊情報を記憶する記憶領域である。更新用コードは、半導体装置1が実装された装置や機器の運用中に提供されるコードである。すなわち、更新用コードは、はんだリフローの後に書き込まれる。このため、第2特殊情報用の記憶領域33には、リフロー耐性の高いメモリセルは必要なく、リフロー耐性の低いメモリセルが用いられる。これにより、チップ面積の増大や、製造コストの増大を抑えることが可能となる。なお、第2特殊情報用の記憶領域33の容量は、第1特殊情報用の記憶領域31と同じでもよい。
【0023】
第1特殊情報用の記憶領域31および第2特殊情報用の記憶領域33に書き込まれるコードは、例えば半導体装置1の最終顧客用のコードである。
【0024】
データ用の記憶領域35は、通常時の各種データを記憶する記憶領域である。データ用の記憶領域35は、半導体装置1が実装された装置や機器の運用中に使用される。また、データ用の記憶領域35は、書き換え頻度が高い記憶領域である。このため、データ用の記憶領域35にも、リフロー耐性の高いメモリセルは必要なく、リフロー耐性の低いメモリセルが用いられる。これにより、チップ面積の増大や、製造コストの増大を抑えることが可能となる。また、データ用の記憶領域35への書き込み電流を低減させることが可能となる。なお、データ用の記憶領域35は、不揮発性メモリに限らず、揮発性メモリで代用することも可能である。この場合、データ用の記憶領域35を揮発性メモリであるメモリ20に設ければよい。
【0025】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、はんだリフロー前に所定の初期コード等の特殊情報が書き込まれる第1特殊情報用の記憶領域31には、リフロー耐性の高いメモリセルが用いられ、はんだリフロー後に更新用コードやデータが書き込まれる第2特殊情報用の記憶領域33には、リフロー耐性の低いメモリセルが用いられる。また、データ用の記憶領域35にも、リフロー耐性の低いメモリセルが用いられる。このような構成によれば、リフロー耐性の高いメモリセルの個数を最小限にすることができ、製造コストの増大を抑えることが可能となる。また、半導体装置のシステム全体として、リテンション特性の低下が抑えられる。また、書き換え可能なメモリセルが用いられるので、デバッグ段階等でのコードやデータ等の書き換えが可能であり、フレキシブルに使用することが可能となる。
【0026】
[変形例]
次に、本実施の形態の変形例について説明する。図2は、本発明の実施の形態1の変形例に係る記憶装置の構成の一例を示す図である。図2に示すように、本変形例では、第1特殊情報用の記憶領域31Aの容量が第2特殊情報用の記憶領域33より大きい。具体的には、本変形例では、第1特殊情報用の記憶領域31Aは、図1の第1特殊情報用の記憶領域31に別の記憶領域32が追加された構成となっている。追加された記憶領域32には、リフロー耐性の高いメモリセルが用いられる。
【0027】
前述したように、第1特殊情報用の記憶領域31および第2特殊情報用の記憶領域33には、例えば半導体装置1の最終顧客用のコードが特殊情報として書き込まれるが、記憶領域32には、例えばサードパーティー用のコード等が特殊情報として書き込まれる。サードパーティー用のコードは更新する必要がないため、記憶領域32に対応する記憶領域を第2特殊情報用の記憶領域33に設ける必要はない。
【0028】
この構成によれば、サードパーティー用の特殊情報を記憶領域32に記憶して使用することが可能となる。
【0029】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、はんだリフロー後に特殊情報用の記憶領域に記憶されたデータ(特殊情報)のリフレッシュが行われる。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、本実施の形態の半導体装置101は、ロジック回路10、メモリ20、記憶装置130を備えている。
【0031】
図3のロジック回路10は、後述する特殊情報用の記憶領域131のECC(Error Correction Code)訂正に関わる制御を行うコントローラCTLを有する。コントローラCTLは、ハードウェア、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた構成のいずれでもよい。
【0032】
記憶装置130は、特殊情報用の記憶領域131、データ用の記憶領域35を備えている。特殊情報用の記憶領域131は、例えば初期コード等の特殊情報を記憶する記憶領域である。ただし、特殊情報用の記憶領域131には、リフロー耐性の低いメモリセルが用いられる。この点、実施の形態1で述べた第1特殊情報用の記憶領域31とは構成が異なる。したがって、本実施の形態では、記憶装置130の各記憶領域(131、35)には、リフロー耐性の低いメモリセルのみが用いられる。
【0033】
しかしながら、特殊情報用の記憶領域131に特殊情報が書き込まれた状態ではんだリフローが行われると、特殊情報用の記憶領域131に特殊情報が保持されない可能性がある。そこで、本実施の形態では、はんだリフロー後、特殊情報用の記憶領域131のリフレッシュが行われる。
【0034】
<リフレッシュ>
次に、特殊情報用の記憶領域131のリフレッシュについて説明する。図4は、本発明の実施の形態2に係るリフレッシュ方法を説明する図である。図4には、記憶装置130、メモリ20、コントローラCTLが示されている。
【0035】
はんだリフロー後、コントローラCTLは、メモリ20を制御し、特殊情報用の記憶領域131から特殊情報をメモリ20へ読み出す。そして、コントローラCTLは、メモリ20に読み出した特殊情報に対するECC訂正を行い、メモリ20が保持する特殊情報を訂正済の特殊情報に更新する。そして、コントローラCTLは、訂正済の特殊情報を特殊情報用の記憶領域131に書き込む。このように、特殊情報用の記憶領域131のリフレッシュが行われる。
【0036】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、はんだリフロー後、特殊情報用の記憶領域131のリフレッシュが行われる。これにより、特殊情報用の記憶領域131にリフロー耐性の低いメモリセルを用いても、半導体装置のシステム全体として、リテンション特性の低下を抑えることが可能となる。
【0037】
また、リフロー耐性の低いメモリセルのみで記憶装置130を構成することができ書き込み電流を低減させることができる。
【0038】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
【0039】
本実施の形態に係る半導体装置の構成は、図3と同様である。ただし、本実施の形態では、はんだリフロー後のリフレッシュ方法が実施の形態2とは異なる。
【0040】
図5は、本発明の実施の形態3に係るリフレッシュ方法を説明する図である。図5にも、記憶装置130、メモリ20、コントローラCTLが示されている。図5に示すように、データ用の記憶領域35には、多重化データ用の記憶領域135bが設定される。多重化データ用の記憶領域135bには、はんだリフロー前に、多重化した特殊情報が書き込まれる。多重化した特殊情報として、例えば3値多数決により多重化されたもの等が挙げられる。なお、図5には、1つの多重化領域のみが示されているが、複数箇所に設けられてもよい。
【0041】
はんだリフロー後、コントローラCTLは、記憶装置130(特殊情報用の記憶領域131、多重化データ用の記憶領域135b)およびメモリ20を制御し、特殊情報用の記憶領域131から特殊情報をメモリ20へ読み出す。また、コントローラCTLは、多重化データ用の記憶領域135bから多重化した特殊情報をメモリ20へ読み出す。
【0042】
そして、コントローラCTLは、メモリ20に読み出した特殊情報に対するECC訂正、および多重化した特殊情報(例えば3値多数決により多重化した特殊情報)によるエラー訂正(3値多数決訂正)を行う。そして、コントローラCTLは、メモリ20が保持する特殊情報を訂正済の特殊情報に更新する。そして、コントローラCTLは、訂正済の特殊情報を特殊情報用の記憶領域131に書き込む。このように、特殊情報用の記憶領域131のリフレッシュが行われる。
【0043】
なお、リフレッシュ後の多重化データ用の記憶領域135bは、通常のデータ記憶領域として開放される。
【0044】
本実施の形態によれば、ECC訂正および多重化した特殊情報によるエラー訂正が行われる。これにより、はんだリフロー後の特殊情報のBER(Bit Error Rate)が高くても適切にエラー訂正が可能となる。
【0045】
なお、複数の多重化データ記憶領域は、同じ列アドレス上に設けられても構わない。ただし、例えば、リフロー耐性がメモリアレイの場所によって異なるような場合、リフロー耐性が弱い場所に多重化データ用の記憶領域が集中しないよう、例えば、複数の多重化データ用の記憶領域が、互いに異なる列アドレス上に設けられてもよい。
【0046】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態の半導体装置は、例えば図1のような構成である。ただし、本実施の形態では、記憶装置30のメモリセルに、MRAMをOTPセルとして使用するMRAM-OTPセルが用いられる。
【0047】
図6は、本発明の実施の形態4に係るMRAM-OTPセルの特性を例示する図である。図6の横軸はメモリセルであるMRAM-OTPセルの抵抗値であり、図6の縦軸は各抵抗値をもつMRAM-OTPセルの累積度数である。
【0048】
図6に示すように、メモリセルは、抵抗閾値Rth付近を境に高抵抗状態と低抵抗状態とが区別される。例えば、メモリセルは、抵抗値が抵抗閾値Rthより高ければ高抵抗状態であり、抵抗値が抵抗閾値Rthより低ければ低抵抗状態である。
【0049】
図6のL1は、メモリセルが高抵抗状態であるときの特性を示している。メモリセルが高抵抗状態のとき、OTPセルは破壊されていない。図6のL2は、OTPセルが破壊されずにメモリセルが低抵抗状態(非破壊による低抵抗状態)であるときの特性を示している。図6のL3は、OTPセルが破壊されてメモリセルが低抵抗状態(破壊による低抵抗状態)であるときの特性を示している。
【0050】
なお、破壊による低抵抗状態を想定したメモリセルには、OTPセルの破壊のために大電流が流れる。このため、この領域付近では、周辺抵抗を低くすることが望ましい。あるいは、周辺抵抗が低い領域にOTPセルを配置しても良い。
【0051】
図6に示すように、MRAM-OTPセルを用いる場合、OTPセルが非破壊による低抵抗状態となるように書き込む第1モードと、OTPセルが破壊による低抵抗状態となるように書き込む第2モードとがある。第1モードを用いると、高抵抗状態と非破壊による低抵抗状態との間でデータの書き換えが可能である。例えば、前述のデータ用の記録領域35や第1特殊情報用の記憶装置31や第2特殊情報用の記憶領域33において、自由にデータを書き換えたい場合には、第1モードでの書き込みが行われる。
【0052】
一方、第2モードを用いると、高抵抗状態または非破壊による低抵抗状態からOTPセルを破壊して破壊による低抵抗状態に切り換わる。例えば、前述の第1特殊情報用の記憶領域31のように、完全に固定してもよいデータ(初期コード等)を書き込む場合には、第2モードで書き込みが行われてもよい。
【0053】
読み出し動作は、高抵抗状態であるメモリセルと非破壊による低抵抗状態であるメモリセルとに基づいて、抵抗値の閾値Rthが律速される。このため、1種類の読み出しモードのみで、読み出し動作を実施することが可能である。
【0054】
本実施の形態によれば、2つの書き込みモードを切り替える(設ける)ことで、MRAM-OTPをフレキシブルに書き換えて使用することができる。これにより、OTPセルを用いた場合でもメモリセルをフレキシブルに使用することが可能となる。
【0055】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。本実施の形態では、第2特殊情報用の記憶領域にスワップビット用の記憶領域が設けられる。
【0056】
図7は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。半導体装置201の記録装置230は、図7に示すように、第1特殊情報用の記憶領域31、第2特殊情報用の記憶領域233、データ用の記憶領域35を備えている。
【0057】
第1特殊情報用の記憶領域31は、例えばMRAM-OTPセルで構成される。第1特殊情報用の記憶領域31には、例えば初期コード等の特殊情報が前述の第2モードにより書き込まれている。すなわち、書き込みが行われた後の第1特殊情報用の記憶領域31のメモリセルでは、OTPセルが破壊されている。これにより、第1特殊情報用の記憶領域31のリフロー耐性が高くなっている。
【0058】
一方、第2特殊情報用の記憶領域233には、リフロー耐性が低いメモリセルが用いられる。第2特殊情報用の記憶領域233は、例えば、MRAM-OTPセルで構成されてもよいし、それ以外の不揮発性メモリで構成されてもよい。第2特殊情報用の記憶領域233は、スワップビットを記憶するスワップビット用の記憶領域233Cを備えている。
【0059】
スワップビットとは、第1特殊情報用の記憶領域31および第2特殊情報用の記憶領域233のいずれを使用するかを選択する情報である。通常は、スワップビット記憶領域233Cのスワップビットが「0」に設定され、第1特殊情報用の記憶領域31が使用される。これは、リフロー耐性(リテンション特性)を考慮したもので、リフロー耐性の高いメモリセルを有する第1特殊情報用の記憶領域31が選択される。
【0060】
一方、外部から受信した更新用の特殊情報は、第2特殊情報用の記憶領域233に書き込まれる。しかし、第1特殊情報用の記憶領域31には、OTPセルを破壊することで特殊情報が書き込まれているため、データを更新することができない。すなわち、第2特殊情報用の記憶領域233に書き込まれた更新用の特殊情報を、第1特殊情報用の記憶領域31に書き込んで更新することができない。
【0061】
この場合、スワップビット用の記憶領域233Cのスワップビットを「1」に設定することで、第2特殊情報用の記憶領域233が選択されるようにする。そして、第2特殊情報用の記憶領域233に書き込まれた更新用の特殊情報が用いられる。このように、本実施の形態では、通常は第1特殊情報用の記憶領域31が選択されるが、更新用の特殊情報を外部から受信した場合には第2特殊情報用の記憶領域233が選択される。
【0062】
本実施の形態によれば、OTPセルを破壊することで特殊情報が書き込まれ、更新用の特殊情報を外部から受信した場合でも、第1特殊情報用の記憶領域31から第2特殊情報用の記憶領域233に切り換えて、更新用の特殊情報を使用することが可能となる。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1、101、201…半導体装置、10…ロジック回路、20…メモリ、30、130、230…記憶装置、31…第1特殊情報用の記憶領域、33、233…第2特殊情報用の記憶領域、35…データ用の記憶領域、135b…多重化データ用の記憶領域、233c…スワップビット用の記憶領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7